説明

加速度センサ取付用アタッチメント及び振動計

【課題】 測定対象に接着して固定する取付用アタッチメントに対する加速度センサの取り付け・取り外しが容易な加速度センサ取付用アタッチメントを提供する。
【解決手段】 直方体形状の加速度センサ8を測定対象に固定するための加速度センサ取付用アタッチメント1であって、加速度センサ8を載置する台座部2と、この台座部2の縁部から立設し互いに対向する一対の脚部3,3と、この脚部3,3の先端3a,3a近傍から台座部2に対向して延出する鍔部4,4を形成し、台座部2と鍔部4,4により加速度センサ8を挟持して保持すると共に、台座部2を測定対象9に接着して固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度センサを測定対象に取り付けるための加速度センサ取付用アタッチメント及びそれを用いた振動計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加速度センサを測定対象に取り付ける場合には、測定対象に直接ねじで止めたり、接着剤を用いて接着したりする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−296103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、測定対象に加速度センサを直接ねじで止めるには、測定対象にねじ穴を開けなければならないし、接着剤を用いて加速度センサを測定対象に直接接着すると、取り外し作業が煩雑になるという問題がある。
本発明は、従来の技術が有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、測定対象に接着して固定する取付用アタッチメントに対する加速度センサの取り付け・取り外しが容易な加速度センサ取付用アタッチメント及び振動計を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決すべく請求項1に係る発明は、直方体形状または立方体形状の加速度センサを測定対象に固定するための加速度センサ取付用アタッチメントであって、加速度センサを載置する台座部と、この台座部の縁部から立設し互いに対向する一対の脚部と、この脚部の先端近傍から前記台座部に対向して延出する鍔部を形成し、前記台座部と前記鍔部により加速度センサを挟持して保持すると共に前記台座部を測定対象に接着して固定するものである。
【0005】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の加速度センサ取付用アタッチメントにおいて、前記脚部の付け根に溝を形成したものである。
【0006】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の加速度センサ取付用アタッチメントにおいて、ガラス繊維入りポリフェニレンサルファイド(PPS)で一体に形成した。
【0007】
請求項4に係る発明は、請求項1、2又は3記載の加速度センサ取付用アタッチメントにおいて、前記脚部にテーパ形状部を有する治具を押し当てて前記脚部を広げることにより、加速度センサを着脱するようにした。
【0008】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の加速度センサ取付用アタッチメントを用いて加速度センサを測定対象に取り付けて振動を測定するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、測定対象にねじ穴を設けたり、加速度センサに接着剤を塗布したりする必要が無くなる。また、アタッチメントを用いるので、加速度センサの着脱が可能になる。アタッチメントの脚部の剛性により台座部と鍔部で加速度センサを挟んで保持する構造なので、10mm角以下の加速度センサにも対応することができる。また、加速度センサを着脱する際に、測定対象と台座部の接着面にせん断方向の力がかからない。
請求項2に係る発明によれば、脚部の付け根に溝を形成したので、工具を用いて脚部を押し広げる際の測定対象の接着面の変形を抑えることができるので、測定対象の接着面に対するせん断応力によるストレスを軽減することができる。
請求項3に係る発明によれば、ガラス繊維入りポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いることで、耐熱性、耐薬品性、剛性が向上する。
請求項4に係る発明によれば、着脱用治具を用いることで、加速度センサを挟持する鍔部などの部分の加速度センサとの間隙を大きくして、加速度センサの着脱を容易に行うことができる。
請求項5に係る発明によれば、繰り返される測定対象への加速度センサの取り付け・取り外し作業を簡便に行うことが可能になり、振動測定の能率向上に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る加速度センサ取付用アタッチメントを表わす図、図2は加速度センサの側面図、図3は加速度センサを取り付けた状態の説明図、図4は着脱用治具を用いた加速度センサの加速度センサ取付用アタッチメントに対する着脱方法の説明図、図5は本発明に係る加速度センサ取付用アタッチメントを用いた振動計の説明図である。
【0011】
本発明に係る加速度センサ取付用アタッチメント1は、図1に示すように、ガラス繊維入りポリフェニレンサルファイド(PPS)製で、加速度センサを載置する略直方体形状の台座部2と、この台座部2の縁部から立設し互いに対向する一対の脚部3,3と、これらの脚部3,3の先端近傍から台座部2に対向して延出する鍔部4,4を一体に形成している。
脚部3,3の付け根には、略U字形状の溝5,5を形成している。また、鍔部4,4の付け根にも、略U字形状の溝6,6を形成している。脚部3,3を設けていない台座部2の縁部の片側には、台座部2に載置される加速度センサが当接する略直方体形状のストッパ7が突設されている。
図1(c)に示す台座部2と鍔部4,4の間隔Dは、図2に示す直方体形状の加速度センサ8の高さHより狭くしてある。例えば、加速度センサ8の高さHが12mmであるならば、台座部2と鍔部4,4の間隔Dは、11.9mmとしている。そして、加速度センサ取付用アタッチメント1は、図3に示すように、加速度センサ8を挟持して保持すると共に、測定対象9に接着剤で接着され固定される。
以上のように構成された本発明に係る加速度センサ取付用アタッチメント1に対する加速度センサ8の取り付け・取り外しについて説明する。加速度センサ取付用アタッチメント1に加速度センサ8を取り付けるには、図4(a)に示すように、着脱用治具10のテーパ形状部10aを脚部3,3の先端3a,3aの内側のエッジに押し当てる。
すると、脚部3,3の先端3a,3aが広がり、脚部3,3で挟まれた空間が少し大きくなる。その際、テーパ形状部10aの先端面10bが鍔部4,4に当接するため、テーパ形状部10aがそれ以上押し下げられないので、脚部3,3の先端3a,3aが必要以上に押し広げられることはない。
次いで、加速度センサ8をストッパ7のない台座部2の縁部に載せて、ストッパ7に当接するまでスライドさせる。すると、図4(b)に示すように、加速度センサ8と鍔部4,4に間隙Gが形成された状態で挿入され、加速度センサ8は台座部2に載置される。間隙Gが形成された状態で挿入するので、強い力を必要としない。
【0012】
従って、着脱用治具10を用いることで、加速度センサ8を挟持する鍔部4,4などの部分の加速度センサ8との間隙を大きくして、加速度センサ8の加速度センサ取付用アタッチメント1に対する着脱作業を円滑に行うことができる。更に、脚部3,3の付け根に略U字形状の溝5,5が形成されているので、着脱用治具10を用いて脚部3,3の先端3a,3aを押し広げる際の測定対象と台座部2の接着面の変形を抑えることができる。
【0013】
次いで、着脱用治具10を加速度センサ取付用アタッチメント1から離すと、加速度センサ8は、図3に示すように、脚部3,3の節度ある剛性により、台座部2と鍔部4,4で挟まれ保持される。加速度センサ8を着脱する際に、加速度センサ8と鍔部4,4に間隙が形成されるため、円滑に加速度センサ8をスライドさせることができるので、測定対象9と台座部2の接着面にせん断方向の力がかからない。また、加速度センサ8は台座部2と脚部3,3と鍔部4,4により、表面の大部分が覆われるので、風による熱過渡応答が低くなる。
【0014】
次に、加速度センサ取付用アタッチメント1を用いた振動計15は、図5に示すように、測定対象9に接着剤で接着した加速度センサ取付用アタッチメント1と、加速度センサ取付用アタッチメント1に取り付けられた加速度センサ8と、加速度センサ8からの信号を処理して表示する振動計本体16からなる。
【0015】
このように、加速度センサ8の着脱作業が着脱用治具10を用いて容易になるように形成された加速度センサ取付用アタッチメント1を介して加速度センサ8を測定対象9に取り付けることができるので、繰り返される測定対象9への加速度センサ8の取り付け・取り外し作業を簡便に行うことができる。従って、加速度センサ取付用アタッチメント1を用いた振動計15は、振動測定の能率向上に寄与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明によれば、脚部の剛性により台座部と鍔部で加速度センサを挟んで保持する構造なので、小型(10mm角以下)の加速度センサにも対応可能な加速度センサ取付用アタッチメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る加速度センサ取付用アタッチメントを表わす図で、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は側面図、(e)は底面図
【図2】加速度センサの側面図
【図3】加速度センサを取り付けた状態の説明図
【図4】着脱用治具を用いた加速度センサの加速度センサ取付用アタッチメントに対する着脱方法の説明図で、(a)は着脱用治具の使用状態図、(b)は加速度センサの台座部への載置状態図
【図5】本発明に係る加速度センサ取付用アタッチメントを用いた振動計の説明図
【符号の説明】
【0018】
1…加速度センサ取付用アタッチメント、2…台座部、3…脚部、3a…先端、4…鍔部、5,6…溝、7…ストッパ、8…加速度センサ、9…測定対象、10…着脱用治具、10a…テーパ形状部、15…振動計、16…振動計本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状または立方体形状の加速度センサを測定対象に固定するための加速度センサ取付用アタッチメントであって、加速度センサを載置する台座部と、この台座部の縁部から立設し互いに対向する一対の脚部と、この脚部の先端近傍から前記台座部に対向して延出する鍔部を形成し、前記台座部と前記鍔部により加速度センサを挟持して保持すると共に前記台座部を測定対象に接着して固定することを特徴とする加速度センサ取付用アタッチメント。
【請求項2】
請求項1記載の加速度センサ取付用アタッチメントにおいて、前記脚部の付け根に溝を形成したことを特徴とする加速度センサ取付用アタッチメント。
【請求項3】
請求項1又は2記載の加速度センサ取付用アタッチメントにおいて、ガラス繊維入りポリフェニレンサルファイド(PPS)で一体に形成されたことを特徴とする加速度センサ取付用アタッチメント。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の加速度センサ取付用アタッチメントにおいて、前記脚部にテーパ形状部を有する治具を押し当てて前記脚部を広げることにより、加速度センサを着脱することを特徴とする加速度センサ取付用アタッチメント。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の加速度センサ取付用アタッチメントを用いて加速度センサを測定対象に取り付けて振動を測定することを特徴とする振動計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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