説明

動力伝達装置

【課題】キャリアとケーシングとの係合部の衝突音を緩和できる動力伝達装置を提供すること。
【解決手段】この動力伝達装置1は、プラネタリギヤ22と、このプラネタリギヤ22を自転可能に支持するキャリア23と、このキャリア23を支持するケーシング3と、プラネタリギヤ22に潤滑油を供給するオイルレシーバ5とを備える。また、この動力伝達装置1では、キャリア23が、ケーシング3に係合する係合部234を有する。また、オイルレシーバ5が、ケーシング3に当接する当接部53を有すると共に、キャリア23に連結される。また、ケーシング3の当接部53が、所定方向へのキャリア23の変位時にて、ケーシング3に対してキャリア23の係合部234よりも先に当接する位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動力伝達装置に関し、さらに詳しくは、キャリアとケーシングとの係合部の衝突音を緩和できる動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な動力伝達装置では、プラネタリギヤを支持するキャリアが、ケーシングに対して所定のバックラッシュをもって支持される。このため、駆動力が微少変動してキャリアが変位したときに、キャリアとケーシングとの係合部が衝突して音が発生するという課題がある。このような課題に関する従来の動力伝達装置として、特許文献1、2に記載される技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−063153号公報
【特許文献2】特開2004−116737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、キャリアとケーシングとの係合部の衝突音を緩和できる動力伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、この発明にかかる動力伝達装置は、プラネタリギヤと、前記プラネタリギヤを自転可能に支持するキャリアと、前記キャリアを支持するケーシングと、前記プラネタリギヤに潤滑油を供給するオイルレシーバとを備える動力伝達装置であって、前記キャリアが、前記ケーシングに係合する係合部を有し、前記オイルレシーバが、前記ケーシングに当接する当接部を有すると共に前記キャリアに連結され、且つ、前記当接部が、所定方向への前記キャリアの変位時にて、前記ケーシングに対して前記キャリアの係合部よりも先に当接する位置に配置されることを特徴とする。
【0006】
また、この発明にかかる動力伝達装置では、前記オイルレシーバの当接部が、前記キャリアの係合部よりも幅広構造を有すると共に、前記キャリアの係合部に積層されて配置されることが好ましい。
【0007】
また、この発明にかかる動力伝達装置では、前記オイルレシーバが、前記キャリアに対して弾性変位可能に連結されることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
この発明にかかる動力伝達装置では、キャリアの変位時にて、ケーシングの当接部がケーシングに対してキャリアの係合部よりも先に当接するので、ケーシングの当接部が緩衝部材として機能する。これにより、キャリアの係合部とケーシングとの衝突音を緩和できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、この発明の実施の形態にかかる動力伝達装置を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に記載した動力伝達装置を示すA−A視断面図である。
【図3】図3は、図1に記載した動力伝達装置のオイルレシーバを示す平面図である。
【図4】図4は、図1に記載した動力伝達装置の緩衝構造を示す説明図である。
【図5】図5は、図4に記載した緩衝構造の作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0011】
[動力伝達装置]
図1は、この発明の実施の形態にかかる動力伝達装置を示す正面図である。図2は、図1に記載した動力伝達装置を示すA−A視断面図である。
【0012】
この動力伝達装置1は、遊星歯車機構を備える動力伝達装置であり、例えば、車両の変速機やデファレンシャル、ハイブリッド車両の動力分割機構などに適用される。この動力伝達装置1は、遊星歯車機構2と、遊星歯車機構2を収容するケーシング3とを備え、シャフト4に連結される(図1および図2参照)。
【0013】
遊星歯車機構2は、サンギヤ21と、複数のプラネタリギヤ22およびキャリア23と、リングギヤ24とを有する。サンギヤ21は、シャフト4の外周に嵌め合わされて、シャフト4と同軸上で回転する。複数のプラネタリギヤ22は、サンギヤ21の外周に配置され、サンギヤ21と噛み合って自転する。キャリア23は、複数のプラネタリギヤ22を自転可能にそれぞれ支持する。また、キャリア23は、ケーシング3に支持されて固定される。ケーシング3に対するキャリア23の固定構造については、後述する。リングギヤ24は、サンギヤ21の同軸上かつ複数のプラネタリギヤ22を囲んで配置され、これらのプラネタリギヤ22にそれぞれ噛み合う。なお、リングギヤ24の下部は、ケーシング3内の油溜まり(図示省略)内に配置されて潤滑油に浸る。
【0014】
この動力伝達装置1では、ケーシング3が車両側に固定されるため、キャリア23が固定されて回転しない。また、シャフト4が車両の動力源(図示省略)に連結されてサンギヤ21が入力側となり、リングギヤ24が出力側となる。かかる構成では、シャフト4が動力を受けて回転すると、サンギヤ21がシャフト4と共に回転する。すると、複数のプラネタリギヤ22が、サンギヤ21に噛み合って自転する。このとき、キャリア23がケーシング3に固定されるため、プラネタリギヤ22のサンギヤ21周りの公転が禁止される。そして、リングギヤ24がプラネタリギヤ22と噛み合って回転することにより、動力が出力される。
【0015】
なお、上記のように、この実施の形態では、キャリア23がケーシング3に固定され、サンギヤ21が入力側となり、リングギヤ24が出力側となって、動力が伝達される(図1および図2参照)。しかし、これに限らず、キャリア23がケーシング3に固定され、リングギヤ24が入力側となり、サンギヤ21が出力側となっても良い。かかる構成は、図1の構成において、リングギヤ24側が動力源に連結されることにより、実現される。
【0016】
また、これらに限らず、リングギヤ24が固定され、サンギヤ21が入力側となり、キャリア23およびケーシング3が出力側となっても良い(図示省略)。かかる構成では、キャリア23がケーシング3と共に回転することにより、プラネタリギヤ22が自転しつつサンギヤ21を軸として公転する。同様に、リングギヤ24が固定され、キャリア23およびケーシング3が入力側となり、サンギヤ21が出力側となっても良い。また、サンギヤ21が固定され、リングギヤ24が入力側となり、キャリア23およびケーシング3が出力側となっても良い(図示省略)。あるいは、サンギヤ21が固定され、キャリア23およびケーシング3が入力側となり、リングギヤ24が出力側となっても良い。なお、これらの構成は、動力伝達装置1の適用対象に応じて適宜選択され得る。
【0017】
[キャリアの固定構造]
また、この動力伝達装置1では、キャリア23とケーシング3とが以下のように連結されて相互に固定される(図1および図2参照)。
【0018】
まず、キャリア23が、一対の板状部材231、232と、これらの板状部材231、232間に保持される複数のピン233とを有する。また、各プラネタリギヤ22が、キャリア23の各ピン233により回転可能にそれぞれ支持され、サンギヤ21およびリングギヤ24にそれぞれ噛み合って配置される。また、シャフト4が、キャリア23の板状部材231、232を軸方向に貫通し、また、サンギヤ21が、キャリア23の板状部材231、232の間に配置される。
【0019】
また、キャリア23が、ケーシング3に係合する係合部234を有する。
【0020】
例えば、この実施の形態では、キャリア23の一方の板状部材231が、環状形状を有し、その外周に複数の係合部234を有する。また、これらの係合部234が、キャリア23の径方向外側に突出する突起形状を有し、キャリア23の周方向に所定間隔で配置される。また、ケーシング3が、インロー部31を有し、このインロー部31の内周に、キャリア23の係合部234に対応する数の凹部32を有する。また、キャリア23が、一方の板状部材231をケーシング3のインロー部31に挿入し、各係合部234をケーシング3の凹部32に噛み合わせて配置される。このとき、キャリア23の係合部234とケーシング3の凹部32との間に、所定のバックラッシュが残存する。
【0021】
かかる構成では、キャリア23の回転方向に外力が作用すると、キャリア23の係合部234がケーシング3の凹部32に係合してキャリア23を係止する。これにより、キャリア23の回転方向の変位が禁止されて、キャリア23が固定される。
【0022】
なお、この実施の形態では、キャリア23の一方の板状部材231が爪状の係合部234を有し、この係合部234がケーシング3の凹部32に係合することにより、キャリア23がケーシング3に支持されている(図1および図2参照)。しかし、これに限らず、キャリア23とケーシング3とがスプライン嵌合により連結され、このスプライン嵌合部によりキャリア23の係合部234が構成されても良い(図示省略)。
【0023】
[オイルレシーバ]
図3は、図1に記載した動力伝達装置のオイルレシーバを示す平面図である。
【0024】
また、この動力伝達装置1は、オイルレシーバ5を備える(図1〜図3参照)。このオイルレシーバ5は、油溜めの一種であり、潤滑油を伝わせてプラネタリギヤ22の摺動部に潤滑油を供給する。かかるオイルレシーバ5の基本的構造として、公知のものが採用され得る。また、オイルレシーバ5は、キャリア23に取り付けられて設置される。
【0025】
例えば、この実施の形態では、オイルレシーバ5が、環状の金属板を折り曲げ加工して成る(図3参照)。また、オイルレシーバ5が、タブ状の取手部51を外周端部に有し、また、各プラネタリギヤ22に対応する潤滑油用の貫通孔52を有する。また、オイルレシーバ5が、取手部51から各貫通孔52に至るオイル溝(図示省略)を有する。また、シャフト4がオイルレシーバ5を貫通し、オイルレシーバ5がキャリア23の板状部材231の側面に沿って取り付けられる(図1および図2参照)。このとき、オイルレシーバ5の取手部51が鉛直上方に位置し、また、オイルレシーバ5の貫通孔52が各プラネタリギヤ22に対応する位置(キャリア23の各ピン233の位置)に配置される。
【0026】
かかる構成では、遊星歯車機構2が駆動されると、リングギヤ24が回転してケーシング3底部の油溜まりから潤滑油を掻き上げてオイルレシーバ5の取手部51に供給する。すると、この潤滑油が、オイルレシーバ5を伝って貫通孔52から各プラネタリギヤ22に供給される。これにより、プラネタリギヤ22とキャリア23のピン233との摺動部が潤滑される。
【0027】
[オイルレシーバの当接部]
図4は、図1に記載した動力伝達装置の緩衝構造を示す説明図である。同図は、オイルレシーバの当接部と、キャリアの係合部と、ケーシングの凹部との位置関係を模式的に示している。
【0028】
一般的な動力伝達装置では、プラネタリギヤを支持するキャリアが、ケーシングに対して所定のバックラッシュをもって支持される。このため、駆動力が微少変動してキャリアが変位したときに、キャリアとケーシングとの係合部が衝突して音が発生するという課題がある。
【0029】
そこで、この動力伝達装置1は、かかるキャリアとケーシングとの係合部の衝突音を緩和するために、以下の構成を採用する。
【0030】
まず、オイルレシーバ5が、ケーシング3に当接する当接部53を有する(図1〜図4参照)。この当接部53は、所定方向へのキャリア23の変位時にて、ケーシング3に対してキャリア23の係合部234よりも先に当接する位置に配置される。
【0031】
例えば、この実施の形態では、オイルレシーバ5が、環状形状を有し、その外周に当接部53を有する(図3参照)。また、当接部53が、オイルレシーバ5の径方向に突出する形状を有し、オイルレシーバ5に一体形成される。また、当接部53が、取手部51に対してオイルレシーバ5の径方向反対側に配置される。また、オイルレシーバ5が、キャリア23に対して同軸上かつキャリア23の軸方向の側面に配置される(図1および図2参照)。このとき、当接部53が、キャリア23の係合部234に積層されて配置される。具体的には、当接部53が、キャリア23の複数の係合部234のうち潤滑油の油溜まり内にある係合部234と同位置に配置され、この係合部234に対して中心位置を揃えて配置されている。また、当接部53とキャリア23の係合部234とが、ケーシング3の凹部32に対して所定のバックラッシュをもって噛み合わされる。
【0032】
また、当接部53が、キャリア23の係合部234よりも幅広構造を有する(図4参照)。具体的には、キャリア23の係合部234の幅W1と、オイルレシーバ5の当接部53の幅W2と、ケーシング3の凹部32の幅W3とが、W1<W2<W3の関係を有する。また、当接部53とキャリア23の係合部234とが中心位置を揃えて配置されることにより、当接部53の幅方向の両端部が、キャリア23の係合部234の幅方向の両端部よりも外側に位置し、ケーシング3の凹部32の壁面により近い位置に配置される。
【0033】
また、オイルレシーバ5が、キャリア23に連結される(図1および図4参照)。したがって、キャリア23が所定方向に変位すると、オイルレシーバ5がキャリア23と同一方向に変位する。また、このとき、オイルレシーバ5が、キャリア23に対して弾性変位可能に連結されることが好ましい。これにより、オイルレシーバ5とキャリア23とが相対変位したときに、オイルレシーバ5の当接部53とキャリア23の係合部234との位置関係を弾性力により復帰できる。
【0034】
例えば、この実施の形態では、弾性変形可能な一対の係止片54、54が、オイルレシーバ5の内部に打ち抜き加工により形成される(図3参照)。また、係合ピン235が、キャリア23の端面から突出して形成される(図1参照)。また、オイルレシーバ5の設置状態にて、一対の係止片54、54が、係合ピン235をキャリア23の周方向から挟み込んで保持する(図1および図4参照)。したがって、キャリア23が周方向に変位すると、係止片54と係合ピン235とが係合することにより、オイルレシーバ5がキャリア23に連動して同一方向に変位する。また、オイルレシーバ5とキャリア23とがキャリア23の周方向に相対変位すると、一対の係止片54、54がバネとして機能して反力が発生する。
【0035】
図5は、図4に記載した緩衝構造の作用を示す説明図である。同図は、キャリアが回転変位したときのオイルレシーバの当接部の作用を模式的に示している。
【0036】
初期状態では、キャリア23の係合部234およびオイルレシーバ5の当接部53と、ケーシング3の凹部32との間にバックラッシュ分の隙間がある(図5(a)参照)。このとき、オイルレシーバ5の当接部53がキャリア23の係合部234よりも幅広構造を有することにより、当接部53の幅方向の両端部が、キャリア23の係合部234の幅方向の両端部よりも外側に位置する。
【0037】
動力伝達装置1の始動時あるいはトルク変動時には、キャリア23が所定方向に回転変位する(図5(b)参照)。すると、キャリア23に連結されたオイルレシーバ5が、キャリア23に連動して同一方向に変位する。すると、オイルレシーバ5の当接部53が幅広構造を有するので、ケーシング3の凹部32に対してキャリア23の係合部234よりも先に当接して係止される。
【0038】
その後に、キャリア23がさらに変位し、キャリア23の係合部234がケーシング3の凹部32に当接して係止される(図5(c)参照)。このとき、キャリア23の係合ピン235とオイルレシーバ5の係止片54とが係合した状態で、キャリア23が変位する。また、オイルレシーバ5の係止片54が弾性変形しつつ、キャリア23がオイルレシーバ5に対して相対変位する。したがって、キャリア23の係合部234が、減速しつつ変位してケーシング3の凹部32に衝突する。これにより、キャリア23の係合部234とケーシング3との衝突音が緩和される。
【0039】
また、キャリア23が反対方向に変位すると、係止片54の弾性力により、オイルレシーバ5の当接部53とキャリア23の係合部234との位置関係が復帰して図5(a)の状態に戻る(図示省略)。さらに、キャリア23が図5に示す方向と逆方向に変位する場合にも、上記と同様の作用により、キャリア23の係合部234とケーシング3との衝突音が緩和される(図示省略)。
【0040】
なお、この実施の形態では、オイルレシーバ5が単一の当接部53を有し、この当接部53がキャリア23の複数の係合部234のうち潤滑油の油溜まり内にある係合部234に積層されて配置されている(図1参照)。しかし、これに限らず、オイルレシーバ5が複数の当接部53を有しても良いし、また、当接部53が油溜まりの外にある任意の係合部234に対して積層されても良い(図示省略)。
【0041】
[効果]
以上説明したように、この動力伝達装置1は、プラネタリギヤ22と、このプラネタリギヤ22を自転可能に支持するキャリア23と、このキャリア23を支持するケーシング3と、プラネタリギヤ22に潤滑油を供給するオイルレシーバ5とを備える(図1および図2参照)。また、この動力伝達装置1では、キャリア23が、ケーシング3に係合する係合部234を有する。また、オイルレシーバ5が、ケーシング3に当接する当接部53を有すると共に、キャリア23に連結される(図1および図4参照)。また、ケーシング3の当接部53が、所定方向へのキャリア23の変位時にて、ケーシング3に対してキャリア23の係合部234よりも先に当接する位置に配置される。
【0042】
かかる構成では、キャリア23の変位時にて、ケーシング3の当接部53がケーシング3に対してキャリア23の係合部234よりも先に当接するので(図5参照)、ケーシング3の当接部53が緩衝部材として機能する。これにより、キャリア23の係合部234とケーシング3との衝突音を緩和できる利点がある。
【0043】
また、上記の構成は、既存のオイルレシーバに対して当接部53および係止片54を形成し、また、既存のキャリアに対して係合ピン235を形成することにより、実現できる。したがって、既存の部品を有効活用しつつ、上記の緩衝構造を構成できる利点がある。
【0044】
また、この動力伝達装置1では、オイルレシーバ5の当接部53が、キャリア23の係合部234よりも幅広構造を有すると共に、キャリア23の係合部234に積層されて配置される(図1、図2および図4参照)。これにより、簡易な構成にて、上記の緩衝構造を構成できる利点がある。
【0045】
また、この動力伝達装置1では、オイルレシーバ5が、キャリア23に対して弾性変位可能(復帰力をもって相対変位可能)に連結される(図5参照)。かかる構成では、キャリア23の変位時にて、オイルレシーバ5がキャリア23に対して弾性変位することにより、キャリア23の係合部234が減速しつつ変位してケーシング3の凹部32に衝突する。これにより、キャリア23の係合部234とケーシング3との衝突音が効果的に緩和される利点がある。
【符号の説明】
【0046】
1 動力伝達装置、2 遊星歯車機構、21 サンギヤ、22 プラネタリギヤ、23 キャリア、231、232 板状部材、233 ピン、234 係合部、235 係合ピン、24 リングギヤ、3 ケーシング、31 インロー部、32 凹部、4 シャフト、5 オイルレシーバ、51 取手部、52 貫通孔、53 当接部、54 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラネタリギヤと、前記プラネタリギヤを自転可能に支持するキャリアと、前記キャリアを支持するケーシングと、前記プラネタリギヤに潤滑油を供給するオイルレシーバとを備える動力伝達装置であって、
前記キャリアが、前記ケーシングに係合する係合部を有し、
前記オイルレシーバが、前記ケーシングに当接する当接部を有すると共に前記キャリアに連結され、且つ、
前記当接部が、所定方向への前記キャリアの変位時にて、前記ケーシングに対して前記キャリアの係合部よりも先に当接する位置に配置されることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
前記オイルレシーバの当接部が、前記キャリアの係合部よりも幅広構造を有すると共に、前記キャリアの係合部に積層されて配置される請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項3】
前記オイルレシーバが、前記キャリアに対して弾性変位可能に連結される請求項1または2に記載の動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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