説明

効率的な、サイズ選択型の緑色発光蛍光体

式中、xが0.0001〜0.2であり、微量のユーロピウム成分が効率を改善する量のプラセオジムで置換され、蛍光体組成物の平均粒子サイズが2〜12ミクロンである組成式(I)SrGa:Eu:xGaである蛍光体を形成する方法であって、この方法の生成物中に所望の平均粒子サイズを実現するため適切であるとして選択された条件下で、SrSO及びEu(OH)とともにGa(OH)を析出させることと、生成物又はその後に繰り返されるこのステップの生成物を粉砕し、粉砕された生成物を硫化水素中で焼成する2つのサブステップを、少なくとも1回実行することと、少なくとも1回、焼成された生成物をそれが溶けない溶媒中に懸濁させ、焼成された生成物の一部分を第2の部分を懸濁させたまま沈殿させるための時間を設けることと、懸濁させた部分又は沈殿させた部分の1つ以上の部分中の蛍光体を収集することとを含む方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[1]本出願は、2003年3月4日に出願された第60/451,751号の優先権の利益を主張する。
【0002】
[2]本発明は、サイズ選択型の緑色発光蛍光体に関する。
【0003】
[3]2価のユーロピウムで活性化されたアルカリ土類金属チオガレート蛍光体は、一般に、青色励起、緑色発光蛍光体である。このタイプの蛍光体は、白色光装置のようなLED装置のための優れた色変換器として使用される。
【0004】
[4]そのような蛍光体のうち1つは化学量論的組成(SrGa:Eu)からなり、Peters, Electrochem. Soc., vol. 119, 1972, p230に開示されている。この蛍光体は発光効率が低い。近年、組成式がSrGa:Eu:xGaである非化学量論的なチオガレートベースの蛍光体が米国特許第6,544,438号明細書に記載されている。STGと呼ばれるこの蛍光体は、約470nmの青色光励起を使用して90%以上の高い発光効率を有する。
【0005】
[5]蛍光体粉末を用いてLED装置を製造する際には、一般的に、蛍光体がLEDからの光を効率的に吸収し、より長い波長で光を再放出するように、粒子状蛍光体の薄膜をLEDチップに被覆することが必要である。蛍光体粉末をLEDチップに塗布するプロセスは、液体ベースのスラリー又は溶融ポリマー中のスラリーのような流体状の一定量の蛍光体粉末の送出を伴う。大量のLEDランプを製造するため、精密かつ高速の蛍光体スラリーの送出が重要である。一般的に、このようなプロセスは、粉末の粒子が狭い範囲のサイズを有すること、大体は、4〜7ミクロンのサイズ分布又はそれよりも狭い範囲であることが必要である。このサイズ範囲内の粒子はインクジェット塗布に適している。
【0006】
[6]発光効率は粒子サイズに依存することがわかっている。より大きい粒子は、より小さい粒子よりも効率的に発光する傾向がある。最も効率的なSTG蛍光体は、一般的に、5〜9ミクロンの平均粒子サイズを有し、2ミクロン(平均)よりも小さいSTG粒子は許容可能な発光効率をもたない場合が多い。高い効率は、粒子を構成する微粒子のサイズを制御することによって、小さい粒子において達成できることがわかった。平均粒子サイズが2〜5ミクロンである高効率STG粒子は本発明の方法を用いて分離可能である。
[発明の概要]
【0007】
[7]一実施形態によれば、組成式が
SrGa:Eu:xGa (I)
であり、式中、xが0.0001〜0.2であり、微量のユーロピウム成分が効率を改善する量のプラセオジムで置換された蛍光体が提供される。
【0008】
[8]一実施形態によれば、組成式が
SrGa:Eu:xGa (I)
であり、式中、xが0.0001〜0.2であり、微量のユーロピウム成分が効率を改善する量のプラセオジムで置換され、蛍光体組成物の平均粒子サイズが2〜4.5ミクロンであり、蛍光体組成物の量子効率が85%以上である、蛍光体の組成物が提供される。
【0009】
[9]別の実施形態では、組成式が
SrGa:Eu:xGa (I)
であり、式中、xが0.0001〜0.2であり、微量のユーロピウム成分が効率を改善する量のプラセオジムで置換され、蛍光体組成物の平均粒子サイズが2〜12ミクロンである蛍光体を形成する方法であって、
この方法の生成物中に所望の平均粒子サイズ(沈殿ステップの後で測定された成果)を実現するため適切であるとして選択された条件下でSrSO及びEu(OH)を析出させることと、
第1の析出ステップの生成物とともにGa(OH)を析出させることと、
第2の析出ステップの生成物又はその後に繰り返されるこのステップの生成物を粉砕するサブステップ、及び、粉砕された生成物を硫化水素中で焼成するサブステップの2つのサブステップを少なくとも1回実行することと、
少なくとも1回、焼成された生成物をそれが溶けない溶媒中で懸濁させ、焼成された生成物の一部分を第2の部分を懸濁させたまま沈殿させるための時間を設けることと、
懸濁させた部分又は沈殿させた部分の1つ以上の部分中の蛍光体を収集することと、
を含む方法が提供される。第1の析出は、例えば、水よりも低い極性をもつ水溶性有機溶液中で実行できる。あるいは、(又は、付加的に)、第1の析出は界面活性剤を含有する水溶液中で実行してもよい。
【0010】
[10]一実施形態では、
光出力と、
光源と、
光源と光出力との間に設置され、SrGa:Eu:xGaを含み、式中、xが0.0001〜0.2であり、微量のユーロピウム成分が効率を改善する量のプラセオジムで置換され、492nm〜577nmの波長を有する、光出力における光を増加させるのに有効である波長変換器と、
を備える発光装置がさらに提供される。
【0011】
[11]一実施形態では、
光出力と、
光源と、
光源と光出力との間に設置され、SrGa:Eu:xGaを含み、式中、xが0.0001〜0.2であり、微量のユーロピウム成分が効率を改善する量のプラセオジムで置換され、蛍光体組成物の平均粒子サイズが2〜4.5ミクロンであり、蛍光体組成物の量子効率が85%以上であり、492nm〜577nmの波長を有する、光出力における光を増加させるのに有効である波長変換器と、
を備える発光装置がさらに提供される。
[発明の詳細な説明]
【0012】
[12]以下の用語は、本出願の目的のため、以下に記載されたそれぞれの意味をもつ。
・粒子
粒子は蛍光体の単結晶又は単結晶様成分の凝集体である。
・微粒子
微粒子は蛍光体の単結晶又は単結晶様成分である。
【0013】
[13]本発明の方法は、第1の蛍光体形成プロセスと第2の分粒プロセスとを含む。
【0014】
[14]形成プロセスは、例えば、以下のステップを含む。
1.(硝酸塩のような)溶解性のストロンチウム塩と、(硝酸塩のような)溶解性の2価のユーロピウムとの(希硝酸のような)溶液を形成する。任意で、少量の2価のプラセオジムが(Pr11のような)溶解性塩又は鉱物として添加される。
2.(水酸化アンモニウムによる中和のように)ストロンチウム/ユーロピウム溶液を十分に中和し、同時に(硫酸又は硫酸アンモニウムのような)硫酸塩の供給源を添加する。この文脈における「同時に」とは、所望の析出物を得るため十分に連動してという意味である。ストロンチウムは、硫酸塩を形成すると考えられ、中和と共に、以下の析出物:
Sr(SO)+Eu(NO+NHOH→SrSO↓+Eu(OH)↓+NHOH
を形成する。析出物の形成は、ユーロピウム水酸化物で被覆された硫酸ストロンチウム微粒子であると考えられる。この析出ステップでは、粒子内の微粒子のサイズは、析出のある種のパラメータを用いて調整可能である。例えば、アセトン又はエタノールのような有機溶媒の水溶性媒体への添加は、溶媒の極性を低下させ、小さい微粒子をもつ微粉を生じさせる。ソルビタンモノラウレートのような有機の界面活性剤を水溶性媒体中で分散させることにより、大変小さい微粒子の析出物が得られる。より小さい微粒子サイズは、より小さい粒子において高い効率を可能にすると考えられる。このような効率的な小さい粒子は本発明のプロセスを用いて実現される。
3.硝酸塩のような酸可溶性ガリウム塩の第2の溶液を形成する。例えば、金属ガリウムは硝酸中で溶解させることができる(例えば、一晩かけて)。ガリウム酸化物は硫化物に転換することが困難であるため、その使用はあまり好ましくない。
4.第2の析出は、第1のSr/Eu析出の懸濁液と、以下の組成式:
Sr(SO):Eu:(2.0+x)Ga(OH)
においてガリウムの過剰量xを与えるため添加されたガリウム溶液との混合後に実行される。析出は、(例えば、アンモニアで)十分に中和することによって、又は、(尿素のような)カオトロピック剤を添加することによって実行される。
5.第2の析出から生じた微粉は、乾燥、粉砕、硫化水素中で焼成される。焼成はチューブ炉内の(アルミナボートのような)耐火ボートで行われる。適当な焼成は、例えば、800℃、5時間である。硫化水素下での第2の粉砕及び焼成ステップは、均一性を保証するため適用される。適当な第2の焼成は、例えば、900℃、2時間である。X線分析は、“x”が組成式(I)で使用されるので、xを決定するため使用される。
【0015】
[15]析出で使用するための水混和性(Sr/Eu析出のため最終的に構成されるような水溶性溶媒中の混和性を含む)溶媒は、例えば、アルコール及びケトンを含む。
【0016】
[16]本明細書に記載された中和は、pH7にならなくても、問題になっている析出を可能にするために十分に中性(又は、やや塩基性)であればよい。実質的な気相を含むプロセスのため本明細書に記載された温度は、問題となっている炉又はその他の反応槽の温度であり、反応物質それ自体の温度ではない。
【0017】
[17]一部の実施形態では、xの範囲は、以下の下端点(含む)の1つから、又は、以下の上端点(含む)の1つから与えられる。下端点は、0.0001、0.001、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18及び0.19である。上端点は、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19及び0.2である。例えば、範囲は、0.001〜0.2、又は、0.001〜0.1である。
【0018】
[18]プラセオジムが組成物中に存在するとき、プラセオジムは、蛍光体の量子効率を改善するため効果的である少量のユーロピウムを置換する。この量は、例えば、ユーロピウムの0.05モルパーセント〜4モルパーセントである。一部の実施形態では、このパーセンテージの範囲は、以下の下端点(含む)の1つから、又は、以下の上端点(含む)の1つから与えられる。下端点は、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、3.2、3.4、3.6及び3.8モルパーセントである。上端点は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、3.2、3.4、3.6、3.8及び4.0モルパーセントである。
【0019】
[19]一部の実施形態では、平均サイズの範囲は、以下の下端点(含む)の1つから、又は、以下の上端点(含む)の1つから与えられる。下端点は、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0及び11.5である。上端点は、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5及び12.0である。
【0020】
[20]一部の実施形態では、波長変換器によって改善させられた光の波長の範囲は、以下の下端点(含む)の1つから、又は、以下の上端点(含む)の1つから与えられる。下端点は、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、56、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575及び576である。上端点は、493、494、495、496、497、498、499、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、56、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576及び577である。
【0021】
[21]一部の実施形態では、蛍光体の量子効率は、85%、86%、87%、88%、89%、又は、それ以上である。
【0022】
[22]以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、当然ながら、決して本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
[実施例1]
調整剤を用いない蛍光体形成
【0023】
[23]蛍光体形成プロセスの一例のステップは次の通りであった。
1.Eu+/Sr+溶液の調製:1.408グラムのEuが200mLの希硝酸中に溶解された。28.34グラムのSrCOがその溶液にゆっくり添加された。硝酸は必要に応じて添加された。0.6mLの0.01M Pr11溶液がこの系に添加された。脱イオン水が300mLになるまで添加された。
2.硫酸塩溶液の調製:60グラムの(NHSOが300mL溶液のための270mLの脱イオン水中に溶解された。
3.SrSO微粉の析出:ステップ2で調製された硫酸塩溶液は、ステップ1の溶液に10分間撹拌しながら添加され、SrSO微粉が形成された。pHはpH2.2に調整された。
4.Ga溶液の調製:28.72グラムのガリウム金属が200mLの濃硝酸中に溶解された。溶液は硝酸が発煙する(しかも、調製物が茶色がかる)まで加温された。溶液は室温まで冷却され、一晩放置された。この一晩の放置後、溶液は透明で緑色がかった。溶液は、黄色になり次に透明になるまで、加熱された。脱イオン水が500mL溶液を作るため添加された。pHは、水酸化アンモニウム(約40mL)を用いてpH2.02に調整され、その後、脱イオン水が600mLになるまで添加された。
5.Ga(OH)の析出:ステップ4で調製されたGa溶液はステップ3からの懸濁液に添加され、pHはpH7.0に調整された。懸濁液は17時間、室温で撹拌され、次に、2時間放置された。白色微粉の生成物は濾過された。
6.粉末はアセトンで洗い流され、次に、粉末を回収するための別の濾過の前に1400mLのアセトンを用いて1時間に亘って50℃で撹拌された。粉末は乾燥された。
7.粉末は5時間ボールミル粉砕され、濾過され、一晩かけて乾燥された。
8.粉末はHSガス中で5時間に亘って800℃で焼成された。室温まで冷却された後、粉末は40分間粉砕された(ボールミル粉砕でもよい)。
9.蛍光体はHSガス中で2時間に亘って900℃で、再度焼成された。
【0024】
[24]このサンプルのX線粉末回折データは、一方がSrGaであり、他方がGaである2つの結晶相の共存を示した。粒子サイズは、1〜8.5ミクロンの間であり、平均サイズは4.66ミクロンであることが、堀場製作所製CAPA−700粒度分布測定装置で測定された。量子効率は450nm励起による537nmの発光バンドを使用して、89%であることが測定された。
[実施例2]
有機調整剤を用いた蛍光体形成
【0025】
[25]蛍光体形成プロセスの一例のステップは次の通りであった。
1.Eu3+/Sr2+溶液の調製:2.815グラムのEuが400mLの希硝酸中に溶解された。56.69グラムのSrCOがその溶液にゆっくり添加された。追加の硝酸は必要に応じて添加された。1.2mLの0.01M Pr11溶液がこの系に添加された。脱イオン水が600mLになるまで添加された。次に、600mLのエチルアルコールが1200mLになるまで添加された。
2.硫酸溶液の調製:50mLの97%濃硫酸が300mLの脱イオン水で希釈された。
3.SrSO微粉の析出:ステップ2で調製された硫酸溶液が、ステップ1で作られたEu3+/Sr2+溶液に10分間撹拌しながら添加され、SrSO微粉を生じた。pHはpH1.3に調整された。
4.Ga溶液の調製:57.17グラムのガリウム金属が400mLの濃硝酸中に溶解された。溶液は硝酸が発煙する(茶色がかる)まで加温された。溶液が室温まで冷却され、一晩放置された後、溶液は透明で緑色がかった。溶液は、黄色になり次に透明になるまで、加熱された。脱イオン水が1000mL溶液を作るため添加された。pHは、水酸化アンモニウム(約80mL)を用いてpH1.2に調整され、その後、脱イオン水が1200mLまで添加された。
5.ステップ4で作られたGa溶液が、ステップ3で得られた懸濁液に強く撹拌しながら添加された。エチルアルコールが3.4Lの総体積になるまで懸濁液に添加された。pHはpH7.0に調整された。懸濁液は2時間撹拌され、その後、一晩放置された。上澄みがデカントされ、粉末が濾過された。粉末はアセトンで数回洗い流された。粉末は55℃で一晩かけて乾燥された。
6.粉末は5時間に亘ってアルミナボールを用いてアセトン中でボールミル粉砕され、次に濾過され、一晩かけて乾燥された。
7.粉末は、HSガス中で5時間に亘って800℃で、前駆物質に焼成された。焼成された蛍光体生成物は粉砕された。
8.蛍光体は、HSガス中で1時間に亘って900℃で再焼成された。
【0026】
[26]この蛍光体サンプルのX線粉末回折データは、一方がSrGaであり、他方がGaである2つの結晶相の共存を示した。粒子サイズは、1〜7ミクロンの間であり、平均サイズは3.40ミクロンであることが、堀場製作所製CAPA−700粒度分布測定装置で測定された。量子効率は450nm励起による537nmの発光バンドを使用して、90%であった。
[実施例3]
界面活性調整剤あり
【0027】
[27]蛍光体形成プロセスの一例のステップは次の通りであった。
1.Eu3+/Sr2+溶液の調製:2.815グラムのEuが400mLの希硝酸中に溶解された。56.69グラムのSrCOがその溶液にゆっくり添加された。追加の硝酸が必要に応じて添加された。1.2mLの0.01M Pr11溶液がこの系に添加された。脱イオン水が600mLを作るため添加された。SrCO重量(1.4mL)の2重量%のソルビタンモノラウレートが添加された。次に、600エチルアルコールが1200mLを作るため添加された。
2.硫酸塩溶液の調製:120グラムの(NHSOが600mL溶液のための540mLの脱イオン水中に溶解された。
3.SrSO微粉の析出:ステップ2で調製された硫酸塩溶液は、10分間撹拌しながらステップ1の溶液に添加され、SrSO微粉が形成された。pHはpH1.75に調整された。
4.Ga溶液の調製:57.54グラムのガリウム金属が400mLの濃硝酸中に溶解された。溶液は硝酸が発煙する(茶色がかる)まで加温された。溶液は室温まで冷却され、一晩放置された。この放置後、溶液は透明で緑色がかった。溶液は、黄色になり次に透明になるまで加熱された。脱イオン水が1000mLを作るため添加された。pHは、水酸化アンモニウム(約80mL)を用いてpH2.02に調整された。その後、脱イオン水が1200mLになるまで添加された。
5.Ga(OH)の析出:ステップ4で調製されたGa溶液が、ステップ3からの懸濁液に添加され、pHはpH7.0に調整された。懸濁液は2時間、室温で撹拌され、次に、15時間放置された。白色微粉が濾過によって回収された。
6.粉末はアセトンで洗い流され、濾過され、1400mLのアセトンを用いて1時間に亘って50℃で撹拌され、再度濾過された。粉末は乾燥された。
7.粉末は12時間ボールミル粉砕された。
8.粉末は、HSガス中で5時間に亘って800℃で焼成された。室温まで冷却された後、粉末は40分間粉砕された(ボールミル粉砕でもよい)。
9.蛍光体は、HSガス中で2時間に亘って900℃で、再度焼成された。
【0028】
[28]この蛍光体サンプルのX線粉末回折データは、一方がSrGaであり、他方がGaである2つの結晶相の共存を示した。粒子サイズは、1〜12ミクロンの間であり、平均サイズは6.8ミクロンであることが、堀場製作所製CAPA−700粒度分布測定装置で測定された。量子効率は450nm励起による537nmの発光バンドを使用して88%であることが測定された。
[実施例4]
分粒
【0029】
[29]分粒プロセスの一例のステップは以下の通りである。
1.STG蛍光体のエチルアルコール懸濁液の調整:135グラムのSTG蛍光体粉末が450mLのエチルアルコール中に懸濁された。粉末の粒子サイズは1〜14ミクロンの範囲であり、平均が7.6ミクロンである。
2.懸濁液は12分間超音波分解された。
3.懸濁液は30分間静置された。粉末の一部分が沈殿し、粉末のその他の部分は懸濁状態のままであった。
4.懸濁液は別の容器へ移され、沈殿した部分はサイズの大きい部分として分離された。
5.中間サイズの部分(第2の沈殿部分)及び最も小さい部分(第2の上澄み)を得るためステップ3−4を繰り返す。
【0030】
[30]3個のサンプルの粒子サイズは堀場製作所製CAPA−700粒度分布測定装置で測定された。大サイズ部分は、平均サイズ7.74ミクロン、84グラム、量子効率91%であり、中間サイズ部分は、4.58ミクロン、量子効率87%であり、小サイズ部分は、2.67ミクロン、量子効率92%であった。
[実施例5]
焼成後のボールミル粉砕
【0031】
[31]平均粒子サイズが10.5ミクロンである一定量のSTG蛍光体がアセトン中に懸濁される。懸濁液は、次に1/4インチ(0.635cm)ガラス玉を収容するアルミナ製ミリングジャーへ入れられる。次に粉砕が40分間続けられた。粉砕後、粉末は55℃で乾燥された。微粒子サイズは7.2ミクロン(平均)であることが測定された。粉体化されたサンプルの量子効率は39%であり、一方、粉体化されていないサンプルの量子効率は91%であった。粉体化された蛍光体の500℃で2時間のアニーリングは、部分的に発光効率を45%まで回復させた。
【0032】
[32]本明細書において引用された、特許と特許出願を含むがそれらに限定されない、刊行物及び参考文献は、個々の刊行物又は参考文献が完全に列挙されたものとして本明細書に参照として組み入れられることが具体的かつ個別に示された場合と同様に、引用された部分の全体がそのまま参照として本明細書に組み入れられる。本出願が優先権の利益を主張するあらゆる特許出願も、刊行物及び参考文献に関して既に説明したような方法で、同様に参照として本明細書に組み入れられる。
【0033】
[33]本発明は好ましい実施形態に重点を置いて記載されているが、当業者に明らかであるように、好ましい装置及び方法の変更形が使用され、本明細書に具体的に記載されていない態様で本発明が実施されることが意図されている。したがって、本発明は、特許請求の範囲によって規定された本発明の思想及び範囲に含まれるすべての変更形を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成式が、
SrGa:Eu:xGa (I)
であり、式中、xが0.0001〜0.2であり、微量のユーロピウム成分が効率を改善する量のプラセオジムで置換された蛍光体。
【請求項2】
xが0.001〜0.10である、請求項1記載の蛍光体。
【請求項3】
xが0.01〜0.07である、請求項1記載の蛍光体。
【請求項4】
組成式が、
SrGa:Eu:xGa (I)
であり、式中、xが0.0001〜0.2であり、微量のユーロピウム成分が効率を改善する量のプラセオジムで置換されていてもよく、蛍光体組成物の平均粒子サイズが2〜4.5ミクロンであり、蛍光体組成物の量子効率が85%以上である、蛍光体の組成物。
【請求項5】
平均粒子サイズが2〜3.5ミクロンである、請求項5記載の組成物。
【請求項6】
平均粒子サイズが2〜3ミクロンである、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
蛍光体組成物の量子効率が87%以上である、請求項5記載の組成物。
【請求項10】
蛍光体組成物の量子効率が88%以上である、請求項6記載の組成物。
【請求項11】
蛍光体組成物の量子効率が89%以上である、請求項6記載の組成物。
【請求項12】
組成式が
SrGa:Eu:xGa (I)
であり、式中、xが0.0001〜0.2であり、微量のユーロピウム成分が効率を改善する量のプラセオジムで置換されていてもよく、蛍光体組成物の平均粒子サイズが2〜12ミクロンである蛍光体を形成する方法であって、
前記方法の生成物中に所望の平均粒子サイズを実現するため適切であるとして選択された条件下でSrSO及びEu(OH)を析出させることと、
第1の析出ステップの生成物とともにGa(OH)を析出させることと、
第2の析出ステップの生成物又はその後に繰り返されるこのステップの生成物を粉砕するサブステップ、及び、粉砕された生成物を硫化水素中で焼成するサブステップの2つのサブステップを少なくとも1回実行することと、
少なくとも1回、焼成された生成物をそれが溶けない溶媒中で懸濁させ、焼成された生成物の一部分を第2の部分を懸濁させたまま沈殿させるための時間を設けることと、
懸濁された部分又は沈殿された部分の1つ以上の部分中の蛍光体を収集することと、
を含む方法。
【請求項13】
収集された蛍光体組成物が85%以上の量子効率を有する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
第1の析出が水よりも低い極性を有する水溶性有機溶媒中で実行される、請求項12記載の方法。
【請求項15】
第1の析出が界面活性剤を含有する水溶液中で実行される、請求項12記載の方法。
【請求項16】
光出力と、
光源と、
光源と光出力との間に設置され、SrGa:Eu:xGaを含み、式中、xが0.0001〜0.2であり、微量のユーロピウム成分が効率を改善する量のプラセオジムで置換され、492nm〜577nmの波長を有する、光出力における光を増加させるのに有効である波長変換器と、
を備える発光装置。
【請求項16】
光出力と、
光源と、
光源と光出力との間に設置され、SrGa:Eu:xGaを含み、式中、xが0.0001〜0.2であり、微量のユーロピウム成分が効率を改善する量のプラセオジムで置換されていてもよく、蛍光体組成物の平均粒子サイズが2〜4.5ミクロンであり、蛍光体組成物の量子効率が85%以上であり、492nm〜577nmの波長を有する、光出力における光を増加させるのに有効である波長変換器と、
を備える発光装置。

【公表番号】特表2006−519920(P2006−519920A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509150(P2006−509150)
【出願日】平成16年3月3日(2004.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/006705
【国際公開番号】WO2004/079798
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(599134012)サーノフ・コーポレーション (59)
【Fターム(参考)】