説明

動作判別方法、コンピューター読み取り可能な記憶媒体、動作判別システムおよび体調査定方法

【課題】人間の動作をある活動に対応するものとして判別する方法およびシステムを提供
すること。
【解決手段】一方法例として、1つ以上の動作センサーを用い活動に結び付いた動作特徴
を感知して第1セットのデータを生成するステップと、第1セットのデータにおいて周期区
間を識別するステップと、および区間に基づき活動を特定するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は反復関節運動の周期に基づき人間動作を判別することに関する。よ
り具体的に、開示された実施形態は人間動作を認識し、動作を特定の活動に対応するもの
として判別する方法、装置、およびコンピューター読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
運動不足は心疾患、2型糖尿病など多くの慢性病および他の多くの健康上のリスクに寄
与することが知られている。このようなリスクに対抗するために、なかんずく体重を管理
し、血圧を下げ、糖分に対する許容度を向上させる運動の基本レベルを達成する適度な激
しさの運動が推奨される。毎日の運動はエネルギー消費を測定することにより客観的に測
ることができる(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/33200号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
量的である毎日のエネルギー消費に加え、質的である活動の種類は全体的な調子や健康
に対し重要な役割を果たす。日常の活動または動作の自動的な判別はより健康な生活様式
の促進または毎日の運動の監視に用いることができる。さらに、活動の判別はエネルギー
消費推定の精度を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の動作判別方法は、動作をある活動種類に対応するものとして判別する動作判別
方法であって、
1つ以上の動作センサーを用い活動に結び付いた動作特徴を感知して第1セットのデータ
を生成するステップと、
前記第1セットのデータにおいて周期区間を識別するステップと、
前記区間に基づき前記活動を特定するステップとを有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の動作判別方法において、前記感知された動作特徴は人間の手足の動作特
徴を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の動作判別方法において、前記人間の手足は足首であることを特徴とする

【0008】
また、本発明の動作判別方法において、前記1つ以上の動作センサーはジャイロセンサ
ーを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の動作判別方法において、前記活動は、走り、歩き、ボート漕ぎ、サイク
リング、および楕円ウォーキングのいずれか1つを含むものであると特定されることを特
徴とする。
【0010】
また、本発明の動作判別方法において、前記1つ以上の動作センサーを用い前記活動に
結び付いた動作特徴を感知して第2セットのデータを生成するステップをさらに有し、
前記活動は前記第2セットのデータに基づき特定されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の動作判別方法において、前記第2セットのデータを生成するのに感知さ
れる前記動作特徴は、胴体および足首の動作特徴の少なくとも1つを含むことを特徴とす
る。
【0012】
また、本発明の動作判別方法において、前記1つ以上の動作センサーは加速計を含み、
前記第2セットのデータは加速計を用いて生成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の動作判別方法において、前記区間に基づき活動を特定するステップは、
前記区間中に動作センサーにより生成された動作データの特徴を計算するステップと、
前記特長を用いて前記活動を特定するステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の動作判別方法において、前記第1セットのデータは前記区間中に生成さ
れた前記動作データを含み、
前記動作データは角速度データを含み、
前記計算された特長は前記角速度データの絶対規模であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の動作判別方法において、前記区間は身体部分により行なわれる前方向の
振り動作の連続発生間の区間であり、前記活動の特定は前記前方向の振り動作の持続期間
に一部基づくことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の動作判別方法において、前記第1セットのデータは第1足首の角動作を
特徴付ける角速度データを含み、
前記特長は周期持続期間中に生成された前記角速度データの少なくとも一部を用いて計
算される角速度特徴であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の動作判別方法において、前記活動は角速度特徴が第1域値を超えるか否
かに基づいて特定されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の動作判別方法において、前記1つ以上の動作センサーを用い、前記第1
および第2足首の少なくとも1つの垂直加速特徴を感知して前記足首の垂直加速データを
生成するステップと、
前記区間中に生成された前記足首の垂直加速データの少なくとも一部を用いて足首の垂
直加速特徴を計算するステップとをさらに有し、
前記活動は前記角速度特徴および前記足首の垂直加速特徴に基づきボート漕ぎとして特
定されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の動作判別方法において、前記1つ以上の動作センサーを用い身体の胴体
部分の加速特徴を感知して胴体加速データを生成するステップと、
前記区間中に生成された胴体加速データの少なくとも一部を用いて胴体加速測定を計算
するステップと、
前記区間中に生成された角速度データの少なくとも一部を用いて前方向振り比率特徴を
計算するステップであって、前記前方向振り比率の測定は前方向振り動作に対応する前記
区間の比率を示すステップとをさらに有し、
サイクリング活動は前記角速度特徴、前記胴体加速特徴、および前記前方向振り比率特
徴に基づき楕円ウォーキング活動から区別されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の動作判別方法において、前記1つ以上の動作センサーを用い身体の胴体
部分の加速特徴を感知して胴体加速データを生成するステップと、
前記区間中に生成された胴体加速データの少なくとも一部を用いて第1胴体加速特徴を
計算するステップと、
前記区間中のある一時に生成された胴体加速データを用いて第2胴体加速特徴を計算す
るステップとをさらに有し、
歩き活動は前記角速度特徴ならびに前記第1および第2胴体加速特徴に基づき走り活動
から区別されることを特徴とする。
【0021】
ここで、本発明のコンピューター読み取り可能な記憶媒体は、人間の動作をある活動に
対応するものとして判別する方法を実施するコンピューター読取り可能な命令を有する1
つ以上のコンピューター読み取り可能な記憶媒体であって、
前記方法は、
1つ以上の動作センサーを用いて前記活動に結び付いた動作特徴を感知して第1セット
のデータを生成するステップと、
前記第1セットのデータにおいて周期区間を識別するステップと、
前記区間に基づき前記活動を特定するステップとを有することを特徴とする。
【0022】
さらに本発明の動作判別システムは、動作をある活動に対応するものとして判別する動
作判別システムであって、
動作データを記憶するよう構成されるメモリーと、
被験者に装着された1つ以上の動作センサーを用い前記活動に結び付いた動作特徴を感
知して第1セットのデータを生成するステップと、前記動作データを前記メモリーに記憶
するステップと、前記第1セットのデータにおいて周期区間を識別するステップと、前記
区間に基づき前記活動を特定するステップとを実行するよう構成される処理回路と、を有
することを特徴とする。
【0023】
さらに本発明の体調査定方法は、人間の被験者の体調を査定する体調査定方法であって

被験者の所定の位置に装着された1つ以上のセンサーを用いて前記被験者の行なう活動
に結び付いた特徴を感知するステップと、
前記感知された特徴の少なくとも1つにおける周期パターンを識別するステップと、
前記感知された特徴および前記周期パターンに基づき活動を特定するステップと、
前記特定された活動に基づき前記被験者の体調を査定するステップとを有することを特
徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】人間動作を活動に対応するものとして判別する方法例を開示する図である。
【図2】図1の方法が実施される環境例の図式的表現である。
【図3】図1の方法を実施するために用いられる携帯演算装置例の概略的表現を開示する図である。
【図4】図1の方法において実施される活動特定の順序を表す決定樹例を開示する図である。
【図5】異なる活動中足首に装着されたジャイロセンサーにより集められた角速度データのグラフ例を開示する図である。
【図6.A】活動を特定するのに用いられるイベントおよび区間を特定するのに用いるデータ(歩き)のグラフを開示する図である。
【図6.B】活動を特定するのに用いられるイベントおよび区間を特定するのに用いるデータ(走り)のグラフを開示する図である。
【図6.C】活動を特定するのに用いられるイベントおよび区間を特定するのに用いるデータ(サイクリング)のグラフを開示する図である。
【図6.D】活動を特定するのに用いられるイベントおよび区間を特定するのに用いるデータ(ボート漕ぎ)のグラフを開示する図である。
【図6.E】活動を特定するのに用いられるイベントおよび区間を特定するのに用いるデータ(楕円ウォーキング)のグラフを開示する図である。
【図7】角速度データのグラフ例における振り周期区間例を開示する図である。
【図8.A】x軸の前方向振り平均平方特長およびy軸の平均平方比特長により定義される特長空間を示す動作データのグラフを開示する図である。
【図8.B】x軸に平均足首垂直加速特長、およびy軸に前方向振り比率特長により定義される特長空間を示す動作データのグラフを開示する図である。
【図8.C】x軸に前方向振り比率特長、およびy軸に胴体合計加速RMS特長により定義される特長空間を示す動作データのグラフを開示する図である。
【図8.D】x軸に振り終端における胴体合計加速特長、およびy軸に胴体合計加速RMS特長により定義される特長空間を示す動作データのグラフを開示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を要約すると以下のとおりとなる。
一般的に、実施形態例は人間動作を運動の特定の種類またはカテゴリーに対応するもの
として判別する方法、装置、およびコンピューター読み取り可能な記憶媒体に関する。
【0026】
最初の実施形態例において、人間動作を運動に対応するものとして判別方法は活動に結
び付く動作の特徴を感知して第1セットのデータを生成し、第1セットのデータにおける周
期区間を特定すること、次に少なくとも部分的に区間に基づき活動の種類を特定すること
を含む。
【0027】
別の実施形態例において、ヒト被験者の健康を評価する方法が開示される。開示される
例において、これは身体に装着された1つ以上のセンサーを用いて運動に結び付いて特徴
を感知し、次に感知された特徴の少なくとも1つにおける周期パターンを特定することを
含む。次に少なくとも部分的に感知特徴および周期パターンに基づき運動が特定される。
次にこの情報を用いて被験者の健康を評価すること、および/または別途例えば健康の監
視、特定トレーニング・ルーチンの実行の追跡、病歴の構築、健康リスクの検知、および
/または仮想現実システムの増強を行なうことができる。
【0028】
さらに別の実施形態例において、1つ以上のコンピューター読み取り可能な記憶媒体は
実行すると最初の実施形態例に関連して上述した活動判別方法のすべてまたは一部を実施
するコンピューター読み取り可能な命令を搭載している。
【0029】
本要約は以下の「詳細な説明」においてさらに説明されるいくつか選択された概念を簡
単な形で紹介するために提供される。本要約はクレームされる主題の主要な特長または不
可欠な特徴を特定することは意図しておらず、クレームされる主題の範囲を判定する手助
けとして用いることも意図していない。
さらなる特長は続く説明において示され、部分的には説明から自明となり、または本明
細書の教示を実施することにより知ることができる。発明の特長は添付クレームで具体的
に指摘される手段および組み合わせにより実現し、得ることができる。本発明の特長は続
く説明および添付クレームからより完全に明らかになり、または以降述べられる発明の実
施により知ることができる。
【0030】
本発明の実施形態例の上記および他の態様をさらに展開するために、これらの例のより
具体的な説明が添付図面に開示されるその具体的な実施形態を参照してなされる。これら
の図面は発明の実施形態例のみを描き、従ってその範囲を制限するものとはみなされない
。また図面は発明の実施形態例の図解的および概略的な表現であり、本発明を制限するも
のではないことが理解されよう。発明の実施形態例は添付図面を用いてさらに具体的かつ
詳細に説明される。
【0031】
以下の詳細な説明において、発明の実施形態例例示的に示す添付図面が参照される。図
面において、各々の図を通して実質的に類似した構成要素は類似した数字が表している。
これらの実施形態は当業者が発明を実施できるよう充分に詳細に説明される。他の実施形
態も利用でき、本発明の範囲から逸脱することなく構造的、論理的、および電気的な変更
を加えることができる。さらに、発明のさまざまな実施形態は、異なっていても必ずしも
互いに排他的ではないことが理解されよう。例えば、一実施形態において説明される特定
の特長、構造、または特徴は他の実施形態内に含まれ得る。従って以下の詳細な説明は限
定的な意味で捉えるべきでなく、本発明の範囲は添付クレームとともに、このようなクレ
ームが権利を有する均等物の全範囲によってのみ規定される。
【0032】
一般的に、実施形態例は人間動作を特定の運動に対応するものとして判別できる方法、
装置、およびコンピューター読み取り可能な記憶媒体に関する。実施形態例は個人または
人体エリア・ネットワークと併せて用い、例えば健康の監視、トレーニング・ルーチンの
実行の追跡、病歴の構築、健康リスクの検知、および/または仮想現実システムの増強を
行なうことができる。
【0033】
多くの運動およびトレーニングを実行する際、周期的または反復動作が生じる。人間の
身体に装着されたセンサーからのジャイロ信号を用いて例えば反復関節回転の特徴を捉え
ることができる。開示される一実施形態例によると、ジャイロセンサーを足首に装着し、
色々な活動の中でも例えば歩き、走り、サイクリング、ボート漕ぎ、および楕円ウォーキ
ングの際身体のすね部分の動作を特徴付けるデータを取り込むことができる。ジャイロセ
ンサーにより生成され、または生成されるデータから導き出される角回転速度データにお
いて周期的パターンが識別され得る。周期的パターンから、または周期的パターンを基準
として他のセンサーにより集められた他の動作データから抽出された区別可能な特長に少
なくとも一部基づき特定の活動の種類を識別することができる。
【0034】
次に図1を参照すると、人間動作を特定活動に対応するものとして判別する方法100に
用いられる一連の工程の例が開示される。方法例100は活動を行なっている人体状の所定
点に配置される1つ以上のセンサーにより集められたデータから抽出または導き出された
特長に少なくとも一部基づき活動の種類を特定する。
【0035】
本明細書で開示される方法例100およびこれらの変形はコンピューター実行可能な命令
を搭載もしくは有し、またはデータ構造を記憶するコンピューター読み取り可能な記憶媒
体を用いて実施することができる。このようなコンピューター読み取り可能な記憶媒体は
汎用または特殊用途のコンピューターによりアクセスできる任意の入手可能な媒体であっ
て良い。限定ではなく例として、このようなコンピューター読み取り可能な記憶媒体はRA
M、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしく
は他の磁気ディスク記憶装置、またはコンピューター実行可能な命令の形を取るプログラ
ム・コードもしくはデータ構造を搭載もしくは記憶するために用いられ、汎用もしくは特
殊用途のコンピューターのプロセッサーによりアクセスされ得る他の任意の媒体を有して
なることができる。上記の組み合わせもコンピューター読み取り可能な記憶媒体の範囲に
入れられるべきである。
【0036】
コンピューター実行可能な命令は例えば汎用コンピューターまたは特殊用途コンピュー
ターなどの装置のプロセッサー(または類似したプログラマブル論理)に特定の機能また
は機能のグループを行なわせる命令およびデータを有してなる。本明細書において主題は
方法行為固有の言葉で説明されるが、添付クレームに定義される主題は本明細書に説明さ
れる具体的な行為に必ずしも限定されないことが理解されよう。むしろ、本明細書で説明
される具体的な行為はクレームを実施する形の例として開示される。
【0037】
特殊用途のコンピューターの例は携帯端末(PDA)、携帯演算装置、携帯電話、ラップ
トップ・コンピューター、音声/ビデオ・メディア・プレーヤー、またはこれらの組み合
わせを含むことができる。携帯演算装置は、動作データを集め処理用に携帯演算装置にデ
ータを供給するセンサーをも含む個人エリア・ネットワークの一部であることができる。
演算装置は例えば健康リスクおよび改善を監視・測定し、トレーニング・ルーチンの実行
を追跡し、病歴を構築し、および/または仮想現実システムを増強する等々の活動判別能
力を含むことができる。例えば、この活動判別能力付きの演算装置は方法例100を実施す
る1つ以上のコンピューター読み取り可能な記憶媒体を含むことができ、結果を体力トレ
ーナー、救急要員、介護者、医師、病歴データベース、および/または仮想現実ディスプ
レイに送信することができる。あるいは、ネットワーク接続経由で演算装置に接続され、
通信するコンピューターが方法例100を実施するコンピューター読み取り可能な記憶媒体
を含み得る。接続されたコンピューターは結果を携帯演算装置および/またはトレーナー
、救急要員、介護者、医師、病歴データベース、および/または仮想現実ディスプレイに
送信することができる。
【0038】
図2は図1の方法例とともに用い得る個人エリア・ネットワーク200の一例の図式的描写
を開示する。この例に示すように、個人エリア・ネットワーク200は携帯演算装置202を含
む。個人エリア・ネットワーク200はさらに204で示す、携帯演算装置202に通信用に動作
上接続される1つ以上のセンサーを含むことができる。センサー204および携帯演算装置間
の動作上の接続は有線により実施することができ、あるいは個人エリア・ネットワークが
Bluetooth(登録商標)またはZIGBEE(登録商標)など無線プロトコルを活用することも
できる。センサー204は加速度計、傾斜センサー、およびジャイロセンサーなどの動作セ
ンサーとともに他種のセンサーも含むことができる。例えば、温度センサーおよび湿度セ
ンサーなど環境を監視するセンサーを使っても良い。また心拍センサー、血圧センサー等
々、など被験者の生理的パラメーターを監視するセンサーを使っても良い。センサー204
はフック・ループ式留め具(例、ベルクロ社のマジックテープ(登録商標))など任意の
適当な留め具を用いて手首、上腕、腰/胴体、大腿、および足首範囲を含み被験者上のさ
まざまな位置に装着することができる。一例において、携帯演算装置202はセンサー204の
各々にBluetooth無線リンクを有するXsens Technologies社(www-xsens-com)製のXbus M
asterを含むことができる。さらに、センサーは例えばXbusキットに含まれるXsens Techn
ologies社製のMTx感知装置であることができ、キットはXbus Masterを含む。もちろん他
種の「方向」追跡装置を用いることもできる。
【0039】
図3は202で示され、開示された実施形態に関連して用い得る携帯演算装置のより詳細な
概略図的表示を開示している。この図示例において、携帯演算装置202はインターフェイ
ス302経由で別のコンピューター350およびセンサー204とデータのやりとりをする。アク
セス用にアプリケーション・プログラムおよびデータをコンピューター350に記憶するこ
とができる。ネットワーク・インターフェイス302はネットワーク・インターフェイスで
あっても良く、および/または有線もしくは無線インターフェイス(または組み合わせ)
として実施されることができる。
【0040】
データをコンピューター350またはセンサー204から受信すると、インターフェイス302
はデータを受信しRAM304の一部を形成する受信バッファーに記憶する。異なるメモリーの
アクセスおよび記憶の取り合わせを用いることもできるが、図示例においてRAM304は例え
ばアドレス指定によりいくつかの部分に分割され、受信バッファーまたは送信バッファー
など異なるバッファーとして割り当てられる。動作データまたはアプリケーション・プロ
グラムなどのデータはフラッシュEEPROM310またはROM308により携帯演算装置202が取得す
ることもできる。
【0041】
プログラマブル・プロセッサー306は例えばROM308またはフラッシュEEPROM310に記憶さ
れるコンピューター読み取り可能な命令を用いて特定の機能または例えば方法100などの
機能のグループを実行することができる。例えばRAM304の受信バッファーが1つ以上のセ
ンサー204から受信された動作データである場合、プロセッサー306は動作データに対し方
法100の方法行為を実行し周期的に生じる区間を検出し、識別された区間とともに動作デ
ータの特長に基づく活動を特定することができる。特長は区間および/または区間中に生
じる動作イベントをタイミング基準として用いて導き出すことができる。必要であれば、
動作データをさらに処理し、特定された活動の表示(例、図形および/またはテキスト)
を携帯演算装置202が例えばLCDパネルなどのディスプレイ314上に表示し、またはコンピ
ューター350に転送することができる。
【0042】
図4は方法100で行なわれる活動特定の順序を表す決定樹例を開示する。図4は方法100の
実行により認識し得る異なる種類の運動またはトレーニングの例をいくつか示している。
特定し得る活動は静的活動、動的活動、および/または移行活動(すなわち静的と動的と
の間で移動すること)を含む。
【0043】
静的活動は例えばノード402においてセンサーが静止状態にあるか、または1つ以上のセ
ンサーがかなりの身体動作を示すか判定することにより動的および移行活動と区別するこ
とができる。このような判定はセンサー204から受信された方向データ、加速データ、角
速度データ、温度データ、および/または心拍データによりなすことができる。静的活動
はさらにノード404において例えば座っていること、立っていること、および横たわって
いることとしてさらに特定することができる。
【0044】
反対に動的活動は歩き、走り、サイクリング、等々を含むことができる。例えば、本明
細書で考察される実施形態において、方法100により認識される動的活動は歩き、走り、
サイクリング、楕円マシンでのウォーキング(すなわち楕円ウォーキング)、およびボー
ト漕ぎを含むことができ、いずれもトレッドミルまたはサイクリング・マシンなど運動器
具の補助の有無にかかわらず行なうことができる。前述の活動間の区別はノード406-412
においてなされる。例えばテニスまたはサッカーなどのスポーツをすることなどより複雑
な動的活動は走り、歩き、腕振り、蹴り、等々原始的な動的活動の組み合わせとして認識
することができる。
【0045】
人間の動作をある活動に対応するものとして判別する方法例100を次に図1に関連して考
察する。102においてある活動に結び付いた足首の動作特徴と胴体の動作特徴が感知され
る。足首の動作特徴は加速度計およびジャイロセンサーを用いて感知し各々足首の加速デ
ータおよび角速度データを生成することができる。胴体の動作特徴は加速度計を用いて感
知し胴体の加速データを生成することができる。足首の加速データ、角速度データ、およ
び胴体の加速データは同時に生成することができ、同期化できる。しかしデータを用いて
活動を特定する前に、まず106において角速度データを分析して周期区間(例、振り周期
区間)を特定することができる。
【0046】
図5は異なる活動の際足首に装着してジャイロセンサーで集めた角速度データのさまざ
まなグラフ例を開示している。ジャイロセンサーは3つの次元または軸で角速度を感知す
ることができる。図5の各グラフにおける角速度データは最大または支配的角速度を感知
する軸に対応することができ、これは示される例においてはセンサーが装着された足首の
中心軸に対応する。
【0047】
例えばグラフ502は毎時3マイルの歩行活動の際生成された角速度データを描く。グラフ
504は毎時7マイルの走り活動の際生成される角速度データを描く。グラフ506は毎分70回
転のサイクリング活動の際生成される各速度データを描く。グラフ508は毎分45回転の楕
円ウォーキング活動の際生成される角速度データを描く。各グラフで示されるように、各
活動は周期的な正(すなわち前方向)の振りイベントで特徴付けられる。角速度データの
各セットから導き出される回転角度を用いて例えば前方向の振り動作(または振りイベン
トとも言う。以下同様。)振り周期期間または区間、および前方向の振り段階または区間
(すなわち前方向の振りイベントの持続時間)を特定することができる。
【0048】
図6.A-6.Eは振りイベント、振り周期区間、および振り周期区間内の前方向振り段階ま
たは区間を特定するのに用いられるデータ・ポイントを有するグラフを開示している。一
歩、一またぎ、または一周期に対応する振りイベントは角速度データにおける振り周期区
間を定義することができる。図6.A-6.Eの各々は異なる動的活動に対応するものとしてラ
ベル付けされる。例えば図6.Aにおけるグラフ602aは被験者が歩いている際生成された角
速度データを示す。図6.Bは走っている際、図6.Cは自転車に乗っているサイクリングの際
、図6.Dはボートを漕いでいる際、および図6.Eは楕円ウォーキングの際生成されたデータ
に対応する。振りイベントおよび区間の特定は各活動について類似しており、従って特定
の活動に関係なく説明される。
【0049】
振りイベントを特定するには、角速度データの有意域値レベルを超える部分をまず積算
して例えば次のように振り角データを生成することができる。
【0050】
【数1】

【0051】
ここで振り角度(i)は時間iにおける振り角度値、Gz(i)は時間iにおいて生成されたジャ
イロセンサーからの角速度値で、回転の支配的比率を有する軸(例、関節の中心軸)の周
りの角速度に対応し、サンプリング周波数は角速度データがサンプルされる周波数で、ε
は域値である。グラフ604aはグラフ602aにおける角速度データから上記振り角度の式に従
い導き出された振り角度データを示す。(対応グラフ604b、604c、604d、および604eが比
較のために図6.B乃至6.Eで示される)。域値εはジャイロセンサーのずれまたは雑音など
の現象に由来する角速度の無意味なレベルの考慮を除外するよう設定できる。
【0052】
上記振り角度の式において、域値εはピークの正の振り角速度に対し小さい正の値であ
るように制約することができる。前方向の振り速度は多くの活動(例、走りおよび歩き)
についてより大きい規模で、従って負または後方向の振り速度より簡単に検出可能である
ので、正または前方向の振り角度のみの積算を行なうことができる。しかし後方向の振り
角度も、特に後方向の振り角速度がより顕著な場合、前方向の振り角度の代わりまたはそ
れと組み合わせて周期特定の土台にすることができる。このように、本明細書で説明され
る実施形態は前方向の振り角度を用いているが、後方向の振り角度も用いることができる

【0053】
振り角度データを導き出すことにより、振りイベントはグラフ604aにおける振り角度デ
ータの降下エッジで識別することができる。雑音または振動による偽検出を避けるために
、域値Tを次のように用いることができる。
【0054】
【数2】

【0055】
グラフ606a、606b、606c、606d、および606eは各々上記の振りイベントの式を用いた振
りイベントの識別を示している。振りイベント間の時間区間が特定されている限り、振り
イベントの式を修正して振り角度データの他の特長、例えば上昇エッジ、ピーク等々、を
振りイベントとして検出することができる。
【0056】
再度図1を参照すると、108において角速度データ、足首加速データ、および胴体加速デ
ータの一部を用いて複数の動作データを計算する行為が行なわれる。各活動に対応する振
り周期区間における角速度データは図6.A-6.Eに示されるようにはっきりした特長を有す
るので、動作データ特長を計算するのに用いられる各速度データの一部は振り周期区間の
際生成される部分に限定しても良い。さらに動作データ特長を計算するのに用いられた足
首加速データおよび胴体加速データなど他の動作データの一部も振り周期区間の際生成さ
れた部分に限定することができる。
【0057】
図7は角速度データのグラフ例における振り周期区間例700を開示している。区間700の
さまざまなタイミング面を用いて角速度データとともに他の動作データから動作データ特
長を導き出し、または抽出することができる。例えば、区間開始時間702(ts)および区間
終了時間704(te)は振り周期区間700の持続時間を定義している。さらに、前方向の振り開
始時間706(tp)および終了時間704は振り周期区間700内の前方向振り区間(すなわち角速
度が正である区間)を定義している。これらの時間区間を用いて動作データ特長を抽出す
るのに使用される動作データの部分を区切ることができ、図8.A-8.Dを参照に以下より詳
細に説明される。終了時間704は振り周期区間および前方向の振り区間の終了時間双方に
相当するように示される。しかし、振り周期区間700の終了時間704および開始時間702は
区間さえ一定に保持されればいずれの方向にもずらすことができる。例えば、ピークの振
り速度イベントが識別され前方向の振りイベントではなく振り周期区間を定義するのに用
いられる場合、開始時間702および終了時間704はゼロ交差の代わりに角速度データにおけ
るピークに相当することになる。
【0058】
図8.A-8.Dは異なる活動を互いに区別するのに用いられるさまざまな動作特長空間にお
ける動作データのグラフを開示している。図8.A-8.Dの各グラフは各軸の異なる動作特長
により定義される特長空間におけるさまざまな動的活動に対応する実験に基づき導き出さ
れたデータ・ポイントを示す。各グラフはさらにさまざまな活動を区別するのに用いられ
る1つ以上の域値線も示している。域値線は図4における判別決定ノード406 412により適
用される決定基準を表している。
【0059】
図8.Aはx軸の前方向振り平均平方特長およびy軸の平均平方比特長により定義される特
長空間を示す。データ・ポイント802aは歩き活動(ダイヤモンド形)または走り活動(三
角形)に対応する一方、データ・ポイント804aはボート漕ぎ(6点星形)、サイクリング
(5点星形)、または楕円ウォーキング(十字形)活動に対応している。特徴空間800aのx
軸である前方向振り平均平方特長は次のように定義することができる。
【0060】
【数3】

【0061】
ここでGz(i)は足首に装着したジャイロセンサーにより時間iに生成され、支配的中心軸
の周りの角速度に対応する角速度値である。前方向平均平方特長の根は前方向振り期間中
の角速度の大きさを表すが、平方根計算の計算コストを避けるために前方向平均平方を代
わりに用いることができる。
【0062】
特長空間800aのy軸である平均平方比特長は次のように定義できる。
【0063】
【数4】

【0064】
平均平方比の根は前方向振り区間(tpからte)の際における角速度の大きさと全体の振
り区間(tsからte)の際における角速度との大きさとの比率を表す。ここでも、平方根計
算の計算コストを避けるために根平均平方(RMS)比の代わりに平均平方比を用いること
ができる。
【0065】
特長空間800aを定義する特長は一方走りおよび歩きを他方ボート漕ぎ、サイクリング、
および楕円ウォーキングと区別するのに便利である。活動は次の決定基準により特長空間
800aにおいて区別することができる。
【0066】
【数5】

【0067】
前記決定基準は特長空間800aにおいて域値808aとして示される。域値808aは空中で行な
われる前方向振り動作をペダル・パスに沿って行なわれる前方向振り動作から有効に区別
する。例えば、空中の足首の振りは、特に足首が走っている場合、ペダルを踏む(すなわ
ちペダル・パスに沿って)足首の振りに比べしばしば前方向振り段階においてより大きい
角速度を有する。従って前方向振り平均平方はこれら2種類の振りの間を区別するのに便
利である。しかし、非常に遅い歩き活動も前方向振り中の小さい角速度のため小さい前方
向振り平均平方を有する可能性がある。従って、歩き活動をペダル活動から区別するのに
平均平方比特長も用いることができる。遅い歩きは前方向振り段階の他に立っている期間
(すなわちゼロ速度)がしばしばより長く含まれるので、他の活動より平均平方比特長は
遅い歩きについてより高くなる。簡単に言うと、空中の足首の振りはペダルを踏む足首の
振りに比べより速い前方向振りまたは前方向振りの大きさの全体の振りの大きさに対しよ
り高い比率のいずれかをしばしば有するので、特長空間800aは空中の足首の振りが関わる
歩きおよび走りをペダル踏みの足首の振りが関わるボート漕ぎ、サイクリング、および楕
円ウォーキングから区別するのに有効な空間である。
【0068】
図8.Bはx軸に平均足首垂直加速特長、およびy軸に前方向振り比率特長により定義され
る特長空間800bを示す。特長空間800bにおいて、データ・ポイント802b(6点星形)はボ
ート漕ぎ活動に相当し、データ・ポイント804b(5点星形)はサイクリング活動に相当し
、データ・ポイント806b(十字形)は楕円ウォーキング活動に相当する。特長空間800bの
x軸である平均足首垂直加速特長は次のように定義できる。
【0069】
【数6】

【0070】
ここでAv(i)は足首に装着された加速計により時間iに生成された加速値で垂直方向にお
ける加速に相当する。特長空間800bのy軸である前方向振り比率特長は次のように定義で
きる。
【0071】
【数7】

【0072】
特長空間800bを定義する特長はボート漕ぎ、サイクリング、および楕円ウォーキングを
互いに区別するのに便利である。特に、一方ボート漕ぎを他方サイクリングおよび楕円ウ
ォーキングから区別するのに平均足首垂直加速特長を用いることができる。ボートを漕ぐ
際、足首は垂直から水平位置に振られるのに対し、サイクリングおよび楕円ウォーキング
の際足首は全般的に垂直の位置のままである。従って足首に装着された加速計はボート漕
ぎの時の方がサイクリングまたは楕円ウォーキングの時より平均的に垂直方向により小さ
い重力を受ける。このように平均足首加速特長はボート漕ぎ活動をサイクリングまたは楕
円ウォーキング活動から区別するのに便利な特長である。
【0073】
図示されるように、特長空間800bにおいて、前方向振り比率特長も異なる活動間を区別
するのに用い得る別の便利な特長である。しかし、一実施形態によれば、活動は次の決定
基準に従い特長空間800bにおいて平均足首垂直加速特長のみを用いて区別することができ
、決定基準は特長空間800bにおいて域値808bで表される。
【0074】
【数8】

【0075】
図8.Cはx軸に前方向振り比率特長(上記図8.Bにおいてy軸に関連して定義)、およびy
軸に胴体合計加速RMS特長により定義される特長空間800cを示す。特長空間800cにおいて
、データ・ポイント802c(星形)はサイクリング活動に相当し、データ・ポイント804c(
十字形)は楕円ウォーキング活動に相当する。特長空間800cのy軸である胴体合計加速RMS
特長は次のように定義できる。
【0076】
【数9】

【0077】
ここでTrunkTA(i)は身体の胴体または腰部分に装着された加速計により時間iに生成さ
れた胴体合計加速(すなわち3つの次元で測定された加速のユークリッド・ノルムまたは
規模)で、μTAは振り周期区間にわたり測定された胴体合計加速の平均である。平均μTA
は次のように計算できる。
【0078】
【数10】

【0079】
精度のかなりの損失なしに計算を簡素化するために、胴体合計加速RMS特長の式におけ
るμTAを重力(g)による局部加速で置き換えることができる。
【0080】
【数11】

胴体合計加速のRMSは胴体動作の強度を表す(しかし平方根計算の計算
コストを避けるため、代わりに胴体合計加速の平均平方を用いることができる。)。
【0081】
特長空間800cを定義する特長は例えばサイクリングを楕円ウォーキングから区別するの
に便利である。サイクリングをする時、脚は前方向振りの際ペダルを前に押す方が後方向
振りの際ペダルを後に引くより力を要するので、振り周期区間の前方向振り段階は一般的
に後方向振り段階より長い。その結果、サイクリングは足首の振り周期区間の半分以上と
なる前方向振り段階を有しがちである。逆に楕円ウォーキングは、楕円ウォーキングの立
ち段階が一般的に前方向振り段階より長いので、より短い前方向振り段階を有する。その
結果、楕円ウォーキングは足首の振り周期区間の半分未満となる前方向振り段階を有しが
ちでる。このように、前方向振り比率特長はサイクリングを楕円ウォーキングから区別す
るための信頼できる判別器としての機能を果たす。しかし、サイクリング抵抗または毎分
毎の回転が比較的低い場合この特長だけでは信頼性がないかもしれない。従って、一般的
にサイクリングの方が楕円ウォーキングより低い胴体加速RMS特長もサイクリングから楕
円ウォーキングを区別するのに信頼できる判別器としての機能を果たす。このように、サ
イクリングおよび楕円ウォーキング活動は特長空間800cにおいて次の決定基準に従い区別
することができる。
【0082】
【数12】

【0083】
図8.Dはx軸に振り終端における胴体合計加速特長、およびy軸に胴体合計加速RMS特長(
上記図8.Cにおけるy軸に関連して定義)により定義される特長空間800dを示す。特長空間
800dにおいてデータ・ポイント802d(ダイヤモンド形)は歩き活動に相当し、データ・ポ
イント804d(三角形)は走り活動に相当する。特長空間800dのx軸にある振り終端におけ
る胴体合計加速特長は次のように定義できる。
【0084】
【数13】

【0085】
ここでTrunkTA(te)は身体の胴体または腰部分に装着された加速計により振り周期区間
における前方向振り段階の終わりに生成された胴体合計加速(すなわち3つの直交の次元
で測定された加速のユークリッド・ノルムまたは規模)である。
【0086】
特長空間800dを定義する特長は歩きを走りから区別するのに便利である。歩いていると
、振り周期区間における前方向振り段階の終わりに二重支持イベントが生じ、双方の足が
面上で支持される。他方被験者が走っていると、振り周期区間における前方向振り段階の
終わりに二重浮動イベントが生じ、双方の足が空中で自由に動く。従って、二重浮動イベ
ントは実質的にゼロ重力または低gイベントである。振り終端における振り胴体合計加速
特長は胴体が振りイベントの終わりに二重支持イベントまたは二重浮動イベントを経験す
る場合を認識し、それにより歩きから走りを区別するのに用いられる。
【0087】
さらに、胴体の速度は一般的に走っている時の方が歩いている時より高いので、胴体合
計加速RMS特長は歩きを走りから区別する有効な判別器である。従って、特長空間800dに
おいて歩きおよび走り活動は次の決定基準に従い区別できる。
【0088】
【数14】

【0089】
再度図1を参照すると、110において計算された特長の1つ以上に基づき活動を特定する
行為が行なわれる。活動特定は図8.A-8.Dに関連して上述された決定基準の1つ以上に従い
行なうことができる。図4は特長を抽出し決定基準を適用する優先順位を示している。演
算リソースを保存するために、判別に必要でない特長の計算は省略しても良い。従って、
例えば識別される活動が歩きである場合、決定ノード408および410には到達しなく、計算
の必要がある特長はノード402、406、および412における決定基準に必要なものだけであ
る。
【0090】
112において、特定された活動を用いて活動を行なう被験者の健康を監視または評価で
きる。例えば、特定された活動により異なる代謝率を用いてエネルギー消費率を計算する
ことにより体調または健康レベルを評価することができる。動的活動は静的活動より高い
代謝率を有し、高負荷動的活動は低負荷動的活動より高い代謝率を有することになる。体
調レベルを評価する際代謝率の表をアクセスすることができる。体調レベル評価は特定さ
れた活動に基づき、また振り周期区間より導き出すことのできる活動速度など活動の特徴
に基づき、エネルギー消費推定を含むことができる。他の健康関連でない用途も、例えば
仮想現実ゲームまたはシミュレーション環境の現実性を向上させるために特定された活動
を用い得る。
【0091】
前述の実施形態例はある動作を人体など被験者の行なうある活動に対応するものとして
判別するために用いることができる。実施形態例は他の方法およびシステムと併せて用い
、上述の活動より複雑な活動を特定して例えば健康の管理、トレーニング・ルーチン実行
の追跡、病歴の構築、健康リスクの検知、および/または仮想現実システムの増強などを
行なうことができる。上述のさまざまの利用可能な実施形態に加え、さまざまな行為が修
正、省略され、または新規行為が追加され、または行為の順序が異なる異形など方法100
の他のさまざまな異形を実施することができる。
【0092】
例えば、活動特定行為110において、活動特定の基礎となる決定基準は測定単位の差異
、または感知装置または観察対象の他の特有な特徴などセンサー出力の変動を考慮に入れ
るよう修正することができる。さらに、特長空間において中心部から離れたデータ・ポイ
ントをより正確に考慮に入れる非線形決定境界を用いるように決定基準を修正することが
できる。あるいは、携帯演算装置202のプロセッサー306(または動作データおよび/また
は動作データ特長を受信するよう構成されるコンピューター350におけるプロセッサー)
は動作データ特長を受信し予め処理された学習特長に基づきそれらに決定基準を適用する
よう最適化された学習ニューラル・ネットワーク判別器を実装することができる。さらに
、単純な判別器または学習ニューラル・ネットワーク判別器のいずれに適用されようと、
決定基準はある被験者に対して蓄積されたデータ履歴に基づき適応し、被験者特有の動作
の独自の特徴を適切に認識できるよう判別が長期的に調整されることができる。
【0093】
本明細書で開示された実施形態例は他の具体的な形で具現することができる。本明細書
で開示された実施形態例はすべての面で限定的ではなく例示的とみなされる。
【符号の説明】
【0094】
200…個人エリア・ネットワーク、202…携帯演算装置、204…センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作をある活動種類に対応するものとして判別する動作判別方法であって、
1つ以上の動作センサーを用い活動に結び付いた動作特徴を感知して第1セットのデータ
を生成するステップと、
前記第1セットのデータにおいて周期区間を識別するステップと、
前記区間に基づき前記活動を特定するステップとを有する動作判別方法。
【請求項2】
前記感知された動作特徴は人間の手足の動作特徴を含む請求項1に記載の動作判別方法

【請求項3】
前記人間の手足は足首である請求項2に記載の動作判別方法。
【請求項4】
前記1つ以上の動作センサーはジャイロセンサーを含む請求項1に記載の動作判別方法

【請求項5】
前記活動は、走り、歩き、ボート漕ぎ、サイクリング、および楕円ウォーキングのいず
れか1つを含むものであると特定される請求項1に記載の動作判別方法。
【請求項6】
前記1つ以上の動作センサーを用い前記活動に結び付いた動作特徴を感知して第2セッ
トのデータを生成するステップをさらに有し、
前記活動は前記第2セットのデータに基づき特定される請求項1に記載の動作判別方法

【請求項7】
前記第2セットのデータを生成するのに感知される前記動作特徴は、胴体および足首の
動作特徴の少なくとも1つを含む請求項6に記載の動作判別方法。
【請求項8】
前記1つ以上の動作センサーは加速計を含み、前記第2セットのデータは加速計を用い
て生成される請求項6に記載の動作判別方法。
【請求項9】
前記区間に基づき活動を特定するステップは、
前記区間中に動作センサーにより生成された動作データの特徴を計算するステップと、
前記特長を用いて前記活動を特定するステップとを含む請求項1に記載の動作判別方法。
【請求項10】
前記第1セットのデータは前記区間中に生成された前記動作データを含み、
前記動作データは角速度データを含み、
前記計算された特長は前記角速度データの絶対規模である請求項9に記載の動作判別方
法。
【請求項11】
前記区間は身体部分により行なわれる前方向の振り動作の連続発生間の区間であり、前
記活動の特定は前記前方向の振り動作の持続期間に一部基づく請求項9に記載の動作判別
方法。
【請求項12】
前記第1セットのデータは第1足首の角動作を特徴付ける角速度データを含み、
前記特長は周期持続期間中に生成された前記角速度データの少なくとも一部を用いて計
算される角速度特徴である請求項9に記載の動作判別方法。
【請求項13】
前記活動は角速度特徴が第1域値を超えるか否かに基づいて特定される請求項12に記
載の動作判別方法。
【請求項14】
前記1つ以上の動作センサーを用い、前記第1および第2足首の少なくとも1つの垂直
加速特徴を感知して前記足首の垂直加速データを生成するステップと、
前記区間中に生成された前記足首の垂直加速データの少なくとも一部を用いて足首の垂
直加速特徴を計算するステップとをさらに有し、
前記活動は前記角速度特徴および前記足首の垂直加速特徴に基づきボート漕ぎとして特
定される請求項12に記載の動作判別方法。
【請求項15】
前記1つ以上の動作センサーを用い身体の胴体部分の加速特徴を感知して胴体加速デー
タを生成するステップと、
前記区間中に生成された胴体加速データの少なくとも一部を用いて胴体加速測定を計算
するステップと、
前記区間中に生成された角速度データの少なくとも一部を用いて前方向振り比率特徴を
計算するステップであって、前記前方向振り比率の測定は前方向振り動作に対応する前記
区間の比率を示すステップとをさらに有し、
サイクリング活動は前記角速度特徴、前記胴体加速特徴、および前記前方向振り比率特
徴に基づき楕円ウォーキング活動から区別される請求項14に記載の動作判別方法。
【請求項16】
前記1つ以上の動作センサーを用い身体の胴体部分の加速特徴を感知して胴体加速デー
タを生成するステップと、
前記区間中に生成された胴体加速データの少なくとも一部を用いて第1胴体加速特徴を
計算するステップと、
前記区間中のある一時に生成された胴体加速データを用いて第2胴体加速特徴を計算す
るステップとをさらに有し、
歩き活動は前記角速度特徴ならびに前記第1および第2胴体加速特徴に基づき走り活動
から区別される請求項12に記載の動作判別方法。
【請求項17】
人間の動作をある活動に対応するものとして判別する方法を実施するコンピューター読
取り可能な命令を有する1つ以上のコンピューター読み取り可能な記憶媒体であって、
前記方法は、
1つ以上の動作センサーを用いて前記活動に結び付いた動作特徴を感知して第1セット
のデータを生成するステップと、
前記第1セットのデータにおいて周期区間を識別するステップと、
前記区間に基づき前記活動を特定するステップとを有するコンピューター読み取り可能
な記憶媒体。
【請求項18】
動作をある活動に対応するものとして判別する動作判別システムであって、
動作データを記憶するよう構成されるメモリーと、
被験者に装着された1つ以上の動作センサーを用い前記活動に結び付いた動作特徴を感
知して第1セットのデータを生成するステップと、前記動作データを前記メモリーに記憶
するステップと、前記第1セットのデータにおいて周期区間を識別するステップと、前記
区間に基づき前記活動を特定するステップとを実行するよう構成される処理回路と、を有
する動作判別システム。
【請求項19】
人間の被験者の体調を査定する体調査定方法であって、
被験者の所定の位置に装着された1つ以上のセンサーを用いて前記被験者の行なう活動
に結び付いた特徴を感知するステップと、
前記感知された特徴の少なくとも1つにおける周期パターンを識別するステップと、
前記感知された特徴および前記周期パターンに基づき活動を特定するステップと、
前記特定された活動に基づき前記被験者の体調を査定するステップとを有する体調査定
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6.A】
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【図6.B】
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【図6.C】
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【図6.D】
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【図6.E】
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【図7】
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【図8.A】
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【図8.B】
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【図8.C】
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【図8.D】
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