説明

加熱調理器

【課題】窓部周囲の枠体の組立性が良好な加熱調理器を提供する。
【解決手段】開閉可能なドアを、ドア本体210と、このドア本体の前面下方に取り付けられる操作ベース部211と、この操作ベース部に一端を保持される透明な窓部202と、この窓部の一端を保持してドア本体の前面上方に取り付けられるハンドル部201と、窓部の両側に取り付けられる一対のサイドパネル204と、操作ベース部に取り付けられる操作パネル251とで構成し、一対のサイドパネルは、その内側の下端部に内方に張り出して形成される張出部221を備えるとともに、この一対の張出部の間に前記操作パネルが配置され、張出部の上端は、サイドパネル内辺Qと操作パネルの上辺を繋ぐ丸み形状で形成され、前記操作ベース部は前記窓部より隆起して形成され、この隆起部に前記張出部と操作パネル251が取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネトロンなどで構成される高周波加熱手段を有する電気式オーブンレンジや電気オーブンあるいは電子レンジなどの加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子レンジやオーブンレンジなどの加熱調理器は、開閉ドアの前面に内部を監視するための窓部を備えている。この窓部は、ガラスなどの材料で形成され、このガラスを保持するために、窓部の周囲にフラットで幅の広い平滑面で形成されるロ字状の枠体が設けられている。この窓部は、意匠性を考慮して、4隅の角部が大きな丸みで形成されている。
【0003】
また、最近の電子レンジ、高級感や清掃性を向上させるために、枠体の幅を狭くして、前記窓部を大きく形成した枠体の印象を打ち消したデザインも販売されている。
【0004】
【特許文献1】登録意匠第1233227号公報
【0005】
【特許文献2】登録意匠第1224397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記窓部を大きくした従来の電子レンジは、清掃性や高級感を向上させるものの、外観デザインが一辺倒になり多様なシーリズ展開が図りにくいという課題もある。そこで、この窓部の周囲に平滑な枠体を設けてでデザインの自由度を向上させることが考えられる。しかし、大型化した窓部の周囲に一体成型されたロ字状の枠体を設けると、型代がかかりコスト低減が図れない。逆にロ字状の枠体を両側のサイドピースと操作パネルに分離して形成することができるが、窓部4隅に大きな丸みを形成すると、丸みに段差が生じやすくなり組立性に課題が残る。
【0007】
そこで、この発明の目的とするころは、窓部周囲の枠体の組立性が良好な加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る加熱調理器は、前記目的を達成するために、開閉可能なドアを、該ドアの骨格を成すドア本体と、前記ドア本体の前面下方に取り付けられる操作ベース部と、前記操作ベース部に一端を保持される透明な窓部と、前記窓部の一端を保持して前記ドア本体の前面上方に取り付けられるハンドル部と、前記窓部の両側に取り付けられる一対のサイドパネルと、前記操作ベース部に取り付けられる操作パネルとで構成し、前記一対のサイドパネルは、その内側の下端部に内方に張り出して形成される張出部を備えるとともに、この一対の張出部の間に前記操作パネルが配置され、前記張出部の上端は、サイドパネル内辺と操作パネルの上辺を繋ぐ丸み形状で形成され、前記操作ベース部は前記窓部より隆起して形成され、この隆起部に前記張出部と操作パネルが取り付けられているようにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、窓部の周囲を小さな部品で囲みつつ、窓部の角部に丸み形状を施してローコストで意匠性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図1から図12を参照して、この発明に係る加熱調理器を、マグネトロンなどで構成される高周波加熱手段を有する電気式オーブンレンジを例にとって具体的に説明する。なお、本発明は、電気オーブン、電子レンジなどの加熱調理器にも適用できる。なお、同一の部位や方向などは同一符号を持って示し、重複した説明を省略する。
【0011】
先ず、図1を参照して、この実施の形態に係る電気式オーブンレンジ(以下レンジという)の概略構造を説明する。図1は、レンジの外観図であり、(a)図がドアを閉めた状態の外観図、(b)図がドアを開いた状態の外観図である。
【0012】
図1において、符号1で総括的に示すレンジ1は、食品を収納したり温めたり焼いたりする加熱室10を構成する筐体100と、この筐体100に開閉機構部300を介して開閉可能に取付けられるドア200とから構成される。前記筐体100は、前記加熱室10の前面以外の上下面と両側面と背面を覆い、前記ドア200は、加熱室10の前面を覆うように構成する。したがって、(a)図の状態からドア200を開放して(b)図の状態とすることで、加熱室10に食品を出し入れすることができる。
【0013】
筐体100は、加熱室10の周囲を構成する本体筐体101と、本体筐体101の下部に、一回り小さく形成される台部102とから構成される。この実施の形態に係るレンジ1は、加熱調理に水蒸気を使用することが可能であるため、この水蒸気を発生させるために必要な水分を供給する着脱可能な水タンク90を前記台部102の前面側に備えている。
【0014】
この実施の形態では、前記ドア200の前面にハンドル201と操作部250を備えて、食品を出し入れする(b)図の状態では、これらハンドル201や操作部250が見えなくなって加熱室10を大きく開放した形態を取り、食品を加熱室10に収納して調理する(a)図の状態では、ハンドル201や操作部250が前面に露出して調理条件の入力や操作指示を行えるような形態を取るように構成される。
【0015】
また、このドア200の中央には大きく形成される窓部202を備えて、調理中の加熱室10内を覗き見ることができる。
【0016】
そして、このレンジ1の大きな特徴の1つは、前記窓部202を透明な板材で形成し、この窓部202の周囲を囲む枠体203を、上部に配置されるハンドル201と、下部に配置される操作パネル251と、両側に配置されるサイドパネル204とから構成し、前記サイドパネル204と操作パネル251との結合部Xを窓部202と隣接するサイドパネル204の内側辺Qより内側に形成し、操作パネル251の上辺252と接する前記内側辺Qの下部を丸み形状としている。
【0017】
この部品構造によれば、窓部202の周囲を囲む部品を小さな部材で構成できるので、金型を小型化することができる。しかも、窓部202の両側下方の角部を大きな丸み形状とすることができるので意匠性を向上させることができる。
【0018】
また、このレンジ1の他の特徴の1つは、下方に配置される前記開閉機構部300を介して開閉可能な前記ドア200の下部に配置される前記台部102の前端部を、前記ドアの前端部と略面一となるように、前方に張り出して設けた点にある。これにより、前記台部102の前部に設けた水タンク90の着脱を容易に行うことができるとともに、水タンク90の前面に設けたインジケータ91を見やすくすることができる。
【0019】
また、このレンジ1の他の特徴の1つは、前記操作部250を構成する各種スイッチを操作手順に合わせて、左から右に掛けて、機能選択キー群260、温度設定キー269、表示部270、短縮メニューキー群280、メニュー選択ダイヤル290、スタートキー295、取消しキー299を順に配列した点にある。特に、この実施の形態では、メニュー選択ダイヤル290の操作により、例えば50前後のメニューを選択することができるが、単純にメニュー選択ダイヤル290の操作だけでは選択に時間がかかるため、予め設定されたメニュー番号へ頭出しするための短縮メニューキー群280設けている。
【0020】
以下、これらの特徴を備えた実施の形態を図2から図12を参照して更に詳細に説明する。
【0021】
次に、図2、図3を参照してレンジ1の内部構造を説明する。図2は内部の概略構造を示す断面図である。図3は背面側から見た内部装置の配置図である。
【0022】
図2において、レンジ1は、加熱調理する食品等の被調理物11を収容する加熱室10、該加熱室10の底面12に設けられた被調理物11を載置する回転しないテーブル13、加熱室10に熱風を循環させる熱風ユニット14、レンジ調理の加熱源であるマグネトロン15、マイクロ波を導く導波管16、加熱室10にマイクロ波を照射する回転アンテナ17及びアンテナモータ18等で構成されている。
【0023】
前記マグネトロン15、導波管16、回転アンテナ17及びアンテナモータ18等についてはすでに公知であるので、詳細な説明は省略するが、これらの構成部品は図示されているように加熱室10の下部に形成される機械室に配置されている。
【0024】
オーブン調理に使われる熱風ユニット14は、熱風供給手段を構成するもので、ダクト19と、このダクト19内のほぼ中央に回転自在に設けられたファン等の送風手段20、この送風手段20の外周の上下、すなわち空気流の流出側に設けられたヒータ等の加熱手段21、ダクト19に取り付けられたファンモータ22等で構成され、本体筐体101の背面壁に配置されている。
【0025】
また、加熱室10の背面壁には、多数のパンチング孔よりなる吸込孔23、吹出孔24が設けられており、吸込孔23は送風手段20の略中心部、すなわち空気流の吸込孔23に対向した位置に設けられ、吹出孔24は上下の加熱手段21に対向した位置に設けられている。
【0026】
図2及び図3の電気式オーブンレンジの筐体100は、加熱室10の中央に回転するテーブルがない、いわゆるターンテーブルレス式オーブンレンジと言われるものである。
【0027】
ここで、25は蒸気発生手段であり、水が供給される容器26と、該容器26を加熱するヒータ27、サーミスタ等の温度検出器(図示せず)等から構成されており、これらは熱風ユニット14と本体筐体101の背面壁との間に配置されている。
【0028】
また、容器26はアルミダイキャスト等のアルミニウム材やステンレス材等の錆び難い金属材料で構成され、ヒータ27は容器26の肉部に埋め込まれたシーズヒータ等で構成されている。但し、容器26、ヒータ27ともこれらの構成に限る必要はなく、容器26は、昇温時間を短くするために熱容量を小さくすることが好ましく、より望ましくは容器26の質量が100g〜200g程度がよい。また、ヒータ27は、同じように昇温時間を短くするために、望ましくは100V電圧において、消費電力を500W〜1000W程度にするのがよい。
【0029】
このように、質量や消費電力を上記の数値にすることにより、蒸気発生手段25の所定温度までの昇温時間を30秒〜1分程度、もしくはそれ以下にすることができる。
【0030】
もちろん、容器26とヒータ27は、この仕様や数値に限定する必要はないし、容器26やヒータ27はそれぞれ複数個に分割されていてもよい。また、蒸気発生手段25の外壁を断熱材で覆い、周囲への放熱を抑制すると、昇温時間が短縮されたり、加熱効率の向上/省エネに繋がる。
【0031】
容器26への水の供給は、台部102内に設けられた水タンク90から水ポンプ28と水配管29を介して行われる。ここで、水としては、衛生面を考えると、塩素成分を若干含む水道水等が望ましい。また、水ポンプ28、水配管29は、図2及び図3に示す位置に限る必要はない。また、この実施の形態では、水タンク90をドア200とほぼ面一で形成される台部102の前部に設けたので、前方から容易に取り出しやすい。
【0032】
30は蒸気の吹出口で、蒸気発生手段25に接続されており、その先端は、送風手段20から流出する空気流に向けて吹き付けるように開口している。そして、最も望ましくは、送風手段20から流出した直後の空気流に向けて吹き付け、該空気流に衝突させるように開口させるのがよい。また、吹出口28の口径の大きさと数は水蒸気の噴出速度を制御するパラメータとなるもので、本発明では、口径は1〜3mmで、個数は2〜4個が望ましい。
【0033】
次に、図4から図9を参照してドア構造を詳細に説明する。図4はドアの概略構成図である。図5は正面側から見たドアの外観透視図である。図6はドアベース部の外観説明図である。図7はチョークカバーの外観説明図である。図8は操作パネルとサイドパネルの取り付け状態図である。図9は操作部の断面図である。
【0034】
図4において、この実施の形態では、ドア200を、このドア200の主体構造体であるドア本体210と、このドア本体210に取り付けられる操作ベース部211と、ドア本体210の前面に取り付けられる耐熱ガラスで構成される窓部202と、前記操作ベース部210の前面を覆う操作パネル251と、ドア本体210に取り付けられるハンドル201と、一対のサイドパネル204とで構成している。前記窓部202は、一端を前記操作ベース部210に保持させ、他端を前記ハンドル201をドア本体210に取り付けることでドア本体210の前面に固定する構造としている。そして、窓部202はその周囲を前記ハンドル201と操作パネル251と一対のサイドパネル204によって囲んだ構造としている。
【0035】
ここで、前記ハンドル201は、下方に平坦面201aを残して、その上部が両側から中央に行くにしたがってアーチ状に隆起した形状を備え、その最も張り出したアーチ状の中央部201bに手掛部201cを設けている。一方、後述するように、前記操作パネル251と一対のサイドパネル204は前記操作ベース部211に取り付けることで、その位置が固定される。そして、このような構造を備えることにより、操作パネル251と一対のサイドパネル204とハンドル201の下方の平坦面201aを同じ厚みで連続させることができるので、窓部202の周囲を取り囲むロ字状の枠体203を形成することができる。特に、特徴的なのは、このようなロ字状の枠体203は1個の成型品で構成するのが一般的であるが、この実施の形態では、複数の部材で枠体203を構成することができるので、金型代などの製造コストを低減できる。
【0036】
図5において、前記ドア本体210は、ドア200の骨格を成すドアベース212と、ドア200の外郭を構成するドア枠213と、チョークカバー214とから構成される。ドアベース212は、加熱室10を覗くために中央部には電波漏れを防ぐパンチング加工を施し、また、ドア200を閉めた時に加熱室10とドア200との間から電波漏れを防ぐためにチョーク構造215が施されている。このチョーク構造215は、コの字型に曲げられた構造物からなり、ドア200を閉めた時にドア200と加熱室10の間からの電波漏れを防ぐ役割をしている。
【0037】
窓部202はドアベース212の中央部のパンチング部を塞ぐためのものであり、耐熱性のシリコン系接着剤からなる接着剤216でドアベース212に固定するされる。
【0038】
図6、図7において、217はツメAで、ドア枠214に数箇所設けられ、ドアベース212の嵌合部A218に引っ掛けてドア枠214をドアベース212に固定するものである。そして、嵌合部A218は、ドアベース212の縁を垂直に立ち上げた部分で、ドアベース212にドア枠214を装着する時、装着方向にツメA217の上部が傾斜になっているため、簡単にツメA217部をドアベース212の縁が乗り越えて、嵌合部A218にツメA217が引っ掛りドア枠213はドアベース212より外れなくなる。
【0039】
219はツメBで、ドアワク4に数箇所設けられ、チョークカバー7の嵌合部B13の角穴に引っ掛り、ドア枠213にチョークカバー214を固定するものである。嵌合部B220は、チョークカバー214の縁部に設けられた角穴で、ドア枠213にチョークカバー214を装着する時、装着方向にツメB219の上部が傾斜になっているため、簡単にツメB219部をチョークカバー214の縁が乗り越えて嵌合部B220の角穴にツメB219が引っ掛りチョークカバー214はドア枠213より外れなくなる。
【0040】
図8において、この実施の形態では、前記操作パネル251と一対のサイドパネル204を、窓部202の前部より張り出して形成される操作ベース部211に取り付けることで、その位置が固定される構造としている。即ち、前記操作ベース部211はドア200の下部中央に横長短冊状に隆起して前記ドア本体210に取り付けられる。一方、前記操作パネル251は、断面形状がコ字状に形成された板材であり、前記横長短冊状に隆起して形成される操作ベース部211を上下に挟んで、接着剤などで取り付けられることで、その位置が特定されて固定される。
【0041】
また、前記一対のサイドパネル204は、正面からみてL型と成るように左右対称に形成される。つまり、略縦長短冊状に形成されるサイドパネル204は、その下端部が操作パネル251に向かって張り出した形状を備え、この張出部221の端部が操作パネル251との結合部Xを構成する。したがって、この結合部Xはサイドパネル204の前記内側辺Qより内側に位置するようにしている。そして、張出部221の上部221aを前記内側辺Qと操作パネル251の上辺252を連続させるアール形状222としている。言い換えれば、この実施の形態では、前記アール形状222は窓部202の角部となるものであり、そのアール形状222の半径X1は、張出部221の内側辺Qから張り出す大きさX2と同じに設定している。したがって、直線的に形成した内側辺Qから半径X1の大きさのアール形状222で大きく曲がったものが直線的な操作パネル251の上辺252に連続する交点Sに結合部Xが形成されるようになっている。
【0042】
更に、張出部221の断面形状は、前記操作パネル251と同様に、その断面形状がコ字状に形成されているので、前記横長短冊状に隆起して形成される操作ベース部211を上下に挟んで、接着剤などで取り付けられることができる。そして、このサイドパネル204は操作パネル251と同様に操作ベース部211によって、その位置が特定されて固定されるので、前記アール形状222と操作パネル251の上辺252の嵌合が良好となって意匠性を向上させることができる。
【0043】
図9において、操作ベース部211は、ドア本体210に樹脂の弾性またはネジなどを介して取り付けられる。このドア本体210には凹部223が形成され、この凹部223に窓部202の下端部が保持される。この操作ベース部211の内面には取付リブなどを介して操作基板256が取り付けられる。操作基板256に配置されるスイッチ素子257やLED素子258などに対応する操作ベース部211には開口部253または樹脂の弾性を利用した操作キー254が形成されている。そして、これら操作キー254や表示用の開口部253が形成される操作ベース部211の表面には各操作キーや表示の機能名称などが印刷されたシート259が設けられ、その表面に前記操作パネル251が取り付けられる。この操作パネル251には、操作キーや表示部に対応した位置に開口部(図4参照)が形成され、この開口部を介して、前記操作キーを操作したり、あるいは表示部に表示された内容を視認することができる。
【0044】
次に、図10を参照して、ドア200の開閉機構部300について説明する。図10は開閉機構部の説明図であり、(a)図がドアの開閉動作を説明する側面の透視図、(b)図はドアを開いた状態の外観図である。
【0045】
この実施の形態では、正面の最下部に配置した水タンク90の着脱を容易に行ったり、水タンク90に設けたインジケータ91の視認性を向上させるために、水タンク90を備えた台部102の前端面を前記ドア200の前面と略面一と成るように前方に張り出して形成している。ここで、この実施の形態では、この台部102の上部に配置される本体筐体101は、その前面を下方の回転軸Pを中心に全体が大きく開放される1枚のドア200で覆っている。したがって、このドア200と前方に張り出した台部102を組み合わせると、ドア200の下端部が台部102に当たってしまう。また、この課題を解決するためには、ドア200の下端部と台部102の間に大きな隙間を形成する必要があり、意匠性やコンパクト性に課題が残る。
【0046】
そこで、この実施の形態の開閉機構部300は、回転軸Pをドア200と本体筐体101との接触面Yより前方に位置させる回転軸保持部301と、ドア200の開閉動作を案内する動作案内手段302と、この動作補助手段302に取り付けられて開閉動作を規制するバネ材303とを含んで構成する。
【0047】
具体的には、本体筐体101の下部の両側に、前方に張り出して形成される回転軸保持部301をネジなどを介して取り付け、この回転軸保持部301の先端部に設けた回転軸Pを介してドア200の下端部を回転可能に取り付ける。そして、ドア200の前記接触面Yの下部を、前記回転軸Pを中心にドア200が回転しても本体筐体101に当たらないように、カット形状又は回転軸Pを中心とする円弧形状とする。
【0048】
(a)図において、実線部はドア200を開いた状態と閉めた状態を示し、点線は途中の状態を示している。これにより、ドア200は、本体筐体101の前方に位置する回転軸Pを介して開閉することができるので、ドア200の下端部と、前方に突出して形成する台部102との隙間を小さくすることができる。
【0049】
また、この実施の形態では、ドア200の開閉動作を良好とするために、動作案内手段302とバネ材303を設けている。前記動作案内手段302は、一端を前記回転軸Pの上部に回転可能に取り付けられ、他端を案内板304を介して本体筐体101に出没可能に取り付けられる一対の板材で形成される。そして、動作が開放されている動作案内手段302の他端にはバネ材303が取り付けられて、ドア200の開閉動作を補助するようする。これにより、利用者は、ドア200の開閉動作を楽に行うことができる。
【0050】
なお、この実施の形態では、台部102の端部をドア200の前面部(ドアの下方の前面)より僅か(D1)に後方に奥まって配置している。これは、通常、利用者の目線が台部102より上方にあるため、台部102の前端部をドア200の前面部と同一面上にすると台部102の端部が張り出して見えてしまったり、完全になくすことができないドア200と台部102との隙間を見えにくくするためである。この実施の形態では、台部102の前端部を少なくとも、回転軸Pとドア200の前面部との間D2内に収まるようにしている。
【0051】
また、この実施の形態では、前方に張り出した前記台部102の上部に水受皿103を形成し、ドア200を開放した際に、その内面に付着した水滴がこの水受皿103で受けられるようにしている。
次に、図11を参照して、水タンクを説明する。図11は水タンクの外観斜視図である。 図11において、この実施の形態では、水タンク90を、PP樹脂材料などで形成される容器本体92と、この容器本体92の上部を覆う蓋体93とで構成する。前記容器本体92は、上方が開放した浅い容器形状を備えており、その前面には、中央に形成される凹状の取手部94と透明なインジケータ91が設けられ、両側面には、台部102の収納部に収納するための凸状のレール95が設けられ、背面両側は前記収納部への収納性を向上させるために大きな円弧形状が施されている。
【0052】
また、前記蓋体93は前記容器本体92の上部開放部を覆う大きさを備えており、その内側周囲に形成した溝を介して前記上部開放部を密閉する。更に、この蓋体93には給水部96が設けられ、この給水部96と水ポンプ28が接続される。
【0053】
次に、図12を参照して、この実施の形態に係るレンジ1の操作方法を説明する。図12は、操作パネル近傍の正面図である。
【0054】
図12において、このレンジ1は、操作基板256に設けられる図示しないマイコンが操作部250の操作指示を受けて各種センサからの情報を参照して総括的な動作制御を行う。
【0055】
この実施の形態に係る操作部250は、操作パネル251の一方の片側(左側)に配置される、脱臭や清掃時の操作モードの選択キー、オーブンモード選択キー、スチームモード選択キー、グリルモード選択キー、レンジモード選択キーなどから構成される機能選択キー群260と、他の片側(右側)に配置されるスタートキー295と取消しキー299と、この機能選択キー群260とスタートキー295の間に配置される、温度設定キー269、表示部270、短縮メニューキー群280、メニュー選択ダイヤル290などから構成される。この操作部250の各種キーや表示は、操作手順に従って一方(左側)から他方側(右側)に向かって配置されている。
【0056】
例えば、使用者は、加熱室10に食品を収めてドア200を閉めた後に、機能選択キー群260の1つを操作して機能モードを選択し、当該機能モードにおける温度を温度設定キー269で設定し、更に加熱時間をメニュー選択ダイヤル290を介して設定し、スタートキー295を操作することで基本的なマニュアル操作を行うことができる。ここで、操作した内容は、どの操作キーからも近い位置となる操作パネル中央の表示部270に表示されるので、この表示内容を確認しながら操作することができるし、設定した後、あるいは運転した後にと取り消したければ、右端に配置される取消しキー299を操作すればよい。このように、この実施の形態では、最も見やすい操作パネル251の中央に表示部270を設け、この表示部270を中心に、操作手順に従って、左から右側に向かって各操作キーが配置される。
【0057】
また、この実施の形態の大きな特徴の1つは、メニューを選択することで、前記マイコンが当該メニューに対応した運転条件での運転を可能にした短縮メニューキー群280を設けた点である。
【0058】
この実施の形態では、前記操作パネル251の上部位置と成る窓部202の下辺部にメニュー群255を表記している。この実施の形態では、前記マイコンの記憶部に前記メニュー群255で設定される各メニューの運転条件を格納している。これら各メニューは、料理の種類や処理などによって複数に分けられて、各々にID番号が付されている。マイコンは、前記メニューのID番号が操作選択されると、当該ID番号に対応する運転条件を記憶部から呼び出して運転する。
【0059】
例えば、この実施の形態では、前記メニュー群255にID番号1番から40番までのメニュー(料理名称)が表記されている。このID番号は、料理の種類や処理などのメニュー群毎に設定されている。例えば、この実施の形態では、「のみもの」としてID番号1番から11番の各メニューが設定され、「スチーム」としてID番号12番から25番までの各メニューが設定され、「その他」としてID番号26番から40番までの各メニューが設定されている。
【0060】
使用者は、加熱室10に食品を収めてドア200を閉めた後に、短縮メニューキー群280の中から1つのキーを選択すると、マイコンは当該選択されたキーの最初のID番号を表示部270に表示する。例えば、短縮メニューキー群280の中から「スチーム」のキーが選択されると、マイコンは表示部270にID番号12を表示する。更に、この状態でメニュー選択ダイヤル290が操作されると、ID番号12から13、14、――または、11番、10番、――の順で表示部270に表示されるID番号の表示を変更させる。そして、スタートキー295が操作されると、表示部270に表示されているID番号の運転条件を記憶部から呼び出して、当該運転条件に沿った内容で運転を開始する。
【0061】
このように、この実施の形態では、多くのメニューを複数のグループに分割し、このグループの最初のメニューを呼び出すための複数の短縮キーからなる短縮メニューキー群280を備えたので、短時間に、しかも簡便な手段で目的のメニューを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係るレンジの外観図である。
【図2】内部の概略構造を示す断面図である。
【図3】背面側から見た内部装置の配置図である。
【図4】ドアの概略構成図である。
【図5】正面側から見たドアの外観透視図である。
【図6】ドアベース部の外観説明図である。
【図7】チョークカバーの外観説明図である。
【図8】操作パネルとサイドパネルの取り付け状態図である。
【図9】操作部の断面図である。
【図10】開閉機構部の説明図である。
【図11】水タンクの外観斜視図である。
【図12】操作パネル近傍の正面図である。
【符号の説明】
【0063】
1…レンジ、10…加熱室、11…被調理物、12…底面、13…テーブル、14…熱風ユニット、15…マグネトロン、16…導波管、17…回転アンテナ、18…アンテナモータ、19…ダクト、20…送風手段、21…加熱手段、22…ファンモータ、23…吸込孔、24…吹出孔、25…蒸気発生手段、26…容器、27…ヒータ、28…水ポンプ、29…水配管、30…吹出口、90…水タンク、91…インジケータ、92…容器本体、93…蓋体、94…取手部、95…レール、100…筐体、101…本体筐体、102…台部、103…水受皿、200…ドア、201…ハンドル、201a…平坦面、201b…アーチ状の中央部、201c…手掛部、202…窓部、203…枠体、204…サイドパネル、210…ドア本体、211…操作ベース部、212…ドアベース、213…ドア枠、214…チョークカバー、215…チョーク構造、216…接着剤、217…ツメA、218…嵌合部A、219…ツメB、220…嵌合部B、221…張出部、221a…上部、222…アール形状、223…凹部、250…操作部、251…操作パネル、252…上辺、253…開口部、254…操作キー、255…メニュー群、256…操作基板、257…スイッチ素子、258…LED素子、259…シート、260…機能選択キー群、269…温度設定キー、270…表示部、280…短縮メニューキー群、290…メニュー選択ダイヤル、295…スタートキー、299…取消しキー、300…開閉機構部、301…回転軸保持部、302…動作案内手段、303…バネ材、Q…内側辺、X…結合部、S…交点、Y…接触面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筐体の前部に、下方の開閉機構部を介して開閉可能に設けたドアを備えた加熱調理器において、
前記ドアを、該ドアの骨格を成すドア本体と、前記ドア本体の前面下方に取り付けられる操作ベース部と、前記操作ベース部に一端を保持される透明な窓部と、前記窓部の一端を保持して前記ドア本体の前面上方に取り付けられるハンドル部と、前記窓部の両側に取り付けられる一対のサイドパネルと、前記操作ベース部に取り付けられる操作パネルとで構成し、
前記一対のサイドパネルは、その内側の下端部に内方に張り出して形成される張出部を備えるとともに、この一対の張出部の間に前記操作パネルが配置され、
前記張出部の上端は、サイドパネル内辺と操作パネルの上辺を繋ぐ丸み形状で形成され、
前記操作ベース部は前記窓部より隆起して形成され、この隆起部に前記張出部と操作パネルが取り付けられている
ことを特徴とする加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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