説明

加熱調理器

【課題】組立性およびメンテナンス性に優れたドア構造を得る。
【解決手段】ガイド部材51を取り付けたドアガラス4をドア前面パネル43上に載置して下端部を保持部57で保持し、裏側から筒体50a,50b内に接着剤を注入してドアガラス4を仮固定した後に、ドア前面パネル43の上部前面に化粧パネルを取り付けてドアガラス4の上端部を固定するだけで、ドアガラス4をドア前面パネル43に取り付けることができる。したがって、ドアガラス4の組立性を向上させることができる。さらに、メンテナンスの際にドアガラス4を取り外す必要がある場合には、化粧パネル44を取り外し、ドアガラス4を化粧パネル44の保持部57から上記接着剤の接着力よりも大きな力で引き抜くだけで、ドアガラス4を簡単に化粧パネル44から取り外すことができる。したがって、メンテナンス性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器としては、特開平11‐144857号公報(特許文献1)に開示された高周波加熱調理器がある。
【0003】
上記従来の高周波加熱調理器においては、ドアガラスの表面にフルオロアルキル基とシロキサン結合を有する膜を設け、上記ドアガラスの周囲の上記膜を除去した後に、上記ドアガラスとドア枠とをシリコンパテ等の接着体で接着している。
【0004】
しかしながら、上記従来の高周波加熱調理器においては、上記ドアガラスの全周を接着体で上記ドア枠に固定するドア構造であるため、上記ドアガラスの全周に上記接着体を塗布する必要があり、組立性が悪いという問題がある。さらに、後のメンテナンスの際に上記ドアガラスを取り外す必要が生じた場合に、簡単に上記ドアガラスを取り外すことができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11‐144857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、組立性およびメンテナンス性に優れたドア構造を有する加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の加熱調理器は、
加熱調理を行うための加熱室と、
上記加熱室の開口を開閉するドアと、
上記加熱室内の食材を加熱するための加熱部と
を備え、
上記ドアは、
ドアガラスと、
上記ドアガラスによって塞がれる開口部と、この開口部の周囲に設けられて上記ドアガラスの縁が取り付けられる枠体とを有する前面パネルと、
上記前面パネルにおける上記枠体に設けられると共に、端面が上記ドアガラスの表面に接触した中空の筒状を成し、上記ドアガラスを上記枠体に仮固定するための接着剤が注入される筒体と
を含むことを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、ドアの前面パネルにおける開口部の周囲の枠体に設けられた中空の筒体に接着剤を注入して、上記ドアガラスを上記枠体に仮固定している。したがって、上記ドアガラスの全周を接着体でドア枠に固定する場合に比して、上記ドアガラスの上記前面パネルに対する組立性が容易になる。
【0009】
さらに、上記ドアガラスは、上記筒体内の狭い箇所のみで接着剤による仮固定が行われている。したがって、メンテナンスの際に上記ドアガラスを取り外す必要が生じた場合には、上記ドアガラスを簡単に上記前面パネルから取り外すことができる。
【0010】
さらに、接着剤注入用の上記筒体の端面は、上記ドアガラスの表面に接触している。したがって、上記前面パネルの裏側から上記筒体内に接着剤を注入して上記ドアガラスを仮固定する場合に、上記筒体内に注入された接着剤が上記ドアガラスの表面に漏れ出して上記ドアガラスの表面の美感が低下するのを防止できる。
【0011】
また、1実施の形態の加熱調理器では、
上記筒体は、上記開口部の両側における上記両側の延在方向の中間領域に設けられている。
【0012】
この実施の形態によれば、上記前面パネルの上記筒体に接着剤を注入して上記ドアガラスを仮固定することによって、上記ドアガラスにおける両側の延在方向の中間領域が仮固定される。したがって、上記ドアガラスの上辺部および下辺部を上記前面パネルに対して本固定した場合に生ずる上記ドアガラスにおける両側の延在方向中間領域での上記前面パネルからの浮きを、防止することができる。
【0013】
また、1実施の形態の加熱調理器では、
上記前面パネルにおける上記開口部の一側には、上記ドアガラスの一側辺が当接する段部が設けられており、
上記ドアガラスにおける上記一側辺に対向する他側辺には、上記前面パネル側に向かって突出すると共に、上記ドアガラスの上記他側辺に沿って延在する棒状の突起を有するガイド部材が取り付けられており、
上記前面パネルにおける上記一側に対向する他側には、上記ガイド部材の上記棒状の突起が挿入される溝が形成されており、
上記溝の幅は、上記突起の幅よりも広く設定されている。
【0014】
この実施の形態によれば、上記前面パネルにおける上記開口部の一側に設けられた段部に上記ドアガラスの一側辺を当接させて、上記ドアガラスで上記前面パネルの上記開口部を塞いだ場合には、上記ドアガラスの上記他側辺に取り付けられたガイド部材の棒状の突起が、上記前面パネルの上記他側に形成された溝に挿入される。その場合に、上記溝の幅は、上記突起の幅よりも広く設定されているので、上記溝と上記突起との隙間によって、上記ドアガラスを上記前面パネルの上記段部に当接させるように移動でき、上記前面パネルと上記ドアガラスとの組立性を向上させることができる。
【0015】
より詳しく言えば、上記溝に上記突起を入れた状態で上記ドアガラスを上記前面パネルの上記段部に当接させるように移動させることができ、簡単に上記段部と上記ドアガラスとの間に隙間がないようにできる。
【0016】
さらに、上記ドアガラスの上記一側辺が上記前面パネルにおける上記開口部の上記一側に設けられた段部に当接されているので、上記ドア前面パネルの上記一側と上記ドアガラスとの間に隙間がなく、上記ドアの美感を高めることができる。尚、上記ドアガラスと上記段部との間に隙間がある場合には視覚上目立ち、上記ドアの美感を損なうことになる。
【0017】
また、1実施の形態の加熱調理器では、
上記前面パネルにおける下端部には、上記ドアガラスの下端が挿入されて保持される保持部を設け、
上記前面パネルにおける上記開口部の上側には、ドアハンドルを有する化粧パネルが取り付けられ、化粧パネルの下端部で上記ドアガラスの上端部を外側から固定する。
【0018】
この実施の形態によれば、上記ドアガラスの下端を上記前面パネルの下端部に設けられた保持部によって保持し、上記前面パネルにおける上記開口部の上側に取り付けられた化粧パネルの下端部で上記ドアガラスの上端部を固定することによって、上記ドアガラスを上記前面パネルに対して本固定している。したがって、上記前面パネルに上記化粧パネルを取り付けるだけで上記ドアガラスを上記前面パネルに対して本固定でき、上記ドアガラスの上記前面パネルに対する組立性が容易になる。
【0019】
さらに、メンテナンスの際に上記ドアガラスを取り外す必要が生じた場合には、上記化粧パネルを取り外し、上記ドアガラスを上記前面パネルの保持部から上記接着剤の接着力よりも大きな力で引き抜くだけで、上記ドアガラスを簡単に上記前面パネルから取り外すことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上より明らかなように、この発明の加熱調理器は、ドアの前面パネルにおける開口部の周囲の枠体に、上記開口部を塞ぐドアガラスの表面に端面が接触する中空の筒体を設けて、この筒体内に接着剤を注入して上記ドアガラスを上記枠体に仮固定するので、上記ドアガラスの全周を接着体でドア枠に固定する場合に比して、上記ドアガラスの上記前面パネルに対する組立性を容易にできる。
【0021】
さらに、上記ドアガラスは上記筒体内の狭い箇所のみで接着剤による仮固定が行われている。したがって、メンテナンスに際して上記ドアガラスを取り外す必要が生じた場合には、上記ドアガラスを簡単に上記前面パネルから取り外すことができる。
【0022】
さらに、接着剤注入用の上記筒体の端面が上記ドアガラスの表面に接触しているので、上記筒体内に注入された接着剤が上記ドアガラスの表面に漏れ出して、上記ドアガラスの表面の美感が低下するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の加熱調理器における正面斜視図である。
【図2】図1に示す加熱調理器の前側から見た縦断面の模式図である。
【図3】図1におけるドアの正面図,平面図および右側面図である。
【図4】ドア前面パネルの正面図である。
【図5】ドア前面パネルの斜視図である。
【図6】図3(a)におけるA‐A'矢視断面の部分拡大図である。
【図7】図3(a)におけるB‐B'矢視断面の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態の加熱調理器における正面斜視図である。この加熱調理器は、直方体形状のケーシング1の正面に、下端側の辺を略中心に回動するドア2が取り付けられている。このドア2の上部にはハンドル3を取り付ける一方、略中央には耐熱性のドアガラス4を取り付けている。また、ドア2の図中右側には、操作パネル5を設けている。この操作パネル5は、カラー液晶表示部6とボタン群7とを有している。また、ケーシング1の上面における右側後方には排気ダクト8を設けている。さらに、ケーシング1の扉2の下方には、露受容器9を着脱自在に取り付けている。
【0026】
図2は、図1に示す加熱調理器のドア2側(前側)から見た縦断面の模式図である。図2に示すように、この加熱調理器では、水タンク11から供給された水を蒸気発生装置12で加熱して飽和水蒸気を生成する。蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気は、加熱室13の図中右側面に取り付けられた循環ユニット14における蒸気吸込口15の加熱室13側に、蒸気供給管16から噴き出される。また、循環ユニット14内には、蒸気吸込口15に対向するように、ファンモータ18によって回転駆動される循環ファン17が配置されている。
【0027】
上記加熱室13の天面および図中左側面を覆うように、L字状に折り曲げられた蒸気ダクト19を設けている。この蒸気ダクト19は、加熱室13の天面に固定された第1ダクト部20と、第1ダクト部20の左側から下側に屈曲する屈曲部21と、加熱室13の左側面に固定されて、屈曲部21を介して第1ダクト部20に連なる第2ダクト部22とを含んでいる。そして、蒸気ダクト19の第1ダクト部20には、過熱蒸気生成ヒータ23が収納されている。
【0028】
そして、上記蒸気ダクト19における第1ダクト部20の図中右側は、接続管25を介して循環ユニット14の上部に設けられた蒸気供給口26に連通している。加熱室13の天板27には複数の第1蒸気噴出口28が設けられており、蒸気ダクト19の第1ダクト部20は、第1蒸気噴出口28を介して加熱室13内に連通している。一方、蒸気ダクト19における第2ダクト部22は、加熱室13の左側面に設けられた複数の第2蒸気噴出口29を介して加熱室13内に連通している。
【0029】
上記循環ユニット14と過熱蒸気生成装置24と加熱室13とそれらを接続する接続部材とによって、蒸気の循環経路が形成されている。この循環経路における循環ユニット14の加熱室13との境界部に、蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気が供給される。そして、供給された飽和水蒸気は、循環ファン17の回転によって負圧になっている循環ユニット14内に蒸気吸込口15から強制的に吸い込まれて、上記循環経路を循環する循環気流に合流することになる。
【0030】
こうして、上記循環ユニット14内に吸い込まれた飽和水蒸気は、蒸気供給口26から過熱蒸気生成装置24内に噴き出される。そして、過熱蒸気生成ヒータ23によって加熱されて過熱蒸気となる。この過熱蒸気の一部は、図中下側にある加熱室13の天板27に設けられた複数の第1蒸気噴出口28から、加熱室13内に下方に向って噴き出される。また、過熱蒸気の他の一部は、屈曲部21および第2ダクト部22を介して、加熱室13の第2蒸気噴出口29から加熱室13内に噴き出される。
【0031】
そして、上記加熱室13内のトレイ30上に搭載された被加熱物31の上側が主に第1蒸気噴出口28からの過熱蒸気によって加熱され、被加熱物31の下側が主に第2蒸気噴出口29からの過熱蒸気によって加熱される。被加熱物31を加熱した後の過熱蒸気は、加熱室13における上記右側面に、循環ユニット14の蒸気吸込口15に対向して形成された吸込口32から循環ユニット14内に吸い込まれ、上記蒸気循環経路を通って再び加熱室13内に戻るという循環を繰り返すのである。
【0032】
尚、上記加熱室13における上記右側面および上記左側面には、トレイ30の両端部を係止する係止部33a,33b,33cが、上下方向3段に設けられている。
【0033】
また、上記加熱室13の下部には、図示しないマグネトロンが配置されている。このマグネトロンで発生したマイクロ波は、導波管(図示せず)によって加熱室13の下部中央に導かれ、モータ34によって駆動される回転アンテナ35によって攪拌されながら加熱室13内の上方に向かって放射されて被加熱物31を加熱する。上記過熱蒸気生成ヒータ23および上記マグネトロンで、加熱部を構成している。
【0034】
また、上記ケーシング1内の下側には、冷却ファン(図示せず)と電装部品36とを配置している。電装部品36は、加熱調理器の各部を駆動する駆動回路やこの駆動回路を制御する制御回路等を含んでいる。
【0035】
図3は、図1に示す加熱調理器のドア2における正面図(図3(a)),平面図(図3(b))および右側面図(図3(c))である。ドア2は、カラー液晶表示部6を臨む矩形の穴41およびボタン群7の各ボタンが挿通される孔群42が設けられた操作パネル5を有するドア前面パネル43と、ドア前面パネル43における前面に嵌め込まれるドアガラス4と、ドア前面パネル43における前面上部に取り付けられる化粧パネル44とを含んで構成されている。尚、ドアガラス4の周囲は塗装されて不透明になっており、中央の矩形領域4aが透明になっている。また、化粧パネル44にはハンドル3が取り付けられている。
【0036】
図4は、上記ドアガラス4と化粧パネル44とを取り外した状態のドア前面パネル43の正面図である。また、図5は、ドア前面パネル43の斜視図である。
【0037】
図4および図5に示すように、ドア前面パネル43における操作パネル5の図4中左側の辺に沿って、ドアガラス4の図3a中右側(以下、単に右側と言う)の辺が当接する段部45が設けられている。また、ドア前面パネル43における図4中左側(以下、単に左側と言う)の辺に沿って、後に詳述するドアガラス4のガイド部材をガイドする溝46が設けられている。また、ドア前面パネル43における操作パネル5を除く領域であって、後に化粧パネル44が取り付けられる領域を除く領域には、ドアガラス4を透過して加熱室13内が見えるようにするための開口部47が設けられている。
【0038】
そして、上記ドア前面パネル43における開口部47の周囲にはドアガラス4を取り付けるための枠体48が設けられており、枠体48における開口部47の両側に、接着剤注入用の貫通穴49a,49bが設けられている。この貫通穴49a,49bは矩形の断面形状を有する筒体50a,50bで構成されており、筒体50a,50bの上端はドア前面パネル43にドアガラス4が嵌め込まれた際に、ドアガラス4の表面に当接するようになっている。
【0039】
以下、上記ドアガラス4をドア前面パネル43の前面に取り付ける手順について説明する。図6は、図3(a)におけるA‐A'矢視断面の部分拡大図である。但し、図6においては、分かり易くするために、ドアガラス4,ドア前面パネル43および上記ガイド部材のみを示している。
【0040】
先ず、図6に示すように、ドアガラス4における図中左側(以下、単に左側と言う)の辺に沿って、ガイド部材51を取り付ける。このガイド部材51は、ドアガラス4の左側辺の長さと略同じ長さを有している。さらに、図6に示す断面視で、水平方向に延在する水平部材51aと水平部材51aの外端から垂直方向に且つ上方に向かって延在する垂直部材51bとで概略L字状の断面形状を有している。また、水平部材51aの図6中下面には、下方向に突出すると共に、ガイド部材51の長手方向に延在する棒状の突起51cを有している。
【0041】
そして、上記ガイド部材51における水平部材51aの上面にドアガラス4における左側の下面を載せると共に、ドアガラス4における左側の端面を垂直部材51bの内面に当接させて、ドアガラス4にガイド部材51を接着等によって取り付ける。
【0042】
次に、図6に示すように左側辺に沿ってガイド部材51が取り付けられたドアガラス4における右側辺を、図5にも示すように、ドア前面パネル43の段部45に当接させる。この状態で、図6に示すように、ガイド部材51の突起51cをドア前面パネル43の溝46に挿入して、ガイド部材51を、ドア前面パネル43における左側の側板52の上端面に載置する。こうすることによって、ドアガラス4は、ドア前面パネル43における開口部47の周囲の枠体48に設けられたリブ53,54a,54b,55上に載置される。
【0043】
上記ドア前面パネル43は、ポリカーボネート等のプラスチックで構成される。その場合、上記ポリカーボネートの熱膨張率とドアガラス4の熱膨張率とには大きな差があるため、ドア前面パネル43に対するドアガラス4の取り付けには公差を設ける必要がある。しかしながら、ドアガラス4の左右両側をドア前面パネル43に対して固定すると、ドア前面パネル43とドアガラス4との上記公差の範囲内での位置ズレを吸収することができない。一方において、ドア前面パネル43とドアガラス4との位置ズレによって、ドア前面パネル43の段部45の位置に操作パネル5とドアガラス4との間に隙間が生ずることは、美感上好ましくない。
【0044】
そこで、本実施の形態においては、上記ドア前面パネル43における左側縁に沿って溝46を設け、この溝46の幅をガイド部材51における突起51cの幅よりも広く設定しておく。そして、ドアガラス4をドア前面パネル43に取り付ける際には、ドアガラス4の右側辺をドア前面パネル43の段部45に当接させた状態で、ガイド部材51の突起51cをドア前面パネル43の溝46に挿入するのである。こうすることによって、溝46と突起51cとの隙間によって、ドアガラス4をドア前面パネル43の段部45に当接させるように移動させて、簡単にドアガラス4と段部45との間に隙間ができないようにすることができる。したがって、ドア前面パネル43とドアガラス4との組立性を向上できるのである。さらに、ドア前面パネル43の操作パネル5とドアガラス4との間に隙間が生ずることがなく、ドア2の美感を高めることができる。尚、操作パネル5とドアガラス4との間に隙間がある場合には視覚上目立ち、ドア2の美感を損なうことになる。
【0045】
こうして、上記ドアガラス4の右側辺をドア前面パネル43の段部45に当接させ、ガイド部材51をドア前面パネル43の側板52上に載置してドアガラス4をリブ53,54a,54b,55上に載置した状態で、ドアガラス4をドア前面パネル43の段部45および溝46をガイドとして図4中下側(図5中右下側)にスライドさせる。
【0046】
図7は、図3(a)におけるB‐B'矢視断面の部分拡大図である。但し、図7では、分かり易くするために、ドアガラス4,ドア前面パネル43および中間パネル(後述する)のみを示している。
【0047】
図7に示すように、上記ドア前面パネル43における図中下側の側板56のドアガラス4側の縁がドアガラス4の表面と同方向に折り曲げられて、ドアガラス4の下端部が挿入されて保持される保持部57を構成している。また、ドア前面パネル43における上記下側に設けられたリブ55には、下側に向かって高くなるように傾斜が設けられている。そして、リブ55の側端面における最下位置55aとドア前面パネル43における保持部57の内面57aとの間隔が、ドアガラス4の厚みになるように構成されている。
【0048】
したがって、上記ドア前面パネル43上を図中下側にスライドされるドアガラス4の下端部が、リブ55の上記側端面における最下位置55aとドア前面パネル43における保持部57の内面57aとによって保持されることになる。
【0049】
この状態で、上記ドア前面パネル43を裏返し、開口部47の両側に設けられている筒体50a,50b内に接着剤が注入されて、ドアガラス4がドア前面パネル43に対して仮固定される。ここで、図6に示すように、貫通穴49aを構成する筒体50aの図中上端はドアガラス4の表面に当接している。貫通穴49bの場合も同様である。したがって、筒体50a,50b内に注入された接着剤がドアガラス4の表面に漏れ出して、ドアガラス4の表面の美感が低下しないのである。
【0050】
また、上述したように、上記ドアガラス4の下端部は、上記ドア前面パネル43の保持部57によって保持される。一方、ドアガラス4の上端部は、後に詳述するように、上記中間パネルおよび化粧パネル44によって固定される。したがって、ドアガラス4は、上下方向の中間領域でドア前面パネル43から浮き易くなる。そこで、ドア前面パネル43の開口部47の両側における上下方向の中間領域における筒体50a,50bの箇所を接着剤で仮固定して、ドアガラス4がドア前面パネル43から浮くのを防止するのである。
【0051】
そうした後、図7に示すように、上記ドア前面パネル43の上部前面に、一部がドア2の上端面を構成する第1中間パネル58と、この第1中間パネル58に積層される第2中間パネル59とを介して、化粧パネル44をネジ60によって取り付ける。その場合、化粧パネル44にはハンドル3が取り付けられており、ハンドル3の図7中下端部が下方に突出している。したがって、この突出部3aとドア前面パネル43の開口部47の縁61とでドアガラス4の図7中上端部が挟まれて固定されるのである。
【0052】
以上のごとく、本実施の形態においては、上記ドア2の略中央に取り付けられるドアガラス4の左側部に、長手方向に延在する棒状の突起51cを有するガイド部材51を取り付ける。そして、ドアガラス4の右側辺をドア前面パネル43の段部45に当接させた状態でガイド部材51の突起51cをドア前面パネル43の溝46に挿入し、ドアガラス4を、ドア前面パネル43における開口部47の周囲の枠体48に設けられたリブ53,54a,54b,55上に載置する。その後、ドアガラス4を下側にスライドさせて下端部をドア前面パネル43の保持部57で保持する。
【0053】
そうした後、上記ドア前面パネル43を裏向きに倒して、開口部47の両側に設けられている貫通穴49a,49b内に接着剤を注入して、ドア前面パネル43に対してドアガラス4を仮固定するようにしている。
【0054】
その際に、上記貫通穴49a,49bは、端面がドアガラス4の表面に当接する筒体50a,50bで構成されている。したがって、筒体50a,50b内に注入された接着剤がドアガラス4の表面に漏れ出して、ドアガラス4の表面の美感が低下することを防止できる。
【0055】
また、上記ドア前面パネル43の筒体50a,50bは、開口部47の上下方向の略中間領域に設けられている。したがって、下端部がドア前面パネル43の保持部57によって保持される一方、上端部が化粧パネル44によって固定されるため、ドア前面パネル43から浮き易いドアガラス4の両側辺の延在方向の中間領域を接着剤で仮固定して、ドアガラス4がドア前面パネル43から浮くのを防止できるのである。
【0056】
さらに、上記ドア前面パネル43の上部前面に第1,第2中間パネル58,59を介して化粧パネル44を取り付けて、化粧パネル44の突出部3aでドアガラス4の上端部を本固定するようにしている。
【0057】
このように、本実施の形態においては、上記ガイド部材51を取り付けたドアガラス4をドア前面パネル43上に載置して、開口部47を塞ぐと共に下端部を保持部57で保持し、裏側から筒体50a,50b内に接着剤を注入してドアガラス4を仮固定した後に、ドア前面パネル43の上部前面に化粧パネル44を取り付けて突出部3aでドアガラス4の上端部を固定するだけで、ドアガラス4をドア前面パネル43に簡単に取り付けることができる。したがって、ドアガラス4の組立性を向上させることができる。
【0058】
さらに、上記ドアガラス4はドア前面パネル43に対して2箇所を接着剤で仮固定しているだけである。したがって、後にメンテナンスの際にドアガラス4を取り外す必要が生じた場合には、化粧パネル44を取り外し、ドアガラス4をドア前面パネル43の保持部57から上記接着剤の接着力よりも大きな力で引き抜くだけで、ドアガラス4を簡単にドア前面パネル43から取り外すことができるのである。
【0059】
また、上記ドア前面パネル43の溝46の幅をガイド部材51の突起51cの幅よりも広く設定している。したがって、溝46と突起51cとの隙間によって、ドアガラス4をドアパネル43の段部45に当接させるように移動でき、ドア前面パネル43とドアガラス4との組立性を向上できる。尚且つ、ドア前面パネル43の操作パネル5とドアガラス4との間に隙間が生ずることがなく、ドア2の美感を高めることができるのである。
【0060】
尚、本実施の形態においては、上記接着剤注入用の貫通穴49a,49bを矩形の断面形状を有する筒体50a,50bで構成しているが、上記筒体の横断面形状は矩形に限定されるものではない。
【0061】
また、上記筒体50a,50bで構成される貫通穴49a,49bの断面積は、注入される接着剤のドアガラス4との接着力と、ドアガラス4を取り外す場合におけるドアガラス4の引き抜き力との兼ね合いで、最適な値に設定すればよい。
【0062】
また、本実施の形態においては、上記接着剤注入用の筒体50a,50bを、ドア前面パネル43における開口部47の両側に一つずつ設けている。しかしながら、この発明における接着剤注入用の筒体の設置箇所や個数は、少なくともドアガラス4がドア前面パネル43から浮くのを防止できれば、ドアガラス4の仮固定性と取り外し性とを両立させることが可能なように適宜設定すればよい。
【符号の説明】
【0063】
1…ケーシング、
2…ドア、
3…ハンドル、
4…ドアガラス、
5…操作パネル、
6…カラー液晶表示部、
7…ボタン群、
12…蒸気発生装置、
13…加熱室、
24…過熱蒸気生成装置、
35…マイクロ波の回転アンテナ、
43…ドア前面パネル、
44…化粧パネル、
45…段部、
46…溝、
47…開口部、
48…枠体、
49a,49b…貫通穴、
50a,50b…筒体、
51…ガイド部材、
51c…棒状の突起、
52,56…ドア前面パネルの側板、
53,54a,54b,55…リブ、
57…保持部、
58,59…中間パネル、
61…開口部の縁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理を行うための加熱室と、
上記加熱室の開口を開閉するドアと、
上記加熱室内の食材を加熱するための加熱部と
を備え、
上記ドアは、
ドアガラスと、
上記ドアガラスによって塞がれる開口部と、この開口部の周囲に設けられて上記ドアガラスの縁が取り付けられる枠体とを有する前面パネルと、
上記前面パネルにおける上記枠体に設けられると共に、端面が上記ドアガラスの表面に接触した中空の筒状を成し、上記ドアガラスを上記枠体に仮固定するための接着剤が注入される筒体と
を含むことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
上記筒体は、上記開口部の両側における上記両側の延在方向中間領域に設けられている
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2に記載の加熱調理器において、
上記前面パネルにおける上記開口部の一側には、上記ドアガラスの一側辺が当接する段部が設けられており、
上記ドアガラスにおける上記一側辺に対向する他側辺には、上記前面パネル側に向かって突出すると共に、上記ドアガラスの上記他側辺に沿って延在する棒状の突起を有するガイド部材が取り付けられており、
上記前面パネルにおける上記一側に対向する他側には、上記ガイド部材の上記棒状の突起が挿入される溝が形成されており、
上記溝の幅は、上記突起の幅よりも広く設定されている
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の加熱調理器において、
上記前面パネルにおける下端部には、上記ドアガラスの下端が挿入されて保持される保持部を設け、
上記前面パネルにおける上記開口部の上側には、ドアハンドルを有する化粧パネルが取り付けられ、化粧パネルの下端部で上記ドアガラスの上端部を外側から固定する
ことを特徴とする加熱調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−36636(P2013−36636A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170966(P2011−170966)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】