説明

加熱体及び、その加熱体を備える像加熱装置

【課題】 基板に形成した複数のスルーホールを経由して発熱抵抗体に給電を行う加熱体において、スルーホールの焼け及びそれに伴う導通不良を防止できるようにする。
【解決手段】 電気的に絶縁性を有する細長い基板12aの長手方向に沿って設けられた発熱抵抗体12cと電気的に接続する導電部12m,12nを有し、前記導電部と前記基板の厚み方向で前記基板を介して対向する電極12f,12hを有する。前記基板には前記導電部12m,12nと前記電極12f,12hとを電気的に接続する複数のスルーホール12i,12j,12k,12lが設けられ、前記複数のスルーホールは、それぞれ、前記電極に電気的に接続される給電接点16b,16fとの間の距離d1,d2,d3,d4がほぼ等しくなるように配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンターなどの画像形成装置に搭載される定着装置に用いられるセラミックヒーターとして用いれば好適な加熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した画像形成装置は、高速化、高機能化、及びカラー化が進められており、各種のプリンター・複写機等が上市されている。
【0003】
電子写真方式の複写機やプリンターには、記録材上に形成した未定着トナー像を記録材上に加熱定着する定着装置が搭載されている。定着装置における加熱方式の1つとして、フィルム加熱方式がある。
【0004】
フィルム加熱方式とは、筒状フィルムの内面にセラミックヒーターを配置し、筒状フィルムを挟んでセラミックヒーター対向位置に加圧ローラーを配置して加圧する事で定着フィルムと記録材を密着させ、セラミックヒーターの熱を記録材へ付与する方式である。筒状フィルム(定着フィルム)は耐熱樹脂や金属をベースにして構成されたものである。
【0005】
フィルム加熱方式の定着装置に用いられるセラミックヒーターには、セラミック製のヒーター基板上に電気抵抗体からなる発熱抵抗体、銀などからなる給電用の電極、発熱抵抗体保護用のガラスなどからなる絶縁層等から構成されることが多い。また、このセラミックヒーターへの給電手段としては、給電接点を有するコネクタをヒーター基板上の電極に対して圧接させ、電気的な導通経路を作ることで行われる場合が多い。
【0006】
セラミックヒーターにおいては、多くの場合、発熱抵抗体と電極はヒーター基板上の同一面に形成されるが、汎用のコネクタを使用することによるコストダウンや、基板幅の縮小等を目的に、ヒーター基板の反対面上にそれぞれを形成することがある。このような構成のセラミックヒーターにおいては、ヒーター基板にスルーホールを形成し、発熱抵抗体と電極間の導通経路を形成する構成が用いられる。
【0007】
特許文献1には、ヒーター基板の両面に発熱領域の異なる抵抗発熱体を形成し、スルーホールを用いて片側の面から給電できるようにしたセラミックヒーターが開示されている。フィルム加熱方式の定着装置を搭載するプリンターで小サイズの記録材を大サイズの記録材と同じプリント間隔で連続プリントすると、セラミックヒーターの記録材が通過しない領域(非通紙領域)が過度に昇温(非通紙部昇温)することが知られている。
【0008】
特許文献1のセラミックヒーターの構成は、非通紙部昇温と呼ばれる課題の対策として、長さの異なる発熱抵抗体をヒーター基板両面に設け、紙サイズに応じてそれぞれを使い分けるようにしている。また、2本の発熱抵抗体をヒーター基板の同一面に形成すると、各々の発熱抵抗体の幅の分と、2本の発熱抵抗体間の絶縁を確保するための距離の分、ヒーター基板の幅を広げる必要があるが、基板表裏面に振り分けていることで基板幅の拡大を防ぐことができる。
【0009】
ところで、上述したようなスルーホールを経由してヒーター基板両面の発熱抵抗体に給電を行うセラミックヒーターにおいては、一般的な集積回路装置と比べて、大電流を流す必要があるため、スルーホールが異常に発熱して焼け、導通不良を起こすことがある。
【0010】
特許文献2には、ヒーター基板両面の発熱抵抗体にスルーホールを経由して給電を行う際に、複数のスルーホールを用いることで、スルーホールの焼けによる導通不良を防ぐような構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−299014号公報
【特許文献2】特開平4−185455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、スルーホールを経由して発熱抵抗体に給電を行うセラミックヒーターにおいては、スルーホールの焼け及びそれに伴う導通不良を防ぐことが求められており、複数のスルーホールを経由して給電を行う場合においても、さらなる改善が求められている。
【0013】
本発明の目的は、基板に形成した複数のスルーホールを経由して発熱抵抗体に給電を行う加熱体において、スルーホールの焼け及びそれに伴う導通不良を防止できるようにした加熱体、及びその加熱体を備える像加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明に係る加熱体の代表的な構成は、電気的に絶縁性を有する細長い基板と、前記基板の一方の面で前記基板の長手方向に沿って設けられ通電により発熱する発熱抵抗体と、前記基板の一方の面で前記発熱抵抗体の一端部と電気的に接続する第1の導電体と、前記基板の一方の面で前記発熱抵抗体の他端部と電気的に接続する第2の導電体と、前記基板の前記一方の面とは反対側の他方の面で前記第1の導電体と前記基板を介して対向する第1の給電電極と、前記基板の前記他方の面で前記第2の導電体と前記基板を介して対向する第2の給電電極と、前記第1の導電体の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第1の複数のスルーホールであり前記第1の給電電極と前記第1の導電体とを電気的に接続する第1の複数のスルーホールと、前記第2の導電体の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第2の複数のスルーホールであり前記第2の給電電極と前記第2の導電体とを電気的に接続する第2の複数のスルーホールと、を有し、前記第1の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第1の給電電極に電気的に接続される給電接点との間の距離がほぼ等しくなるように配設され、前記第2の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第2の給電電極に電気的に接続される給電接点との間の距離がほぼ等しくなるように配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、スルーホールの焼け及びそれに伴う導通不良を防止できるようにした加熱体、及びその加熱体を備える像加熱装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】定着装置の横断面構成模式図
【図2】実施例1に係るヒーターの構成を表す図
【図3】実施例1に係るヒーターに給電コネクタを接続したときのスルーホールと給電接点の位置関係を表す図
【図4】実施例1に係るヒーターの評価試験時のターゲット温度を表す図
【図5】比較例のヒーターの電極上のスルーホール位置を表す図
【図6】実施例2に係るヒーターに給電コネクタを接続したときのスルーホールと給電接点の位置関係を表す図
【図7】比較例のヒーターの電極上のスルーホール位置を表す図
【図8】実施例3に係るヒーターに給電コネクタを接続したときのスルーホールと給電接点の位置関係を表す図
【図9】比較例のヒーターの電極上のスルーホール位置を表す図
【図10】実施例4に係るヒーターに給電コネクタを接続したときの発熱抵抗体とスルーホールと給電接点の位置関係を表す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施例1]
(1)定着装置(像加熱装置)
図1を参照して、定着装置の構成を説明する。この定着装置は、電子写真複写機や電子写真プリンターなどの画像形成装置に搭載され、画像形成装置の画像形成部で記録材上に形成された未定着トナー画像を挟持搬送しつつ記録材上に加熱定着するものである。
【0018】
図1は本発明に係る加熱体を備える像加熱装置としての定着装置の横断面構成模式図である。
【0019】
以下の説明において、定着装置及び定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向をいう。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向をいう。長さとは長手方向の寸法をいう。幅とは短手方向の寸法をいう。記録材に関し、幅方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向をいう。幅とは幅方向の寸法をいう。
【0020】
本実施例に示す定着装置1は、加熱体としてのセラミックヒーター(以下、ヒーターと記す)12と、可撓性部材としての筒状の定着フィルム11と、バックアップ部材としての加圧ローラー13と、ガイド部材としてのフィルムガイド14などを有している。ヒーター12と、定着フィルム11と、加圧ローラー13と、フィルムガイド14は、何れも長手方向に長い部材である。
【0021】
フィルムガイド14は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイト)やLCP(液晶ポリマー)等の耐熱性樹脂により横断面形状略樋型に形成されている。このフィルムガイド14は、フィルムガイド14の短手方向外側の弧状面で定着フィルム11の回転をガイドするようになっている。ヒーター12はフィルムガイド14の短手方向下面中央でフィルムガイド14の長手方向に沿って設けられた溝に支持されている。そしてヒーター12を支持させたフィルムガイド14の外周に定着フィルム11をルーズに外嵌させ、そのフィルムガイド14の長手方向両端部を定着装置の装置フレーム1の前後の側板(不図示)に支持させている。
【0022】
加圧ローラー13は、丸軸状の芯金13aと、芯金13aの長手方向両端部に設けられた軸部間の外周面上に設けられた弾性層13bと、弾性層13bの外周面上に設けられた離型層13cなどを有している。芯金13aの材料は鉄やアルミニウム等の金属材料である。弾性層13bの材料はシリコーンゴムである。離型層13cの材料はPFA等のフッ素樹脂である。
【0023】
この加圧ローラー13は、定着フィルム11を介してヒーター12と対向するように配設され、芯金13aの長手方向両端部の軸部を装置フレーム1の前後の側板に軸受(不図示)を介して回転可能に支持させている。そしてその軸受を加圧バネ(不図示)で定着フィルム11の母線方向と直交する方向に付勢して加圧ローラー13を定着フィルム11を介してヒーター12に加圧している。これにより加圧ローラー13の弾性層13bを芯金13a側に弾性変形させて加圧ローラー13の外周面(表面)と定着フィルム11の外周面(表面)とで所定幅の定着ニップ部(ニップ部)Nを形成している。
【0024】
定着フィルム11の厚みは、良好な熱伝導性を確保するために20μm以上1000μm以下程度が好ましい。定着フィルム11としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)・PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル)・PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の材質の筒状の単層フィルムを用いることが出来る。
【0025】
或いは、PI・PAI・PEEK・PES等の材質の筒状のベースフィルムの表面にPTFE・PFA・FEP等のコーティング膜や、チューブを離型層として設けた複合層フィルムを用いることが出来る。ここで、PIはポリイミド、PAIはポリアミドイミド、PEEKはポリエーテルエーテルケトン、PESはポリエーテルスルホン、PTFE・PFA・FEPはテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体である。
【0026】
本実施例では、定着フィルム11として、直径が24mm、長さが240mm、厚さが60μmのPI上に15μmのPFAコーティング膜を形成した、総厚が75μmのものを用いた。また、加圧ローラー13として、直径25mm、長さが260mm、加圧硬度50°(500g荷重時アスカーC型硬度計測定)のものを用いた。
【0027】
(2)ヒーター(加熱体)12
図2を参照して、ヒーター12の構成を説明する。図2の(A)はヒーター12を定着ニップ部N側から見たヒーター12の構成模式図、(B)はヒーター12を定着ニップ部N側とは反対側から見たヒーター12の構成模式図である。(C)はヒーター12のスルーホール12i(12j)とスルーホール12k(12l)を通る長手方向の縦断面構成模式図である。
【0028】
ヒーター12は、電気的に絶縁性を有する細長いヒーター基板(以下、基板と記す)12aを有している。
【0029】
基板12aの定着ニップ部N側の一方の面(以下、表面と記す)には、通電により発熱する第1の発熱抵抗体(以下、発熱抵抗体と記す)12bが基板12aの長手方向に沿って設けてある。そして基板の長手方向の一端部の内側に発熱抵抗体12bの長手方向の一端部と電気的に接続する第1の給電電極12fを設け、基板の長手方向の他端部の内側に発熱抵抗体12bの長手方向の他端部とは物理的に接しない第2の給電電極12hを設けている。更に基板12aの長手方向の他端部の内側に発熱抵抗体12bと電気的に接続する第3の給電電極12gを設けている。この第3の給電電極12gは第2の給電電極12hよりも基板12aの長手方向内側に配設してある。
【0030】
更に、基板12aの表面には、発熱抵抗体12bと、第1の給電電極12fと第2の給電電極12gにおける発熱抵抗体12bとの接続部分を覆う絶縁性の表面保護層12dが設けてある。
【0031】
基板12aの定着ニップ部N側の他方の面(以下、裏面と記す)には、通電により発熱する第2の発熱抵抗体(以下、発熱抵抗体と記す)12cが基板12aの長手方向に沿って設けてある。発熱抵抗体12cは発熱抵抗体12bよりも短くなるように形成されて基板12aの長手方向略中央に配設されている。そして基板の長手方向の一端部の内側に発熱抵抗体12cの長手方向の一端部と電気的に接続する第1の導電体12mを設け、基板の長手方向の他端部の内側に発熱抵抗体12cの長手方向の他端部と電気的に接続する第2の導電体12nを設けている。第1の導電体12mは基板12aの厚み方向で基板12aを介して第1の給電電極12mと対向するように配設してある。第2の導電体12nは基板12aの厚み方向で基板12aを介して第2の給電電極12hと対向するように配設してある。
【0032】
更に、基板12aの裏面には、発熱抵抗体12cと、第1の導電体12mと第2の導電体12nにおける発熱抵抗体12eとの接続部分を覆う絶縁性の表面保護層12eが設けてある。
【0033】
そして、第1の給電電極12fと第1の第1の導電体12mは、基板12aの厚み方向で基板12aを貫通する2つのスルーホール(第1の複数のスルーホール)12j,12iにより電気的に接続されている。第2の給電電極12hと第2の導電体12nは、基板12aの厚み方向で基板12aを貫通する2つのスルーホール(第2の複数のスルーホール)12k,12lにより電気的に接続している。従って、第1の給電電極12fは2つの発熱抵抗体12b,12cの共通電極として用いられ、第2の給電電極12hは発熱抵抗体12cに対して基板12aの表面から給電する給電電極として用いられる。
【0034】
第1の給電電極12fと、第2の給電電極12hと、第3の給電電極12gには、それぞれ、給電部材としての給電コネクタ16a,16e,16c(図3参照)が電気的に接続される。これにより給電コネクタ16a,16e,16cより第1の給電電極12fと、第2の給電電極12hと、第3の給電電極12gに通電されて発熱抵抗体12b,12cが発熱する。
【0035】
以下の説明では、説明の簡略化のため、第1の給電電極12fと、第2の給電電極12hと、第3の給電電極12gを、それぞれ、電極と記し、第1の導電体12mと、第2の導電体12nを、それぞれ、導電体と記す。
【0036】
基板12aの材質としては、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックスを用いることができる。本実施例では短手方向の幅7mm、長手方向の長さ280mm、厚さ1mmのアルミナ基板を使用した。
【0037】
発熱抵抗体12b,12cの材質としては、Ag/Pd、RuO、TaN、グラファイト、SiC、LaCrO等の電気抵抗材料をスクリーン印刷により、線状若しくは線帯状に塗工することで形成できる。ここで、Ag/Pdは銀パラジウム、RuOは酸化ルテニウム、TaNは窒化タンタル、SiCは炭化ケイ素、LaCrOはランタンクロマイトである。
【0038】
本実施例においては、発熱抵抗体12b,12cともにAg/Pd、ガラス粉末、有機結着剤を混練したものをスクリーン印刷により形成、焼成した。発熱抵抗体12cの長さsは115mm、抵抗値は30Ωに設定した。発熱抵抗体12bの長さwは230mm、抵抗値は15Ωに設定した。発熱抵抗体12cは記録材幅の小さい小サイズの記録材(記録紙)に対応した長さにした。発熱抵抗体12bはサイズの記録材よりも記録材幅の大きい大サイズの記録材(記録紙)に対応した長さにした。
【0039】
表面保護層12e,12fは、発熱抵抗体12b,12cとヒーター12表面との間の絶縁性を確保する目的で形成されており、本実施例では絶縁性のガラスをスクリーン印刷で80μm形成した。
【0040】
電極12f,12g,12h、及び導電体12m,12nの材質としては、銀(Ag)、白金(Pt)などを主体とする導電ペーストを用いてスクリーン印刷で形成することが出来る。或いは金(Au)や銀白金(Ag/Pt)合金、銀パラジウム(Ag/Pd)合金などを主体とする導電ペーストを用いてスクリーン印刷で形成することが出来る。本実施例においては、いずれの電極および導電体も銀をスクリーン印刷により形成した。また、電極12f,12g,12h、及び導電体12m,12nは、発熱抵抗体12b,12cに給電する目的で設けられているので、電気抵抗は発熱抵抗体12b,12cに対して十分小さくした。
【0041】
スルーホール12i,12j,12k,12lの形成方法としては、電極12f,,12hの領域内の2箇所(複数箇所)でレーザースクライブにより基板12aに貫通孔を空ける。そしてその貫通孔の内部に、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)などを主体とする導電ペーストを設けることで導電路を形成することができる。或いはその貫通孔の内部に、銀白金(Ag/Pt)合金、銀パラジウム(Ag/Pd)合金などを主体とする導電ペーストを設けることで導電路を形成することができる。本実施例では、レーザースクライブにより直径0.3mmの大きさで貫通孔を空け、内部に銀の導電ペーストを設けることで電極と導電体との間に導電路を形成した。
【0042】
(3)定着装置の加熱定着動作
図1に示されるように、本実施例の定着装置は、加圧ローラー13の芯金13aがモーター(不図示)の回転駆動により回転されることにより加圧ローラー13は矢印bにて示す方向に回転する。加圧ローラー13の回転は定着ニップ部Nで加圧ローラー13表面と定着フィルム11表面との摩擦力により定着フィルム11に伝わる。これにより定着フィルム11は定着フィルム11の内周面(内面)がヒーター12の表面保護層12e,12fと接触しながら加圧ローラー13の回転に追従して矢印aにて示す方向に回転(移動)する。
【0043】
大サイズの記録材に対して未定着トナー画像の加熱定着を行う場合、通電制御部(不図示)より給電コネクタ16a,16cを介してヒーター12の電極12f,12gに通電され発熱抵抗体12bが発熱する。これによりヒーター12は急速に昇温して定着フィルム11を加熱する。ヒーター12の温度は基板12aの裏面側の表面保護層12e上で所定の位置に設けられたサーミスタなどの温度検知素子(温度検知部材)15により検知される。通電制御部は、温度検知素子15からの出力信号に基づいてヒーター12を所定の定着温度(目標温度)に維持するようにヒーター12への通電量を制御する。
【0044】
モーターを回転駆動し、かつヒーター12を所定の定着温度に維持した状態で、未定着トナー画像tを担持する大サイズの記録材Pがトナー像担持面を上向きにして定着ニップ部Nに導入される。この記録材Pは定着ニップ部Nにおいて定着フィルム11表面と加圧ローラー13表面とで挟持されその状態に搬送(挟持搬送)される。この搬送過程において記録材P上のトナー画像tは定着フィルム11を介してヒーター12により加熱されて溶融し定着ニップ部Nで加圧されることにより記録材上に加熱定着される。トナー画像が加熱定着された記録材Pは定着フィルム11表面からトナー画像tが分離されて定着ニップ部Nより排出される。
【0045】
小サイズの記録材に対して未定着トナー画像の加熱定着を行う場合、通電制御部(不図示)より給電コネクタ16a,16eを介してヒーター12の電極12f,12hに通電され発熱抵抗体12cが発熱する。これによりヒーター12は急速に昇温して定着フィルム11を加熱する。ヒーター12の温度は温度検知素子15により検知される。通電制御部は、温度検知素子15からの出力信号に基づいてヒーター12を所定の定着温度に維持するようにヒーター12への通電量を制御する。
【0046】
モーターを回転駆動し、かつヒーター12を所定の定着温度に維持した状態で、未定着トナー画像tを担持する小サイズの記録材Pがトナー像担持面を上向きにして定着ニップ部Nに導入される。この記録材Pは定着ニップ部Nにおいて定着フィルム11表面と加圧ローラー13表面とで挟持されその状態に搬送(挟持搬送)される。この搬送過程において記録材P上のトナー画像tは定着フィルム11を介してヒーター12により加熱されて溶融し定着ニップ部Nで加圧されることにより記録材上に加熱定着される。トナー画像が加熱定着された記録材Pは定着フィルム11表面からトナー画像tが分離されて定着ニップ部Nより排出される。
【0047】
(4)ヒーターのスルーホールと給電コネクタの給電接点との位置関係
本実施例のヒーターのスルーホールは、給電接点を有する給電コネクタ(以下、コネクタと記す)を電極に接続した際に、給電接点と、スルーホールの周との間の最短距離が、同一電極内の2つのスルーホールにおいてほぼ等しくなるような位置に形成した。その狙いは、2つのスルーホールに流れる電流量を等分し均等化することで、スルーホールの劣化を抑制することである。
【0048】
本実施例におけるスルーホールと給電接点の位置関係を、図3を用いて説明する。図3はヒーター12にコネクタ16a,16c,16eを接続した際の、スルーホールと給電接点の位置関係を示した図である。(A)は記録材搬送方向下流側から見たときのスルーホール12i,12j,12k,12lと給電接点16b,16d,16fの位置関係を表す図である。(B)は定着ニップ部N側から見たときのスルーホール12i,12j,12k,12lと給電接点16b,16d,16fの位置関係を表す図である。
【0049】
(C)は電極12f側から見たときのスルーホール12i,12jと給電接点16bの位置関係を表す図である。(D)は定着ニップ部N側から見たときの電極12fにおけるスルーホール12i,12jと給電接点16bの位置関係を表す図である。(E)は定着ニップ部N側から見たときの電極12hにおけるスルーホール12k,12lと給電接点16fの位置関係を表す図である。
【0050】
コネクタ16a,16c,16eには、ヒーター12上の電極12f,12g,12hと圧接して電気的な導通を形成する、給電接点16b,16d,16fをそれぞれ形成してある。本実施例では、コネクタ16a,16c,16eをフィルムガイド14に支持されたヒーター12に対して図3(B)中の右方向即ち記録材搬送方向上流側から挿入し、不図示のフィルムガイド14で位置決め、抜け防止をするようにしている。これによりヒーター12上の電極12f,12g,12hに対する給電接点16b,16d,16fの位置を定めることができる構成にした。そのような構成にすることで、給電接点16b,16d,16fと各々のスルーホール12i,12j,12k,12lの距離関係を定めた。
【0051】
図3(D)に示すように、給電接点16bとスルーホール12iの周部分との最短距離をd1、給電接点16bとスルーホール12jの周部分との最短距離をd2と定義すると、d1とd2はほぼ等しくなるような構成とした。図3(E)に示すように、給電接点16fとスルーホール12kの周部分との最短距離をd3、給電接点16fとスルーホール12lの周部分との最短距離をd4と定義すると、d3とd4はほぼ等しくなるような構成とした。本実施例ではd1とd2はともに2mm、d3とd4もともに2mmに設定した。
【0052】
次に上記の構成を用いたことによる効果を確認するため、ヒーター12の通電の信頼性を試験した。試験方法は、ヒーター12を定着装置に組み込んだ状態で、温度検知素子15の検知結果をもとに図4に示すような温度のターゲットを1サイクルとして、繰り返し通電、非通電を繰り返す。そしてスルーホールの抵抗が大きくなり、導通が低下する際の試験サイクルの回数で信頼性を評価した。また、比較例として図5に示すような、スルーホール位置がd1>d2、d3>d4になるような電極構成のヒーターも同様に試験を行った。この比較例のヒーターにおいては、d1=2.3mm、d2=1.8mm、d3=2.3mm、d4=1.8mmに設定したものと、d1=2.5mm、d2=1.5mm、d3=2.5mm、d4=1.5mmに設定したものを比較した。それぞれの評価結果を表1に示した。
【0053】
【表1】

【0054】
表1に示したように、ヒーター12のd1=d2、d3=d4の構成により、d1=2.5mm、d2=1.5mm、d3=2.5mm、d4=1.5mmの構成に比べて、試験回数にして1.4倍延命ができている。つまり、本実施例のヒーター12のようにd1=d2、d3=d4の構成を採用することにより、スルーホールを用いたヒーターの通電の信頼性を高めることが出来た。また、d1=2.3mm、d2=1.8mm、d3=2.3mm、d4=1.8mmに設定したものでは、d1=d2、d3=d4の構成と200回の差に留まっていた。よって、2つのスルーホール間の、スルーホール、給電接点間の距離差は、0.5mm程度に留めることで十分な信頼性を得ることができ、好ましくは均等な距離に設定することが望ましい。
【0055】
この評価において、d1>d2、d3>d4の構成では、距離の近いスルーホールが先に劣化して抵抗が上昇した後すぐに、距離の遠いスルーホールも電流が集中して劣化する傾向が見られた。しかし、d1=d2、d3=d4の構成では、バランス良く電流が流れたために劣化に至る回数を伸ばすことが出来ており、狙いの効果が得られていることを確認できた。よって、本実施例のヒーター12は、スルーホールの焼け及びそれに伴う導通不良を防止することができる。
【0056】
本試験はヒーターの信頼性を加速的に評価するモードであり、本実施例のヒーターにおいても、導通が低下する傾向が見られた。しかし、本実施例のヒーターを画像形成装置の定着装置に用いた場合には、同一回数においてスルーホールの劣化に伴う抵抗の上昇は見られず、実使用上の問題は確認されなかった。
【0057】
本実施例のヒーター12において電極12f,12g,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の一端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。或いは電極12fと電極12h,12g,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の他端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
本実施例のヒーター12において発熱抵抗体12bと電極12gを設けていない場合であっても、同様の作用効果を得ることができる。この場合、電極12fは共通電極として用いられず、発熱抵抗体12cに対して基板12aの表面から給電する給電電極として用いられる。この場合のヒーター12の構成は、基板12aと、電極12f,12hと、発熱抵抗体12cと、導電体12m,12nと、スルーホール12i,12j,12k,12lと、を有し、d1=d2、d3=d4となる。これにより、スルーホールの焼け及びそれに伴う導通不良を防止することができる。
【0059】
また、本実施例のヒーター12において発熱抵抗体12bと電極12gを設けていない場合、発熱抵抗体12cを発熱抵抗体12bと同じ長さに設定しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0060】
また、本実施例のヒーター12において発熱抵抗体12bと電極12gを設けていない場合、電極12f,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の一端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。或いは電極12f,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の他端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
[実施例2]
ヒーターの他の例を説明する。本実施例のヒーターは、図6の(A)、(B)に示されるように、電極12fと導電体12mを基板12aの厚み方向で基板12aを貫通する3つのスルーホール(第1の複数のスルーホール)12j,12i,12oにより電気的に接続している。同様に、電極12hと導電体12nを基板12aの厚み方向で基板12aを貫通する3つのスルーホール(第2の複数のスルーホール)12k,12l,12pにより電気的に接続している。この点を除いて、実施例1のヒーター12と同じ構成としてある。
【0062】
本実施例のヒーターの構成、及びスルーホールと給電接点との位置関係を図6に示した。(A)は記録材搬送方向下流側から見たときのスルーホール12i,12j,12o,12k,12l,12pと給電接点16b,16d,16fの位置関係を表す図である。(B)は定着ニップ部N側から見たときのスルーホール12i,12j,12o,12k,12l,12pと給電接点16b,16d,16fの位置関係を表す図である。
【0063】
同図において、(C)は電極12f側から見たときのスルーホール12i,12j,12oと給電接点16bの位置関係を表す図である。(D)は定着ニップ部N側から見たときの電極12fにおけるスルーホール12i,12j,12oと給電接点16bの位置関係を表す図である。(E)は定着ニップ部N側から見たときの電極12hにおけるスルーホール12k,12l,12pと給電接点16fの位置関係を表す図である。
【0064】
本実施例においては、実施例1のヒーターに対して、スルーホール12o,12pを追加し、それぞれのスルーホールの周部分と、給電接点間の最短距離をd5、d6とした時の距離関係は、d1=d2=d5、d3=d4=d6となるような構成とした。それぞれの距離は、d1、d2、d5はいずれも1.8mm、d3、d4、d6はいずれも1.6mmに設定した。
【0065】
上記の構成を用いたことによる効果を確認するため、実施例1と同様な条件で、ヒーター12の通電の信頼性を試験した。また、比較例として図7に示すような、d1>d5>d2、d3>d6>d4になるようなヒーターも同様に試験を行った。この比較例のヒーターにおいては、d1=1.8mm、d2=2.0mm、d5=1.5mm、d3=1.6mm、d4=1.8mm、d6=1.3mmに設定したものを用いた。また、d1=1.8mm、d2=2.3mm、d5=1.3mm、d3=1.6mm、d4=2.1mm、d6=1.1mmに設定したものを用いた。そしてその比較例の2つのヒーターと比較した。それぞれの評価結果を表2に示した。
【0066】
【表2】

【0067】
表2に示したように、ヒーター12のd1=d2=d5、d3=d4=d6の構成により、d1=1.8mm、d2=2.3mm、d5=1.3mm、d3=1.6mm、d4=2.1mm、d6=1.1mmの構成に比べて、1.9倍の延命ができている。つまり、本実施例のヒーター12のようにd1=d2=d5、d3=d4=d6の構成を採用することにより、スルーホールを用いたヒーターの通電の信頼性を高めることが出来た。また、d1=1.8mm、d2=2.0mm、d5=1.5mm、d3=1.6mm、d4=1.8mm、d6=1.3mmに設定したものでは、d1=d2、d3=d4の構成と300回の差に留まっていた。よって、3つのスルーホールの構成においても、スルーホールと給電接点間の距離差は、最近接のものと、最遠隔のもの間で0.5mm程度に留めることで十分な信頼性を得ることができ、好ましくは均等な距離に設定することが望ましい。
【0068】
この評価において、d1>d5>d2、d3>d6>d4の構成では、距離の近いスルーホールが先に劣化して抵抗が上昇した後すぐに、距離の遠いスルーホールも電流が集中して劣化する傾向が見られた。しかし、d1=d2=d5、d3=d4=d6の構成ではバランス良く電流が流れたために劣化に至る回数を伸ばすことが出来ており、狙いの効果が得られていることを確認できた。よって、本実施例のヒーター12も、スルーホールの焼け及びそれに伴う導通不良を防止することができる。
【0069】
本試験はヒーターの信頼性を加速的に評価するモードであり、本実施例のヒーターにおいても、導通が低下する傾向が見られた。しかし、本実施例のヒーターを画像形成装置の定着装置として用いた場合には、同一回数においてスルーホールの劣化に伴う抵抗の上昇は見られず、実使用上の問題は確認されなかった。
【0070】
また、実施例1のヒーター12に比べて、本実施例のヒーター12では試験回数を3000回延命することができており、スルーホールの個数を増やすことで、信頼性を上げる効果を確認できた。即ち、実施例1ではスルーホール個数を2個とし、本実施例ではスルーホール個数を3個としたが、スルーホール個数をより増加させた構成においても、ヒーターの通電の信頼性を上げられることは容易に想像できる。
【0071】
本実施例のヒーター12において電極12f,12g,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の一端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。或いは電極12f,12g,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の他端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0072】
本実施例のヒーター12において発熱抵抗体12bと電極12gを設けていない場合であっても、同様の作用効果を得ることができる。この場合、電極12fは共通電極として用いられず、発熱抵抗体12cに対して基板12aの表面から給電する給電電極として用いられる。この場合のヒーター12の構成は、基板12aと、電極12f,12hと、発熱抵抗体12cと、導電体12m,12nと、スルーホール12i,12j,12k,12lと、を有し、d1=d2=d5、d3=d4=d6となる。これにより、スルーホールの焼け及びそれに伴う導通不良を防止することができる。
【0073】
また、本実施例のヒーター12において発熱抵抗体12bと電極12gを設けていない場合、発熱抵抗体12cを発熱抵抗体12bと同じ長さに設定しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
また、本実施例のヒーター12において発熱抵抗体12bと電極12gを設けていない場合、電極12f,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の一端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。或いは電極12f,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の他端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
[実施例3]
ヒーターの他の例を説明する。本実施例のヒーターは、電極12f,12hにそれぞれ2つの給電接点が存在する構成としてある。この点を除いて、実施例1のヒーター12と同じ構成としてある。
【0076】
本実施例のヒーターの構成及び、スルーホールと給電接点との位置関係を図8に示した。(A)は記録材搬送方向下流側から見たときのスルーホール12i,12j,12k,12lと給電接点16b,16g,16d,16f,16iの位置関係を表す図である。(B)は定着ニップ部N側から見たときのスルーホール12i,12j,12k,12lと給電接点16b,16g,16d,16f,16iの位置関係を表す図である。
【0077】
(C)は電極12f側から見たときのスルーホール12iと給電接点16b,16gの位置関係を表す図である。(D)は定着ニップ部N側から見たときの電極12fにおけるスルーホール12i,12jと給電接点16b,16gの位置関係を表す図である。(E)は定着ニップ部N側から見たときの電極12hにおけるスルーホール12k,12lと給電接点16f,16iの位置関係を表す図である。
【0078】
本実施例のヒーター12においては、実施例1のヒーター12の構成に対して、コネクタ16a,16b,16cにそれぞれ給電接点16g,16h,16iを追加した。これにより、電極12fには電極12fの領域内でコネクタ16aの2つの給電接点(複数の給電接点)16b,16gが電気的に接続される。一方、電極12hには電極12hの領域内でコネクタ16eの2つの給電接点(複数の給電接点)16f,16iが電気的に接続される。この構成は、1つの電極中に存在する給電接点数を増加させることで、給電接点毎の当接具合のバラツキ、給電性能のバラツキに対する導通性能の信頼性を向上させることを目的としている。
【0079】
また、2つの電極12f,12hにおいてスルーホールと給電接点の位置関係は、2つの給電接点の中心からスルーホールの周部分への最短距離がほぼ等しくなるように設定した。即ち、図8(D)に示すように、給電接点16bと16gの中心とスルーホール12iの周部分との最短距離をd1、給電接点16bと16gの中心とスルーホール12jの周部分との最短距離をd2と定義すると、d1とd2はほぼ等しくなるような構成とした。
【0080】
図8(E)に示すように、給電接点16fと16iの中心とスルーホール12kの周部分との最短距離をd3、給電接点16fと16iの中心とスルーホール12lの周部分との最短距離をd4と定義すると、d3とd4はほぼ等しくなるような構成とした。本実施例ではd1とd2はともに2mm、d3とd4もともに2mmに設定した。
【0081】
上記の構成を用いたことによる効果を確認するため、実施例1と同様な条件で、ヒーター12の通電の信頼性を試験した。また、比較例として図9に示すような、スルーホール位置がd1>d2、d3>d4になるような電極構成のヒーターも同様に試験を行った。この比較例のヒーターにおいては、d1=2.3mm、d2=1.8mm、d3=2.3mm、d4=1.8mmに設定したものと、d1=2.5mm、d2=1.5mm、d3=2.5mm、d4=1.5mmに設定したものを比較した。それぞれの評価結果を表3に示した。
【0082】
【表3】

【0083】
表3に示したように、ヒーター12のd1=d2、d3=d4の構成により、d1=2.5mm、d2=1.5mm、d3=2.5mm、d4=1.5mmの構成に比べて、試験回数にして1.3倍延命ができている。つまり、本実施例のヒーター12のようにd1=d2、d3=d4の構成を採用することにより、スルーホールを用いたヒーターの通電の信頼性を高めることが出来た。また、電極12f,12hのそれぞれにおいて給電接点が2つ存在する本実施例のヒーター12の構成においても、2つのスルーホール間の、スルーホール、給電接点間の距離差は、0.5mm程度に留めることで十分な信頼性を得ることができる。2つのスルーホール間の、スルーホール、給電接点間は、好ましくは均等な距離に設定することが望ましい。よって、本実施例のヒーター12においても、スルーホールの焼け及びそれに伴う導通不良を防止することができる。
【0084】
本試験はヒーターの信頼性を加速的に評価するモードであり、本実施例のヒーターにおいても、導通が低下する傾向が見られた。しかし、本実施例のヒーターを画像形成装置の定着装置に用いた場合には、同一回数においてスルーホールの劣化に伴う抵抗の上昇は見られず、実使用上の問題は確認されなかった。
【0085】
また、本実施例のヒーターで実施例1のヒーター12よりも給電接点数を増やしたことにより、実施例1のヒーター12に比べて試験回数を1000回延命することが出来おり、給電接点の個数を増やすことで、ヒーターの通電の信頼性を上げる効果を確認できた。即ち、実施例1では給電接点数を1個とし、本実施例では給電接点数を2個としたが、給電接点数をより増加させた構成においても、ヒーターに対する通電の信頼性を上げられることは容易に想像できる。
【0086】
本実施例のヒーター12において電極12f,12g,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の一端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。或いは電極12f,12g,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の他端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0087】
本実施例のヒーター12において発熱抵抗体12bと電極12gを設けていない場合であっても、同様の作用効果を得ることができる。この場合、電極12fは共通電極として用いられず、発熱抵抗体12cに対して基板12aの表面から給電する給電電極として用いられる。この場合のヒーター12の構成は、基板12aと、電極12f,12hと、発熱抵抗体12cと、導電体12m,12nと、スルーホール12i,12j,12k,12lと、を有し、d1=d2、d3=d4となる。これにより、スルーホールの焼け及びそれに伴う導通不良を防止することができる。
【0088】
また、本実施例のヒーター12において発熱抵抗体12bと電極12gを設けていない場合、発熱抵抗体12cを発熱抵抗体12bと同じ長さに設定しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0089】
また、本実施例のヒーター12において発熱抵抗体12bと電極12gを設けていない場合、電極12f,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の一端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。或いは電極12f,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の他端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0090】
[実施例4]
ヒーターの他の例を説明する。本実施例のヒーターは、給電接点とスルーホールとの間の距離だけでなく、発熱抵抗体の長手方向の一端部とスルーホールとの間の距離、及び同じ発熱抵抗体の長手方向の他端部とスルーホールとの間の距離もほぼ等しくなるように構成したものである。上記構成を除いて、実施例1のヒーター12と同じ構成としてある。
【0091】
本実施例のヒーターの構成、及びスルーホールと給電接点との位置関係、発熱抵抗体の長手方向の端部とスルーホールとの位置関係を図10に示した。(A)は記録材搬送方向下流側から見たときのスルーホール12i,12j,12k,12lと給電接点16b,16g,16d,16f,16iの位置関係を表す図である。(B)は定着ニップ部N側から見たときのスルーホール12i,12j,12k,12lと給電接点16b,16g,16d,16f,16iの位置関係を表す図である。
【0092】
(C)は電極12f側から見たときのスルーホール12i,12jと給電接点16bの位置関係を表す図である。(D)は定着ニップ部N側から見たときの電極12fにおけるスルーホール12i,12jと給電接点16b,16gの位置関係を表す図である。(E)は定着ニップ部N側から見たときの電極12hにおけるスルーホール12k,12lと給電接点16f,16iの位置関係を表す図である。(F)は定着ニップ部N側とは反対側から見たときの発熱抵抗体12cの長手方向の端部とスルーホール12k,12lの位置関係を表す図である。
【0093】
本実施例のヒーター12においては、実施例3のヒーターと同様、2つの電極12f,12hにおいてスルーホールと給電接点の位置関係は、2つの給電接点の中心からスルーホールの周部分への最短距離がほぼ等しくなるように設定した。
【0094】
また、2つの電極12f,12hにおいてスルーホールと給電接点の位置関係は、2つの給電接点の中心からスルーホールの周部分への最短距離がほぼ等しくなるように設定した。即ち、図10(D)に示すように、給電接点16bと16gの中心とスルーホール12iの周部分との最短距離をd1、給電接点16bと16gの中心とスルーホール12jの周部分との最短距離をd2と定義すると、d1とd2はほぼ等しくなるような構成とした。
【0095】
図10(E)に示すように、給電接点16fと16iの中心とスルーホール12kの周部分との最短距離をd3、給電接点16fと16iの中心とスルーホール12lの周部分との最短距離をd4と定義すると、d3とd4はほぼ等しくなるような構成とした。本実施例ではd1とd2はともに2mm、d3とd4もともに2mmに設定した。
【0096】
図10(F)に示すように、発熱抵抗体12cの長手方向の一端部とスルーホール12i間の最短距離をd7、発熱抵抗体12cの長手方向の一端部とスルーホール12j間の最短距離をd8と定義すると、d7とd8は共に120mmになるような構成とした。また、発熱抵抗体12cの長手方向の他端部とスルーホール12k間の最短距離をd9、発熱抵抗体12cの長手方向の他端部とスルーホール12l間の最短距離をd10と定義すると、d9とd10は共に130mmになるような構成とした。
【0097】
上記の構成を用いたことによる効果を実施例1と同様な条件で試験したところ、試験回数は8000回になり、実施例3の構成よりも2000回延命することが出来た。
【0098】
本実施例のヒーター12は、給電接点とスルーホールとの間の距離d1=d2、d3=d4になるように構成されている。更に発熱抵抗体12cの長手方向の一端部とスルーホールとの間の距離d7=d8、及び発熱抵抗体12cの長手方向の他端部とスルーホールとの間の距離d9=d10になるように構成されている。このため、電極12fにおいて各スルーホール12i,12jを経由したときの発熱抵抗体12cまでの給電経路の総距離がほぼ等しくなる。また電極12hにおいて各スルーホール12k,12lを経由したときの発熱抵抗体12cまでの給電経路の総距離がほぼ等しくなる。これにより、スルーホール12i,12j,12k,12lの劣化を抑制することが出来、ヒーター12の通電の信頼性を高めることが出来る。よって、本実施例のヒーター12においても、スルーホールの焼け及びそれに伴う導通不良を防止することができる。
【0099】
本試験はヒーターの信頼性を加速的に評価するモードであり、本実施例のヒーターにおいても、導通が低下する傾向が見られた。しかし、本実施例のヒーターを画像形成装置の定着装置に用いた場合には、同一回数においてスルーホールの劣化に伴う抵抗の上昇は見られず、実使用上の問題は確認されなかった。
【0100】
実施例1ではスルーホール個数を2個としたヒーター12を説明したが、スルーホール個数をより増加させた構成においても、ヒーターの通電の信頼性を上げられることは容易に想像できる。
【0101】
本実施例のヒーター12において電極12f,12g,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の一端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。或いは電極12f,12g,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の他端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0102】
本実施例のヒーター12において発熱抵抗体12bと電極12gを設けていない場合であっても、同様の作用効果を得ることができる。この場合、電極12fは共通電極として用いられず、発熱抵抗体12cに対して基板12aの表面から給電する給電電極として用いられる。この場合のヒーター12の構成は、基板12aと、電極12f,12hと、発熱抵抗体12cと、導電体12m,12nと、スルーホール12i,12j,12k,12lと、を有し、d1=d2、d3=d4、d7=d8、d9=d10となる。これにより、スルーホールの焼け及びそれに伴う導通不良を防止することができる。
良を防止することができる。
【0103】
また、本実施例のヒーター12において発熱抵抗体12bと電極12gを設けていない場合、発熱抵抗体12cを発熱抵抗体12bと同じ長さに設定しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0104】
また、本実施例のヒーター12において発熱抵抗体12bと電極12gを設けていない場合、電極12f,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の一端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。或いは電極12f,12h、及び導電体12m,12nを、基板12aの長手方向の他端部の内側に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0105】
[他の実施例]
実施例1乃至実施例4の定着装置は記録材Pが担持する未定着トナー画像tを記録材に加熱定着する装置としての使用に限られない。例えば未定着トナー画像を加熱して記録材に仮定着する像加熱装置、或いは記録材上に加熱定着されたトナー画像を加熱してトナー画像表面に光沢を付与する像加熱装置としても使用できる。
【符号の説明】
【0106】
1‥‥定着装置、11‥‥定着フィルム、12‥‥ヒーター、12a‥‥ヒーター基板、12b,12c‥‥発熱抵抗体、12f,12g,12h‥‥電極、12i,12j,12k,12l,12o,12p‥‥スルーホール、12m,12n‥‥導電体、13‥‥加圧ローラー、16a、16c、16e‥‥給電コネクタ、16b,16d,16f,16g,16h,16i‥‥給電接点、N‥‥定着ニップ部、P‥‥記録材、t‥‥未定着トナー画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に絶縁性を有する細長い基板と、
前記基板の一方の面で前記基板の長手方向に沿って設けられ通電により発熱する発熱抵抗体と、
前記基板の一方の面で前記発熱抵抗体の一端部と電気的に接続する第1の導電体と、
前記基板の一方の面で前記発熱抵抗体の他端部と電気的に接続する第2の導電体と、
前記基板の前記一方の面とは反対側の他方の面で前記第1の導電体と前記基板を介して対向する第1の給電電極と、
前記基板の前記他方の面で前記第2の導電体と前記基板を介して対向する第2の給電電極と、
前記第1の導電体の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第1の複数のスルーホールであり前記第1の給電電極と前記第1の導電体とを電気的に接続する第1の複数のスルーホールと、
前記第2の導電体の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第2の複数のスルーホールであり前記第2の給電電極と前記第2の導電体とを電気的に接続する第2の複数のスルーホールと、
を有し、
前記第1の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第1の給電電極に電気的に接続される給電接点との間の距離がほぼ等しくなるように配設され、
前記第2の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第2の給電電極に電気的に接続される給電接点との間の距離がほぼ等しくなるように配設されることを特徴とする加熱体。
【請求項2】
電気的に絶縁性を有する細長い基板と、
前記基板の一方の面で前記基板の長手方向に沿って設けられ通電により発熱する第1の発熱抵抗体と、
前記基板の一方の面で前記第1の発熱抵抗体の一端部と電気的に接続する第1の給電電極と、
前記基板の一方の面で前記第1の発熱抵抗体とは物理的に接していない第2の給電電極と、
前記基板の一方の面で前記第1の発熱抵抗体の他端部と電気的に接続する第3の給電電極と、
前記基板の前記一方の面とは反対側の他方の面で前記基板の長手方向に沿って設けられ通電により発熱する第2の発熱抵抗体と、
前記基板の前記他方の面で前記第1の給電電極と前記基板を介して対向し、かつ前記第2の発熱抵抗体の一端部と電気的に接続する第1の導電体と、
前記基板の前記他方の面で前記第2の給電電極と前記基板を介して対向し、かつ前記第2の発熱抵抗体の他端部と電気的に接続する第2の導電体と、
前記第1の給電電極の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第1の複数のスルーホールであり前記第1の給電電極と前記第1の導電体とを電気的に接続する第1の複数のスルーホールと、
前記第2の給電電極の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第2の複数のスルーホールであり前記第2の給電電極と前記第2の導電体とを電気的に接続する第2の複数のスルーホールと、
を有し、
前記第1の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第1の給電電極に電気的に接続される給電接点との間の距離がほぼ等しくなるように配設され、
前記第2の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第2の給電電極に電気的に接続される給電接点との間の距離がほぼ等しくなるように配設されることを特徴とする加熱体。
【請求項3】
電気的に絶縁性を有する細長い基板と、
前記基板の一方の面で前記基板の長手方向に沿って設けられ通電により発熱する発熱抵抗体と、
前記基板の一方の面で前記発熱抵抗体の一端部と電気的に接続する第1の導電体と、
前記基板の一方の面で前記発熱抵抗体の他端部と電気的に接続する第2の導電体と、
前記基板の前記一方の面とは反対側の他方の面で前記第1の導電体と前記基板を介して対向する第1の給電電極と、
前記基板の前記他方の面で前記第2の導電体と前記基板を介して対向する第2の給電電極と、
前記第1の導電体の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第1の複数のスルーホールであり前記第1の給電電極と前記第1の導電体とを電気的に接続する第1の複数のスルーホールと、
前記第2の導電体の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第2の複数のスルーホールであり前記第2の給電電極と前記第2の導電体とを電気的に接続する第2の複数のスルーホールと、
を有し、
前記第1の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第1の給電電極に電気的に接続される複数の給電接点間の中心との間の距離がほぼ等しくなるように配設され、
前記第2の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第2の給電電極に電気的に接続される複数の給電接点間の中心との間の距離がほぼ等しくなるように配設されることを特徴とする加熱体。
【請求項4】
電気的に絶縁性を有する細長い基板と、
前記基板の一方の面で前記基板の長手方向に沿って設けられ通電により発熱する第1の発熱抵抗体と、
前記基板の一方の面で前記第1の発熱抵抗体の一端部と電気的に接続する第1の給電電極と、
前記基板の一方の面で前記第1の発熱抵抗体とは物理的に接していない第2の給電電極と、
前記基板の一方の面で前記第1の発熱抵抗体の他端部と電気的に接続する第3の給電電極と、
前記基板の前記一方の面とは反対側の他方の面で前記基板の長手方向に沿って設けられ通電により発熱する第2の発熱抵抗体と、
前記基板の前記他方の面で前記第1の給電電極と前記基板を介して対向し、かつ前記第2の発熱抵抗体の一端部と電気的に接続する第1の導電体と、
前記基板の前記他方の面で前記第2の給電電極と前記基板を介して対向し、かつ前記第2の発熱抵抗体の他端部と電気的に接続する第2の導電体と、
前記第1の給電電極の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第1の複数のスルーホールであり前記第1の給電電極と前記第1の導電体とを電気的に接続する第1の複数のスルーホールと、
前記第2の給電電極の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第2の複数のスルーホールであり前記第2の給電電極と前記第2の導電体とを電気的に接続する第2の複数のスルーホールと、
を有し、
前記第1の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第1の給電電極に電気的に接続される複数の給電接点間の中心との間の距離がほぼ等しくなるように配設され、
前記第2の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第2の給電電極に電気的に接続される複数の給電接点間の中心との間の距離がほぼ等しくなるように配設されることを特徴とする加熱体。
【請求項5】
電気的に絶縁性を有する細長い基板と、
前記基板の一方の面で前記基板の長手方向に沿って設けられ通電により発熱する発熱抵抗体と、
前記基板の一方の面で前記発熱抵抗体の一端部と電気的に接続する第1の導電体と、
前記基板の一方の面で前記発熱抵抗体の他端部と電気的に接続する第2の導電体と、
前記基板の前記一方の面とは反対側の他方の面で前記第1の導電体と前記基板を介して対向する第1の給電電極と、
前記基板の前記他方の面で前記第2の導電体と前記基板を介して対向する第2の給電電極と、
前記第1の導電体の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第1の複数のスルーホールであり前記第1の給電電極と前記第1の導電体とを電気的に接続する第1の複数のスルーホールと、
前記第2の導電体の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第2の複数のスルーホールであり前記第2の給電電極と前記第2の導電体とを電気的に接続する第2の複数のスルーホールと、
を有し、
前記第1の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第1の給電電極に電気的に接続される給電接点との間の距離がほぼ等しく、かつ前記基板における前記発熱抵抗体の一端部と同じ側の端部との間の距離がほぼ等しくなるように配設され、
前記第2の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第2の給電電極に電気的に接続される給電接点との間の距離がほぼ等しく、かつ前記基板における前記発熱抵抗体の他端部と同じ側の端部との間の距離がほぼ等しくなるように配設されることを特徴とする加熱体。
【請求項6】
電気的に絶縁性を有する細長い基板と、
前記基板の一方の面で前記基板の長手方向に沿って設けられ通電により発熱する第1の発熱抵抗体と、
前記基板の一方の面で前記第1の発熱抵抗体の一端部と電気的に接続する第1の給電電極と、
前記基板の一方の面で前記第1の発熱抵抗体とは物理的に接していない第2の給電電極と、
前記基板の一方の面で前記第1の発熱抵抗体の他端部と電気的に接続する第3の給電電極と、
前記基板の前記一方の面とは反対側の他方の面で前記基板の長手方向に沿って設けられ通電により発熱する第2の発熱抵抗体と、
前記基板の前記他方の面で前記第1の給電電極と前記基板を介して対向し、かつ前記第2の発熱抵抗体の一端部と電気的に接続する第1の導電体と、
前記基板の前記他方の面で前記第2の給電電極と前記基板を介して対向し、かつ前記第2の発熱抵抗体の他端部と電気的に接続する第2の導電体と、
前記第1の給電電極の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第1の複数のスルーホールであり前記第1の給電電極と前記第1の導電体とを電気的に接続する第1の複数のスルーホールと、
前記第2の給電電極の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第2の複数のスルーホールであり前記第2の給電電極と前記第2の導電体とを電気的に接続する第2の複数のスルーホールと、
を有し、
前記第1の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第1の給電電極に電気的に接続される給電接点との間の距離がほぼ等しく、かつ前記基板における前記第2の発熱抵抗体の一端部と同じ側の端部との間の距離がほぼ等しくなるように配設され、
前記第2の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第2の給電電極に電気的に接続される給電接点との間の距離がほぼ等しく、かつ前記基板における前記第2の発熱抵抗体の他端部と同じ側の端部との間の距離がほぼ等しくなるように配設されることを特徴とする加熱体。
【請求項7】
電気的に絶縁性を有する細長い基板と、
前記基板の一方の面で前記基板の長手方向に沿って設けられ通電により発熱する発熱抵抗体と、
前記基板の一方の面で前記発熱抵抗体の一端部と電気的に接続する第1の導電体と、
前記基板の一方の面で前記発熱抵抗体の他端部と電気的に接続する第2の導電体と、
前記基板の前記一方の面とは反対側の他方の面で前記第1の導電体と前記基板を介して対向する第1の給電電極と、
前記基板の前記他方の面で前記第2の導電体と前記基板を介して対向する第2の給電電極と、
前記第1の導電体の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第1の複数のスルーホールであり前記第1の給電電極と前記第1の導電体とを電気的に接続する第1の複数のスルーホールと、
前記第2の導電体の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第2の複数のスルーホールであり前記第2の給電電極と前記第2の導電体とを電気的に接続する第2の複数のスルーホールと、
を有し、
前記第1の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第1の給電電極に電気的に接続される複数の給電接点間の中心との間の距離がほぼ等しく、かつ前記基板における前記発熱抵抗体の一端部と同じ側の端部との間の距離がほぼ等しくなるように配設され、
前記第2の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第2の給電電極に電気的に接続される複数の給電接点との間の距離がほぼ等しく、かつ前記基板における前記発熱抵抗体の他端部と同じ側の端部との間の距離がほぼ等しくなるように配設されることを特徴とする加熱体。
【請求項8】
電気的に絶縁性を有する細長い基板と、
前記基板の一方の面で前記基板の長手方向に沿って設けられ通電により発熱する第1の発熱抵抗体と、
前記基板の一方の面で前記第1の発熱抵抗体の一端部と電気的に接続する第1の給電電極と、
前記基板の一方の面で前記第1の発熱抵抗体とは物理的に接していない第2の給電電極と、
前記基板の一方の面で前記第1の発熱抵抗体の他端部と電気的に接続する第3の給電電極と、
前記基板の前記一方の面とは反対側の他方の面で前記基板の長手方向に沿って設けられ通電により発熱する第2の発熱抵抗体と、
前記基板の前記他方の面で前記第1の給電電極と前記基板を介して対向し、かつ前記第2の発熱抵抗体の一端部と電気的に接続する第1の導電体と、
前記基板の前記他方の面で前記第2の給電電極と前記基板を介して対向し、かつ前記第2の発熱抵抗体の他端部と電気的に接続する第2の導電体と、
前記第1の給電電極の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第1の複数のスルーホールであり前記第1の給電電極と前記第1の導電体とを電気的に接続する第1の複数のスルーホールと、
前記第2の給電電極の領域内の複数箇所で前記基板を貫通する第2の複数のスルーホールであり前記第2の給電電極と前記第2の導電体とを電気的に接続する第2の複数のスルーホールと、
を有し、
前記第1の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第1の給電電極に電気的に接続される複数の給電接点間の中心との間の距離がほぼ等しく、かつ前記基板における前記第2の発熱抵抗体の一端部と同じ側の端部との間の距離がほぼ等しくなるように配設され、
前記第2の複数のスルーホールは、それぞれ、前記第2の給電電極に電気的に接続される複数の給電接点間の中心との間の距離がほぼ等しく、かつ前記基板における前記第2の発熱抵抗体の他端部と同じ側の端部との間の距離がほぼ等しくなるように配設されることを特徴とする加熱体。
【請求項9】
加熱体と、前記加熱体と接触しつつ移動する可撓性部材と、前記可撓性部材を介して前記加熱体とニップ部を形成するバックアップ部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
前記加熱体として請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の加熱体を備えることを特徴とする像加熱装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−97186(P2013−97186A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240227(P2011−240227)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】