加飾アルミホイール
【課題】 意匠性と軽量化を向上させたアルミホイールを低価格で実現できる加飾アルミホイールの提供。
【解決手段】 アルミホイールの意匠面DのM字型断面のスポーク部にあらかじめ窪み14a を形成し、窪み14a に加飾用部材18a を窪み底面から浮かせて装着し、加飾用部材18a とアルミホイールとが一体化したデザインを構成することにより、アルミホイールの意匠性を向上させた加飾アルミホイール。窪み14a と加飾用部材18a の外周との隙間S1のばらつきを抑制する。
【解決手段】 アルミホイールの意匠面DのM字型断面のスポーク部にあらかじめ窪み14a を形成し、窪み14a に加飾用部材18a を窪み底面から浮かせて装着し、加飾用部材18a とアルミホイールとが一体化したデザインを構成することにより、アルミホイールの意匠性を向上させた加飾アルミホイール。窪み14a と加飾用部材18a の外周との隙間S1のばらつきを抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミホイールの意匠性を向上させたいわゆる加飾アルミホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
アルミホイール、最も普及している鋳造1ピースのアルミホイールは、特許文献1に示すように、または、図7(A)、(B)に示すように、リム部1およびディスク部2からなる。ディスク部2は更に、複数のスポーク部3、スポーク部3間に形成されている飾り穴4、中央に形成されたハブ穴5、車両ハブに取り付けるのに用いるボルト穴6を有する。
通常、車両に装着した場合外から見える部分(図7の(A))のうち、中心のハブ穴5を除く部分(図7の(A)の矢印間で示した範囲)を意匠面と呼んでおり、この意匠面に様々な工夫をこらして、意匠性を向上させるための努力がなされてきた。具体例としては次のような方法が行われてきた。
(i) 様々な有色塗装処理。
(ii) 模様の印刷
(iii) 切削加工、バフ加工等による光輝仕上げ。
(iv) 浸漬法による溶解めっきや、真空めっき法による、真空蒸着、イオンプレーテング、スパッタリング等の光輝処理。
(v) 飾り穴の形状やスポークの形状、表面の凹凸これらと(i) 、(ii)、(iii) 、(iv)の組み合わせ。
【特許文献1】特開2005−79195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の方法には次のような問題がある。
(i) 意匠面の模様や、仕上がりが、デザイン的に単調であった。
(ii) 表面がシャープな、または複雑な形状はできなかった。
(iii) 模様を印刷する場合は、平坦な面を必要とし、デザイン的に制約があった。
(iv) 意匠面に有色塗装とめっき処理を混在させることは時間と費用がかかった。
(v) アルミホイールにおいても軽量化の要求が強いが、意匠面の余肉を取ることは、デザインを陳腐化させるため、できなかった。
本発明の目的は、意匠性と軽量化を向上させたアルミホイールを低価格で実現できる加飾アルミホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための本発明は次の通りである。
(1) アルミホイールの意匠面にあらかじめ窪みを形成し、前記意匠面のうち前記窪みに加飾用部材を装着して、前記アルミホイールと一体化したデザインを構成することにより、意匠性を向上させた加飾アルミホイールであって、
前記アルミホイールは、断面がほぼM字型で該M字の幅方向中央に平坦な面をもつスポーク部を有し、前記アルミホイールの意匠面のうちスポーク部には前記M字型の幅方向中央部の凹みからなる前記窪みを形成し、
前記窪みは前記M字の幅方向中央の平坦面からなる底面を有するとともに前記意匠面に開口しており、
前記窪みの底面と前記加飾用部材の裏面との間には空間が存在していて前記加飾用部材が前記窪みの底面から浮かして前記窪みに取付けられている加飾アルミホイール。
(2) 前記意匠面の前記窪みの開口端部の外周と前記加飾用部材の外周部との間には隙間(S1)を設けた(1)記載の加飾アルミホイール。
(3) 前記アルミホイールの意匠面の前記窪みの開口端部の外周に凹状の段差を設け、前記加飾用部材の外周部を該段差に装着して前記アルミホイールの意匠面と前記加飾用部材の外周部の表面との段差(S2)量がばらつくことを抑制した(1)または(2)記載の加飾アルミホイール。
(4) 前記アルミホイールの意匠面のスポーク部に前記窪みを形成するとともに、スポーク部のリム部とのつけ根部に軽量化のための肉盗み部を形成した(1)乃至(3)記載の加飾アルミホイール。
(5) 前記加飾用部材は、樹脂素材からなる、(1)乃至(4)記載の加飾アルミホイール。
(6) 前記加飾用部材には、メッキ処理、または、有色塗装処理、または、化学研磨処理が施されている、(1)乃至(5)記載の加飾アルミホイール。
【発明の効果】
【0005】
上記(1)〜(6)の加飾アルミホイールでは、意匠面にあらかじめ窪みを形成し、この窪みに加飾用部材を装着し、アルミホイールと一体化したデザイン構成としたので、以下の作用が得られる。
(i) 意匠面の模様や仕上がり等デザインの多様化を実現できる。
(ii) 特にめっき処理、有色塗装処理、化学研磨処理を施した加飾用部材を用いる
ことにより、意匠性の優れたアルミホイールを低価格で提供できる。
(iii) 意匠面をめっき処理部分と有色塗装等の他の部分と混在させることが可能となった。
(iv) 表側からみた意匠面もデザインの陳腐化を生じることなく余肉を取ることができるため、従来よりも大幅に軽量化が可能となる。
(v) 意匠面と加飾部材との面の段差、周方向の隙間のばらつきを最小限に抑えることができ、意匠性の低下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明実施例では、本発明の加飾用アルミホイールが1ピースの鋳造アルミホイールに適用した場合を例にとって、図1〜図6を参照して説明する。
ただし、本発明の加飾アルミホイールは、1ピースの鍛造アルミホイール、または2ピース、3ピースの鋳造アルミホイール、鍛造アルミホイールその他のアルミホイールに適用してもよい。
本発明の全実施例にわたって共通する部分には、本発明全実施例にわたって同じ符号を付してある。
【0007】
まず、本発明実施例に共通する部分を図1(A)、(B)を参照して説明する。
図1において10はリム部であり、12はディスク部である。リム部10とディスク部12は鋳造によって一体的につくられている。14はスポーク部であり、スポーク部14間には、飾り穴16が形成される。
図1の(A)の断面図中半径方向に両端に矢印をもつ線D で指示された範囲が、車両に装着された時に表側から(C 矢視方向)見える部分が一般的に意匠面Dと言われる部分であり、(B)に示すデザインを形成している。
ディスク部12の意匠面Dのうち、スポーク部14には、一定の深さの窪み14a があらかじめ形成されており、窪み14a には、加飾用部材18a が装着されており、これによって、あたかもアルミホイール本体と一体化されたデザインを構成している。
【0008】
窪み14a は、例えば、鋳造時に鋳造により、または鍛造時に鍛造により、または鋳造、鍛造終了後に、機械加工によって形成してもよい。
加飾用部材18a は、樹脂材料等によって作られるが、他の材料や、金属で製作してもよい。その表面には、有色塗装、切削やバフ研磨による光輝仕上げ、または、めっき処理や化学研磨仕上げにより、意匠性を向上させる加飾が行われている。
アルミホイール本体への加飾用部材18a の取付は、窪み14a に装着し、意匠性を損なわない範囲で、例えばボルト、ナットや、ファスナーのような締結部材により取付、装着することにより行う。
【0009】
図2は、図1(B)のA−A断面を示している。この図は、窪みが比較的深い状態の場合の、窪み14a と加飾部材18a の装着状態を示している。
アルミホイールは、断面がほぼM字型で該M字の幅方向中央に平坦な面をもつスポーク部14を有する。アルミホイールの意匠面Dのうちスポーク部14には上記M字型の幅方向中央部の凹みからなる窪み14aが形成される。窪み14aは上記M字の幅方向中央の平坦面からなる底面を有するとともに、意匠面Dに開口している。窪み14aの底面と加飾用部材18aの裏面との間には空間が存在していて、加飾用部材18aが窪み14aの底面から浮かしてアルミホイールの窪み14a部位に取付けられている。スポーク部14の断面をほぼM字型にすることによりスポーク部14の剛性を得るとともに、軽量化をはかることができる。
図2の場合、加飾部材18a はボルト22とナット24によって意匠面Dの裏側でアルミホイール本体に取り付けられ装着される。
この場合、窪み14a の形成は鋳造または鍛造時に行われた場合、鋳造、鍛造後に型をスムーズに抜くために、窪みの開口部に向けて広がるように、勾配をつけざるを得ず、また、窪み14a の深さや開口外周端部15の輪郭も切削加工と違い、精度管理が難しい。その場合、意匠面Dと、加飾部材18a の表面の段差S2、開口外周部15と加飾部材18a の外周部との隙間S1が、一定に定まらず、意匠性を阻害する場合が考えられる。このような問題を解消するため、図3に示すように、アルミホイールの意匠面の窪み14の開口外周端部15に段差15a を設けることが望ましい。この構成にすることにより、意匠面Dと加飾部材18a の表面の段差S2や、窪み14の開口外周端部15と加飾部材18a の外周部と製造上の隙間S1のばらつきを最小限に抑えることができ、意匠性を阻害する要因を取り除くことができる。
【0010】
次に、本発明実施例に共通の作用を説明する。
アルミホイールの意匠面にあらかじめ窪みを形成し、この窪みに加飾用部材を装着し、アルミホイール一体化したデザインを構成したので、次の(i) 〜(iv)の作用が得られる。
(i) 意匠面の模様や仕上がり等、デザインの多様化を実現できる。
(ii) めっき処理、有色塗装処理、化学研磨処理を施した加飾部材を用いることにより、意匠性の優れたアルミホイールを低価格で提供できる。
(iii) 意匠面をめっき処理部分と有色塗装等の他の部分と混在させることが可能となった。
(iv) 表側からみた意匠面をデザインの陳腐化を生じることなく、余肉を取ることができるため、従来よりも大幅な軽量化が可能となる。
【0011】
次に、本発明の各実施例を説明する。
図4は、本発明の実施例のうち、あらかじめ、意匠面のスポーク14に窪み14a を形成し、窪み14a に、窪み14a よりも厚みが薄い加飾用部材18b を装着したものである。
これによって、より深みのある意匠面を実現できる。
【0012】
図5は、本発明実施例のうち、あらかじめ、意匠面のスポーク部14に窪み14a を形成するとともに、スポーク部14のリム部10との付け根部に、軽量化のための肉盗み部(ポケット)12a を形成し、窪み14a と同等の厚みの加飾用部材18cを肉盗み部(ポケット)12a を含めてカバーしたものである。
従来は、軽量化のための肉盗み部を、意匠面に形成することは、デザイン性を損なうため、難しかったが、本実施例のような構成することによって、軽量化とデザイン性の向上を実現できる。
【0013】
図6は、本発明実施例のうち、あらかじめ、意匠面のスポーク部14に窪み14a を形成するとともに、窪み14a に窪み14a の深さよりも厚い部分を持つ、立体的な加飾用部材18d を装着したものである。
これによって、従来の鍛造、鋳造では難しかった立体的で、複雑なデザインを実現することが可能となる。
以上、本発明の実施例では、鋳造、または鍛造の1ピースアルミホイールに適用したものを説明したが、これに限るものでは無く、2ピース、3ピースまたは展伸材アルミホイールであってもよい。
【0014】
発明の効果はつぎのとおりである。
請求項1〜請求項6の加飾アルミホイールでは、意匠面にあらかじめ窪みを形成し、この窪みに加飾用部材を装着し、アルミホイールと一体化したデザイン構成としたので、次の効果が得られる。
(i) 意匠面の模様や仕上がり等、デザインの多様化を実現できる。
(ii) めっき処理、有色塗装処理、化学研磨処理を施した加飾用部材を用いることにより、意匠性の優れたアルミホイールを低価格で実現できる。
(iii) 意匠面をめっき処理部分と有色塗装等の他の処理部分と混在させることが可能となった。
(iv) 表側からみた意匠面についても、デザインの陳腐化を生じることなく、余肉を取ることができるため、従来よりも大幅に軽量化が可能となった。
(v) 意匠面と加飾部材との段差、周方向の隙間のばらつきを最小限に抑えることができ意匠性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例の加飾アルミホイールを示す部分断面図および部分平面図である。
【図2】本発明の他の実施例の加飾アルミホイールと加飾部材の装着状態を示す部分断面図である。
【図3】本発明の他の実施例の加飾アルミホイール加飾部材の装着状態を示す部分断面図である。
【図4】本発明の他の実施例の加飾アルミホイールを示す部分断面図および部分平面図である。
【図5】本発明の他の実施例の加飾アルミホイールを示す部分断面図および部分平面図である。
【図6】本発明の他の実施例の加飾アルミホイールを示す部分断面図および部分平面図である。
【図7】従来のアルミホイールを示す部分断面図および部分平面図である。
【符号の説明】
【0016】
10 リム部
12 ディスク部
12a 肉盗み部
14 スポーク部
14a 窪み
15 開口外周端部
15a 段差
16 飾り穴
18a 加飾用部材
18b 加飾用部材
18c 加飾用部材
18d 加飾用部材
20 ハブ穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミホイールの意匠性を向上させたいわゆる加飾アルミホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
アルミホイール、最も普及している鋳造1ピースのアルミホイールは、特許文献1に示すように、または、図7(A)、(B)に示すように、リム部1およびディスク部2からなる。ディスク部2は更に、複数のスポーク部3、スポーク部3間に形成されている飾り穴4、中央に形成されたハブ穴5、車両ハブに取り付けるのに用いるボルト穴6を有する。
通常、車両に装着した場合外から見える部分(図7の(A))のうち、中心のハブ穴5を除く部分(図7の(A)の矢印間で示した範囲)を意匠面と呼んでおり、この意匠面に様々な工夫をこらして、意匠性を向上させるための努力がなされてきた。具体例としては次のような方法が行われてきた。
(i) 様々な有色塗装処理。
(ii) 模様の印刷
(iii) 切削加工、バフ加工等による光輝仕上げ。
(iv) 浸漬法による溶解めっきや、真空めっき法による、真空蒸着、イオンプレーテング、スパッタリング等の光輝処理。
(v) 飾り穴の形状やスポークの形状、表面の凹凸これらと(i) 、(ii)、(iii) 、(iv)の組み合わせ。
【特許文献1】特開2005−79195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の方法には次のような問題がある。
(i) 意匠面の模様や、仕上がりが、デザイン的に単調であった。
(ii) 表面がシャープな、または複雑な形状はできなかった。
(iii) 模様を印刷する場合は、平坦な面を必要とし、デザイン的に制約があった。
(iv) 意匠面に有色塗装とめっき処理を混在させることは時間と費用がかかった。
(v) アルミホイールにおいても軽量化の要求が強いが、意匠面の余肉を取ることは、デザインを陳腐化させるため、できなかった。
本発明の目的は、意匠性と軽量化を向上させたアルミホイールを低価格で実現できる加飾アルミホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための本発明は次の通りである。
(1) アルミホイールの意匠面にあらかじめ窪みを形成し、前記意匠面のうち前記窪みに加飾用部材を装着して、前記アルミホイールと一体化したデザインを構成することにより、意匠性を向上させた加飾アルミホイールであって、
前記アルミホイールは、断面がほぼM字型で該M字の幅方向中央に平坦な面をもつスポーク部を有し、前記アルミホイールの意匠面のうちスポーク部には前記M字型の幅方向中央部の凹みからなる前記窪みを形成し、
前記窪みは前記M字の幅方向中央の平坦面からなる底面を有するとともに前記意匠面に開口しており、
前記窪みの底面と前記加飾用部材の裏面との間には空間が存在していて前記加飾用部材が前記窪みの底面から浮かして前記窪みに取付けられている加飾アルミホイール。
(2) 前記意匠面の前記窪みの開口端部の外周と前記加飾用部材の外周部との間には隙間(S1)を設けた(1)記載の加飾アルミホイール。
(3) 前記アルミホイールの意匠面の前記窪みの開口端部の外周に凹状の段差を設け、前記加飾用部材の外周部を該段差に装着して前記アルミホイールの意匠面と前記加飾用部材の外周部の表面との段差(S2)量がばらつくことを抑制した(1)または(2)記載の加飾アルミホイール。
(4) 前記アルミホイールの意匠面のスポーク部に前記窪みを形成するとともに、スポーク部のリム部とのつけ根部に軽量化のための肉盗み部を形成した(1)乃至(3)記載の加飾アルミホイール。
(5) 前記加飾用部材は、樹脂素材からなる、(1)乃至(4)記載の加飾アルミホイール。
(6) 前記加飾用部材には、メッキ処理、または、有色塗装処理、または、化学研磨処理が施されている、(1)乃至(5)記載の加飾アルミホイール。
【発明の効果】
【0005】
上記(1)〜(6)の加飾アルミホイールでは、意匠面にあらかじめ窪みを形成し、この窪みに加飾用部材を装着し、アルミホイールと一体化したデザイン構成としたので、以下の作用が得られる。
(i) 意匠面の模様や仕上がり等デザインの多様化を実現できる。
(ii) 特にめっき処理、有色塗装処理、化学研磨処理を施した加飾用部材を用いる
ことにより、意匠性の優れたアルミホイールを低価格で提供できる。
(iii) 意匠面をめっき処理部分と有色塗装等の他の部分と混在させることが可能となった。
(iv) 表側からみた意匠面もデザインの陳腐化を生じることなく余肉を取ることができるため、従来よりも大幅に軽量化が可能となる。
(v) 意匠面と加飾部材との面の段差、周方向の隙間のばらつきを最小限に抑えることができ、意匠性の低下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明実施例では、本発明の加飾用アルミホイールが1ピースの鋳造アルミホイールに適用した場合を例にとって、図1〜図6を参照して説明する。
ただし、本発明の加飾アルミホイールは、1ピースの鍛造アルミホイール、または2ピース、3ピースの鋳造アルミホイール、鍛造アルミホイールその他のアルミホイールに適用してもよい。
本発明の全実施例にわたって共通する部分には、本発明全実施例にわたって同じ符号を付してある。
【0007】
まず、本発明実施例に共通する部分を図1(A)、(B)を参照して説明する。
図1において10はリム部であり、12はディスク部である。リム部10とディスク部12は鋳造によって一体的につくられている。14はスポーク部であり、スポーク部14間には、飾り穴16が形成される。
図1の(A)の断面図中半径方向に両端に矢印をもつ線D で指示された範囲が、車両に装着された時に表側から(C 矢視方向)見える部分が一般的に意匠面Dと言われる部分であり、(B)に示すデザインを形成している。
ディスク部12の意匠面Dのうち、スポーク部14には、一定の深さの窪み14a があらかじめ形成されており、窪み14a には、加飾用部材18a が装着されており、これによって、あたかもアルミホイール本体と一体化されたデザインを構成している。
【0008】
窪み14a は、例えば、鋳造時に鋳造により、または鍛造時に鍛造により、または鋳造、鍛造終了後に、機械加工によって形成してもよい。
加飾用部材18a は、樹脂材料等によって作られるが、他の材料や、金属で製作してもよい。その表面には、有色塗装、切削やバフ研磨による光輝仕上げ、または、めっき処理や化学研磨仕上げにより、意匠性を向上させる加飾が行われている。
アルミホイール本体への加飾用部材18a の取付は、窪み14a に装着し、意匠性を損なわない範囲で、例えばボルト、ナットや、ファスナーのような締結部材により取付、装着することにより行う。
【0009】
図2は、図1(B)のA−A断面を示している。この図は、窪みが比較的深い状態の場合の、窪み14a と加飾部材18a の装着状態を示している。
アルミホイールは、断面がほぼM字型で該M字の幅方向中央に平坦な面をもつスポーク部14を有する。アルミホイールの意匠面Dのうちスポーク部14には上記M字型の幅方向中央部の凹みからなる窪み14aが形成される。窪み14aは上記M字の幅方向中央の平坦面からなる底面を有するとともに、意匠面Dに開口している。窪み14aの底面と加飾用部材18aの裏面との間には空間が存在していて、加飾用部材18aが窪み14aの底面から浮かしてアルミホイールの窪み14a部位に取付けられている。スポーク部14の断面をほぼM字型にすることによりスポーク部14の剛性を得るとともに、軽量化をはかることができる。
図2の場合、加飾部材18a はボルト22とナット24によって意匠面Dの裏側でアルミホイール本体に取り付けられ装着される。
この場合、窪み14a の形成は鋳造または鍛造時に行われた場合、鋳造、鍛造後に型をスムーズに抜くために、窪みの開口部に向けて広がるように、勾配をつけざるを得ず、また、窪み14a の深さや開口外周端部15の輪郭も切削加工と違い、精度管理が難しい。その場合、意匠面Dと、加飾部材18a の表面の段差S2、開口外周部15と加飾部材18a の外周部との隙間S1が、一定に定まらず、意匠性を阻害する場合が考えられる。このような問題を解消するため、図3に示すように、アルミホイールの意匠面の窪み14の開口外周端部15に段差15a を設けることが望ましい。この構成にすることにより、意匠面Dと加飾部材18a の表面の段差S2や、窪み14の開口外周端部15と加飾部材18a の外周部と製造上の隙間S1のばらつきを最小限に抑えることができ、意匠性を阻害する要因を取り除くことができる。
【0010】
次に、本発明実施例に共通の作用を説明する。
アルミホイールの意匠面にあらかじめ窪みを形成し、この窪みに加飾用部材を装着し、アルミホイール一体化したデザインを構成したので、次の(i) 〜(iv)の作用が得られる。
(i) 意匠面の模様や仕上がり等、デザインの多様化を実現できる。
(ii) めっき処理、有色塗装処理、化学研磨処理を施した加飾部材を用いることにより、意匠性の優れたアルミホイールを低価格で提供できる。
(iii) 意匠面をめっき処理部分と有色塗装等の他の部分と混在させることが可能となった。
(iv) 表側からみた意匠面をデザインの陳腐化を生じることなく、余肉を取ることができるため、従来よりも大幅な軽量化が可能となる。
【0011】
次に、本発明の各実施例を説明する。
図4は、本発明の実施例のうち、あらかじめ、意匠面のスポーク14に窪み14a を形成し、窪み14a に、窪み14a よりも厚みが薄い加飾用部材18b を装着したものである。
これによって、より深みのある意匠面を実現できる。
【0012】
図5は、本発明実施例のうち、あらかじめ、意匠面のスポーク部14に窪み14a を形成するとともに、スポーク部14のリム部10との付け根部に、軽量化のための肉盗み部(ポケット)12a を形成し、窪み14a と同等の厚みの加飾用部材18cを肉盗み部(ポケット)12a を含めてカバーしたものである。
従来は、軽量化のための肉盗み部を、意匠面に形成することは、デザイン性を損なうため、難しかったが、本実施例のような構成することによって、軽量化とデザイン性の向上を実現できる。
【0013】
図6は、本発明実施例のうち、あらかじめ、意匠面のスポーク部14に窪み14a を形成するとともに、窪み14a に窪み14a の深さよりも厚い部分を持つ、立体的な加飾用部材18d を装着したものである。
これによって、従来の鍛造、鋳造では難しかった立体的で、複雑なデザインを実現することが可能となる。
以上、本発明の実施例では、鋳造、または鍛造の1ピースアルミホイールに適用したものを説明したが、これに限るものでは無く、2ピース、3ピースまたは展伸材アルミホイールであってもよい。
【0014】
発明の効果はつぎのとおりである。
請求項1〜請求項6の加飾アルミホイールでは、意匠面にあらかじめ窪みを形成し、この窪みに加飾用部材を装着し、アルミホイールと一体化したデザイン構成としたので、次の効果が得られる。
(i) 意匠面の模様や仕上がり等、デザインの多様化を実現できる。
(ii) めっき処理、有色塗装処理、化学研磨処理を施した加飾用部材を用いることにより、意匠性の優れたアルミホイールを低価格で実現できる。
(iii) 意匠面をめっき処理部分と有色塗装等の他の処理部分と混在させることが可能となった。
(iv) 表側からみた意匠面についても、デザインの陳腐化を生じることなく、余肉を取ることができるため、従来よりも大幅に軽量化が可能となった。
(v) 意匠面と加飾部材との段差、周方向の隙間のばらつきを最小限に抑えることができ意匠性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例の加飾アルミホイールを示す部分断面図および部分平面図である。
【図2】本発明の他の実施例の加飾アルミホイールと加飾部材の装着状態を示す部分断面図である。
【図3】本発明の他の実施例の加飾アルミホイール加飾部材の装着状態を示す部分断面図である。
【図4】本発明の他の実施例の加飾アルミホイールを示す部分断面図および部分平面図である。
【図5】本発明の他の実施例の加飾アルミホイールを示す部分断面図および部分平面図である。
【図6】本発明の他の実施例の加飾アルミホイールを示す部分断面図および部分平面図である。
【図7】従来のアルミホイールを示す部分断面図および部分平面図である。
【符号の説明】
【0016】
10 リム部
12 ディスク部
12a 肉盗み部
14 スポーク部
14a 窪み
15 開口外周端部
15a 段差
16 飾り穴
18a 加飾用部材
18b 加飾用部材
18c 加飾用部材
18d 加飾用部材
20 ハブ穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミホイールの意匠面にあらかじめ窪みを形成し、前記意匠面のうち前記窪みに加飾用部材を装着して、前記アルミホイールと一体化したデザインを構成することにより、意匠性を向上させた加飾アルミホイールであって、
前記アルミホイールは、断面がほぼM字型で該M字の幅方向中央に平坦な面をもつスポーク部を有し、前記アルミホイールの意匠面のうちスポーク部には前記M字型の幅方向中央部の凹みからなる前記窪みを形成し、
前記窪みは前記M字の幅方向中央の平坦面からなる底面を有するとともに前記意匠面に開口しており、
前記窪みの底面と前記加飾用部材の裏面との間には空間が存在していて前記加飾用部材が前記窪みの底面から浮かして前記窪みに取付けられている加飾アルミホイール。
【請求項2】
前記意匠面の前記窪みの開口端部の外周と前記加飾用部材の外周部との間には隙間(S1)を設けた請求項1記載の加飾アルミホイール。
【請求項3】
前記アルミホイールの意匠面の前記窪みの開口端部の外周に凹状の段差を設け、前記加飾用部材の外周部を該段差に装着して前記アルミホイールの意匠面と前記加飾用部材の外周部の表面との段差(S2)量がばらつくことを抑制した請求項1または請求項2記載の加飾アルミホイール。
【請求項4】
前記アルミホイールの意匠面のスポーク部に前記窪みを形成するとともに、スポーク部のリム部とのつけ根部に軽量化のための肉盗み部を形成した請求項1乃至請求項3記載の加飾アルミホイール。
【請求項5】
前記加飾用部材は、樹脂素材からなる、請求項1乃至請求項4記載の加飾アルミホイール。
【請求項6】
前記加飾用部材には、メッキ処理、または、有色塗装処理、または、化学研磨処理が施されている、請求項1乃至請求項5記載の加飾アルミホイール。
【請求項1】
アルミホイールの意匠面にあらかじめ窪みを形成し、前記意匠面のうち前記窪みに加飾用部材を装着して、前記アルミホイールと一体化したデザインを構成することにより、意匠性を向上させた加飾アルミホイールであって、
前記アルミホイールは、断面がほぼM字型で該M字の幅方向中央に平坦な面をもつスポーク部を有し、前記アルミホイールの意匠面のうちスポーク部には前記M字型の幅方向中央部の凹みからなる前記窪みを形成し、
前記窪みは前記M字の幅方向中央の平坦面からなる底面を有するとともに前記意匠面に開口しており、
前記窪みの底面と前記加飾用部材の裏面との間には空間が存在していて前記加飾用部材が前記窪みの底面から浮かして前記窪みに取付けられている加飾アルミホイール。
【請求項2】
前記意匠面の前記窪みの開口端部の外周と前記加飾用部材の外周部との間には隙間(S1)を設けた請求項1記載の加飾アルミホイール。
【請求項3】
前記アルミホイールの意匠面の前記窪みの開口端部の外周に凹状の段差を設け、前記加飾用部材の外周部を該段差に装着して前記アルミホイールの意匠面と前記加飾用部材の外周部の表面との段差(S2)量がばらつくことを抑制した請求項1または請求項2記載の加飾アルミホイール。
【請求項4】
前記アルミホイールの意匠面のスポーク部に前記窪みを形成するとともに、スポーク部のリム部とのつけ根部に軽量化のための肉盗み部を形成した請求項1乃至請求項3記載の加飾アルミホイール。
【請求項5】
前記加飾用部材は、樹脂素材からなる、請求項1乃至請求項4記載の加飾アルミホイール。
【請求項6】
前記加飾用部材には、メッキ処理、または、有色塗装処理、または、化学研磨処理が施されている、請求項1乃至請求項5記載の加飾アルミホイール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2006−306396(P2006−306396A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173059(P2006−173059)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【分割の表示】特願2000−273245(P2000−273245)の分割
【原出願日】平成12年9月8日(2000.9.8)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【分割の表示】特願2000−273245(P2000−273245)の分割
【原出願日】平成12年9月8日(2000.9.8)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
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