説明

動作データのコード化された出力を有する装置

呼吸ガス供給システムの使用の順守を確認するための装置は、呼吸ガス供給システム内に配置された動作データを監視するための少なくとも1つのセンサと、監視された動作データをコード化し、そのコード化された動作データを、別の場所に報告するために表示するための装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、典型的には呼吸低下または無呼吸のような呼吸障害に陥った患者を治療するために用いられる種類の持続的気道陽圧(CPAP)機器のような呼吸ガス供給機器の分野に関し、とりわけ、患者の機器の使用および機器の様々な動作パラメータに関するデータを収集することができるそのような機器に関する。
【0002】
本願は、2009年1月30日出願の米国仮出願番号第61/148,666号の便益を主張する。前記特許文献の開示は、参照により本願に援用される。
【背景技術】
【0003】
多くの睡眠関連の呼吸疾患、例えば鼾声は、気道の閉塞または部分的な閉塞によってもたらされる。閉塞が増大すると、呼吸低下、すなわち肺への気流の減少が生じる。気道が完全に閉鎖されるようになると、無呼吸、すなわち呼吸の一時的停止が起こり得る。睡眠時無呼吸に陥っている人は、無呼吸事象に起因する不十分な睡眠のために、日中に働くのが困難であることがある。重篤な場合、その患者は、低血中酸素濃度に起因する問題にも悩まされ得る。
【0004】
重篤な鼾声、呼吸低下および睡眠時無呼吸に対する治療の1つの形態は、睡眠中に患者の気道に呼吸ガス供給システムを装着することを伴う。十分に高い陽気道圧(PAP)を患者の気道に印加して、患者の気道の潰れまたは閉塞を防止する。呼吸ガス供給システムによって供給される印加陽圧は、通常、3〜20cm HOの範囲内にある。
【0005】
ここで図1を参照すると、代表的な既知の呼吸ガス供給システム10が示されている。呼吸ガス供給システム10は、制御ユニット12、可撓管14、およびフェイスマスク16のような使用者の鼻道に空気を注入するのに適した装置を備える。フェイスマスク16は、典型的には、使用者の鼻および/または口を被覆するように設計されており、使用者18の顔面と気密シールを形成する。マスク16は、好ましくは、使用者18の顔面に対するマスクの締め付けを調整するための調整可能なストラップ20,22を備える。
【0006】
制御ユニット12は、可撓管14を介してフェイスマスク16に空気の流れを供給する、調整された送風器(図示せず)を備える。制御ユニット12は呼吸ガス供給システム10を作動させるための第1スイッチ24を備える。典型的には、呼吸ガス供給システム10を初めに作動させると、該システムは、患者が眠りに落ちる間は、呼吸ガスを快適な低圧で患者に供給する。次いで、呼吸ガス供給システムは供給される呼吸ガスの圧力を処方された治療レベルへと徐々に増大させる。従って、制御ユニット12は、供給される呼吸ガス圧を増大させるための期間を制御するための第2スイッチ26を備えてもよい。
【0007】
呼吸ガス供給システム10は、睡眠臨床で通常行なわれる試験に従って較正される。適切な使用により、呼吸ガス供給システム10は呼吸低下および睡眠時無呼吸を克服し、使用者が適当な睡眠を享受することを可能にするであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、一部の使用者は、彼らの呼吸ガス供給システムを使用することに困難または不快感を覚えることがあり、夜中にその使用を中止したり、またはシステムを使用するのを完全に止めてしまったりさえすることがある。医師は、患者に適当な治療を提供するため、および医療費償還のための双方の理由で、システムが処方通りに使用されており
、患者に効果的な緩和を提供していることを確認する必要がある。従って、呼吸ガス供給システムによって出される処方された指示に従って患者がシステムを使用していることを保証する必要がある。
【0009】
順守を監視し、処方した治療の効力を評価するために、多くのそのようなシステムは、例えば、各睡眠セッションの間に検出される事象の数および用いられている圧力に関する情報を含む使用情報を格納することができる。そのような情報は、多数の睡眠セッションに対して、場合によっては数週間にわたって、システム内に格納することができる。前記情報を読み取るためには、電話を介して診療所にそれを読み聞かせることができる、ある種の読出し情報(read-out)が提供されてもよい。しかしながら、この情報交換の方法は、例えば該機器が処方されたように使用されていないことを気まずく思う患者による改ざん、または、そのような償還が他の点では適当でないことがある場合に償還返済を保証する診療所による改ざんに弱い。そのような状況を回避するためには、不正な変更には強いが、依然として電話を介して個人対個人の間で受け渡され得るそのような情報を交換する方法を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、データの改ざんを防止する形で、呼吸ガス供給システムの使用のために処方された指示の順守を確認するシステムおよび方法を提供する。該システムは、使用データを監視および格納し、実際の動作パラメータおよびデータがデータの送信者および受信者に対して難読化される(obfuscated)ように、格納したデータをコード化するための構成要素、並びにコード化されたデータを表示するための表示装置を備える。
【0011】
本発明はまた、システムの表示装置から読み取ったコード化されたデータの検証およびデコーディング(復号)のためのソフトウェアに基づいた設備を備えた、処方された使用指示の順守を確認するシステムおよび方法も企図する。前記方法は、システムの表示装置インターフェースからのコード化データの入力、およびコード化データのデコーディングに基づいた報告書の生成を可能にする、インターネットでアクセス可能なユーティリティとして、またはローカルで実行されるアプリケーション(locally running application)
としてのいずれかで実行され得るソフトウェア設備を提供することを含む。
【0012】
本発明の様々な目的および効果は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明を添付図面に照らして読むと、当業者には明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】代表的な既知の呼吸ガス供給システムを示す図。
【図2】本発明の制御ユニットの1つの可能な実施形態の構成要素のブロック図。
【図3】本発明の装置の不揮発性メモリに格納されるものの1つの可能な構成のブロック図。
【図4】本発明の装置からコード化データを取り出す過程を示すフローチャート。
【図5】本発明の装置によって収集されたデータから生成されるコード化データの代表的なサンプルを示す図。
【図6】本発明の装置から収集されたコード化データを入力するための入力画面の1つの可能な実施形態を示す図。
【図7】本発明のデコーディングおよび報告書作成構成要素によって生成された代表的な報告書画面を示す図。
【図8】本発明のコード化データ列を生成する過程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、バイレベル呼吸ガス機器またはCPAP機器のような呼吸ガス供給システム
に対する動作データ(operational data)を報告するシステムおよび方法を提供する。前記システムおよび方法は、患者または患者からデータを受領する者によってデータを不正に変更することを防止するような方法で、処方された使用者操作指示の順守を示すであろう。
【0015】
本発明は、選択されたシステムパラメータおよび収集された動作データを監視し、格納する呼吸ガス供給システムから成る。前記データは経時的に蓄積され、装置上の表示装置を介して取り出すことができる。データは前記データを表示する前にコード化され、その後、コード化されたデータが表示される。次に、装置使用者はコード化されたデータを別の当事者、例えば睡眠クリニックまたは医師(以下、「提供者」と称する)に伝達する。前記コード化されたデータは、呼吸装置使用者が処方された使用指示に従っているか否かに関して提供者に通知するためのシステムパラメータおよび動作データを含んでいる。前記コード化されたデータは、使用者によって表示装置から容易に読み取ることができ、提供者に伝えられ得る可読ASCII文字として現われるであろう。データのコード化は、データ報告過程を簡易化するとともに、使用者がデータをコード化するために用いられているコード体系を知らないので、装置使用者による潜在的な操作を受けることがない。したがって、使用者は、提供者によってどのようなデータが収集されているか分からない。
【0016】
図2は本発明の装置のブロック図である。図1に示した従来技術の呼吸ガス供給システム12と同様に、該装置は、可撓管(図示せず)を介してフェイスマスク(同様に図示せず)接続されており、そのファイスマスクは使用者の顔面にひもで留められるように適合されている。前記装置は、ユニットの外部表面に取り付けられたユーザーインターフェースパネル32を備える。ユーザーインターフェースパネル32は、英数字表示装置50と、1つ以上の制御ボタン52,54,56,58,59,62とを備える。また、1つ以上のLEDタイプの表示器60も備えられている。当然のことながら、ユーザーインターフェースパネル32上に備えられるボタンの実際の構成、並びに数および種類は実施形態毎に異なることができ、特定のユニットの動作特徴に依存し得る。
【0017】
マイクロプロセッサ34および不揮発性メモリ36は、そのユニットの機能を制御する。不揮発性メモリ36は、図3に示すように分解され得、オペレーティングアルゴリズム36a、ユーザーインターフェース制御部36b、エンコーダ36c、動作パラメータおよび収集されたデータのための記憶装置36dを含んでいる。当業者には理解されるように、不揮発性メモリの構造に対して多くの構成が可能である。1つの可能な他の実施形態において、前記ユニットは、システムパラメータおよび選択された動作データの収集、格納および操作のために専用化された、独立したマイクロプロセッサまたは特定用途向け集積回路(ASIC)(図示せず)を備えてもよい。そのような専用の構成要素は、データを格納するために、本来のメモリハードウェア36または独立した専用メモリのいずれかを用い得る。動作アルゴリズム(operating algorithms)および収集したデータを格納するためのメモリとしては、不揮発性RAM、フラッシュメディアおよびハードドライブを含む当業において周知の任意の種類のメモリを挙げることができ、それらのメモリはいずれも装置に内蔵されていてもよいし、または外付けであってもよい。
【0018】
動作アルゴリズム36aは、圧力センサ44および流量センサ46によって感知されるような、フローエレメント42における圧力の変動を使用者の呼吸パターンの監視に基づいて制御する。実際のアルゴリズムはユニット毎に変化し、独立して、特許を取得するか、または企業秘密として保護されるであろう。
【0019】
インターフェース制御部36bはユーザーインターフェースパネル32から入力を受け取り、表示装置50を制御する。表示装置50は、コード化された動作パラメータおよび収集したデータを含む、そのユニットに対して入出力されるすべてのデータを表示するた
めに用いられる。エンコーダ35cは動作パラメータをコード化するためのアルゴリズムを収容しており、一方、データ記憶装置36dはコード化されていない動作パラメータおよび収集したデータを格納する。
【0020】
マイクロプロセッサ34はまた、不揮発性メモリ36dに格納されるタイミングデータを提供するクロックを備えてもよい。タイミングデータは、呼吸ガス供給システムの使用法の追跡に加えて、モータ電流、ガス圧力センサ44および流量センサ46から得られる生データから選択された動作性能データ(operating performance data)を計算する際に用いられる。前記ユニットはまた、睡眠セッションが開始および終了する時を判断するためのアルゴリズムも参照符号36a内に含んでもよい。
【0021】
マイクロプロセッサ34は、モータ制御回路38に電気的に接続され、次いで送風器40に電気的に接続されている。送風器40はフローエレメント42を介して可撓管(図示せず)に加圧された呼吸ガスを提供する。モータ制御回路38は、送風器40の速度、したがってフローエレメント42に圧送される空気の圧力および流量を制御するように作用する。
【0022】
圧力センサ44および流量センサ46は、フローエレメント42を通過する空気の圧力および流量をそれぞれ監視するために設けられている。モータ制御回路38、圧力センサ44および流量センサ46によって、送風機モータ電流、空気圧および空気流量を表わすフィードバック電圧がそれぞれアナログ/デジタル変換器48に供給される。アナログ/デジタル変換器48は、そのデータを動作アルゴリズム36aによって使用するため、およびデータ格納メモリ36dに格納するためにデジタル形式に変換する。図2に示すように、アナログ/デジタル変換器48はマイクロプロセッサ32に含まれているが、本発明はまた、マイクロプロセッサ32から独立したアナログ/デジタル変換器を有して実施されてもよい(図示せず)。
【0023】
また図2に示したように、マイクロプロセッサ34はユーザーインターフェースパネル32に接続されている。好ましい実施形態において、ユーザーインターフェースパネル32は、選択したコード化されたシステム動作パラメータ(system operating parameters)
および呼吸ガス供給システムの使用に関するデータを表示するバックライト付き表示装置50、好ましくは液晶ディスプレイ(LCD)を備える。図3には2行の16文字の英数字を有する16×2表示装置が示されているが、本発明はまた異なる大きさを有した異なる種類の表示装置を用いて実施されてもよいことが理解されるだろう。
【0024】
本発明の一実施形態では、参照番号52,54でそれぞれ標識された、戻るおよび進む押しボタンが、LCDディスプレイ50の下に直接取り付けられている。戻るおよび進む押しボタン52,54は、矢印を有しており、表示装置50を、機器を制御するための様々な設定またはメニューを示す一連の表示を通じて順番に進めるために用いられる。前記表示のうちの一つはコード化された動作データの表示である。進む押しボタン54は表示装置を進めるように作用し、戻る押しボタン52は表示装置を反対方向に移動させるように作用する。上ボタンおよび下ボタン59,58は、左ボタンおよび右ボタン52,54を用いて選択された設定またはメニュー内における選択を行うようにそれぞれ作用する。表示装置が、ボタン52および/または54を用いて、コード化された動作データを示す表示に進められる場合、上ボタンおよび下ボタン59,58は、コード化された動作データの様々な群を表わす異なるASCII文字の列を表示するために用いられ得る。例として、表示した第1文字列は、現在のセッションの動作データを表わしており、上矢印キーまたは下矢印キーを押すことによって、表示装置を7日間、30日間、または90日間の動作データを表わす異なる文字列に進め得る。
【0025】
操作パネル32の左側の押ボタン56は、制御ユニット30を作動または停止させ、それにより呼吸ガス供給システムを作動または停止させる。ボタン58,59の下方に配置された発光ダイオードまたは他の種類の指示器60は、照明されているときにはヒータが作動中であることを示す。操作パネル32の右側の押しボタン2は、初期の空気の流れを低い圧力(reduced pressure)で供給させるシステムディレーを作動させるために用いられ得る。次に、空気圧は一定期間に動作圧へと徐々に増大される。
【0026】
図2における矢印は、操作パネル32とマイクロプロセッサ34との間におけるデータの流れの方向を示している。したがって、記載したボタンの操作によって生成される信号は、ライン64を介して、ユーザーインターフェースパネル32からマイクロプロセッサ34へ通信される。前記パネルおよび表示装置50のバックライトはライン66によって制御される。ヒータLED60はライン68によって制御され、選択したシステム動作パラメータデータはマイクロプロセッサ34と表示装置50との間においてライン70によって転送される。
【0027】
当然のことながら、図2は概略図であり、1本のラインが示され得るが、図面に示した様々な構成要素間でデータを転送するために複数の電気的接続が用いられてもよい。
本発明は、格納された動作パラメータおよびデータをシステム使用者に対して表示するためにASCIIコード化方式を用いる。マイクロプロセッサ34は、不揮発性メモリ36dに格納された動作パラメータおよびデータをASCII文字から成るコード化されたデータ列(以下、「コード化データ列」と称する)に変換するための、不揮発性メモリ36cに格納されたアルゴリズムを含む。前記コード化データ列は表示装置50から読み取られて、患者から提供者に音声によって伝達され得る。前記コード化データ列は下記の特徴を含む。
【0028】
・コード・アイデンティティ(Code identity)−各コード化データ列はそれ自身の中に
コードの種類および治療装置の種類の識別を含んでいる。コード・アイデンティティは、それが使用者または患者から要求されたコードであることを保証するために、下記に記載する報告書作成プログラム(report generator)中で検証され、コードの読み取りまたは記録の際に転写の誤りが生じていないかを識別することを支援する。
【0029】
・チェックバイト−コード化データ列は、データの転写における誤りが存在するかを識別するのを支援するために用いられる1つ以上の文字を含んでいる。コード化データ列を生成する間に、コード化データ列について巡回冗長検査(CRC)処理が行なわれ、コードが受信されると、コード化データ列内の1つ以上の検査文字に対する比較が完了する。
【0030】
・装置識別(シリアル番号)−コード化データ列の少なくとも1つはまた、装置のシリアル番号のような装置に特異的な識別子に基づいた検査文字も含む。前記識別子はCRC演算を通じて処理され、その結果は文字に変換されてコード化データ列のうちの1つに含まれる。これに代わって、識別子全体またはその一部がコード化され、それ自身のコード化された文字列に含まれるか、または別のコード化データ列の一部として含まれてもよい。
【0031】
・圧縮−動作パラメータおよびデータは、データを収容するための全ての範囲の可能値を用いることにより圧縮され、各報告されたパラメータの分解能を調整する。従って、当然ながら、いかなる分解能が用いられてもよいが、例えば、平均圧力のようなパラメータは0.5cmのHOの分解能を有し、一方、AHlの分解能は0.25である。
【0032】
・コード化/難読化(Obfuscation)−動作パラメータおよびデータは、典型的な患者に
よって解釈することが困難な形式でそれをコード化することによって、コード化データ列
に難読化される。これは、患者が、コードを読み取ることによって、そのコードに含まれている情報の解釈を知ることなく、装置からの情報を報告することを可能にする。
【0033】
・ライブ−毎日の概要データは、使用された直近の日のデータを含めて、装置内の不揮発性メモリに記録される。
(a)コードの「オンザフライ」生成−コード化データ列は、好ましくは、記録したデータを読み出して、7日間、30日間、90日間、および累積使用に対する平均を計算することによって生成されるが、データを平均するためにいかなる期間が用いられてもよい。
【0034】
(b)進行中の現在のセッションの報告−直近の日もまた報告され、装置が使用中であり、現在の「セッション」が依然として進行中である間であっても、正確である。
本発明は、提供者インターフェースを備え、コード化データ列のデコーディング、並びに動作パラメータおよびデータからの報告書の作成のためのソフトウェアをサポートとするアプリケーションをさらに企図する。システムによって用いられるアプリケーションは、ウェブサーバー上でホストされるものと考えられ、標準的なウェブブラウザを用いて、ユニフォームリソースロケーター(URL)を介してアクセス可能である。代わりに、前記アプリケーションは、提供者にローカルなメインフレームまたはパーソナルコンピュータに基づいてもよい。
【0035】
提供者のアプリケーションとの対話を図示するフローチャートが図4に示されている。前記アプリケーションに、ブロック80を通じて睡眠クリニックまたは医師のような提供者が入り、呼吸ガス供給システムの使用者と連絡をとる。使用者との連絡は、例えば電話を介してもよいが、ウェブサイト、電子メール、SMSメッセージまたは使用者から提供者にコード化データ列を伝達するために便利な任意の他の方法のような別の方法で行われてもよい。使用者がコード化データ列をデコードしたり、または報告書を作成したりするアプリケーションに一般にアクセスすることは企図されていない。
【0036】
ブロック82では、提供者は特定のコードを要求し、使用者は、所望のコードが表示装置50上に表示されるまで、ユーザーインターフェースパネル32上において上矢印ボタン59を繰り返し押下する。万一、使用者が所望のコードを通過してしまった場合には、下ボタン58を用いて表示装置の方向を反転させ、表示装置の順番でより以前に現れたコード化データ列にアクセスしてもよい。上矢印または下矢印ボタンの押下により、同様にブロック82において行われるエンコーダ36cによる選択したコード化データ列の計算も起動される。本発明は5つの報告コード化データ列、すなわち、
・最新の動作パラメータおよびデータを表わす直近日(last day)コード、
・最新7日間の動作パラメータおよびデータの平均を表わす7日間コード、
・最新30日間の動作パラメータおよびデータの平均を表わす30日間コード、
・最新90日間の動作パラメータおよびデータの平均を表わす90日間コード、および、
・メモリがゼロにリセットされて以来得られたすべての日の動作パラメータおよびデータの平均を表わす累積使用コード
を企図する。
【0037】
当然のことながら、本発明はまた、上記に列記されたよりも多いか、または少ないコード化データ列を提供するように実施されてもよく、またコード化データ列は、上記に示したもの以外の期間についてプログラムされてもよく、また異なる動作パラメータおよびデータを含んでいてもよい。加えて、本発明は、例えば血圧監視装置、血糖値監視装置などの他の種類の装置および他の非医療用装置と共に用いられてもよい。
【0038】
3つの代表的な表示装置が図5に図示されており、1日間、7日間、30日間に対するコード化データ列をそれぞれ示している。好ましい実施形態において、コードは最新の1日間、7日間、30日間および90日間の動作パラメータおよびデータを表す表示であり、それに加えて、コードは各動作パラメータおよびデータの累加平均も表す。
【0039】
前記表示装置の1行目は、好ましくは、図5に示すように、データのコード化されていない識別(すなわち「1日間」)を提供するが、前記表示装置の2行目は示されるべき動作パラメータおよびデータを実際に表わすコード化されたASCII文字列である。図5に示したコードの2行目には10文字が示されているが、前記コードはより多数または少数の文字を含んでいてもよい。加えて、同時に2つ以上のコードを表示することができる、より大きな表示装置を用いてもよい。
【0040】
上述したように、データは1組の変換テーブルを用いることによって難読化される。前記変換テーブルの各々は、インデックスとして、可読なASCII文字を含む文字のセットまたはサブセットを含む。特定の文字および数字は混乱を避けるために省略されてもよい。例えば、「S」と「5」は、電子表示装置上で読み取る場合に混同し易く、「I」と「1」、「O」と「0」、および「V」と「U」も同様である。その結果、表示され得る文字の合計数はASCII文字の合計数よりも少なくなることがある。好ましくは、表示を読み易く、かつ伝達しやすくするために、文字はダッシュまたは他の分離文字によって分離された3〜5文字の群にグループ化されるであろう。
【0041】
本発明の一実施形態において、コード化されたASCII文字列は以下のように導き出され得る。表示された文字は、様々なパラメータまたは特定の種類の動作データに対して可能な値のテーブルに対するインデックスである。テーブル内のこれらの値はある範囲を有し、表わされているデータの種類に依存した分解能にスケーリングされ、各ASCII文字は、特定のパラメータに対する可能な値域全体の中の特定の値または一定の値域を表わす。
【0042】
前記文字がその値を表わす特定のパラメータは、ユニット上に表示されたコード化されたASCII文字列内の位置に依存する。例として、現在日の活動を表わすコード化されたASCII文字列は、好ましい実施形態では、以下の情報、すなわち、
・デコード情報&低使用閾値(low use threshold)、
・最新日の長さ、
・90パーセンタイル圧力、
・圧力プラトー時間パーセンテージ、
・漏れが検出される治療時間の%、
・時間当たりの無呼吸/呼吸低下事象の指数、
・時間当たりの無応答事象の指数、
・エクスハレーション・パフ指数(exhalation puff index)
・その他の情報(ビットフィールドであり得る)、
・ユニットのシリアル番号に基づく8ビットCRC、
・コード化された英数字列に基づく8ビットのCRC
を表わす文字を含み得る。
【0043】
したがって、文字列の3番目の文字は、所定の段階として所定範囲で示される圧力読み取り値のテーブルに対するインデックスであり得る。好ましくは、前記文字は、各パラメータの可能な値のテーブルに対するインデックスとして用いられる場合には順番に配列されないが、コード化されている値のさらなる難読化を提供するためには無作為な順番で配列されるであろう。各文字はまた、文字列に関する特定の文字位置がビットフィールドを表わす場合には有用であり得る数値を割り当てられる。
【0044】
これに代わって、前記データは多くの周知のデータ暗号化アルゴリズムのうちのいずれか1つを用いて暗号化されてもよい(図示せず)。
当然のことながら、図5の表示装置の1行目に示されたコード化されていないタイトル文字列の使用は例示であることを意味し、本発明はまた、例えば、他の範囲のデータを表わす他の表示装置によって実施されてもよい。当然、CPAP機器以外の機器のためを含む他の実施は異なるパラメータを表示させるであろう。
【0045】
コード化データ列は、不揮発性メモリ36に格納されたコード化アルゴリズム36cに従って、マイクロプロセッサ34によって作成される。前記アルゴリズムを図示するフローチャートは図8に示されている。使用者が進む押ボタン52もしくは戻る押ボタン54、または上矢印ボタン59もしくは下矢印ボタン58のうちの1つを押下して要求されたコード化データ列を選択すると、ブロック110を通じて前記アルゴリズムに入る。前記アルゴリズムは機能ブロック112に進み、該ブロックでは現在要求されたコード化データ列に対してデータテンプレートが選択される。機能ブロック114では、選択されたテンプレートに対するデータが不揮発性メモリ36dに格納された動作パラメータおよびデータから読み出され、該データは機能ブロック116において必要に応じて操作されて、コード化データ列に含めるためのデータ要素を生成する。
【0046】
機能ブロック116におけるデータ操作の間、格納された動作データから所望のパラメータが算出される。例えば、エクスホール・パフ指数(Exhale Puff Index(EPI))は、
不揮発性メモリ36に格納された生の呼吸ガス圧力および流量を表わすデータから計算され得る。これに代わって、所望のデータは、呼吸ガス供給システムの各動作セッション後に計算されてもよく、結果は不揮発性メモリ36dに格納される。加えて、直近7日間を表わすコード化データ列のような複数の日を表わすコード化データ列については、毎日の値の平均が機能ブロック116で算出される。
【0047】
機能ブロック118〜124は、要求されたコード化データ列の構築を説明している。機能ブロック118では、要求されたコード化データ列に対応する識別子が格納される。前記識別子は、図4に示したアプリケーションの判定ブロック88におけるコード化データ列の検証のために用いられる。機能ブロック120へと続けると、1つのデータパラメータが所望の範囲および分解能にスケーリングされる。機能ブロック122では、上述したように、データ要素はASCII文字インデックスを用いて値のテーブルにコード化され、それぞれの可能な文字はパラメータのスケール値(scaled value)を表わす。これに代わって、他のデータ暗号化の手段が用いられてもよい。次に、機能ブロック124において、コード化されたデータ要素は、コード化データ列に追加される。判定ブロック125において、コード化データ列に追加すべきさらに多くのパラメータが存在する場合には、制御はブロック120に戻って、所望のパラメータがすべてコード化データ列に追加されるまで前記プロセスが繰り返される。
【0048】
機能ブロック126へと続けると、アルゴリズムは、装置に特異的な識別子についてCRCを算出する。好ましい実施形態では、装置のシリアル番号が用いられ得る。識別子CRCは、提供者によって入力された識別子の検証のために、図4に示したアプリケーションの任意選択の判定ブロック92において用いられる。次に、識別子CRCはコード化され、機能ブロック128において新たなコード化データ列に追加される。
【0049】
アルゴリズムは次に機能ブロック130に移り、該ブロックでは、新たなコード化データ列全体に対してCRCが生成される。新たなコード化データ列に対するCRCは、使用者が要求されたコードを正しく読み取ったことを検証するために、図4に示したアプリケーションの判定ブロック90において用いられる。コード化データ列に対するCRCはコ
ード化され、機能ブロック132においてコード化データ列に追加される。
【0050】
機能ブロック132におけるコード化はまた、効果的にデータを圧縮する。次に、新たなコード化データ列は機能ブロック134において表示装置50上に表示され、前記アルゴリズムはブロック136によって終了する。2つ以上のコード化データ列が必要とされる場合には、ブロック110を介して前記アルゴリズムに再び入る。当然のことながら、コード化データ列の構成要素は、上述した通りではなく、任意の所望の順序に配置されてもよい。
【0051】
本発明は、記載した方式を用いて、特定の呼吸ガス供給システムに対する設定の調整が遠隔の制御装置からシステム(図示せず)に可聴形式(audible format)で伝達されることを可能にするフィードバックを行うことをさらに企図する。そのような可聴形式としては、DTMF、音声、または音声帯域幅(audio bandwidth)通信機器の制限に適した他のプ
ロトコルのいずれかによるものが挙げられ得る。代替の実施形態では、前記装置は、電話で音声によって提供される特定コードの入力を可能にするために、ASCIIのキーボードが搭載されているか、または標準的なコンピュータキーボードを接続するためのコネクターを提供してもよい。これは、提供者へ伝送するために動作パラメータおよびデータをコード化するための上述した方法に非常に類似した方法で、設定更新コマンドをコード化し、それを治療装置に送信することによって行われ得る。合成音声、DTMF、さらに一般のモデムプロトコルまでも含む複数のプロトコルが用いられ得る。呼吸ガス供給システムは次に設定調整を行うであろう。前記システムは適正なインターフェースハンドシェーキングおよびコマンドを「聞く」であろう。ハンドシェーキングプロトコルは、好ましくは、適切な呼吸ガス供給システムとの通信を保証するためのセキュリティと、設定転送値が不正でないことを保証するための検証と、設定調整が行われた後、適切な設定がシステムに適用されたことを保証する応答フィードバックとを含む。
【0052】
図4は、コード化データ列を要求し、デコードするために提供者によって用いられるプロセスを表わすフローチャートである。先に検討したように、提供者が使用者の装置から得られたコードを入力することができ、コード化データ列をデコードして検証し、受信データに基づいて報告書を作成する、アプリケーションが存在する。
【0053】
図4を参照すると、提供者は、ブロック80において使用者と連絡をとる。ブロック82において、提供者は特定のコード化データ列を要求する。前記特定のコード化データ列は、使用者が、必要に応じて、先に記載したように矢印ボタン52,54および/または上矢印および下矢印ボタン59,58を繰り返し押下することによって選択することができる。次いで前記アプリケーションは判定ブロック84に移り、該ブロックでは、使用者は表示装置50に示されるコード化データ列を読み取り、電話接続を介して、そのコード化データ列を提供者に伝える。ブロック86では、提供者は、コンピューター画面およびキーボードのようなインターフェースを介して、その一例を図6に示す報告書作成プログラムアプリケーションに前記コード化データ列を入力する。
【0054】
デコーダおよび報告書作成プログラムアプリケーションに組み入れられる提供者インターフェースには、2つの主な要素、すなわちデータ入力画面およびデータ出力画面が存在する。第1データ入力画面を検討すると、該画面はコンピューター画面上に表示されており、下記のデータ、すなわち、
a)健康管理データ入力、
i)機器プロバイダ情報、
ii)医師情報、
iii)患者情報、および
iv)装置情報、
b)コード化データ列の各々を入力する場所から成るコード化データ列入力、並びに
c)検証フィードバック
i)巡回冗長検査(CRC)コード誤り検査
ii)コードID誤り検査
iii)装置シリアル番号検査
を含んでいる。
【0055】
典型的には医療サービス提供者であるソフトウェア使用者は、図6に示すフォームに健康管理データを記入し、次いで、電話を介して呼吸ガス供給システム使用者から受け取ったコード化データ列を入力する。提供者は画面上の対応するブロックにコード化データ列を打ち込み、前記アプリケーションはそのデータに対して3つの検査を適用し始める。
【0056】
判定ブロック88において、コードID誤り検査は、医療サービス提供者によって要求された正しいコードが患者によって読み取られたことを保証する。コードID誤り検査は最小閾値を上回る日数、使用時間または別の基準を計数することを伴う。したがって、医療サービス提供者が7日間コードを要求したが、使用者が誤って30日間コードを読み取った場合、この誤りは医療サービス提供者に警告され、対応する入力ボックスの右側の第2検証ボックスが誤りを表示し、前記アプリケーションは判定ブロック82に戻り、該ブロックにおいて提供者は再び使用者がコード化データ列を読み取ることを要求する。誤りが検出されない場合には、第1検証ボックスは緑になり、該アプリケーションは判定ブロック90に移動する。
【0057】
図4の判定ブロック90において、CRCコード誤り検査は、コード化データ列文字が患者によって正しく読み取られ、医療サービス提供者によって正しく入力されたことを保証するのを支援する。CRCコード誤り検査は、使用者が電話回線を介して文字「C」と言ったことが提供者には文字「E」として聞こえた場合に生じ得るような文字における誤りを検出するバイトを用いる。誤りが検出された場合には、対応するボックスの右側の第1検証ボックスは、例えば赤になることによって、誤りがあることを表示し、前記アプリケーションは機能ブロック82に戻り、該ブロックにおいて提供者は再び使用者が同一のコード化データ列を読み取ることを要求する。誤りが検出されない場合には、第2検証ボックスは、例えば緑になることによって表示を提供し、前記アプリケーションは判定ブロック92に移動する。
【0058】
判定ブロック92では、呼吸ガス供給システムのシリアル番号検査がオプションで行なわれる。該オプションを選択するためには、医療サービス提供者はデータ入力画面にシステムシリアル番号を入力する。上述したように、シリアル番号情報に基づいて計算されたCRCは各コード化データ列に埋め込まれており、この情報は、医療サービス提供者によってデコードアプリケーションに入力されるシリアル番号に基づいて実施されるシリアル番号CRC演算値に比較される。不一致が存在する場合には、この誤りは医療サービス提供者に警告され、対応するデータ入力ボックスの右側の第3検証ボックスは誤りを表示するであろう。次に、前記アプリケーションはブロック82に戻り、該ブロックにおいて提供者は使用者がシリアル番号を検証することを要求し得る。誤りが検出されない場合には、第3検証ボックスは成功状態を表示し、前記アプリケーションは判定ブロック94に移動する。前記アプリケーションは、検証ボックスのいずれも誤りを表示していない場合のみ、続行するであろう。
【0059】
判定ブロック94では、提供者は別のコード化データ列が所望であるかについて質問される。使用者が別のコード化データ列の入力を所望する場合には、流れはブロック82に戻り、提供者は、使用者がボタン52,54,58または59を操作して次の所望のコード化データ列を表示することを要求する。所望のコード化データ列がすべて入力されたな
らば、前記アプリケーションは機能ブロック96に進み、該ブロックにおいて、提供者は画面上で他の情報を追加または変更し得る。次に、アプリケーションは機能ブロック98へと続き、該ブロックにおいて、提供者は「報告書作成」ボタンをクリックして、入力されたコード化データ列をデコードし、デコードされた動作パラメータおよびデータに基づいて報告書を作成する。作成された報告書は、データ出力画面として表示され、
a)入力画面からの健康管理データ、および
b)コード化データ列からのデコードされたデータを含む。
【0060】
代表的なデータ出力画面を図7に示す。データ出力画面はまた、印刷されてもよいし、別の使用者に送信されてもよいし、かつ/または格納されてもよい。次に、前記アプリケーションはブロック100を通じて終了する。
【0061】
上述したように、システムは、1日間、7日間、30日間、90日間および累積期間にわたるデータを収集および格納する。複数日および累積期間にわたるデータは報告のために平均される。1日のセッションのコード化データ列は、呼吸装置の使用の直近のセッションから収集されたデータを含んでいる。セッションデータが集められている(compiled)間、データはコード化データ列内で更新されるように、データは新しい。これは、使用者が、そのセッションを終了するために、呼吸装置を使用しない一定期間待つことなく、起床直後にコードを読み取ることを可能にする。図5に示すように、好ましい実施形態において、コード化データ列は、3文字、3文字、および4文字の3つの群の10文字の英数字からそれぞれ成っているが、上記に示したように、コード化データ列は任意の数の文字から成ってもよい。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、コード化データ列の第1文字は、デコーディングおよび報告ソフトウェアがコードタイプを自動判別するのを可能にする、システム同定およびコード化データ列についての情報を表わしている。次の8文字は動作パラメータおよびデータを含む。10番目の文字はシリアル番号CRC文字であり、その検知は任意選択である。最後の文字はコード化データ列を検証するために用いられるCRC検査文字である。
【0063】
CRCコードを生成するためには、多数の周知の多項式のうちのいずれか1つを用いてもよいが、好ましい実施形態では、x+x+x+1の形のCRC−8多項式が用いられる。
【0064】
本発明はまた、提供者へのデータ送信の代替手段の利用も企図する。したがって、本発明は、患者が電話リンクを介してコード化データ列を音読する以外の手段によってデータを送信することができることを企図する。データを送信するそのような方法は、使用者によって開始されてもよいし、装置によって開始されてもよいし、提供者によって開始されてもよい。そのような方法を用いるために、装置は、電話回線接続、衛星接続またはインターネット接続を備えてもよいし、または、データリンクを介してモデムのような装置に接続され得る独立した装置を利用してもよい。これらの方法は、
(a)例えばDTMF(デュアルトーンマルチ周波数(Dual Tone Multiple Frequency))のような可聴形式でのコード化および送信、
(b)装置が受話器にコード化情報を「再生する(play)」周波数または同様の方法、
(c)音声帯域幅通信機器の制限に適した合成音声または他のプロトコルであって、前記装置は受話器に対してコード化情報を「話す」、および
(d)電子メール、SMSメッセージまたはASCII文字列を通信するために当業において知られている他の方法を含むが、これらに限定されるものではない。
【0065】
システムはまた、トーンまたはDTMFシグナリングのためのフィードバック調整スキーマを含み得る。通信スキーム中に可聴リンク(audible link)が存在する場合、それはア
ーティファクトおよび干渉の可能性を増大する。受信器がバックグラウンドノイズから情報を識別するために十分な信号対雑音比を維持することは重要な課題である。信号は、小さ過ぎて検出できなかったり、大き過ぎて歪みを生じたりし易いことがある。送信成功の可能性を向上するために、いくつかの変調方式が用いられる。すなわち、
(a)各トーンを(最小から最大へ傾斜して)個々に変調し、各トーンの振幅は振幅において低レベルから高レベルへと増大される。トーンがバックグラウンドより高い十分な振幅へ増大すると、受信器はそれを検知し、振幅が増大し続けると、それは場合により歪みをもたらす最大レベルに到達し得るが、それは既に成功裡に検出されている。これは、シングルトーンバーストが種々の音声リンクを備えたシステムにわたって成功裡に送信されることを可能にする。
【0066】
(b)全体として各シーケンスを変調し、トーンの各シーケンスは、低いレベルから開始して、受信成功(successful receipt)が肯定応答されるまで、だんだんと高い振幅で全シーケンスを反復して送信される。
【0067】
(c)「テスト」シーケンスを、それが成功裡に検出されるまで、低レベルから高レベルまで変調する。
次いで、いくらかの付加的なマージンを提供するために振幅を増大させて、このレベルをコードの送信に用いる。
【0068】
装置はまた、呼吸装置がオフ状態中に動力を供給されることを要求するセッション検知機能も備えてもよく、前記機能は下記の段階、すなわち、
(1)開始セッション−所定の連続使用の期間(例えば30分間)後の検知と、
(2)距離時間計(Trip hour meter)が30分間の始めから使用者が呼吸している時間
を計数することと、
(3)停止セッション−所定の不使用の期間(例えば4時間)の検知とを含む。
システムはまた、停止セッションの24時間内の仮眠期間に対して任意の時間を距離時間計に追加する。
【0069】
呼吸ガス供給システム制御ユニットの代替の実施形態において、リムーバブルメモリカードが挿入され得る制御ユニットの後部に、監視モジュールが技術者によって取り付けられてもよい。監視モジュールは上述した選択された動作データを記録するように作動する。しかしながら、装置使用者がコード化されたデータを提供者に送信することを必要とする代わりに、技術者が周期的に使用者を訪問してメモリカードを収集するか、または、使用者がメモリカードを提供者に送付し、代替品を供給される。代わりに、使用者が、ローカルコンピュータ上のアプリケーションを用いて、カードを読み取って、データを提供者に送信してもよい。したがって、ユーザーは、データ収集の過程に関わる必要がない。メモリカードを除去した後、技術者はさらなるデータ収集のために新たなメモリカードを挿入してもよい、または、監視が完了している場合には、監視モジュールを取り外してもよい。クリニックまたは診療所へ戻ると、技術者は、メモリカードの内容をコンピューターにダウンロードし、次いで報告書作成サービスまたはアプリケーションにログオンして、上述したように、データをデコードして報告書を作成する。
【0070】
本発明および主要な動作モードについて、その好ましい実施形態において説明し、図示してきた。しかしながら、本発明は、その精神または範囲から逸脱することなく、具体的に説明および示した通り以外に実施され得ることが理解されるにちがいない。しかるが故に、本発明はまた、代替の動作パラメータのような他の特徴または付加的な特徴が監視され、出力データとして提供され得ることも企図する。例えば、システムによって供給される呼吸ガスの湿度に関するデータの監視および格納を提供するために、前記装置に湿度センサ(図示せず)を追加してもよい。また、先に述べたように、本発明はCPAPまたは
呼吸ガス供給システムとの使用に限定されるものではなく、他の医療関連装置または非医療関連装置と共に用いられてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作データのコード化された出力を有する装置であって、該装置は、
a.前記動作データを格納するための記憶装置と、
b.前記格納された動作データの全部または一部をコード化するためのコード化装置と、
c.前記コード化されたデータを出力するための出力装置とを備える、装置。
【請求項2】
前記出力装置は、前記コード化されたデータを1つ以上のASCII文字の文字列として表示することができる表示装置である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ASCII文字の各々は1つ以上のテーブルに対するインデックスとして機能し、前記テーブルは、前記動作データの各種類に対して、スケーリングされた範囲の動作値を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
各種類の動作データは、前記1つ以上のテーブル中に表わされた値の前記範囲内に適合するように、スケーリングされる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
特定の種類の前記動作データは、ビットフィールドとして表わされ得、前記ビットフィールドは前記数値の一部である、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は1つ以上のASCII文字の複数の文字列を表示し、前記文字列の各々は異なる動作データを表わす、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記装置の使用者は、前記ASCII文字の文字列のうちのいずれが表示されるべきかを選択し得る、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ASCII文字の文字列は、前記文字列内の他の文字の誤り検査として機能する少なくとも1つの検査文字を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上の検査文字は前記他の文字に対する巡回冗長検査を用いて導き出される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記文字列のうちの少なくとも1つは、1つ以上の装置に特定の検証文字を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上の検証文字は、装置に特定の識別子に対して巡回冗長検査演算を行うことによって得られる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの文字は、装置のモデルを表わすビットフィールドを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項13】
前記ASCII文字の文字列は、間に分離文字を有した3〜5文字の複数の群として表示される、請求項2に記載の装置。
【請求項14】
前記使用者が前記複数の文字列の表示を循環させることを可能にする1個以上のボタンをさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項15】
前記装置から前記動作データを収集し、前記動作データを前記記憶装置に格納するための1つ以上のセンサをさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は呼吸ガス供給装置である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記装置はバイレベル呼吸ガス供給機器である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記装置はCPAP機器である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記複数の文字列は、異なる動作期間からのコード化された動作データを表わす、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記動作期間は、直近1日間、直近7日間、直近30日間および直近90日間のうちから選択される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記コード化されたデータを遠隔地へ伝達するための通信装置をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記コード化されたデータは、電話回線を介して、またはインターネットによって容易にされる接続を介して、伝達され得る、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記コード化されたデータは、DTMFトーンを用いて、電話回線を介して伝達され得る、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
使用者がASCII文字の文字列を入力し得る入力装置をさらに備え、前記文字列は前記装置のためのコード化された操作指示を表わす、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
装置から動作データを得る方法であって、該方法は、
a.前記動作データを記憶媒体に格納する工程と、
b.前記動作データをASCII文字の文字列としてコード化する工程と、
c.前記ASCII文字列を表示装置に表示する工程とを含む、方法。
【請求項26】
前記コード化する工程は、
a.前記ASCII文字を1つ以上のテーブルに対するインデックスとして用いる工程であって、前記テーブルは、前記動作データの各種類に対して、値域を定められ、かつスケーリングされた動作値を含む、工程と、
b.前記1つ以上のテーブルに表わされた値の前記範囲内に適合するように、各種類の動作データをスケーリングする工程と、
c.動作データの現在値に対してテーブル内の正しい範囲を表わすASCII文字を選択する工程と、
d.前記選択されたASCII文字を、前記ASCII文字列に追加する工程とをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ASCII文字列についてCRC演算を行い、そのCRC演算から誘導された数値を表わす文字列に前記ASCII文字を追加する工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
複数のASCII文字列を集める工程をさらに含み、前記文字列の各々は異なる動作期間にわたって収集された動作データを表わす、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記複数のASCII文字列のうちの少なくとも1つに、装置に特定の検証を追加する工程をさらに含み、前記検証文字は装置に特定の識別子についてCRC演算を行うことに
よって得られる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
装置から動作データを得る方法であって、該方法は、
a.前記装置から1つ以上のASCII文字列を遠隔から得る工程であって、前記ASCII文字列は装置のコード化された動作データを表わす、工程と、
b.前記ASCII文字列を、該文字列をデコードしてコード化されていない動作データを表示するソフトウェア設備に入力する工程と、
c.前記動作データを用いて、1つ以上の印刷された報告書を作成する工程とを含む、方法。
【請求項31】
前記1つ以上のASCII文字列は、活動中の人によって電話を介して、またはDTMFトーンを介して、伝達される、請求項30に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

image rotate

【図7】
image rotate

image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2012−516204(P2012−516204A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548051(P2011−548051)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/021307
【国際公開番号】WO2010/088084
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(511187236)サンライズ メディカル エイチエイチジー インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SUNRISE MEDICAL HHG,INC.
【Fターム(参考)】