説明

加熱調理器

【課題】 調理者が加熱手段の付近に存在しないときに、調理が最後まで遂行されるようにしながらも、加熱手段の加熱作動が早く停止されるようになる加熱調理器を提供する。
【解決手段】 加熱手段Kと、その加熱手段Kの加熱状態を制御する制御手段Hとが設けられ、制御手段Hが、加熱手段Kの加熱作動を開始してからその加熱作動が継続される加熱継続時間を計測する加熱継続時間計測処理、及び、加熱継続時間が消火タイマ時間に達すると、加熱手段Kの加熱作動を停止させる消火タイマ処理を実行するように構成されている加熱調理器Cであって、加熱手段Kの付近における人体の存否を検出する人体検出手段Sが設けられ、制御手段Hが、人体検出手段Sの検出情報に基づいて人体の不在を判定すると、消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理を実行するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱手段と、その加熱手段の加熱状態を制御する制御手段とが設けられ、制御手段が、加熱手段の加熱作動を開始してからその加熱作動が継続される加熱継続時間を計測する加熱継続時間計測処理、及び、加熱継続時間が消火タイマ時間に達すると、加熱手段の加熱作動を停止させる消火タイマ処理を実行するように構成されている加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のガス調理器などの加熱調理器には、調理者による加熱停止の実行し忘れによって事故が発生することを防止する目的で、加熱開始時からの加熱継続時間が消火タイマ時間に達すると、ガスバーナなどの加熱手段の加熱作動を自動的に停止させるような消火タイマ処理が実行されるようになっているものがある。その結果、調理者が加熱調理器の付近から離れて長時間戻ってこなかったとしても、加熱開始時からの加熱継続時間が消火タイマ時間に達すると加熱手段の加熱作動が自動的に停止されるため、調理者の不在時における鍋の空焚きなどによる事故を未然に防止することのできる加熱調理器が提供されることになる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、加熱手段の付近における人体の存否を検出する人体検出手段が設けられ、その人体検出手段の検出情報が人体の不在であることが設定時間継続すると、加熱手段の加熱作動を自動的に停止させるように構成されている加熱調理器もある。その結果、調理者が加熱手段の付近から離れてから設定時間経過するとすぐに加熱手段の加熱作動が停止されるので、調理者の不在時における鍋の空焚きなどによる事故を未然に防ぐことが可能となる(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第2834119号公報
【特許文献2】特開平6−2840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような消火タイマ処理が実行される従来の加熱調理器では、調理者が加熱調理器の付近から離れて、加熱調理器を監視する者がいなくなったとしても、加熱開始時からの加熱継続時間が消火タイマ時間に達しない間は加熱手段の加熱作動が停止されないため、その間に加熱手段が加熱作動していることを原因とする鍋の空焚きなどの事故が発生する可能性があり、更に、事故が発生したときにそれに対処する者が不在であるという点で危険である。
【0006】
また、上述のような人体検出手段の検出情報が人体の不在であることが設定時間継続すると、加熱手段の加熱作動を自動的に停止させるような加熱調理器では、調理の途中で調理者が加熱調理器の付近から離れた後ですぐに戻ってきたとしても、人体検出手段の検出情報に基づいて既に加熱手段の加熱作動が自動的に停止されてしまった後であるというように、調理が途中で中断されてしまうという不都合がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、調理者が加熱手段の付近に存在しないときに、調理がなるべく最後まで遂行されるようにしながらも、加熱手段の加熱作動が早く停止されるようになる加熱調理器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る加熱調理器の第1特徴構成は、加熱手段と、その加熱手段の加熱状態を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記加熱手段の加熱作動を開始してからその加熱作動が継続される加熱継続時間を計測する加熱継続時間計測処理、及び、前記加熱継続時間が消火タイマ時間に達すると、前記加熱手段の加熱作動を停止させる消火タイマ処理を実行するように構成されている加熱調理器であって、前記加熱手段の付近における人体の存否を検出する人体検出手段が設けられ、前記制御手段が、前記人体検出手段の検出情報に基づいて人体の不在を判定すると、前記消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理を実行するように構成されている点にある。
【0009】
上記第1特徴構成によれば、制御手段が、上記人体検出手段の検出情報に基づいて人体の不在を判定すると、上記消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理を実行して、上記消火タイマ処理において、調理者が加熱手段の付近に居る場合に比べて短い消火タイマ時間で上記消火タイマ処理が実行されるようになる。
つまり、調理者が加熱手段の付近から居なくなったことによって、加熱手段の作動停止のし忘れの可能性が高まったことに対処して上記消火タイマ時間が短縮されるので、実際に調理者が加熱手段の作動停止をし忘れたとしても、短縮された消火タイマ時間による上記消火タイマ処理によって加熱手段の作動停止が通常よりも早い時点で実行されて、調理者による加熱手段の作動停止のし忘れによる鍋の空焚きなどの事故を未然に防止することが可能となる。また、調理者が加熱手段の付近から居なくなったとしても、上記加熱継続時間が上記消火タイマ時間に達しない限りはその加熱手段の加熱作動が継続されるので、加熱継続時間が消火タイマ時間に達するまでは調理を継続することができる。
従って、調理者が加熱手段の付近に存在しないときに、調理者が加熱手段の付近に存在しないときに、調理がなるべく最後まで遂行されるようにしながらも、加熱手段の加熱作動が早く停止されるようになる加熱調理器が提供されることになる。
【0010】
本発明に係る加熱調理器の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記消火タイマ時間変更処理を実行した後に前記人体検出手段により人体の存在が検出されると、前記消火タイマ時間変更処理において行われた前記消火タイマ時間の短縮を取り消す時間短縮取消処理を実行するように構成されている点にある。
【0011】
上記第2特徴構成によれば、制御手段が、調理者が加熱手段の付近から離れることで上記消火タイマ時間変更処理を実行した後、調理者が加熱手段の付近に戻ってきたときには、上記消火タイマ時間変更処理において行われた上記消火タイマ時間の短縮を取り消す時間短縮取消処理を実行して、加熱継続時間が元の消火タイマ時間に達すると加熱手段の加熱作動が停止されるようになる。
つまり、調理者が過去に加熱手段の付近から離れたか否かに拘わらず、現時点で加熱手段の付近に居るときには、短縮されない消火タイマ時間で消火タイマ処理が行われるようになるので、加熱手段による加熱調理を十分な時間に亘って行うことができる。
【0012】
本発明に係る加熱調理器の第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記人体検出手段の検出情報に基づいて人体の不在を判定すると、前記加熱手段の加熱力を弱めるように変更させる加熱力変更処理を実行するように構成されている点にある。
【0013】
上記第3特徴構成によれば、制御手段が、上記人体検出手段の検出情報に基づいて人体の不在を判定すると、上記加熱手段の加熱力を弱めるように変更させる加熱力変更処理を実行して、調理者が加熱手段の付近に居ないときには加熱手段を弱い加熱力で作動させるようなる。
つまり、調理者が加熱手段の付近から居なくなったことによって、加熱手段の作動停止のし忘れの可能性が高まったことに対処して上記加熱手段の加熱力が弱めるように変更されるので、実際に調理者が加熱手段の作動停止をし忘れたとしても、加熱手段の加熱力を弱めて鍋などの温度上昇を抑制することのできる上記加熱力変更処理を実行することで、調理者による加熱手段の作動停止のし忘れによる鍋の空焚きなどの事故を未然に防止することが可能となる。
【0014】
本発明に係る加熱調理器の第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記加熱力変更処理を実行した後に前記人体検出手段により人体の存在が検出されると、前記加熱力変更処理において行われた前記加熱力の変更を取り消す加熱力変更取消処理を実行するように構成されている点にある。
【0015】
上記第4特徴構成によれば、制御手段が、調理者が加熱手段の付近から離れることで上記加熱力変更処理を実行した後、調理者が加熱手段の付近に戻ってきたときには、上記加熱力変更処理において行われた上記加熱力を弱める変更を取り消す加熱力変更取消処理を実行して、加熱手段による加熱が元の加熱力で行われるようになる。
つまり、調理者が過去に加熱手段の付近から離れたか否かに拘わらず、現時点で加熱手段の付近に居るときには、弱められていない加熱力で調理を行われるようになるので、加熱手段による加熱調理を十分な加熱力で行うことができる。
【0016】
本発明に係る加熱調理器の第5特徴構成は、上記第1から第4のいずれかの特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記人体検出手段の検出情報が人体の不在であることが設定時間継続すると、人体の不在であると判定するように構成されている点にある。
【0017】
上記第5特徴構成によれば、制御手段が、人体検出手段の検出情報が人体の不在であることが設定時間継続すると人体の不在であると判定されるので、調理者が設定時間未満の短時間の間、加熱手段の付近から離れることは許容される。その結果、調理者の移動に応じて人体の存在判定と不在判定とが頻繁に繰り返されることのないようにすることができる。
【0018】
本発明に係る加熱調理器の第6特徴構成は、上記第1から第5のいずれかの特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記加熱継続時間が入力された調理タイマ時間に達すると前記加熱手段による加熱作動を停止させるタイマ調理処理を実行するように構成され、且つ、前記消火タイマ時間変更処理において、前記調理タイマ時間の残り時間以上の長さに前記消火タイマ時間の残り時間を残す形態で前記消火タイマ時間を変更するように構成されている点にある。
【0019】
上記第6特徴構成によれば、制御手段が、上記消火タイマ時間変更処理において、上記調理タイマ時間の残り時間以上の長さに上記消火タイマ時間の残り時間を残す形態で上記消火タイマ時間を変更するので、調理タイマ時間が満了する前に消火タイマ時間が満了することがない、つまり、調理タイマ時間が満了する前に上記消火タイマ処理によって加熱手段の加熱作動が停止されないようになる。その結果、加熱手段によって行われている上記調理タイマ時間の間の加熱調理が消火タイマ処理によって中断されないようにすることが可能となる。
【0020】
本発明に係る加熱調理器の第7特徴構成は、上記第1から第6のいずれかの特徴構成に加えて、前記消火タイマ時間変更処理の実行結果を報知する時間報知手段が設けられている点にある。
【0021】
上記第7特徴構成によれば、上記時間報知手段が、上記消火タイマ時間変更処理の実行結果を報知するように作動するので、上記消火タイマ時間変更処理によって消火タイマ時間が短縮変更されたことを調理者などに認識させることができる。
【0022】
本発明に係る加熱調理器の第8特徴構成は、上記第1から第7のいずれかの特徴構成に加えて、前記加熱力変更処理の実行結果を報知する加熱力報知手段が設けられている点にある。
【0023】
上記第8特徴構成によれば、上記加熱力報知手段が、上記加熱力変更処理の実行結果を報知するように作動するので、上記加熱力変更処理によって加熱力が弱められるように変更されたことを調理者などに認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る加熱調理器について説明する。
図1から図3に示すように、加熱手段Kとして複数のガスバーナが設けられた加熱調理器としてのガス調理器Cではガスバーナが手前側と奥側とに配置して設けられている。そして、手前側には標準バーナ1a及び高火力バーナ1cが設けられ、奥側には小バーナ1bが設けられている。また、トッププレート5の上部に、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cに対する被加熱物(鍋などの調理容器)が載置される被加熱物支持部としての五徳6a、6b、6cが設けられている。また、グリル部3内に設けられたグリルバーナ2の燃焼排ガスを排気するためのグリル排気口4がガス調理器C上面に形成されている。
【0025】
ガス調理器Cの前側面には、標準バーナ1a、小バーナ1b、高火力バーナ1c及びグリルバーナ2に対して各別に加熱開始指令及び加熱停止指令を与えて点火作動及び消火作動を行わせ、且つ、各別に火力調節を行うための標準バーナ用加熱状態調節部7、小バーナ用加熱状態調節部8、グリルバーナ用加熱状態調節部9及び高火力バーナ用加熱状態調節部10が設けられている。そして、マイクロコンピュータを備えて各種の制御を実行するように構成された制御部H(制御手段の一例)が、標準バーナ用加熱状態調節部7、小バーナ用加熱状態調節部8、グリルバーナ用加熱状態調節部9及び高火力バーナ用加熱状態調節部10を用いて行われた各種指令を、標準バーナ1a、小バーナ1b、グリルバーナ2及び高火力バーナ1cの夫々に対して実行させるように構成されている。
【0026】
図2を参照して標準バーナ1a、小バーナ1b、高火力バーナ1c及びグリルバーナ2へのガス供給構成について説明すると、元ガス供給路11には元ガス電磁弁12が設けられ、この元ガス供給路11から、標準バーナ用分岐路13a、小バーナ用分岐路13b、高火力バーナ用分岐路13c及びグリルバーナ用分岐路13dの4系統に分岐している。そして、標準バーナ用分岐路13a、小バーナ用分岐路13b、高火力バーナ用分岐路13c及びグリルバーナ用分岐路13dの夫々には、ガス量を調整して上記各バーナの出力熱量を調整する流量制御弁19a、19b、19c、19dが備えられている。そして、図2に示すように、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cの夫々には、点火手段としての点火プラグ20及び着火状態を検出する熱電対21が設けられており、グリルバーナ2は上面バーナ2aと左右一対の下面バーナ2b,2cとを備えた両面バーナにて構成されて、上面バーナ2a及び左右一対の下面バーナ2b,2cの夫々にも点火手段としての点火プラグ20及び着火状態を検出するための熱電対21等が備えられている。又、標準バーナ1aには、五徳6aにて載置支持された被加熱物の底面部に接触して、被加熱物の温度を検出する温度センサTが設けられている。
【0027】
図3に示すバーナ用設定入力パネル30では、標準バーナ1aを用いた自動調理処理制御及びタイマ調理処理制御の設定を行うことができる。例えば、「あげもの(揚げ物)」ボタン35、「炊飯」ボタン36及び「湯わかし」ボタン37が押された場合には、それぞれに適した火力で加熱が行われるようにガス量が設定される。詳細には、「あげもの」ボタン35を繰り返し押すことで油の温度が160℃、180℃、200℃の何れかに切り替えられて設定され、温度センサTの出力に基づいて自動的に火力を調整し、油の温度を設定温度に維持させるよう動作する。また、「炊飯」ボタン36を押すことで「ごはん」又は「おかゆ」を調理するモードを設定することができ、温度センサTの出力に基づいて自動的に火力を調整し、調理が完了したら自動的に消火するよう動作する。「湯わかし」ボタン37を押すことで「自動消火」モード又は「5分保温」モードを設定することができ、「自動消火」モードでは、沸騰を検知したらすぐに自動的に消火し、「5分保温」モードでは、沸騰状態で5分間維持して十分にカルキ抜きを行ってから消火するよう動作する。また、タイマ時刻設定ボタン33、34を用いて標準バーナ1aの調理タイマ時間を設定して表示部32に表示させ、それが満了したら標準バーナ1aが自動的にOFFにされるようにタイマ調理処理の設定をすることができる。そして、一旦、上述のような設定をした後であっても、「とりけし」ボタン38を押せば、既に行われている設定が取り消される。
【0028】
また、このガス調理器Cにおいて制御部Hは、加熱手段Kの加熱作動を開始してからその加熱作動が継続される加熱継続時間を計測する加熱継続時間継続処理、及び、その加熱継続時間が消火タイマ時間に達すると、加熱手段Kの加熱作動を停止させる消火タイマ処理を実行するように構成されている。そして、加熱手段Kの付近における人体の存否を検出する人体検出手段としての人体検出センサSがガス調理器Cの前面部に設けられ、制御部Hは、人体検出センサSの検出情報に基づいて人体の不在を判定すると、上記消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理を実行するように構成されている。この人体検出センサSは、加熱手段Kの付近の設定範囲内に人体が存在するか否かを検出することのできる超音波式のセンサや赤外線式のセンサなどを用いて実現可能である。
また制御部Hは、上記消火タイマ時間変更処理を実行した後に人体検出センサSにより人体の存在が検出されると、その消火タイマ時間変更処理において行われた消火タイマ時間の短縮を取り消す時間短縮取消処理を実行するように構成されている。
【0029】
次に図4のフローチャート及び図5のグラフを用いて、上記消火タイマ時間変更処理及び上記時間短縮取消処理について説明する。
図4に示すように、制御部Hは、ステップ100において加熱手段Kの加熱作動を開始した後、ステップ102において加熱手段Kの加熱作動を開始してからその加熱作動が継続される加熱継続時間を計測する加熱継続時間継続処理を開始する。そして、ステップ104において制御部Hは、加熱継続時間が消火タイマ時間に達しているか否かを判定し、加熱継続時間が消火タイマ時間に達しているときにはステップ106に移行して、加熱手段Kの加熱作動を停止させる消火タイマ処理を実行する。図5に示すのは、一例として消火タイマ時間が120分に設定されており、加熱継続時間が消火タイマ時間に達すると加熱手段Kの加熱作動が停止される消火タイマ処理をグラフ化したものであり、加熱継続時間が120分に達すると消火タイマ時間の残り時間が零になって、加熱手段Kの加熱作動が停止されるように設定されている。
【0030】
制御部Hは、ステップ104において加熱継続時間が消火タイマ時間に達していないときステップ108に移行して、加熱手段Kの付近に人体が存在しているか否かの判定を行う。そして、制御部Hは、ステップ108において加熱手段Kの付近に人体が不在であるという判定を下したときにはステップ110に移行し、そのステップ110における判定結果に従って、消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理が既に行われた後であるときにはステップ104に戻り、消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理が未だ行われていないときにはステップ112に移行する。つまり、消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理が未だ行われていないときにのみ、ステップ112において消火タイマ時間変更処理が行われるようになっている。
【0031】
そしてステップ112において制御部Hは、消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理を行った後、上記ステップ104に帰還する。図5を参照してステップ112の消火タイマ時間変更処理について説明すると、加熱継続時間が30分となったとき、制御部Hは、人体検出センサSの検出情報に基づいて人体が不在であるという判定を下している。そして、消火タイマ時間を20分間だけ短縮させる消火タイマ時間変更処理を行った後、引き続いて加熱継続時間の計測を行う。つまり、この消火タイマ時間変更処理によって、加熱継続時間が120分になったときに加熱手段Kの作動停止が行われていたものが、加熱継続時間が100分になったときに加熱手段Kの作動停止が行われるように短縮されたことになる。
【0032】
制御部Hは、ステップ108において加熱手段Kの付近に人体が存在するという判定が下されているときにはステップ114に移行し、そのステップ114における判定結果に従って、消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理が既に行われた後であるときにはステップ116に移行し、消火タイマ時間を短縮させる変更処理が未だ行われていないときにはステップ104に戻る。つまり、消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理が既に行われた後であるときにのみ、ステップ116において時間短縮取消処理が行われるようになっている。
【0033】
そしてステップ116において制御部Hは、消火タイマ時間変更処理において行われた消火タイマ時間の短縮を取り消す時間短縮取消処理を行った後、上記ステップ104に帰還する。図5を参照してステップ116の時間短縮取消処理について説明すると、加熱継続時間が50分となったとき、制御部Hは、人体検出センサSの検出情報に基づいて人体が存在するという判定を下している。そして、制御部Hは、加熱継続時間が30分となったときに行われた消火タイマ時間の20分間の短縮を取り消す時間短縮取消処理を行った後、引き続いて加熱継続時間の計測を行う。
【0034】
<第2実施形態>
第2実施形態のガス調理器Cは、制御部Hが、消火タイマ時間を短縮させることに加えて加熱手段Kの加熱力を弱めるように変更させるように構成されている点で、消火タイマ時間を短縮させるのみであった第1実施形態と異なっている。以下に第2実施形態のガス調理器Cについて説明するが、第1実施形態と同様の内容については説明を省略する。
【0035】
第2実施形態のガス調理器Cにおいて制御部Hは、加熱手段Kの加熱作動を開始してからその加熱作動が継続される加熱継続時間を計測する加熱継続時間継続処理、及び、その加熱継続時間が消火タイマ時間に達すると、加熱手段Kの加熱作動を停止させる消火タイマ処理を実行するように構成されている。そして、加熱手段Kの付近における人体の存否を検出する人体検出手段としての人体検出センサSがガス調理器Cの前面部に設けられ、制御部Hは、人体検出センサSの検出情報に基づいて人体の不在を判定すると、上記消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理及び加熱手段Kの加熱力を弱めるように変更させる加熱力変更処理を実行するように構成されている。
また制御部Hは、上記消火タイマ時間変更処理及び上記加熱力変更処理を実行した後に人体検出センサSにより人体の存在が検出されると、その消火タイマ時間変更処理において行われた消火タイマ時間の短縮を取り消す時間短縮取消処理及びその加熱力変更処理において行われた加熱力の変更を取り消す加熱力変更取消処理を実行するように構成されている。
【0036】
次に図6のフローチャート及び図5のグラフを用いて、上記消火タイマ時間変更処理及び上記加熱力変更処理(以下、両処理をまとめて「消火タイマ時間及び加熱力変更処理」と記載することもある)、並びに、上記時間短縮取消処理及び上記加熱力変更取消処理(以下、両処理をまとめて「時間短縮及び加熱力変更取消処理」と記載することもある)について説明する。図6のフローチャートは、ステップ210、ステップ212、ステップ214、及び、ステップ216以外は、図5のフローチャートと同様であるため、これらステップ210、ステップ212、ステップ214、及び、ステップ216について主に説明する。
【0037】
制御部Hは、ステップ208において加熱手段Kの付近に人体が存在しているか否かの判定を行う。そして、制御部Hは、ステップ208において加熱手段Kの付近に人体が不在であるという判定が下されているときにはステップ210に移行し、そのステップ210における判定結果に従って、消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理及び加熱手段Kの加熱力を弱めるように変更させる加熱力変更処理が既に行われた後であるときにはステップ204に戻り、消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理及び加熱手段Kの加熱力を弱めるように変更させる加熱力変更処理が未だ行われていないときにはステップ212に移行する。
【0038】
そしてステップ212において制御部Hは、消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理及び加熱手段Kの加熱力を弱めるように変更させる加熱力変更処理を行った後、ステップ204に帰還する。図5を参照してステップ212の消火タイマ時間変更処理及び加熱力変更処理について説明すると、加熱継続時間が30分となったとき、制御部Hは、人体検出センサSの検出情報に基づいて人体が不在であるという判定を下している。そして、消火タイマ時間を20分間だけ短縮させる消火タイマ時間変更処理を行うと共に、加熱手段Kの加熱力を弱めるように変更、例えば、強火であったものを弱火に変更する。
【0039】
制御部Hは、ステップ208において加熱手段Kの付近に人体が存在するという判定が下されているときにはステップ214に移行し、そのステップ214における判定結果に従って、消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理及び加熱手段Kの加熱力を弱めるように変更させる加熱力変更処理が既に行われた後であるときにはステップ216に移行し、消火タイマ時間及び加熱力変更処理が未だ行われていないときにはステップ204に戻る。
【0040】
そしてステップ216において制御部Hは、消火タイマ時間変更処理において行われた消火タイマ時間の短縮を取り消す時間短縮取消処理を行うと共に、加熱力変更処理において行われた加熱手段Kの加熱力を弱める変更を取り消す加熱力変更取消処理を行う。図5を参照してステップ216の時間短縮及び加熱力変更取消処理について説明すると、加熱継続時間が50分となったとき、制御部Hは、人体検出センサSの検出情報に基づいて人体が存在するという判定を下している。そして、加熱継続時間が30分となったときに行われた消火タイマ時間の20分間の短縮を取り消す時間短縮取消処理を行うと共に、加熱手段Kの加熱力の強火から弱火への変更を取り消して、強火に戻す加熱力変更取消処理を行う。
【0041】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では図5に例示したように、制御部Hが、人体検出センサSの検出情報が人体の不在を示すとすぐに、人体の不在と判定して、上記消火タイマ時間変更処理や上記加熱力変更処理を実行するように構成されていたが、人体検出センサSの検出情報が人体の不在であることが設定時間継続すると、人体の不在であると判定するように改変してもよい。
【0042】
図7に例示するように、人体検出センサSの検出情報が人体が不在であることが例えば10分間継続すると、制御部Hが、人体が不在であるという判定を下し、上記消火タイマ時間変更処理や上記加熱力変更処理を実行するように構成している。その結果、調理者が僅かな時間の間、加熱手段Kの付近から離れることが許容されるので、より便利なガス調理器Cが提供されることになる。
【0043】
<2>
上記実施形態では、消火タイマ時間変更処理における消火タイマ時間の短縮長さについて制限を設けていないが、消火タイマ時間の短縮長さに制限を設けてもよい。例えば、制御部Hが、上述したように加熱手段Kとしての標準バーナ1aには、調理者などによって入力された調理タイマ時間に上記加熱継続時間が達すると標準バーナ1aの加熱作動を停止させるタイマ調理処理を行うように構成されているが、消火タイマ時間変更処理において、上記調理タイマ時間の残り時間以上の長さに消火タイマ時間の残り時間を残す形態で消火タイマ時間を変更するようにしてもよい。その結果、調理者が加熱を行おうと意図している調理タイマ時間の間は確実に標準バーナ1aが加熱作動されるようになる。また、標準バーナ1aの他の加熱手段Kについても上記タイマ調理処理が行われるようにして、同様に消火タイマ時間変更処理において、上記調理タイマ時間の残り時間以上の長さに消火タイマ時間の残り時間を残す形態で消火タイマ時間を変更するようにしてもよい。
【0044】
<3>
上記消火タイマ時間変更処理の実行結果を外部に報知するように構成してもよい。例えば、図8に例示するように、ガス調理器Cをインターフェースユニット40を介して家庭内通信線42に接続し、家庭内通信線42からモデムなどの通信装置43を介してインターネットなどの通信網44と接続し、家庭内通信線42には、接続されているガス調理器Cなどの通信制御を行うサーバ装置としての機器コントローラ41が設けられている。そして、制御部Hが、上記消火タイマ時間変更処理において消火タイマ時間を短縮する変更を行ったときには、その消火タイマ時間の変更結果を例えば、インターネットに接続可能な端末装置45や携帯電話46などの通信機器に報知するようにしてもよい。この場合、制御部Hが、上記消火タイマ時間変更処理の実行結果を外部に報知する時間報知手段として作用する。その結果、調理者が台所から離れた位置でコンピュータなどの端末装置45を操作中であっても、上記消火タイマ時間変更処理の実行結果を知ることができる。また、調理者が住居内を携帯電話46を所持して行動していれば、上記消火タイマ時間変更処理の実行結果を知ることができる。
同様に、上記加熱力変更処理の実行結果を報知するように構成してもよい。そして、この場合は、制御部Hが、上記加熱力変更処理の実行結果を報知する加熱力報知手段として作用する。
また、図2に示したようにガス調理器Cに設けられているブザーBのような報知手段を報知作動させて、調理者に上記消火タイマ時間変更処理の実行結果や上記加熱力変更処理の実行結果を報知するようにしてもよい。
【0045】
<4>
上記実施形態では、制御部Hが、加熱手段Kの付近に人体が不在であるという判定が下されると、上記消火タイマ時間変更処理や上記加熱力変更処理を行うように構成されている場合について説明したが、加熱手段Kの付近に人体が不在であるという判定の継続時間に応じて消火タイマ時間の短縮長さが逐次変化されるような消火タイマ時間変更処理が実行されるように構成してもよい。例えば、図9に示すように、加熱継続時間が30分の時点を始点とすると、人体が不在であるという判定の継続時間が0分から10分の間は消火タイマ時間の短縮長さは10分間となり、人体が不在であるという判定の継続時間が10分から20分の間は消火タイマ時間の短縮長さは20分間となり、人体が不在であるという判定の継続時間が20分から30分の間は消火タイマ時間の短縮長さは30分間となる。従って、調理者の不在期間が長いほど、つまり、加熱手段Kを加熱作動のまま放置している危険期間が長いほど、加熱手段Kは短い加熱継続時間で自動的に加熱作動が停止されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ガスコンロの斜視図
【図2】ガス調理器の概略構成図
【図3】バーナ用設定入力パネルの模式図
【図4】第1実施形態の制御フロー
【図5】加熱継続時間と消火タイマ時間の残り時間との関係を示すグラフ
【図6】第2実施形態の制御フロー
【図7】加熱継続時間と消火タイマ時間の残り時間との関係を示すグラフ
【図8】ガス調理器と外部機器との間の情報通信システムの概略図
【図9】加熱継続時間と消火タイマ時間の残り時間との関係を示すグラフ
【符号の説明】
【0047】
C ガス調理器(加熱調理器)
H 制御手段(制御部)
K 加熱手段
S 人体検出センサ(人体検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段と、その加熱手段の加熱状態を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、前記加熱手段の加熱作動を開始してからその加熱作動が継続される加熱継続時間を計測する加熱継続時間計測処理、及び、前記加熱継続時間が消火タイマ時間に達すると、前記加熱手段の加熱作動を停止させる消火タイマ処理を実行するように構成されている加熱調理器であって、
前記加熱手段の付近における人体の存否を検出する人体検出手段が設けられ、
前記制御手段が、前記人体検出手段の検出情報に基づいて人体の不在を判定すると、前記消火タイマ時間を短縮させる消火タイマ時間変更処理を実行するように構成されている加熱調理器。
【請求項2】
前記制御手段が、前記消火タイマ時間変更処理を実行した後に前記人体検出手段により人体の存在が検出されると、前記消火タイマ時間変更処理において行われた前記消火タイマ時間の短縮を取り消す時間短縮取消処理を実行するように構成されている請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記制御手段が、前記人体検出手段の検出情報に基づいて人体の不在を判定すると、前記加熱手段の加熱力を弱めるように変更させる加熱力変更処理を実行するように構成されている請求項1又は2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記制御手段が、前記加熱力変更処理を実行した後に前記人体検出手段により人体の存在が検出されると、前記加熱力変更処理において行われた前記加熱力の変更を取り消す加熱力変更取消処理を実行するように構成されている請求項3記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記制御手段が、前記人体検出手段の検出情報が人体の不在であることが設定時間継続すると、人体の不在であると判定するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記制御手段が、前記加熱継続時間が入力された調理タイマ時間に達すると前記加熱手段による加熱作動を停止させるタイマ調理処理を実行するように構成され、且つ、前記消火タイマ時間変更処理において、前記調理タイマ時間の残り時間以上の長さに前記消火タイマ時間の残り時間を残す形態で前記消火タイマ時間を変更するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記消火タイマ時間変更処理の実行結果を報知する時間報知手段が設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記加熱力変更処理の実行結果を報知する加熱力報知手段が設けられている請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−29710(P2006−29710A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211578(P2004−211578)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】