説明

動物用忌避剤

【課題】植物乾留液を利用し、長期間安定して効果が持続する、動物用忌避剤を提供するものである。
【解決手段】本発明は、植物乾留液を固形物に含浸し、樹脂などで固定化したことで、地中浸透や、雨水などによる流出を防止でき、効果を長期間持続させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物乾留液を、固形物に含浸し、樹脂などで固定化した動物用忌避剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ネズミ、キツネ、ウサギ、イノシシ等の野生動物が、農作物や樹木さらには住環境に被害を与えることが問題視されている。これら被害を与える動物に対して、進入防止用の柵やネット、化学薬品の散布などの対策が行われて来た。
【0003】
また、近年環境問題の観点から植物から抽出した液体を忌避剤として用いたものが知られており、そのままの状態での散布やスポンジ、不織布、ゼオライトなどの多孔質物質に含浸し使用されていた。さらに、特開2001−204360号のように、木酢タールを部材に塗布または含浸し、通気性の袋に収納または通気孔をも設けた容器に入れて用いる方法が提案されている。
【特許文献1】特開2001−204360号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のように液体の忌避剤をそのままの状態で使用した場合、地中に滲み込んだり、雨水などにより流出したりと、効果が長期間持続せず、頻繁に散布や取替えの必要があった。
【0005】
また、特開2001−204360号で提案されている、木酢タールを部材に塗布、含浸、容器に入れる方法は、木酢タールに限定したものであり、他の植物乾留液を考慮したものではない。
【0006】
本発明は、上述のような従来事情に鑑みなされたもので、植物乾留液を利用し、長期間安定して効果が持続する、動物用忌避剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために構成された本発明の手段は、植物乾留液を固形物に含浸し、樹脂などで固定化したことにある。
【0008】
また、上述の動物用忌避剤に、動物に対して忌避効果のある成分を含有した植物を配合しても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、植物乾留液を固形物に含浸し、樹脂などで固定化したことで、地中浸透や、雨水などによる流出を防止でき、効果を長期間持続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において植物乾留液に関しては特に制限はなく、木酢液、竹酢液、籾酢液(以下総称して酢液という)、木酢タール、竹酢タール、籾酢タール(以下総称して酢タールという)で木酢液においては広葉樹、針葉樹を問わない。
【0011】
また、本発明において固形物に関しては特に制限はなく、珪藻土、ゼオライト、シリカゲルなど無機の固形物を用いることも可能であるが、木片、堆肥化した木片、籾殻、堆肥化した籾殻、木皮、堆肥化した木皮、紙、ダンボールなど生分解性のある有機質の固形物を用いることで、環境に配慮することができる。
【0012】
さらに、本発明において樹脂に関しては特に制限はないが、酢液と酢タールを混合する場合、水不溶性の酢タールと酢液はそのままでは混ざり合わないため、酢液と酢タールに相溶性のある性質のものであれば良く、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ガム系増粘剤、アルギン酸ナトリウムなどがあげられる。
【0013】
上述の樹脂を用いて固形物に固定化する方法に関しては特に制限はないが、酢液と酢タールの比率は、酢液:酢タール=20%〜90%:80%〜10%で、攪拌しながら樹脂を酢液、酢タールに対して0.5%〜5%混合後、30℃〜90℃の温度に加熱する。樹脂が溶解したら攪拌したまま酢液、酢タールに対してほぼ同量の固形物を加え冷却し、天日または乾燥機にて適度に乾燥する。このときの乾燥度合いは特に制限はないが、手で触って酢液、酢タールが付着しない程度が好ましい。
【0014】
また、上述の動物用忌避剤に、動物に対して忌避効果のある植物を、0.5%〜5%を配合しても良い。本発明において動物に対して忌避効果のある植物に関しては特に制限は無いが、唐辛子、ニンニク、ドクダミ、ゼラニウム、コリウス、タマネギ、柑橘類などがあげられる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の使用例を述べる。籾酢液70%、籾酢タール30%の比率に配合した10リットルの溶液にガム系増粘剤2%を攪拌しながら加え、70℃に加熱。幅約2mm、長さ約5mmの木片12kgを加え、更に粉末唐辛子250g、すりおろしニンニク250gを攪拌しながら配合し冷却後、屋外で半日天日にて乾燥した。
【0016】
上述の方法で製造した動物用忌避剤を、米貯蔵倉庫及び蕎麦貯蔵倉庫の周りに散布したところネズミの被害は全く見られず、効果は約4ヶ月間持続した。
【0017】
また、上述の動物用忌避剤を、ネット製袋に入れ、植林した幼木に吊り下げておいたところ、野兎鼠による被害は対照区と比較して80%減少し、効果は約4ヶ月間持続した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物乾留液を、固形物に含浸し、樹脂などで固定化してなる動物用忌避剤。
【請求項2】
請求項1に記載の動物用忌避剤に、動物に対して忌避効果のある成分を含有する植物を配合することを特徴とする動物用忌避剤。

【公開番号】特開2009−126862(P2009−126862A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326532(P2007−326532)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(505456735)株式会社ラボケミカル (3)
【Fターム(参考)】