説明

加熱調理器

【課題】過熱蒸気によって加熱調理することによる効果を容易に認識することができる加熱調理器を提供する。
【解決手段】加熱調理器は、蒸気を発生する蒸気発生装置と、蒸気発生装置からの蒸気を昇温して過熱蒸気にする蒸気加熱ヒータと、蒸気加熱ヒータからの過熱蒸気によって被加熱物を加熱するための調理室と、被加熱物の加熱調理に関する情報を表示する液晶表示部36と、液晶表示部36の表示を制御する制御装置5とを備えている。液晶表示部36は、その過熱蒸気によって加熱調理した後の被加熱物のカロリーを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気発生装置は、水蒸気を利用した様々な用途に用いられている。例えば、加熱媒体の供給源としての食品加工や調理用途、屋内の加湿を行う空調用途、滅菌などの医療用途、部品の洗浄や発電用タービンの蒸気供給などの工業用途があげられる。
【0003】
蒸気発生装置を備えた電気製品としては、特開2008−51489号公報(特許文献1)に記載された加熱調理器がある。この加熱調理器は、表示部を含む操作パネルを備え、その表示部に加熱調理器の制御状況を表示する。例えば、調理終了後、調理終了のメッセージが表示部に表示される。
【0004】
ところで、上記加熱調理器は、蒸気発生装置で発生した蒸気をヒータで昇温して過熱蒸気とし、この過熱蒸気を調理室内に送り込んで食品を加熱する。これにより、食品の栄養素や美味しさを損なうことなく、食品が含む余分な脂や塩分を除去できる。
【0005】
このように、上記加熱調理器は優れた脱脂・減塩効果を有しているが、ユーザはその脱脂・減塩効果を実感するのが難しかった。
【0006】
すなわち、上記加熱調理器には、優れた脱脂・減塩効果をユーザに容易に認識させることができないという問題があった。
【特許文献1】特開2008−51489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の課題は、過熱蒸気によって加熱調理することによる効果を容易に認識することができる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の加熱調理器は、
蒸気を発生する蒸気発生装置と、
上記蒸気発生装置からの蒸気を昇温して過熱蒸気にする蒸気昇温部と、
上記蒸気昇温部からの過熱蒸気によって被加熱物を加熱するための加熱室と、
上記被加熱物の加熱調理に関する情報を表示する表示部と、
上記表示部の表示を制御する制御部と
を備え、
上記制御部は、上記表示部に、上記過熱蒸気によって加熱調理した後の上記被加熱物のカロリーを表示させることを特徴としている。
【0009】
上記構成の加熱調理器によれば、上記被加熱物は、蒸気昇温部からの過熱蒸気によって加熱されることによって、余分な含有成分(例えば脂や塩分)が除去される。そして、上記余分な含有成分が除去された被加熱物のカロリーが表示部に表示されるので、ユーザはそのカロリーを視認できる。
【0010】
したがって、ユーザは、過熱蒸気によって加熱調理することによる効果を容易に認識することができる。
【0011】
一実施形態の加熱調理器では、
上記制御部は、
上記過熱蒸気以外の特定の手段によって加熱調理した後の上記被加熱物のカロリーが予め記憶された通常調理カロリー記憶部と、
上記過熱蒸気によって加熱調理した後の上記被加熱物のカロリーが予め記憶された過熱蒸気調理カロリー記憶部と、
上記通常調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーと、上記過熱蒸気調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーとを、対比できるように上記表示部に表示させる表示指令部と
を有する。
【0012】
上記実施形態の加熱調理器によれば、上記表示部が、表示指令部の指令を受けて、通常調理カロリー記憶部に記憶された被加熱物のカロリーと、過熱蒸気調理カロリー記憶部に記憶された被加熱物のカロリーとを、対比できるように表示するので、過熱蒸気によって加熱調理することによる効果がより認識し易くなる。
【0013】
一実施形態の加熱調理器では、
上記表示指令部は、上記通常調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーと、上記過熱蒸気調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーとの差を、上記表示部に表示させる。
【0014】
上記実施形態の加熱調理器によれば、上記表示部が、表示指令部の指令を受けて、通常調理カロリー記憶部における被加熱物のカロリーと、過熱蒸気調理カロリー記憶部における被加熱物のカロリーとの差を表示するので、過熱蒸気以外の特定の手段による加熱調理と、過熱蒸気による加熱調理との違いを際立たせることができる。
【0015】
一実施形態の加熱調理器では、
上記表示指令部は、上記差に相当する運動量を上記表示部に表示させる。
【0016】
上記実施形態の加熱調理器によれば、上記表示部が、表示指令部の指令を受けて、上記差に相当する運動量を表示するので、ユーザは、過熱蒸気によって加熱調理することによる効果を他の視点から認識できる。
【0017】
一実施形態の加熱調理器では、
上記表示指令部は、上記通常調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーを上記表示部に表示させた後、上記過熱蒸気調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーを上記表示部に表示させる。
【0018】
上記実施形態の加熱調理器によれば、上記表示部は、表示指令部の指令を受けて、通常調理カロリー記憶部に記憶された被加熱物のカロリーを表示した後、過熱蒸気調理カロリー記憶部に記憶された被加熱物のカロリーを表示するので、過熱蒸気以外の特定の手段による加熱調理と、過熱蒸気による加熱調理との違いが判り易くなる。
【0019】
一実施形態の加熱調理器では、
上記制御部は、上記表示部に、上記被加熱物の含有成分を示す画像を表示させると共に、上記通常調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーと、上記過熱蒸気調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーとの差に応じて、上記被加熱物の含有成分を示す画像の大きさまたは数を変更する。
【0020】
上記実施形態の加熱調理器によれば、上記表示部は、被加熱物の含有成分を示す画像を表示する。このとき、上記表示部は、通常調理カロリー記憶部に記憶された被加熱物のカロリーと、過熱蒸気調理カロリー記憶部に記憶された被加熱物のカロリーとの差に応じて、被加熱物の含有成分を示す画像の大きさまたは数を変更する。例えば、上記差が大きければ、表示部は、被加熱物の含有成分を示す画像を大きく表示するか、あるいは、その画像の数を増やして表示する。逆に、上記差が小さければ、表示部は、被加熱物の含有成分を示す画像を小さく表示するか、あるいは、その画像の数を減らして表示する。
【0021】
したがって、ユーザは、過熱蒸気によって加熱調理することによる効果を直感できる。
【0022】
一実施形態の加熱調理器では、
上記制御部は、上記表示部に、上記過熱蒸気によって上記被加熱物を加熱調理した際、上記被加熱物から含有成分が除去される様子を示す画像を表示させる。
【0023】
上記実施形態の加熱調理器によれば、上記表示部は、過熱蒸気によって上記被加熱物を加熱調理した際、上記被加熱物から含有成分が除去される様子を示す画像を表示するので、過熱蒸気によって加熱調理することによる効果を有効にアピールできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の加熱調理器によれば、上記制御部が、過熱蒸気によって加熱調理した後の被加熱物のカロリーを表示部に表示させることによって、ユーザはそのカロリーを視認できるので、過熱蒸気によって加熱調理することによる効果を容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の加熱調理器を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態の加熱調理器の外観斜視図である。
【0027】
上記加熱調理器は、直方体形状の本体ケーシング1の正面に、下端側の辺を略中心に回動する扉34を設けている。扉34の右側に操作部35および液晶表示部36を設け、扉34の上部にハンドル37を設けると共に、扉34の略中央に耐熱ガラス製の窓38を設けている。液晶表示部36は文字や画像をカラー表示できる。また、操作部35を操作することによって、複数の調理メニューから所望の調理メニューを選択できる。なお、液晶表示部36は表示部の一例である。
【0028】
上記操作部35は、つまみ46、決定ボタン47およびスタートボタン48を含んでいる。つまみ46は扉34に回転自在に取り付けられていて、ユーザは、つまみ46を回すことによって、液晶表示部36に表示される複数の調理メニューから所望の調理メニューを選択する。また、決定ボタン47は、つまみ46で選択した調理メニューを確定するために使用するボタンである。また、スタートボタン48は、実質的な調理をスタートさせる際に、ユーザが押すボタンである。
【0029】
図2は上記加熱調理器の概略構成図である。
【0030】
上記加熱調理器は、本体ケーシング1と、本体ケーシング1内に設けられた調理室2と、蒸気を発生させる蒸気発生装置3と、蒸気発生装置3からの蒸気を加熱して過熱蒸気にする蒸気加熱ヒータ4と、蒸気発生装置3や蒸気加熱ヒータ4などの動作を制御する制御装置5とを具備している。ここで、上記過熱蒸気とは、100℃以上の過熱状態にまで加熱された蒸気を意味する。なお、調理室2は加熱室、蒸気加熱ヒータ4は蒸気昇温部、制御装置5は制御部の一例である。
【0031】
上記調理室2は、扉34で開閉される開口部を正面側に有する。また、調理室2の側面、底面および天面はステンレス鋼板からなっている。ユーザは、その開口部を通して、調理室2に被加熱物7を入れたり、調理室2から被加熱物7を出したりする。また、調理室2の周囲には断熱材(図示せず)を配置して、調理室2内と外部とを断熱している。
【0032】
また、上記調理室2内には、調理室2の底面から所定の間隔をあけて鉄などの金属製あるいはセラミックス製のトレイ6が置かれている。トレイ6は、調理室2の左右の側壁に設けられた下受け棚11により支持されている。そして、トレイ6上には、鉄などの金属製の調理網98が載置され、その調理網98の略中央に被加熱物7が置かれる。こうして、被加熱物7は、調理室2の底面から間隔をあけた状態で調理室2内に収容されている。
【0033】
また、上記調理室2の左右の側壁には、下受け棚11よりも上側に位置する中受け棚12と、中受け棚12よりも上側に位置する上受け棚13とが設けられている。中受け棚12および上受け棚13にも、下受け棚11と同様に、トレイ6の支持が可能である。これにより、ユーザは、トレイ6の支持を下受け棚11から中受け棚12または上受け棚13に変更して、調理室2内における被加熱物7の上下方向の位置を変更できる。
【0034】
上記蒸気発生装置3は、蒸気発生部39と、蒸気発生部39に供給する水が入る給水タンク40と、蒸気発生部39内に設置され、蒸気発生部39内に溜まった水を加熱して蒸発させる水加熱ヒータ41と、電磁弁49とを備えている。水加熱ヒータ41はシーズヒータを渦巻状に巻いたものである。
【0035】
上記電磁弁49は、給水タンク40内の空間と蒸気発生部39内の空間とを連通させる連通孔を開閉するバルブの役割を果たしている。つまり、電磁弁49の開放により、給水タンク40内の水を蒸気発生部39内に流入させることでき、また、電磁弁49の閉鎖により、給水タンク40内の水が蒸気発生部39内に流入できなくなっている。また、蒸気発生部39には水位センサ(図示せず)が設けられており、この水位センサの検出値に応じて、電磁弁49が開閉するようになっている。
【0036】
上記給水タンク40は、蒸気発生部39に対して着脱可能となっており、正面側から本体ケーシング1外に取り出せるようになっている。
【0037】
上記蒸気発生部39の底部には排水弁42が取り付けられ、この排水弁42に排水経路14の一方の端部が接続されている。排水経路14の他方の端部はつゆ受け9上に位置している。つゆ受け9は、本体ケーシング1に着脱可能となっており、正面側から本体ケーシング1外に取り出せる。
【0038】
また、上記調理室2の一方の側面においては、上受け棚13と中受け棚12との間に循環吸気口15が設けられている。そして、調理室2の上面には、蒸気加熱ヒータ4に対向するように第1噴出口16が設けられている。さらに、調理室2の他方の側面には第2,第3噴出口17,18が設けられている。第2噴出口17は上受け棚13と中受け棚12との間に位置している。一方、第3噴出口18は中受け棚12と下受け棚11との間に位置している。このような循環吸気口15、第1噴出口16、第2噴出口17および第3噴出口18により、調理室2内の空間と循環経路8内の空間とが互いに連通している。
【0039】
上記循環経路8は調理室2外に設けられている。また、循環経路8は、一端が循環吸気口15に接続されていると共に、他端が第2噴出口17および第3噴出口18に接続されている。そして、循環経路8内には循環ファン19および蒸気加熱ヒータ4が設置されており、蒸気加熱ヒータ4の位置は循環ファン19よりも下流側の位置となっている。つまり、循環ファン19は、循環吸気口15から調理室2内の蒸気を吸い込み、蒸気加熱ヒータ4に向けて吹き出す。蒸気加熱ヒータ4で加熱された蒸気は、調理室2の上面の第1噴出口16と、調理室2の他方の側面の第2,第3噴出口17,18とから、調理室2内に向かって噴出する。
【0040】
また、上記循環経路8の循環吸気口15近傍の部分は、蒸気放出経路20を介して蒸気発生部39に接続されている。これにより、蒸気発生部39で発生した蒸気は、蒸気放出経路20を流れて循環経路8に入り、循環吸気口15から吸い込んだ蒸気と合流して蒸気加熱ヒータ4へ向かって流れる。
【0041】
また、上記調理室2内の余剰な蒸気は、第1,第2排気口21,22から調理室2外に流れ出る。第1排気口21には排気経路23の一端が接続されている。排気経路23の他端部はエジェクタ24を形成している。また、第1排気口21は排気ダンパ25で開閉自在となっている。一方、第2排気口22には排気チューブ26の一端が接続されている。排気チューブ26の他端は排気経路23に接続されているので、排気チューブ26内の蒸気は、排気経路23内の蒸気と合流して、エジェクタ24から本体ケーシング1外に排出される。このとき、エジェクタ24から本体ケーシング1外へ向かう蒸気は、希釈空気経路27および吸込ダクト28からの空気と混ざって希釈される。
【0042】
上記希釈空気経路27は、一端がエジェクタ24内に挿入されていると共に、他端がファンケーシング29に接続さている。このファンケーシング29内の排気希釈ファン30からエジェクタ24に空気が送られる。また、ファンケーシング29は給気経路31を介して給気口32に接続されている。給気口32には給気ダンパ33を設け、給気口32を給気ダンパ33で開閉できるようになっている。
【0043】
図3は上記加熱調理器の制御ブロック図である。
【0044】
上記制御装置5は、CPU(中央処理装置)43、通常調理カロリー記憶部44、過熱蒸気調理カロリー記憶部45および入出回路などを含んでいる。CPU43は、図示しない他の記憶部に記憶されている命令を取り出して実行したり、各種入力機器から入力されるデータに対し、二進加算、論理演算、増減、比較などの演算を行う。なお、CPU43は表示指令部の一例である。
【0045】
また、上記制御装置5には、蒸気加熱ヒータ4、循環ファン19、排気ダンパ25、給気ダンパ33、排気希釈ファン30、操作部35、液晶表示部36および水加熱ヒータ41などが接続されている。
【0046】
上記通常調理カロリー記憶部44には、過熱蒸気以外の特定の手段によって加熱調理した後の被加熱物7のカロリーが予め記憶されている。例えば、魚をガスコンロで焼いて作った焼き魚のカロリーや、鶏肉を油であげて作った鶏のからあげのカロリーなどを、通常調理カロリー記憶部44に予め記憶させている。なお、上記通常調理カロリー記憶部44に記憶されているカロリーは、一人分の焼き魚などのカロリーである。
【0047】
上記過熱蒸気調理カロリー記憶部45は、過熱蒸気によって加熱調理した後の被加熱物7のカロリーが予め記憶されている。なお、上記過熱蒸気調理カロリー記憶部45に記憶されているカロリーも、過熱蒸気によって加熱調理した一人分の焼き魚などのカロリーである。
【0048】
上記CPU43は、操作部35によって選択された調理メニューと同じ調理メニューが通常調理カロリー記憶部44,過熱蒸気調理カロリー記憶部45に記憶されていれば、通常調理カロリー記憶部44,過熱蒸気調理カロリー記憶部45のそれぞれの調理メニューのカロリーを所定のプログラムに応じて液晶表示部36に表示する。また、CPU43は、通常調理カロリー記憶部44の調理メニューのカロリーと、過熱蒸気調理カロリー記憶部45の調理メニューのカロリーとの差を計算し、この差も上記プログラムに応じて液晶表示部に表示する。さらに、CPU43は、制御装置5の他の記憶部に予め記憶された変化式に基づいて、上記差に相当する運動量を計算すると共に、その運動量を上記プログラムに応じて液晶表示部36に表示する。
【0049】
以下、上記液晶表示部36の表示制御について説明する。
【0050】
上記表示制御では、まず、図4に示すように、ステップS1で、健康メニューが選択されているか否かを判定する。このステップS1は、健康メニューが選択されていると判定されるまで繰り返される。そして、ステップS1で、健康メニューが選択されていると判定された場合は、ステップS2に進む。なお、上記健康メニューとは、過熱蒸気を用いて調理することによって脱脂・減塩効果が得られる調理メニューであり、通常調理カロリー記憶部44,過熱蒸気調理カロリー記憶部45に記憶されている調理メニューを指す。
【0051】
次に、ステップS2で、上記選択された健康メニューの一人分のカロリーを液晶表示部36に表示する。ここで、上記選択された健康メニューが鶏のからあげなら、液晶表示部36は、図6に示すように、通常調理カロリー記憶部44に記憶された一人分の鶏のからあげのカロリー(261kcal)を表示する。以下、上記選択された健康メニューが鶏のからあげと仮定し、液晶表示部36の表示制御の説明を続ける。
【0052】
次に、ステップS3で、上記選択された健康メニューが決定されたか否かを判定する。つまり、決定ボタン47が押されて、上記選択された健康メニューが確定されたか否かを判定する。このステップS3で、上記選択された健康メニューが確定されたと判定された場合は、ステップS4に進む。一方、上記選択された健康メニューが確定されていないと判定された場合は、図5のステップS11に進む。
【0053】
上記ステップS11に進んだ場合は、予め設定された一定時間が経過したか否かを判定する。このステップS11は、予め設定された一定時間が経過したと判定されるまで繰り返される。そして、上記予め設定された一定時間が経過したと判定された場合は、ステップS11で、カロリーダウンアニメーションを液晶表示部36に表示する。つまり、液晶表示部36は図7〜図9の画像を順次表示し、脂のしずくが落ちるアニメーションを表現する。その後、ステップS12で、過熱蒸気調理カロリーおよびカロリーダウン量を液晶表示部36に表示する。具体的には、液晶表示部36が、図10に示すように、過熱蒸気調理カロリー記憶部45に記憶された一人分の鶏のからあげのカロリー(203kcal)を表示すると共に、そのカロリーと、通常調理カロリー記憶部44に記憶された一人分の鶏のからあげのカロリー(261kcal)とのおおよその差(60kcal)を表示して、ステップS3に戻る。
【0054】
次に、ステップS4で、鶏のからあげの調理が開始されたか否かを判定する。つまり、スタートボタン48が押されて、実質的な調理がスタートしたか否かを判定する。このステップS4は、実質的な調理がスタートしたと判定されるまで繰り返される。そして、ステップS4で、実質的な調理がスタートしたと判定されると、ステップS5に進む。
【0055】
次に、ステップS5で、液晶表示部36が、人がウォーキングしているアニメーションを表示する。
【0056】
次に、ステップS6で、鶏のからあげの調理が終了したか否かを判定する。このステップS6で、鶏のからあげの調理が終了した判定されると、ステップS7に進む。一方、ステップS6で、鶏のからあげの調理が終了していないと判定されると、鶏のからあげの調理が終了したと判定されるまでステップS5,S6を繰り返す。
【0057】
最後に、ステップS7で、液晶表示部36がカロリーダウン効果の表示を行う。具体的には、液晶表示部36は、過熱蒸気調理カロリー記憶部45に記憶された一人分の鶏のからあげのカロリー(203kcal)と、通常調理カロリー記憶部44に記憶された一人分の鶏のからあげのカロリー(261kcal)とのおおよその差(60kcal)に相当する運動量(ウォーキング13分)を表示する。
【0058】
このように、過熱蒸気以外の方法で調理した一人分の鶏のからあげのカロリーと、過熱蒸気で調理した一人分の鶏のからあげのカロリーと、これらのおおよそのカロリー差とが、液晶表示部36に表示されるので、ユーザは過熱蒸気の調理効果を容易に認識することができる。
【0059】
また、上記カロリー差に相当する運動量が液晶表示部36に表示されるので、ユーザは異なる視点から過熱蒸気の調理効果を認識できる。
【0060】
上記実施の形態では、液晶表示部36が、過熱蒸気以外の特定の手段によって加熱調理した後の被加熱物7のカロリーと、過熱蒸気によって加熱調理した後の被加熱物7のカロリーとを表示するようにしていたが、過熱蒸気によって加熱調理した後の被加熱物7のカロリーのみを表示するようにしてもよい。
【0061】
上記実施の形態において、液晶表示部36以外に、過熱蒸気の調理効果をユーザに認識させるための表示部を設けてもよい。例えば、扉34に、図12に示すように、3つの滴形状の点灯部136を設けてもよい。この点灯部136を扉34に設ける場合、過熱蒸気調理カロリー記憶部45に記憶された一人分の調理メニューのカロリーと、通常調理カロリー記憶部44に記憶された一人分の調理メニューのカロリーとの差に応じて、点灯部136の点灯数が変化するようにしてもよい。例えば、上記差が1〜50kcalなら、3つの点灯部136のうちの一つが点灯し、また、上記差が51〜100kcalなら、3つの点灯部136のうちの二つが点灯し、また、上記差が101kcal以上なら、3つの点灯部136が点灯するようにしてもよい。
【0062】
あるいは、図示しないが、点灯形状を大、中、小と変更可能な滴形状の点灯部を扉34に設けてもよい。この点灯部を扉34に設ける場合、過熱蒸気調理カロリー記憶部45に記憶された一人分の調理メニューのカロリーと、通常調理カロリー記憶部44に記憶された一人分の調理メニューのカロリーとの差に応じて、点灯形状が変化するようにしてもよい。例えば、上記差が1〜50kcalなら、上記点灯部の点灯形状が小さくなり、また、上記差が51〜100kcalなら、上記点灯部の点灯形状が中くらいになり、また、上記差が101kcal以上なら、上記点灯部の点灯形状を大きくなるようにしてもよい。
【0063】
あるいは、上記扉34に、図13に示すように、点灯部236を設けてもよい。この点灯部236では、カロリーダウン効果がある調理メニューが選択された場合、第1点灯部237が点灯し、また、減塩効果がある調理メニューが選択された場合、第2点灯部238が点灯し、また、ビタミン保存効果がある調理メニューが選択された場合、第3点灯部239が点灯する。このような点灯部236を扉34に設ける場合、制御装置5が含む記憶部に、複数の調理メニューを予め記憶させておくと共に、各調理メニューの効果を各調理メニューに関連付けて予め記憶させておく。
【0064】
また、上記点灯部136,236の点灯表示を液晶表示部36に行わせてもよい。つまり、過熱蒸気調理カロリー記憶部45に記憶された一人分の調理メニューのカロリーと、通常調理カロリー記憶部44に記憶された一人分の調理メニューのカロリーとの差に応じて、液晶表示部36に表示する滴形状の画像の大きさまたは数を変更するようにしてもよい。
【0065】
以上、本発明の一実施の形態およびその変形例について述べたが、本発明はそれらに限定されず、様々な実施の形態がある。例えば、上記実施の形態と上記変形例とを適宜組み合わせたものを、本発明の一実施の形態としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は本発明の一実施の形態の加熱調理器の外観斜視図である。
【図2】図2は上記加熱調理器の概略構成図である。
【図3】図3は上記加熱調理器の制御ブロック図である。
【図4】図4は上記加熱調理器の表示制御のフローチャートである。
【図5】図5は上記加熱調理器の表示制御のフローチャートである。
【図6】図6は上記加熱調理器の液晶表示部の一表示例を示す図である。
【図7】図7は上記加熱調理器の液晶表示部の一表示例を示す図である。
【図8】図8は上記加熱調理器の液晶表示部の一表示例を示す図である。
【図9】図9は上記加熱調理器の液晶表示部の一表示例を示す図である。
【図10】図10は上記加熱調理器の液晶表示部の一表示例を示す図である。
【図11】図11は上記加熱調理器の液晶表示部の一表示例を示す図である。
【図12】図12は上記加熱調理器の変形例の外観斜視図である。
【図13】図13は上記加熱調理器の変形例の一部の外観図である。
【符号の説明】
【0067】
2…調理室
3…蒸気発生装置
4…蒸気加熱ヒータ
5…制御装置
7…被加熱物
36…液晶表示部
43…CPU
44…通常カロリー記憶部
45…過熱蒸気調理カロリー記憶部
136,236…点灯部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を発生する蒸気発生装置と、
上記蒸気発生装置からの蒸気を昇温して過熱蒸気にする蒸気昇温部と、
上記蒸気昇温部からの過熱蒸気によって被加熱物を加熱するための加熱室と、
上記被加熱物の加熱調理に関する情報を表示する表示部と、
上記表示部の表示を制御する制御部と
を備え、
上記制御部は、上記表示部に、上記過熱蒸気によって加熱調理した後の上記被加熱物のカロリーを表示させることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
上記制御部は、
上記過熱蒸気以外の特定の手段によって加熱調理した後の上記被加熱物のカロリーが予め記憶された通常調理カロリー記憶部と、
上記過熱蒸気によって加熱調理した後の上記被加熱物のカロリーが予め記憶された過熱蒸気調理カロリー記憶部と、
上記通常調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーと、上記過熱蒸気調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーとを、対比できるように上記表示部に表示させる表示指令部と
を有することを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器において、
上記表示指令部は、上記通常調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーと、上記過熱蒸気調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーとの差を、上記表示部に表示させることを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項3に記載の加熱調理器において、
上記表示指令部は、上記差に相当する運動量を上記表示部に表示させることを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
請求項2から4までのいずれか一項に記載の加熱調理器において、
上記表示指令部は、上記通常調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーを上記表示部に表示させた後、上記過熱蒸気調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーを上記表示部に表示させることを特徴とする加熱調理器。
【請求項6】
請求項2から5までのいずれか一項に記載の加熱調理器において、
上記制御部は、上記表示部に、上記被加熱物の含有成分を示す画像を表示させると共に、上記通常調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーと、上記過熱蒸気調理カロリー記憶部に記憶された上記被加熱物のカロリーとの差に応じて、上記被加熱物の含有成分を示す画像の大きさまたは数を変更することを特徴とする加熱調理器。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の加熱調理器において、
上記制御部は、上記表示部に、上記過熱蒸気によって上記被加熱物を加熱調理した際、上記被加熱物から含有成分が除去される様子を示す画像を表示させることを特徴とする加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図12】
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【図13】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−38406(P2010−38406A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199858(P2008−199858)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】