説明

動画像フレームレート変換装置および動画像フレームレート変換方法

【課題】入力画像信号の拡大またはノンリニアスケーリングが行われる場合の動きベクトルの検出精度を向上させて出力画像信号の画質を高める。
【解決手段】動画像フレームレート変換装置1は、入力画像信号が拡大されるときは、フレームレート変換前に入力画像信号に対するスケーリングおよびカラーフォーマット変換を行う第1の画像処理手段によりスケーリングを行うことなくカラーフォーマット変換を行ない、かつフレームレート変換後の変換後画像信号に対するスケーリングを行う第2の画像処理手段によりスケーリングを行って出力画像信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームレートの変換を行う動画像フレームレート変換装置および動画像フレームレート変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在実用化されている画像の表示方式としては、例えば、NTSC(National Television System Committee)、PAL(Phase Alternation by Linecolor television)、ハイビジョン及びパーソナルコンピュータ用といった多種多様な表示方式が存在している。
【0003】
また、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイといった表示装置に表示方式の異なる多様な入力画像信号を入力して画像を表示させるときは、入力画像信号のフレームレートを表示装置に固有のフレームレートに変換するフレームレート変換を行う必要があった。
【0004】
フレームレートの変換を行う装置(フレームレート変換装置)については従来から様々な提案がなされている。例えば、特許文献1には、動画における画質劣化を回避するため、画像の動きベクトルを検出し、この動きベクトルにより前後のフレームの画像位置を移動させて内挿フレームを生成する動き補償型のフレームレート変換を行う装置が開示されている。
【特許文献1】特開2000−134585公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置に入力画像信号を入力して画像を表示させるときは、表示装置の表示画素数に合わせるようにして、入力画像信号の画像サイズを変更する(拡大または縮小する)スケーリングを行うことがある。
【0006】
しかし、動き補償型のフレームレート変換では、動きベクトルの検出が行われるので、スケーリングによって入力画像信号の画像サイズが拡大されるときは、スケーリングによって画像サイズの拡大された画像信号に対して動きベクトルの検出が行われる。そうすると、動きベクトルを検出するための探索範囲が同じでも、画像サイズの拡大によって、動きベクトルを検出できる有効な探索範囲が狭まってしまい、画像サイズを拡大しない場合(すなわち、等倍にする場合または縮小する場合)よりも、動きベクトルが検出され難くなってしまう。
【0007】
また、アスペクト比4:3の画像を16:9の画像に引き伸ばして横長に表示するノンリニアスケーリングが行われると、物体の形状が変化して表示されるため、この場合も、動き補償型のフレームレート変換において、動きベクトルが検出され難くなる。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、動画像フレームレート変換装置および動画像フレームレート変換方法において、画像サイズの拡大またはノンリニアスケーリングが行われる場合の動きベクトルの検出精度を向上させて出力画像信号の画質を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、入力画像信号に対する動き補償によるフレームレート変換を行い、出力画像信号を生成する動画像フレームレート変換装置において、フレームレート変換前に入力画像信号に対するスケーリングおよびカラーフォーマット変換を行う第1の画像処理手段と、フレームレート変換後の変換後画像信号に対するスケーリングを行う第2の画像処理手段と、入力画像信号の画像サイズが拡大されるときは、第1の画像処理手段により前記スケーリングを行うことなくカラーフォーマット変換を行い、かつ第2の画像処理手段によりスケーリングを行って出力画像信号を生成するように制御する制御手段とを有する動画像フレームレート変換装置を特徴とする。
【0010】
また、本発明は入力画像信号に対する動き補償によるフレームレート変換を行い、出力画像信号を生成する動画像フレームレート変換方法において、入力画像信号の画像サイズが拡大されるときは、フレームレート変換前に入力画像信号に対するスケーリングおよびカラーフォーマット変換を行う第1の画像処理手段によりスケーリングを行うことなくカラーフォーマット変換を行い、かつフレームレート変換後の変換後画像信号に対するスケーリングを行う第2の画像処理手段によりスケーリングを行って出力画像信号を生成する動画像フレームレート変換方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
以上詳述したように、本発明によれば、動画像フレームレート変換装置および動画像フレームレート変換方法において、入力画像信号の拡大またはノンリニアスケーリングが行われる場合の動きベクトルの検出精度を向上させて出力画像信号の画質を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0013】
(動画像フレームレート変換装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る動画像フレームレート変換装置1の構成を示すブロック図である。この動画像フレームレート変換装置1は、入力画像信号S0に対する動き補償によるフレームレート変換を行ない、出力画像信号S5を生成して出力するようになっている。
【0014】
動画像フレームレート変換装置1は、順次走査変換回路10と、セレクタ11と、第1のスケーリングおよびカラーフォーマット変換回路12とを有している。また、動画像フレームレート変換装置1は、拡大縮小率制御回路13と、フレームレート変換回路14と、第2のスケーリング回路15とを有している。
【0015】
順次走査変換回路10は、入力画像信号S0が飛び越し走査方式の画像信号(以下「飛び越し走査信号」という)であるときに、その入力画像信号S0を順次走査方式の画像信号(以下「順次走査信号」という)S1に変換して出力する。セレクタ11は、入力画像信号S0または順次走査信号S1のいずれか一方を選択して選択信号S2を出力する。
【0016】
ここで、本実施の形態に係る動画像フレームレート変換装置1では、入力画像信号S0として、順次走査信号または飛び越し走査信号が入力される。また、入力画像信号S0としては、カラーフォーマットがYCbCr4:2:0形式、YCbCr4:2:2形式、YCbCr4:4:4形式といった輝度信号および色信号のサンプリング間隔が異なる形式の信号も含まれている。
【0017】
そして、入力画像信号S0が飛び越し走査信号であるときは、順次走査変換回路10が入力画像信号S0を順次走査信号S1に変換し、セレクタ11が選択信号S2として順次走査信号S1を選択する。また、入力画像信号S0が順次走査信号であるときは、セレクタ11が選択信号S2として入力画像信号S0を選択する。
【0018】
このようにして、第1のスケーリング及びカラーフォーマット変換回路12には、選択信号S2として順次走査信号が入力される。
【0019】
次に、第1のスケーリングおよびカラーフォーマット変換回路12は、本発明における第1の画像処理手段であって、選択信号S2に対する水平または垂直方向の画素数の変換により画像サイズを変更するスケーリングおよびカラーフォーマット変換を行う。カラーフォーマット変換は、YCbCr4:2:0、YCbCr4:2:2、YCbCr4:4:4を相互に変換する色のスケーリングを行うことを意味するため、第1のスケーリングおよびカラーフォーマット変換回路12は、図1に示すように、選択信号S2に対するスケーリングを行うスケーリング部と、カラーフォーマット変換を行うカラーフォーマット変換部とが一つのブロックで構成されている。
【0020】
第1のスケーリングおよびカラーフォーマット変換回路12は、拡大縮小率制御回路13から出力される制御信号にしたがい作動して、変換前画像信号S3を出力する。この第1のスケーリングおよびカラーフォーマット変換回路12の具体的な動作内容については後に詳述する。
【0021】
拡大縮小率制御回路13は、CPU,ROM,RAMを有し、CPUがROMに記憶されている制御プログラムにしたがいRAMに対してデータの読み書きを行いながら作動し、制御信号sgを第1のスケーリングおよびカラーフォーマット変換回路12と、第2のスケーリング回路15とに出力する。この拡大縮小率制御回路13は入力画像信号S0が拡大されるか否かを判定する判定手段としての機能を有している。
【0022】
フレームレート変換回路14は、変換前画像信号S3に対する動き補償によるフレームレート変換を行ない、フレームレート変換後の変換後画像信号S4を生成して第2のスケーリング回路15に出力する。フレームレート変換回路14の具体的な構成についても後に詳述する。
【0023】
第2のスケーリング回路15は、本発明における第2の画像処理手段であって、変換後画像信号S4に対する水平または垂直方向の画素数の変換等により画像サイズを変更するスケーリングを行ない、出力画像信号S5を生成して出力する。第2のスケーリング回路15は、拡大縮小率制御回路13から出力される制御信号sgにしたがい作動して、出力画像信号S5を出力する。第2のスケーリング回路15の具体的な動作内容については後に詳述する。なお、図6には、選択信号S2、変換前画像信号S3、変換後画像信号S4と、後述するフレーム遅延信号S6および内挿フレームS7の各信号のタイミングの一例が示されている。
【0024】
(動画像フレームレート変換装置の第1の動作内容)
次に、以上の構成を有する動画像フレームレート変換装置1の動作内容について、図3に示すフローチャートに沿って説明する。なお、図3および後述する図4では、ステップをSと略記している。
【0025】
図3、図4は動画像フレームレート変換装置1によるフレームレート変換処理の動作手順を示すフローチャートである。まず、図3に沿って、フレームレート変換処理の動作手順について説明する。
【0026】
動画像フレームレート変換装置1はフレームレート変換処理を開始すると、処理をステップ1に進め、拡大縮小率が拡大であるか(すなわち、入力画像信号S0の画像サイズが拡大されるか)またはノンリニアスケーリングが行われるか否かを拡大縮小率制御回路13が判定する。
【0027】
このとき、拡大縮小率制御回路13は、判定手段としての動作を行い、出力画像信号S5の画像サイズが順次走査信号としての選択信号S2の画像サイズより大きいか否かを判定し、前者が後者よりも大きいときは画像サイズの拡大が行なわれるとしてステップ2の処理を実行する。また、拡大縮小率制御回路13はノンリニアスケーリングが行われるときもステップ2の処理を実行する。
【0028】
ただし、拡大縮小率制御回路13は、画像サイズが拡大されないと判定したとき、すなわち、入力画像信号S0の画像サイズが出力画像信号S5の画像サイズよりも小さいか同じ場合(縮小または等倍のとき)と、ノンリニアスケーリングが行なわないときはステップ5の処理を実行する。
【0029】
拡大縮小率制御回路13は、ステップ2の処理を実行するときは、制御手段としての動作を行い、第1のスケーリング及びカラーフォーマット変換回路12に対して、カラーフォーマット変換のみを行い、画像サイズの拡大(スケーリング)は行わないように指示する制御信号sgを出力する。
【0030】
すると、第1のスケーリング及びカラーフォーマット変換回路12によって、輝度信号と色信号のサンプリング間隔を同じにするカラーフォーマット変換のみが行われ、画像サイズが拡大されることなく変換前画像信号S3が出力される。この場合、例えば、順次走査信号としての選択信号S2のカラーフォーマットがYCbCr4:2:0形式の場合は、YCbCr4:4:4形式に変換するカラーフォーマット変換のみが行われ、画像サイズは拡大されない。
【0031】
また、ステップ2の処理が実行され、変換前画像信号S3が出力されるとステップ3の処理が実行される。このとき、フレームレート変換回路14が作動して、変換前画像信号S3に対する動き補償によるフレームレート変換が行なわれ、変換後画像信号S4が生成されて出力される。
【0032】
さらに、変換後画像信号S4が生成されると、ステップ4の処理が実行される。ここでは、拡大縮小率制御回路13が制御手段としての動作を行い、第2のスケーリング回路15に対して、変換後画像信号S4に対するスケーリングを行うように指示する制御信号sgを出力する。すると、第2のスケーリング回路15は変換後画像信号S4に対する、出力画像信号S5の画像サイズに拡大するための水平または垂直方向の画素数の変換等を行ない、出力画像信号S5を生成して出力する。また、第2のスケーリング回路15はノンリニアスケーリングが行われるときは、ノンリニアスケーリングを実行し、出力画像信号S5を生成して出力する。ステップ4が終了すると、フレームレート変換処理が終了する。
【0033】
一方、拡大縮小率制御回路13はステップ5の処理を実行するときも、制御手段としての動作を行う。この場合、拡大縮小率制御回路13は、第1のスケーリング及びカラーフォーマット変換回路12に対して、カラーフォーマット変換とともに画像サイズのスケーリング(この場合は縮小または等倍)を行うように指示する制御信号sgを出力する。
【0034】
すると、第1のスケーリング及びカラーフォーマット変換回路12によって、ステップ2と同様のカラーフォーマット変換とともに、スケーリングが行われて変換前画像信号S3が出力される。
【0035】
さらに、ステップ5の処理が実行されることによって、変換前画像信号S3が出力されるとステップ6の処理がステップ3と同様にして実行され、変換後画像信号S4が生成されて出力される。
【0036】
続いて、変換後画像信号S4が出力されると、ステップ7の処理が実行される。ここでは、拡大縮小率制御回路13が制御手段としての動作を行い、第2のスケーリング回路15に対して、変換後画像信号S4に対するスケーリングを行うことなく出力画像信号S5を生成するように指示する制御信号sgを出力する。すると、第2のスケーリング回路15は変換後画像信号S4に対するスケーリングを行うことなく出力画像信号S5を生成して出力する。
【0037】
ここで、比較のため、本発明に関連する動画像フレームレート変換装置101について説明する。図5は、動画像フレームレート変換装置101の内部構成を示すブロック図である。図5に示すように、この動画像フレームレート変換装置101は、動画像フレームレート変換装置1と比較して、第1のスケーリング及びカラーフォーマット変換回路12の代わりにスケーリング及びカラーフォーマット変換回路22を有する点、第2のスケーリング回路15を有しない点、および拡大縮小率制御回路13の代わりに拡大縮小率制御回路23を有する点で相違し、その他の点は一致している。
【0038】
スケーリング及びカラーフォーマット変換回路22は、拡大縮小率制御回路23からの制御信号にしたがい作動するが、第1のスケーリング及びカラーフォーマット変換回路12のようにカラーフォーマット変換だけを行うことはなく、スケーリングとカラーフォーマット変換をともに行う。
【0039】
また、拡大縮小率制御回路23は、スケーリング及びカラーフォーマット変換回路22に対して、スケーリング及びカラーフォーマット変換を行うように指示する制御信号を出力する。
【0040】
この動画像フレームレート変換装置101では、フレームレート変換回路14によるフレームレート変換前にスケーリング及びカラーフォーマット変換回路22によって、スケーリング及びカラーフォーマット変換が行われる。そのため、入力画像信号S0の画像サイズが拡大されるときは、スケーリング及びカラーフォーマット変換回路22によって、画像サイズが拡大された変換前画像信号S3に対して、フレームレート変換回路14によるフレームレート変換が行なわれる。したがって、動きベクトルを検出できる有効な探索範囲が狭まってしまい、動きベクトルが検出され難くなってしまう。
【0041】
これに対して、動画像フレームレート変換装置1は、上記のように作動してフレームレート変換処理を行う。すなわち、動画像フレームレート変換装置1では、入力画像信号S0の画像サイズを拡大するかまたはノンリニアスケーリングを行ってフレームレート変換を行うときは、フレームレート変換前に第1のスケーリングおよびカラーフォーマット変換回路12がカラーフォーマット変換のみ行い、入力画像信号S0の画像サイズの拡大またはノンリニアスケーリングは、フレームレート変換後に第2のスケーリング回路15が行うようになっている。
【0042】
つまり、フレームレート変換回路14が動き補償によるフレームレート変換のために動きベクトル検出を行なっても、その動きベクトル検出は、画像サイズの拡大前またはノンリニアスケーリング前の入力画像信号S0を対象として行われることとなる。そのため、動きベクトルを検出するための探索範囲は画像サイズの拡大前またはノンリニアスケーリング前と同じであり、動きベクトルを検出できる有効な探索範囲が狭まることはないし、物体の形状が変化して動きベクトルが検出され難くなることもない。
【0043】
したがって、動画像フレームレート変換装置1では、フレームレート変換回路14におけるフレームレート変換において、精度よく動きベクトルが検出され、内挿フレームの画質を高めることができるようになっている。
【0044】
特に、アスペクト比4:3の画像を16:9の画像に拡大する場合によく行われるノンリニアスケーリングを行うと、拡大率が画面中央部から画面端部にかけて変化する。この場合、ノンリニアスケーリングを行った後に動きベクトルを検出すると、フレーム間で物体の形状が変化してしまうため、動きベクトルの検出が困難になる。しかし、本発明の実施の形態における動画像フレームレート変換装置1は、ノンリニアスケーリングによって物体の形状が変化する前に動きベクトルが検出されるため、精度よく動きベクトルを検出することができ、内挿フレームの画質を高めることができるようになっている。
【0045】
さらに、入力画像信号の画像サイズを縮小して出力する際には、入力画像信号S0の画像サイズを縮小してから動きベクトル検出が行われる。そのため、動きベクトルを検出できる有効な探索範囲が縮小前よりも広がり、精度よく動きベクトルが検出されるようになる。したがって、動画像フレームレート変換装置1は、この点でも内挿フレームの画質を高めることができるようになっている。
【0046】
(フレームレート変換回路の構成および動作内容)
フレームレート変換回路14は、本実施の形態では、図2に示すような構成を有している。すなわち、このフレームレート変換回路14は、第1のフレームメモリ16と、動きベクトル検出部17と、内挿フレーム生成回路18と、第2のフレームメモリ19と、レート変換読出回路20とを有している。
【0047】
このような構成を有するフレームレート変換回路14では、変換前画像信号S3が第1のフレームメモリ16と動きベクトル検出回路17に入力される。そして、第1のフレームメモリ16が変換前画像信号S3を格納する。また、第1のフレームメモリ16は変換前画像信号S3を1フレーム期間遅延させたフレーム遅延信号S6を動きベクトル検出回路17に入力する。
【0048】
さらに、動きベクトル検出部17が変換前画像信号S3とフレーム遅延信号S6とを入力して2フレーム間の動きベクトルV0を検出し、その検出した動きベクトルV0を内挿フレーム生成回路18に出力する。また、内挿フレーム生成回路18は、検出された動きベクトルV0により前後のフレームの画像位置を移動させて、変換前画像信号S3と、フレーム遅延信号S6との間の内挿フレームS7を生成する。内挿フレームS7は第2のフレームメモリ19に格納される。
【0049】
そして、レート変換読出回路20が第1フレームメモリ16及び第2のフレームメモリ19から、時系列順に出力フレームレートでそれぞれ画像信号S8、S9を読出して変換後画像信号S4を出力する。こうして、フレームレート変換回路14によって、変換前画像信号S3に対する動き補償によるフレームレート変換が行なわれ、変換後画像信号S4が生成される。
【0050】
フレームレート変換回路14が以上のような構成を有するときは、入力画像信号S0の画像サイズを縮小して出力する際には、入力画像信号S0の画像サイズを縮小してから動きベクトル検出が行われることになるため、第1のフレームメモリ16と第2のフレームメモリ19のメモリ容量やデータ転送量を減らすことができるという作用効果を奏することとなる。
【0051】
なお、フレームレート変換回路14は、動き補償によるフレームレート変換が行なわれるための構成を有していればよく、以上のような構成を有していないものでも本発明を適用することができる。
【0052】
(動画像フレームレート変換装置の第2の動作内容)
次に、図4のフローチャートを参照して、動画像フレームレート変換装置1によるフレームレート変換処理の別の動作手順について説明する。以下の説明は、図3のフローチャートとの相違点を中心に行い、共通点は説明を省略ないし簡略化する。
【0053】
動画像フレームレート変換装置1は、フレームレート変換処理を開始すると、処理をステップ11に進め、拡大縮小率制御回路13が第1の判定手段としての動作を行い拡大縮小率が拡大であるか(すなわち、入力画像信号S0の画像サイズが拡大されるか)否かを判定する。
【0054】
このとき、拡大縮小率制御回路13は、ステップ1と同様に画像サイズの拡大が行なわれると判定されたときはステップ2の処理を実行し、そうでなければ拡大縮小率制御回路13はステップ13の処理を実行する。
【0055】
拡大縮小率制御回路13は、ステップ2の処理を実行するときは、図3のフローチャートの場合と同様の動作を行う。すると、ステップ2の処理と、ステップ3の処理が図3のフローチャートの場合と同様に実行され、変換後画像信号S4が生成されて出力される。さらに、変換後画像信号S4が生成されると、ステップ4の処理が実行される。ここでは、拡大縮小率制御回路13が制御信号sgを出力し、第2のスケーリング回路15が出力画像信号S5を生成して出力する(ステップ4では、ノンリニアスケーリングも行われる)。ステップ4が終了すると、フレームレート変換処理が終了する。
【0056】
そして、拡大縮小率制御回路13は、ステップ13の処理を実行するときは、第2の判定手段としての動作を行い、ノンリニアスケーリングが行われるか否かを判定する。ここで、拡大縮小率制御回路13は、ノンリニアスケーリングが行われると判定したときはステップ14の処理を実行するが、そうでないときはステップ5の処理を実行する。拡大縮小率制御回路13はステップ5の処理を図3のフローチャートと同様にして行うので、ステップ6,7も図3のフローチャートと同様にして行われる。ステップ7が終了すると、フレームレート変換処理が終了する。
【0057】
また、拡大縮小率制御回路13は、ステップ14の処理を実行するときは、第1のスケーリング及びカラーフォーマット変換回路12に対して、カラーフォーマット変換を行い、ノンリニアスケーリングを行わずにリニアスケーリングを行うように指示する制御信号sgを出力する。すると、リニアスケーリングおよびカラーフォーマット変換が行われて変換前画像信号S3が出力される。
【0058】
さらに、変換前画像信号S3が出力されるとステップ15の処理がステップ3と同様にして実行され、変換後画像信号S4が生成されて出力される。
【0059】
続いて、変換後画像信号S4が出力されると、ステップ16の処理が実行される。ここでは、拡大縮小率制御回路13が制御手段としての動作を行い、第2のスケーリング回路15に対して、変換後画像信号S4に対するノンリニアスケーリングを行うように指示する制御信号sgを出力する。第2のスケーリング回路15はノンリニアスケーリングを実行し、出力画像信号S5を生成して出力する。ステップ16が終了すると、フレームレート変換処理が終了する。
【0060】
このようにしても、動画像フレームレート変換装置1では、ノンリニアスケーリングによって物体の形状が変化する前に動きベクトルが検出されることになるため、精度よく動きベクトルを検出することができ、内挿フレームの画質を高めることができる。
【0061】
なお、動画像フレームレート変換装置1では、拡大縮小率制御回路13が、入力画像信号S0の画像サイズが拡大されるか否かを判定する判定手段、第1の判定手段および第2の判定手段としての機能を有していた。ただし、動画像フレームレート変換装置1は、入力画像信号S0の画像サイズが拡大されるか否かの判定結果、ノンリニアスケーリングが行われるか否かの判定結果の一方または双方を外部から入力し、その入力した判定結果に基づいて、拡大縮小率制御回路13が制御するようにしてもよい。この場合、動画像フレームレート変換装置1では、判定手段、第1の判定手段および第2の判定手段としての機能を有しないことになる。
【0062】
上記の第1のスケーリングおよびカラーフォーマット変換回路12は、スケーリング部と、カラーフォーマット変換部とが一つブロックで構成されているが、スケーリング部とカラーフォーマット変換部とがそれぞれ独立したブロックで構成されていてもよい。
【0063】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る動画像フレームレート変換装置の構成を示すブロック図である。
【図2】フレームレート変換回路の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図3】動画像フレームレート変換装置によるフレームレート変換処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図4】動画像フレームレート変換装置によるフレームレート変換処理の別の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に関連する動画像フレームレート変換装置の構成を示すブロック図である。
【図6】選択信号、変換前画像信号、変換後画像信号と、フレーム遅延信号および内挿フレームの各信号のタイミングの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1…動画像フレームレート変換装置、12…第1のスケーリングおよびフォーマット変換回路、13…拡大縮小率制御回路、14…フレームレート変換回路、15…第2のスケーリング回路、16…第1のフレームメモリ、17…動きベクトル検出回路、18…内挿フレーム生成回路、19…第2のフレームメモリ、20…フレート変換読出回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像信号に対する動き補償によるフレームレート変換を行ない、出力画像信号を生成する動画像フレームレート変換装置において、
前記フレームレート変換前に前記入力画像信号に対するスケーリングおよびカラーフォーマット変換を行う第1の画像処理手段と、
前記フレームレート変換後の変換後画像信号に対するスケーリングを行う第2の画像処理手段と、
前記入力画像信号の画像サイズが拡大されるときは、前記第1の画像処理手段により前記スケーリングを行うことなく前記カラーフォーマット変換を行い、かつ前記第2の画像処理手段により前記スケーリングを行って前記出力画像信号を生成するように制御する制御手段とを有することを特徴とする動画像フレームレート変換装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記入力画像信号の画像サイズが拡大されないときは、前記第1の画像処理手段により前記スケーリングおよび前記カラーフォーマット変換を行ない、かつ前記第2の画像処理手段により前記スケーリングを行うことなく前記出力画像信号を生成するように制御することを特徴とする請求項1記載の動画像フレームレート変換装置。
【請求項3】
前記制御手段は、ノンリニアスケーリングが行われるときは、前記第1の画像処理手段により前記ノンリニアスケーリングを行うことなく前記カラーフォーマット変換を行ない、かつ前記第2の画像処理手段により前記ノンリニアスケーリングを行なって前記出力画像信号を生成するように制御することを特徴とする請求項1または2記載の動画像フレームレート変換装置。
【請求項4】
前記制御手段は、ノンリニアスケーリングが行われないときは、前記第1の画像処理手段により前記スケーリングおよび前記カラーフォーマット変換を行ない、かつ前記第2の画像処理手段により前記スケーリングを行うことなく前記出力画像信号を生成するように制御することを特徴とする請求項3記載の動画像フレームレート変換装置。
【請求項5】
前記入力画像信号の画像サイズが拡大されるか否かを判定する判定手段を更に有し、
前記制御手段は、前記判定手段により前記入力画像信号の画像サイズが拡大されると判定されたときは、前記第1の画像処理手段により前記スケーリングを行うことなく前記カラーフォーマット変換を行い、かつ前記第2の画像処理手段により前記スケーリングを行って前記出力画像信号を生成するように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の動画像フレームレート変換装置。
【請求項6】
入力画像信号に対する動き補償によるフレームレート変換を行ない、出力画像信号を生成する動画像フレームレート変換装置において、
前記フレームレート変換前に前記入力画像信号に対するスケーリングおよびカラーフォーマット変換を行う第1の画像処理手段と、
前記フレームレート変換後の変換後画像信号に対するスケーリングを行う第2の画像処理手段と、
前記入力画像信号の画像サイズが拡大されるか否かを判定する第1の判定手段と、
ノンリニアスケーリングが行われるか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記入力画像信号の画像サイズが拡大されると判定されたときは、前記第1の画像処理手段により前記スケーリングを行うことなく前記カラーフォーマット変換を行い、かつ前記第2の画像処理手段により前記スケーリングを行って前記出力画像信号を生成し、前記第2の判定手段により、前記ノンリニアスケーリングが行われると判定されたときは、前記第1の画像処理手段により前記リニアスケーリングと前記カラーフォーマット変換を行い、かつ前記第2の画像処理手段により前記ノンリニアスケーリングを行って前記出力画像信号を生成するように制御する制御手段とを有することを特徴とする動画像フレームレート変換装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1の判定手段により前記入力画像信号の画像サイズが拡大されないと判定され、かつ前記第2の判定手段により前記ノンリニアスケーリングが行われないと判定されたときは、前記第1の画像処理手段により前記スケーリングおよび前記カラーフォーマット変換を行い、かつ前記第2の画像処理手段により前記スケーリングを行うことなく前記出力画像信号を生成するように制御することを特徴とする請求項6記載の動画像フレームレート変換装置。
【請求項8】
前記動き補償によるフレームレート変換を行ない、前記変換後画像信号を出力するフレームレート変換部を更に有し、
該フレームレート変換部は、前記第1の変換手段から出力される変換前画像信号に基づいて、動きベクトルを検出する動きベクトル検出部と、
該動きベクトル検出部により検出された前記動きベクトルに基づいて、内挿フレームを生成する内挿フレーム生成部とを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の動画像フレームレート変換装置。
【請求項9】
前記フレームレート変換部は、前記第1の画像処理手段から出力される変換前画像信号を格納する第1のフレームメモリと、
前記内挿フレーム生成部により生成された前記内挿フレームを格納する第2のフレームメモリとを更に有することを特徴とする請求項8記載の動画像フレームレート変換装置。
【請求項10】
入力画像信号に対する動き補償によるフレームレート変換を行ない、出力画像信号を生成する動画像フレームレート変換方法において、
前記入力画像信号の画像サイズが拡大されるときは、前記フレームレート変換前に前記入力画像信号に対するスケーリングおよびカラーフォーマット変換を行う第1の画像処理手段により前記スケーリングを行うことなく前記カラーフォーマット変換を行ない、かつ前記フレームレート変換後の変換後画像信号に対するスケーリングを行う第2の画像処理手段により前記スケーリングを行って前記出力画像信号を生成することを特徴とする動画像フレームレート変換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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