動脈壁硬さ評価システム
【課題】一般の家庭内で、誰もが専門知識を必要とせず簡単に、いつでも血管硬度を精度良く評価できるようにする。
【解決手段】生体の一部に装着するカフと、前記カフ内部の圧力を検出するカフ圧センサーと、前記カフ圧センサーの検出値に基づきカフを所定値に加圧、減圧制御するカフ圧制御部と、前記カフ圧センサーにより検出した脈波に基づきカフ圧脈波と血圧脈波の振幅を計算し、その脈波振幅に基づき動脈壁の硬さの評価を行うデータ処理部とからなる。その動脈壁の硬さの評価は、血管断面積と血管壁に加わる内外圧力差との関係である圧径特性曲線により評価し、またカフにより検出された脈波の形状及び振幅から推定して行う。また、検出された脈波から、圧径特性曲線を内外圧差に関して微分した関数を、逆正接関数あるいはシグモイド関数を用いて評価を行う。
【解決手段】生体の一部に装着するカフと、前記カフ内部の圧力を検出するカフ圧センサーと、前記カフ圧センサーの検出値に基づきカフを所定値に加圧、減圧制御するカフ圧制御部と、前記カフ圧センサーにより検出した脈波に基づきカフ圧脈波と血圧脈波の振幅を計算し、その脈波振幅に基づき動脈壁の硬さの評価を行うデータ処理部とからなる。その動脈壁の硬さの評価は、血管断面積と血管壁に加わる内外圧力差との関係である圧径特性曲線により評価し、またカフにより検出された脈波の形状及び振幅から推定して行う。また、検出された脈波から、圧径特性曲線を内外圧差に関して微分した関数を、逆正接関数あるいはシグモイド関数を用いて評価を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は動脈壁の硬さの状態を、病院等に設置された大がかりな装置や複雑なシステムを用いることなく、一般家庭でも簡易に評価することができるようにした動脈壁硬さ評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血管壁硬化度の評価技術として脈波伝播速度を計測する技術、血管を伝導する脈波の進行波と反射波との干渉を計測する技術がある。これらの技術による計測には大掛かりな装置を用いる必要があり、実際には病院など専門の施設で検査として受診する必要がある。また、これらの機器の操作には専門知識が必要である。
【0003】
それに対して特開平5−38331号公報、特開平5−38332号公報に開示された発明では、カフを用いた動脈硬化評価装置が提案されている。しかしながらこれらの発明では、カフ圧から検出した脈波の振幅の高さの変化の度合いを評価しているに過ぎない。
【0004】
また特開2004−223046号公報及び特開平7−124129号公報には、カフを用いた動脈硬化評価装置が提案されている。この発明では、動脈壁に加わる内力と外力の差と動脈径の関係を考慮した手法を提案している。カフにより検出した脈波の振幅と血圧を用いて、直接、血管壁の内外圧差と血管径の関係を導出している。この方法によると血管壁の内外圧差と血管径の関係として、予めある関数を仮定する必要があり、したがって得られる結果も必然的に前提とした関数に依存することとなる。このため、この推定方法が妥当であるかどうかの根拠に乏しいという問題がある。
【特許文献1】特開平5−38331号公報
【特許文献2】特開平5−38332号公報
【特許文献3】特開2004−223046号公報
【特許文献4】特開平7−124129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の手法により血管硬度を評価したい場合は、病院等の施設を訪れ、計測の都度代金を支払う必要がある。また、装置や施設の予定に合わせる必要性から時間的な束縛も必然的に生じる。そのため、誰でもいつでも自分の血管硬度を評価できるとは言えないのが現状である。
【0006】
また前記特許文献1、2に開示されているような技術では血管壁の特性まで考慮した測定は行っておらず、正確に血管壁の硬さを評価しているとはいえない。また、特許文献3に開示されているような技術では前記のように血管壁の硬さの評価手法として理論的な疑問があり、正確な血管壁の硬さを評価しているかについては大きな疑問がある。
【0007】
したがって本発明は一般の家庭内で、誰もが専門知識を必要とせず簡単に、いつでも血管硬度を評価でき、従来の類似技術に比して血管硬度をより精度よく評価することができる動脈壁硬さ評価システムを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る動脈壁硬さ評価システムは前記課題を解決するため、生体の一部に装着するカフと、前記カフ内部の圧力を検出するカフ圧センサーと、前記カフ圧センサーの検出値に基づきカフを所定値に加圧、減圧制御するカフ圧制御手段と、前記カフ圧センサーにより検出した脈波に基づきカフ圧脈波と血圧脈波の振幅を計算し、その脈波振幅に基づき動脈壁の硬さの評価を行うデータ処理手段とからなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の動脈壁硬さ評価システムは、前記動脈壁硬さ評価システムにおいて、前記動脈壁の硬さの評価を血管断面積と血管壁に加わる内外圧力差との関係である圧径特性曲線を推定して行う。また、前記動脈壁の硬さの評価をカフにより検出された脈波の形状及び振幅から推定して行う。また、前記動脈壁の硬さの評価を検出された脈波から、圧径特性曲線を内外圧差に関して微分した関数を推定して行う。また、前記動脈壁の硬さの評価を前記微分した圧径特性曲線を数値積分することで圧径特性曲線を推定する。また、前記動脈壁の硬さの評価を前記推定した圧径特性曲線に最適にフィットする関数を同定して、このときに決まるパラメータの値を用いて評価する。また前記関数として逆正接関数あるいはシグモイド関数を用いる。また、前記のような手法を用いることにより、体動など突発的な変動に対して動脈壁硬さの評価をロバストとしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は一般の家庭内で、誰もが専門知識を必要とせず簡単に、いつでも血管硬度を評価でき、従来の類似技術に比して血管硬度をより精度よく評価することができるようになる。
【0011】
即ち本発明によれば、血圧測定と同じように上腕部に巻いたカフを加圧・減圧するだけで、家庭においても簡単に血管硬度を評価できる。したがって、心臓病や脳血管障害などにつながる動脈硬化を予防するために上腕動脈硬度をどこでもいつでも誰でも簡単に評価できるようになり、予防医学的観点から重要な技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は前記のように、一般の家庭内で、誰もが専門知識を必要とせず簡単に、いつでも血管硬度を精度良く評価できるようにする、という課題を、生体の一部に装着するカフと、前記カフ内部の圧力を検出するカフ圧センサーと、前記カフ圧センサーの検出値に基づきカフを所定値に加圧、減圧制御するカフ圧制御手段と、前記カフ圧センサーにより検出した脈波に基づきカフ圧脈波と血圧脈波の振幅を計算し、その脈波振幅に基づき動脈壁の硬さの評価を行うデータ処理手段とからなる
【実施例1】
【0013】
例えば図1に示すように、血管の直径は血管内から外へ向かう圧力と外から加わる圧力の差(内外圧差)および血管の材料特性で決定される。ここで内外圧差=内圧−外圧と定義する。負の内外圧差、即ち外圧が内圧より高いときには血管径は小さくなり、逆に正の内外圧差のときには血管は押し広げられる。したがって内外圧差が決まれば血管径は決まるので、血管径は内外圧差の関数として表すことができる。
【0014】
血管径が取りえる最大値には限界がある。このため、血管の径を内外圧差の関数として描画すると例えば図2に示すようなシグモイド関数曲線状となる。以降では、この関数曲線を「血管の圧径特性曲線」と呼ぶ。
【0015】
上記のような血管の圧径特性曲線に、血管壁組織の特性が反映される。例えば図3に示すように、血管壁を構成する組織が硬いと特性曲線のカーブは緩やかになり、組織が柔らかいとカーブが急になる。このことから、本発明では血管の圧径特性曲線を推定することで血管の硬さを評価するものであり、ここに本発明の特徴的な点がある。
【0016】
この特性曲線を推定するためには種々の手法が考えられるが、次のような手順によっても適切に推定することができる。即ち以下に述べる手法では前記特性曲線を推定するため、計測にカフを用いるものである。カフによる計測は従来より一般家庭でも広く利用されており、簡易かつ非侵襲的であり、安価であるというメリットがある。
【0017】
カフを用いた本発明による簡易型動脈壁硬さ評価システムの機能ブロック図を図4に示す。同図に示すように、システム全体の制御を行う制御部にはカフ圧制御部を備え、後述するような圧力センサーからの情報に応じてカフ圧の加圧・減圧の制御信号を生成する。このカフ圧制御部の設定に基づいて、カフを圧迫するための空気を送り込むポンプが制御され、生体の一部に装着して加圧、減圧を行うカフの圧力制御がなされる。このカフに伝わる脈波を圧力センサーで検出する。この圧力センサーによって前記のようにカフ圧制御が行われると共に、圧力センサーで検出した脈波に基づき、後述するような処理を行い、脈波振幅の計算、血管壁の硬さの評価等を行うようにしている。
【0018】
このシステムを用い、実際に動脈壁硬さ評価を行う際には最初にカフを、例えば人体の上腕等の、人体の一部に装着する。その後ポンプを駆動してカフの内圧を次第に高めるとともに、カフの内圧を逐次計測する。このときのサンプリング周波数は例えば1000Hz程度とする。圧力センサーで実際の圧力を検出しつつ、ヒトの最高血圧を若干上回る程度までカフに空気を注入し加圧する。このときの目標圧の目安はおよそ200mHg程度である。
【0019】
目標圧に到達した後、カフ内の空気を抜き一定速度で減圧する。減圧の速度は、減圧中に解析に十分な回数の拍動を記録できる速度とする。実際にはおよそ3mmHg/秒程度の減圧速度が目安である。図5にはこのような加圧及び減圧の作動を記録したカフ内圧の時系列データを示す。
【0020】
以降では血管壁に加わる外圧として主にカフが締めつける圧力を想定する。したがって、以降では、血管壁に加わる内外圧差は血圧とカフ圧の差とみなす。上記のようにして記録したカフ内圧時系列データに帯域通過フィルターを適用し、脈波成分を抽出すると例えば図6に示すようなカフ脈波データが得られる。ここで通過周波数帯域はおよそ0.5Hzから10Hzとする。以降、これを「カフ圧脈波時系列」と呼ぶ。また、例えば図7に示すようなカフ圧脈波時系列の中で、局所最小値から次の局所最小値までの区間を1つのカフ圧脈波と呼ぶ。したがって、カフ圧脈波時系列は複数のカフ圧脈波が連なったものである。
【0021】
上記のようにして記録したカフ内圧時系列データに低域通過フィルターを適用し、例えば図8に示すようなカフ圧のベースラインを抽出する。このとき遮断周波数は0.5Hzとする。以降、これを「カフ圧ベースライン時系列」と呼ぶ。本発明ではこのようにして抽出した脈波成分のうち、カフの減圧過程に記録されたカフ圧脈波を用いて血管の圧径特性曲線を推定するものである。
【0022】
図9に示すようにカフ圧脈波は血管径を反映する。外圧が一定のときに血圧が上昇すると血管壁に加わる内外圧差は正の方向に大きくなり、血管径は広がり、血管体積は増加する。このときカフの外側は伸縮しにくい素材で覆われているため、前記のような血管体積の増加はカフ体積の縮小を引き起こし、カフ内圧は上昇することとなる。逆に血圧の低下は、血管径の縮小及びカフ圧の低下につながる。
【0023】
上記のようなカフ圧脈波の大きさ・形状と内外圧差とは、例えば図10に示すように、血管の圧径特性曲線を介して関係づけることができる。このとき、異なる外圧のもとでは、同一の血圧の変化を伴う脈波であっても、異なる大きさのカフ圧脈波として計測される。例えば、図10において、外圧が大きいときに発生した血圧脈波1は、カフ圧脈波1として計測される。外圧が小さいときに発生した血圧脈波2はカフ圧脈波2として計測される。
【0024】
ここで血圧脈波とカフ圧脈波のみが計測可能な量であり、内外圧差も既知である。しかし、血管の圧径特性曲線は未知であるため、前記図10において、各カフ圧脈波の縦軸方向の位置を決定することはできない。したがって、血圧脈波およびカフ圧脈波から血管の圧径特性曲線を直接推定することはできない。
【0025】
そこで本発明では例えば図11に示すように、カフ圧脈波を用いて血管の圧径特性曲線を推定するために、以下の手順を取ることを提案する。まず、カフ圧脈波から血管の圧径特性曲線を内外圧差に関して微分した曲線を推定する。以降では、この曲線を微分圧径特性曲線と呼ぶ。次に、微分圧径特性曲線を数値積分することで、血管の圧径特性曲線を推定する。
【0026】
前記のような微分圧径特性曲線を推定する方法として、以下に示すような2通りの方法が考えられる。
【0027】
方法1:
まず抽出したカフ圧脈波の振幅を求める。例えば図12に示すように、カフ圧脈波の始点(局所最小値)から最大値点までの高さを振幅とする。あるカフ圧脈波の振幅と脈圧(=収縮期血圧と拡張期血圧の差)の比は、血管の圧径特性曲線のある区間における平均の傾きの推定値となる。
【0028】
図13にそのときの例を示す。ある内外圧差が血管に加わっているときに生じた血圧脈波1は、血管の圧径特性曲線を反映したカフ圧脈波1として計測される。カフ圧脈波の振幅と脈圧を用いて圧径特性曲線上に線分1を構成する。線分1の傾きは、線分1が構成される区間における圧径特性曲線の平均の傾きに一致する。以降、この区間をこの脈波に対する脈波区間と呼ぶ。各脈波区間の幅は脈圧に一致する。同様にして、各脈波の脈波区間内の圧径特性曲線の平均の傾きを求める。
【0029】
各脈波の図13の線分1に相当する線分について、各線分の始点をX軸上にそろえて表示したものを図14に示す。任意の内外圧差PmmHgにおける圧径特性曲線の微分値は、内外圧差Pを含む全ての脈波区間の平均の傾きの平均値として定義する。
【0030】
例として図15に、内外圧差がPmmHgであるときの圧径特性曲線の微分値を求める場合を示す。ここで、脈波区間1、2、3が内外圧差Pを含む脈波区間である。内外圧差Pにおける圧径特性曲線の微分値は、線分1、2、3の傾きの平均値として求める。上記の手法を用い、いろいろな内外圧差の値に対する血管の圧径特性曲線の微分値を求める。これにより、微分圧径特性曲線を推定する。
【0031】
方法2:
例えば図16に示すように、抽出したカフ圧脈波の始点となる局所最小値から最大値までの区間を考慮する。この区間は、血圧脈波の拡張期血圧から収縮期血圧までの過程に対応する。図17に示すように、血圧脈波1、カフ圧脈波1の該当区間を用いて曲線1を構成する。曲線1は、血管の圧径特性曲線の一部分を推定したものと見なすことができる。図18は、各脈波の前記図17の曲線1に相当する線分について、各曲線の始点をX軸上にそろえて表示したものである。
【0032】
任意の内外圧差PmmHgにおける圧径特性曲線の微分値は次の方法で求める。まず、内外圧差Pを含む全ての脈波区間で構成された曲線のP近傍における傾きを計算する。次に、これらの傾きの平均値を計算する。この傾きの平均値を、内外圧差Pにおける圧径特性曲線の微分値とする。内外圧差がPmmHgのときにおける圧径特性曲線の微分値を求める場合の例を図19に示す。
【0033】
この例では、内外圧差Pを含む脈波区間は3区間あり、各脈波区間において構成された曲線は、曲線1、2、3である。内外圧差Pにおける曲線1、2、3の傾きはそれぞれ傾き1、2、3である。圧径特性曲線の内外圧差Pにおける微分値は、傾き1、2、3の平均値として求められる。 上記の手法により、他の内外圧差の値に対する血管の圧径特性曲線の微分値を同様にして求める。これにより、微分圧径特性曲線を推定する。
このようにして微分圧径特性曲線が得られた後、その数値積分を計算し、圧径特性曲線を求める。以上の方法で血管の圧径特性曲線を推定することができる。
【0034】
前記のような血管の圧径特性曲線から血管壁の硬さを評価するために、本発明においては、推定された血管の圧径特性曲線に最もよくフィットする関数を決定し、このとき同定されたパラメータの値を用いて評価する。その手法として以下に示すような2通りの方法が考えられる。但し、同様にして更に種々の関数を用いた手法が考えられる。
【0035】
方法1:
得られた血管の圧径特性曲線に最もよくフィットする逆正接関数を例えば図20のように求める。このときに用いる式は、
【数1】
である。
【0036】
この関数のフィッティングにより同定されたパラメータの値を用いて動脈硬化度を評価する。その際には例えばBが小さいと血管壁は硬く、大きいと柔らかいと判断することができる。
【0037】
方法2:
得られた血管の圧径特性曲線に最もよくフィットするシグモイド関数を例えば図21のように求める。このとき用いる式は、
【数2】
である。この関数のフィッティングにより同定されたパラメータの値を用いて動脈硬化度を評価する。その際には例えばBが小さいと血管壁は硬く、大きいと柔らかいと判断することができる。
【0038】
本発明で提案する上記の動脈壁硬さ評価手法は、体動など突発的な変動に対して次の3つの理由でシステム特性が安定しロバストである。即ち、第1の理由として、微分圧径特性曲線を推定するときに、複数の脈波情報を統合するためである。また、第2の理由として、圧径特性曲線を推定するために行う微分圧径特性曲線の数値積分計算がローパスフィルタの役割を果たす。更に、第3の理由として、血管壁の硬さを評価するために行う圧径特性曲線への関数フィッティングの計算が、ノイズ要素の除去に寄与するためである。
【0039】
上記のようにして本発明は、従来より血圧測定で広く使用されているカフを用い、一般家庭でも例えば図22に示すようにして、動脈壁硬さ評価を容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】血管の内外圧差を説明する図である。
【図2】血管の圧径特性曲線の例を示す図である。
【図3】血管の硬さにより圧径特性曲線が変化する例を示す図である。
【図4】本発明のシステム構成図である。
【図5】カフ圧時系列データ例を示す図である。
【図6】時系列のカフ圧について帯域通過フィルターを通した後のカフ圧脈波を示す図である。
【図7】カフ圧脈波時系列の中で、一つのカフ圧脈波区間を示す図である。
【図8】カフ内圧時系列データに低域通過フィルターを適用した後のカフ圧を示す図である。
【図9】カフ圧脈波が血管系を反映している状態を示す図である。
【図10】血圧脈波とカフ圧脈波の関係の概念図である。
【図11】カフ圧脈波を用いて血管の圧径特性曲線を推定する態様を示す図である。
【図12】カフ圧脈波振幅を示す図である。
【図13】カフ圧脈波の振幅と脈圧の比が血管の圧径特性曲線のある区間における平均の傾きの推定値となることを示す図である。
【図14】各脈波の脈拍管内の圧径特性曲線の平均の傾きを求める時の態様を示す図である。
【図15】任意の内外圧差における圧径特性曲線の微分値が、内外圧差を含む全ての脈波区間の平均の傾きの平気値として表されることを示す図である。
【図16】抽出したカフ圧脈波の始点となる局所最小値から最大値までの区間を示す図である。
【図17】血圧脈波とカフ圧脈波の該当区間を用いて曲線1を構成する態様を示す図である。
【図18】前記曲線1に相当する線分を、各曲線の始点をX軸上にそろえて表示した例を示す図である。
【図19】内外圧差がPmmHgの時の圧径特性曲線の微分値を求める場合を示す図である。
【図20】得られた血管の圧径特性曲線に最もよくフィットする逆正接関数の例である。
【図21】得られた血管の圧径特性曲線に最もよくフィットするシグモイド逆正接関数の例である。
【図22】本発明の実施の状態を示す図である。
【技術分野】
【0001】
この発明は動脈壁の硬さの状態を、病院等に設置された大がかりな装置や複雑なシステムを用いることなく、一般家庭でも簡易に評価することができるようにした動脈壁硬さ評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血管壁硬化度の評価技術として脈波伝播速度を計測する技術、血管を伝導する脈波の進行波と反射波との干渉を計測する技術がある。これらの技術による計測には大掛かりな装置を用いる必要があり、実際には病院など専門の施設で検査として受診する必要がある。また、これらの機器の操作には専門知識が必要である。
【0003】
それに対して特開平5−38331号公報、特開平5−38332号公報に開示された発明では、カフを用いた動脈硬化評価装置が提案されている。しかしながらこれらの発明では、カフ圧から検出した脈波の振幅の高さの変化の度合いを評価しているに過ぎない。
【0004】
また特開2004−223046号公報及び特開平7−124129号公報には、カフを用いた動脈硬化評価装置が提案されている。この発明では、動脈壁に加わる内力と外力の差と動脈径の関係を考慮した手法を提案している。カフにより検出した脈波の振幅と血圧を用いて、直接、血管壁の内外圧差と血管径の関係を導出している。この方法によると血管壁の内外圧差と血管径の関係として、予めある関数を仮定する必要があり、したがって得られる結果も必然的に前提とした関数に依存することとなる。このため、この推定方法が妥当であるかどうかの根拠に乏しいという問題がある。
【特許文献1】特開平5−38331号公報
【特許文献2】特開平5−38332号公報
【特許文献3】特開2004−223046号公報
【特許文献4】特開平7−124129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の手法により血管硬度を評価したい場合は、病院等の施設を訪れ、計測の都度代金を支払う必要がある。また、装置や施設の予定に合わせる必要性から時間的な束縛も必然的に生じる。そのため、誰でもいつでも自分の血管硬度を評価できるとは言えないのが現状である。
【0006】
また前記特許文献1、2に開示されているような技術では血管壁の特性まで考慮した測定は行っておらず、正確に血管壁の硬さを評価しているとはいえない。また、特許文献3に開示されているような技術では前記のように血管壁の硬さの評価手法として理論的な疑問があり、正確な血管壁の硬さを評価しているかについては大きな疑問がある。
【0007】
したがって本発明は一般の家庭内で、誰もが専門知識を必要とせず簡単に、いつでも血管硬度を評価でき、従来の類似技術に比して血管硬度をより精度よく評価することができる動脈壁硬さ評価システムを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る動脈壁硬さ評価システムは前記課題を解決するため、生体の一部に装着するカフと、前記カフ内部の圧力を検出するカフ圧センサーと、前記カフ圧センサーの検出値に基づきカフを所定値に加圧、減圧制御するカフ圧制御手段と、前記カフ圧センサーにより検出した脈波に基づきカフ圧脈波と血圧脈波の振幅を計算し、その脈波振幅に基づき動脈壁の硬さの評価を行うデータ処理手段とからなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の動脈壁硬さ評価システムは、前記動脈壁硬さ評価システムにおいて、前記動脈壁の硬さの評価を血管断面積と血管壁に加わる内外圧力差との関係である圧径特性曲線を推定して行う。また、前記動脈壁の硬さの評価をカフにより検出された脈波の形状及び振幅から推定して行う。また、前記動脈壁の硬さの評価を検出された脈波から、圧径特性曲線を内外圧差に関して微分した関数を推定して行う。また、前記動脈壁の硬さの評価を前記微分した圧径特性曲線を数値積分することで圧径特性曲線を推定する。また、前記動脈壁の硬さの評価を前記推定した圧径特性曲線に最適にフィットする関数を同定して、このときに決まるパラメータの値を用いて評価する。また前記関数として逆正接関数あるいはシグモイド関数を用いる。また、前記のような手法を用いることにより、体動など突発的な変動に対して動脈壁硬さの評価をロバストとしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は一般の家庭内で、誰もが専門知識を必要とせず簡単に、いつでも血管硬度を評価でき、従来の類似技術に比して血管硬度をより精度よく評価することができるようになる。
【0011】
即ち本発明によれば、血圧測定と同じように上腕部に巻いたカフを加圧・減圧するだけで、家庭においても簡単に血管硬度を評価できる。したがって、心臓病や脳血管障害などにつながる動脈硬化を予防するために上腕動脈硬度をどこでもいつでも誰でも簡単に評価できるようになり、予防医学的観点から重要な技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は前記のように、一般の家庭内で、誰もが専門知識を必要とせず簡単に、いつでも血管硬度を精度良く評価できるようにする、という課題を、生体の一部に装着するカフと、前記カフ内部の圧力を検出するカフ圧センサーと、前記カフ圧センサーの検出値に基づきカフを所定値に加圧、減圧制御するカフ圧制御手段と、前記カフ圧センサーにより検出した脈波に基づきカフ圧脈波と血圧脈波の振幅を計算し、その脈波振幅に基づき動脈壁の硬さの評価を行うデータ処理手段とからなる
【実施例1】
【0013】
例えば図1に示すように、血管の直径は血管内から外へ向かう圧力と外から加わる圧力の差(内外圧差)および血管の材料特性で決定される。ここで内外圧差=内圧−外圧と定義する。負の内外圧差、即ち外圧が内圧より高いときには血管径は小さくなり、逆に正の内外圧差のときには血管は押し広げられる。したがって内外圧差が決まれば血管径は決まるので、血管径は内外圧差の関数として表すことができる。
【0014】
血管径が取りえる最大値には限界がある。このため、血管の径を内外圧差の関数として描画すると例えば図2に示すようなシグモイド関数曲線状となる。以降では、この関数曲線を「血管の圧径特性曲線」と呼ぶ。
【0015】
上記のような血管の圧径特性曲線に、血管壁組織の特性が反映される。例えば図3に示すように、血管壁を構成する組織が硬いと特性曲線のカーブは緩やかになり、組織が柔らかいとカーブが急になる。このことから、本発明では血管の圧径特性曲線を推定することで血管の硬さを評価するものであり、ここに本発明の特徴的な点がある。
【0016】
この特性曲線を推定するためには種々の手法が考えられるが、次のような手順によっても適切に推定することができる。即ち以下に述べる手法では前記特性曲線を推定するため、計測にカフを用いるものである。カフによる計測は従来より一般家庭でも広く利用されており、簡易かつ非侵襲的であり、安価であるというメリットがある。
【0017】
カフを用いた本発明による簡易型動脈壁硬さ評価システムの機能ブロック図を図4に示す。同図に示すように、システム全体の制御を行う制御部にはカフ圧制御部を備え、後述するような圧力センサーからの情報に応じてカフ圧の加圧・減圧の制御信号を生成する。このカフ圧制御部の設定に基づいて、カフを圧迫するための空気を送り込むポンプが制御され、生体の一部に装着して加圧、減圧を行うカフの圧力制御がなされる。このカフに伝わる脈波を圧力センサーで検出する。この圧力センサーによって前記のようにカフ圧制御が行われると共に、圧力センサーで検出した脈波に基づき、後述するような処理を行い、脈波振幅の計算、血管壁の硬さの評価等を行うようにしている。
【0018】
このシステムを用い、実際に動脈壁硬さ評価を行う際には最初にカフを、例えば人体の上腕等の、人体の一部に装着する。その後ポンプを駆動してカフの内圧を次第に高めるとともに、カフの内圧を逐次計測する。このときのサンプリング周波数は例えば1000Hz程度とする。圧力センサーで実際の圧力を検出しつつ、ヒトの最高血圧を若干上回る程度までカフに空気を注入し加圧する。このときの目標圧の目安はおよそ200mHg程度である。
【0019】
目標圧に到達した後、カフ内の空気を抜き一定速度で減圧する。減圧の速度は、減圧中に解析に十分な回数の拍動を記録できる速度とする。実際にはおよそ3mmHg/秒程度の減圧速度が目安である。図5にはこのような加圧及び減圧の作動を記録したカフ内圧の時系列データを示す。
【0020】
以降では血管壁に加わる外圧として主にカフが締めつける圧力を想定する。したがって、以降では、血管壁に加わる内外圧差は血圧とカフ圧の差とみなす。上記のようにして記録したカフ内圧時系列データに帯域通過フィルターを適用し、脈波成分を抽出すると例えば図6に示すようなカフ脈波データが得られる。ここで通過周波数帯域はおよそ0.5Hzから10Hzとする。以降、これを「カフ圧脈波時系列」と呼ぶ。また、例えば図7に示すようなカフ圧脈波時系列の中で、局所最小値から次の局所最小値までの区間を1つのカフ圧脈波と呼ぶ。したがって、カフ圧脈波時系列は複数のカフ圧脈波が連なったものである。
【0021】
上記のようにして記録したカフ内圧時系列データに低域通過フィルターを適用し、例えば図8に示すようなカフ圧のベースラインを抽出する。このとき遮断周波数は0.5Hzとする。以降、これを「カフ圧ベースライン時系列」と呼ぶ。本発明ではこのようにして抽出した脈波成分のうち、カフの減圧過程に記録されたカフ圧脈波を用いて血管の圧径特性曲線を推定するものである。
【0022】
図9に示すようにカフ圧脈波は血管径を反映する。外圧が一定のときに血圧が上昇すると血管壁に加わる内外圧差は正の方向に大きくなり、血管径は広がり、血管体積は増加する。このときカフの外側は伸縮しにくい素材で覆われているため、前記のような血管体積の増加はカフ体積の縮小を引き起こし、カフ内圧は上昇することとなる。逆に血圧の低下は、血管径の縮小及びカフ圧の低下につながる。
【0023】
上記のようなカフ圧脈波の大きさ・形状と内外圧差とは、例えば図10に示すように、血管の圧径特性曲線を介して関係づけることができる。このとき、異なる外圧のもとでは、同一の血圧の変化を伴う脈波であっても、異なる大きさのカフ圧脈波として計測される。例えば、図10において、外圧が大きいときに発生した血圧脈波1は、カフ圧脈波1として計測される。外圧が小さいときに発生した血圧脈波2はカフ圧脈波2として計測される。
【0024】
ここで血圧脈波とカフ圧脈波のみが計測可能な量であり、内外圧差も既知である。しかし、血管の圧径特性曲線は未知であるため、前記図10において、各カフ圧脈波の縦軸方向の位置を決定することはできない。したがって、血圧脈波およびカフ圧脈波から血管の圧径特性曲線を直接推定することはできない。
【0025】
そこで本発明では例えば図11に示すように、カフ圧脈波を用いて血管の圧径特性曲線を推定するために、以下の手順を取ることを提案する。まず、カフ圧脈波から血管の圧径特性曲線を内外圧差に関して微分した曲線を推定する。以降では、この曲線を微分圧径特性曲線と呼ぶ。次に、微分圧径特性曲線を数値積分することで、血管の圧径特性曲線を推定する。
【0026】
前記のような微分圧径特性曲線を推定する方法として、以下に示すような2通りの方法が考えられる。
【0027】
方法1:
まず抽出したカフ圧脈波の振幅を求める。例えば図12に示すように、カフ圧脈波の始点(局所最小値)から最大値点までの高さを振幅とする。あるカフ圧脈波の振幅と脈圧(=収縮期血圧と拡張期血圧の差)の比は、血管の圧径特性曲線のある区間における平均の傾きの推定値となる。
【0028】
図13にそのときの例を示す。ある内外圧差が血管に加わっているときに生じた血圧脈波1は、血管の圧径特性曲線を反映したカフ圧脈波1として計測される。カフ圧脈波の振幅と脈圧を用いて圧径特性曲線上に線分1を構成する。線分1の傾きは、線分1が構成される区間における圧径特性曲線の平均の傾きに一致する。以降、この区間をこの脈波に対する脈波区間と呼ぶ。各脈波区間の幅は脈圧に一致する。同様にして、各脈波の脈波区間内の圧径特性曲線の平均の傾きを求める。
【0029】
各脈波の図13の線分1に相当する線分について、各線分の始点をX軸上にそろえて表示したものを図14に示す。任意の内外圧差PmmHgにおける圧径特性曲線の微分値は、内外圧差Pを含む全ての脈波区間の平均の傾きの平均値として定義する。
【0030】
例として図15に、内外圧差がPmmHgであるときの圧径特性曲線の微分値を求める場合を示す。ここで、脈波区間1、2、3が内外圧差Pを含む脈波区間である。内外圧差Pにおける圧径特性曲線の微分値は、線分1、2、3の傾きの平均値として求める。上記の手法を用い、いろいろな内外圧差の値に対する血管の圧径特性曲線の微分値を求める。これにより、微分圧径特性曲線を推定する。
【0031】
方法2:
例えば図16に示すように、抽出したカフ圧脈波の始点となる局所最小値から最大値までの区間を考慮する。この区間は、血圧脈波の拡張期血圧から収縮期血圧までの過程に対応する。図17に示すように、血圧脈波1、カフ圧脈波1の該当区間を用いて曲線1を構成する。曲線1は、血管の圧径特性曲線の一部分を推定したものと見なすことができる。図18は、各脈波の前記図17の曲線1に相当する線分について、各曲線の始点をX軸上にそろえて表示したものである。
【0032】
任意の内外圧差PmmHgにおける圧径特性曲線の微分値は次の方法で求める。まず、内外圧差Pを含む全ての脈波区間で構成された曲線のP近傍における傾きを計算する。次に、これらの傾きの平均値を計算する。この傾きの平均値を、内外圧差Pにおける圧径特性曲線の微分値とする。内外圧差がPmmHgのときにおける圧径特性曲線の微分値を求める場合の例を図19に示す。
【0033】
この例では、内外圧差Pを含む脈波区間は3区間あり、各脈波区間において構成された曲線は、曲線1、2、3である。内外圧差Pにおける曲線1、2、3の傾きはそれぞれ傾き1、2、3である。圧径特性曲線の内外圧差Pにおける微分値は、傾き1、2、3の平均値として求められる。 上記の手法により、他の内外圧差の値に対する血管の圧径特性曲線の微分値を同様にして求める。これにより、微分圧径特性曲線を推定する。
このようにして微分圧径特性曲線が得られた後、その数値積分を計算し、圧径特性曲線を求める。以上の方法で血管の圧径特性曲線を推定することができる。
【0034】
前記のような血管の圧径特性曲線から血管壁の硬さを評価するために、本発明においては、推定された血管の圧径特性曲線に最もよくフィットする関数を決定し、このとき同定されたパラメータの値を用いて評価する。その手法として以下に示すような2通りの方法が考えられる。但し、同様にして更に種々の関数を用いた手法が考えられる。
【0035】
方法1:
得られた血管の圧径特性曲線に最もよくフィットする逆正接関数を例えば図20のように求める。このときに用いる式は、
【数1】
である。
【0036】
この関数のフィッティングにより同定されたパラメータの値を用いて動脈硬化度を評価する。その際には例えばBが小さいと血管壁は硬く、大きいと柔らかいと判断することができる。
【0037】
方法2:
得られた血管の圧径特性曲線に最もよくフィットするシグモイド関数を例えば図21のように求める。このとき用いる式は、
【数2】
である。この関数のフィッティングにより同定されたパラメータの値を用いて動脈硬化度を評価する。その際には例えばBが小さいと血管壁は硬く、大きいと柔らかいと判断することができる。
【0038】
本発明で提案する上記の動脈壁硬さ評価手法は、体動など突発的な変動に対して次の3つの理由でシステム特性が安定しロバストである。即ち、第1の理由として、微分圧径特性曲線を推定するときに、複数の脈波情報を統合するためである。また、第2の理由として、圧径特性曲線を推定するために行う微分圧径特性曲線の数値積分計算がローパスフィルタの役割を果たす。更に、第3の理由として、血管壁の硬さを評価するために行う圧径特性曲線への関数フィッティングの計算が、ノイズ要素の除去に寄与するためである。
【0039】
上記のようにして本発明は、従来より血圧測定で広く使用されているカフを用い、一般家庭でも例えば図22に示すようにして、動脈壁硬さ評価を容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】血管の内外圧差を説明する図である。
【図2】血管の圧径特性曲線の例を示す図である。
【図3】血管の硬さにより圧径特性曲線が変化する例を示す図である。
【図4】本発明のシステム構成図である。
【図5】カフ圧時系列データ例を示す図である。
【図6】時系列のカフ圧について帯域通過フィルターを通した後のカフ圧脈波を示す図である。
【図7】カフ圧脈波時系列の中で、一つのカフ圧脈波区間を示す図である。
【図8】カフ内圧時系列データに低域通過フィルターを適用した後のカフ圧を示す図である。
【図9】カフ圧脈波が血管系を反映している状態を示す図である。
【図10】血圧脈波とカフ圧脈波の関係の概念図である。
【図11】カフ圧脈波を用いて血管の圧径特性曲線を推定する態様を示す図である。
【図12】カフ圧脈波振幅を示す図である。
【図13】カフ圧脈波の振幅と脈圧の比が血管の圧径特性曲線のある区間における平均の傾きの推定値となることを示す図である。
【図14】各脈波の脈拍管内の圧径特性曲線の平均の傾きを求める時の態様を示す図である。
【図15】任意の内外圧差における圧径特性曲線の微分値が、内外圧差を含む全ての脈波区間の平均の傾きの平気値として表されることを示す図である。
【図16】抽出したカフ圧脈波の始点となる局所最小値から最大値までの区間を示す図である。
【図17】血圧脈波とカフ圧脈波の該当区間を用いて曲線1を構成する態様を示す図である。
【図18】前記曲線1に相当する線分を、各曲線の始点をX軸上にそろえて表示した例を示す図である。
【図19】内外圧差がPmmHgの時の圧径特性曲線の微分値を求める場合を示す図である。
【図20】得られた血管の圧径特性曲線に最もよくフィットする逆正接関数の例である。
【図21】得られた血管の圧径特性曲線に最もよくフィットするシグモイド逆正接関数の例である。
【図22】本発明の実施の状態を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の一部に装着するカフと、
前記カフ内部の圧力を検出するカフ圧センサーと、
前記カフ圧センサーの検出値に基づきカフを所定値に加圧、減圧制御するカフ圧制御手段と、
前記カフ圧センサーにより検出した脈波に基づきカフ圧脈波と血圧脈波の振幅を計算し、その脈波振幅に基づき動脈壁の硬さの評価を行うデータ処理手段とからなることを特徴とする動脈壁硬さ評価システム。
【請求項2】
前記動脈壁の硬さの評価は、血管断面積と血管壁に加わる内外圧力差との関係である圧径特性曲線を推定して評価することを特徴とする請求項1記載の動脈壁硬さ評価システム。
【請求項3】
前記動脈壁の硬さの評価は、カフにより検出された脈波の形状及び振幅から推定して評価することを特徴とする請求項1記載の動脈壁硬さ評価システム。
【請求項4】
前記動脈壁の硬さの評価は、検出された脈波から、圧径特性曲線を内外圧差に関して微分した関数を推定して評価することを特徴とする請求項1記載の動脈壁硬さ評価システム。
【請求項5】
前記動脈壁の硬さの評価は、前記微分した圧径特性曲線を数値積分することで圧径特性曲線を推定して評価することを特徴とする請求項4記載の動脈壁硬さ評価システム。
【請求項6】
前記動脈壁の硬さの評価は、前記推定した圧径特性曲線に最適にフィットする関数を同定して、このときに決まるパラメータの値を用いて評価することを特徴とする請求項2記載の動脈壁硬さ評価システム。
【請求項7】
前記関数は逆正接関数あるいはシグモイド関数であることを特徴とする請求項6記載の動脈壁硬さ評価システム。
【請求項8】
前記動脈壁の硬さの評価は、請求項4,請求項5,請求項6の方法を用いることにより,体動など突発的な変動に対して動脈壁硬さの評価をロバストとしたことを特徴とする請求項7記載の動脈壁硬さ評価システム。
【請求項1】
生体の一部に装着するカフと、
前記カフ内部の圧力を検出するカフ圧センサーと、
前記カフ圧センサーの検出値に基づきカフを所定値に加圧、減圧制御するカフ圧制御手段と、
前記カフ圧センサーにより検出した脈波に基づきカフ圧脈波と血圧脈波の振幅を計算し、その脈波振幅に基づき動脈壁の硬さの評価を行うデータ処理手段とからなることを特徴とする動脈壁硬さ評価システム。
【請求項2】
前記動脈壁の硬さの評価は、血管断面積と血管壁に加わる内外圧力差との関係である圧径特性曲線を推定して評価することを特徴とする請求項1記載の動脈壁硬さ評価システム。
【請求項3】
前記動脈壁の硬さの評価は、カフにより検出された脈波の形状及び振幅から推定して評価することを特徴とする請求項1記載の動脈壁硬さ評価システム。
【請求項4】
前記動脈壁の硬さの評価は、検出された脈波から、圧径特性曲線を内外圧差に関して微分した関数を推定して評価することを特徴とする請求項1記載の動脈壁硬さ評価システム。
【請求項5】
前記動脈壁の硬さの評価は、前記微分した圧径特性曲線を数値積分することで圧径特性曲線を推定して評価することを特徴とする請求項4記載の動脈壁硬さ評価システム。
【請求項6】
前記動脈壁の硬さの評価は、前記推定した圧径特性曲線に最適にフィットする関数を同定して、このときに決まるパラメータの値を用いて評価することを特徴とする請求項2記載の動脈壁硬さ評価システム。
【請求項7】
前記関数は逆正接関数あるいはシグモイド関数であることを特徴とする請求項6記載の動脈壁硬さ評価システム。
【請求項8】
前記動脈壁の硬さの評価は、請求項4,請求項5,請求項6の方法を用いることにより,体動など突発的な変動に対して動脈壁硬さの評価をロバストとしたことを特徴とする請求項7記載の動脈壁硬さ評価システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2008−228934(P2008−228934A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71624(P2007−71624)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(593010969)株式会社志成データム (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(593010969)株式会社志成データム (9)
【Fターム(参考)】
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