説明

動画受信表示装置および動画配信システム

【課題】 宣伝広告などに関する動画情報を簡単な設備によって遠方から配信し、広告塔などの表示装置に表示する。
【解決手段】 プロバイダサーバ1からワイドエリアネットワーク4を介して配信されるデジタル動画信号を受信して保存する現場サーバ3と、現場サーバからローカルエリアネットワーク7を介して配信されたデジタル動画信号を受信して、そのデジタル動画信号をリアルタイムでアナログ動画信号に変換するセットトップボックス5と、セットトップボックス5の近傍に配置され、アナログ動画信号に基づいて動画を表示するディスプレイ装置6と、を有する動画受信表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠方から提供された宣伝広告などに関する動画情報を広告塔などに表示できる動画受信表示装置および動画配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の公共の場の大画面表示装置や電光掲示板などにおいては、駅構内やビル壁面に表示装置(テレビ受像機、ビルボード)を設置して、宣伝広告などの情報を表示することが行なわれている。この場合に、通常は、表示装置の近くにビデオデッキなどを設置し、動画情報を記憶したビデオテープやDVD(デジタルバーサタイルディスク)などの媒体を物理的に搬送したうえでビデオデッキなどで再生することにより表示する。
【特許文献1】特開2002−330416号公報
【特許文献2】特開2003−132362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ビデオテープやDVDなどの媒体を物理的に搬送するやり方では、媒体の搬送や取替えに手間がかかる。
【0004】
一方、通常のテレビ放送やケーブルテレビなどでは画像情報(ビデオ情報)を無線または有線で遠方に配信するが、画像情報は基本的にアナログ情報であるので、減衰を考慮して大出力の発信機や中継局などの設備を必要とする。
【0005】
この発明は上記課題を鑑みてなされたものであって、宣伝広告などに関する動画情報を簡単な設備によって遠方から配信し、広告塔などの表示装置に表示できる動画受信表示装置および動画配信システムを提供することを目的とする。
【0006】
なお、特許文献1にはストリーミング広告配信について開示されているが、これは、視聴者が自分のテレビ受像機やパーソナルコンピュータ(視聴者端末)を自分で見ることを想定したものであって、本発明におけるような動画情報配信については開示していない。また、特許文献2には、ネットワークを介してデータをユーザサイトのセットトップボックス(STP)に直接配信する技術が開示されている。しかしここには、屋外に表示装置を設置する場合や表示装置を複数個設置する場合の配慮が示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記目的を達成するものであって、請求項1に記載の発明は、プロバイダサーバからワイドエリアネットワークを介して配信されるデジタル動画信号を受信して保存する現場サーバと、前記現場サーバからローカルエリアネットワークを介して配信された前記デジタル動画信号を受信して、そのデジタル動画信号をリアルタイムでアナログ動画信号に変換するセットトップボックスと、前記セットトップボックスの近傍に配置され、前記アナログ動画信号に基づいて動画を表示するディスプレイ装置と、を有する動画受信表示装置である。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の動画受信表示装置において、前記ローカルエリアネットワークはイーサネット(商標)によるものであること、を特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の動画受信表示装置において、前記動画は広告宣伝に関するものであって、前記ディスプレイ装置は看板として機能するものであること、を特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の動画受信表示装置において、前記現場サーバが屋内に配置され、前記ディスプレイ装置が屋外に配置されていること、を特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、デジタル動画信号を配信する少なくとも一つのプロバイダサーバと、前記プロバイダサーバからネットワークを介して配信される前記デジタル動画信号を受信して保存する現場サーバと、前記現場サーバからローカルエリアネットワークを介して配信された前記デジタル動画信号を受信してそのデジタル動画信号をリアルタイムでアナログ動画信号に変換するセットトップボックスと、前記セットトップボックスの近傍に配置され、前記アナログ動画信号に基づいて動画を表示するディスプレイ装置と、を有する動画配信システムである。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の動画配信システムにおいて、前記プロバイダサーバと前記現場サーバはそれぞれ複数個あって、各現場サーバは、特定のプロバイダサーバを選択する手段を有すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、宣伝広告などに関する動画情報を簡単な設備によって遠方から配信し、広告塔などの表示装置に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る動画配信システムの一実施の形態を示すブロック図であって、コンテンツプロバイダのプロバイダサーバ1と、動画受信表示装置2の現場サーバ3が、ワイドエリアネットワーク(WAN)4を介して接続されている。WAN4は、たとえばADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)などにより接続される。
【0015】
図1ではプロバイダサーバ1と動画受信表示装置2が2個ずつ示されているが、これらの個数は任意であり、1個ずつであってもよい。プロバイダサーバ1が複数ある場合は、現場サーバ3が、プロバイダサーバ1を選択する機能を持っていればよい。
【0016】
動画受信表示装置2はさらに、セットトップボックス5とディスプレイ装置6を有し、現場サーバ3とセットトップボックス5はローカルエリアネットワーク(LAN)7を介して接続されている。
【0017】
プロバイダサーバ1からWANを通じて現場サーバ3に送られる動画信号は、デジタル信号である。現場サーバ3はこのデジタル信号を受信してこれを一時記憶し、LAN7を通じてデジタル動画信号をセットトップボックス5にストリーミング配信する。
【0018】
LAN7を通じて配信されるデジタル画像信号は、たとえばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)やUDP(User Datagram Protocol)などのネットワークプロトコルや動画配信のフォーマットである。
【0019】
セットトップボックス5はディスプレイ装置6の近傍に設置されるもので、現場サーバ3からLAN7を通じて送られてくるデジタル画像信号をリアルタイムでアナログ動画信号(ビデオ信号)に変換する機能を有する。ここで、セットトップボックス5は文字通りにはセット(テレビ受像機、ディスプレイ装置)の上に置かれる箱を意味するが、これをディスプレイ装置の上でなくて横や後方に置いてもよく、ディスプレイ装置の内部に組み込むこともできる。ただし、前述のようにアナログ信号は距離に応じて減衰するので、セットトップボックス5はディスプレイ装置6の近くに設置することが必要である。なお、通常のセットトップボックスとして、録画機能やブラウジング機能、eメール機能などを有するものがあるが、この実施の形態では、セットトップボックスのビデオオンデマンド機能を利用すればよい。
【0020】
ディスプレイ装置6は、たとえば通常のテレビ受像機や、たとえばビル壁面の設置される大画面の広告用ディスプレイ装置や電子掲示板であって、セットトップボックス5から送られてくるアナログのビデオ信号を受信して動画を表示する機能を有する。
【0021】
LAN7はデジタル信号を伝送するものであって、たとえば、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式のイーサネットであり、たとえばより対線を用いる。これにより、安価な設備とすることができる。
【0022】
図1では、一つの現場サーバ3に2組のセットトップボックス5およびディスプレイ装置6が接続されている例を示すが、この組数は任意であり、1組であってもい。なお、図1で、2個の動画受信表示装置2のうちの一方についてはセットトップボックス5およびディスプレイ装置6の図示を省略している。たとえば、一つの駅に一つの現場サーバ3を設置し、その駅に複数組のセットトップボックス5およびディスプレイ装置6を設置する例が考えられる。また、ディスプレイ装置6が屋外に設置される広告用ディスプレイ装置であるような場合でも、現場サーバ3を屋内に設置するなど、設置場所を自由に選択できる。
【0023】
以上の説明で、「動画」は、たとえば通常のテレビ番組のように常に動いている映像でもよいが、静止画像がときどき(たとえば10秒ごとに)新しい静止画像に置き換わるようなものでもよい。また、動画に合わせて音声を流してもよい。また、プロバイダサーバ1から提供されるコンテンツは、広告宣伝に限らず、IP放送、インターネットの内容、ライブ放送など、任意のものでよい。
【0024】
この実施の形態によれば、コンテンツを入れ替えたり変更するために媒体を輸送したり、人が差し替えたりする必要がないので手間がかからない。また、現場側の配線がLAN接続であって、イーサネットケーブルなどを使用できるので、従来のビデオ信号を直接供給する場合のように仕様に距離やケーブルによる減衰を考慮する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る動画配信システムの一実施の形態を示すブロック図。
【符号の説明】
【0026】
1…プロバイダサーバ
2…動画受信表示装置
3…現場サーバ
4…ワイドエリアネットワーク(WAN)
5…セットトップボックス
6…ディスプレイ装置
7…ローカルエリアネットワーク(LAN)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロバイダサーバからワイドエリアネットワークを介して配信されるデジタル動画信号を受信して保存する現場サーバと、
前記現場サーバからローカルエリアネットワークを介して配信された前記デジタル動画信号を受信して、そのデジタル動画信号をリアルタイムでアナログ動画信号に変換するセットトップボックスと、
前記セットトップボックスの近傍に配置され、前記アナログ動画信号に基づいて動画を表示するディスプレイ装置と、
を有する動画受信表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動画受信表示装置において、前記ローカルエリアネットワークはイーサネットによるものであること、を特徴とする動画受信表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の動画受信表示装置において、前記動画は広告宣伝に関するものであって、前記ディスプレイ装置は看板として機能するものであること、を特徴とする動画受信表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の動画受信表示装置において、前記現場サーバが屋内に配置され、前記ディスプレイ装置が屋外に配置されていること、を特徴とする動画受信表示装置。
【請求項5】
デジタル動画信号を配信する少なくとも一つのプロバイダサーバと、
前記プロバイダサーバからネットワークを介して配信される前記デジタル動画信号を受信して保存する現場サーバと、
前記現場サーバからローカルエリアネットワークを介して配信された前記デジタル動画信号を受信してそのデジタル動画信号をリアルタイムでアナログ動画信号に変換するセットトップボックスと、
前記セットトップボックスの近傍に配置され、前記アナログ動画信号に基づいて動画を表示するディスプレイ装置と、
を有する動画配信システム。
【請求項6】
請求項5に記載の動画配信システムにおいて、前記プロバイダサーバと前記現場サーバはそれぞれ複数個あって、各現場サーバは、特定のプロバイダサーバを選択する手段を有すること、を特徴とする動画配信システム。

【図1】
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【公開番号】特開2006−14130(P2006−14130A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190937(P2004−190937)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(504251470)株式会社Tomorrow (1)
【Fターム(参考)】