説明

動き検出ユニット

【課題】被測定物の動きを、加速度センサモジュール等により簡単に検出することができ、高い精度の測定が可能な動き検出ユニットを提供する。
【解決手段】被測定物12に加わる加速度又は角速度を検出する第一のセンサモジュール14,34と、第一のセンサ電圧を積分する積分回路Sx1を有する。第二のセンサ電圧を出力する第二のセンサモジュール14,34を有する。第二のセンサ電圧を受け、被測定物12が動作中または静止中かを判定する所定の演算処理を行い、判定信号を継続的に出力する動作検出手段32を備える。記積分回路Sx1が出力した一階積分電圧と判定信号とに基づいて所定の演算処理を行い、連続的なアナログ信号である補正信号を積分用オペアンプOP1の反転入力端子に向けて出力するオフセット調整手段FBxを備える。オフセット調整手段FBxは、被測定物12が静止している旨の判定信号を動作検出手段32より受けると、一階積分電圧をゼロに近づけるように補正信号を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被測定物に取り付けられた加速度センサモジュールや角速度センサモジュールを用いて被測定物の動きを検出する動き検出ユニットに関し、特にオペアンプを用いた積分回路を備えた動き検出ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
リモートコントローラ(遠隔操作機器)の動きを検出し、その動きに基づいてコンピュータで種々の処理を行う技術は、例えば、ペン型のリモートコントローラを用いて非接触でパソコンの画面に文字や絵を描く装置、リモートコントローラを手に持って運動を行う家庭用ゲーム機、携帯電話機等の用途で実用化されつつある。
【0003】
被測定物の3次元的な動きを検出する装置として、例えば、図6に示す動き検出ユニット10のような構成がある。動き検出ユニット10は、リモートコントローラ等の被測定物12に取り付けられ、被測定物12のXYZ軸の各軸方向の加速度を検出し、移動距離を示す電気信号に変換して出力するものである。以下、動き検出ユニット10について、図面に基づいて説明する。
【0004】
動き検出ユニット10は、ピエゾ抵抗型や静電容量型等のセンサ素子と、センサ素子のインピーダンスの変化を電圧信号に変換する変換回路とが設けられた加速度センサモジュール14を備えている。加速度センサモジュール14は、内蔵するセンサ素子が検知した加速度を、XYZ軸の各加速度成分ax,ay,azに分解し、その加速度成分に比例した電圧である加速度電圧V(ax),V(ay),V(az)を出力するものである。
【0005】
加速度センサモジュール14の加速度電圧V(ax)の出力端には、利得1倍の電圧フォロワBAxが接続され、電圧フォロワBAxは加速度電圧V(ax)を低インピーダンスに出力する。
【0006】
電圧フォロワBAxの出力には、積分回路Sx1が接続されている。積分回路Sx1は、図7に示すように、非反転入力端子がグランド電位に接続されたオペアンプOP1と、一端に被積分電圧が入力され、他の一端がオペアンプOP1の反転入力端子に接続された入力抵抗Riと、オペアンプOP1の反転入力端子と出力端子間に接続された帰還コンデンサCoとで構成されている。従って、積分回路Sx1は、入力された加速度電圧V(ax)を積分して極性を反転させた電圧、すなわち、速度に比例した電圧である速度電圧V(vx)を出力する。
【0007】
積分回路Sx1の出力には、図6に示すように、積分回路Sx2が接続されている。積分回路Sx2は、図7で説明した積分回路Sx1と同様の構成を備えており、入力された速度電圧V(vx)を積分して極性を反転させた電圧、すなわち、距離に比例した電圧である移動距離電圧V(x)を出力する。そして、積分回路Sx2が出力する移動距離電圧V(x)は、図示しないコンピュータ等へ入力され、動き検出ユニット10が利用される装置の制御信号として使用される。
【0008】
図6に示す他の加速度成分ay,azに対応した加速度電圧V(ay),V(az)の処理も、上述した加速度電圧V(ax)と同様の構成により行われる。
【0009】
以上説明したように、動き検出ユニット10は、被測定物12に加わる加速度を、XYZ軸の各軸方向の加速度成分に分解し、各電圧信号に二階積分を施して各軸方向の移動距離成分に変換して出力する動作を行うものである。
【0010】
しかしながら、上記の動き検出ユニット10は、加速度センサ素子に起因するドリフト分やオペアンプOP1内部のオフセット電圧等の影響で、被測定物が静止している状態でも、移動距離電圧V(x),V(y),V(z)が変動するという問題が生じる。
【0011】
例えば図8に示すように、被測定物12が点P0から点P1に移動するモデルを想定した場合、図7に示す積分回路Sx1から出力される速度電圧V(vx)は、次式のように表される。
【数1】

【0012】
ここで、ax:X方向の加速度成分、ΔVdx:加速度センサ素子に起因するX軸のドリフト分である直流電圧、t:任意各点P0から点P1の移動に要した時間、である。式(1)から分かるように、被測定物12が静止していても、右辺の第二項の影響で、速度電圧V(vx)が時間と共に一定の傾きで変化する。また、オペアンプOP1内部のオフセット電圧が速度電圧V(vx)に与える影響も式(1)と同様に表され、被測定物12が静止していても、速度電圧V(vx)が時間と共に一定の傾きで変化する。
【0013】
このように、加速度センサ素子のドリフト分ΔVd等が積分回路Sx1,Sy1,Sz1,Sx2,Sy2,Sz2に入力され、さらに積分用オペアンプOP1内部のオフセット電圧も加わり、それらが増幅され時間とともに積分されて増大し、大きな誤差要因として出力に現れる。従って、本来測定したい被測定物12の速度電圧や移動距離電圧を精度よく測定することができないという問題がある。
【0014】
また、動き検出ユニット10には、被測定物12及び加速度センサ素子に加わっている重力加速度gが誤差要因として測定されるという問題もある。重力加速度gは、上記の加速度センサ素子に起因するドリフト分ΔVdと同様の作用によって、積分回路Sx1,Sy1,Sz1,Sx2,Sy2,Sz2の出力に誤差成分として現れる。重力加速度gは一定値だが、図9(a)(b)に示すように、被測定物12が垂直方向成分を有して回転移動すると、加速度センサ素子によってXYZ軸成分に分解して検出される重力加速度成分gx,gy,gzが変化してしまう。従って、速度電圧や移動距離電圧の測定値に対して補正演算を行って、重力加速度gの影響をキャンセルするということは容易ではない。
【0015】
そこで、発明者は鋭意研究を重ね、上記の問題を解決した発明について特許出願した(特願2008−200412号)。この発明は、速度電圧V(vx)に現れる誤差要因分をキャンセルするため、図10に示すように、積分回路Sx1の出力端の速度電圧V(vx)を検知し積分回路Sx1の動作を補正するオフセット調整回路16を設け、さらに積分回路Sx1の入力端の加速度電圧V(ax)を検知しオフセット調整回路16の動作を制御するオフセット制御手段18を設けたものである。以下、オフセット調整回路16とオフセット制御手段18について説明する。
【0016】
オフセット調整回路16は、増幅回路AMP1、サンプルホールド回路(以下、S/H回路と表す。)20、フィードバック抵抗Rfで構成されている。増幅回路AMP1は、利得Afに設定されており、積分回路Sx1の出力端に接続され、速度電圧V(vx)を非反転増幅して出力する。
【0017】
S/H回路20は、一端が増幅回路AMP1の出力端に接続されたスイッチ素子ASWと、スイッチ素子ASWのオン時の抵抗値を表す導通抵抗Rsとの直列回路を備えている。その直列回路の導通抵抗Rs側の開放端とグランド電位の間にホールド用コンデンサChが接続され、さらにホールド用オペアンプOP2の非反転入力端子が導通抵抗Rsとホールド用コンデンサChの接続点に接続され、反転入力端子は出力端子に接続されている。
【0018】
スイッチ素子ASWは、例えば半導体素子で構成されたアナログスイッチであって、オフセット制御手段18によってオン・オフが制御される。S/H回路20は、スイッチ素子ASWがオンされると、ホールド用コンデンサChの両端が、増幅回路AMP1が出力する増幅電圧とほぼ等しい電圧に充電され、その充電電圧は、ホールド用オペアンプOP2で構成された利得1の非反転増幅回路を介してそのまま増幅電圧Vfとして出力される。また、S/H回路20は、その後スイッチ素子ASWがオフされてもホールド用コンデンサChの電圧は保持されるので、増幅電圧Vfもそのまま継続して出力される。
【0019】
そして、フィードバック抵抗Rfは、一端がS/H回路20の出力であるホールド用オペアンプOP2の出力に接続され、他の一端が積分回路Sx1のオペアンプOP1の反転入力端子に接続されている。従って、フィードバック抵抗Rfには増幅電圧Vfに応じた電流が流れ、積分回路Sx1のオフセット調整を行うためのフィードバック信号を送る動作を行う。
【0020】
オフセット制御手段18は、マイクロコンピュータ内に構成され、積分回路Sx1の入力端の加速度電圧V(ax)を検知して所定の演算処理を行い、所定の基準値以下の低い電圧値が一定時間継続すると、各スイッチ素子ASWをオンし、それ以外の時は各スイッチ素子ASWをオフさせる制御を行う。
【0021】
次に、動作を説明する。被測定物12が動作すると被測定物12に取り付けられた加速度センサモジュール14に加速度が作用し、加速度センサモジュール14の出力に電圧が発生し、その後、被測定物が静止すると理想的には電圧が発生しなくなる。
【0022】
被測定物12が静止しているとき、オフセット制御手段18は、加速度電圧V(ax)が所定の基準値以下であることを検出し、その状態が一定時間を越えると、スイッチ素子ASWをオンさせる。スイッチ素子ASWがオンすると、オフセット調整回路16は、速度電圧V(vx)がゼロに近づくように動作し、積分回路Sx1の速度電圧V(vx)は、次式のように表される。
【数2】

【数3】

【数4】

【0023】
ここで、io:帰還コンデンサCoに流れる電流、ΔVdx:重力加速度gやその他ドリフト分のX軸成分である直流電圧、Vf:S/H回路18の出力電圧である。
【0024】
式(3)(4)を式(2)に代入して展開し、時間が充分経過した定常状態(t=∞)の速度電圧V(vx)を求めると、
【数5】

と表される。従って、式(5)から分かるように、例えばRi=Rfとすれば、ドリフト分ΔVdxの影響は、増幅回路AMP1の利得Afによって決定され、利得Afを充分大きく設定すれば、重力加速度gやドリフト分のX軸成分であるΔVdxの影響を無視できる程度に低減することができる。
【0025】
次に、被測定物12が静止状態から動き始めると、オフセット調整回路16は、加速度電圧V(ax)が所定の基準電圧を超えたことを検出し、スイッチ素子ASWをオフするとともに、積分回路Sx1は加速度電圧V(ax)を積分する動作を開始する。スイッチ素子ASWがオフすると、オフセット調整回路16によるフードバックループは切り離されるので、速度電圧V(vx)の積分結果を入力に帰還する動作は停止する。しかし、S/H回路20の出力電圧Vfは直前にホールド用コンデンサChに蓄えられた充電電圧によって保持されており、フィードバック抵抗Rfを経由してオペアンプOP1の反転入力端子に所定の信号を送り続ける。
【0026】
このように、被測定物12が一定時間静止する毎にオフセット調整を自動的に行い、そして被測定物12が動き始めて測定をしているときも、そのオフセット調整された状態を維持する動作が行われ、積分回路Sx1が出力する速度電圧V(vx)から誤差成分を排除することができる。
【0027】
また、特許文献1には、抵抗値変化型の加速度センサ素子と、3つのオペアンプを用いて構成された差動増幅回路と、ローパスフィルタの負帰還回路に積分回路を用いたバンドパスフィルタとを備え、加速度センサ素子の出力を電気信号に変換増幅して加速度信号を得ることができる加速時計およびこれを用いた能動制振装置が開示されている。前記差動増幅回路には、オフセット調整を行うため、所定の基準電圧、オペアンプ、可変抵抗などから構成されたオフセット補正回路が付加されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2000−338127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
しかし、オフセット調整回路16及びオフセット制御手段18を備えた上記の動き検出ユニット10の場合、被測定物12が静止状態から動き始めると、可及的に短時間のうちにスイッチ素子ASWをオフさせる必要があるため、オフセット制御手段18を構成するときは、高速動作可能なCPUを用いたマイクロコンピュータで必要であった。
【0030】
被測定物12が動き始め、オフセット制御手段18によって加速度電圧V(ax)が所定の基準電圧を超えたことが検出され、スイッチ素子ASWがオフするまでの期間をT1とすると、期間T1の間は、積分回路Sx1が出力する速度電圧V(vx)の変化に伴って、オフセット調整回路16のホールド用コンデンサChの電圧も変化してしまう。そして、期間T1が経過してスイッチ素子ASWがオフすると、ホールド用コンデンサChの電圧は変化後の電圧に保持され、フィードバック抵抗Rfを経由してオペアンプOP1の反転入力端子に所定の信号を送り続ける。従って、期間T1が長いと、その期間におけるホールド用コンデンサChの電圧変動が大きくなり、被測定物12の静止状態で設定した理想的なオフセット調整状態から大きくずれてしまう。そして、この期間T1を極力短くするため、オフセット制御手段18を構成するときは、高速動作可能で高価なCPUが搭載されたマイクロコンピュータを用いなければならず、コストや汎用性の面で問題が生じていた。
【0031】
また、期間T1を短くする方法以外にも、積分回路Sx1の応答特性を調整することによって期間T1におけるホールド用コンデンサChの電圧の変化幅を小さくする方法が考えられる。しかし、本来測定したい被測定物12の動き自体を精度よく得ることができなくなるので、積分回路Sx1の応答特性を調整する方法にも限界があった。
【0032】
一方、特許文献1の加速度計は、オフセット調整が可変抵抗を調整したり、又は固定抵抗をスイッチで切り換える等の方法で行われるものであって、加速度計が稼働中に自動的にオフセット調整したり、又は厳密なオフセット調整が行われるものではなかった。
【0033】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたもので、被測定物の動きを、加速度センサモジュール等により簡単に検出することができ、ドリフト分などの誤差要因をキャンセルするためのオフセット調整が自動的に行われ、高い精度の測定が可能な動き検出ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
この発明は、被測定物に取り付けられ、前記被測定物に加わる加速度又は角速度を電圧信号に変換し、第一のセンサ電圧を出力する第一のセンサモジュールと、入力抵抗と帰還コンデンサとオペアンプとを有し、前記入力抵抗の一端から入力された前記第一のセンサ電圧を積分し、一階積分電圧を出力する反転出力型の積分回路とを備えた動き検出ユニットにおいて、前記被測定物が動作することによって変化する所定の特性値を検出して電圧信号に変換し、第二のセンサ電圧を出力する第二のセンサモジュールと、前記第二のセンサ電圧を受け、前記被測定物が動作中または静止中かを判定する所定の演算処理を所定の周期毎に行い、その判定結果である判定信号を継続的に出力する動作検出手段と、前記積分回路が出力した前記一階積分電圧と前記判定信号とに基づいて所定の演算処理を行い、連続的なアナログ信号である補正信号を前記積分用オペアンプの反転入力端子に向けて出力するオフセット調整手段とを備え、前記オフセット調整手段は、前記被測定物が静止している旨の前記判定信号を前記動作検出手段より受けると、前記一階積分電圧をゼロに近づけるように前記補正信号を変化させる動き検出ユニットである。
【0035】
また、前記動作検出手段は、前記第二のセンサ電圧又はその微分電圧と予め設定され当該基準値とを一定の周期毎に繰り返し比較演算し、前記基準値の方が小さいときに前記被測定物が動作している旨の前記判定信号を出力する動作を行うものであってもよい。
【0036】
また、前記オフセット調整手段は、アナログ値である前記一階積分電圧を積分電圧デジタル値に変換するアナログ/デジタル変換器と、前記動作検出手段から前記被測定物が停止している旨の前記判定信号を受けると、前記積分電圧デジタル値に基づく所定の演算処理を行って当該一階積分電圧をゼロに近づけるための補正量デジタル値を算出して出力し、前記被測定物が動作している旨の前記判定信号を受けたときは、前回の演算処理によって算出された補正量デジタル値を継続して出力する演算部と、前記補正量デジタル値をアナログ値である補正電圧に変換するデジタル/アナログ変換器と、前記デジタル/アナログ変換器から前記補正電圧を受け、当該補正電圧に基づいて連続的なアナログ信号である補正電流を生成し、次の周期で新たな前記補正電圧を受けるまでの間、前記補正電流を前記積分用オペアンプの反転入力端子に向けて連続して出力する補正信号出力部とを備えたものであってもよい。
【0037】
また、前記第ニのセンサモジュールは、互いに直交する複数次元座標系の各軸毎に加速度電圧を出力可能に設けられた加速度センサモジュール、又は、水平方向の回転軸を有した回転の角速度と垂直方向の回転軸を有した回転の角速度とを前記各回転軸毎に角速度電圧に変換して出力する角速度センサモジュールであり、前記動作検出手段は、前記第二のセンサモジュールの各出力である前記第ニのセンサ電圧又はその微分電圧が、全て基準値以下のときだけ前記被測定物が静止していると判定し、前記被測定物が静止している旨の判定信号を、前記加速度センサモジュール個々に設けられた全ての前記オフセット調整手段に向けて出力することを特徴とする動作を行う動き検出ユニットである。
【0038】
また、前記第一のセンサモジュールは、互いに直交する複数次元座標系の各軸毎に加速度電圧を出力可能に設けられた加速度センサモジュール、又は、水平方向の回転軸を有した回転の角速度と垂直方向の回転軸を有した回転の角速度とを前記各回転軸毎に角速度電圧に変換して出力する角速度センサモジュールであり、前記積分回路及び前記オフセット調整手段は、前記各軸及び各回転軸毎に設けられた動き検出ユニットである。
【0039】
さらに、前記第二のセンサモジュールは、前記第一のセンサモジュールを兼用したものであってもよい。
【発明の効果】
【0040】
この発明の動き検出ユニットは、被測定物の動きを示す第二のセンサ電圧又はその微分電圧を一定のサンプリング周期で基準値と比較し、被測定物の動きが静止していると判定したときだけ積分回路への補正信号を変更するため、被測定物が静止状態から動き始めても、静止状態で決定した適正なオフセット調整状態を保持することができる。従って、積分回路の一階積分電圧の誤差要因を適切なタイミングで確実に自動的に排除することができ、さらに、比較的安価な汎用CPUを備えたマイクロコンピュータであっても高精度な測定を行うことができる。
【0041】
また、互いに直交した3軸に対応した加速度センサモジュールや水平・垂直の回転2軸に対応した角速度センサモジュールが第一のセンサモジュールであり、各出力に複数の積分回路を備えた動き検出ユニットにも容易に適用することができる。そして、第一のセンサモジュールは第二のセンサモジュールと兼用すれば、第二のセンサモジュールを別個に設ける必要がない。また、各積分回路に設けた複数のオフセット調整手段を1つの動作検出手段を用いて制御すれば、被測定物の静止状態を立体的に正確に認識することができ、且つ構成も簡単化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の動き検出ユニットの第一の実施形態を示すブロック図である。
【図2】第一の実施形態の動作検出手段及びオフセット調整手段の構成を示すブロック図である。
【図3】第一の実施形態の動作検出手段及びオフセット調整手段の動作を説明するフローチャートである。
【図4】この発明の動き検出ユニットの第二の実施形態を示すブロック図である。
【図5】この発明の一実施例の動作波形を示すグラフである。
【図6】従来の動き検出ユニットを示すブロック図である。
【図7】積分回路の構成を示す回路図である。
【図8】被測定物の移動の動きを定義するXYZ座標系を示す模式図である。
【図9】被測定物が、垂直方向の回転軸を有し水平方向の回転の動きを定義する模式図(a)と、水平方向の回転軸を有し垂直方向の回転の動きを定義する模式図(b)である。
【図10】オフセット調整回路を備えた従来の動き検出ユニットの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、この発明の第一の実施形態の動き検出ユニット30について、図1〜図3に基づいて説明する。なお、上述の動き検出ユニット10と同様の構成は、同一の符号を付して説明する。
【0044】
図1に示す動き検出ユニット30は、図8、図9に示すリモートコントローラ等の被測定物12に取り付けられ、被測定物12がXYZ軸の各軸方向に移動する移動距離と、さらに被測定物12が垂直及び水平方向に回転する移動角とを検出し、電気信号に変換して出力する装置である。
【0045】
動き検出ユニット30は、ピエゾ抵抗型や静電容量型等のセンサ素子と、センサ素子のインピーダンスの変化を電圧信号に変換する変換回路とが設けられた第一のセンサモジュールである加速度センサモジュール14を備えている。加速度センサモジュール14は、内蔵するセンサ素子が検知した加速度を、XYZ軸の各加速度成分ax,ay,azに分解し、その加速度成分に比例した電圧の加速度電圧V(ax),V(ay),V(az)を出力する。すなわち、加速度電圧V(ax),V(ay),V(az)が第一のセンサ電圧となる。なお、加速度センサモジュール14は、同様の機能を有するものであれば、センサ素子の種類や内部構造は特に限定しない。
【0046】
加速度センサモジュール14の加速度電圧V(ax)が出力される端子には、利得1倍の電圧フォロワBAxが接続され、加速度電圧V(ax)を低インピーダンスに出力する。なお、加速度センサモジュール14の出力インピーダンスが後述する積分回路Sx1の入力インピーダンスよりも十分低い場合には、電圧フォロワBAxを削除してもよい。
【0047】
電圧フォロワBAxの出力には、積分回路Sx1が接続されている。積分回路Sx1は、図2に示すように、非反転入力端子がグランド電位に接続されたオペアンプOP1と、加速度電圧V(ax)が一端に入力され、他の一端がオペアンプOP1の反転入力端子に接続された入力抵抗Riと、オペアンプOP1の反転入力端子と出力端子間に接続された帰還コンデンサCoとで構成されている。従って、積分回路Sx1は、入力された加速度電圧V(ax)を積分して極性を反転させた電圧、すなわち、速度に比例した電圧である速度電圧V(vx)を出力する。
【0048】
積分回路Sx1には、その出力端の速度電圧V(vx)を検知し積分回路Sx1に補正信号を送るオフセット調整手段FBxが接続され、さらに、第二のセンサモジュールとして兼用される加速度センサモジュール14から出力された第二のセンサ電圧である加速度電圧V(ax),V(ay),V(az)を検知しオフセット調整手段FBxの動作を制御する動作検出手段32が設けられている。
【0049】
動作検出手段32は、CPU、メモリ等を備えたマイクロコンピュータ内に構成され、A/D変換器32aと、A/D変換器32aの出力信号と予め設定された基準値との比較演算を行い、被測定物12が動作しているか静止しているかを判定した判定信号Vsを出力する判定部32bで構成されている。動作検出手段32の機能については、後の動作説明の中で詳しく述べる。
【0050】
オフセット調整手段FBxは、アナログ値の一階積分電圧である速度電圧V(vx)を積分電圧デジタル値に変換するA/D変換器35と、積分電圧デジタル値と判定信号Vsに基づいて所定の演算処理を行って補正量デジタル値を出力する演算部36とを備える。さらに、補正量デジタル値をアナログ値である補正電圧Vfに変換するD/A変換器38と、補正電圧Vfを連続的なアナログの補正信号である補正電流ifに変換し、オペアンプOP1の反転入力端子に向けて流し込む機能を備えた出力抵抗Rfとで構成されている。この出力抵抗Rfは、補正信号出力部に該当する。
【0051】
A/D変換器35、演算部36、D/A変換器38は、CPU、メモリ等を備えたマイクロコンピュータ内に構成されている。また、演算部36は、動作検出手段32から被測定物12が停止している旨の判定信号Vsを受けたときは、所定の演算処理を行って当該積分電圧デジタル値をゼロに近づけるための補正量デジタル値を出力し、前記被測定物が動作している旨の判定信号Vsを受けたときは、前回の演算処理によって算出された補正量デジタル値を継続して出力するという機能を備えている。オフセット調整手段FBxの機能については、後の動作説明の中で詳しく述べる。
【0052】
さらに、積分回路Sx1の出力には、積分手段Sx3が接続されている。積分手段Sx3は、CPU、メモリ等を備えたマイクロコンピュータ内に構成された機能で、デジタル値に変換された速度電圧V(vx)を積分演算の処理を行い、移動距離に比例したデジタル値である移動距離電圧V(x)を算出し、その算出結果をメモリに格納する。
【0053】
一般に、電圧フォロワBAxが出力する加速度電圧V(ax)の電圧レベルは比較的小さな値であるため、加速度電圧V(ax)を上記のようなデジタル演算処理を行う積分手段Sx3に直接入力すると、デジタル化するためのサンプリング及び量子化等による演算誤差が大きくなるので好ましくない。そこで、本実施形態の動き検出ユニット30では、一階目の積分をアナログ式の積分回路Sx1によって比較的大きな電圧レベルに精度よく増幅し、その後でデジタル式の積分手段Sx3で二階目の積分演算の処理を行うよう構成されている。
【0054】
他の加速度成分ay,azに対応した加速度電圧V(ay),V(az)の信号処理も、上述した加速度電圧V(ax)と同様の構成により行われる。すなわち、電圧フォロワBAy,BAzは、電圧フォロワBAxと同一の回路構成であり、積分回路Sy1,Sz1は、積分回路Sx1と同一の回路構成であり、オフセット調整回路FBy,FBzは、オフセット調整手段FBxと同一のものである。そして、積分手段Sy3,Sz3は、積分手段Sx3と同一の積分処理を行う機能を備えたものである。
【0055】
さらに動き検出ユニット30は、第一のセンサモジュールとして角速度センサモジュール34を備えている。角速度センサモジュール34は、例えば、MEMS(micro electro mechanical systems)技術を応用したシリコンリング型の振動式センサ素子と、センサ素子の振動モードを電圧信号に変換する変換回路とが設けられ、図9に示すように、振動式センサ素子が検知した値である、垂直方向の回転軸を有し水平方向の回転面の角速度ωθと、水平方向の回転軸を有し垂直方向の回転面の角速度ωφとを、各々角速度に比例した電圧である角速度電圧V(ωθ),V(ωφ)に変換して出力する。なお、角速度センサモジュール34は、同様の機能を有するものであれば、センサ素子の種類や構造は特に問わない。
【0056】
角速度センサモジュール34の各出力には、利得1倍の電圧フォロワBAθ,BAφが接続され、各電圧フォロワは角速度電圧V(ωθ),V(ωφ)を低インピーダンスに出力する。なお、角速度センサモジュール16の出力インピーダンスが後段のインピーダンスよりも十分低い場合には、電圧フォロワBAθ,BAφを削除してもよい。
【0057】
各電圧フォロワBAθ,BAφの出力には、積分回路Sθ,Sφが接続されている。積分回路Sθは、図2で説明した積分回路Sx1と同様の構成を備えているが、角速度センサモジュール34の出力性能に適した定数に設定するため、入力抵抗Ri、積分用コンデンサCoは、必ずしもSx1と同一ではない。そして、積分回路Sθは、入力された角速度電圧V(ωθ)を積分して極性を反転した電圧、すなわち、移動距離に比例した電圧である水平移動角電圧V(θ)を出力する。また、積分回路Sφも、積分回路Sθと同一のものであり、入力された角速度電圧V(ωφ)を積分して極性を反転した電圧、すなわち、移動距離に比例した電圧である垂直移動角電圧V(φ)を出力する。
【0058】
積分回路Sφと積分回路Sθの各入力端と出力端には、オフセット調整手段FBθ,FBφが各々接続されている。オフセット調整回路FBθ,FBφは、図2に示すようなオフセット調整手段FBxと同様の回路構成を備え、且つ、動作検出手段32によって動作が制御される
そして、各積分回路Sθ,Sφが出力する移動角度電圧V(θ),V(φ)は、マイクロコンピュータに読み込まれ、デジタル値に変換されてメモリに格納される。
【0059】
次に、動き検出ユニット30の動作を説明する。図8、図9に示すように被測定物12が移動すると、被測定物12に取り付けられた加速度センサモジュール12に加速度が作用する。その加速度は、加速度センサモジュール14によってXYZ軸の各軸方向の加速度成分に分解され、電圧フォロワBAx,BAy,BAzから加速度電圧V(ax),V(ay),V(az)として出力される。また、被測定物12に加わる角速度は、角速度センサモジュール34によって水平方向と垂直方向の角速度成分に分解され、電圧フォロワBAθ,BAφから角速度電圧V(ωθ),V(ωφ)として出力される。
【0060】
以下、X軸方向の加速度成分の信号処理を行う回路ブロックの動作について、図2、図3に基づいて説明する。まず、動作検出手段32のA/D変換器32aが、加速度センサモジュール14から加速度電圧V(ax),V(ay),V(az)を受け、アナログ値からデジタル値に各々変換する(ステップS11)。
【0061】
判定部32bは、そのデジタル値を個々に微分演算し(ステップS12)、微分結果を所定の基準値と各々比較演算する(ステップS13)。この基準値は、被測定物12が動作しているか静止しているかを判定する閾値として予め設定されている数値であり、ここでは、加速度電圧V(ax),V(ay),V(az)の傾きの絶対値を判定の指標としている。そして、当該3つの傾きが全て基準値よりも小さければ、被測定物12が静止していると判定し、反対に1つでも当該傾きが基準値よりも大きければ、被測定物12が動作していると判定し、その旨の判定信号Vsを各オフセット調整手段FBx,FBy,FBz,FBθ,FBφに向けて出力する。
【0062】
オフセット制御手段FBxは、被測定物12が静止している旨の判定信号Vsを受けると、A/D変換器35が、速度電圧V(vx)をアナログ値からデジタル値に変換する(ステップS14)。そして、そのデジタル値を微分演算して傾きSを算出し、所定の係数kを用いた演算により新たな補正量デジタル値を決定する(ステップS15)。さらに、D/A変換器38は、当該新たな補正量デジタル値をアナログ値である補正電圧Vfに変換して出力し、出力抵抗Rfを介して補正電流ifをオペアンプOP1に流し込む(ステップ16)。
【0063】
ここで、係数k、補正電圧Vf、補正電流ifについて説明する。被測定物12が静止しているときは、速度電圧V(vx)がゼロボルトであることが理想である。そこで、係数kは、速度電圧V(vx)をゼロに近づけるための補正量デジタル値を決定するために用いられる。速度電圧V(vx)の傾きSは、式(6)のように表される。
【数6】

【0064】
従って、補正電流ifを、帰還コンデンサCoの電流ioと等しい電流Δifだけ変化させれば、速度電圧V(vx)がゼロボルトにすることができる。
【数7】

【0065】
そして、補正電流ifを電流Δifだけ変化させるためには、補正電圧Vfを電圧ΔVfだけ変化させればよい。
【数8】

【0066】
そして、式(8)を式(7)に代入して展開すると、式(9)が得られる。
【数9】

【0067】
このように、係数kは、出力抵抗Rfに帰還コンデンサCoを積算した値に設定されており、係数kと傾きSを積算することによって、前回のサンプリング時に決定した補正電圧Vfから変化させるべき電圧ΔVfを算出し、演算部36によりそれに相当する新たな補正量デジタル値を決定する。
【0068】
一方、ステップ13で、被測定物12が静止している判定され、オフセット制御手段FBxがその旨の判定信号Vsを受けた場合は、ステップS14,S15,S16の処理を行わず、前回のサンプリング時に決定した補正電圧Vfを継続することとし、その補正電圧Vf及び電流ifが保持される。そして、動き検出ユニット30を使用している間は、ステップS11〜S16の処理を繰り返す(ステップS17)。
【0069】
以上説明したステップS11〜S17の処理を一定の周期毎に繰り返し行うことよって、被測定物12が停止している期間に決定された適切な補正電流ifが決定され、被測定物12が動いているときは、動き始める直前の補正電流ifが保持される。また、Y,Z軸方向の加速度成分や、水平・垂直方向の回転の角速度成分についても上記と同様である。
【0070】
積分回路Sx1,Sy1,Sz1が出力した加速度電圧V(vx),V(vy),V(vz)は、図1に示すように、マイクロコンピュータの内部に構成された積分手段Sx3,Sy3,Sz3で積分演算の処理がなされ、移動距離電圧V(x),V(y),V(z)を得ることができ、その演算結果がデジタルデータとしてメモリに格納される。一方、積分回路Sθ,Sφが出力する移動角電圧V(θ),V(φ)は、マイクロコンピュータに読み取られ、デジタルデータとしてメモリに格納される。
【0071】
以上説明したように、動き検出ユニット30は、被測定物12が一定時間静止する毎にオフセット調整を自動的に行い、そして被測定物12が動き始めて測定をしているときも、そのオフセット調整された状態が維持されるので、誤差成分が排除された移動距離電圧V(x),V(y),V(z)、移動角電圧V(θ),V(φ)を精度よく得ることができる。また、オフセット調整回路FBx、動作検出手段32及び積分手段Sx3,Sy3,Sz3の演算処理には、特別な高速性が必要ないため、他の用途にも用いられている汎用的なマイクロコンピュータを利用して簡単に構成することができる。
【0072】
次に、この発明の第二の実施形態の動き検出ユニット40について、図4に基づいて説明する。ここで、動き検出ユニット30と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。動き検出ユニット40は、動作検出手段32が角速度センサモジュール34から出力する角速度電圧V(ωθ),V(ωφ)に基づいて被測定物12が動作しているか静止しているかを判定する構成を備えている。その他の構成は、動き検出ユニット30と同様である。そして、作用効果も動き検出ユニット30と同様である。
【0073】
被測定物12の使用形態によっては、XYZ軸方向の動きが比較的小さい場合があり、被測定物12の動作又は静止状態を判定するときに、XYZ軸方向の加速度よりも回転方向の角速度を検知した方がより的確に認識することができる場合がある。そのようなときは、動き検出ユニット30よりも動き検出ユニット40の構成とすることが好ましい。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、被測定物12が回転移動しない装置に用いられる動き検出ユニットであって、移動角の測定が必要ない場合は、第一及び第二のセンサモジュールとしての角速度センサモジュール34およびそれに関連する周辺回路は設けなくてもよい。また、被測定物12の速度電圧および角速度電圧を用いて装置を制御する場合は、積分手段Sx3,Sy3,Sz3と設けなくてもよい。
【0075】
同様に、被測定物12が回転移動のみ行う装置に用いられる動き検出ユニットであって、XYZ方向の移動の測定が必要ない場合は、第一及び第二のセンサモジュールとしての加速度センサモジュール14およびそれに関連する周辺回路は設けなくてもよい。
【0076】
また、出力抵抗Rfで構成した補正信号出力部は変換係数1/Rfを有する電圧・電流変換回路に相当するが、他の構成を備えた電圧・電流変換回路や電流・電流変換回路であってもよい。その場合は、係数kは、個々の補正信号出力部が有する変換係数に応じて変更され、D/A変換回路38の出力も、所定の電圧又は電流に変更されればよい。
【実施例1】
【0077】
次に、この発明の動き検出ユニットの一実施例について説明する。ここでは、動き検出ユニット30を実際に動作させる実験を行った。この実験では、被測定物12を手で持って水平方向に左右に振り、そのときの各部の電圧波形を観測した。なお、実験の便宜上、動作検出手段32は、X軸の加速度電圧V(ax)のみを基づいて判定を行う構成とした。
【0078】
図5に示すように、動作検出手段32が出力する判定信号Vsは、加速度電圧V(ax)の傾きが所定の基準値よりも大きいときは、被測定物12が動いていることを表すハイレベルを示し、反対に小さいときは、被測定物12が静止していることを表すローレベルを示している。
【0079】
D/A変換器38が出力する補正電圧Vfは、被測定物12が静止している期間は、常に最適な補正電流ifを生成するように変化している。そして、被測定物12が動いている期間は、ハイレベルに反転する直前の補正電圧Vfを維持し、図示しない補正電流ifも同様に維持されている。
【0080】
その結果、被測定物12の動きを測定した水平方向の角度電圧V(θ)は、ほぼゼロボルトを中心にプラスマイナスに反転する矩形の電圧波形を示している。すなわち、補正電流ifの変更が好ましいタイミングで自動的に行われ、角速度センサモジュールのドリフト分等に起因した誤差電圧成分が適切に排除され、被測定物12の動きが精度よく測定されている。
【符号の説明】
【0081】
10,30,40 動き検出ユニット
12 被測定物
14 加速度センサモジュール
32 動作検出手段
32a A/D変換器
32b 判定部
34 角速度センサモジュール
35 A/D変換器
36 演算部
38 D/A変換器
BAx,BAy,BAz,BAθ,BAφ 電圧フォロア
Co 帰還コンデンサ
FBx,FBy,FBz,FBθ,FBφ オフセット調整手段
Rf 出力抵抗
Ri 入力抵抗
Sx1,Sy1,Sz1,Sθ,Sφ 積分回路
Sx3,Sy3,Sz3 積分手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に取り付けられ、前記被測定物に加わる加速度又は角速度を電圧信号に変換し、第一のセンサ電圧を出力する第一のセンサモジュールと、入力抵抗と帰還コンデンサとオペアンプとを有し、前記入力抵抗の一端から入力された前記第一のセンサ電圧を積分し、一階積分電圧を出力する反転出力型の積分回路とを備えた動き検出ユニットにおいて、
前記被測定物が動作することによって変化する所定の特性値を検出して電圧信号に変換し、第二のセンサ電圧を出力する第二のセンサモジュールと、
前記第二のセンサ電圧を受け、前記被測定物が動作中または静止中かを判定する所定の演算処理を所定の周期毎に行い、その判定結果である判定信号を継続的に出力する動作検出手段と、
前記積分回路が出力した前記一階積分電圧と前記判定信号とに基づいて所定の演算処理を行い、連続的なアナログ信号である補正信号を前記積分用オペアンプの反転入力端子に向けて出力するオフセット調整手段とを備え、
前記オフセット調整手段は、前記被測定物が静止している旨の前記判定信号を前記動作検出手段より受けると、前記一階積分電圧をゼロに近づけるように前記補正信号を変化させることを特徴とする動き検出ユニット。
【請求項2】
前記動作検出手段は、前記第二のセンサ電圧又はその微分電圧と予め設定され基準値とを一定の周期毎に繰り返し比較演算し、前記基準値の方が小さいときに前記被測定物が動作している旨の前記判定信号を出力する請求項1記載の動き検出ユニット。
【請求項3】
前記オフセット調整手段は、
アナログ値である前記一階積分電圧を積分電圧デジタル値に変換するアナログ/デジタル変換器と、
前記動作検出手段から前記被測定物が静止している旨の前記判定信号を受けたときは、前記積分電圧デジタル値に基づく所定の演算処理を行って当該一階積分電圧をゼロに近づけるための補正量デジタル値を算出して出力し、前記被測定物が動作している旨の前記判定信号を受けたときは、前回の演算処理によって算出された補正量デジタル値を継続して出力する演算部と、
前記補正量デジタル値をアナログ値である補正電圧に変換するデジタル/アナログ変換器と、
前記デジタル/アナログ変換器から前記補正電圧を受け、当該補正電圧に基づいて連続的なアナログ信号である補正電流を生成し、次の周期で新たな前記補正電圧を受けるまでの間、前記補正電流を前記積分用オペアンプの反転入力端子に向けて連続して出力する補正信号出力部とを備えた請求項1又は2記載の動き検出ユニット。
【請求項4】
前記第ニのセンサモジュールは、互いに直交する複数次元座標系の各軸に加速度電圧を出力可能に設けられた加速度センサモジュール、又は水平方向の回転軸を有した回転の角速度と垂直方向の回転軸を有した回転の角速度とを前記各回転軸毎に角速度電圧に変換して出力する角速度センサモジュールであり、
前記動作検出手段は、前記第二のセンサモジュールの各出力である前記第ニのセンサ電圧又はその微分電圧が、全て基準値以下のときだけ前記被測定物が静止していると判定し、前記被測定物が静止している旨の判定信号を、前記加速度センサモジュール個々に設けられた全ての前記オフセット調整手段に向けて出力する請求項1乃至3記載の動き検出ユニット。
【請求項5】
前記第一のセンサモジュールは、互いに直交する複数次元座標系の各軸に加速度電圧を出力可能に設けられた加速度センサモジュール、又は、水平方向の回転軸を有した回転の角速度と垂直方向の回転軸を有した回転の角速度とを前記各回転軸毎に角速度電圧に変換して出力する角速度センサモジュールであり、
前記積分回路及び前記オフセット調整手段は、前記各軸及び各回転軸に設けられた請求項1乃至3記載の動き検出ユニット。
【請求項6】
前記第二のセンサモジュールは、前記第一のセンサモジュールを兼用したものである請求項1乃至5記載の動き検出ユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−237072(P2010−237072A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86077(P2009−86077)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】