説明

加熱調理装置

【課題】作業者の負担を軽減できる加熱調理装置を提供する。
【解決手段】加熱調理装置1は、前面開口部16を通して炊飯釜2を出し入れ可能な複数段の加熱室3を有する装置本体17を備える。装置本体17には、加熱室3の前面開口部16を開閉する開閉扉18を上下方向に回動可能に設ける。装置本体17には、炊飯釜2を載置可能な載置台部77を有する載置昇降手段19を昇降可能に設ける。装置本体17には、載置昇降手段19を装置本体17に対して昇降させる昇降駆動手段20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者の負担を軽減できる加熱調理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば非特許文献1に記載された業務用の立体炊飯器等の加熱調理装置が知られている。
【0003】
この従来の加熱調理装置は、前面に形成された前面開口部を通して炊飯釜等の被加熱容器を出し入れ可能な上下方向に複数段の加熱室を有する装置本体と、この装置本体に回動可能に設けられ各加熱室の開口部を開閉する開閉扉とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】[online]、株式会社アイホー、[平成23年4月11日検索]、インターネット<URL:http://www.aiho.co.jp/product/default-su07.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の加熱調理装置では、例えば被加熱容器が重い場合等には、被加熱容器を上段の加熱室に入れる作業や被加熱容器を上段の加熱室から取り出す作業が、作業者にとって大きな負担となるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、作業者の負担を軽減できる加熱調理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の加熱調理装置は、開口部を通して被加熱容器を出し入れ可能な加熱室を有する装置本体と、開状態となって前記開口部を開口させ、閉状態となって前記開口部を閉鎖する開閉扉と、前記装置本体に昇降可能に設けられ、被加熱容器が載置される載置昇降手段と、この載置昇降手段を前記装置本体に対して昇降させる昇降駆動手段とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載の加熱調理装置は、請求項1記載の加熱調理装置において、載置昇降手段は、装置本体に昇降可能に設けられた昇降体と、この昇降体に設けられ、被加熱容器が載置される載置体とを有し、前記載置体が開状態の開閉扉にて下方から支持された状態時に、被加熱容器の加熱室に対する出し入れが行われるものである。
【0009】
請求項3記載の加熱調理装置は、請求項2記載の加熱調理装置において、載置体は、昇降体に対して上下方向に回動可能となっているものである。
【0010】
請求項4記載の加熱調理装置は、請求項3記載の加熱調理装置において、載置体は、昇降体に上下方向に回動可能に設けられた支持アーム部と、この支持アーム部の先端部に設けられた載置台部とを有するものである。
【0011】
請求項5記載の加熱調理装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載の加熱調理装置において、載置昇降手段は、開状態の開閉扉との接触により下降停止信号を出力する下降停止スイッチを有するものである。
【0012】
請求項6記載の加熱調理装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載の加熱調理装置において、載置昇降手段は、開状態の開閉扉との接触により下降停止信号を出力する開閉扉用下降停止スイッチと、作業台との接触により下降停止信号を出力する作業台用下降停止スイッチとを有するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置本体に昇降可能に設けられ被加熱容器が載置される載置昇降手段と、この載置昇降手段を装置本体に対して昇降させる昇降駆動手段とを備えるため、作業者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る加熱調理装置の側面図である。
【図2】同上加熱調理装置の正面図である。
【図3】同上加熱調理装置の平面図である。
【図4】開閉扉用下降停止スイッチがオンした状態の部分側面図である。
【図5】作業台用下降停止スイッチがオンした状態の部分側面図である。
【図6】(a)ないし(e)は、炊飯釜を加熱室に入れる場合の説明図である。
【図7】(a)ないし(e)は、炊飯釜を加熱室から取り出す場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1ないし図3において、1は加熱調理装置で、この加熱調理装置1は、例えば加熱調理である炊飯を行うバッチ式の炊飯装置(立体炊飯器)である。つまり、加熱調理装置1は、上下方向に複数段の加熱室3に出し入れ可能に入れられた被加熱容器である業務用の炊飯釜2を加熱して炊飯を行うものである。
【0017】
炊飯釜2は、上面開口部5を有する有底円筒状の釜本体6と、この釜本体6の上面開口部5を開閉する蓋体7とに構成されている。釜本体6は、円形状の底板部11を有し、この底板部11の周端部に円筒状の側板部12が立設されている。側板部12の上端部には、一対の鍔部13および一対の取手部14が突設されている。
【0018】
加熱調理装置1は、前面に形成された開口部である前面開口部16を通して炊飯釜2を出し入れ可能な上下方向に複数段、すなわち例えば3段の加熱室3を有する装置本体17と、各加熱室3に対応してそれぞれ設けられ対応する加熱室3の前面開口部16を開閉する回動可能な板状の開閉扉18とを備えている。また、加熱調理装置1は、装置本体17に昇降可能に設けられ炊飯釜2が載置される載置昇降手段19と、この載置昇降手段19を装置本体17に対して昇降させる昇降駆動手段20とを備えている。
【0019】
装置本体17は、左右いずれか一方の側板部である左側板部21および左右いずれか他方の側板部である右側板部22を有している。左側板部21には、上下方向に細長い矩形状の固定板23が固定されている。
【0020】
固定板23には、載置昇降手段19の昇降時にこの載置昇降手段19を上下方向に案内する案内手段、すなわち例えばそれぞれ上下方向長手状をなす案内軸24および案内板25が固着されている。固定板23には、上下方向長手状のスクリュー軸等の回転軸26が回転可能に取り付けられ、この回転軸26は案内軸24および案内板25間に配設されている。回転軸26の外周面には、螺旋状の螺旋凸部27が回転軸26の上端部から下端部にわたって形成されている。回転軸26の上端部には、この回転軸26を回転させる駆動源である駆動モータ28の出力軸29が連結されている。駆動モータ28には、この駆動モータ28を制御する制御手段10が電気的に接続されている。なお、回転軸26、駆動モータ28および制御手段10等にて、昇降駆動手段20が構成されている。
【0021】
また、固定板23の上端部には、載置昇降手段19を上限位置に停止させるための検知手段である上限用スイッチ31が取り付けられている。上限用スイッチ31は、スイッチ本体部32と、このスイッチ本体部32に上下方向に回動可能に設けられたアーム部33と、このアーム部33の先端部に回転可能に設けられたローラ部30とを有している。さらに、固定板23の下端部には、載置昇降手段19を下限位置に停止させるための検知手段である下限用スイッチ34が取り付けられている。下限用スイッチ34は、スイッチ本体部35と、このスイッチ本体部35に上下方向に回動可能に設けられたアーム部36と、このアーム部36の先端部に回転可能に設けられたローラ部37とを有している。なお、上限位置は上段の出し入れ用停止位置よりも上方の位置であり、下限位置は下段の出し入れ用停止位置よりも下方の位置である。
【0022】
装置本体17の各加熱室3は、前面開口部16を介して前方に向かって開口するものであり、例えば略直方体状の空間部にて構成されている。加熱室3の下部には、炊飯釜2を加熱する加熱手段であるガスバーナ38および炊飯釜2の底板部11の温度を検知する温度センサ39が配設されている。また、加熱室3の上部の左右両側には、炊飯釜2の加熱室3に対する出し入れ時に炊飯釜2の鍔部13を前後方向(出し入れ方向)に案内するガイドローラ40がそれぞれ複数個ずつ回転可能に配設されている。
【0023】
開閉扉18は、装置本体17に左右方向の支軸(図示せず)を中心として上下方向に回動可能に設けられている。そして、開閉扉18は、90度の下方回動により水平姿勢の開状態となって前面開口部16を開口させ、90度の上方回動により鉛直姿勢の閉状態となって前面開口部16を閉鎖する。なお、開閉扉18の開状態時には、開閉扉18は装置本体17の前面から前方に向かって突出して位置する。開閉扉18の閉状態時には、開閉扉18は装置本体17の前面に沿って位置する。
【0024】
また、開閉扉18は、装置本体17に左右方向の支軸を中心として上下方向に回動可能に設けられた矩形板状の扉本体部41を有している。扉本体部41の前面である外面には、コ字状の取手部42が設けられている。扉本体部41の後面である内面には、複数(例えば2つ)の直方体状の突出部43が固定的に突設されている。突出部43には、炊飯釜2の加熱室3に対する出し入れ時に炊飯釜2の底板部11を前後方向(出し入れ方向)に案内するガイドローラ44が回転可能に設けられている。なお、扉本体部41の内面の一部が、平面状の台支持面45となっている(図4参照)。
【0025】
載置昇降手段19は、装置本体17に昇降可能に設けられた昇降体51と、この昇降体51に左右方向の支軸(回動支点)53を中心として上下方向に回動可能に設けられ炊飯釜2が載置される載置体52とを有している。なお、載置体52は、作用状態(図1において実線で示す状態)と非作用状態である跳ね上げ状態(図1において2点鎖線で示す状態)との間で、昇降体51に対して上下方向に回動可能となっている。
【0026】
昇降体51は、装置本体17に対して昇降可能な矩形板状のベース部である昇降板部55を有している。昇降板部55は、装置本体17の固定板23と対向した状態に配設されている。昇降板部55のうち固定板23と対向する側の面には、案内軸用筒状部56および回転軸用筒状部57が固定的に突設されている。案内軸用筒状部56には、装置本体17の案内軸24が挿通されている。案内軸用筒状部56の内周面は、案内軸24の外周面に対してスライド可能となっている。回転軸用筒状部57には、昇降駆動手段20の回転軸26が挿通されている。回転軸用筒状部57の内周面には螺旋状の螺旋凹部58が形成され、この螺旋凹部58と回転軸26の螺旋凸部27とが噛み合っている。このため、回転軸26が一方向に回転すると昇降体51が上昇し、回転軸26が他方向に回転すると昇降体51が下降する。
【0027】
また、昇降板部55のうち固定板23と対向する側とは反対側の面には、載置体52を下方から支持して作用状態に維持する凹状の状態維持手段である支持部59が固定的に突設されている。支持部59には、上方に向かって開口する円弧面状の支持面60が形成されている。なお、載置体52を跳ね上げ状態に維持する状態維持手段は、例えば図示しないが、装置本体17に基端部が取り付けられ先端部を載置体52に脱着可能に取り付けるチェーン等である。
【0028】
さらに、昇降板部55のうち固定板23と対向する側とは反対側の面には、載置体52が作用状態であるか否かを検知する検知手段であるスイッチ61が取り付けられている。スイッチ61は、スイッチ本体部62と、このスイッチ本体部62に上下方向に回動可能に設けられたアーム部63と、このアーム部63の先端部に回転可能に設けられたローラ部64とを有している。そして、昇降駆動手段20の制御手段10は、スイッチ61の作動に基づき、載置体52が作用状態である場合にのみ、駆動モータ28を作動させる。
【0029】
載置体52は、昇降体51の昇降板部55に支軸53を中心として上下方向に回動可能に設けられた支持アーム部71を有している。支持アーム部71は、例えば断面円形状の1本のアーム部材のみにて構成され、平面視でL字状をなすものである。つまり、支持アーム部71は、前後方向長手状の第1棒部分73と、左右方向長手状の第2棒部分74と、これら第1棒部分73と第2棒部分74とを一体に連結する湾曲状の連結棒部分75とにて構成されている。なお、載置体52の作用状態時には、支持アーム部71の第1棒部分73の後端近傍の部分が、昇降体51の支持部59の支持面60にて嵌合支持されている。
【0030】
そして、支持アーム部71の基端部(第1棒部分73の後端部)が、支軸53を介して昇降板部55の略中央部に回動可能に取り付けられている。支持アーム部71の先端部(第2棒部分74の右端部)には、炊飯釜2が上面上に載置される矩形板状の載置台部(釜載置台)77が固設されている。載置台部77は、載置体52の作用状態時には、装置本体17の前方近傍位置に水平面に沿った水平状態で位置する。そして、載置台部77は、上面上に載置された炊飯釜2とともに、装置本体17の前方近傍位置で水平状態のままその装置本体17に対して昇降する。
【0031】
載置台部77は、矩形板状の台本体78を有している。台本体78の上面の左右方向中央部には、炊飯釜2の底板部11と摺接する複数の合成樹脂製の摩擦減少部材である載置板79が固定的に突設されている。載置板79は、前後方向に細長い矩形板状に形成されている。台本体78の上面の前端側の左右角部には、載置台部77上から炊飯釜2が落下することを防止するための合成樹脂製のストッパ80が固定的に突設されている。ストッパ80は、平面視で三角形状をなすものである。
【0032】
台本体78の上面側の後部には、炊飯釜2の加熱室3に対する出し入れ時に炊飯釜2の底板部11を前後方向(出し入れ方向)に案内する複数のガイドローラ81が回転可能に設けられている。つまり、作業者による炊飯釜2の加熱室3に対する出し入れの際、炊飯釜2は、略水平状態に保たれるように配置した載置体52のガイドローラ81、開状態の開閉扉18のガイドローラ44および装置本体17のガイドローラ40にて案内されながら、人力により前後方向に移動する。
【0033】
また、台本体78の下面側の後部右側には、載置昇降手段19を上限位置と下限位置との間の所望位置、すなわち例えば各加熱室3に対応する所定の出し入れ用停止位置に停止させるための検知手段である開閉扉用下降停止スイッチ83が取り付けられている。開閉扉用下降停止スイッチ(第1スイッチ)83は、スイッチ本体部(図示せず)と、このスイッチ本体部に上下方向に回動可能に設けられ台本体78の下面から突出するアーム部84と、このアーム部84の先端部に回転可能に設けられたローラ部85とを有している。なお、台本体78の下面には、アーム部84が上方に回動した際に、アーム部84およびローラ部85を収納可能な収納凹部(図示せず)が形成されている。
【0034】
そして、図4に示すように、載置昇降手段19が下降し、載置体52の載置台部77の台本体78の後部下面が開状態の開閉扉18の扉本体部41の台支持面45に面状に当接すると、昇降駆動手段20の制御手段10は、開閉扉用下降停止スイッチ83の作動に基づき、駆動モータ28を停止させ、載置昇降手段19を出し入れ用停止位置に停止させる。
【0035】
つまり、開閉扉用下降停止スイッチ83のローラ部85が台支持面45との接触により押されてアーム部84が上方に回動すると、そのスイッチ83がオン状態となって下降停止信号(オン信号)を制御手段10に出力し、その制御手段10が下降停止信号に基づいて駆動モータ28を停止させる。
【0036】
すると、載置昇降手段19が出し入れ用停止位置に停止し、載置体52の載置台部77の台本体78の下面が開状態の開閉扉18の台支持面45にて下方から支持された状態となる。つまり、載置台部77が開状態の開閉扉18上に載った状態となる。そして、この状態時に、作業者の手作業によって、前面開口部16を通して炊飯釜2の加熱室3に対する出し入れが行われる。
【0037】
また、台本体78の下面側の前部左側には、載置昇降手段19を上限位置と下限位置との間の所望位置、すなわち例えば任意の作業用停止位置に停止させるための検知手段である作業台用下降停止スイッチ86が取り付けられている。作業台用下降停止スイッチ(第2スイッチ)86は、スイッチ本体部(図示せず)と、このスイッチ本体部に上下方向に回動可能に設けられ台本体78の下面から突出するアーム部87と、このアーム部87の先端部に回転可能に設けられたローラ部88とを有している。なお、台本体78の下面には、アーム部87が上方に回動した際に、アーム部87およびローラ部88を収納可能な収納凹部(図示せず)が形成されている。
【0038】
そして、図5に示すように、載置昇降手段19が下降し、載置体52の載置台部77の台本体78の前部下面が作業台90の上面に面状に当接すると、昇降駆動手段20の制御手段10は、作業台用下降停止スイッチ86の作動に基づき、駆動モータ28を停止させ、載置昇降手段19を作業用停止位置に停止させる。
【0039】
つまり、作業台用下降停止スイッチ86のローラ部88が作業台90の上面との接触により押されてアーム部87が上方に回動すると、そのスイッチ86がオン状態となって下降停止信号(オン信号)を制御手段10に出力し、その制御手段10が下降停止信号に基づいて駆動モータ28を停止させる。
【0040】
すると、載置昇降手段19が作業用停止位置に停止し、載置体52の載置台部77の台本体78の下面が作業台90の上面にて下方から支持された状態となる。つまり、載置台部77が作業台90上に載った状態となる。そして、この状態時に、作業者の手作業によって、例えば加熱室3から載置台部77上に取り出された炊飯釜2内の炊き立てのご飯が運搬用コンテナ91に盛り付けられる。
【0041】
なお、作業台90は、下部にキャスタ92を有している。また、装置本体17の脚部93の下端部には、アジャスタ94が取り付けられている。
【0042】
次に、加熱調理装置1の作用等を説明する。
【0043】
図6を参照しつつ、例えば洗米(食材)および水等を釜本体6内に投入して上面開口部5を蓋体7で閉鎖した炊飯釜2を上段の加熱室3に入れる場合について説明する。
【0044】
図6(a)に示すように、作業者は、まず、載置体52を支軸53を中心として下方に回動させて跳ね上げ状態から作用状態にする。その結果、載置体52の載置台部77が傾斜状態から水平状態となる。
【0045】
なお、図6(a)に示す状態は、載置昇降手段19が中段の加熱室3に対応する中段の出し入れ用停止位置に停止した状態であるが、この状態での載置台部77の高さが作業者にとって高い場合には、炊飯釜2を載置しやすい位置まで載置昇降手段19を下降させればよい。
【0046】
そして、作業者は、水平状態の載置台部77上に炊飯釜2を載置する。このとき、炊飯釜2の所定部分をストッパ80に当てることにより、炊飯釜2を載置台部77上の所定位置に位置決めする。このように炊飯釜2を載置台部77上の所定位置に位置決めすれば、炊飯釜2の上昇の際に炊飯釜2の外周端部が上方の開閉扉18の表面部と干渉することがない。
【0047】
次いで、図6(b)に示すように、作業者が図示しない操作手段の上昇用操作部を操作すると、昇降駆動手段20の駆動モータ28が作動して回転軸26が回転し、載置昇降手段19が炊飯釜2とともに上昇する。
【0048】
そして、昇降体51の昇降板部55の上端部が上限用スイッチ31に当接すると、駆動モータ28が自動的に停止して載置昇降手段19が上限位置に停止する。なお、この上限位置は、上段の出し入れ用停止位置よりも上方の位置である。
【0049】
その後、作業者は、取手部42を持って上段の開閉扉18を下方に回動させて閉状態から開状態にする。このとき、開閉扉18は、上限位置に位置した載置昇降手段19の載置体52と干渉しない。
【0050】
次いで、図6(c)に示すように、作業者が操作手段の下降用操作部を操作すると、昇降駆動手段20の駆動モータ28が作動して回転軸26が回転し、載置昇降手段19が炊飯釜2とともに下降する。
【0051】
そして、載置体52の下面側に設けられた開閉扉用下降停止スイッチ83が、開状態となっている上段の開閉扉18の上面に当接すると、駆動モータ28が自動的に停止して載置昇降手段19が上段の出し入れ用停止位置に停止する。
【0052】
その結果、載置体52の載置台部77の台本体78の下面が、開状態となっている上段の開閉扉18の台支持面45と面状に接触してその台支持面45にて下方から支持された状態となる(図4参照)。
【0053】
そして、この状態時に、作業者は、載置台部77上の炊飯釜2を上段の加熱室3内に押し込むようにして、炊飯釜2を前面開口部16を通して上段の加熱室3に入れる。
【0054】
この際、載置台部77が開状態の開閉扉18上に載って、炊飯釜2の載置されている載置台部77の上面と開閉扉18の台支持面45とに段差が生じていても、炊飯釜2は、略水平状態を保ちながら移動できるように配置された載置体52のガイドローラ81、開状態の上段の開閉扉18のガイドローラ44および装置本体17のガイドローラ40にて案内される。またこの際、載置台部77が開状態の開閉扉18にて下方から支持されているため、載置台部77はぐらつかない。
【0055】
次いで、図6(d)および(e)に示すように、作業者は、所定位置に停止した昇降体51に対して載置体52を開閉扉18と干渉しない位置まで手動で一旦、上方に回動させた状態で、取手部42を持って上段の開閉扉18を上方に回動させて開状態から閉状態にする。
【0056】
なお、作業者が載置体52から手を離すと、載置体52が自重で下方に回動して支持部59に当接して突出状の作用状態となる。もちろん、載置体52を手動で回動させることなく、昇降駆動手段20を作動させて載置昇降手段19を上限位置まで上昇させてもよい。また、載置体52が邪魔になる場合には、載置体52を跳ね上げ状態にしてもよい。
【0057】
こうして炊飯釜2を上段の加熱室3に入れる作業が完了するが、作業者は、重い炊飯釜2を上段の加熱室3の高さまで持ち上げる必要がない。そして、作業者が操作手段の炊飯開始用操作部を操作すると、ガスバーナ38が作動して炊飯が開始される。
【0058】
なお、中段の加熱室3に炊飯釜2を入れる場合には、作業者は、中段の開閉扉18を開状態にしてから、載置体52を跳ね上げ状態から作用状態にし、この作用状態の載置体52の載置台部77上に炊飯釜2を載置する。そして、載置台部77が開状態の中段の開閉扉18上に載った状態となって中段の出し入れ用停止位置に停止した載置昇降手段19の載置台部77上の炊飯釜2を中段の加熱室3内に押し込むようにして炊飯釜2を前面開口部16から中段の加熱室3に入れる。
【0059】
また、下段の加熱室3に炊飯釜2を入れる場合には、作業者は、下段の開閉扉18を開状態にしてから、載置体52を跳ね上げ状態から作用状態にし、この作用状態の載置体52の載置台部77上に炊飯釜2を載置する。そして、駆動モータ28の作動により載置昇降手段19が下段の出し入れ用停止位置まで下降し、載置台部77が開状態の下段の開閉扉18上に載った状態となって下段の出し入れ用停止位置に停止した載置昇降手段19の載置台部77上の炊飯釜2を下段の加熱室3内に押し込むようにして炊飯釜2を前面開口部16から下段の加熱室3に入れる。
【0060】
次に、図7を参照しつつ、炊飯完了後の炊飯釜2を上段の加熱室3から取り出す場合について説明する。
【0061】
図7(a)および(b)に示すように、作業者は、まず、載置昇降手段19を上段の出し入れ用停止位置に停止させるように所定位置に停止した昇降体51に対して載置体52を開閉扉18と干渉しない位置まで手動で一旦、上方に回動させた状態で、取手部42を持って上段の開閉扉18を下方に回動させて閉状態から開状態にする。
【0062】
そして、作業者が載置体52から手を離すと、図7(c)に示すように、載置体52が自重で下方に回動して支持部59に当接して作用状態となる。また同時に、載置体52の載置台部77の台本体78の下面が、開状態となっている上段の開閉扉18の台支持面45と面状に接触してその台支持面45にて下方から支持された状態となる(図4参照)。
【0063】
そして、この状態時に、作業者は、上段の加熱室3内の炊飯釜2を載置台部77上に引き出すように、炊飯完了後の炊飯釜2を前面開口部16を通して上段の加熱室3から取り出す。この際、炊飯釜2は、載置体52のガイドローラ81、開状態の上段の開閉扉18のガイドローラ44および装置本体17のガイドローラ40にて案内される。
【0064】
次いで、図7(d)に示すように、作業者が操作手段の上昇用操作部を操作すると、昇降駆動手段20の駆動モータ28が作動して回転軸26が回転し、載置昇降手段19が炊飯釜2とともに上昇する。
【0065】
そして、昇降体51の昇降板部55の上端部が上限用スイッチ31に当接すると、駆動モータ28が自動的に停止して載置昇降手段19が上限位置に停止する。
【0066】
その後、作業者は、取手部42を持って上段の開閉扉18を上方に回動させて開状態から閉状態にする。このとき、開閉扉18は、上限位置に位置した載置昇降手段19の載置体52と干渉しない。
【0067】
次いで、図7(e)に示すように、作業者が操作手段の下降用操作部を操作すると、昇降駆動手段20の駆動モータ28が作動して回転軸26が回転し、載置昇降手段19が炊飯釜2とともに下降する。
【0068】
そして、載置体52の下面側に設けられた作業台用下降停止スイッチ86が、作業台90の上面に当接すると、駆動モータ28が自動的に停止して載置昇降手段19が作業用停止位置に停止する。
【0069】
その結果、載置体52の載置台部77の台本体78の下面が、作業台90の上面に面状に接触してその上面の所定部分にて下方から支持された状態となる(図5参照)。
【0070】
そして、この状態時に、作業者は、加熱室3から載置台部77上に取り出した炊飯釜2内の炊き立てのご飯を作業台90上の運搬用コンテナ91に盛り付ける。
【0071】
なお、中段の加熱室3や下段の加熱室3からも同様に炊飯釜2を取り出すことが可能であり、その取り出した炊飯釜2内の炊き立てのご飯を作業台90上の運搬用コンテナ91に盛り付けることが可能である。
【0072】
そして、このような加熱調理装置1によれば、装置本体17に昇降可能に設けられ炊飯釜2が載置される載置昇降手段19と、この載置昇降手段19を装置本体17に対して昇降させる昇降駆動手段20とを備えるため、例えば洗米および水を入れると20kg以上にもなる重い炊飯釜2を高い位置となる上段や低い位置となる下段の加熱室3に入れる作業や、重い炊飯釜2を上段や下段の加熱室3から取り出す作業が容易となり、作業者の負担を軽減できる。すなわち例えば炊飯釜2を各加熱室3に対して出し入れする際に、作業者が炊飯釜2を胸の高さまで持ち上げたり或いは膝の高さまで持ち下げたりする必要がなく、作業者の負担を軽減できる。
【0073】
また、載置昇降手段19の載置体52が開状態の開閉扉18にて下方から支持された状態時に炊飯釜2の加熱室3に対する出し入れが行われるため、載置体52はぐらつかず、その出し入れの作業を容易かつ安定して行うことができる。
【0074】
さらに、載置昇降手段19の載置体52が作業台90にて下方から支持された状態時に炊飯釜2内のご飯の運搬用コンテナ91への盛り付けが行われるため、載置体52はぐらつかず、炊飯釜2を載置体52の載置台部77上に載せたまま盛り付けの作業を容易かつ安定して行うことができる。
【0075】
なお、載置体52の載置台部77の台本体78の下面が開状態になっている開閉扉18の台支持面45と面状に接触してその台支持面45にて下方から支持された状態であれば、加熱室3内から載置台部77上に取り出した炊飯釜2内で行うことのできる簡単な作業、すなわち例えば炊き立てのご飯のほぐしや調味料を散布する程度の作業は、作業台90にて下方から支持した状態でなく、載置昇降手段19を中段の出し入れ用停止位置に停止させた状態でも載置体52はぐらつかず、容易かつ安定して行うことができる。
【0076】
また、載置体52は昇降体51に対して上下方向に回動可能となっているため、例えば載置体52を開閉扉18と干渉しない位置に容易に回動させることができる。
【0077】
さらに、載置体52は、昇降体51に上下方向に回動可能に設けられた1本の支持アーム部71とこの支持アーム部71の先端部に設けられこの支持アーム部71のみで片持ち支持された載置台部77とを有するため、例えば左右1対の支持アーム部で載置台部を両持ち支持する構成等に比べて、部品点数を少なくでき、構成の簡素化を図ることができる。
【0078】
また、載置昇降手段19は、開状態の開閉扉18との接触により下降停止信号を出力する開閉扉用下降停止スイッチ83と、作業台90との接触により下降停止信号を出力する作業台用下降停止スイッチ86とを有するため、載置昇降手段19を所望位置に適切に停止させることができる。
【0079】
なお、上記実施の形態では、載置昇降手段19がそれぞれ別体のスイッチ83,86を有する構成について説明したが、例えば両スイッチ83,86を兼ねた1つの下降停止スイッチのみを有する構成等でもよい。また例えば開状態の開閉扉18との接触により下降停止信号を出力する下降停止スイッチ83のみを有する構成等でもよい。
【0080】
また、スイッチ31,34,61,83,86は、例えば接触式のリミットスイッチ等からなるものには限定されず、例えば光学系のセンサ等からなるものでもよい。また例えば制御手段が駆動モータ28の負荷を検知して駆動モータ28を停止するようにしてもよい。
【0081】
さらに、例えばカバー板等の覆い手段を装置本体17の左側板部21に取り付け、その覆い手段で回転軸26および昇降体51等を覆うようにしてもよい。
【0082】
また、装置本体17の加熱室3の数は任意であり、2つや4つ以上でもよく、また作業者の胸の高さや膝の高さに位置する1つの加熱室3を有する構成等でもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 加熱調理装置
2 被加熱容器である炊飯釜
3 加熱室
16 開口部である前面開口部
17 装置本体
18 開閉扉
19 載置昇降手段
20 昇降駆動手段
51 昇降体
52 載置体
71 支持アーム部
77 載置台部
83 開閉扉用下降停止スイッチ(下降停止スイッチ)
86 作業台用下降停止スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を通して被加熱容器を出し入れ可能な加熱室を有する装置本体と、
開状態となって前記開口部を開口させ、閉状態となって前記開口部を閉鎖する開閉扉と、
前記装置本体に昇降可能に設けられ、被加熱容器が載置される載置昇降手段と、
この載置昇降手段を前記装置本体に対して昇降させる昇降駆動手段と
を備えることを特徴とする加熱調理装置。
【請求項2】
載置昇降手段は、
装置本体に昇降可能に設けられた昇降体と、
この昇降体に設けられ、被加熱容器が載置される載置体とを有し、
前記載置体が開状態の開閉扉にて下方から支持された状態時に、被加熱容器の加熱室に対する出し入れが行われる
ことを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
【請求項3】
載置体は、昇降体に対して上下方向に回動可能となっている
ことを特徴とする請求項2記載の加熱調理装置。
【請求項4】
載置体は、
昇降体に上下方向に回動可能に設けられた支持アーム部と、
この支持アーム部の先端部に設けられた載置台部とを有する
ことを特徴とする請求項3記載の加熱調理装置。
【請求項5】
載置昇降手段は、開状態の開閉扉との接触により下降停止信号を出力する下降停止スイッチを有する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の加熱調理装置。
【請求項6】
載置昇降手段は、
開状態の開閉扉との接触により下降停止信号を出力する開閉扉用下降停止スイッチと、
作業台との接触により下降停止信号を出力する作業台用下降停止スイッチとを有する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の加熱調理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−223415(P2012−223415A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94794(P2011−94794)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000116699)株式会社アイホー (65)
【Fターム(参考)】