説明

動物体の監視装置

【課題】
時間と労力を大幅に省き、特別な技能をもった人に限らず設置や移動作業が可能になり、電波を発する無線発信手段を、動物体の位置監視対象部位に存在させて位置監視対象部位が設定した三次元空間領域内に収まっているかどうかを安定して監視できる動物体の監視装置を提供する。
【解決手段】
ID情報82を発信する無線発信機30等と、受信範囲の一部が重なり合った複数の領域を有するように設けられたアンテナ61等と、無線発信機のID情報を記憶する記憶手段22aと、各受信信号の信号強度を検出する信号強度測定部43と、記憶手段22aが記憶したID情報と、各受信信号のID情報82が一致し、かつ各受信信号の信号強度の検出結果に基づき、前記領域に無線発信機30等が存在するか否かを判定する判定部22を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物体の監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1〜3では、複数あるロボットを含む可動機械の各関節の角度を検出し、それを元に動物体である可動機械の各部の位置や、可動機械によって移動するワークやツールの位置を計算により求めることが提案されている。
【0003】
又、特許文献4では、電磁波を発射して対象物から反射した電磁波をもとに監視対象の位置を監視する方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−243427号公報
【特許文献2】特開2008−213056号公報
【特許文献3】特開2004−322244号公報
【特許文献4】特開平5−285882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1〜3において、動物体である可動機械の各部の位置を算出する方法は、位置を監視したい箇所を、仮想的な動作禁止領域として可動機械の制御装置等に予め教示設定する必要があるために、監視したい箇所を変更する度にこれらを実施することは多くの時間と労力、そして技能を要する。また、特許文献1〜3は、いずれも可動機械の各関節の角度を検出する機器(エンコーダ)からのフィードバック値に基づいて可動機械の各部の位置を算出しているために、エンコーダを持たない可動機械に対しては、適用することができない。
【0006】
特許文献4の対象物から反射した電磁波を利用する方法は、監視したい箇所の形状や素材により電磁波が測定に適したように反射しない可能性があり、監視したい箇所の移動によって位置の監視ができなくなる虞がある。
【0007】
本発明の目的は、動物体の位置監視対象部位に、無線発信手段を物理的に設置することで、位置監視対象部位の移動が容易になり、時間と労力を大幅に省くことができ、特別な技能をもった人に限らず設置や移動作業が可能になるとともに、自らが電波を発する無線発信手段を、動物体の位置監視対象部位に存在させるだけで、位置監視対象部位が、設定した三次元空間領域内に収まっているかどうかを安定して監視できる動物体の監視装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、動物体の位置監視対象部位に設けられ、位置確認固有IDを無線発信する少なくとも1つの無線発信手段と、受信範囲の一部が互いに重なり合った三次元重複空間領域を少なくとも1つ有するように、位置が変動しない固定部材に固定された少なくとも2個以上の指向性アンテナと、前記三次元重複空間領域に位置することが許容されている無線発信手段の位置確認固有IDを少なくとも1つを記憶する記憶手段と、各前記指向性アンテナが受信した各受信信号の信号強度を検出する検出手段と、前記記憶手段が記憶した位置確認固有IDと、前記各受信信号の位置確認固有IDが一致する場合に、前記検出手段による各受信信号の信号強度の検出結果に基づいて、前記三次元重複空間領域に前記無線発信手段が存在するか否かを判定する判定手段を備えることを特徴とする動物体の監視装置を要旨とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記動物体が、制御手段により作動制御されるとともに、駆動手段により駆動されている可動機械であり、前記無線発信手段が、前記可動機械の前記駆動手段により作動する部位に取付けられるものであることを特徴とする。
【0010】
請求項3は、請求項2において、前記判定手段が、前記三次元重複空間領域に前記無線発信手段が存在しないと判定した場合には、前記制御手段に対して前記可動機械の停止指令信号、或いは、前記駆動手段を駆動停止させる判定信号を出力し、前記制御手段は前記停止指令信号に基づいて前記可動機械を停止、或いは、前記駆動手段は、駆動停止させる判定信号に基づいて前記可動機械を停止することを特徴とする。
【0011】
請求項4は、請求項2において、前記三次元重複空間領域には、該三次元重複空間領域に位置することが許容され、かつ、動物体である可動機械の動作制限が付与される制限領域を含み、前記判定手段は、前記検出手段による各受信信号の信号強度の検出結果に基づいて、前記三次元重複空間領域に前記可動機械に設けられた無線発信手段が存在すると判定した場合には、前記可動機械の制御手段に対して、減速指令を出力させる判定信号を入力することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記動物体の1つの位置監視対象部位に対して、前記無線発信手段が複数設けられ、該複数の無線発信手段が、異なる送信周波数で無線発信し、前記検出手段は、各無線発信手段が発信した受信信号の少なくとも1つを受信して、該受信信号の信号強度を検出し、前記判定手段は、前記検出手段の信号強度の検出結果に基づいて、前記三次元重複空間領域に前記無線発信手段が存在するか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1において、前記位置監視対象部位は、動物体としての人が持ち運ぶ物であることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項において、前記判定手段が、前記三次元重複空間領域に前記無線発信手段が存在しないと判定した場合には、警告を発生する警告手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、制御手段により作動制御されるとともに、駆動手段により駆動されている可動機械を第1動物体とし、該第1動物体の位置監視対象部位に設けられた第1無線発信手段と、人を第2動物体とし、該第2動物体の位置監視対象部位として、該人が持ち運び可能な部位に設けられた第2無線発信手段と、受信範囲の一部が互いに重なり合った三次元重複空間領域を少なくとも2つ有するように、位置が変動しない固定部材に固定された少なくとも3個以上の指向性アンテナと、前記三次元重複空間領域のうち、少なくとも1つは前記第1無線発信手段の存在が許容されている第1領域とし、少なくとも1つは前記第2無線発信手段の存在が許容されている第2領域とし、前記第1領域に位置することが許容されている第1無線発信手段の位置確認固有IDと、前記第2領域に位置することが許容されている第2無線発信手段の位置確認固有IDをそれぞれ記憶する記憶手段と、各前記指向性アンテナが受信した各受信信号の信号強度を検出する検出手段と、前記記憶手段が記憶した各位置確認固有IDと、前記各受信信号の位置確認固有IDの一致の有無、及び、前記検出手段による各受信信号の信号強度の検出結果に基づいて、前記第1領域に、第1無線発信手段及び第2無線発信手段が存在していると判定した際には、前記制御手段に対して前記可動機械の停止指令信号、或いは、前記駆動手段を駆動停止させる判定信号を出力する判定手段とを備え、前記制御手段は前記停止指令に基づいて、前記可動機械を停止、或いは、前記駆動手段は、駆動停止させる判定信号に基づいて前記可動機械を停止することを特徴とする動物体の監視装置を要旨とするものである。
【0015】
請求項9の発明は、可動機械を作動制御する制御手段に対して教示を行う可搬式教示操作装置を持つ操作者が運搬する位置監視対象部位に設けられ、位置確認固有IDを無線発信する無線発信手段と、受信範囲の一部が互いに重なり合った三次元重複空間領域を少なくとも2つ有するように、位置が変動しない固定部材に固定された少なくとも3個以上の指向性アンテナと、前記各三次元重複空間領域に応じて存在することを許容されている無線発信手段の位置確認固有IDをそれぞれ記憶する記憶手段と、各前記指向性アンテナが受信した各受信信号の信号強度を検出する検出手段と、前記記憶手段が記憶した位置確認固有IDと、前記各受信信号の位置確認固有IDが一致する場合に、前記検出手段による各受信信号の信号強度の検出結果に基づいて、いずれの三次元重複空間領域内に、発信した前記無線発信手段が存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が、判定した無線発信手段が存在する前記三次元重複空間領域に応じて、前記操作者が持つ可搬式教示操作装置の操作内容に制限又は許可を、前記制御手段に付与する制限・許可付与手段を備えることを特徴とする動物体の監視装置を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0016】
以上詳述したように、請求項1の発明によれば、動物体の位置監視対象部位に、無線発信手段を物理的に設置することで、位置監視対象部位の移動が容易になり、時間と労力を大幅に省くことができ、特別な技能をもった人に限らず設置や移動作業が可能になるとともに、自らが電波を発する無線発信手段を、動物体の位置監視対象部位に存在するだけで、位置監視対象部位が、設定した三次元空間領域内に収まっているかどうかを安定して監視できる効果を奏する。
【0017】
請求項2の発明によれば、可動機械の位置監視対象部位に、電波を発する無線発信手段を物理的に設置することで、可動機械の位置監視対象部位の移動が容易になり、従来と異なり、位置監視対象部位を変更する度に、この位置監視対象部位の位置関係を計算する時間と労力を大幅に省くことができる。また特別な技能をもった人に限らず、可動機械の位置監視対象部位に対する無線発信手段の設置や、異なる位置監視対象部位への該無線発信手段の移動作業が可能になる。
【0018】
請求項3の発明によれば、三次元重複空間領域に前記無線発信手段が存在しないと判定した場合、制御手段に対して可動機械を停止させる停止指令信号、或いは、前記駆動手段に対して駆動停止させる判定信号を出力するため、可動機械を停止させることができ、安全性の高いシステム構成とすることができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、制限領域に、可動機械に設けられた無線発信手段が存在した場合には、制限領域では速度が減速した状態で作動させることができるので、制限領域を可動機械が他のものに対する干渉対策の領域とすることができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、複数の無線発信手段が、1つの位置監視対象部位に設けられているため、1つの無線発信手段が故障等により、無線発信ができない場合でも、他の無線発信手段が無線発信するため、監視性能の安全性を高めることができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、請求項1の効果に加え、人が持ち運ぶ物が、設定した三次元重複空間領域内に収まっているかどうかを安定して監視できる。
請求項7の発明によれば、三次元重複空間領域に無線発信手段が存在しないと判定した場合には、警告を発生するため、作業者に、三次元重複空間領域に前記無線発信手段が存在しないことを知らせることができる。
【0022】
請求項8によれば、請求項1の効果に加えて、判定手段は、第1領域に、第1無線発信手段及び第2無線発信手段が存在していると判定した際には、制御手段に対して前記可動機械の停止指令信号、或いは、前記駆動手段を駆動停止させる判定信号を出力するため、第1領域に位置する可動機械と、人との干渉を防止することができる。
【0023】
請求項9の発明によれば、請求項1の効果に加えて、判定手段が、判定した無線発信手段が存在する三次元重複空間領域に応じて、可搬式教示操作装置の操作に制限又は許可を、制限・許可付与手段が制御手段に付与するため、可搬式教示操作装置の操作する位置、すなわち、操作者が位置する場所に応じて、教示操作内容に制限又は許可を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態のロボット制御システムの配置関係を示す概略図。
【図2】(a)は第1実施形態のロボット制御システムのブロック図、(b)は教示操作装置のブロック図、(c)は無線発信機のブロック図。
【図3】(a)、(b)は、データパケットの説明図。
【図4】(a)、(b)は、可動機械の減速動作領域、動作許可領域、及び操作者(作業者)の進入許可領域の説明図。
【図5】アンテナ、無線発信手段(局)の配置関係を示す説明図。
【図6】アンテナ、無線発信手段(局)の配置関係を示す説明図。
【図7】信号強度と重複空間領域との関係の説明図。
【図8】信号強度と重複空間領域との関係の説明図。
【図9】信号強度と重複空間領域との関係の説明図。
【図10】信号強度と重複空間領域との関係の説明図。
【図11】第2実施形態のロボット制御システムの配置関係を示す概略図。
【図12】第2実施形態のロボット制御システムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の動物体の監視装置を可動機械システムに具体化した一実施形態を図1〜図10を参照して説明する。本実施形態の可動機械システムは、ロボット制御システムである。
【0026】
図1に示すように、ロボット制御システムは、可搬式教示操作装置(以下、教示操作装置10という)と、ロボットRを動作制御するロボット制御装置20と、携帯物としての無線発信機30と、前記教示操作装置10、無線発信機30、30A,30Bとロボット制御装置20とをネットワーク手段としての無線LAN(ローカルエリアネットワーク)にて無線接続する送受信装置40A〜40Eとにより構成されている。
【0027】
なお、ロボット制御装置20に対して、複数の教示操作装置10が無線通信可能であるが、説明の便宜上、図1では、1つの教示操作装置10のみを図示している。ロボット制御装置20が制御するロボットRは、例えば溶接ロボットである。なお、可動機械としては、溶接ロボットに限定されるものではなく、例えば搬送ロボット等の他のロボット等の可動する装置であってもよい。
【0028】
ロボットRは、建物のフロアに固定された安全柵50に囲まれている。安全柵50は、後述する指向性アンテナを取付け固定した固定部材に相当する。本実施形態では、安全柵50は、平面視で四角枠状に形成され、ロボットRの高さよりも高い高さを有する。又、安全柵50の平面視の形状は四角枠に限定されるものではなく、円形状、楕円状等の他の形状であってもよい。安全柵50には、出入口扉92が設けられており、出入口扉92を開放することにより、安全柵50内に設けられた出入口を介して作業者Mは入ることが可能となっている。出入口扉92は、前記出入口を閉鎖する位置に位置した際にドアロックされることが可能である。
【0029】
(1.教示操作装置10)
教示操作装置10について説明する。図2(b)に示すように教示操作装置10は、CPU(中央処理装置)11、ROM12、RAM13、ハードディスク14、無線LANI/F(インターフェイス)15、キーボード16、表示装置17の各部を備えているとともに各部はバス19を介して接続されている。ROM12には、教示操作装置10からのロボットRの操作や通信を実行するためのプログラムが格納されている。さらに、前記プログラムには、例えば、表示装置17を表示制御するためのGUI表示処理プログラム、CPU11をパソコンとして機能させるための各種プログラムが含まれる。RAM13は、CPU11のワーキングエリアとして用いられ、計算途中のデータが一時的に格納されている。ハードディスク14には、制御プログラムの実行変数が格納されている。
【0030】
無線LANI/F15はロボット制御装置20との無線接続に使用される通信機であって、送受信部15aを備えており、該送受信部15aにより、ロボット制御装置20の送受信装置40A〜40Eと無線通信が、例えば、数十〜数百msec毎に行われる。又、この無線通信は、予め定められた通信プロトコルによってCPU11が生成した後述するデータパケットの形式で行われる。
【0031】
(2.無線発信機30)
次に、無線発信機30について説明する。無線発信機30は、作業者M(教示操作装置10の操作者を含む、以下同じ)の着衣、腕バンド、又はベルト等に取付けられ、或いは把持されて作業者Mとともに移動して作業者Mにより運搬可能である。
【0032】
図2(c)に示すように無線発信機30は、CPU(中央処理装置)31、ROM32、無線LANI/F(インターフェイス)33の各部を備えているとともに各部はバス34を介して接続されている。無線発信機30は、各部の回路に電力を供給する電源として図示しない電池を備えている。ROM32には、通信を実行するためのプログラムが格納されている。無線LANI/F33はロボット制御装置20との無線接続に使用される通信機であって、送受信部33aを備えており、該送受信部33aにより、ロボット制御装置20の送受信装置40A〜40Eと、定期的に、例えば、数十〜数百msec毎に無線通信が可能である。この無線通信は、予め定められた通信プロトコルによってCPU31が生成した後述するデータパケットの形式で行われる。無線発信機30は無線発信手段、及び第2無線発信手段に相当する。又、無線発信機30が、作業者Mに把持されている部位、或いは、着衣、腕バンド、或いはベルト等(以下、着衣等という)は、動物体及び第2動物体の位置監視対象部位に相当する。
【0033】
(3.無線発信機30A,30B)
次に、無線発信機30A,30Bについて説明する。無線発信機30A,30Bは、ロボットRを構成している複数のアームのうち、ロボットRの周辺に配置されている周辺機器、治具、建物の構造物に干渉しやすいアームの部位、或いはツール(以下、ロボットの部位という)に取付け固定されている。無線発信機30A,30BのロボットRに対する取付け固定する部位は、限定するものではないが、前述のように周辺にある物と干渉しやすい部位に取付けされていることが好ましい。
【0034】
無線発信機30A,30Bの電気的構成は、無線発信機30と同様の構成であるため、説明を省略し、無線発信機30の構成と同一構成については、同一符号を付す。無線発信機30A,30Bは、可動機械の駆動手段により作動する部位に取付けられる無線発信手段及び第1無線発信手段に相当する。
【0035】
又、無線発信機30A,30Bが取付けられるロボットRの部位は、動物体及び第2動物体の位置監視対象部位に相当する。そして、無線発信機30と同様に送受信部33aにより、ロボット制御装置20の送受信装置40A〜40Eと、定期的に、例えば、数十〜数百msec毎に無線通信が可能である。この無線通信は、予め定められた通信プロトコルによってパケットの形式でCPU31により生成されて行われる。又、無線発信機30A,30Bの無線出力は、無線発信機30と同一に設定されている。
【0036】
(3.アンテナ)
送受信装置40A〜40Eのアンテナ61〜65は、指向性アンテナからなり、図1に示すように安全柵50において、後述する所定位置に固定されている。前記指向性アンテナは、例えば、八木宇田アンテナでもよく、或いはパラボラアンテナでもよい。本実施形態では、アンテナ61,62との組合せ、アンテナ61、63との組合せ、アンテナ61,64との組合せ、アンテナ61,65との組合せが、それぞれダイバーシティアンテナとなっている。
【0037】
送受信装置40Aのアンテナ61の前記フロアからの高さは、例えば、100〜200cmの高さに位置するように配置されているが、限定するものではない。
又、アンテナ61は、図1に示すように、安全柵50内のロボットRと、出入口扉92に向けて受信の向きが指向するように配置されている。図1において、アンテナ61の受信範囲61aを実線で示す。このため、ロボットRが教示された作業を行うために必要な作業空間領域SA0と、出入口扉92とロボットR間の空間領域において、作業者Mが移動可能な空間領域の両空間領域を、アンテナ61の受信範囲内に少なくとも含む。前記作業空間領域SA0は、後述する動作許可領域SA1と減速動作領域SA2,SA3を含む(図4(a)参照)。動作許可領域SA1と減速動作領域SA2,SA3は、第1領域に相当する。減速動作領域SA2,SA3は制限領域に相当する。
【0038】
図1に示すように、アンテナ62〜65は、アンテナ61の配置位置と出入口扉92間にロボットRを挟むようにして、アンテナ61側から順に出入口扉92側へ順に並ぶように配置されている。アンテナ62〜65は、アンテナ61の受信するための指向方向とは交差する方向であって、下向き或いは斜め下方を指向するように配置されている。なお、図2では、アンテナ62〜65の指向する向きは、説明の便宜上横向きに示している。
【0039】
図1、図4(a)に示す受信範囲61a〜65aは、各アンテナ61〜65のそれぞれの受信範囲である。受信範囲61a〜65aは、無線発信機30、30A,30Bが同じ信号出力(無線出力)で発信した場合、所定値X1〜X5(%)以上の信号強度を受信できる範囲を示している。
【0040】
なお、本実施形態では10≦X1〜X5≦100であるが、この値に限定するものではない。なお、所定値X1〜X5(%)は、信号を送信する無線発信機30、30A,30Bの信号出力を同じとし、その位置をさまざまに変えて、それぞれのアンテナ61〜65が受信できた最大の信号の強度を100%としたときの値である。なお、無線発信機30の位置は、作業者Mが無線発信機30Aを把持している際の位置、又は作業者Mに対して取付けられた位置であり、作業者が移動すると変位する。無線発信機30A,30Bの位置は、ロボットRに対する取付け位置であるが、この取付け位置は、ロボットRの動作時に、変位する。
【0041】
前記X1〜X5は、同じ値でもよく、異なる値でもよく、アンテナ61〜65の設置位置の種々の条件によって決定すればよい。
又、受信範囲61aと受信範囲62aの重複空間領域は、動作許可領域SA1に隣接して配置された減速動作領域SA2となる。受信範囲61aと受信範囲64aの重複空間領域は、動作許可領域SA1に隣接して配置されて減速動作領域SA3となる。減速動作領域SA3は、図1に示すように、ロボットRを挟んで減速動作領域SA2とは反対側の位置に位置し、減速動作領域SA2よりも出入口扉92側に近位の位置にある。
【0042】
このように、アンテナの組合せにより、減速動作領域SA2,SA3を、動作許可領域SA1の周囲に配置するように設けられている。又、アンテナの組合せにより、減速動作領域SA3の外側(動作許可領域SA1とは反対側)に進入許可領域SBが位置するように設けられている。なお、進入許可領域SB内は、ロボットRの部位が移動できない領域である。進入許可領域SBは、第2領域に相当する。
【0043】
受信範囲61aと受信範囲65aの重複空間領域は、減速動作領域SA3に隣接して配置され、出入口扉92と減速動作領域SA3の間に位置するように配置され、進入許可領域SBとなっている。
【0044】
動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3,進入許可領域SB毎は三次元重複空間領域に相当する。
(4.送受信装置40A〜40E)
次に、送受信装置40A〜40Eを説明する。なお、送受信装置40A〜40Eは同一構成のため、以下の説明では、送受信装置40Aが備える各部の機能について説明するが、他の送受信装置40B〜40Eの機能についても、送受信装置40Aが備える各部と同一の構成は同様の機能を備えるものと理解されたい。又、以下では、送受信装置40B〜40Eの各部において、送受信装置40Aと同一構成については、説明の便宜上、同一符号を付した構成で説明することがある。
【0045】
送受信装置40Aは、送信機41、受信機42、信号強度測定部43(RSSI:Received Signal Strength Indicator)、送信元ID確認部44、及びデータ処理部45を備えている。送信機41及び受信機42は、教示操作装置10をはじめとする複数の教示操作装置10の無線LANI/F15(図2(b)参照)と無線通信が可能である。前記受信機42と無線LANI/F15間のパケット通信において、教示操作装置10から送信されるデータパケットは、教示操作装置10のCPU11により予め定められた通信プロトコルによってパケットの形式で生成される。
【0046】
(4−1.教示操作装置10のデータパケット)
ここで、受信機42が受信するデータパケットについて説明する。
図3(a)は、教示操作装置10から無線通信で送信されるデータパケットの一例を示している。同図に示すように、データパケットには、教示操作装置10から、送信したいロボット制御装置20を特定する宛先データ70、送信元を特定する送信元データ80、教示データ或いは非教示データ等を含むTP(ティーチペンダント)データ90、誤り検出データ100等が含まれる。TPデータ90には、ロボットの動作を行わせるための各種動作指令等のデータが含まれる。TPデータ90は、教示情報に相当する。前記送信元データ80は、ID情報82と経由地情報84とからなる。前記ID情報82は、送信元、すなわち、教示操作装置10を特定するための情報である。
【0047】
経由地情報84は、このデータパケットがどこを経由したかを示す受信アンテナの番号情報86及び信号強度88とを含む。経由地情報84は、教示操作装置10から送信する際には、教示操作装置10のCPU11により、受信アンテナの番号情報86にはどこも経由していないことを示す初期値、及び、信号強度88には初期値がセットされる。
【0048】
(4−2.無線発信機30,30A,30Bのデータパケット)
図3(b)は、無線発信機30,30A,30B(以下、断らない限り「無線発信機30等」には、無線発信機30,30A,30Bを指す。)から無線通信で送信されるデータパケットの一例を示している。なお、無線発信機30等から無線通信で送信されるデータパケットは、教示操作装置10から送信されるデータパケットと略同様であるため、同一の構成については、同一符号を付し、異なる構成について説明する。
【0049】
図3(b)に示すように、無線発信機30等が送信するデータパケットには、宛先データ70、送信元データ80、誤り検出データ100等が含まれる。
前記送信元データ80は、位置確認のための位置確認固有IDとなるID情報82と経由地情報84とからなる。位置確認固有IDとなる前記ID情報82は、送信元、すなわち、無線発信機30等を特定するための情報である。
【0050】
このように、無線発信機30等が発信する位置確認固有IDは、後述する信号強度測定部43により信号強度が測定されて、いずれの領域(本実施形態では、動作許可領域SA1〜SA3、進入許可領域SB)に無線発信機30等が存在するかを判定するために供されるものである。経由地情報84は、無線発信機30等から送信する際には、無線発信機30等のCPU31により、受信アンテナの番号情報86にはどこも経由していないことを示す初期値、及び、信号強度88には初期値がセットされる。
【0051】
無線発信機30等から送信されて受信機42が受信したデータパケットは、位置確認固有IDの受信信号に相当する。
そして、受信機42では、教示操作装置10、及び無線発信機30等から受信したデータパケットを定期的に受信し、該データパケットに対し、番号情報86として、当該データパケットを受信したアンテナ61の固有情報である受信アンテナの番号情報86が格納される。例えば、送受信装置40Aでは、受信機42により、受信したデータパケットには、番号情報86が格納されることにより送受信装置40Aのアンテナ61を経由して受信されたことが示される。又、受信機42では、誤り検出データ100により、データ化けの通信エラーがないか否かを確認する。
【0052】
受信機42において、誤り検出データ100に基づいて通信エラーがない場合、前記信号強度測定部43は、前記受信の制御周期と同様に定期的に前記データパケットに係る受信信号(無線信号)の受信レベル、すなわち、信号強度が検出可能である。信号強度測定部43は、検出手段に相当する。又、前記通信エラーがない場合、信号強度測定部43は、前記検出した当該データパケットの受信レベル(信号強度)を、受信したデータパケットの信号強度88として格納する。
【0053】
送信元ID確認部44では、受信機42で受信したデータパケットの送信元データ80のID情報82を確認し、図示しない記憶部に、無線通信を要求している教示操作装置10、及び無線発信機30等のID情報を格納する。
【0054】
このようにして、受信機42で受信された教示操作装置10、無線発信機30等からのデータパケットは、信号強度測定部43で、経由地情報84(番号情報86及び信号強度88)が格納され、かつ、送信元ID確認部44で確認された場合、データ処理部45を介して、ネットワークNLを介してロボット制御装置20に送られる。
【0055】
なお、送受信装置40B〜40Eでは、教示操作装置10、無線発信機30等から送信されてアンテナ62〜65を介して受信したデータパケットは、送受信装置40Aと同様に処理されて、データ処理部45を介して、ネットワークNLを介してロボット制御装置20に送られる。
【0056】
(5.ロボット制御装置20)
ロボット制御装置20は、判定手段としての判定部22と、制御手段としての制御部24、及び駆動手段としての駆動部26等を備えている。本実施形態では、判定部22と、送受信装置40A〜40Eの信号強度測定部43とにより、動物体の監視装置が構成されている。
【0057】
判定部22は、送受信装置40A〜40Eの各データ処理部45にネットワークNLを介してそれぞれ接続されている。判定部22は、CPU、ROM、RAM、ハードディスク等の書換、読み出し可能な記憶手段22a、及び警告手段としての警告装置22bを備えており、受信装置40A〜40Eの各データ処理部45から送られてきたデータパケットに関して、後述する領域検知判定を行う。記憶手段22aには、動作許可領域SA1、減速動作領域SA2、減速動作領域SA3、及び進入許可領域SBに存在が許可されている位置確認固有IDが予め格納されている。本実施形態では、動作許可領域SA1、減速動作領域SA2、減速動作領域SA3に存在が許可されている位置確認固有IDとして、無線発信機30A,30Bの各固有IDが記憶手段22aに予め記憶されている。又、進入許可領域SBに存在が許可されている位置確認固有IDとして、無線発信機30の固有IDが記憶手段22aに予め記憶されている。これらの位置確認固有IDは、判定部22の領域検知判定を行う際には、読み出されて、前記RAMに展開される。
【0058】
制御部24は、図示はしないがCPU、ROM、RAM等の各部を備えているとともに各部はバス(図示しない)を介して接続されている。前記ROMには、ロボット制御装置20が制御対象とするロボットRの動作制御を実行するための制御プログラムとその制御定数等が格納されている。
【0059】
制御部24のCPUは、前記判定部22の判定結果により、データパケットのTPデータが送られてきた場合、そのTPデータ90が動作指令であるときは、そのTPデータに基づいてロボットRの動作を行わせる。駆動部26は、ロボットRの各関節を駆動する図示しないモータに接続され、該モータに通電させる電源ACから供給される電流を制御する。なお、電源ACから駆動部26には、ロボットRのモータ(図示しない)に電力を供給するパワーラインLSが接続されている。パワーラインLSには、判定部22、及び、制御部24によりそれぞれオンオフ制御可能な電磁スイッチMS1〜MS3が設けられている。電磁スイッチMS1〜MS3がオフされると、ロボットRのモータは停止して、ロボットRの作動が停止する。
【0060】
又、安全柵50には、図2に示すように出入口扉92がドアロックがされている否かを検出するドアロック確認器94と接続されている。ドアロック確認器94は、出入口扉92が閉じられているときに、図示しない接点がオン(閉)となり、判定部22にオン信号を入力するようになっている。すなわち、出入口扉92が閉じられているときは、安全柵50内でロボットRの自動運転が行われる(すなわち、作業者Mによる教示操作は行われていない)ものとみなして判定部22にオン信号を入力する。一方、出入口扉92が開いているときは、安全柵50内に作業者Mが進入して教示操作を行うものとみなして判定部22にオン信号を入力しない。
【0061】
(6.信号強度、及び重複空間領域内の無線発信手段の存否判定について)
次に、本実施形態の信号強度、及び重複空間領域内の無線発信手段の存否判定の考え方を説明する。まず、下記の説明の便宜上、図5〜12を参照して、アンテナの受信信号の信号強度の呼び方を定義する。
【0062】
図5においては、互いに離間して配置された一対の安全柵A,Bが設けられているものとし、平面視で四角枠をなす各安全柵A,Bのそれぞれ1つのコーナに、水滴形の領域の受信範囲を有する指向性アンテナA1,B1が設けられているものとする。なお、この場合、使用する指向性アンテナA1,B1は、指向方向とは反対側である後方から届く信号については受信しないものを選択するものとする。
【0063】
又、図6に示すように、アンテナB1が、安全柵B内に位置するB局から受信する信号の強度(信号強度)をPower(B→B1)とし、隣の安全柵A内にあるアンテナA1が前記B局から受信する信号の強度(信号強度)をPower(B→A1)と表記する。なお、A局、B局は、前記実施形態の無線発信機30等の無線発信手段に相当するものである。
【0064】
上記のようにして、信号強度の表示を定義した上で、例えば、図7に示す事例を考える。図7は、安全柵Aの各コーナに指向性アンテナA1〜A4を設けた場合の説明図である。ここでは、安全柵Aの各コーナに指向性アンテナA1〜A4が配置されているものとし、それぞれの指向性アンテナの指向方向が、安全柵Aの各コーナの対角線上における内方に向かっているものとする。又、指向性アンテナA2、A4は、安全柵Aが囲む範囲であって、その受信範囲の一部が図7に示すように重複空間領域を有するように設定されているものとする。
【0065】
図7では、指向性アンテナA2,A4の信号強度が98%以上の範囲については、水滴形のラインで囲んでおり、同図に示すように、98%以上の信号強度の範囲の一部を、重複空間領域T1としている。なお、信号を送信する無線発信手段であるA局、A’局、B局の信号出力を同じとし、その位置をさまざまに変えて、それぞれのアンテナA1〜A4が受信できた最大の信号の強度を100%とする。
【0066】
図7に示すように、A局は、指向性アンテナA2,A4の信号強度がともに98%以上となる受信範囲の重複空間領域T1に位置する。
又、A’局は、指向性アンテナA2の信号強度が98%以上の受信範囲から外れた、79%の信号強度となる位置であって、指向性アンテナA4の信号強度が98%以上となる受信範囲の重複空間領域T2に位置するものとする。
【0067】
又、B局は、安全柵Aから外れた位置であり、指向性アンテナA2の信号強度が75%の受信範囲であって、指向性アンテナA4の信号強度が2%の受信範囲(すなわち、指向性アンテナA4の後方)に位置する。
【0068】
この場合、各無線発信手段(A局、A’局、B局)から送信される信号を、指向性アンテナA2,A4で構成されるダイバーシティーアンテナが受信するとき、およそ図7に示すような信号強度となる。
【0069】
指向性アンテナA2の各局の信号強度
Power(A→A2)=98%
Power(A’→A2)=79%
Power(B→A2)=75%
指向性アンテナA4の各局の信号強度
Power(A’→A4)=98%
Power(A→A4)=98%
Power(B→A4)=2%
さて、図8は、図7の事例にさらに、A”局を追加した事例である。
【0070】
なお、信号を送信する無線発信手段であるA局、A’局、A”局、B局の信号出力を同じとし、その位置をさまざまに変えて、それぞれのアンテナA1〜A4が受信できた最大の信号の強度を100%とする。
【0071】
そして、A”局は、安全柵A内であって、指向性アンテナA2,A4の信号強度が30%の受信範囲に位置するものとする。
この場合、A”局から送信される信号を、アンテナA2,A4で構成されるダイバーシティーアンテナが受信するとき、図8に示すような強度となる。
【0072】
指向性アンテナA2のA”局の信号強度
Power(A”→A2)=30%
指向性アンテナA4のA”局の信号強度
Power(A”→A4)=30%
図8の例において、重複空間領域T1,T2のいずれかに無線発信手段が存在するか否かの判定閾値を所定値以上、例えば、前記判定閾値を60%以上の信号強度とした場合、指向性アンテナA2,A4の受信範囲が所定閾値(判定閾値)以上の信号強度の位置、すなわち、重複空間領域T1,T2に、A局及びA’局が位置することが判定できる。
【0073】
又、A局に関しては、前記判定閾値を所定値以上、例えば98%以上とした場合、信号強度が指向性アンテナA2,A4の98%以上となる重複空間領域T1に位置したことが判定されたことになる。この場合、この判定閾値は、重複空間領域T1を定義付けている判定閾値となる。又、A’局に関しては、指向性アンテナA2の信号強度の判定閾値を79%以上から98%未満の受信範囲とし、指向性アンテナA4の信号強度の判定閾値を98%以上とした場合、A’局は、受信範囲の重複空間領域T2に位置することが判定できたことになる。この場合、この判定閾値は、重複空間領域T1を定義付けている判定閾値となる。
【0074】
図9は、図8の事例と異なり、指向性アンテナA2,A4の98%以上の信号強度の範囲が、安全柵Aで囲む領域を越えており、かつ、安全柵A内に重複空間領域が存在する場合であり、各無線発信手段(A局、A’局、A”局、B局)の位置は、図7の例と同じ位置であるとする。
【0075】
この場合、
指向性アンテナA2のA”局の信号強度
Power(A”→A2)=99%
指向性アンテナA4のA”局の信号強度
Power(A”→A4)=99%になったとする。
【0076】
この図9の例においても、判定閾値を60%以上の信号強度とした場合、指向性アンテナA2,A4の98%のラインの受信範囲が所定閾値(判定閾値)以上の信号強度の位置、すなわち、重複空間領域T3に、A局及びA’局が位置することが判定できる。すなわち、A局に関しては、信号強度が指向性アンテナA2,A4の98%以上となる重複空間領域にA局が位置したことが判定されたことになる。又、A’局に関しては、指向性アンテナA2の信号強度が99%の受信範囲と、指向性アンテナA4の信号強度が99%以上となる受信範囲の重複空間領域にA’局が位置することが判定できたことになる。これらの判定閾値は、それぞれ、重複空間領域を定義付けていることになる。
【0077】
図10の例では、指向性アンテナA2,A4の信号強度が98%以上の範囲については、水滴形のラインで囲んでおり、同図に示すように、98%以上の信号強度の範囲に、重複空間領域がない場合の事例である。
【0078】
この場合、図10に示すように、A局は、指向性アンテナA2,A4の信号強度が30%となる受信範囲の重複空間領域に位置するものとする。又、A’局は、指向性アンテナA2の信号強度が20%信号強度となる位置であって、指向性アンテナA4の信号強度が99%となる受信範囲に位置するものとする。又、A”局は、指向性アンテナA2の信号強度が10%信号強度となる位置であって、指向性アンテナA4の信号強度が10%となる受信範囲に位置するものとする。又、B局は、安全柵Aから外れた位置であり、指向性アンテナA2の信号強度が3%の受信範囲であって、指向性アンテナA4の信号強度が2%の受信範囲(すなわち、指向性アンテナA4の後方)に位置するものとする。
【0079】
図10の例において、例えば、指向性アンテナA2,A4の信号強度の判定閾値を60%以上の信号強度とした場合、指向性アンテナA2,A4の受信範囲が所定閾値(判定閾値)以上の信号強度の位置、すなわち、重複空間領域に、A局,A’局,A”局、B局が位置していないことを判定できる。
【0080】
上記のように複数の指向性アンテナにより、受信範囲の重複空間領域を形成し、各指向性アンテナが受信した信号(受信信号)の信号強度を、重複空間領域を定義付けている判定閾値と比較することにより、複数の重複空間領域のうち、どの重複空間領域に、信号を発信した無線発信手段が存在するか、或いは存在しないかの判定を行うことができる。
【0081】
そして、本実施形態では、上述した方法により重複空間領域である動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3及び進入許可領域SBに無線発信手段が存在するか否かを判定する。
【0082】
(7.実施形態の作用)
さて、上記のように構成されたロボット制御システムの作用を参照して説明する。ロボット制御装置20の判定部22は、各領域の有無判定、すなわち、無線発信機がどの領域に存在しているか否かの有無の判定を所定の制御周期毎に実行する。
【0083】
例えば、教示操作装置10を把持し、かつ、無線発信機30を付けた作業者M(操作者)が出入口扉92を開けて、安全柵50内に入った場合、図1、図2に示す判定部22は、出入口扉92が開けられていることからドアロック確認器94からはオン信号が入力されていないため、教示操作装置10及び送受信装置40A〜40Eから送られてきたデータパケット(受信信号)の有無の確認を行う。以下、教示操作装置10からロボットRを教示動作するめのTPデータを含むデータパケット、及び送受信装置40A〜40Eからデータパケットが前記所定の制御周期で判定部22に送られてきたものとして、判定部22での処理を中心に説明する。なお、ロボット制御装置20は、送信されたTPデータを含むデータパケットに基づいてロボットRが教示動作する。
【0084】
(7.1.判定部22の処理)
判定部22は、各アンテナ61〜65の各データパケット(受信信号)に格納された経由地情報84に基づいてアンテナ61〜65のデータパケット(受信信号)の送信元データ80のID情報82を解読する。なお、データパケットには、教示操作装置10のデータパケットも含む。
【0085】
前記解読の処理が終了すると、判定部22は、アンテナ61〜65が受信した信号(受信信号)の信号強度を、各アンテナが受信したデータパケットの信号強度88から読出し、それぞれのデータパケットから固有IDであるID情報82毎に、並べる。これは、データパケットを送信した無線発信機30は1つ以上ある場合、例えば、操作者を含めて作業者が複数の場合があり、各無線発信機30の固有IDであるID情報82毎にそれぞれのアンテナが受信したデータパケットの信号強度を並べるのである。
【0086】
次に、判定部22は、固有IDであるID情報82が同じもの(データパケット)同士で信号強度88を確認する。この信号強度の確認により、それぞれのID情報82を持った無線発信機30等が、いずれの領域に存在するか否かが判定できる。
【0087】
すなわち、判定部22は、ID情報82が同じであるデータパケット(受信信号)が、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3及び進入許可領域SB毎に、無線発信機30,30A,30Bの存在の有無を判定するための条件(以下、存在の有無判定条件という)を満足しているか否かを判定する。
【0088】
以後の説明では、「存在の有無判定条件」の説明において、説明を簡略するために、「無線発信機が発信したデータパケットについての信号強度」の趣旨の表現を、単に「無線発信機の信号強度」という。又、以下の説明では、無線発信機の信号強度において、各領域の存在の有無判定条件を満足するか否かの判定に供される無線信号のデータパケットは、教示操作装置10のデータパケット以外の無線発信機30,30A,30B等(すなわち、後述する非正規の無線発信機を含む)のデータパケットを含む。
【0089】
(7.1.1. 進入許可領域SBの存在の有無判定条件)
進入許可領域SBにおける存在の有無判定条件は、アンテナ61で受信した無線発信機の信号強度88が、アンテナ61の受信範囲61aのX1(%)以上であること、及び、アンテナ65で受信した無線発信機の信号強度88がアンテナ65の受信範囲65aのX5(%)以上である。
【0090】
(7.1.1.1. 正規(記憶手段22aに登録)の無線発信機30の場合)
無線発信機30の信号強度が、さらに、進入許可領域SBにおいて、存在の有無判定条件を満たし、かつ、データパケットのID情報82が、記憶手段22aに記憶していた進入許可領域SBに存在が許可されているものである場合、判定部22は、進入許可領域SBに存在が許可されている作業者Mが、進入許可領域SBにいるものと判定し、警告装置22bを作動させないままとする。この結果、作業者Mの進入許可領域SBの存在が許容された状態となる。
【0091】
又、当該無線発信機のデータパケットのID情報82が、記憶手段22aに記憶していた進入許可領域SBに存在が許可されているものであるが、進入許可領域SBの有無判定条件を満たさない場合は、進入許可領域SBに、作業者Mがいないものと判定し、警告装置22bを作動させないままとする。
【0092】
(7.1.1.2. 非正規(すなわち、記憶手段22aに無登録、以下、同じ。)の無線発信機の場合)
進入許可領域SBの有無判定条件を満たすが、データパケットのID情報82が、記憶手段22aに記憶されていない場合は、進入許可領域SBに存在が許可されていない非正規の無線発信機であると、判定部22は判定し、警告装置22bを作動させる。この結果、警告装置22bが警告ランプの場合は、警告ランプが点滅することにより警告し、警告装置22bが警告ブザーの場合は鳴動して警告する。
【0093】
(7.1.1.3. 無線発信機30A,30Bの場合)
無線発信機30A,30Bの信号強度が、進入許可領域SBにおいて、存在の有無判定条件を満たしていた場合、無線発信機30A,30BのID情報82は、記憶手段22aにそのID情報82が記憶されている。この場合は、この無線発信機30A,30Bは、進入許可領域SB内には、もともと移動できないものであるため、電波状態のゆらぎ等が原因の電波状況であるとして、記憶手段22aは、警告装置22bを作動させないままとする。
【0094】
(7.2.1. 減速動作領域SA2,SA3の存在の有無判定条件)
減速動作領域SA2における存在の有無判定条件は、アンテナ61で受信した無線発信機の信号強度88が、アンテナ61の受信範囲61aのX1(%)以上であること、及び、アンテナ62で受信した無線発信機の信号強度88がアンテナ62の受信範囲62aのX2(%)以上である。又、減速動作領域SA3における存在の有無判定条件は、アンテナ61で受信した無線発信機の信号強度88が、アンテナ61の受信範囲61aのX1(%)以上であること、及び、アンテナ64で受信した無線発信機の信号強度88がアンテナ64の受信範囲64aのX4(%)以上である。
【0095】
この条件を設定している理由は、無線発信機30A,30Bの信号強度が、減速動作領域SA2,SA3の存在の有無判定条件を満たしている場合、無線発信機30A,30Bは、進入許可領域SB内には、移動はできるが、この領域は、ロボットRの周辺に配置されている周辺機器、治具、建物の構造物、或いは、進入許可領域SBに近接した領域であって、他のものに干渉しやすい領域であるからである。
【0096】
(7.2.1.1. 正規の無線発信機30の場合)
この減速動作領域SA2,SA3において存在が認められて、記憶手段22aに記憶されているID情報82は、無線発信機30A,30Bのみである。
【0097】
従って、無線発信機30の信号強度が、減速動作領域SA2,SA3の存在の有無判定条件を満たした場合、判定部22は、減速動作領域SA2,SA3に存在が許可されていない作業者M(無線発信機30)が、減速動作領域SA2,SA3にいるものと判定し、警告装置22bを作動させ、かつ、教示操作装置10からのTPデータに基づく、TPデータの各種動作指令を無効化して、制御部24に判定信号を出力し、この判定信号に基づいて、制御部24から駆動部26にロボットRの停止指令を入力してロボットRを停止させる。或いは、制御部24によりロボットRを停止させる場合は、制御部24がパワーラインLSの電磁スイッチMS3をオフ作動させてもよい。又、ロボットRを停止させる場合は、判定部22が、電磁スイッチMS1,MS2をオフさせるようにしてもよい。
【0098】
判定部22が、電磁スイッチMS1,MS2をオフさせる信号は、駆動手段を駆動停止させる判定信号に相当する。
このようにロボットRを停止させるとともに、警告を付与することにより、作業者Mに、減速動作領域SA2,SA3に、無線発信機30が移動したことを覚らせるのである。なお、無線発信機30Aの信号強度が、減速動作領域SA2,SA3の存在の有無判定条件を満たす場合の判定部22の判定は、無線発信機30が進入許可領域SBに存在しないと、判定部22が判定したことと同義である(請求項7)。
【0099】
(7.2.1.2. 非正規の無線発信機の場合)
前述したように減速動作領域SA2,SA3において存在が認められて、記憶手段22aに記憶されているID情報82は、無線発信機30A,30Bのみである。
【0100】
従って、登録されていない無線発信機の信号強度が、減速動作領域SA2,SA3の存在の有無判定条件を満たした場合、判定部22は、進入許可領域SBに存在が許可されていない作業者が、減速動作領域SA2,SA3にいるものと判定し、警告装置22bを「7.2.1.1.」と同様に作動させるとともに、ロボットRを停止させる。
【0101】
この場合は、例えば、正規の無線発信機30を把持した作業者Mは、進入許可領域SBに存在して、教示操作装置10を教示操作している最中に、教示操作装置10を持たない他の作業者がSA2,SA3に入る場合があり得る。このような場合には、ロボットRを停止させるとともに、警告装置22bを警告動作させるのである。このような場合は、教示操作装置10を持つ作業者Mと、該作業者M以外のSA2,SA3に入った作業者の両者に警告を付与することができる。
【0102】
(7.2.1.3. 無線発信機30A,30Bの場合)
登録されている無線発信機30A,30Bの信号強度が、制限領域である減速動作領域SA2,SA3の存在の有無判定条件を満たした場合、判定部22は、教示操作装置10からのTPデータに基づくロボットRの作動を、教示で指定された速度よりも減速させ減速指令を制御部24に出力させる判定信号を制御部24に入力する。この結果、制御部24は、駆動部26に減速指令を入力してロボットRを減速作動させる。
【0103】
このように減速をロボットRにさせることにより、作業者Mに、制限領域である減速動作領域SA2,SA3に、ロボットRの干渉しやすい部位が移動したことを覚らせるとともに、教示作業を慎重に行わせる。
【0104】
なお、無線発信機30A,30Bが減速動作領域SA2,SA3に位置した場合と、「7.2.1.1.」、又は「7.2.1.2.」の場合とが、同時に競合した場合、判定部22は、「7.2.1.1」、又は「7.2.1.2」の処理を優先する。
【0105】
(7.3.1. 動作許可領域SA1の存在の有無判定条件)
動作許可領域SA1における存在の有無判定条件は、アンテナ61で受信した無線発信機の信号強度88が、アンテナ61の受信範囲61aのX1(%)以上であること、及び、アンテナ63で受信した無線発信機の信号強度88がアンテナ62の受信範囲63aのX3(%)以上である。
【0106】
(7.3.1.1. 正規の無線発信機30、非正規の無線発信機の場合)
この動作許可領域SA1において存在が認められて、記憶手段22aに記憶されているID情報82は、無線発信機30A,30Bのみである。
【0107】
従って、無線発信機30又は、非正規の無線発信機の信号強度が、動作許可領域SA1の存在の有無判定条件を満たした場合、判定部22は、進入許可領域SBに存在が許可されていない作業者が、動作許可領域SA1にいるものと判定し、警告装置22bを作動させ、かつ、ロボットRの作動を、「7.2.1.1」と同様の停止方法により停止させる。
【0108】
なお、無線発信機30Aの信号強度が、動作許可領域SA1の存在の有無判定条件を満たす場合の判定部22の判定は、無線発信機30が進入許可領域SBに存在しないと、判定部22が判定したことと同義である(請求項7)。
【0109】
(7.3.1.2. 無線発信機30A,30Bの場合)
登録されている無線発信機30A,30Bの信号強度が、動作許可領域SA1の存在の有無判定条件を満たした場合、判定部22は、教示操作装置10からのTPデータに基づくロボットRの作動を、教示で指定された速度で作動させるように、教示操作装置10から送信されたTPデータを制御部24に送る。なお、無線発信機30A,30Bが動作許可領域SA1に存在した場合と、「7.3.1.1.」の場合とが、同時に競合した場合、判定部22は、「7.3.1.1.」の処理を優先する。
【0110】
(7.4. 無線発信機30A,30Bの信号強度がなくなった場合)
無線発信機30A,30Bの信号強度が、動作許可領域SA1の存在の有無条件、減速動作領域SA2,SA3の存在の有無条件をいずれも満足していない場合は、記憶手段22aに登録されている無線発信機30A,30Bの信号強度が、動作許可領域SA1、減速動作領域SA2,SA2のいずれにも存在しないと判定部22が判定する。
【0111】
この場合、判定部22は、すなわち、無線発信機30A,30Bからのデータパケットが、正常に送信されておらず、或いは、無線発信機30A,30Bの回路に故障が発生し、或いは、無線発信機30A,30Bの電源が供給されていない場合等の故障があると判定し、その判定信号を制御部24に出力して、制御部24に停止指令を出力させ、制御部24によりロボットRを停止させる。なお、ロボットRの停止方法は、「7.2.1.1」と同様の停止方法により停止させてもよい。ここで、判定部22が、電磁スイッチMS1,MS2をオフさせた場合、このオフ信号は、駆動手段を駆動停止させる判定信号に相当する(請求項3)。
【0112】
このように、予め、各領域(動作許可領域SA1、減速動作領域SA2,SA3)に存在が予定されている領域において、いずれにも、該無線発信機30A,30BのID情報82の関するデータパケットのID情報82を良好に取得できない場合には、ロボットRを停止させる。
【0113】
さて、本実施形態によれば、以下のような特徴がある。
(1) 本実施形態のロボット制御システム(可動機械システム)は、作業者Mに把持されている部位等、及び、ロボットRの部位(動物体の位置監視対象部位)に設けられ、ID情報82(位置確認のための位置確認固有ID)を無線発信する3つの無線発信機30等(無線発信手段)と、受信範囲の一部が互いに重なり合った動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3,進入許可領域SB(三次元重複空間領域)の4つを有するように、位置が変動しない安全柵50(固定部材)に固定された5個のアンテナ61〜65(指向性アンテナ)と、三次元重複空間領域に位置することが許容されている無線発信機30等(無線発信手段)のID情報(位置確認固有ID)を3つを記憶する記憶手段22aと、各前記指向性アンテナが受信した各受信信号の信号強度を検出する信号強度測定部43(検出手段)と、記憶手段22aが記憶したID情報(位置確認固有ID)と、各受信信号のID情報82(位置確認固有ID)が一致する場合に、信号強度測定部43による各受信信号の信号強度の検出結果に基づいて、前記三次元重複空間領域に前記無線発信手段が存在するか否かを判定する判定部22(判定手段)を備える(請求項1)。
【0114】
この結果、本実施形態によれば、自らが電波を発する無線発信機30等(無線発信手段)を、作業者Mに把持されている部位等、及び、ロボットRの部位に設けることで、作業者Mに把持されている部位等、及び、ロボットRの部位が、設定した三次元重複空間領域内に収まっているかどうかを安定して監視できる。又、本実施形態によれば、無線発信機30等を、作業者Mに把持されている部位等、及び、ロボットRの部位に設けることにより、作業者Mに把持されている部位等、及び、ロボットRの部位が、設定した動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3,進入許可領域SB内に収まっているかどうかを安定して監視できる。
【0115】
(2) 本実施形態のロボット制御システムは、制御部24(制御手段)により作動制御されるとともに、駆動部26(駆動手段)により駆動されているロボットR(可動機械)を動物体としている。又、ロボット制御システムでは、無線発信機30A,30B(無線発信手段)が、ロボットRの駆動部26により作動する部位としてロボットの部位に取付けられている(請求項2)。
【0116】
この結果、本実施形態によれば、ロボットRの部位に、電波を発する無線発信機30A,30Bを物理的に設置することで、ロボットRの位置監視対象部位であるロボットの部位の移動が容易になり、従来と異なり、位置監視対象部位であるロボットRの部位を変更する度に、このロボットRの部位の位置を教示設定する時間と労力を大幅に省くことができる。また特別な技能をもった人に限らず、ロボットRの部位に対する無線発信機30A,30Bの設置や、異なるロボットRの部位への該無線発信機30A,30Bの移動作業が可能になる。
【0117】
(3) 本実施形態のロボット制御システムでは、判定部22(判定手段)が、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3のいずれの領域にも無線発信機30A,30B(無線発信手段)が存在しないと判定した場合には、制御部24(制御手段)に対してロボットRの停止指令を出力させる判定信号を入力した。或いは、判定部22は、駆動部26(駆動手段)を駆動停止させるオフ信号(判定信号)を出力する。そして、制御部24(制御手段)は停止指令に基づいて、ロボットRを停止し、或いは、駆動部26(駆動手段)は、オフ信号に基づいてロボットRを停止する(請求項3)。
【0118】
この結果、本実施形態によれば、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3に無線発信機30A,30B(無線発信手段)が存在しないと判定した場合には、ロボットRを停止でき、安全性の高いシステム構成とすることができる。又、このような場合、無線発信機30A,30Bの無線関係の回路等の不具合があり得るため、安全のため停止できる。
【0119】
(4) 本実施形態のロボット制御システムは、減速動作領域SA2,SA3を、無線発信機30A,30Bが位置することが許容され、かつ、ロボットRの動作制限が付与される制限領域としている。そして、ロボット制御システムの判定部22(判定手段)は、信号強度測定部43(検出手段)による各受信信号の信号強度の検出結果に基づいて、減速動作領域SA2,SA3(制限領域)に、ロボットRに設けられた無線発信機30A,30B(無線発信手段)が存在すると判定した場合には、ロボットRの制御部24(制御手段)に対して、減速指令を出力させる判定信号を入力する。
【0120】
この結果、本実施形態のロボット制御システムによれば、制限領域の減速動作領域SA2,SA3に、ロボットRに設けられた無線発信機30A,30Bが存在した場合には、制限領域では速度が減速した状態で作動させることができ、制限領域の減速動作領域SA2,SA3を、ロボットRが他のものに対する干渉対策の領域とすることができる。
【0121】
(5) 本実施形態では、動物体の位置監視対象部位として、人が持ち運び可能な無線発信機30(携帯物)としている(請求項6)。
この結果、本実施形態のロボット制御システムでは、上記、(1)、(2)の効果に加え、人が持ち運ぶ物が、設定した進入許可領域SB(三次元重複空間領域)内に収まっているかどうかを安定して監視できる。
【0122】
(6) 本実施形態のロボット制御システムは、判定部22(判定手段)が、進入許可領域SB(三次元重複空間領域)に、人が携帯する無線発信機30(無線発信手段)が存在しないと判定した場合には、警告を発生する警告装置22b(警告手段)を備える(請求項7)。
【0123】
この結果、本実施形態によれば、進入許可領域SB(三次元重複空間領域)に無線発信機30が存在しないと判定した場合には警告を発生するため、作業者は、進入許可領域SBに無線発信機30が存在しないことを知ることができる。
【0124】
(7) 本実施形態のロボット制御システムでは、ロボットR(第1動物体)の部位(位置監視対象部位)に設けられ、固有ID(位置確認固有ID)を無線発信する無線発信機30A,30Bを第1無線発信手段とし、作業者M(第2動物体)が運搬する着衣等(位置監視対象部位)に設けられた無線発信機30を第2無線発信手段としている。又、ロボット制御システムは、受信範囲の一部が互いに重なり合った三次元重複空間領域として、進入許可領域SB、動作許可領域SA1,及び減速動作領域SA2,SA3の4つを有するように、位置が変動しない安全柵50(固定部材)に固定された5個のアンテナ61〜65(指向性アンテナ)を有する。又、ロボット制御システムは、三次元重複空間領域のうち、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3は無線発信機30A,30B(第1無線発信手段)の存在が許容されている第1領域とし、進入許可領域SBを、無線発信機30(第2無線発信手段)の存在が許容されている第2領域としている。
【0125】
又、ロボット制御システムは、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3(第1領域)に位置することが許容されている無線発信機30A,30B(第1無線発信手段)の固有ID(位置確認固有ID)と、進入許可領域SB(第2領域)に位置することが許容されている無線発信機30(第2無線発信手段)の固有ID(位置確認固有ID)をそれぞれ記憶する記憶手段22aと、各前記指向性アンテナが受信した各受信信号の信号強度を検出する信号強度測定部43(検出手段)と、記憶手段22aが記憶した前記各固有ID(位置確認固有ID)と、前記各受信信号のID情報82(位置確認固有ID)の一致の有無、及び、信号強度測定部43(検出手段)による各受信信号の信号強度の検出結果に基づいて、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3(第1領域)に、無線発信機30A,30B(第1無線発信手段)と、無線発信機30とが存在するか否かを判定する判定部22(判定手段)を備える。そして、判定部22は、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3(第1領域)に、無線発信機30A,30B,30が存在していると判定した際には、制御部24(制御手段)に対してロボットRの停止指令信号、或いは、前記駆動手段を駆動停止させる判定信号を出力する。そして、制御部24は停止指令に基づいて、ロボットRを停止、或いは、駆動部26(駆動手段)は、駆動停止させる判定信号に基づいてロボットRを停止する(請求項8)。
【0126】
この結果、本実施形態によれば、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3(第1領域)に位置するロボットRと作業者Mとの干渉を防止することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のロボット制御システムを図4(b)、図11、図12を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付し、異なる構成を中心に説明する。
【0127】
本実施形態のロボット制御システムは、第1実施形態の構成にさらに送受信装置40Fが設けられ、教示操作装置10と、ロボットRを動作制御するロボット制御装置20と、携帯物としての無線発信機30と、前記教示操作装置10、無線発信機30、30A,30Bとロボット制御装置20とをネットワーク手段としての無線LAN(ローカルエリアネットワーク)にて無線接続する送受信装置40A〜40Fとにより構成されている。
【0128】
送受信装置40Fのアンテナ66は、第1実施形態のアンテナ61等と同様に指向性アンテナからなり、図11に示すように、アンテナ64とアンテナ65との間に安全柵50に固定されている。
【0129】
アンテナ61,62との組合せ、アンテナ61、63との組合せ、アンテナ61,64との組合せ、アンテナ61,65、及びアンテナ61とアンテナ66との組合せが、それぞれダイバーシティアンテナとなっている。アンテナ66の指向方向は、アンテナ61の受信するための指向方向とは交差する方向であって、下向き或いは斜め下方を指向するように配置されている。図11、図4(b)に示す受信範囲61a〜66aは、各アンテナ61〜66のそれぞれの受信範囲である。受信範囲61a〜66aは、無線発信機30、30A,30Bが同じ信号出力(無線出力)で発信した場合、所定値X1〜X6(%)以上の信号強度を受信できる範囲を示している。本実施形態では10≦X1〜X6≦100であるが、この値に限定するものではない。なお、所定値X1〜X6(%)は、信号を送信する無線発信機30、30A,30Bの信号出力を同じとし、その位置をさまざまに変えて、それぞれのアンテナ61〜66が受信できた最大の信号の強度を100%としたときの値である。前記X1〜X6は、同じ値でもよく、異なる値でもよく、アンテナ61〜66の設置位置の種々の条件によって決定すればよい。
【0130】
本実施形態では、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3、及び、受信範囲61aと受信範囲65aの重複空間領域である進入許可領域SBは、第1実施形態と同様である。さらに、本実施形態では、進入許可領域SBにおいて、受信範囲61aと受信範囲66aの重複空間領域が設けられ、該重複空間領域を第1作業者進入許可領域SB1とし、残りの領域を第2作業者進入許可領域SB2としている。すなわち、第1作業者進入許可領域SB1は、第2作業者進入許可領域SB2よりも、よりロボットRに近いところに配置されている。第1作業者進入許可領域SB1は、高度の教示操作を行うことができる範囲であり、第2作業者進入許可領域SB2は、低度の教示操作を行うことができる範囲である。
【0131】
ロボット制御装置20の記憶手段22aには、作業者Mが教示操作できる範囲のグレードに応じた固有IDが記憶されている。本実施形態では、第1作業者進入許可領域SB1,第2作業者進入許可領域SB2のいずれにおいても、教示操作できる第1固有IDと、第2作業者進入許可領域SB2のみで教示操作できる第2固有IDが記憶されている。
【0132】
作業者Mは、作業者Mが教示操作できる範囲の前記グレードに応じて、第1固有IDを発信する無線発信機30、又は、第2固有IDを発信する無線発信機30を着衣等に取付けする。
【0133】
作業者が、第1又は第2固有IDのいずれかを発信する無線発信機30を着衣等に取付けした状態で、第2作業者進入許可領域SB2も又は第1作業者進入許可領域SB1に位置した場合には、下記の処理が判定部22によりそれぞれ行われる。判定部22は、制限・許可付与手段に相当する。
【0134】
(1.第2作業者進入許可領域SB2に作業者Mが存在する場合)
判定部22は、送受信装置40A、40Eの信号強度測定部43が検出した受信信号の信号強度が、それぞれX1(%)以上、X5(%)以上であって、かつ、送受信装置40A、40Fの信号強度測定部43が検出した受信信号の信号強度が、それぞれX1(%)以上、X6(%)未満である場合、無線発信機30が、第2作業者進入許可領域SB2に存在すると判定する。
【0135】
この場合、判定部22は、受信したデータパケットのID情報82(位置確認固有ID)が、第1又は第2作業者進入許可領域SB2のいずれの領域に存在することを許容されている固有IDなのかの決定を、記憶手段22aに記憶された第1固有ID、第2固有IDとの照合により行う。照合した結果、前記受信したデータパケットのID情報82が、第2固有IDの場合は、作業者Mが持つ教示操作装置10からの教示データに基づくロボットRを教示を許可する。すなわち、以後、判定部22は、第2固有IDにおける作業者Mが教示操作できる低度の範囲の教示データのみにより、すなわち、教示操作に制限を加えて制御部24に該教示データに基づく制御を許容する。
【0136】
なお、受信したデータパケットのID情報82(位置確認固有ID)が、記憶手段22aに記憶されていないID情報82の場合は、作業者Mが教示操作装置10が送信する教示データによる教示作業を許容せず、その旨を教示操作装置10の図示しない表示装置に表示させるコマンドを送る。教示操作装置10は、図示しない表示装置に表示にコマンドに応じた表示、すなわち、教示作業ができない旨を表示する。
【0137】
(2. 第1作業者進入許可領域SB1に作業者Mが存在する場合)
判定部22は、送受信装置40A、40Eの信号強度測定部43が検出した受信信号の信号強度が、それぞれX1(%)以上、X5(%)以上であって、かつ、送受信装置40A、40Fの信号強度測定部43が検出した受信信号の信号強度が、それぞれX1(%)以上、X6(%)以上である場合、無線発信機30が、第1作業者進入許可領域SB1に存在すると判定する。
【0138】
この場合、判定部22は、受信したデータパケットのID情報82(位置確認固有ID)が、第1又は第2作業者進入許可領域SB2のいずれの領域に存在することを許容されている固有IDなのかの決定を、記憶手段22aに記憶された第1固有ID、第2固有IDとの照合により行う。照合した結果、前記受信したデータパケットのID情報82が、第1固有IDの場合は、作業者Mが持つ教示操作装置10からの教示データに基づくロボットRを教示を許可する。すなわち、前記教示データにより、教示操作を制御部24に許容する。
【0139】
すなわち、以後、判定部22は、第1固有IDにおける作業者Mが教示操作できる高度の範囲の教示データにより、教示操作を許容する。前記高度の範囲の教示データとは、前述した第2固有IDにおける作業者Mが教示操作できる低度の範囲の教示データを含むとともに、さらにこの低度の範囲よりも、教示作業が難しい教示データを含むものである。
【0140】
又、受信したデータパケットのID情報82(位置確認固有ID)が、第2固有IDの場合、又は記憶手段22aに記憶されていないID情報82の場合は、作業者Mが教示操作装置10が送信する教示データによる教示作業を許容せず、その旨を教示操作装置10の図示しない表示装置に表示させるコマンドを送る。教示操作装置10は、図示しない表示装置に表示にコマンドに応じた表示、すなわち、教示作業ができない旨を表示する。
【0141】
第2実施形態は下記の特徴がある。
(8) 本実施形態のロボット制御システムは、記憶手段22aが記憶した固有ID(位置確認固有ID)と、各受信信号のID情報82(位置確認固有ID)が一致する場合に、信号強度測定部43(検出手段)による各受信信号の信号強度の検出結果に基づいて、第1作業者進入許可領域SB1,第2作業者進入許可領域SB2のいずれの領域内に、発信した無線発信機30(無線発信手段)が存在するか否かを判定する判定部22(判定手段)と、前記判定した無線発信機30が存在する第1作業者進入許可領域SB1,第2作業者進入許可領域SB2のいずれの領域に応じて、作業者M(操作者)が持つ教示操作装置10の操作内容に制限又は許可を、制御部24(制御手段)に付与する判定部22(制限・許可付与手段)を備える。
【0142】
この結果、本実施形態のロボット制御システムによれば、教示操作装置10の操作する位置、すなわち、操作者が位置する場所に応じて、教示操作できる範囲にグレードを設けることができる。又、教示操作の範囲のグレードは、例えば、初心者、或いは中級者と熟練者との教示作業の経験に応じて設定すれば、初心者のロボットRに対する、操作者(初心者、中級者或いは熟練者)の操作位置を指定できる効果がある。
【0143】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 前記第1実施形態では、位置監視対象部位であるロボットRの部位(アームの部位、ツール)に無線発信機30A,30Bを1つずつそれぞれ設けたが、各部位に対して複数の無線発信機を設けてもよい。例えば、無線発信機30Aを一対、無線発信機30Bを一対設けてもよい。この場合、各部位に設けられる複数の無線発信機は、互いに異なる無線周波数にして、それぞれの発信する信号が重ならないようにすることが好ましい。又、この場合、送受信する送受信装置40A〜40Eも、図1の二点鎖線で示すようにそれぞれ複数個(例えば、一対)となるようにして、各部位毎に設けられたそれぞれの無線発信機の異なる周波数の信号を、複数の送受信装置で通信できるようにする。そして、各送受信装置40A〜40Eの信号強度測定部43(検出手段)では、受信信号の信号強度を検出し、ロボット制御装置20の判定部22(判定手段)では、各送受信装置40A〜40Eの、信号強度測定部43の信号強度の検出結果に基づいて、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3,進入許可領域SBに無線発信機30A,30B,30(無線発信手段)が存在するか否かを判定する。
【0144】
このようにして無線発信機、送受信装置をそれぞれ冗長な構成にすることにより、1つの送受信が故障でできなくなったときにも、残りの装置で、少なくとも1つの信号を受信することができ、安全性を高めることができる。
【0145】
・ 第1実施形態では、固定部材を安全柵50としたが、固定部材は限定するものではなく、建物等の固定構造物(例えば天井、フロア)、或いは大地に対して、指向性アンテナを取付けできるものであればよい。
【0146】
・ 第1実施形態では、アンテナ61は、安全柵50内のロボットRと、出入口扉92に向けて受信の向きを指向するように、すなわち、ロボットRが教示された作業を行うために必要な作業空間領域と、出入口扉92とロボット間の空間領域であって、作業者Mが移動可能な空間領域の両空間領域を、アンテナ61の受信範囲として少なくとも含むように配置したが、指向性アンテナの配置は、第1実施形態の配置に限定するものではない。又、各アンテナの個数を増やしたり、少なくしたりして、アンテナの組合せによる受信範囲の重複空間領域を設定することも種々可能である。
【0147】
・ 無線発信手段を、無線発信機30等の代わりに無線ICタグ(パッシブタイプ、及びアクティブタイプを含む)にしてもよい。特にパッシブタイプの無線ICタグの場合は、電池が必要でないため、電池消耗による電池交換の必要がない利点がある。
【0148】
・ 第1実施形態では、受信範囲の一部が互いに重なり合った三次元重複空間領域を、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3,進入許可領域SBのように4つ有するように形成した。三次元重複空間領域の重なりは4つに限定するものではなく、1つ、或いは2、3、5個以上あってもよい。例えば、三次元重複空間領域の重なりが1つの場合は、2個の指向性アンテナでよく、2つの三次元重複空間領域の重なりでは、3個の指向性アンテナがあればよい。
【0149】
・ 第1実施形態では、三次元重複空間領域に位置することが許容されている無線発信機30等(無線発信手段)のID情報82(位置確認固有ID)の2つを記憶手段22aに記憶したが、位置監視対象部位の数に応じて1つ以上であればよい。
【0150】
・ 第1実施形態では、判定部22(判定手段)が、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3に無線発信機30A,30B(無線発信手段)が存在しないと判定した場合には、制御部24(制御手段)に対してロボットRの停止指令を出力する判定信号を入力した。この代わりに、判定部22(判定手段)は、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3に無線発信機30A,30B(無線発信手段)が存在しないと判定した場合には、制御部24(制御手段)に対してロボットRの減速指令を出力させる判定信号を入力するようにしてもよい。この場合、制御部24は、駆動部26を介してロボットRを、TPデータ、或いは予め設定された速度よりも減速した速度でロボットRを作動させることができる。
【0151】
・ 第1実施形態では、無線発信機30を作業者Mの着衣等に設けるようにしたが、人が運搬可能な携帯物を教示操作装置10とし、教示操作装置10の無線通信を行う送受信部15aを無線発信機30の代わりとしてもよい。
【0152】
・ 第1実施形態において、アンテナを5つ設けたが、第1領域、第2領域を形成する場合、受信範囲の一部が互いに重なり合った三次元重複空間領域を少なくとも2つ有するようにし、アンテナ数は3個以上設ければよい。
【0153】
・ 第1実施形態において、無線発信機の位置の確認のためであれば、第1実施形態において、進入許可領域SB,減速動作領域SA2,SA3を省略するようにアンテナを省略し、アンテナ61,63のみにして動作許可領域SA1のみにしてもよい。
【0154】
或いは、動作許可領域SA1,減速動作領域SA2,SA3を省略するようにアンテナを省略し、アンテナ61,65のみにして、進入許可領域SBを残すようにしてもよい。このようにして、受信範囲の一部が互いに重なり合った三次元重複空間領域を少なくとも1つ有するように、位置が変動しない固定部材に固定された少なくとも2個以上の指向性アンテナがあればよい。
【0155】
・ 第2実施形態では、第1作業者進入許可領域SB1,第2作業者進入許可領域SB2の2つとしたが、進入許可領域SBは、作業者の教示操作できる範囲のグレードに応じて3つ以上設けてもよい。
【0156】
・ 第2実施形態では、アンテナを6つ設けたが、受信範囲の一部が互いに重なり合った三次元重複空間領域を少なくとも2つ有するようにし、アンテナ数は3個以上設けておけばよい。
【0157】
・ 第2実施形態では、作業者の教示操作できる範囲のグレードに応じて進入許可領域SBを区分したが、判定部22は、図示はしないがCPU、ROM、RAMを備えており、前記判定部22の判定結果により、データパケットの動作指令以外のTPデータが送られてきた場合に、該TPデータ90に基づいて、ロボット制御とは無関係のロボット動作外処理を行うようにしてもよい。このロボット動作外処理とは、例えば、ロボットRを管理するためのデータ作成、メンテナンス情報等の集計、報告等の処理があるが、これらの処理に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0158】
22…判定部(判定手段)、22a…記憶手段、
22b…警告装置(警告手段)、24…制御部(制御手段)、
26…駆動部(駆動手段)、
30…無線発信機(無線発信手段、携帯物、第2無線発信手段)、
30A,30B…無線発信機(可動機械の駆動手段により作動する部位に取付けられる無線発信手段、第1無線発信手段)、
43…信号強度測定部(検出手段)、50…安全柵(固定部材)、
M…作業者(動物体)、R…ロボット(動物体としての可動機械)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物体の位置監視対象部位に設けられ、位置確認のための位置確認固有IDを無線発信する少なくとも1つの無線発信手段と、
受信範囲の一部が互いに重なり合った三次元重複空間領域を少なくとも1つ有するように、位置が変動しない固定部材に固定された少なくとも2個以上の指向性アンテナと、
前記三次元重複空間領域に位置することが許容されている無線発信手段の位置確認固有IDを少なくとも1つを記憶する記憶手段と、
各前記指向性アンテナが受信した各受信信号の信号強度を検出する検出手段と、
前記記憶手段が記憶した位置確認固有IDと、前記各受信信号の位置確認固有IDが一致する場合に、前記検出手段による各受信信号の信号強度の検出結果に基づいて、前記三次元重複空間領域に前記無線発信手段が存在するか否かを判定する判定手段を備えることを特徴とする動物体の監視装置。
【請求項2】
前記動物体が、制御手段により作動制御されるとともに、駆動手段により駆動されている可動機械であり、
前記無線発信手段が、前記可動機械の前記駆動手段により作動する部位に取付けられるものであることを特徴とする請求項1に記載の動物体の監視装置。
【請求項3】
前記判定手段が、前記三次元重複空間領域に前記無線発信手段が存在しないと判定した場合には、前記制御手段に対して前記可動機械の停止指令信号、或いは、前記駆動手段を駆動停止させる判定信号を出力し、
前記制御手段は前記停止指令信号に基づいて前記可動機械を停止、或いは、前記駆動手段は、駆動停止させる判定信号に基づいて前記可動機械を停止することを特徴とする請求項2に記載の動物体の監視装置。
【請求項4】
前記三次元重複空間領域には、該三次元重複空間領域に位置することが許容され、かつ動物体である可動機械の動作制限が付与される制限領域を含み、
前記判定手段は、前記検出手段による各受信信号の信号強度の検出結果に基づいて、前記三次元重複空間領域に前記可動機械に設けられた無線発信手段が存在すると判定した場合には、前記可動機械の制御手段に対して、減速指令を出力させる判定信号を入力することを特徴とする請求項2に記載の動物体の監視装置。
【請求項5】
前記動物体の1つの位置監視対象部位に対して、前記無線発信手段が複数取付けされ、該複数の無線発信手段が、異なる送信周波数で無線発信し、
前記検出手段は、各無線発信手段が発信した受信信号の少なくとも1つを受信して、該受信信号の信号強度を検出し、
前記判定手段は、前記検出手段の信号強度の検出結果に基づいて、前記三次元重複空間領域に前記無線発信手段が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の動物体の監視装置。
【請求項6】
前記位置監視対象部位は、動物体としての人が持ち運び可能な携帯物であることを特徴とする請求項1に記載の動物体の監視装置。
【請求項7】
前記判定手段が、前記三次元重複空間領域に前記無線発信手段が存在しないと判定した場合には、警告を発生する警告手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項8】
制御手段により作動制御されるとともに、駆動手段により駆動されている可動機械を第1動物体とし、該第1動物体の位置監視対象部位に設けられた第1無線発信手段と、
人を第2動物体とし、該第2動物体の位置監視対象部位として、該人が持ち運び可能な部位に設けられた第2無線発信手段と、
受信範囲の一部が互いに重なり合った三次元重複空間領域を少なくとも2つ有するように、位置が変動しない固定部材に固定された少なくとも3個以上の指向性アンテナと、
前記三次元重複空間領域のうち、少なくとも1つは前記第1無線発信手段の存在が許容されている第1領域とし、少なくとも1つは前記第2無線発信手段の存在が許容されている第2領域とし、
前記第1領域に位置することが許容されている第1無線発信手段の位置確認固有IDと、前記第2領域に位置することが許容されている第2無線発信手段の位置確認固有IDをそれぞれ記憶する記憶手段と、
各前記指向性アンテナが受信した各受信信号の信号強度を検出する検出手段と、
前記記憶手段が記憶した各位置確認固有IDと、前記各受信信号の位置確認固有IDの一致の有無、及び、前記検出手段による各受信信号の信号強度の検出結果に基づいて、前記第1領域に、第1無線発信手段及び第2無線発信手段が存在していると判定した際には、前記制御手段に対して前記可動機械の停止指令信号、或いは、前記駆動手段を駆動停止させる判定信号を出力する判定手段とを備え、
前記制御手段は前記停止指令に基づいて、前記可動機械を停止、或いは、前記駆動手段は、駆動停止させる判定信号に基づいて前記可動機械を停止することを特徴とする動物体の監視装置。
【請求項9】
可動機械を作動制御する制御手段に対して教示を行う可搬式教示操作装置を持つ操作者が運搬する位置監視対象部位に設けられ、位置確認固有IDを無線発信する無線発信手段と、
受信範囲の一部が互いに重なり合った三次元重複空間領域を少なくとも2つ有するように、位置が変動しない固定部材に固定された少なくとも3個以上の指向性アンテナと、
前記各三次元重複空間領域に応じて存在することを許容されている無線発信手段の位置確認固有IDをそれぞれ記憶する記憶手段と、
各前記指向性アンテナが受信した各受信信号の信号強度を検出する検出手段と、
前記記憶手段が記憶した位置確認固有IDと、前記各受信信号の位置確認固有IDが一致する場合に、前記検出手段による各受信信号の信号強度の検出結果に基づいて、いずれの三次元重複空間領域内に、発信した前記無線発信手段が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が判定した無線発信手段が存在する前記三次元重複空間領域に応じて、前記操作者が持つ可搬式教示操作装置の操作内容に制限又は許可を、前記制御手段に付与する制限・許可付与手段を備えることを特徴とする動物体の監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−73079(P2011−73079A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225069(P2009−225069)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)
【Fターム(参考)】