説明

動画像処理装置およびカメラシステム

【課題】動画像の処理中に静止画像を生成する機能を有する動画像処理装置において、静止画像の生成に関する処理負荷を抑制する。
【解決手段】動画像処理装置では、Iピクチャ202を含む複数のフレームを生成中において、シャッター押下による撮影指示があると、撮影指示の直前のIピクチャ202の符号量とQP値とに基づいて静止画の圧縮符号化のための圧縮パラメータを決定する(S205:「符号量見積り」)。そして動画像処理装置は、決定した圧縮パラメータに基づいて静止画の圧縮符号化を行う(S206:「静止画圧縮」)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像の処理中に静止画像を生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像を撮影してメモリカードなどの記録媒体に記録するビデオカメラが知られている。係るビデオカメラにおいては、近年、撮像素子の多画素化が進み、動画に加えて高精細な静止画を撮影することが可能となっている。
【0003】
特許文献1では、MPEG方式を用いて動画を符号化して記録するビデオカメラにおいて、動画の記録中にシャッターボタンの押下があると、押下時のフレーム画像を強制的にI(Intra-coded)ピクチャとして作成し、作成したIピクチャを静止画像として記録する。
【0004】
P(Predicted)ピクチャやB(Bi-directional Predicted)ピクチャではなくIピクチャとすることで、Iピクチャ単独でそのフレームの画像信号のみから静止画像を作成でき、作成した静止画像の画質についても最低レベルは保証できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−284058号公報
【特許文献2】特開2009−260943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、シャッターボタンの押下時に、強制的にIピクチャの挿入というイレギュラーな処理を行う。このため動画の画質を劣化させることがある。
また、動画の撮影中に静止画像を生成するに際しては、動画に関する処理に悪影響を及ぼさないためにも、静止画像に関する処理負荷はなるたけ軽くすることが望ましい。
【0007】
本発明は、このような背景の元になされたものであって、動画像の処理中に静止画像を生成する機能を有する動画像処理装置であって、静止画像の生成に関する処理負荷を抑制できる動画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る動画像処理装置は、動画像の生成中に静止画像を生成する機能を有する動画像処理装置であって、被写体像を撮像した映像信号を入力する入力部と、映像信号に対して、選定した符号化パラメータを用いて動画像の圧縮符号化を行うことにより、複数のフレームから構成される動画像を生成する圧縮処理部と、前記圧縮処理部による動画像の生成中に、静止画像の撮影指示を受け付ける受付部とを備え、前記圧縮処理部は、前記受付部が前記撮影指示を受け付けると、映像信号に対して、当該撮影指示の前後に生成された1フレームの生成時に選定した符号化パラメータに従って静止画像の圧縮符号化を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る動画像処理装置によれば、圧縮処理部は前記受付部が前記撮影指示を受け付けると、映像信号に対して、当該撮影指示の前後に生成された1フレームの生成時に選定した符号化パラメータに従って静止画像の圧縮符号化を行う。このため、動画像の圧縮符号化において既に選定した符号化パラメータを、静止画像の圧縮符号化において流用することができ、静止画像の圧縮符号化の処理負荷を抑制することに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1におけるカメラシステムの構成図
【図2】動画の撮像中に静止画の撮像を行う場合の処理の流れを示す図
【図3】符号量見積りの流れを示すイメージ図
【図4】実施の形態2におけるカメラシステムの構成図
【図5】動画の撮像中に静止画の撮像を行う場合の処理の流れを示す図
【図6】Iピクチャの決定処理の詳細を示すフロチャートその1
【図7】Iピクチャの決定処理の詳細を示すフロチャートその2
【図8】Iピクチャの決定処理の詳細を示すフロチャートその3
【図9】Iピクチャの決定処理の詳細を示すフロチャートその4
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1におけるカメラシステム100の構成図である。
【0012】
カメラシステム100は、撮像装置101と、撮像制御装置102と、動画像処理装置103と、記憶装置104と、表示装置105とを備えている。カメラシステム100は、例えば、ネットワークカメラ、車載カメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのハードウェアとして実現される。
【0013】
撮像装置101は、レンズや光電変換素子により構成されており、被写体を光電変換して電気信号を出力する。
撮像制御装置102は、撮像装置101の撮像素子により得られた電気信号の取り込みタイミング、撮像装置101の撮像素子への映像光の照射時間を制御するとともに、上記電気信号に対してアナログ/デジタル変換を行って映像信号(ビデオ信号)として出力する。
【0014】
動画像処理装置103は、画像入力部106と、動画/静止画圧縮処理部107と、静止画像圧縮制御部108と、表示IF(Interface)109を備えている。
画像入力部106は、撮像制御装置102により出力された映像信号を、RGB成分を輝度(Y)および色差(C)の成分へと変換する。そして、両成分を分離して、輝度データおよび色差データを生成する(YC処理)。
【0015】
このYC処理は一般的な処理であり、AE(Automatic Exposure:自動露光)処理、WB(White Balance:色調補正)処理、アパーチャ処理、YC(輝度・色差データ)変換処理およびノイズ除去処理などの処理を伴うこともある。
【0016】
動画/静止画圧縮処理部107は、画像入力部106により生成された輝度データ及び色差データに対して圧縮符号化を行って、符号化された動画像および静止画像を生成する。
【0017】
動画/静止画圧縮処理部107が行う動画像の符号化ならびに静止画像の圧縮符号化について説明をする。
(動画像の圧縮符号化)
動画像の圧縮符号化はMPEGに準拠した方式で行う。大まかな流れは次の通りである。
【0018】
(A)動き推定・・・マクロブロック単位で、入力画像の動きベクトルを算出する。動きベクトルの予測では、Iピクチャ、PピクチャおよびBピクチャの3種類のピクチャ(フレーム)を用いる。
【0019】
(B)DCT(離散コサイン変換)・・・8×8画像のブロックサイズにて2次元離散コサイン変換する。
(C)量子化(Quantization)・・・DCT変換係数を、QP値(Quantization Parameter,量子化パラメータ)を用いて量子化する。
【0020】
(D)符号化・・・量子化で得られた値を符号化する。
これらの一連の処理により、QP値および符号量(ビットレート)および求められることとなる。
【0021】
なお、上記(A)〜(D)の流れはMPEG方式の一般的な流れを示したものであり、MPEGの方式(MPEG1,MPEG2,H.261,H.264/MPEG-4 AVCなど)によっては処理の内容が異なる場合もある。
【0022】
(静止画像の圧縮符号化)
静止画像の圧縮符号化は、JPEGに準拠した方式で行う。その処理の流れは次の(a)〜(d)の通りである。
【0023】
(a)分割・・画像を8×8の画像ブロックに分割して、ブロック毎の画素値を求める。
(b)DCT・・・DCT演算を行う。
【0024】
(c)量子化(Quantization)・・・DCT係数を、量子化パラメータを用いて量子化する。
(d)符号化・・・量子化で得られた値を符号化(例えばハフマン符号化)する。
【0025】
以上が動画/静止画圧縮処理部107が行う処理の説明である。
静止画像圧縮制御部108(圧縮率決定部110を含む。)は、動画/静止画圧縮処理部107にて選定された符号化パラメータ(例えば、符号量およびQP値)に基づいて、静止画像の圧縮符号化のために必要な圧縮パラメータ(量子化パラメータを含む。)を求める。
【0026】
記憶装置104は、画像入力部106から出力されたデータや、動画/静止画圧縮処理部107が取り扱うデータを一時的に格納する。記憶装置104のハードウェアとしては例えばRAMから構成される。
【0027】
表示IF109は、表示装置105の表示に関するインターフェイスを制御するものであり、記憶装置104から輝度データ及び色差データを取りだして、表示に適した形式に変換(例えば、RGB変換)した後で、表示装置105へと出力する。
【0028】
表示装置105は、表示IF109から出力された情報に基づいて表示を行う。
次に、図2を参照して動画の撮像中に静止画の撮像を行う場合の処理の流れを説明する。
【0029】
動画撮像中にシャッターボタンの押下による撮影指示があると、
・撮像装置101および撮像素子制御装置102による静止画撮像のため露光処理(S203)
・画像入力部106によるYC処理(S204)
・動画/静止画圧縮処理部107による圧縮パラメータに基づいた静止画像圧縮処理(S206)
の処理が動画の撮像と並行して行われる。
【0030】
この静止画像圧縮処理(S206)に先立って、静止画像圧縮制御部108の圧縮率判定部110は、撮影指示直前のIピクチャの生成に用いた符号量及びQP値を取得し、取得した符号量及びQP値に基づいて圧縮パラメータを求める(S205:「符号量見積り」)。
【0031】
図3は、符号量見積りの流れを示すイメージ図である。
図3のDCT係数301は、撮影指示時点に対応するフレーム画像の8画素×8画素のブロックを対象に、DCT演算を行うことにより得られたものである。
【0032】
また、量子化テーブル302と量子化スケールファクタ303の組は、量子化パラメータを構成するものである。
このDCT係数301を、量子化テーブル302と量子化スケールファクタ303の積により除することにより量子化データ304が求められる。
【0033】
ここで、静止画像圧縮制御部108は、動画/静止画圧縮処理部107にて求められたIピクチャ202の符号量およびQP値に基づいて、量子化テーブル302および量子化スケールファクタ303を生成する。つまり、撮影指示前に処理を行ったIピクチャの符号量とQP値より対象静止画像の複雑さの度合いを判断し、量子化テーブル302および量子化スケールファクタ303を生成する。
【0034】
このようにして静止画像の圧縮符号化に必要な圧縮パラメータを、動画像の圧縮符号化で既に求められた符号量およびQP値を利用して求めることができる。
これにより、通常の静止画処理と同じように静止画像用の圧縮パラメータを最初から求めるのと比べて処理負荷を抑えることができる。
【0035】

(実施の形態2)
実施の形態1では撮影指示の直前のIピクチャを符号量見積りに利用するとしたが、実施の形態2では、撮影指示の直前のIピクチャか直後のIピクチャのいずれを符号量見積りに利用するかを決定する処理を行う点が実施の形態1とは異なる。
【0036】
図4は、実施の形態2におけるカメラシステム400の構成図である。
この実施の形態2におけるカメラシステム100は、撮像装置101と、撮像制御装置102と、動画像処理装置403と、記憶装置104と、表示装置105を備えている。
【0037】
また、図4のカメラシステム400は、図1のカメラシステム100と大まかには同じであるが、画像入力部106が周波数検出部406aを含む点、静止画像圧縮制御部408がシーン決定部401を含む点、受付部111の描画を省略している点などが異なっている。
【0038】
周波数検出部406aは、撮像素子制御装置102から入力される映像信号により示される画像の周波数成分を検出する。この検出は、任意に画像から選ばれた複数の周波数検出範囲に基づいて行われる。
【0039】
シーン判定部401は、周波数検出部406aより求められた周波数情報と、動画/静止画圧縮処理部107より求められた動きベクトル情報を元に符合量を見積もる対象のフレーム画像を決定する。本実施の形態では、フレーム画像を決定する対象は、撮影指示の直前または直後のIピクチャである。
【0040】
次に、図5を参照して動画の撮像中に静止画の撮像を行う場合の処理の流れを説明する。
動画撮像中にシャッターボタンの押下による撮影指示があると、
・撮像装置101および撮像素子制御装置102による静止画撮像のため露光処理(S203)
・画像入力部106によるYC処理(S204)
の処理が動画の撮像と並行して行われる。
【0041】
そして、撮影指示の直後のIピクチャ502が作成されると、シーン判定部401は、直前のIピクチャ501か直後のIピクチャ502かのどちらを符号量見積りに用いるかを決定する処理を行う(S505:「符号量見積りに用いるIピクチャの決定」)。
【0042】
その後、圧縮率決定部110は、決定されたIピクチャの生成に用いた符号量及びQP値を取得し、取得した符号量及びQP値に基づいて圧縮パラメータを求める(S205:「符号量見積り」)。
【0043】
続いて、動画/静止画圧縮処理部107により、求められた圧縮パラメータに基づいた静止画像圧縮処理(S206)が行われる。
なお、YC処理(S204)により生成された画像データは、静止画圧縮(S206)が開始されるまで一時的に記憶装置104に記憶される。
【0044】
さて、シーン判定部401によるIピクチャ501かIピクチャ502かのいずれか一方を決定する処理のやり方としては、図6〜図9にそれぞれ示す4種類の手法がある。以下、この4種類の手法1〜手法4を順に説明する。
【0045】
(手法1)
手法1は、Iピクチャの動きベクトルの総和の大小に基づいて決定する方法である。
図6に示すように、シーン判定部401は、Iピクチャ501とIピクチャ502とについて、それぞれの動きベクトルの総和を求め、求めた総和を比較する(S601)。
【0046】
なお、このIピクチャの動きベクトルの総和の算出方法は一般的なやり方を採用することができる。
例えば、Iピクチャの前後の1または複数の参照ピクチャ(Pピクチャ、Bピクチャ)を参照して、ブロック毎に動きベクトルを求め、求めた動きベクトルを足すことでIピクチャ全体の動きベクトルの総和を求めることができる。
【0047】
ステップS601において、Iピクチャ501の動きベクトルの総和の方が、Iピクチャ502の動きベクトルの総和より小さければ(S601:Yes)、シーン判定部401はIピクチャ501を符号量見積りに用いるIピクチャに決定する(S602)。
【0048】
反対に、Iピクチャ501の動きベクトルの総和の方が、Iピクチャ502の動きベクトルの総和より小さく無ければ(S601:No)、シーン判定部401はIピクチャ501を符号量見積りに用いるIピクチャに決定する(S603)。
【0049】
動きベクトルの総和がより小さい方のIピクチャの方が、撮影指示時点のフレーム画像と比べて画像の性格が近いと考えられるため、手法1によれば、符合量見積もり処理(S205)の誤差を軽減することができる。
【0050】
(手法2)
手法2は、Iピクチャの動きベクトルが閾値を超過した数の大小に基づいて決定する方法である。
【0051】
図7に示すように、シーン判定部401は、Iピクチャ501とIピクチャ502とについて、それぞれの動きベクトルを求め、各Iピクチャの動きベクトルの大きさが閾値を超過した数(閾値判定数)をカウントとする。
【0052】
そして、Iピクチャ501の閾値判定数の方が、Iピクチャ502の閾値判定数より大きければ(S701:Yes)、シーン判定部401はIピクチャ501を符号量見積りに用いるIピクチャに決定する(S702)。
【0053】
反対に、Iピクチャ501の閾値判定数の方が、Iピクチャ502の閾値判定数より大きく無ければ(S701:No)、シーン判定部401はIピクチャ501を符号量見積りに用いるIピクチャに決定する(S703)
この手法2によれば、手法1と同様、符合量見積もり処理(S205)の誤差を軽減することができる。
【0054】
(手法3)
手法3は、Iピクチャの周波数ヒストグラムに基づいて決定する方法である。
図8に示すように、シーン判定部401は、Iピクチャ501の周波数ヒストグラムおよびIピクチャ502の周波数ヒストグラムを解析する。そして、解析の結果、どちらが所定値に近いかを判定する(S801)。
【0055】
シーン判定部401は、判定の結果、所定値に近い方のIピクチャに決定する(S802,S803)。
ここで、所定値は、例えば撮影指示時点のフレームの画像に基づいて決定することができる。
【0056】
(手法4)
手法4は、手法1〜3を組み合わせたものである。
Iピクチャ501とIピクチャ502について、シーン判定部401は、
・判定A:動きベクトル総和の大きさ判定(S601)
・判定B:閾値判定数の多さ判定(S701)
・判定C:周波数情報の近さ判定(S801)
の3種類の判定を行い(S901)、判定結果に基づいて総合的な判定を行う(S902)。
【0057】
総合判定のやり方としては、判定A〜判定Cの判定結果と総合判定との対応関係を示すテーブル910を用いることができる。
あるいは、判定種類毎の重み値を規定したテーブル911に従って、判定A〜判定C毎に重み係数を乗算し、それぞれの総和を比較することで、Iピクチャ501かIピクチャ502かを決定するとしてもよい。なお、重み値テーブル911で、一つの判定種類を削除したい場合はその重み系数を0とすることで実現できる。
【0058】
<補足1>
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は上記の内容に限定されず、本発明の目的とそれに関連又は付随する目的を達成するための各種形態においても実施可能であり、例えば、以下であっても構わない。
(1)撮影指示のトリガ
実施の形態では、ユーザによるシャッターボタンの押下を撮影指示のトリガの例として説明したが、これに限らず、例えば、タイマー制御などを利用して一定時間おきに自動的に撮影指示を受け付けるものとしても構わない。
(2)圧縮パラメータ
実施の形態では、静止画像の圧縮パラメータの一例として、量子化に用いる量子化パラメータを例に挙げて説明したが、これに限られない。
【0059】
また、量子化パラメータは、量子化テーブル302(図3参照)および量子化スケールファクタ303から構成されるとしたが、これら量子化テーブル302および量子化スケールファクタ303どちらか一方のみを用いて構成してもよい。
【0060】
また、量子化テーブル302や量子化スケールファクタ303の生成に際しては、ユーザにより予め設定された静止画像の画質モード(高画質モード、標準画質モードなど)に対応して生成の態様を異ならせてもよい。
(3)動画、静止画の符号化について
実施の形態は、前方後方フレームを参照するピクチャ間予測符号化を行うMPEG動画符号化方式で動画を記録し、離散コサイン変換を行うJPEG静止画符号化方式で静止画を記録する組み合わせに最適であるが、これらの組み合わせに限られるわけではない。動画像の圧縮符号化に用いたパラメータを、静止画像の圧縮符号化に用いるパラメータとして流用できる組み合わせであれば足りる。
(4)Iピクチャについて
実施の形態では、撮影指示の直前のIピクチャ202,501か直後のIピクチャ502のいずれかを符号量見積りに用いるとして説明したが、直前や直後でなくとも2個前のIピクチャや2個後ろのIピクチャを用いるとしてもよい。特にIピクチャどうしの間隔が狭いGOP(Group Of Pictures)であれば、必ずしも直前や直後でなくとも、撮影指示の前後のIピクチャであれば静止画像の品質への悪影響は出にくいと考えられる。
【0061】
また、Iピクチャは、BピクチャやPピクチャと異なり、JPEGの処理によく似ているので用いることが好適である。
(5)集積回路
実施の形態の動画像処理装置は、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてよい。各回路を個別に1チップとしてもよいし、全ての回路又は一部の回路を含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとして記載したが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラム化することが可能なFPGA(FieldProgrammable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0062】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
(6)記録媒体、プログラム
実施の形態で示した処理をコンピュータ等の各種機器のプロセッサ、及びそのプロセッサに接続された各種回路に実行させるためのプログラムコードからなる制御プログラムを、記録媒体に記録すること、又は各種通信路を介して流通させ頒布することもできる。
【0063】
このような記録媒体には、スマートメディア、コンパクトフラッシュ(登録商標)、メモリースティック(登録商標)、SDメモリーカード、マルチメディアカード、CD-R/RW、DVD±R/RW、DVD-RAM、HD-DVD、BD(Blu-ray Disc)等がある。
【0064】
流通、頒布された制御プログラムは、プロセッサに読み出され得るメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがその制御プログラムを実行することにより実施の形態で示したような各種機能が実現されるようになる。
<補足2>
本実施の形態は、以下の態様を含むものである。
(1)実施の形態に係る動画像処理装置は、動画像の生成中に静止画像を生成する機能を有する動画像処理装置であって、被写体像を撮像した映像信号を入力する入力部と、映像信号に対して、選定した符号化パラメータを用いて動画像の圧縮符号化を行うことにより、複数のフレームから構成される動画像を生成する圧縮処理部と、前記圧縮処理部による動画像の生成中に、静止画像の撮影指示を受け付ける受付部とを備え、前記圧縮処理部は、前記受付部が前記撮影指示を受け付けると、映像信号に対して、当該撮影指示の前後に生成された1フレームの生成時に選定した符号化パラメータに従って静止画像の圧縮符号化を行うことを特徴とする。
(2)さらに、前記撮影指示の前後に生成された2以上のフレームの中から、前記1フレームを決定する決定部を備え、前記決定部は、前記2以上のフレームの中で、I(Intra-coded)フレームを決定の対象とするが、P(Predicted)フレームまたはB(Bi-directional Predicted)フレームは決定の対象とはしないとしても構わない。
【0065】
この構成によれば、Iフレーム(Iピクチャ)の処理は、静止画像の圧縮符号化(例えばJPEG方式)に似ているため、静止画像の圧縮符号化に用いるパラメータをより正確に導出することが可能となる。
(3)前記決定部は、前記撮影指示の直前のIフレーム、または、前記撮影指示の直後のIフレームのいずれかひとつに決定するとしても構わない。
【0066】
この構成によれば、静止画像の符号量見積もりの適切な実施に資する。
(4)前記決定部は、前記撮影指示の直前のIフレームおよび前記撮影指示の直後のIフレームについて、それぞれのフレーム画像における動きベクトルの総和を比較し、比較の結果、動きベクトルの総和が小さい方のIフレームに決定するとしても構わない。
【0067】
この構成によれば、例えば動画/静止画像圧縮回路だけで、静止画像の符号量見積もりを実施でき、より低負荷にすることができる。
(5)前記決定部は、前記撮影指示の直前のIフレームおよび前記撮影指示の直後のIフレームについて、それぞれのフレーム画像における動きベクトルの動き量が閾値を超えた数を比較し、比較の結果、超えた数が大きい方のIフレームに決定するとしても構わない。
【0068】
この構成によれば、例えば動画/静止画像圧縮回路だけで、静止画像の符号量見積もりを実施でき、より低負荷にすることができる。
(6)前記決定部は、前記撮影指示の直前のIフレームおよび前記撮影指示の直後のIフレームについて、それぞれのフレーム画像の周波数ヒストグラムの解析結果に基づいて、いずれかのIフレームに決定するとしても構わない。
【0069】
この構成によれば、例えば動画/静止画像圧縮回路だけで、静止画像の符号量見積もりを実施でき、より低負荷にすることができる。
(7)前記決定部は、前記撮影指示の直前のIフレームおよび前記撮影指示の直後のIフレームのそれぞれについて、各フレーム画像における動きベクトルの総和、各フレーム画像における動きベクトルの動き量が閾値を超えた数、および、各フレーム画像の周波数ヒストグラムの解析結果を総合的に評価することにより、いずれかのIフレームに決定するとしても構わない。
【0070】
この構成によれば、静止画像の符号量見積もりの適切な実施に資する。
(8)前記圧縮処理部は、前記符号化パラメータに従って量子化テーブルを決定し、決定された量子化テーブルに基づいて前記静止画像の圧縮符号化を行うとしても構わない。
【0071】
この構成によれば、静止画像の圧縮符号化(例えばJPEG方式)の調整パラメータ毎に最適な量子化を実施することが可能となる。
(9)前記符号化パラメータは、符号量とQP(Quantization Parameter)値とを含むとしても構わない。
(10)前記量子化パラメータは、量子化テーブル若しくは量子化スケールファクタのいずれか、または量子化テーブルおよび量子化スケールファクタの両方を含むとしても構わない。
(11)実施の形態に係るカメラシステムは、被写体を光電変換して電気信号を出力する撮像装置と、前記撮像装置から出力される電気信号をデジタル変換し、変換により得られた映像信号を出力する撮像素子制御装置と、出力された映像信号に基づいて動画像および静止画像を生成する動画像処理装置と、前記動画像処理装置が取り扱うデータを一時的に格納する記憶装置と、前記動画像処理装置から出力される動画像および静止画像を表示する表示装置と、を備え、前記動画像処理装置は、上記(1)〜(10)のいずれかの動画像処理装置であるとする。
【0072】
この構成によれば、動画撮像処理における静止画像処理の負荷を軽減したカメラシステムの提供が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、動画像と静止画像を符号化する画像符号化装置及び当該画像符号化装置を備えたカメラシステムとして有用である。
【符号の説明】
【0074】
100 カメラシステム
101 撮像装置
102 撮像素子制御装置
103 動画像処理装置
104 記憶装置
105 表示装置
106 画像入力部
107 動画/静止画圧縮処理部
108 静止画像圧縮制御部
109 表示IF
110 圧縮率決定部
202 撮影指示直前に処理を行ったIピクチャ(Iフレーム)
301 DCT系数
302 量子化テーブル(量子化パラメータの一種)
303 量子化スケールファクタ(量子化パラメータの一種)
401 シーン判定部
406a 周波数検出部
501 撮影指示直前に処理を行ったIピクチャ(Iフレーム)
502 撮影指示直後に処理を行うIピクチャ(Iフレーム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像の生成中に静止画像を生成する機能を有する動画像処理装置であって、
被写体像を撮像した映像信号を入力する入力部と、
映像信号に対して、選定した符号化パラメータを用いて動画像の圧縮符号化を行うことにより、複数のフレームから構成される動画像を生成する圧縮処理部と、
前記圧縮処理部による動画像の生成中に、静止画像の撮影指示を受け付ける受付部とを備え、
前記圧縮処理部は、前記受付部が前記撮影指示を受け付けると、映像信号に対して、当該撮影指示の前後に生成された1フレームの生成時に選定した符号化パラメータに従って静止画像の圧縮符号化を行う
ことを特徴とする動画像処理装置。
【請求項2】
さらに、前記撮影指示の前後に生成された2以上のフレームの中から、前記1フレームを決定する決定部を備え、
前記決定部は、
前記2以上のフレームの中で、I(Intra-coded)フレームを決定の対象とするが、P(Predicted)フレームまたはB(Bi-directional Predicted)フレームは決定の対象とはしない
ことを特徴とする請求項1に記載の動画像処理装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記撮影指示の直前のIフレーム、または、前記撮影指示の直後のIフレームのいずれかひとつに決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の動画像処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、
前記撮影指示の直前のIフレームおよび前記撮影指示の直後のIフレームについて、それぞれのフレーム画像における動きベクトルの総和を比較し、
比較の結果、動きベクトルの総和が小さい方のIフレームに決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の動画像処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、
前記撮影指示の直前のIフレームおよび前記撮影指示の直後のIフレームについて、それぞれのフレーム画像における動きベクトルの動き量が閾値を超えた数を比較し、
比較の結果、超えた数が大きい方のIフレームに決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の動画像処理装置。
【請求項6】
前記決定部は、
前記撮影指示の直前のIフレームおよび前記撮影指示の直後のIフレームについて、それぞれのフレーム画像の周波数ヒストグラムの解析結果に基づいて、いずれかのIフレームに決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の動画像処理装置。
【請求項7】
前記決定部は、
前記撮影指示の直前のIフレームおよび前記撮影指示の直後のIフレームのそれぞれについて、
各フレーム画像における動きベクトルの総和、各フレーム画像における動きベクトルの動き量が閾値を超えた数、および、各フレーム画像の周波数ヒストグラムの解析結果を総合的に評価することにより、いずれかのIフレームに決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の動画像処理装置。
【請求項8】
前記圧縮処理部は、前記符号化パラメータに従って量子化パラメータを決定し、決定された量子化パラメータに基づいて前記静止画像の圧縮符号化を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の動画像処理装置。
【請求項9】
前記符号化パラメータは、符号量とQP(Quantization Parameter)値とを含む
ことを特徴とする請求項8に記載の動画像処理装置。
【請求項10】
前記量子化パラメータは、量子化テーブル若しくは量子化スケールファクタのいずれか、または量子化テーブルおよび量子化スケールファクタの両方を含む
ことを特徴とする請求項8に記載の動画像処理装置。
【請求項11】
被写体を光電変換して電気信号を出力する撮像装置と、
前記撮像装置から出力される電気信号をデジタル変換し、変換により得られた映像信号を出力する撮像素子制御装置と、
出力された映像信号に基づいて動画像および静止画像を生成する動画像処理装置と、
前記動画像処理装置が取り扱うデータを一時的に格納する記憶装置と、
前記動画像処理装置から出力される動画像および静止画像を表示する表示装置と、を備え、
前記動画像処理装置は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の動画像処理装置である
ことを特徴とするカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−195849(P2012−195849A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59648(P2011−59648)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】