説明

加湿方法及びこれに用いる加湿装置

【課題】二酸化炭素の発生を抑えて暖房・加湿することができる加湿方法及びこれに用いる加湿装置を提供する。
【解決手段】植物性アルコール燃料又はLNGからなる燃料が充填された燃料タンク2と、水分が充填された水タンク3と、燃料を燃焼させる燃焼器具4と、水分が水タンク3から供給され、燃料の燃焼により加熱される容器5と、燃焼器具4及び容器5を収容して略密閉された暖気室9と、送風機7と、暖気室9と送風機7を連通する連通路8を備えた。これにより、燃料として植物性アルコール燃料又はLNGを利用するため、燃焼の際の二酸化炭素の発生量が通常の電気ヒータよりも抑制される。このような燃料を利用して、水分を蒸発させ、この蒸気とともに燃焼ガスを暖気として送風するので、燃焼によるエネルギーを有効に活用することができる。蒸気も同時に送風することから、加湿の効果も得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の発生を低減させ、環境を考慮した加湿方法及びこれに用いる加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油燃焼暖房器具が特許文献1に記載されている。この石油燃焼暖房器具は、水を石油燃焼により加熱し、発生する水蒸気を送風して暖房の際の乾燥を防止するものである。すなわち加湿を行うものである。
しかしながら、この暖房器具は石油燃料を使用しているため、燃焼の際に排出される二酸化炭素の量が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−69630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、二酸化炭素の発生を抑えて暖房・加湿することができる加湿方法及びこれに用いる加湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、植物性アルコール燃料又はLNGからなる燃料を燃焼させて容器中の水分を蒸発させ、前記水分の蒸気とともに前記燃料の燃焼ガスを暖気として送風することを特徴とする加湿方法を提供する。
また、請求項2の発明では、請求項1に記載の加湿方法に用いる加湿装置であって、前記燃料が充填された燃料タンクと、前記水分が充填された水タンクと、前記燃料を燃焼させる燃焼器具と、前記水分が前記水タンクから供給され、前記燃料の燃焼により加熱される容器と、前記燃焼器具及び前記容器を収容して略密閉された暖気室と、送風機と、前記暖気室と前記送風機を連通する連通路を備えたことを特徴とする加湿装置を提供する。
【0006】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記送風機は空調機であり、前記連通路は前記空調機のダクトに形成された小孔であり、前記暖気室は前記ダクトの前記小孔が形成された部分を覆っていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、燃料として植物性アルコール燃料又はLNGからなる燃料を利用するため、燃焼の際の二酸化炭素の発生量が通常の電気ヒータよりも抑制される。このような燃料を利用して、水分を蒸発させ、この蒸気とともに燃焼ガスを暖気として送風するので、燃焼によるエネルギーを有効に活用することができる。蒸気も同時に送風することから、加湿の効果も得ることができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、燃料タンクに充填する燃料として植物性アルコール燃料又はLNGを用いるため、燃焼器具により燃料が燃焼したときに発生する二酸化炭素の発生量が通常の電気ヒータを燃焼させたときに発生する二酸化炭素の発生量よりも減少する。すなわち、二酸化炭素の発生量を抑制することができる。さらに、水タンクに充填された水分を容器に移し、これを燃料の燃焼を用いて加熱して蒸気化させる。燃料を燃焼させる燃焼器具と、蒸発される水分が溜められた容器が略密閉された暖気室に収容されるので、燃焼ガスと蒸気の両方が暖気室に充満される。暖気室と送風機は連通路により連通されているので、燃焼ガスと蒸気の両方が暖気として送風機により部屋に送られる。したがって、燃焼によるエネルギーを有効に活用することができ、効率のよい暖房及び加湿を行うことができる。
【0009】
請求項3の発明によれば、送風機として空調機(空気調和機)を用いるため、例えば部屋に空調機が備え付けられていた場合、このような既存の設備を有効に利用して二酸化炭素の発生を抑制した加湿(暖房)運転を行うことができる。また、送風空気がダクトを通って空調機により供給される場合において、送風空気の流れに誘引されて小孔から燃焼ガス及び蒸気がダクトに進入し、空調機により供給される。したがって、空調機の動力エネルギーのみで暖気を部屋に送ることができ、省エネルギーに寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る加湿装置の概略図である。
【図2】本発明に係る加湿装置の適用例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明に係る加湿装置の概略図である。なお、以下では燃料として植物性アルコール燃料を例にして説明するが、LNGにも適用できる。
図示したように、本発明に係る加湿装置1は、燃料タンク2と、水タンク3と、燃焼器具4と、容器5と、装置本体6と、送風機7と、連通路8で構成される。燃料タンク2には、植物性アルコール燃料が充填されている。
【0012】
燃焼器具4は容器5を加熱するための装置であり、ガスコンロ等、植物性アルコール燃料を燃焼させるための燃焼器具であればどのようなものを用いてもよい。燃焼の際は、燃料タンク2から適宜植物性アルコール燃料が燃焼器具4に供給される。その供給量は、バルブ11で調整される。容器5は耐熱性の材料で形成され、燃焼器具4の上側に載置台10を介して配設される。容器5内には水タンク3に充填された水が供給される。その供給量は、バルブ12で調整される。燃焼器具装置本体6は略密閉され、内部に暖気室9を形成する。この暖気室9内に、燃焼器具4と容器5が収容されている。装置本体6と送風機7は連通路8を介して接続されている。したがって、暖気室9内の空気は、送風機7の運転による誘引により、全て連通路8を通って送風機7により送風される。
【0013】
このように、燃料タンク2に充填する燃料として植物性アルコール燃料を用いるため、燃焼器具4により植物性アルコール燃料が燃焼したときに発生する二酸化炭素の発生量が通常の電気ヒータ又は化石燃料を燃焼させたときに発生する二酸化炭素の発生量よりも減少する。すなわち、二酸化炭素の発生量を抑制することができる。さらに、水タンク3に充填された水分を容器5に移し、これを植物性アルコール燃料の燃焼を用いて加熱して蒸気化させる。植物性アルコール燃料を燃焼させる燃焼器具4と、蒸発される水分が溜められた容器5が略密閉された暖気室9に収容されるので、燃焼ガスと蒸気の両方が暖気室9に充満される。暖気室9と送風機7は連通路8により連通されているので、燃焼ガスと蒸気の両方が暖気として送風機7により部屋に送られる。したがって、燃焼によるエネルギーを有効に活用することができ、効率のよい暖房及び加湿を行うことができる。
【0014】
特に、アルコール燃料は燃焼により水を発生するため、その燃焼ガスには加湿のための水分が含まれることになり、加湿効率を向上させることができる。具体的には、アルコール燃料1kg消費により、530gの水が発生する。これに容器5からの蒸気量を加えると、約700gの蒸気での加湿を実現することができる。なお、蒸気発生手段として、超音波振動子を用いてもよい。この場合、燃焼ガスの燃焼部と蒸気発生部を離して設置することが可能である。これにより、不完全燃焼を完全に防止することができる。
【0015】
また、送風機7としては、部屋に備え付けの空調機(空気調和機)や、パッケージ型空調機等、種々の空調機を用いることができる。このとき、空調機の誘引部分に装置本体6を設置してもよいし、空調機の上流に孔を設け、連通路を設けて装置本体6と連結してもよい。装置本体6に、水タンク3、燃料タンク2も一体化して、送風機7と装置本体6を独立したシステムとして運用すれば、それぞれのモニターもしやすくなり、現在のパッケージ製品(空調機)に容易に取り付け可能となる。これについては、図2で説明する。
【0016】
本発明に係る加湿方法を行う場合について、上記加湿装置1を例にして説明する。
燃料タンク2に植物性アルコール燃料を充填する。水タンク3に水を充填する。装置本体6内に収容された燃焼器具4により植物性アルコール燃料を燃焼させる。この燃焼の際の熱で、同じく装置本体6内に収容された容器5内の水分を蒸発させる。したがって、略密閉された装置本体6内の暖気室9には、蒸気と燃焼ガスが充満される。これらの蒸気及び燃焼ガスの両方を空調機7の誘引作用により誘引し、部屋に暖気として供給する。これにより、燃料として植物性アルコール燃料を利用するため、燃焼の際の二酸化炭素の発生量が通常の化石燃料よりも抑制される。このような植物性アルコール燃料を利用して、水分を蒸発させ、この蒸気とともに燃焼ガスを暖気として送風するので、燃焼によるエネルギーを有効に活用することができる。蒸気も同時に送風することから、加湿の効果も得ることができる。
【0017】
図2は本発明に係る加湿装置の適用例を示す概略図である。
図示したように、送風機7として、部屋13に備え付けの空調機14を用いた例を示す。空調機14には送気のためのダクト17が連結されている。部屋13には、排気のための排気口15が備わり、排気はダクト16を通って排出される。この送気のためのダクト17の途中に小孔18が複数個形成される。この小孔18を覆って、加湿装置1の暖気室9が形成される。すなわち、暖気室9内に小孔18の全てが収まっている。これにより、ダクト17内を通る気流の誘因を活用し、燃焼ガス及び蒸気を小孔18からダクト17内に取り入れて、部屋13に供給することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 加湿装置
2 燃料タンク
3 水タンク
4 燃焼器具
5 容器
6 装置本体
7 送風機
8 連通路
9 暖気室
10 載置台
11 バルブ
12 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性アルコール燃料又はLNGからなる燃料を燃焼させて容器中の水分を蒸発させ、
前記水分の蒸気とともに前記燃料の燃焼ガスを暖気として送風することを特徴とする加湿方法。
【請求項2】
請求項1に記載の加湿方法に用いる加湿装置であって、
前記燃料が充填された燃料タンクと、
前記水分が充填された水タンクと、
前記燃料を燃焼させる燃焼器具と、
前記水分が前記水タンクから供給され、前記燃料の燃焼により加熱される容器と、
前記燃焼器具及び前記容器を収容して略密閉された暖気室と、
送風機と、
前記暖気室と前記送風機を連通する連通路を備えたことを特徴とする加湿装置。
【請求項3】
前記送風機は空調機であり、前記連通路は前記空調機のダクトに形成された小孔であり、前記暖気室は前記ダクトの前記小孔が形成された部分を覆っていることを特徴とする請求項2に記載の加湿装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−169349(P2010−169349A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13924(P2009−13924)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(505430838)有限会社創造舎 (8)
【出願人】(506120253)株式会社環境セラステクノ (8)
【Fターム(参考)】