説明

動作時又は外部励起に応答して測定可能な信号を放出するシステムの信号を測定および検査する装置および方法

動作時に又は外部励起の効果に基づいて測定可能な信号を放出するシステムの信号を測定および評価する測定装置(1)である。この装置は、信号受信ユニット(2)および出力ユニット(5,6)を含む。受信ユニットによって捕らえられた時間依存の信号に対してフーリエ変換を実行し、フーリエ変換のパワー密度関数を計算し、パワー密度関数に対してa指数を有する冪関数をフィッティングし、得られたa指数を出力装置に送信する評価ユニット(3,4)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス計画、磨耗検査および品質検査の間に使用され、動作時に又は外部雑音源の効果に基づいて測定可能な信号を生成するシステムの雑音測定に応用可能な装置および手順に関する。
【背景技術】
【0002】
消耗検査は、予防的保守および動作寿命に関して非常に重要である。この問題は、かなり複雑で込み入っており、検査の種類に依存してその結果から与えられた機器の性質について結論を出さなければならず、他方で、複数の単体装置の動作データを用いて問題となっている種類の特性値を指定しなければならない。この問題は、現実には、単一の根源に遡ることができる。すなわち、用いられるシステムは、開かれており、多数の要素を介してその環境に接続されており、同時に、測定の間でさえ閉じたシステムと考えることができない。これらは、動作に対して不可欠な相互作用(これに対してシステムの効果が向けられている遡及効果)および環境の影響(例えば、温度、汚染、圧力、雨等の環境負荷)のほか、ユーザの習慣や条件(例えば、早朝の利用、通常の利用オーダ、通常の強度の効果、方向等)の理由によって、エネルギの観点から開かれたシステムを構成する(環境とのエネルギ交換であり、エネルギ入力(供給)、エネルギ取出し(有用な効果)、剥奪できない本質的特性を有する)。測定値は、これらの特性に依存し、ファジー論理の規則に従って処理されるべきであり、相互作用の多さのせいで、パラメトリック分布仮説(例えば、Kaplan−Meierのノン(セミ)パラメトリック・ライフタイム評価)を仮定することが不可能となる。
【0003】
動力学的効果および変化は、非常に単純な可逆的ケース(エネルギ的に閉じたシステムに関して)の場合にのみ雑音フリーである。これは、実際には、理論的理想化である。現実には、与えられた信号(測定されたもの、設定されたもの、使用されたもの等)の揺らぎとして雑音が常に存在する。(1974年オックスフォード、Clarendon Pressから出版されたRobinson FNH著「雑音および揺らぎ(Noise and Fluctuations)」および1958年John Wiley&Sons社から出版されたFreeman JJ著「雑音の理論(Principles of Noise)」)
【0004】
雑音/揺らぎの源は、開かれた動力学的システムの多面的相互作用、連続的エネルギおよびエントロピ/情報の交換と、単体のサブ・システムの相互依存性とを含み、実際の雑音スペクトルは、協調的に形成される(1965年ニューヨーク、McGraw Hillから出版されたReif F著「統計熱物理学(Statistical and Thermal Physics)」)。従って、望ましい効果には、あらゆる現実的ケースで動力学的システムの固有特徴を含む雑音/揺らぎのスペクトルが伴う。このように、雑音/揺らぎは、常に発生するが、与えられた検査に直接含まれないパラメータ、プロセス、動力学的振る舞い等の1つの出現の形である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常の磨耗検査および品質検査の過程で、システムの各要素は、いくつかのセンサを用いることによって別々に調べられ、その測定の間に人は、雑音を最小化又は排除しようとする。従って、これらの測定手順が目指すところは、雑音を排除して可能な限り最良の信号対雑音比を求め、与えられた部分的システムに関して可能な限り最も正確な情報を得ることである。
【0006】
雑音を排除するための基本的な仕方が2つある。
・すべての可能な相互作用を拾い上げ、変化の動力学を可能な限り制限し、静的状態としてのみ取り扱う(固定パラメータでのフィルタリング)。
・動力学的相互作用は、雑音源として受け入れられるが、それは、フィルタ機構(ロック・イン・タイプのフィルタ)を用いることによって、検査対象の「有用な」信号から分離される。
【0007】
開かれた散逸的システム(基本的に、自然発生的でない熱力学的変化を実現するすべての事象、例えば、熱機関、生物学的システム、電磁ラジエータ等)の場合、相互作用を固定しての雑音低減は、不可能である。これは、開かれた散逸的特徴が環境との間で有限な相互作用を仮定しているためである。このため、現実の不可逆的動力学的システムでは、第2の可能性のみを考える。すなわち、雑音を考慮しなければならず、せいぜい、選ばれた動力学的方法は、雑音を抑制し、可能な限り「有用な」信号を取り出す。
【0008】
しかし、雑音/揺らぎは、検査対象システムの相互作用(システムの内側および/又は外側)に関する情報を提供する。
【0009】
発明の概念は、雑音/揺らぎの中に動力学全体が含まれ、実際には、それらすべての動力学的変数が現れて、その相互作用が与えられた(望ましい/有用な)信号の生成に関与しているという認識に基づく。更に、雑音/揺らぎスペクトルは、システム内部の相関を説明する。従って、検査をシステム全体について実行することができ、システム動作をその雑音スペクトルから解析することができる。消耗および疲労プロセス(一般に、確率的変化を通して)から生じる障害は、雑音スペクトルに連続的な変化を与える。磨耗プロセスによる系統立った変化又は与えられた時点で発生する両立不能の問題は、第2の与えられた時点に回転を起こす。これは、それが再帰的に推論できることを意味する(マルコフ連鎖)。この再帰的振る舞いは、系統立った揺らぎを発生させ、それをシステムの汎用的特性とする。与えられた時点におけるシステム特性が前の瞬間のみに依存する場合、システムの揺らぎ行動は、ブラウン運動のパラメータおよびブラウン雑音で最も良く説明できる。しかし、システムの複雑さがシステム内部で長距離の相関を定義するときは、雑音(システム特性として)は、他の色雑音、理想的な場合、ピンク雑音により似ており、1/f関数で記述できる。従って、雑音スペクトルの仮説は、消耗(疲労等)のプロセスの予測を可能とする。再帰的進展の「単位」として考えられる時間長は、与えられたシステムの特性周波数によって決まる。与えられた種類の検査において、システムの特性周波数と同じオーダのユニット周波数を選ぶことを推奨するが、強制ではない。
【0010】
本発明の目的は、それを用いて複雑なシステムの動力学全体に関する情報を入手し、プロセス計画や品質検査に利用できる装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明に従えば、プロセス計画、磨耗検査および品質検査の過程で利用し、また動作時に又は外部雑音源の効果に基づいて測定可能な信号を生成するシステムの雑音測定に適用可能な装置を提供する。この装置は、
・信号を受信し、必要であれば、電気信号に変換する測定ユニットを含み、
・非定常的な信号のフーリエ変換を実行する処理ユニットを含み、
・フーリエ変換を解析する。
【0012】
更に、本発明は、プロセス計画、消耗検査および品質検査のために利用することを意図された、動作時に又は外部雑音源の効果に基づいて測定可能な信号を生成するシステムの雑音測定に役立つ方法に関する。その過程で、
・連続して現れる信号を測定ユニットによって時間とともに測定し、
・次に、フーリエ変換を生成し、
・フーリエ変換の値を周波数の関数として解析する。
【0013】
発明に従う装置および方法のその他の有利な実施の形態は、独立項に述べられている。
【0014】
雑音測定は、システムの雑音/揺らぎの測定であるが、出力信号に雑音フィルタを実施することなくシステムの出力信号を測定することと理解すべきである点に注目する。すなわち、測定信号は、有用な信号(特定のケースでは、特性周波数を含む)と、その上に重畳された雑音とを含む。容易に示すことができるように、有用な信号(又は場合によっては、特性周波数)は、信号のフーリエ変換にわずかな重みを付けて現れる。これは、理想的なケースでは、周期的信号がフーリエ空間の単一のポイントにマッピングされるからである。明らかなように、実際には、信号全体のうち雑音部分のみが検査時に解析される。このことから、本発明の方法を「雑音測定」と呼んでいる。
【0015】
本発明の文脈のなかで、与えられたプロセスの雑音測定とは、電気的、機械的又はその他測定可能な信号のうちのいずれかの時間変化を測定することを意味する。発明の概念は、既知の解決策と異なり、雑音をフィルタで除去しない。それどころか、雑音自体が信号の価値ある部分を提供するという点にある。すなわち、任意の物理的パラメータに関して測定可能な雑音のスペクトル(すなわち、雑音信号のフーリエ変換)が典型的な集合的特性を示すことに気づいた。これは、周波数に対して冪関数的に依存する。冪関数の指数を測定する。これは、システムの動力学に対して典型的な不変量とみなすことができ、これを利用してシステム動力学を観測する。従って、この測定値は、単なる雑音(個々の周波数の観測からの情報)に関するものでなく、システム全体(周波数スペクトル全体の特徴)に関する特性のパラメータとして役立つ。そのため、これは、システムの動力学中に発生する変化を感度良く特徴付けることができる。従って、このパラメータのモニタリングは、システムの実際の状態を単一の不変量および積分パラメータに組み入れることによって、複雑なシステムのマルチ・センサ観測に置き換わる。従って、このパラメータは、次のことに対して技術的に適している。
・適正に動作するシステムに関して予め決められたパラメータを使用することによって、システムの完全さの状態を観測することができる。
・マルチ・センサ観測の複雑なシステムを置き換えることができる(同時に、障害箇所を指定するために、ローカル・センサを使用しなければならないが、発明の従う本件のプロセスを使用することなく、より集積化された測定グループの形で使用する)。
・可能性のある障害を示す傾向を予測することができる。
・システムの疲労困憊(寿命)の傾向を観測することができる。
・開発段階において、指数を使用することによって、どの範囲まで均一な動力学的負荷が保証されるかを測定することができる。
・「例外性」、突然発生する変化、使用故障および無許可使用(例えば、動作故障に至らないにしても資格のない人間が介在して不変量を修正すること、例えば、車の手動変速ギアボックス)を調査することができる。
・一般的更新およびグレード・アップの過程において、制御および文書化の目的、更新又はアップ・グレードの効率を実証するために回転の傾向を測定することができる。これは、固有の両立不能性の問題をスクリーニングおよび取り除く効率的な方法でもある。
【0016】
能動的スクリーニングを検査対象システムに適用することによって、故障およびエラーがより正確および具体的に検出できるようになる。故障の源および共鳴点の場所が突き止められて取り除かれる。発明のこれ以上の詳細は、添付図面を参照しながら、以下の実施の形態から明らかになる。
【実施例】
【0017】
図1は、発明による雑音測定装置(1)の1つの実施の形態のブロック図である。装置(1)の入力には、測定ユニット(2)がある。最も単純な解決策は、雑音測定を電圧の測定まで遡るものであるため、測定ユニット(2)は、通常は、電圧測定ユニットとして機能し、与えられたケースでは、非電圧信号(例えば、機械的振動)を電圧信号に変換する変換ユニットを備えている。測定ユニット(2)の測定範囲は、検査される実際の機器の動作範囲によって決まり、他方、精度は、実際の雑音のタイプに依存する。測定ユニット(2)は、高速フーリエ・アナライザ(3)に接続される。実験室環境では、測定ユニット(2)としてオシロスコープやスペクトル・アナライザを利用できる。これら後者のものは、内蔵されたFFT関数を有することができ、その場合には、システム中に内蔵式アナライザ(3)を有する必要がない。
【0018】
アナライザ(3)の出力は、データ処理機器、好ましくは、雑音測定結果を評価するソフトウエアをインストールされたコンピュータ(4)に接続される。表示ユニット(5)(例えば、モニタ)又はアクチュエータ・ユニット(6)をコンピュータ(4)に接続することができ、後者は、評価結果に依存してシステム動作に反応し、制御ユニットして機能する。調整活動は、オフ・ライン(結果が表示されたあとで、人間が介在する)とすることができるが、測定されたパラメータに基づいてオン・ライン又は実時間のアクチュエータ・ユニット(6)を使用することが有利である。表示ユニット(5)およびアクチュエータ・ユニット(6)は、両方とも省略可能であるが、出力ユニットとみなすことのできる要素は、必要である。でなければ、α指数を測定する意味がなくなる。従って、結果のα値は、適当な出力ユニットを介してオペレータ又は修理員に送信すべきである。例えば、α値は、表示ユニット(5)を通して表示することができ、他の場合には、出力手段は、例えば、インターネット・ポートのような電気通信装置でよく、情報を遠隔ユーザのコンピュータに送信する。別のオプションは、出力ユニットが被検査システムの自動制御を実行するというものである。例えば、回転式コンデンサの位置は、後に明らかになるようにアクチュエータ・ユニット(6)を使用することによって調節できる。
【0019】
測定装置(1)のアナライザ(3)およびコンピュータ(4)は、1つの要素に統合できる。例えば、アナライザ(3)をコンピュータ(4)のソフトウエア部とすることができ、更に雑音測定の結果を評価するソフトウエアの一部とすることができる。測定装置(1)としてコンピュータを使用する代わりに、A/Dコンバータを有する「ワン・チップPC」に統合化でき、アナライザ(3)の機能も実行し、測定ユニット(2)によって送信される信号を受信および評価し、α指数を計算するように適応させることができる。
【0020】
雑音測定ユニット(1)は、独立した電源ユニット(7)を有することができ、不可欠ではないが、特定の測定の場合に有利である。
【0021】
一般的な応用で、システムの特定の部分に現れる信号をシステムに接続された測定ユニット(2)を用いて測定する(特定の場合には、このユニットがシステムの信号を電圧信号に変換する)。アナライザ(3)は、時間依存信号h(t)を測定し、高速フーリエ変換を適用することによってフーリエ空間に変換する。すなわち、h(f)周波数依存の離散値をコンピュータ(4)に送信する。(もちろん、高速フーリエ変換は、唯一可能な解決策だけでなく、この方法は、実時間評価の実現に適している。)信号処理ソフトウエアは、周波数依存のh(f)フーリエ変換された雑音値の二乗を取り、等価周波数帯域幅Δfによって除する。これは、単なる周波数窓の幅であるが、これを用いることによって高速フーリエ変換を実行できる。従って、次を得る。
【0022】
[数1]
S(f)=|h(f)・h(f)/Δf
パワー密度関数
【0023】
先に指摘したように、この観察に従えば、S(f)パワー密度は、S(f)〜fα冪関数に従って周波数に依存し、その指数は、被検査システムの集合的動力学的振る舞いを特徴付けるのに適している。システム構築が理想的であれば、相関距離は、無限に広がり、その場合に雑音スペクトルは、調和的S(f)〜1/f、すなわちα=−1となる。また、最適に動作する装置の場合、αの値は、一定で、実際に動作条件に依存しないことを見出した。従って、プロセス計画、磨耗および品質検査の過程で、2つの観点から検査しなければならない。すなわち、αの値がどれだけ理想的な(−1)の値に近いか、そして動作条件を修正したとき、これがどのように変化するかの2点である。
【0024】
発明による装置および方法の動作を例示するために、例示的システムに対して実施された雑音測定の結果を示す。
【0025】
(例1)
発明による装置(1)を使用することによって、高性能で、制御された無線周波数(RF)増幅ユニット(8)の雑音を測定した。これは、図2の模式図で見ることができる。増幅ユニット(8)は、13.56MHzで動作する水晶式プリアンプ(9)および雑音抑制性能の高い(最低60dB)RF増幅器を接続されて含み、これら両者には、制御された電源ユニット(11)から電源が供給されている。外部負荷(12)とRF増幅器(10)との間には、50オームの整合装置(13)が挿入される。雑音測定のために、装置(1)を負荷(12)と整合装置(13)との間に置き、測定ユニット(2)(この場合、これは、電圧測定ユニットであった)を使用することによって、現れる信号の測定を実行した。
【0026】
図3で、上記のS(f)関数の対数が周波数の対数の関数として示され、得られた測定点上に直線(線形関数)をフィットさせた。この場合の指数αは、−0.8208に等しく、フィッティング精度は、0.5983である。注目すべき点は、最大値が13.56MHzの一次周波数、すなわち、プリアンプ(9)の動作周波数に対応することである。被検査システム(この場合、8で示された増幅器)の特性周波数および動作周波数は、常に測定値結果に存在するが、この範囲に含まれる点の数は、最良フィット・ラインのベースを構成する点と比べて比較的少なく、従って、直線のフィッティングは、正当化され、妥当なものと考えられる。問題の指数を正確に計算するために、あらゆる場合にいくつかの測定の平均を取る。
【0027】
(例2)
この実験の過程で、第1の例で説明した増幅ユニット(8)の指数αについて、異なる動作条件下で、保守の前後に検査を行った。測定結果は、図4に要約してある。EG1、EG2、EG3は、純粋な抵抗性負荷で出力パワーが50W、100W、150Wの場合に得られた結果を示す。複素負荷に対して得られた同じα値がEB1、EB2、EB3で示されている。グラフのすべての点は、5回の測定結果を平均して計算されたものであり、平均からの偏差値は、縦方向の故障間隔で示される。測定当たり1024個の点を採用し、この点の組にフィッティングを行ったあとで、αの表示値を得た。
【0028】
知られているように、増幅ユニット(8)の動作は、外部条件から独立してαの値が一定で、(−1)に近いことから、保守のあと最適なものとなったと見なすことができる。逆に、サービスを待つ増幅器(8)のアルファ値は、負荷の大きさおよびタイプ(オーミック又は複素)に依存して大きく変化する。
【0029】
得られたグラフは、本発明による雑音測定を利用することによって正しく動作しない装置およびシステムが予め排除できることがうまく説明される。
【0030】
(例3)
この例で、図5に模式的に示されたペルチエ水冷装置(14)を、本発明による測定装置(1)を用いて検査した。水冷装置(14)には、循環式水ポンプ(15)およびペルチエ・バッテリおよびベンチレータを含む熱交換器(16)が装備されている。冷却すべき目的物(17)および内部測定ユニット(18)は、水ポンプ(15)および、例えば、水流量測定器を含む熱交換器(16)と直列に接続される。雑音測定ユニット(1)を電源ユニット(19)に接続し、システム中に現れる信号として水冷装置(14)によって消費される電力を測定した。
【0031】
測定の過程で、意図的に水冷装置(14)の1又は複数の部品を停止させて、指数αおよび消費電力の変化を観測した。後者のものは、S(f)関数(S(f)=Afα)に現れる正規化因子Aの変化を観測することによって得られる。測定の結果は、図7のグラフ上に示されている。ここで、注釈は、次の意味である。
G:故障のない動作の水冷装置(14)
NV:ベンチレータに不十分な点がある動作
NP:ペルチエ・バッテリの動作が不十分
NW:水循環ポンプの不十分な動作
+:上のケースの任意の組合せ
【0032】
図6に示された例は、αに関する測定結果を示す。グラフの軸は、対数スケールで、従って、フィッティングは、冪関数上で実行された。この場合、特性周波数は、存在しないが、制御エレクトロニクス、循環およびその他の技術的な解決策により、いくつかの突出した周波数を観測する。
【0033】
図7は、異なる動作条件下における水冷装置(14)の測定値を示す。グラフ脇の欄は、各条件に対するαおよびAの数値を列挙する。測定当たり1024個の点を採用し、この点の組に対してフィッティングを実施したあとで、αおよびAの値を得た。図7のすべての点は、5回の測定結果を平均して計算され、平均からの偏差値は、縦方向のエラー・バーで示されている。
【0034】
指数αの変化を観測することによって、水冷装置(14)の動作に関して徐々に悪化する問題がある場合に、αの値は、値(−1)から遠ざかり、また故障のない動作の値(−0.537)から遠ざかると言うことができる。同時に、値Aの減少を観測する。これは、消費電力の減少を意味し、装置の動作が益々非効率的になっていることを示している。
【0035】
FFT(高速フーリエ変換)又はその他のデジタル・フーリエ変換の間に用いられるサンプル周波数は、本発明の雑音測定に関しては、無関心でいられない。すなわち、フーリエ変換を実行するために被検査システムによって生成される測定信号の値を取り出す周波数について考慮しないわけには、いかない。例1に示された13.56MHzで動作する増幅ユニット(8)の場合について、α指数の周波数依存性を調べた。結果は、図8に示されている。デジタル化周波数は、対数スケールで表されている。更に相関値のグラフも示した。デジタル化周波数が本質的に13.56MHzよりも小さい場合、相関も小さく、非常に劣ったα値を得ることが明らかである。その理由は、増幅ユニット(8)の周波数に比べてサンプリング・レートが余りに小さいため、すべてのサンプル値がほぼ同じ位相から出発することが可能になり、同時に、測定信号の他の位相に対応する値が無視されるということである。10MHz以上になると、α値も相関も安定することが分かる。10MHzのサンプリング・レートが満足できる結果を与えることを見出した。
【0036】
当然ながら、同じことが離散的な測定ユニット(2)にも当て嵌まるが、その場合、測定ユニット(2)自体の周波数も考慮しなければならない。
【0037】
図9は、異なる条件の増幅ユニット(8)に関するα指数および相関値を示す。α値は、棒グラフとして示され、計算値は、左側の軸から読み取ることができる。相関値は、つながれており、各増幅ユニット(8)に対応する値は、右側の軸から読み取ることができる。FFTは、10MHzのサンプル・レートで実行された。左側のバーと点は、正しく動作する増幅ユニット(8)のαおよび相関値に対応する。人は、αが(−1)に近く、相関が約1であることに気づくかもしれない。その他の2つのバーは、2つの異なり、未調整増幅ユニット(8)についての雑音測定結果を示す。中央に示された第1の増幅ユニット(8)は、正しく動作する増幅ユニット(8)のそれよりわずかに小さい相関値を有する。右側に示された第2の増幅ユニット(8)の相関は、ずっと小さい相関値を有する。同調されていない各増幅ユニット(8)に関するα指数は、同調した増幅ユニット(8)と比べて小さい。
【0038】
本発明による測定装置(1)の可能な応用の1つは、監視すべきシステムに(例えば、上述の応用に)それを統合するものである。連続した測定および評価を実現することで、システムの老朽化プロセスを追跡することができる。消耗の程度は、αの変化から観察でき、システムが老朽化するにつれて、αの値は、システムの初期に得られた基準値から遠ざかる方向に変化する。実験的に、システムの検査および保守を推奨すべきα値を指定することができる。αの経時変化を観察することによって、破壊や磨耗を示す傾向を決定できる。α(t)曲線に基づいて、サービス/保守が必要とされる日付を予測できる。傾向的な変化と比べて急激な大きな変化、すなわち、関数が飛躍的な不連続を有することがα(t)に観測されたとき、特別な故障を示し、一般的に通常の経年変化に関与するものでなく、直ちにサービスを必要とするものである。
【0039】
無許可又は専門外の使用や改ざんの詳細に関しても連続した測定が必要である。システムの異常な動作は、α(t)曲線の急激な変化から見ることができ、永久的な損傷を蒙らなければ、αの値は、システムの適正動作を回復することによって、その元の値(又はそれに近い値)に復帰する。
【0040】
上述の雑音測定の助けによって、急激なシステムの変化を感知することができ、不正な使用や急激で予測できない動作状態の変化を検出することが可能になる。当然ながら、急に発生し、履歴(例えば、非稼働、急な衝突、予期しない事象、操作ミス因子等による)を持たない任意の回転は、本発明によってトレース・バックできない。しかし、そのような急なエラーは、正常時の規定されたシステム動作と異なる他の因子による場合が多く(すなわち、システムの動力学動作において正式な役目を持たない新しい効果によるものであり)、このことから、無許可、未訓練、専門外の不法な使用を検出することができる。あるいは、そのような動作エラーは、システムを不適格なやり方で使用したり、専門外に動作条件を変更したりするときに、その操作する人間によって引き起こされる。この方法は、動力学的パラメータのいずれかが変更されて、雑音スペクトルに痕跡が残される場合は、改ざん(システムを無許可で技術的に検査すること)や無許可での再インストールを検出することを可能にする。従って、急激な変化を伴う雑音スペクトルを伴うエラーや適正な雑音履歴を伴わないエラーは、一般に操作ミス/環境による/不可抗力な状況を示す。これらは、雑音スペクトルを観察し、連続して制御する(例えば、コンピュータを用いて雑音スペクトルを定期的に収集する)ことによって除去できる。
【0041】
設計・開発プロセスにおいて雑音測定装置(1)を使用するとき、確立された複雑なシステムの平衡状態の程度を判定することができる。動力学的な部分活動や構造的要素のいずれかが不可欠な冗長度のみを持って平衡状態で動作するシステムの理想的な場合よりも高い優先度を持ってユニット動作に参加するとき、雑音スペクトルは、調和的な1/fから徐々に離れてゆき、同じことがαの値に関しても期待される(−1)と言える。α値を連続的又は間欠的に測定することによって、本発明によるプロセスは、計画の最適化を可能にする。
【0042】
開発から離れても本発明の雑音測定は、最終的な機器又はシステムの評価およびインストールの手助けとなる。インストール又は再インストールの間に、αパラメータを決定することは、最終的なアセンブリの検査にとって適したものである。α値が(−1)に十分近いとき、あるいは、αが予め定められた値に達しているときは、理想と見なすことのできるシステムを完成したことを意味する。従って、構成要素をチェックするまでもなく、システム全体の正しい総合的機能を確信できる。
【0043】
特定のケースでは、測定装置(1)は、遠隔制御可能であり、アクチュエータ・ユニット(6)を用いてシステムと相互作用できる。一般に、すべてのシステムは、校正パラメータを持ち、動作中に発生する変化によってリセットされなければならない。例えば、例1で、増幅ユニット(8)は、50オームの抵抗に調整される。これは、回転式コンデンサおよび/又はポテンショメータの位置を調節することで実現される。しかし、使用中に、増幅ユニット(8)を異なる負荷に調整したり、調整し直したりする(例えば、経年変化によって)必要が生じる可能性がある。アクチュエータ・ユニット(6)は、回転式コンデンサやポテンショメータを調節するのに適している。回転式コンデンサおよびポテンショメータの異なる位置において本発明の雑音測定を実行することによって、アクチュエータ・ユニット(6)を介して増幅ユニット(8)が自動的に調整されるこの方法によって最適なα値を確立できる。この調整方法は、遠隔制御又は事前プログラミング可能で、手順は、完全に自動化可能である。
【0044】
別の可能な応用は、更新、改善、グレード・アップ活動の制御である。高い値のおよび/又は制限された場所/ビル/インフラストラクチャの機器を変更する代わりに、通常、更新/グレード・アップされる。同様に、グレード・アップは、より小型の最新式装置の場合でも電子的およびハイテク開発で本質的に必須とされる。これは、急速な開発速度によって支配されるペースに追いつこうとして装置を変更することは、むしろ高くつくからである。しかし、更新やグレード・アップで構築されるモジュール/コンポネント/器具は、置換しようとする部品よりも新しく、本質的に優れた特性を持ち、元の部品以外の技術によって製造された置換部品が組み込まれるべきであることを意味する。そのような置換の場合、部品の互換性が大きなリスクとなる。新しい部品は、その形状に関して互換性を持ち、直接接続されるインタフェースと互換であるが、動作中に本質的な損傷が発生した後になって何らかの隠れた両立不能の問題が現れる可能性もある。これは、深刻な問題で、相互接続されるモジュールから構成される最新の電気機器の広がりとともに増大しつつあり、遠隔サービス技術の発生および互換性のあるモジュール構造の要求を伴う。発明の雑音測定は、そのような複雑なシステムの制御を可能とし、適正な互換性が保証される。αパラメータを測定することによって、隠れた両立不能の問題を検出し、直ちに修正することが可能である。このことは、互換性のチェックを行わなければシステムの利用が完全に阻止されるモジュール機器(例えば、コンピュータおよび周辺機器)の場合に特に重要である。
【0045】
ここに提示した例は、システムの内部雑音を検査した。すなわち、受動的雑音測定が行われた。しかし、受動的雑音測定の強度が適当でない場合もあり(特に、極端に高い雑音抑制の下で動作するシステムに関して)、その場合、能動的雑音源を使用することによってシステムを「スクリーン」することを行う。これは、システムに対して外部の雑音源を接続して、追加された雑音のスペクトルに関連して発生する変化を雑音測定ユニット(1)によってモニタする。システムが十分複雑でなく、循環的変数を有すれば、白色雑音に応答するフィルタとして機能し、特殊なサンプル検査応答でシステムの適正さ又は動作障害を表示することができる。(雑誌:Electro− and Magnetobiologyの第20巻(2001年)の215−229ページに掲載されたP.Szendro、G.Vincze、A.Szasz著論文「白色雑音に対するバイオ応答」を参照。)上で説明したことと同様に、雑音スペクトルから故障又は故障に近い状態を検出することができる。
【0046】
本発明による測定装置(1)は、動作時に又は外部雑音源の効果に基づいて測定可能な信号を放出する任意の種類のシステムを実際の検査するために利用できる。上述の例は、増幅ユニット(8)および水冷装置(14)によって生成された電圧信号を測定した。フーリエ変換を施し、パワー密度関数を計算し、冪関数をフィッティングし、アルファ指数を決定した。もっと簡単に言えば、冪関数の対数に対して線形関数をフィッティングして、勾配としてα指数を得た。
【0047】
電気器具の場合、本発明による方法を使用して、パワー入力又は出力を測定しそれを検査するのが実際的である。しかし、実際の応用によっては、検査の目的に関してより関連の深い情報を他の信号が運んでいる場合もある。
【0048】
一般的に言えることは、システム全体を最も良く説明する信号(例えば、冷却装置の電力消費)又は新しい部品の導入又は導入可能性によって最も影響を受ける信号(例えば、開発、グレード・アップ又は部品交換中の検査)を優先的に測定すべきであるということである。
【0049】
(例)
PCB(プリント回路基板)からコンピュータをグレード・アップしようとするし、計画したグレード・アップがコンピュータの動作を改善するか劣化させるかを推測しようとする。
【0050】
(1)より電力消費の大きい家庭用電化製品への変更。第1に、オリジナル製品について、測定装置(1)で電力消費を調べる。これは、水冷装置(14)の例で述べたように入力パワーを測定し、システムに特有なα値を計算することを意味する。次に、オリジナル製品を新しいもので置き換え、測定装置(1)を介して新しいα値を求める。オリジナル製品と新しい製品とについて得られたα値を比較して、製品を交換する価値があるかどうかを判断する。新しいα値が前のαよりも(−1)により近ければ、コンピュータの総合的機能は、改善され、逆の場合は、もう一度別の製品で試してみることを勧める。
【0051】
(2)新しいビデオ・カードでコンピュータをグレード・アップすること。ビデオ・カードは、電力消費に本質的な影響を及ぼさないため、これからビデオ・カードの効果を判断することは、困難である。他方、ビデオ・カードをインストールすれば、クロック信号は、測定可能な変化を示す。従って、本発明の装置(1)でクロック信号を測定するのがより有利である。ビデオ・カードの在る場合と無い場合とでα値を比較し、コンピュータの動作がどう変化するかを知ることができる。
【0052】
(3)デザイン・開発段階で、コンピュータに既に組み上げられた部品と最もうまく協調するビデオ・カードを見つけようとする。いくつかの異なるビデオ・カードについて上述の方法でα値を測定し、(−1)あるいは、実験的に予め定められた理想値に最も近いα値を与えるものを選んで組み込む。
【0053】
非電気的システムの場合、機械的又はその他の種類の信号を電圧信号に変換することが有利である。例えば、機械的信号の場合、既知のタイプのピエゾ結晶手段又はストロボ信号変換器を用いるか、あるいは、機械的移動に付随するその他の効果を測定する(例えば、ゲート検査、クリープ又は位置ずれ検査)。
【0054】
例えば、ベアリング(内歯、円錐、ボールおよびソケット等)を検査するとき、既知の技術を用いて特性周波数を決定しようとする。すなわち、ベアリング中のクラックを意味するスペクトル中の突出した周波数を検出しようとする。既知の方法と異なり、本発明の雑音測定は、単一のパラメータを計算することによってベアリング状態に関して包括的洞察を可能とする。すなわち、非常に高速で、容易に自動化できる測定および解析を意味する。ベアリング検査のために設計された任意の既知の手段を用いて測定ユニット(2)とすることができる。
【0055】
ここで更に別の応用の可能性について説明する。これは、上で述べた前記情報と組み合わせれば、当業者によって容易に実現可能である。
【0056】
例2は、サービスを要する増幅ユニット(8)のαパラメータが外部条件(すなわち、出力に印加された負荷)に強く依存する一方で、保守後には、最適動作をする増幅ユニット(8)は、外部条件に依存しない安定したα値を有することを見出した。この現象は、本発明の雑音測定を適用できる任意の製品に関して活用できる。例えば、大量生産の場合、α値の安定性を測定することによって不良品を良品から容易に篩い分けることができる。
【0057】
本発明による雑音測定および雑音測定装置(1)は、また、例えば、地震、台風、地すべり等の自然災害後の建物の健全性監視にも適している。健全性監視は、既知の健康モニタの場合のように、例えば、既知の振動マシンを介して人工的な衝撃を供給し、構造物の振動を測定することによって実行されよう。既知の検査と異なり、突出した信号(特性周波数)を検出しようとしない。その代わり、α値に起こる何らかの変化を監視して、そこから建築物の構造にもたらされた損傷の程度を判断する。この目的のために、予め初期の測定結果を収集しておくべきである。そのような基準となる測定は、建築物をオープンする前に実行しておくことが望ましい。
【0058】
健康モニタは、実際には、すべての種類の機器に必要となる。一例として、入力パワーの雑音を測定することが水冷装置(14)の場合と同様、機器の健康状態を予測するのに利用できることについて説明する。そのような機器としては、ハード・ディスク・ドライブ、PC、DCファン、TMP(ターボ分子ポンプ)、RP(ロータリ・ポンプ)等がある。電気回路基板素子の場合は、電流や電圧信号の雑音を測定することが通常、推奨される。そのようなケースとしてLSIテスタがある。これは、回路表面に何らかの汚染物が付着している場合、電子テスタによって評価することができない。
【0059】
本発明による雑音測定および雑音測定装置(1)は、生体系の検査にも使用できる。長距離の相関に関する上述の原理は、複雑な生体系(人間や動物の体など)に対しても、電気、機械又はその他の種類の非生体系と同じように適用できる。生体系は、上で述べたシステムと同じように、生体系全体に関する包括的情報を運ぶいくつかの異なる信号(例えば、生理学的信号)とそのような信号の雑音(すなわち、揺らぎ)を放射できる。
【0060】
ここでいくつかの簡単な例について説明する。これから、本発明による方法又は装置の医学的又は診断的応用の更なる可能性が当業者に明らかとなる。
【0061】
(例)
ECGによる人間/獣医学健康モニタ
この場合、生体系は、人間(又は動物)の身体であり、出力信号は、心拍であり、ECG(心電計)によって既知の方法で測定できる。ECG装置は、測定信号を抽出するか、デジタル形式で、例えば、コンピュータに送信する。すべての場合に、測定信号は、容易に取り出すことのできる電圧信号に変換される。この電気信号は、本発明の測定装置(1)の入力に送られ、後者は、測定ユニット(2)又はフーリエ変換を実行するフーリエ・アナライザ(3)でよい。入力信号は、次にアナライザ(3)によってフーリエ変換され、その後、対数スケールに表した測定点に対して線形関数をフィッティングすることによってα値を得る。本発明の雑音測定を定期的に繰り返すことによって、α値の変化から患者の一般的な健康状態が改善しているか、悪化しているかを判断できる。α値が(−1)に近づく方向に動けば、健康状態は、改善している。αが遠ざかれば、悪化している。本発明の雑音測定は、生体系全体としての患者の情報を提供するので、ECG信号情報に対して実行される雑音測定を通して、心臓の動作のみでなく、他の方法でまだ認識できない内部変化の効果も検出できることを強調しておかなければならない。例えば、患者のα値に大きな悪化を検出した場合、α値の悪化が進行中の病気を予知することがあるので、病状の訴えがなくても一般的な健康診断を勧告することができる。同様に、慢性疾患の治療中に、規則的な雑音測定を行えば、改善の兆しが見える前に治療が有効であるかどうかを判断する手助けとなる。
【0062】
以前に述べたことと同様、α値の変化を監視する代わりにαの安定性を調べることができる。ECG測定は、α値における外部条件の依存性の範囲を見るために異なる条件(静止時のECG、運動時のECG)で実行することができる。増幅ユニット(8)の場合に示したように、うまく動作するシステムのα値は、外部負荷や条件に依存しない。すなわち、ほぼ一定である。24時間ECG監視装置(ホルタ・モニタ)というものがある。これは、被験者に一日中装着される。既知の検査の場合、被験者は、一日の彼らの活動を記帳することが求められる。これは、測定されたECGが特定の活動に対して正常であるかどうかを判断することが必要とされるためである。得られたECGは、その人間の日記に照らして解析する必要がある。これは、時間の掛かる、しばしば不必要な作業である。この代わりに、本発明に従う雑音測定装置(1)の上述のワン・チップPC実施の形態に24時間ECG監視装置を採用できる。これは、与えられた規則性でα値を計算することができる。ECG結果を評価する人は、次にα値を一瞥し、α値がほとんど一定であることが分かれば、ECG結果を更に精査することなく、被験者の良好な健康状態が確認される。
【0063】
ECGを利用する代わりに、人間又は動物によって生成される任意の信号を検査することもできる。ホルタ・モニタ装置は、また血圧測定のために使用することもできるが、胃酸又は尿も同様に検査できる。多様な生体/生理学的信号を測定して電圧信号に変換するために当業者が使用できる医療診断装置は、多い。例えば、呼吸や脈拍の雑音解析を行うことが可能である。
【0064】
広範囲の可能な検査が利用できる。例えば、脳細胞の活動や内臓又はその他の活動の測定結果を解析することが可能である。例えば、脳細胞に近赤外光を照射して、測定される反射光信号は、脳活動の検査に適している。(−1)から大幅に離れたα値は、病気の脳活動を示す。
【0065】
しかし、全く異なる種類の「信号」も同様に測定できる。高齢者の場合に介護の欠如による快適さの割合(空腹、用事等)のようなものも本発明の雑音測定の基礎を形成できる。既知の測定には、ウォーキング中の歩幅および速度の測定も含まれ、その雑音もα指数を提供できる。
【0066】
(例)
特殊な応用、例えば、自動車ドライバの運転中の健康状態の監視なども可能である。この場合にも24時間ECG監視装置を使用できるが、もっと擾乱の少ない測定も可能である。例えば、雑音スペクトルとして、虹彩のすべての運動を記録するカメラによってドライバの眼球運動を検出することが可能である。そのような装置が利用可能であり、当業者によれば装置の電気信号を本発明によって評価できるように容易に改造することができる。得られたα値を用いて、ドライバが疲れているかどうかを判断することができる。適切な個人の校正を行って、閾値αを決定することができる。その値に到達することは、それ以上の警告レベルが不適当であり、ドライバが停止して休憩を取るべきであることを意味する。
【0067】
手/脚/身体の筋肉活動信号を測定することによって疲労を検出することもできる。この測定は、当業者に既知であり、解析も同様に可能である。疲労を測定する効率的な方法は、ドライバを刺激して反応活動を起こさせ、応答を調べるものである。刺激は、人工的なもの(与えられたサインに従うように行動を制約する)でも、自然的なもの(カーブする道路での運動順序)でもよい。雑音測定は、反応の検査を含む。
【0068】
同様な方法は、動いている生命体の疲労/病気/年齢を決定するために適用できる。その中には、高解像度のビデオ録画の予め選ばれた詳細に基づいて実行される雑音測定の方法が含まれる。
【0069】
ドライバの外部刺激に対する反応を調べるケースと同じように、人間や動物の反応および反応の緩和が他の分野でも調べられる。この種の生理学的信号の測定と、その電気信号への変換もまた、当業者に既知であり、従って、本発明の雑音測定を得られた信号に対して実行できる。生理学的測定の代わりに、PHやその他の化学的測定も適しており、その雑音を上述のように調べることができる。
【0070】
一般に言えることであるが、実際にあらゆる種類のシステムについて可能な測定が、今日センサを有する装置を用いて実行されており、すべての出来事(それは、機械的なものでも、化学的なものでも、生体的なものでも、宇宙的なものでも、電磁気的なものでも、核物理的なものでも、その他でもよい)を記録し、それらを電気信号に変換している。装置は、そのような電気信号を解析するように指示される。並列的な入力情報のケースでは、特定の検討事項に従って分類され、解析され、記録され、それに従って表示される(例えば、ビデオ録画)。本発明による測定装置(1)は、既に電気信号が手元にあるとき、最も都合よく利用される。測定信号を電気信号に変換する特定の電気器具は、応用に依存し、ここでの説明から当業者に明らかである。当業者は、適当な電気器具を選ぶことができ、必要なら軽微な修正を行って、電気信号を取り出し、本発明の測定装置(1)に導く。測定のために使用される電気器具が出力を有すること、すなわち、情報をそれ以降の処理のために電気的な形で送信することが可能であることは、重要である。本発明による測定装置(1)の実施の形態群は、修正された既知の装置手段を採用し、測定手段の電気信号をフーリエ変換(上記のように、これは、コンピュータ(4)又は任意の他のデジタル信号処理ユニットに採用することができる)を実行するアナライザ(3)に送信するようにする。この場合、修正された測定手段は、測定ユニット(2)を置き換えることができるが、特定のケースでは、電気信号を受信するためのユニットを用いて測定手段をアナライザ(3)に接続するか、あるいは、特定のケースでは、測定ユニット(2)がこの関数を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】発明による雑音測定ユニットの1つの実施の形態のブロック図。
【図2】検査された無線周波数増幅器のブロック図。
【図3】無線周波数増幅器に対して実施された雑音測定の結果を示す図。
【図4】異なる条件下で2つの無線周波数増幅器に対して実施された雑音測定の結果を示す図。
【図5】検査された冷水装置のブロック図。
【図6】冷水装置に対して実施された雑音測定の結果を示す図。
【図7】異なる条件下で冷水装置に対して実施された雑音測定の結果を示す図。
【符号の説明】
【0072】
(注釈リスト)
1 雑音測定装置
2 測定ユニット
3 アナライザ
4 コンピュータ
5 表示ユニット
6 アクチュエータ・ユニット
7 電源ユニット
8 増幅ユニット
9 プリアンプ
10 RF増幅器
11 電源ユニット
12 負荷
13 インタフェース
14 水冷装置
15 水ポンプ
16 ペルチエ・バッテリ
17 目的物
18 内部測定ユニット
19 電源ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作時又は外部励起の効果に基づいて測定可能な信号を放出するシステムの信号を測定および評価する測定装置であって、信号受信ユニットおよび出力ユニットを含み、更に受信ユニットによって捕らえられた時間依存の信号に対してフーリエ変換を実行し、フーリエ変換のパワー密度関数を計算し、パワー密度関数に対してα指数を有する冪関数をフィッティングし、得られたα指数を出力装置に送信する評価ユニットを含むことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の測定装置であって、評価ユニットは、高速フーリエ変換アナライザ(3)を含む前記装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の測定装置であって、信号受信ユニットは、システムの電圧又は電流信号を記録またはシステムの信号を電圧又は電流信号に変換する測定ユニット(2)である前記装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の測定装置であって、信号受信ユニットは、システムの信号を電圧信号に変換する外部ユニットに接続された電圧計である前記装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の測定装置であって、信号受信ユニットは、システムの機械的、光学的、生体的、化学的、核物理的又はその他の物理的信号を電気信号に変換する前記装置。
【請求項6】
請求項3記載の測定装置であって、測定ユニット(2)は、システムの入力又は出力パワーを測定する前記装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の測定装置であって、評価ユニットは、PC、ワン・チップPC、マイクロ・チップ又はマイクロ・コントローラの一部である前記装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の測定装置であって、出力装置は、得られたα指数を表示するユニット(5)である前記装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載の測定装置であって、出力装置は、得られたα指数に依存する仕方でシステムに作用するアクチュエータ・ユニット(6)である前記装置。
【請求項10】
請求項8記載の測定装置であって、ディスプレイ・ユニット(6)は、評価ユニットによって計算された冪関数および/又は指数および/又はその他の計算値を表示するスクリーンである前記装置。
【請求項11】
動作時又は外部励起の効果に基づいて測定可能な信号を放出するシステムの信号を測定および評価する方法であって、システムの時間依存の信号が信号受信ユニットによって捕らえられ、評価ユニットを使用して捕らえた信号のフーリエ変換、フーリエ変換された信号のパワー密度関数計算、パワー密度関数に対するα指数を持つ冪関数のフィッティングおよび得られたα指数の出力ユニットへの送信を実行することを特徴とする前記方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって、システムの信号は、信号受信ユニットを使用して測定され、特定のケースでは、信号は、電圧又は電流信号に変換される前記方法。
【請求項13】
請求項11又は12記載の方法であって、信号受信ユニットによって捕らえられた信号は、評価ユニットによって高速フーリエ変換される前記方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれかに記載の方法であって、評価ユニットは、フーリエ変換された信号のパワー密度関数を対数スケールにプロットし、プロットに対して線形関数をフィッティングし、線形フィットの勾配としてα指数を決定する前記方法。
【請求項15】
請求項11から14のいずれかに記載の方法であって、システムに対する最適なα値が決定される前記方法。
【請求項16】
請求項15載の方法であって、最適なα値の決定過程で、測定方法は、システム・パラメータの異なる値に対して実行され、理想的な複雑システムの値(−1)を最も良く近似するα値に対応するパラメータ(又はパラメータ組)が選ばれる前記方法。
【請求項17】
請求項11から16のいずれかに記載の方法であって、システムの特定部分は、変更又は置換されて、各々のシステム変形に対応してα指数が計算され、得られたα値がシステムに対して予め決められた最適なα指数又は予め測定されていたα値あるいは理想的な複雑システムの値(−1)と比較され、比較からシステムの改善又は悪化が判断され、この情報が保守作業、グレード・アップ、一般的更新、設計開発又はインストールを制御するために使用される前記方法。
【請求項18】
請求項11から16のいずれかに記載の方法であって、異なる作業条件/外部条件で測定が繰り返されて、α値の変化が調べられ、保守作業又は磨耗および品質検査の過程においてシステム障害を予測するために、あるいは、グレード・アップ、一般的な更新、設計・開発又はインストールを制御するために、あるいは、専門外又は無許可の使用を検出するために、あるいは、一般的な健康管理のためにαの安定性からシステムの改善又は悪化が判断される前記方法。
【請求項19】
請求項11から16のいずれかに記載の方法であって、異なる時点でシステムに対して測定が実行されて、α値の変化が調べられ、得られたα値を互いに比較するか、あるいは、システムについて予め得られた最適なα値と比較し、保守作業又は磨耗および品質検査の過程で、システム障害を予測するために、あるいは、グレード・アップ、一般的更新、設計・開発又はインストールを制御するために、あるいは、専門外又は無許可の使用を検出するために、あるいは、一般的な健康管理のために、比較結果からシステムの改善又は悪化が判断される前記方法。
【請求項20】
請求項11から16のいずれかに記載の方法であって、被験システムの機械的、光学的、生体的、生理学的、化学的、核物理的又はその他の物理的信号が電気信号に変換されて測定される前記方法。
【請求項21】
請求項1から10のいずれかに記載の測定装置の応用であって、保守作業又は磨耗および品質検査の過程で、システム障害を予測するために、あるいは、グレード・アップ、一般的更新、設計・開発又はインストールを制御するために、あるいは、専門外又は無許可の使用を検出するために、あるいは、一般的健康管理のための測定装置の応用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−517263(P2008−517263A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536272(P2007−536272)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【国際出願番号】PCT/HU2005/000115
【国際公開番号】WO2006/040605
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(507287906)
【Fターム(参考)】