説明

加湿装置

【課題】種子に水分を付与する際にダメージを与えることなく、発芽・苗立ちを安定させることができる加湿装置を提供する。
【解決手段】断熱容器2内に水11を注入し、断熱容器内に収容された種子等の被加湿物Sに水分を付与する加湿装置1は、断熱容器2の内部に仕切り材10により上空間部7及び下空間部8が形成され、上空間部7に被加湿物が収容されると共に、下空間部8に水11が貯留されるものであり、下空間部8に貯留された水を気化させる加湿フィルタ12と、下空間部8と上空間部7とを連通する通気路9と、循環器としてファン6とを備え、気化された水分を含む加湿空気を、仕切り材10、通気路9、及び加湿フィルタ12を通してファン6で循環させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種子等に水分を供給する加湿装置に係り、特に、農業分野で大豆等の種子を発芽させる際に適当な水分をムラ無く供給できる加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、大豆の種子を調湿することにより湿害を低減させ、発芽・苗立ちを安定させられることが知られている。しかし、調湿の実用的な方法が確立されていないことが普及への障害となっており、実用的な量の種子を簡便に調湿する装置が求められている。大豆種子は含水率が10%程度に乾燥されて保存されており、発芽させるために湿害を受けにくい15%程度に調湿するには加湿する必要がある。従来は、大豆種子を何回かに分けて散水したり、育苗器のような装置を用いて、高湿度環境に大豆を静置して加湿することが一部の研究機関等で行われている。
【0003】
また、従来のこの種の装置としては、壁の少なくとも一部が透明とされた発芽室と、前記発芽室に接続された、水量調整可能な噴霧装置と、前記発芽室に接続された、循環される空気を加温可能な空気循環装置と、から成る発芽養生装置がある(例えば、特許文献1参照)。この装置では、発芽に必要な光を発芽室壁を透明とすることによって自然採光によってまかなう。また、湿度調整は、噴霧装置から噴霧されるミスト量を調整することによって行っている。
【特許文献1】特開平6−269202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記のように直接散水する方法では、種子表面が急激に加湿されることにより水分ムラ・しわ等が発生し、種子損傷に結びつくことがある。また、散水量や散水間隔等に習熟を要する。一方、育苗器を用いて発芽させる場合、高湿度を維持するために加湿する必要があり、湿度によっては種子にダメージを与えたり、加湿速度が変わって加湿の過不足が発生する危険性がある。また、どちらの方法でも、加湿ムラを避けるためには薄く広げたり、撹拌する必要があり、一度に処理する量が制約されたり、作業時間がかかるという問題点がある。
【0005】
また、前記の特許文献1に記載の発芽養生装置は、構成が複雑であり、装置が大型化するという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、種子等の被加湿物に水分を付与する際に、被加湿物にダメージを与えることなく、発芽・苗立ちを安定させることができる加湿装置を提供することにある。また、構成が簡単であり、操作が容易で作業性のよい加湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明に係る加湿装置は、断熱容器内に水を注入し、該断熱容器内に収容された種子等の被加湿物に水分を付与する加湿装置であって、前記断熱容器の内部に通気性を有する仕切り材により上空間部及び下空間部が形成され、該上空間部に前記被加湿物が収容されると共に、前記下空間部に水が貯留されるものであり、前記下空間部に貯留された水を気化させる加湿フィルタと、前記下空間部と上空間部とを連通する通気路と、循環器とを備え、気化された水分を含む加湿空気を前記仕切り材、通気路、及び加湿フィルタを通して前記循環器で循環させることを特徴とする。
【0008】
前記のごとく構成された本発明の加湿装置は、断熱容器の下部に注入された水が気化した加湿空気を、仕切り材、通気路、及び加湿フィルタを通して循環器で循環させ、仕切り材の上部に収容された大豆等の種子に水分を付与するため、種子等の被加湿物に水分ムラやしわ等の損傷を与えることなく適当な水分を付与することができ、安定した発芽をさせることができる。
【0009】
また、本発明に係る加湿装置の好ましい具体的な態様としては、前記仕切り材は、前記被加湿物の重量を支持する支持体と、該支持体の上部に配置され前記被加湿物が載置される軟質のマット材とから構成されることを特徴としている。この構成によれば、仕切り材の支持体で被加湿物の重量を支えると共に、軟質のマット材で被加湿物の衝撃を吸収するように支持するため、種子等の被加湿物の損傷を防止することができる。そして、種子等の被加湿物は軟質のマット材に接触してランダムに配列されるため、種子間の間隙をランダムに大きく取れ、加湿空気をランダムに通過させて水分ムラを少なくすることができる。
【0010】
本発明に係る加湿装置の他の態様としては、前記加湿装置は、循環させる加湿空気を冷却する冷却装置をさらに備えることを特徴としている。このように構成された加湿装置では、種子等の被加湿物を通して循環させる加湿空気の温度を冷やすことができるため、温度上昇による種子等の腐敗を防止することができ、加湿後に安定して発芽させることができる。
【0011】
さらに、本発明に係る加湿装置の好ましい具体的な他の態様としては、前記冷却装置は、ペルチェ素子を用いた冷却装置であることを特徴としている。この構成によれば、種子等の被加湿物の腐敗等を防止するために冷却装置を作動させたとき、運転音が低い状態で被加湿物を加湿することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の加湿装置は、種子等の被加湿物に加湿する際に、水分ムラ、しわ等の損傷を少なくして均一に水分を付与することができる。この結果、種子等の被加湿物の発芽率を高めることができ、発芽・苗立ちを安定させることができる。また、装置構成が簡単であり、種子等への加湿作業を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る加湿装置の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る加湿装置の断面図、図2は、図1のA−A線断面図である。
【0014】
図1,2において、加湿装置1は、断熱容器2内に水を注入し、この断熱容器2内の収容部3に収容された種子等の被加湿物Sに水分を付与する装置である。そして、加湿装置1で水分が付与された種子は、水分ムラ・しわ等が発生せず、種子損傷が無い状態で、均一な状態で水分が付与されるため、安定して発芽させることができる。
【0015】
断熱容器2は発泡アクリル、発泡スチロール等の断熱性を有する樹脂から構成され、上方が開口する直方体状の容器2aと、開口部を覆う蓋部2bとから構成されている。断熱容器2は一方の縦壁4aから所定の間隔を有して断熱性の中間壁5が底面から浮いた状態で、上部の蓋部2bから離れた状態で固定されている。すなわち、中間壁5は断熱容器2の底面から離間して宙吊り状態となっている。そして、中間壁5の上端面と蓋部2bとの間に循環器を構成する4つのファン6が固定されている。被加湿物を収容する収容部3は中間壁5と他方の縦壁4bとの間に形成される。
【0016】
加湿装置1の容器2aは、底面から所定の間隔を有して水平状態に保持された通気性を有する仕切り材10により上空間部7と下空間部8が形成されている。そして、縦壁4aと中間壁5との間は、上空間部7と下空間部8とを連通する通気路9を構成し、中間壁5と他方の縦壁4bとの間の上空間部7が前記収容部3として構成される。この構成により、循環器であるファン6は通気路9の入口部に配置される。なお、ファンは通気路の中間部や、出口部に近傍に配置してもよい。
【0017】
仕切り材10は、種子等の被加湿物の重量を支持する支持体10aと、支持体の上部に配置され種子等の被加湿物が載置される軟質のマット材10bとから構成され、支持体10aの上面に緩衝材として通気性を有するマット材10bが載置された構成となっている。本実施形態では、仕切り材の支持体10aとして金属板材に多数の貫通孔を形成したパンチングメタルが用いられ、マット材10bとして軟質の人工芝が用いられている。
【0018】
マット材として用いられる人工芝は通気性に優れると共に表面が凹凸状態であり、被加湿物として載置される大豆等の種子への衝撃を緩衝する機能を有している。また、表面の凹凸により、収容される種子が一列に整列されずランダムに載置されるため、ランダムな空気通路が構成されて通気が十分に行われ、大豆等の種子を均一に加湿できて好ましい。支持体10aとしては、前記のパンチングメタルの他に、通気性を有し、種子等の被加湿物が通過できないメッシュで形成された金網を用いてもよい。
【0019】
容器2aの底面は、その一部が平坦面で形成され、その残部は傾斜面となっている。そして、断熱容器2内に上部開口から注入された水11が底部に貯留される。注入される水量は最深面から傾斜面の最浅部に至る水量が好ましい。加湿装置1は、貯留された水11が気化して水蒸気が発生し、この水蒸気を断熱容器2内にファン6で循環させることで、収容された種子等の被加湿物に水分を付与することができる。
【0020】
加湿装置1は仕切り材10により形成された下空間部8に貯留された水11を効率良く気化させる加湿フィルタ12を備えている。加湿フィルタ12は通気性を有する繊維や不織布等で形成され、毛細管現象により水を吸い上げることができる。この加湿フィルタ12は中間壁5の下方の下空間部8に隙間の無い状態で配置されている。加湿フィルタ12は、その下端部が断熱容器2の下空間部8に貯留された水11に浸漬されており、水が毛細管現象により吸い上げられる構成となっている。そして、吸い上げられた水が含まれた加湿フィルタ12を空気が通過することにより水が気化され、空気に水分が付与されて加湿空気が得られる構成となっている。この構成により、この加湿空気が下空間部8から仕切り材10を通して上空間部7に流通され、通気路9を通過して循環する空気流が形成される構成となっている。
【0021】
加湿装置1は、加湿空気を下空間部8から上空間部7に連通させる通気路9に、この通気路を通過する加湿空気を冷却する冷却装置13が備えられている。冷却装置13はペルチェ素子を用いた本体部13aを備えており、吸熱部13bが通気路9に配置され、放熱部13cが断熱容器2の外側に配置されている。この冷却装置13はP−N接合を有するペルチェ素子に直流の電圧を印加することにより吸熱部13bで熱を奪い、放熱部13cから奪った熱を放散する構成となっており、通気路9を循環する加湿空気を冷却する機能を備えている。なお、冷却装置はペルチェ素子を用いた装置に限られるものでなく、空調装置等で用いられる冷媒を循環させる冷却装置を用いることもできる。また、必要に応じて、放熱部13cにファンを取付け、放熱効率を高めるように構成してもよい。
【0022】
前記の如く構成された本実施形態の加湿装置1の動作について以下に説明する。加湿装置1の断熱容器2の蓋部2bを開け、開口から容器内に水11を注入する。注入量は被加湿物に所定の湿度を付与できる水量とする。例えば、被加湿物の量に合わせて注入量を加減する。
【0023】
そのあと、断熱容器2内の収容部3である上空間部7に開口から被加湿物として大豆等の種子を入れる。すなわち、中間壁5の通気路9と反対側の仕切り材10上に大豆等の種子を収容する。断熱容器2は上方が開口している容器2aから構成されるため、大豆等の被加湿物を収容しやすい構成となっている。なお、断熱容器2への水の注入は、被加湿物を収容したあと、通気路9を通して収容された被加湿物に水をかけないように注入してもよい。
【0024】
仕切り材10は下方のパンチングメタル10a上の人工芝10b上に大豆等の種子が載置され、その重量が支持材であるパンチングメタル10aに支持される。収容された大豆等の種子は、緩衝材として機能する軟質の人工芝10b上に載置されるため、大豆等の種子への傷付きが防止される。そして、人工芝10bは表面が凹凸であり、大豆等の種子は一列に配列されずランダムに配置され、種子同士の間隙が均一でなく大きく取れ、通気性が良好となる。
【0025】
断熱容器2内に被加湿物として大豆等の種子を収容し、蓋部2bを閉じると断熱容器2内は密閉状態となる。容器2aの底面に貯留された水11は毛細管現象により加湿フィルタ12で吸い上げられる。この状態でファン6を運転すると、断熱容器2内の空気は図1で反時計方向に流動し、加湿フィルタ12を通過する。このとき、加湿フィルタ12で吸い上げられた水は気化して、通過する空気に水分が付与され、湿度が約90%で安定した加湿空気が形成される。この加湿空気は矢印Fのように、仕切り材10、通気路9、及び加湿フィルタ12を通して断熱容器2内を循環し、仕切り材10の支持体10aと、人工芝10bを通り、収容された種子間の空隙を通過し、種子に水分を付与する。
【0026】
種子は軟質のマット材である人工芝10bによりランダムな状態で載置、収容されているため、種子間の間隙を流通する加湿空気はランダムに流れ、種子を均一な状態で加湿することができる。このため、種子の表面に水分ムラ・しわ等が発生することが防止され、種子へのダメージを防止できる。また、種子への加湿作業は、前記のように、断熱容器2に水を注入し、断熱容器2の収容部3に被加湿物である種子Sを収容し、次いで、ファン6を作動させて加湿空気を循環させるのみで、極めて容易な作業となる。
【0027】
また、支持体10aとマット材10bとから構成される仕切り材10は水平方向に設置され、上下に空間部7,8が形成されるため仕切り材10の面積を大きくでき、上空間部7と下空間部8とを区切る仕切り材10を通して加湿空気が広い面積を通して通過できるため、被加湿物である大豆等の種子を短時間で均一に加湿することができる。
【0028】
外気温が高いときは、冷却装置13を作動させる。本体部13a内のペルチェ素子に電圧を印加すると、吸熱部13bが冷却され、通気路9内を循環する加湿空気から熱を奪う。そして、奪われた熱は放熱部13cから発散される。このペルチェ素子を用いた冷却装置13は構造が簡単で、冷却時にモータ等の運転音が発生せず、静音状態で冷却することができて好適である。
【0029】
循環させる加湿空気が高温状態となると、被加湿物が種子の場合、腐敗する恐れがあるが、冷却装置13を用いて循環させる加湿空気を冷却して低温状態とすることで種子が劣化せず、加湿後の発芽状態を安定させることができる。また、本実施形態の加湿装置1では、仕切り材10として上面に軟質のマット材10b、例えば人工芝を使用しているため、加湿により種子が膨脹しても、膨張圧を立体的に逃がすことができ、種子が平面的に過密充填されることがなくなる。これにより、種子の損傷をさらに防止できる。
【実施例】
【0030】
本実施形態の加湿装置1を用いて、30kgの大豆種子を加湿処理した。加湿装置1の寸法は、縦60cm程度、横70cm程度、高さ40cm程度で、断熱材として70mm厚の発泡アクリルを用いた。そして、容器2aを繊維強化樹脂(FRP)で補強した。加湿空気を循環させるファン6は4つ使用し、全体として消費電力が100V55Wで、風量は2.3m/minのものを使用した。断熱容器2に注入する水量は、30kgの大豆種子を5%加湿させるのに必要な1.8リットルとした。前記の条件でファン6を用いた空気循環によって加湿を行った。この実験では、基本的に加湿中は種子撹拌を行わなかった。
【0031】
前記の加湿装置1内の湿度は、ほぼ90%で安定した。そして、30kgの大豆種子を1日以内で5%加湿することができた。なお、水受けの水が無くなるタイミングで種子に加湿ムラが約3%認められたが、ファン6を用いて引き続き循環送風することで、24時間経過時での加湿ムラを1%以内にできた。通常、10%程度の湿度で保存されている大豆種子は、本装置による加湿により15%程度に加湿され、発芽に好ましい湿度に設定することができた。
【0032】
本実施形態の加湿装置1で用いている冷却装置13は、例えば、外気の温度が25℃のとき、冷却装置13を作動させることで加湿空気の温度を16℃程度に冷ますことができる。外気温が高いときや、ファンを連続使用することで断熱容器2の内部の温度が上昇したときには、この冷却装置を運転することで、循環する加湿空気の温度を下げることができ、これにより種子の高温による腐敗を防止することができる。
【0033】
つぎに、本発明の他の実施形態を図3に基づいて説明する。図3aは他の実施形態の要部断面図、図3bは更に他の実施形態の要部断面図である。
【0034】
図3aにおいて、加湿装置21は断熱容器22が仕切り材23により上下に分割され、上空間部24と下空間部25が形成されている。上空間部24は種子等の被加湿物Sの収容部を構成し、下空間部25は水Wが貯留される。断熱容器22は図示していないが上部が開口し、蓋部に覆われて密閉空間となるように構成されている。下空間部25には複数の加湿フィルタ26が、その下端部が水Wに浸漬された状態で配置されている。仕切り材23は前記の実施形態と同様に、パンチングメタルや、金網が用いられ、必要に応じて軟質のマット材が用いられる。
【0035】
この加湿装置21は、基本的構成は前記実施形態とほぼ同一構成であるが、上下の空間部を連通する通気路の構成が異なっている。本実施形態の特徴とする通気路27は、本体の断熱容器22から突出した状態で上空間部24と下空間部25とを連通するように構成されている。そして、通気路27の途中に加湿空気を循環させるファン28が配置されており、下空間部25の加湿空気を上空間部24に連通させ、通気路27を通して循環させる構成となっている。図示していないが、通気路27の途中に、加湿空気を冷却する冷却装置を備えるように構成してもよい。
【0036】
このように構成された加湿装置21では、加湿フィルタ26で吸い上げられた水が気化して加湿空気が形成され、ファン28で通気路27を通して循環する。この加湿装置21は、断熱容器22と別に通気路27が設けられているため、断熱容器の収容部に被加湿物を収容するとき、通気路内に種子等の被加湿物が誤って収容されることがなく、加湿作業はさらに簡便となる。すなわち、前記の実施形態の加湿装置1では、通気路9に落ち込んだ種子は貯留された水中に浸漬され、腐敗する恐れがあるが、この実施形態の加湿装置21では、このような恐れを回避することができる。
【0037】
また、図3bに示す加湿装置21Aは、前記の加湿装置21に対して、断熱容器22の他方の側面にも通気路27Aが備えてある。そして、この通気路の途中にはファン28Aが配置されている。この構成の加湿装置21Aでは、循環する加湿空気の流れは一方の通気路27を反時計方向に流れる矢印F1と、他方の通気路27Aを時計方向に流れる矢印F2とが形成される。この2つの加湿空気の流れにより、より短時間で被加湿物の加湿作業を達成することができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0039】
例えば、断熱容器を構成する樹脂として、発泡アクリル、発泡スチロールの例を示したが、これに限られるものでなく、発泡ウレタン等の他の樹脂を用いることができる。また、樹脂以外の断熱容器を用いることもできる。更に、加湿フィルタは下空間部に1つ配置した構成を示したが、2つ以上配置するようにしてもよい。また、前記の加湿装置1で、通気路9への種子等の落ち込みを防止するため、フィルムや網等を張ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の活用例として、この加湿装置を用いて種子等の発芽を促進させる加湿以外の用途に使用することができ、単に被加湿物の含水率を高めるための用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る加湿装置の一実施形態の断面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】(a)は本発明に係る加湿装置の他の実施形態の要部断面図、(b)は本発明に係る加湿装置の更に他の実施形態の要部断面図。
【符号の説明】
【0042】
1:加湿装置、2:断熱容器、3:収容部、5:中間壁、6:ファン(循環器)、7:上空間部、8:下空間部、9:通気路、10:仕切り材、10a:パンチングメタル(支持体)、10b:マット材(人工芝)、11:水、12:加湿フィルタ、13:冷却装置、S:大豆等の種子(被加湿物)、21,21A:加湿装置、22:断熱容器、23:仕切り材、24:上空間部、25:下空間部、26:加湿フィルタ、27,27A:通気路、28,28A:ファン(循環器)、W:水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱容器内に水を注入し、該断熱容器内に収容された種子等の被加湿物に水分を付与する加湿装置であって、
該加湿装置は、前記断熱容器の内部に通気性を有する仕切り材により上空間部及び下空間部が形成され、該上空間部に前記被加湿物が収容されると共に、前記下空間部に水が貯留されるものであり、
前記下空間部に貯留された水を気化させる加湿フィルタと、前記下空間部と上空間部とを連通する通気路と、循環器とを備え、
気化された水分を含む加湿空気を前記仕切り材、通気路、及び加湿フィルタを通して前記循環器で循環させることを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記仕切り材は、前記被加湿物の重量を支持する支持体と、該支持体の上部に配置され前記被加湿物が載置される軟質のマット材とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記加湿装置は、循環させる加湿空気を冷却する冷却装置をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記冷却装置は、ペルチェ素子を用いた冷却装置であることを特徴とする請求項3に記載の加湿装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−103411(P2009−103411A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278084(P2007−278084)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 第70回九州農業研究発表会 農業機械部会にて発表 主催者名:九州農業試験研究機関協議会 共催者名:農業機械学会 九州支部 開催日:平成19年8月20日〜22日・28〜29日 刊行物名:第70回九州農業研究発表会 専門部会発表要旨集 要旨集発行日:平成19年8月11日
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】