説明

動画再生装置、動画再生方法および動画再生プログラム

【課題】 動画像をコマ飛びすることなく再生すること。
【解決手段】 MFPは、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生する再生部59と、動画像の再生とは別の複数種類の処理を実行可能する処理実行部73Aと、複数の動画像のうち再生部59Aにより再生されている動画像に与えられた動画像優先度と、複数種類の処理のうち処理実行部73Aにより実行される処理に与えられた処理優先度とを比較する比較部77と、を備え、処理実行部73Aは、動画像優先度が処理優先度を超える場合、処理の実行を停止する停止部75を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動画再生装置、動画再生方法および動画再生プログラムに関し、特に、動画の再生とは別の処理を実行動画可能な動画再生装置、動画再生方法および動画再生プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合機(以下「MFP」という)は、ハードディスクドライブ(HDD)等の大容量記憶装置を搭載しており、多くのデータを記憶することが可能となっている。このため、動画像を記憶しておき、操作説明等の動画像を表示することができる。操作説明を動画像で表示する技術として、例えば特開2002−41196号公報がある。
【0003】
一方、MFPは、複数の処理を同時に処理することができ、特に、複数のユーザが同時にMFPに処理を実行させる場合がある。例えば、あるユーザが操作説明の動画像を見ている間に、ファクシミリを受信したり、パーソナルコンピュータから送信されるプリントデータをプリントしたりすることができる。MFPが複数の処理を実行すると、MFPを制御する中央演算装置(CPU)の負荷が増大し、動画像がこま飛びして、フレームの全部が再生されない場合があるといった問題がある。
【特許文献1】例えば特開2002−41196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、動画像をコマ飛びすることなく再生することが可能な動画再生装置を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、動画像をコマ飛びすることなく再生することが可能な動画再生方法および動画再生プログラムを提供することである。
【0006】
この発明のさらに他の目的は、ユーザによる操作を容易にした動画再生装置を提供することである。
【0007】
この発明のさらに他の目的は、ユーザによる操作を容易にした動画再生方法および動画再生プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、動画再生装置は、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生する再生手段と、動画像の再生とは別の複数種類の処理を実行可能する処理実行手段と、複数の動画像のうち再生手段により再生されている動画像に与えられた動画像優先度と、複数種類の処理のうち処理実行手段により実行される処理に与えられた処理優先度とを比較する比較手段と、を備え、処理実行手段は、動画像優先度が処理優先度を超える場合、処理の実行を停止する停止手段を含む。
【0009】
この局面に従えば、複数の動画像のうちから選択された動画像の動画像優先度が、動画像の再生とは別に実行される処理の処理優先度を超える場合、処理の実行が停止されるので、動画像が処理に優先して再生される。処理の実行が停止されるので、動画像がコマ飛びすることがない。その結果、動画像がコマ飛びして再生されるのを防止することが可能な動画像再生装置を提供することができる。
【0010】
好ましくは、再生手段は、処理実行手段が処理の実行を停止している間は、動画像を再生するフレームレートを増加させて再生する倍速再生手段を含む。
【0011】
この局面に従えば、処理の実行を停止している間は、動画像がフレームレートを増加して再生される。このため、動画像の再生時間を短くして、処理の実行が停止する時間を短くすることができる。
【0012】
好ましくは、動画像は、それぞれにフレーム優先度が付された複数のフレームを含み、再生手段は、処理実行手段が処理の実行を停止している間は、動画像に含まれる複数のフレームのうちフレーム優先度が所定の値以下のフレームを間引きする間引手段をさらに含む。
【0013】
この局面に従えば、処理の実行を停止している間は、動画像に含まれる複数のフレームのうちフレーム優先度が所定の値以下のフレームが間引きされる。このため、再生されるフレーム数が少なくなるので、動画像の再生時間を短くして、処理の実行が停止する時間を短くすることができる。
【0014】
好ましくは、ユーザを認証するための認証手段をさらに備え、間引手段は、認証されたユーザに応じて間引きするフレームを異ならせる。
【0015】
好ましくは、再生手段は、動画像優先度が処理優先度を超えない場合、処理実行手段により処理が実行されている間、動画像をフレームレートを小さくして再生するスロー再生手段を含む。
【0016】
好ましくは、停止手段は、動画像優先度が処理優先度を超えない場合であっても再生される動画像の残りの再生時間が所定時間以下ならば、動画像の再生が終了するまで処理の実行を停止する。
【0017】
この局面に従えば、動画像優先度が処理優先度を超えない場合であっても再生される動画像の残りの再生時間が所定時間以下ならば、動画像の再生が終了するまで処理の実行が停止される。
【0018】
好ましくは、装置の状態を検出する状態検出手段と、をさらに備え、再生手段は、状態検出手段により装置の所定の状態が検出されることに応じて、複数の動画像のうち検出された状態に予め関連付けられた動画像を再生する。
【0019】
この発明の他の局面によれば、動画像再生装置は、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生する再生手段と、装置の状態を検出する状態検出手段と、を備え、再生手段は、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生しているときに、状態検出手段により装置の所定の状態が検出されることに応じて、複数の動画像のうち検出された装置の状態に予め関連付けられた動画像を再生する。
【0020】
この局面に従えば、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生しているときに、装置の所定の状態が検出されることに応じて、複数の動画像のうち検出された装置の状態に予め関連付けられた動画像が再生される。このため、動画像を再生しているときに、装置の所定の状態が検出されると、所定の状態に応じた動画像が自動的に再生されるので、ユーザによる操作を容易にした動画再生装置を提供することができる。
【0021】
この発明のさらに他の局面によれば、動画再生方法は、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生する再生ステップと、動画像の再生とは別の複数種類の処理のうちから選択された処理を実行するステップと、複数の動画像のうち再生されている動画像に与えられた動画像優先度と、複数種類の処理のうち実行される処理に与えられた処理優先度とを比較するステップと、を含み、処理実行ステップは、動画像優先度が処理優先度を超える場合、処理の実行を停止するステップを含む。
【0022】
この局面に従えば、動画像がコマ飛びして再生されるのを防止することが可能な動画像再生方法を提供することができる。
【0023】
この発明のさらに他の局面によれば、動画再生方法は、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生するステップと、装置の状態を検出するステップと、を含み、再生するステップは、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生しているときに、状態を検出するステップにおいて装置の所定の状態が検出されることに応じて、複数の動画像のうち検出された装置の状態に予め関連付けられた動画像を再生するステップを含む。
【0024】
この局面に従えば、ユーザによる操作を容易にした動画再生装置を提供することができる。
【0025】
この発明のさらに他の局面によれば、動画再生プログラムは、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生する再生ステップと、動画像の再生とは別の複数種類の処理のうちから選択された処理を実行するステップと、複数の動画像のうち再生されている動画像に与えられた動画像優先度と、複数種類の処理のうち実行される処理に与えられた処理優先度とを比較するステップと、をコンピュータに実行させ、処理実行ステップは、動画像優先度が処理優先度を超える場合、処理の実行を停止するステップを含む。
【0026】
この局面に従えば、動画像がコマ飛びして再生されるのを防止することが可能な動画像再生プログラムを提供することができる。
【0027】
この発明のさらに他の局面によれば、動画再生プログラムは、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生するステップと、装置の状態を検出するステップと、をコンピュータに実行させ、再生するステップは、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生しているときに、状態を検出するステップにおいて装置の所定の状態が検出されることに応じて、複数の動画像のうち検出された装置の状態に予め関連付けられた動画像を再生するステップを含む。
【0028】
この局面に従えば、ユーザによる操作を容易にした動画再生プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおけるプリントシステムの全体概要を示す図である。
【図2】MFPの外観を示す斜視図である。
【図3】MFPのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】MFPが備えるCPUが有する機能の一例をHDDに記憶するデータとともに示す機能ブロック図である。
【図5】フレームレート定義テーブルの一例を示す図である。
【図6】CPUの負荷配分を模式的に示す図である。
【図7】問合せ画面の一例を示す図である。
【図8】動画再生処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図9】並列再生処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】変形例におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例をHDDに記憶するデータとともに示す機能ブロック図である。
【図11】ジョブ設定画面の一例を示す図である。
【図12】動画優先度定義テーブルの一例を示す図である。
【図13】変形例における動画再生処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるプリントシステムの全体概要を示す図である。図1を参照して、プリントシステム1は、それぞれがネットワーク2に接続され、動画再生装置として機能するMFP(Multi Function Peripheral)100と、パーソナルコンピュータ(以下「PC」という)200,200A,200Bとを含む。
【0032】
ネットワーク2は、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、インターネットにゲートウェイを介して接続されている。ネットワーク2の接続形態は有線または無線を問わない。またネットワーク2は、LANに限らず、公衆交換電話網(PuBlic Switched Telephone Networks)を用いたネットワーク、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネットであってもよい。
【0033】
PC200,200A,200Bは、一般的なコンピュータであり、そのハードウェア構成および機能は周知なのでここでは説明を繰り返さない。PC200には、MFP100を制御するためプリンタドライバプログラム、または、Webサーバに記憶されたWebページをダウンロードするためのブラウジングプログラムがインストールされている。MFP100は、プリンタドライバプログラムがインストールされたPC200,200A,200Bからプリントデータを受信すると、そのプリントデータに基づいて画像を形成するプリンタとして機能する。また、MFP100は、ブラウジングプログラムがインストールされたPC200,200A,200BからWebページの送信要求を受信すると、Webページを返信するWebサーバとして機能する。換言すれば、MFP100は、MFP100を遠隔操作するためのWebページを、ブラウジングプログラムがインストールされたPC200,200A,200Bに送信することにより、PC200,200A,200Bによって遠隔操作される。MFP100は、遠隔操作されることによって、例えば、MFP100に記憶されたデータをプリントする処理、データを送信する処理等を実行する。なお、ここでは3台のPC200,200A,200Bがネットワーク2に接続する例を示すが、台数を限定するものではない。
【0034】
MFP100は、原稿を読取るためのスキャナ装置、画像データに基づいて紙などの記録媒体に画像を形成するための画像形成装置およびファクシミリ装置を含み、画像読取機能、複写機能、ファクシミリ送受信機能を備えている。また、MFP100,101,102各々は、Webサーバおよびストリーミング配信サーバとして機能するためのプログラムがインストールされている。なお、本実施の形態においてはMFP100を例に説明するが、MFP100に代えて、動画像を再生する機能を備えた装置であれば、たとえば、プリンタ、ファクシミリ装置、パーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0035】
図2は、MFPの外観を示す斜視図である。図3は、MFPのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2および図3を参照して、MFP100は、メイン回路110と、原稿を読み取るための原稿読取部130と、原稿を原稿読取部130に搬送するための自動原稿搬送装置120と、原稿読取部130が原稿を読み取って出力する静止画像を用紙等に形成するための画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給するための給紙部150と、ユーザインターフェースとしての操作パネル160と、を含む。
【0036】
メイン回路110は、CPU111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM113と、RAM114と、EEPROM(Electronically ErasaBle and ProgrammaBle ROM)115と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)116と、ファクシミリ部117と、フラッシュメモリ118Aが装着されるカードインターフェース(I/F)118とを含む。CPU111は、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150および操作パネル160と接続され、MFP100の全体を制御する。
【0037】
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。また、RAM114は、原稿読取部130から連続的に送られてくる静止画像を一時的に記憶する。
【0038】
操作パネル160は、MFP100の上面に設けられ、表示部160Aと操作部160Bとを含む。表示部160Aは、液晶表示装置(LCD)、有機ELD(Electroluminescence Display)等の表示装置であり、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。操作部160Bは、複数のキーを備え、キーに対応するユーザの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受付ける。操作部160Bは、表示部160A上に設けられたタッチパネルをさらに含む。
【0039】
通信I/F部112は、MFP100をネットワーク2に接続するためのインターフェースである。CPU111は、通信I/F部112を介してPC200,200A,200Bとの間で通信し、データを送受信する。また、通信I/F部112は、ネットワーク2を介してインターネットに接続されたコンピュータと通信が可能である。
【0040】
ファクシミリ部117は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNにファクシミリデータを送信する、またはPSTNからファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部117は、受信したファクシミリデータを、HDD116に記憶する、または画像形成部140に出力する。画像形成部140は、ファクシミリ部117により受信されたファクシミリデータを用紙に印刷する。また、ファクシミリ部117は、HDD116に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTNに接続されたファクシミリ装置に送信する。
【0041】
カードI/F118は、フラッシュメモリ118Aが装着される。CPU111は、カードI/F118を介してフラッシュメモリ118Aにアクセス可能である。CPU111は、カードI/F118に装着されたフラッシュメモリ118Aに記録されたプログラムをRAM114にロードして実行する。なお、CPU111が実行するプログラムは、フラッシュメモリ118Aに記録されたプログラムに限られず、HDD116に記憶されたプログラムをRAM114にロードして実行するようにしてもよい。この場合、ネットワーク2に接続された他のコンピュータが、MFP100のHDD116に記憶されたプログラムを書換える、または、新たなプログラムを追加して書き込むようにしてもよい。さらに、MFP100が、ネットワーク2に接続された他のコンピュータからプログラムをダウンロードして、そのプログラムをHDD116に記憶するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU111が直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0042】
図4は、MFPが備えるCPUが有する機能の一例をHDDに記憶するデータとともに示す機能ブロック図である。図4を参照して、MFP100が備えるCPU111は、MFP100を操作するユーザを認証するためのユーザ認証部51と、動画像の再生を指示するための再生指示を受け付ける再生指示受付部53と、動画像を並列再生する許可を受け付けるための許可受付部55と、MFP100の状態を検出する状態検出部57と、動画像を再生する再生部59と、処理を実行する処理実行部73と、処理実行部73に実行させる処理を指示するためのジョブを受け付けるジョブ受付部71と、を含む。
【0043】
HDD116には、複数の動画像83が予め記憶されている。複数の動画像83は、ここでは、MFP100の操作を撮影した、またはアニメーションで表した動画像である。なお、複数の動画像83は、MFP100の操作に関する動画像を例に説明するが、会議用の動画像など、任意の動画像としてもよい。
【0044】
ユーザ認証部51は、MFP100を操作するユーザを認証する。MFP100を操作するユーザは、操作パネル160を操作するユーザと、MFP100を遠隔操作するためにPC200,200A,200Bを操作するユーザとを含む。以下の説明では、MFP100を遠隔操作するためにPC200,200A,200Bを操作するユーザの例として、ユーザがPC200を操作する場合を例に説明する。
【0045】
操作パネル160を操作するユーザを認証するために、ユーザ認証部51は、操作部160Bに認証情報が入力されると、その認証情報を受け付ける。また、PC200を操作するユーザが、PC200に認証情報を入力すると、PC200は、MFP100に認証情報を送信するので、通信I/F部112により認証情報が受信される。ユーザ認証部51は、通信I/F部112がPC200から受信した認証情報を受け付ける。認証情報は、ユーザ識別情報とパスワードとの組である。なお、認証情報としては、指紋、虹彩、静脈パターン等の生体情報を用いるようにしてもよい。
【0046】
ユーザ認証部51は、受け付けられた認証情報と同一の認証情報が、HDD116に記憶されていれば、認証するが、記憶されていなければ認証しない。ユーザ認証部51は、認証する場合、MFP100を操作するユーザのログインを許可する。ここでは、ユーザ認証部51は、認証し、ログインを許可する場合、再生部59に認証情報に含まれるユーザ識別情報を出力する。
【0047】
CPU111は、ユーザ認証部51によりログインが許可されると、そのユーザがログアウトするまで、操作部160Bに入力される操作または通信I/F部112がPC200から受信する操作を、認証されたユーザにより入力された操作として取り扱われる。なお、認証情報を、ネットワーク2に接続された認証サーバに記憶しておくようにし、認証サーバに認証を依頼するようにしてもよい。
【0048】
認証されたユーザが操作部160Bを操作する場合、再生指示受付部53は、ユーザが操作部160Bに入力する再生指示を受け付け、受け付けられた再生指示を再生部59に出力する。また、認証されたユーザがMFP100を遠隔操作するためにPC200を操作する場合、通信I/F部112がPC200から受信する再生指示を受け付け、受け付けられた再生指示を再生部59に出力する。再生指示は、HDD116に記憶されている複数の動画像83のいずれかの再生を指示するためのコマンドであり、HDD116に記憶されている複数の動画像83の1つを識別する動画像識別情報を含む。例えば、HDD116に記憶されている複数の動画像83それぞれの動画像識別情報を表示する一覧画面を表示部160Aに表示する、または通信I/F部112を介してPC200に送信することによりPC200に一覧画面を表示させ、ユーザが表示された一覧画面から複数の動画像83のうちから1つを特定するようにすればよい。ここでは動画像83を、MFP100の操作を撮影した、またはアニメーションで表した動画像としているので、動画像識別情報を操作名としており、一覧画面はヘルプ画面である。
【0049】
再生部59は、再生指示受付部53から再生指示が入力されると、再生指示に含まれる動画像識別情報で特定される動画像83をHDD116から読出し、再生する。再生部59は、動画像83が圧縮されたデータの場合、圧縮されたデータを復号する。ここでは、HDD116に記憶された動画像83は、1秒間に再生するフレームの数を示す再生のための標準のフレームレートを、12fpsとしており、HDD116に記憶された動画像83を12fpsで再生する再生方法を通常再生という。また、再生部59は、スロー再生部61と、間引部63と、緊急時再生部65と、を含む。これらについての詳細は後述する。再生部59は、認証されたユーザが操作部160Bを操作する場合、再生した動画像を表示部160Aに表示し、認証されたユーザがMFP100を遠隔操作するためにPC200を操作する場合、再生した動画像を通信I/F部112を介してPC200に送信し、PC200に表示させる。
【0050】
状態検出部57は、MFP100の状態、例えば、MFP100の前面パネルが開いた状態、紙詰まりが発生した状態等を検出する。前面パネルは、MFP100の前面に設けられ、前面パネルが開いた状態において、画像形成部140が露出する。例えば、ユーザがトナーを交換する操作をする場合、紙詰まりした用紙を取り除く場合等に開かれる。状態検出部57は、予め定められたMFP100の状態を検出し、検出されたMFP100の状態を識別するための状態コードを再生部59に出力する。
【0051】
緊急時再生部65は、状態検出部57から状態コードが入力されると、入力される状態コードに対応して予め定められた動画像を再生する。具体的には、状態コードと動画像83とを関連付ける状態テーブル85がHDD116に予め記憶されており、緊急時再生部65は、状態テーブルを参照して、状態コードに対応する動画像83を決定し、通常再生する。
【0052】
例えば、状態テーブルは、前面パネルが開いた状態を示す状態コードに、トナーを交換する操作を撮影した動画像を関連付け、紙詰まりが発生した状態を示すが状態コードに、詰まった用紙を取り除く操作を撮影した動画像を関連付ける。このため、MFP100の状態に応じて動画像が自動的に再生されるので、ユーザは再生指示を入力する必要がなく、動画像を見るだけで操作を理解することができる。
【0053】
処理実行部73は、複数の処理を実行可能である。複数の処理は、MFP100がプリンタとして機能する場合のプリント処理、複写機として機能する場合のコピー処理、ファクシミリ装置として機能する場合のファクシミリ送受信処理、スキャナとして機能するためのスキャン処理を含む。ここでは、処理実行部73に実行させるためのコマンドをジョブといい、処理実行部73は、ジョブが入力されると処理を実行する。処理実行部73は、処理を実行している間、再生部59に処理を実行していることを示す実行信号を出力する。実行信号は、処理実行部73が実行している処理を識別するための処理識別情報を含む。
【0054】
ジョブ受付部71は、ジョブを受け付け、受け付けられたジョブを処理実行部73に出力する。ジョブ受付部71は、ユーザが操作部160Bに入力するジョブを操作部160Bから受け付け、ユーザがMFP100を遠隔操作するためにPC200,200A,200Bに入力するジョブを通信I/F部112が受信すると、通信I/F部112からジョブを受け付け、ファクシミリ部117がファクシミリデータを受信するとファクシミリ部117からジョブを受け付ける。したがって、ジョブ受付部71が受け付けるジョブは、ユーザ認証部51により認証されたユーザが入力するジョブに限らない。
【0055】
間引部63は、処理実行部73から実行信号が入力されている間、再生の対象となる動画像83に含まれる複数のフレームの一部を間引きする。再生の対象となる動画像83は、緊急時再生部65により再生される動画像を含む。動画像83は、1秒間に12のフレームを再生可能な複数のフレームを含んでおり、複数のフレームそれぞれに予めフレーム優先度が付与されている。間引部63は、再生の対象となる動画像83に含まれる複数のフレームのうちフレーム優先度がしきい値より低いフレームを間引きし、間引きしたフレームを再生しない。例えば、複雑な動作、細かい作業が必要な操作を撮影した部分のフレームのフレーム優先度を大きくし、画像の変化の少ない連続するフレームのフレーム優先度を低くする。画像の変化の少ない連続するフレームを間引くことで、類似した画像が表示される時間を短くすることができる。また、画像の変化の少ない画像が間引きされるので、フレームレートを低くしない場合とほぼ同じ画像を表示することができる。
【0056】
また、ユーザ識別情報ごとに予めしきい値を割り当てておくようにし、しきい値をユーザによって変動するようにしてもよい。このため、同じ動画像であってもユーザによって再生されるフレーム数を異ならせることができる。例えばMFP100を使いなれたユーザに対しては大きなしきい値を割り当て、MFP100を使用する頻度の少ないユーザに対しては小さなしきい値を割り当てるようにする。なお、フレーム優先度は、動画像83に含まれる複数のフレームそれぞれに付与するのではなく、開始からの時間などの区間で付与するようにしてもよい。
【0057】
スロー再生部61は、処理実行部73から実行信号が入力されている間、再生の対象となる動画像83を、フレームレートを小さくして再生する。再生の対象となる動画像83は、間引部63によりフレームが間引かれた動画像83を含む。スロー再生部61は、HDD116に記憶されているフレームレート定義テーブルを参照し、実行信号に含まれる処理識別情報で特定される処理に対応するフレームレートを決定し、決定したフレームレートで動画像83を再生する。フレームレート定義テーブルは、複数種類の処理それぞれにフレームレートを関連付ける。
【0058】
図5は、フレームレート定義テーブルの一例を示す図である。図5を参照して、フレームレート定義テーブルは、処理の種類の項目と、フレームレートの項目とを含む。処理実行部73により処理が実行されていない状態を示す「処理なし」に対してフレームレート「12fps」が関連付けられ、プリント処理に対してフレームレート「4fps」が関連付けられ、ファクシミリ受信処理に対してフレームレート「10fps」が関連付けられ、リモート操作に対してフレームレート「8fps」が関連付けられる。
【0059】
処理の種類に対するフレームレートは、処理が実行されることによるCPU111の負荷によって定めるようにすればよい。CPU111の負荷の大きい処理に対しては、動画像を再生するためにCPU111に割り当てることのできる負荷の割合を小さくし、フレームレートを小さくする。ここでは、動画像を再生するためにCPU111に割り当てることのできる負荷の割合を、「処理なし」に対して100%、プリント処理に対して30%、ファクシミリ受信処理に対して80%、リモート操作に対して60%としている。1フレームを描画するためのCPU111の負荷は定まっており、フレームレートが大きくなればCPU111の負荷が大きくなる。このため、実行されている処理の負荷に応じたフレームレートとすることにより、CPU111によりフレームが描画されずコマ飛びが発生するのを防止することができる。換言すれば、再生の対象となる動画像83のすべてのフレームを表示することができる。
【0060】
また、スロー再生部61により、フレームレートを小さくして動画像83が再生されるが、間引部63により再生されるフレームが間引かれるので、フレームを間引かない場合に比較して動画像83の再生時間を短くすることができる。例えば、プリント処理の場合には、通常再生においてフレームレート「12fps」であるのに対してフレームレート「4fps」にして再生される。このため、フレームを間引かずにスロー再生すると、再生時間が通常再生時の再生時間の3倍になるが、フレームを間引いてフレーム数を3分の1にすれば、再生時間は、フレームを間引かずに通常再生する場合と同じになる。
【0061】
図6(A)〜図6(D)は、CPUの負荷配分を模式的に示す図である。図6(A)は、動画像のみを再生する場合におけるCPU111の負荷配分を示す。図6(A)を参照して、1フレームを描画するのに1/12秒を要し、CPUに他の処理を実行する余裕はない。この状態で、他の処理を実行すると、12のフレームの少なくとも1つが描画されないことがわかる。図6(B)は、プリント処理と動画像の再生とが実行される場合におけるCPU111の負荷配分を示す。プリント処理が実行される場合、動画像を再生する処理に30%が割り当てられるため、4フレームを描画する時間が確保されている。図6(C)は、ファクシミリ受信処理と動画像の再生とが実行される場合におけるCPU111の負荷配分を示す。ファクシミリ受信処理が実行される場合、動画像を再生する処理に80%が割り当てられるため、10フレームを描画する時間が確保されている。図6(E)は、リモート操作処理と動画像の再生とが実行される場合におけるCPU111の負荷配分を示す。リモート操作処理が実行される場合、動画像を再生する処理に60%が割り当てられるため、8フレームを描画する時間が確保されている。
【0062】
図4に戻って、間引部63およびスロー再生部61は、許可受付部55により、認証されたユーザによる許可を受け付けることを条件に、フレームの間引きおよびフレームレートを減少させて再生する。許可受付部55は、問合せ画面を表示する。認証されたユーザが操作部160Bを操作する場合、問合せ画面を表示部160Aに表示し、認証されたユーザがMFP100を遠隔操作するためにPC200を操作する場合、問合せ画面を通信I/F部112を介してPC200に送信し、PC200に表示させる。
【0063】
図7は、問合せ画面の一例を示す図である。問合せ画面は、「フレームレートを調整しますがよろしいですか?」のメッセージと、「はい」の文字が表されたボタンと、「いいえ」の文字が表されたボタンとを含む。
【0064】
図4に戻って、許可受付部55は、認証されたユーザが操作部160Bを操作する場合、問合せ画面の「はい」の文字が表されたボタンを指示する操作を操作部160Bに入力すれば、許可を受け付ける。許可受付部55は、認証されたユーザがMFP100を遠隔操作するためにPC200を操作する場合、問合せ画面の「はい」の文字が表されたボタンを指示する操作をPC200に入力すれば、PC200は許可信号をMFP100に送信するので、通信I/F部112から許可を受け付ける。
【0065】
図8は、動画再生処理の流れの一例を示すフローチャートである。動画再生処理は、MFP100が備えるCPU111が動画再生プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。図8を参照して、CPU111は、ユーザのログインを検出したか否かを判断する。ユーザ認証が成功し、ログインが許可された場合にログインを検出する。ログインを検出するまで待機状態となり(ステップS01でNO)、ログインを検出すると(ステップS01でYES)、処理をステップS02に進める。換言すれば、ステップS02以降の処理は、ユーザがMFP100にログインすることを条件に実行される処理である。
【0066】
ステップS02においては、再生指示を受け付けたか否か、または、MFP100の所定の状態を検出したか否かを判断する。再生指示を受け付けたならば処理をステップS03に進める。再生指示は、ユーザが操作部160Bを操作する場合において、ユーザが操作部160Bに入力する再生指示、ユーザがMFP100を遠隔操作するためにPC200を操作する場合において、通信I/F部112がPC200から受信する再生指示を含む。また、ステップS02においては、MFP100の所定の状態を検出したならば処理をステップS03に進めるが、再生指示を受け付けることなく、かつMFP100の所定の状態を検出しなければ処理をステップS04に進める。MFP100の所定の状態は、例えば、MFP100の前面パネルが開いた状態、紙詰まりが発生した状態を含む。
【0067】
ステップS03においては、ジョブを実行中か否かを判断する。ここでは、動画像を再生する処理以外の処理を実行中か否かを判断する。ジョブを実行中ならば処理をステップS12に進め、そうでなければ処理をステップS08に進める。処理をステップS08に進める場合は、CPU111が動画像を再生する処理のみを実行する場合であり、処理をステップS12に進める場合は、CPU111が動画像を再生する処理と別の処理とを実行する場合である。
【0068】
ステップS04においては、ステップS03と同様に、ジョブを実行中か否かを判断する。ジョブを実行中ならば処理をステップS16に進め、そうでなければ処理をステップS05に進める。処理をステップS05に進める場合は、CPU111は何も処理していない場合である。処理をステップS16に進めるのは、CPU111は動画像を再生する処理以外の処理を実行している場合である。ステップS16においては、実行しているジョブが終了したか否かを判断する。実行しているジョブが終了したならば処理をステップS17に進め、ジョブが終了していなければ処理をステップS02に戻す。ジョブを実行中に、再生指示が受け付けられることがあるからである。
【0069】
ステップS05においては、ジョブを受け付けたか否かを判断する。ジョブを受け付けたならば処理をステップS06に進め、そうでなければ処理をステップS02に戻す。ステップS06においては、ステップS05において受け付けられたジョブで定義された処理の実行を開始する。そして、動画像を再生中か否かを判断する(ステップS07)。動画像を再生中ならば処理をステップS12に進め、そうでなければ処理をステップS16に進める。
【0070】
一方、ステップS08においては、ステップS02において受け付けられた再生指示にしたがって、再生指示に含まれる動画像識別情報で特定される動画像83をHDDから読出し、通常再生する。また、ステップS02においてMFP100の所定の状態が検出された場合は、HDD116に記憶されている状態テーブル85によって所定の状態に関連付けられている動画像識別情報で特定される動画像83をHDDから読出し、通常再生する。処理がステップS08に進むのは、ジョブが実行されていない場合であり、この場合にCPU111に動画像83を通常再生する負荷を与えてもフレームが描画されずにコマ飛びすることがない。
【0071】
ステップS09においては、ジョブを受け付けたか否かを判断する。ジョブを受け付けたならば処理をステップS10に進め、そうでなければ通常再生を継続し、処理をステップS11に進める。ステップS11においては、動画像の再生が終了したか否かを判断する。動画像の再生が終了したならば処理をステップS17に進め、そうでなければ処理をステップS09に戻す。ステップS17においては、ログアウトを検出したか否かを判断する。ログアウトを検出したならば処理を終了し、そうでなければ処理をステップS02に戻す。ステップS10においては、ステップS09において受け付けられたジョブで定義された処理の実行を開始する。
【0072】
ステップS12においては、問合せ画面を表示する。ログインが許可され、認証されたユーザに対して表示する。具体的には、認証されたユーザが操作部160Bを操作する場合、問合せ画面を表示部160Aに表示し、認証されたユーザがMFP100を遠隔操作するためにPC200を操作する場合、再生した動画像を通信I/F部112を介してPC200に送信し、PC200に表示させる。
【0073】
そして、許可を受け付けたか否かを判断する。操作部160Bまたは通信I/F部112から許可を受け付けたならば処理をステップS14に進めるが、そうでなければ処理をステップS15に進める。ステップS15においては、ステップS02において受け付けられた再生指示にしたがって、再生指示に含まれる動画像識別情報で特定される動画像83をHDDから読出し、通常再生し、処理をステップS16に進める。また、ステップS02においてMFP100の所定の状態が検出された場合は、HDD116に記憶されている状態テーブル85によって所定の状態に関連付けられている動画像識別情報特定される動画像83をHDDから読出し、通常再生する。処理がステップS15に進むのは、ジョブが実行されている場合である。このため、CPU111に与えられる負荷は、CPU111の能力を超えるので、動画像83に含まれる複数のフレームのすべてが描画されない場合がある。 ステップS14においては、並列再生処理を実行し、処理をステップS16に進める。並列再生処理については後述する。
【0074】
図9は、並列再生処理の流れの一例を示すフローチャートである。並列再生処理は、図8のステップS14において実行される処理である。図9を参照して、CPU111は、フレームレートを決定する(ステップS21)。再生の対象となる動画像の動画像識別情報と、フレームレート定義テーブル81により関連付けられているフレームレートを取得し、取得したフレームレートに決定する。再生の対象となる動画像の動画像識別情報は、図8のステップS02において受け付けられた再生指示に含まれる動画像識別情報、または、ステップS02においてMFP100の所定の状態が検出された場合は、HDD116に記憶されている状態テーブル85によって所定の状態に関連付けられている動画像識別情報である。そして、再生するフレームレートを決定されたフレームレートに変更する(ステップS22)。
【0075】
次に、ログインユーザに応じたしきい値を設定し(ステップS23)、処理をステップS24に進める。ユーザ識別情報ごとに予め割り当てられたしきい値を設定する。
【0076】
そして、再生の対象となる動画像83に含まれる複数のフレームのうち1つを選択する(ステップS24)。再生の対象となる動画像は、図2のステップS02において受け付けられた再生指示に含まれる動画像識別情報で特定される動画像83、またはステップS02においてMFP100の所定の状態が検出された場合は、HDD116に記憶されている状態テーブル85によって所定の状態に関連付けられている動画像識別情報で特定される動画像83である。再生の対象となる動画像83に含まれる複数のフレームを最初から順に選択する。そして、選択されたフレームに割り当てられた優先度が、ステップS23において設定されたしきい値以上か否かを判断する。しきい値以上ならば処理をステップS26に進めるが、そうでなければステップS26をスキップして処理をステップS27に進める。ステップS26においては、ステップS24において選択されたフレームを、ステップS22において変更されたフレームレートで再生する。すなわち、ステップS26をスキップする場合は、ステップS24において選択されたフレームは再生されず、間引きされる。このため、フレーム数を少なくすることができる。また、間引きされるフレームは、優先度の低いフレームなので、動画像の内容が損なわれることがない。さらに、ログインユーザの熟練度に応じたしきい値が設定されるので、ログインユーザに最低限必要な部分だけを見せることができる。また、同じ画像または変化の少ない画像が間引きされるので、フレームレートを低くしない場合とほぼ同じ画像を表示することができる。
【0077】
ステップS27においては、実行されていたジョブが終了したか否かを判断する。ジョブが終了したならば処理を図8のステップS08に進めるが、そうでなければ処理をステップS28に進める。ステップS28においては、動画像の再生が終了したか否かを判断する。ステップS24において、動画像83に含まれる複数のフレームのうち最後のフレームが選択されたか否かを判断する。動画像の再生が終了したならば処理を動画再生処理に戻すが、そうでなければ処理をステップS24に戻す。
【0078】
<変形例>
上述した実施の形態におけるMFP100は、動画像を再生する処理と、ジョブを実行する処理とを並列して処理するものであった。変形例におけるMFP100は、動画像を再生する処理を可能な限り優先して実行するようにしたものである。以下、上述した実施の形態におけるMFP100と異なる点を説明する。
【0079】
図10は、変形例におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例をHDDに記憶するデータとともに示す機能ブロック図である。図10を参照して、図4に示した機能ブロック図と異なる点は、許可受付部55が削除された点、再生部59Aが変更され、倍速再生部67が追加された点、比較部77が追加された点、処理実行部73Aが変更され、停止部75を含む点である。
【0080】
比較部77は、処理実行部73により実行される処理に与えられた処理優先度と、再生部59により再生される動画像に与えられた動画優先度とを比較する。処理優先度は、ジョブを受け付ける際に、ジョブとともに受け付けられる。動画優先度は、HDD116に記憶される複数の動画像83ごとに予め設定される値である。本実施の形態においては、動画像識別情報と動画優先度とを関連付ける優先度定義テーブル87をHDD116に予め記憶する。
【0081】
図11は、ジョブ設定画面の一例を示す図である。ジョブ設定画面は、PC200,200A,200Bにおいてプリンタドライバプログラムが実行され、ジョブを設定する際に表示される画面である。図11を参照して、ジョブ設定画面は、「優先度」の文字が表された右にジョブ優先度を設定するための領域を含む。ここで、ジョブ優先度は、1から5の5段階であり、数字が大きいほどレベルの高い値である。すなわち、ジョブ優先度は、ジョブを入力するユーザが設定する値である。
【0082】
図12は、動画優先度定義テーブルの一例を示す図である。図12を参照して、動画優先度定義テーブルは、動画像識別情報の項目と、種別の項目と、内容の項目と、動画優先度の項目を含む。動画像識別情報の項目は、動画像を識別するための動画像識別情報が設定される。種別の項目は、動画像が分類される動画像の分類名が設定される。ここでは、分類名を、紙詰まり時の操作に関する動画像が分類されるジャム処理系、消耗品を交換する操作に関する動画像が分類される交換係、ジョブを設定する操作に関する動画像が分類されるレクチャ系の3つとしている。内容の項目は、動画像の内容を説明するためのテキストが設定される。動画優先度の項目は、動画像に与えられる優先度が設定される。
【0083】
図10に戻って、比較部77は、処理実行部73により実行される処理に与えられる処理優先度をジョブとともに受け付け、再生部59により再生される動画像に与えられる動画優先度を優先度定義テーブルを参照して取得する。比較部77は、処理優先度と動画優先度とを比較し、動画優先度が処理優先度を超えるか否かを判断する。動画優先度が処理優先度を超える場合、動画像の再生を優先する指示を、処理実行部73Aおよび再生部59Aに出力する。また、比較部77は、動画優先度が処理優先度を超えない場合であっても、再生部59により再生されている動画像の残りの再生時間が所定の値よりも短い場合、動画像の再生を優先する指示を出力する。
【0084】
処理実行部73Aに含まれる停止部75は、比較部77より動画像の再生を優先する指示が入力されると、再生部59により再生されている動画像の再生が終了するまで、処理の実行を停止する。このため、CPU111に動画像を再生する処理のみを実行させることができ、動画像に含まれる複数のフレームのすべてを再生させることができる。処理実行部73は、比較部77より動画像の再生を優先する指示が入力されない場合、換言すれば、動画優先度が処理優先度を超えない場合であって、再生部59により再生されている動画像の残りの再生時間が所定の値以上の場合、処理を実行する。
【0085】
再生部59は、比較部77より動画像の再生を優先する指示が入力されると、スロー再生部61を能動化させることなく、倍速再生部67を能動化する。倍速再生部67は、フレームレートを増加させて動画像を再生する。例えば、フレームレートを増加させる割合は、任意に定めることができる。動画像をフレームレートを増加させて再生すると、再生時間が短くなる。例えば、フレームレートを2倍にすれば、再生時間は半分になる。このため、動画像の再生を早期に終了させることができ、処理実行部73が処理を停止させる時間を短くすることができる。また、間引部63によりフレームが間引きされる場合は、動画像を再生する時間がさらに短くなく。
【0086】
再生部59は、比較部77より動画像の再生を優先する指示が入力されない場合、倍速再生部67を能動化させることなく、スロー再生部61を能動化する。この場合は、処理実行部73により処理が実行されるとともに、スロー再生部61により動画像がフレームレートを小さくして再生される。この場合は、上述した実施の形態と同じである。
【0087】
図13は、変形例における動画再生処理の流れの一例を示すフローチャートである。変形例における動画再生処理は、変形例におけるMFP100が備えるCPU111が動画再生プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。図13を参照して、図8に示した動画再生処理と異なる点は、ステップS12、ステップS13およびステップS15に代えて、ステップS41〜ステップS49が実行される点である。その他の処理は図8に示した処理と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。
【0088】
ステップS41においては、処理優先度を取得する。ステップS05、ステップS09、において受け付けられるジョブとともに処理優先度を受け付けるので、その処理優先度を取得する。ステップS42においては、動画優先度を取得する。ステップS02において受け付けられた再生指示に含まれる動画像識別情報、またはステップS02においてMFP100の所定の状態が検出された場合は、HDD116に記憶されている状態テーブル85によって所定の状態に関連付けられている動画像識別情報と、優先度定義テーブルにより関連付けられた動画優先度を取得する。そして、動画優先度が処理優先度を超えるか否かを判断する(ステップS43)。動画優先度が処理優先度を超えるならば(ステップS43でYES)、処理をステップS45に進めるが、そうでなければ処理をステップS44に進める。ステップS44おいては、ステップS08において再生が開始された動画像の残りの再生時間がしきい値T以下か否かを判断する。再生残り時間がしきい値T以下ならば処理をステップS47に進めるが、そうでなければ処理をステップS14に進める。
【0089】
動画優先度が処理優先度を超えない場合であって、再生されている動画像の残りの再生時間がしきい値Tより大きいの場合は、ステップS14において、動画像を再生する処理と、ジョブにより定義される処理とを時分割で実行する並列再生処理を実行する。
【0090】
ステップS45においては、動画像を再生中か否かを判断する。動画像を再生中ならば処理をステップS46に進め、再生中でなければ処理をステップS46に進める。ステップS46においては、動画像を通常再生し、処理をステップS47に進める。具体的には、ステップS02において受け付けられた再生指示にしたがって、再生指示に含まれる動画像識別情報で特定される動画像83をHDDから読出し、通常再生する。また、ステップS02においてMFP100の所定の状態が検出された場合は、HDD116に記憶されている状態テーブル85によって所定の状態に関連付けられている動画像識別情報で特定される動画像83をHDDから読出し、通常再生する。
【0091】
動画像が再生中で処理をステップS47に進める場合は、ステップS08において、通常再生が開始された場合である。ステップS47においては、ステップS06またはステップS10において開始された処理を一時停止する。
【0092】
ステップS48においては、ステップS08またはステップS46において開始された動画像の再生が終了するまで待機状態となり(ステップS48でNO)、動画像の再生が終了すると(ステップS48でYES)、処理をステップS49に進める。ステップS49においては、ステップS47において一時停止させた処理を再開し、処理をステップS16に進める。動画優先度が処理優先度を超えている場合、処理が一時停止され、動画像を再生する処理が優先して実行される。また、動画優先度が処理優先度を超えていない場合であっても再生中の動画像の残りの再生時間がしきい値T以下の場合、処理が一時停止され、動画像が優先して再生されるが、しきい値を短くして短い期間とすれば、処理の実行を指示したユーザへの影響は少なくなる。
【0093】
以上説明したように、本実施の形態におけるMFP100は、動画像の再生とは別の処理が実行されている間、動画像をフレームレートを小さくして再生するので、CPU111の負荷が増大して動画像がコマ飛びして再生されるのを防止することができる。
【0094】
また、複数種類の処理のうち実行されている処理に応じたフレームレートで動画像を再生するので、動画像の再生速度をCPU111の負荷に応じて異ならせることができる。
【0095】
また、動画像に含まれる複数のフレームのうちフレーム優先度が所定の値以下のフレームが間引きされるので、動画像の再生時間を短くすることができる。
【0096】
さらに、認証されたユーザに応じて間引きするフレームを異ならせるので、熟練したユーザとそうでないユーザとで再生する動画像を異ならせることができる。
【0097】
また、MFP100の前カバーが開いた状態、または紙詰まりした状態等MFPの所定の状態が検出されると、検出された状態に予め関連付けられた動画像が自動的に再生されるので、ユーザの操作を簡略にすることができる。
【0098】
さらに、MFP100は、複数の動画像83のうちから選択された動画像83の動画像優先度が、動画像の再生とは別に実行される処理の処理優先度を超える場合、処理を実行するのを停止する。このため、処理の実行が停止されるので、動画像がコマ飛びするのを防止することができる。
【0099】
また、処理の実行を停止している間は、動画像をフレームレートを増加して再生されるので、動画像の再生時間を短くして、処理の実行が停止する時間を短くすることができる。
【0100】
また、処理の実行を停止している間は、動画像に含まれる複数のフレームのうちフレーム優先度が所定の値以下のフレームを間引きするので、再生されるフレーム数を少なくして動画像の再生時間を短くすることができる。このため、処理の実行が停止する時間を短くすることができる。
【0101】
また、動画像優先度が処理優先度を超えない場合であっても再生される動画像の残りの再生時間が所定時間以下ならば、動画像の再生が終了するまで処理の実行を停止する。動画像を閲覧するユーザは、動画像を最後までコマ飛びすることなく閲覧することができる。
【0102】
さらに、MFP100は、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生しているときに、MFP100の所定の状態が検出されることに応じて、複数の動画像のうち検出された装置の状態に予め関連付けられた動画像を再生する。このため、MFP100の所定の状態に応じた動画像が自動的に再生されるので、ユーザによる操作を容易にすることができる。
【0103】
なお、上述した実施の形態においては、動画再生装置の一例としてMFP100について説明したが、図8、図9および図13に示した動画再生処理を実行するための動画再生方法およびその動画再生方法をコンピュータに実行させるための動画再生プログラムとして発明を捉えることができるのは、言うまでもない。
【0104】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0105】
1 プリントシステム、2 ネットワーク、51 ユーザ認証部、53 再生指示受付部、55 許可受付部、57 状態検出部、59,59A 再生部、61 スロー再生部、63 間引部、65 緊急時再生部、67 倍速再生部、71 ジョブ受付部、73,73A 処理実行部、75 停止部、77 比較部、81 フレームレート定義テーブル、83 動画像、85 状態テーブル、110 メイン回路、111 CPU、112 通信I/F部、113 ROM、114 RAM、115 EEPROM、116 HDD、117 ファクシミリ部、118 カードI/F、118A フラッシュメモリ、120 自動原稿搬送装置、130 原稿読取部、140 画像形成部、150 給紙部、150 操作パネル、160 操作パネル、160A 表示部、160B 操作部、200,200A,200B PC。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の動画像のうちから選択された動画像を再生する再生手段と、
前記動画像の再生とは別の複数種類の処理を実行可能する処理実行手段と、
前記複数の動画像のうち前記再生手段により再生されている動画像に与えられた動画像優先度と、前記複数種類の処理のうち前記処理実行手段により実行される処理に与えられた処理優先度とを比較する比較手段と、を備え、
前記処理実行手段は、前記動画像優先度が前記処理優先度を超える場合、前記処理の実行を停止する停止手段を含む、動画再生装置。
【請求項2】
前記再生手段は、前記処理実行手段が前記処理の実行を停止している間は、前記動画像を再生するフレームレートを増加させて再生する倍速再生手段を含む、請求項1に記載の動画再生装置。
【請求項3】
前記動画像は、それぞれにフレーム優先度が付された複数のフレームを含み、
前記再生手段は、前記処理実行手段が前記処理の実行を停止している間は、前記動画像に含まれる複数のフレームのうち前記フレーム優先度が所定の値以下のフレームを間引きする間引手段をさらに含む、請求項1または2に記載の動画再生装置。
【請求項4】
ユーザを認証するための認証手段をさらに備え、
前記間引手段は、前記認証されたユーザに応じて間引きするフレームを異ならせる、請求項3に記載の動画再生装置。
【請求項5】
前記再生手段は、前記動画像優先度が前記処理優先度を超えない場合、前記処理実行手段により処理が実行されている間、前記動画像をフレームレートを小さくして再生するスロー再生手段を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の動画再生装置。
【請求項6】
前記停止手段は、前記動画像優先度が前記処理優先度を超えない場合であっても前記再生される動画像の残りの再生時間が所定時間以下ならば、前記動画像の再生が終了するまで前記処理の実行を停止する、請求項1〜4のいずれかに記載の動画再生装置。
【請求項7】
装置の状態を検出する状態検出手段と、をさらに備え、
前記再生手段は、前記状態検出手段により装置の所定の状態が検出されることに応じて、前記複数の動画像のうち前記検出された状態に予め関連付けられた動画像を再生する、請求項1〜4のいずれかに記載の動画再生装置。
【請求項8】
複数の動画像のうちから選択された動画像を再生する再生手段と、
装置の状態を検出する状態検出手段と、を備え、
前記再生手段は、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生しているときに、前記状態検出手段により装置の所定の状態が検出されることに応じて、前記複数の動画像のうち前記検出された装置の状態に予め関連付けられた動画像を再生する、動画再生装置。
【請求項9】
複数の動画像のうちから選択された動画像を再生する再生ステップと、
前記動画像の再生とは別の複数種類の処理のうちから選択された処理を実行するステップと、
前記複数の動画像のうち再生されている動画像に与えられた動画像優先度と、前記複数種類の処理のうち実行される処理に与えられた処理優先度とを比較するステップと、を含み、
前記処理実行ステップは、前記動画像優先度が前記処理優先度を超える場合、前記処理の実行を停止するステップを含む、動画再生方法。
【請求項10】
複数の動画像のうちから選択された動画像を再生するステップと、
装置の状態を検出するステップと、を含み、
前記再生するステップは、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生しているときに、前記状態を検出するステップにおいて装置の所定の状態が検出されることに応じて、前記複数の動画像のうち前記検出された装置の状態に予め関連付けられた動画像を再生するステップを含む、動画再生方法。
【請求項11】
複数の動画像のうちから選択された動画像を再生する再生ステップと、
前記動画像の再生とは別の複数種類の処理のうちから選択された処理を実行するステップと、
前記複数の動画像のうち再生されている動画像に与えられた動画像優先度と、前記複数種類の処理のうち実行される処理に与えられた処理優先度とを比較するステップと、をコンピュータに実行させ、
前記処理実行ステップは、前記動画像優先度が前記処理優先度を超える場合、前記処理の実行を停止するステップを含む、動画再生プログラム。
【請求項12】
複数の動画像のうちから選択された動画像を再生するステップと、
装置の状態を検出するステップと、をコンピュータに実行させ、
前記再生するステップは、複数の動画像のうちから選択された動画像を再生しているときに、前記状態を検出するステップにおいて装置の所定の状態が検出されることに応じて、前記複数の動画像のうち前記検出された装置の状態に予め関連付けられた動画像を再生するステップを含む、動画再生プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−61830(P2011−61830A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240694(P2010−240694)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【分割の表示】特願2008−239574(P2008−239574)の分割
【原出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】