動脈硬化診断用分子イメージングプローブ
【課題】酸化LDLを特異的に検出する不安定プラーク検出用放射性画像診断剤を提供する。
【解決手段】アミノ酸配列Tyr−Lys−Asp−Glyを有する一定のペプチドのN末端側のアミノ酸にベンゾイル基を介して放射性ヨウ素を結合させたペプチドおよび当該ペプチドを配合させた放射性画像診断剤。本発明に係るペプチドおよび放射性画像診断剤を用いる事により、酸化LDLを特異的に検出する事が可能となり、SPECTにて不安定プラークを描出する事が可能となった。
【解決手段】アミノ酸配列Tyr−Lys−Asp−Glyを有する一定のペプチドのN末端側のアミノ酸にベンゾイル基を介して放射性ヨウ素を結合させたペプチドおよび当該ペプチドを配合させた放射性画像診断剤。本発明に係るペプチドおよび放射性画像診断剤を用いる事により、酸化LDLを特異的に検出する事が可能となり、SPECTにて不安定プラークを描出する事が可能となった。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射性ハロゲン標識ペプチドおよび当該ペプチドを含有する画像診断剤に関する。より詳しくは、酸化LDL(低比重リポタンパク質)に親和性を有する新規放射性ハロゲン標識ペプチド並びに不安定プラーク検出用の放射性画像診断剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活をはじめとする生活習慣の変化や社会の高齢化を背景として、種々の生活習慣病の発症率が増加しており、大きな社会的関心を集めている。生活習慣病は、種々の疾患の原因となることが知られているが、その中でも、動脈硬化、特に、アテローム性粥状動脈硬化症は、心筋梗塞や脳梗塞の原因となり、深刻な後遺症を残すばかりでなく発見が遅れた場合には死に至る事もあるため、その予防並びに早期発見は、非常に重要である。
【0003】
アテローム性粥状動脈硬化症は、動脈の内側に粥状の隆起(いわゆる、不安定プラーク)が発生することを基本的な特徴とした疾患であり、この不安定プラークの破裂により血栓が形成されると、脳梗塞や心筋梗塞の原因となると考えられている。
【0004】
ところで、上述した不安定プラーク内には、酸化変性した低比重リポタンパク質(以下、LDLという)が蓄積している事が知られており、この酸化LDLを特異的に検出できれば、不安定プラークを早期に検出でき、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な疾患を未然に予防できるものと考えられている。このような背景から、酸化LDLに親和性を有する種々の化合物が検討され、開示されている。例えば、特開2002−53598号公報には、酸化LDLに親和性を有する種々のペプチドが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−53598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された種々のペプチドは、酸化LDLへの特異的な親和性を有しており、アテローム性粥状動脈硬化症の診断または治療への応用が期待されている。しかし、酸化LDLに親和性を有するこのような化合物を診断剤として用いるためには、更なる検討が必要である。本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、酸化LDLに親和性を有する放射性ハロゲン標識ペプチド並びに当該ペプチドを配合してなる不安定プラーク検出用放射性画像診断剤を提供する事を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は鋭意検討を重ねた結果、アミノ酸配列Tyr−Lys−Asp−Glyを有する一定のペプチドのN末端側のアミノ酸にベンゾイル基を介して放射性ヨウ素を結合させたペプチドを用いる事により、酸化LDL特異的な親和性を有する放射性ヨウ素標識ペプチドを得ることが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明は、配列番号1〜5のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドにおいて、N末端側のアミノ酸に、ベンゾイル基を用いて放射性ヨウ素を結合させた放射性ヨウ素標識ペプチドおよび当該ペプチドを配合してなる不安定プラーク検出用放射性画像診断剤である。
好ましい態様において、本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチドは、XBz−Leu−Ser−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp−Ala−Glu−Ile;
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp;
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp;
XBz−Tyr−Lys−Asp−Gly;
Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp;
または、D−Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp(各式中、Xは放射性ヨウ素、Bzはベンゾイルである)といった構造を有し、本発明に係る不安定プラーク検出用放射性画像診断剤は、XBz−Leu−Ser−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp−Ala−Glu−Ile;
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp;
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp;
XBz−Tyr−Lys−Asp−Gly;
Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp;
または、D−Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp(各式中、Xは放射性ヨウ素、Bzはベンゾイルである)といった構造を有する放射性ヨウ素標識ペプチドを配合する。
【0009】
本発明において、放射性ヨウ素は、123I、124I、125Iおよび131Iから選択される同位体を好ましく用いる事ができる。つまり、SPECT、PETにおける核医学画像診断剤として用い得る放射性同位元素であれば良い。また、ベンゾイル基における放射性ヨウ素の結合位置は、特に限定する必要は無く、放射性ヨウ素をベンゾイル基を介してペプチドに結合させる事ができれば良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、不安定プラーク検出用放射性画像診断剤に用いる事ができる、酸化LDLに特異的な親和性を有する放射性ハロゲン標識ペプチド並びに当該ペプチドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】化合物1([125I]標識体)のHPCLチャートを示す図
【図2】マウス各臓器中における放射能の時間変化を表す図
【図3】酸化処理時間の異なるLDLに対する化合物1([125I]標識体)の結合量(LDL結合量)を示す図
【図4】化合物1([125I]標識体)のLDL結合量とTBARS値との関係を示す図
【図5】化合物1標準品(非放射性ヨウ素標識体)添加試料における化合物1([125I]標識体)のLDL結合量(化合物1標準品(非放射性ヨウ素標識体)無添加試料における値を100とした場合の相対値)を示す図
【図6】ApoEノックアウトマウス大動脈におけるAzan染色像(a)とオートラジオグラフィー画像(b)
【図7】ノーマルマウス大動脈におけるAzan染色像(a)とオートラジオグラフィー画像(b)
【図8】化合物1([125I]標識体)の、各臓器における放射能集積
【図9】化合物1([125I]標識体)の、各臓器における放射能集積
【図10】化合物1([125I]標識体)の、大動脈のDUR
【図11】化合物1([125I]標識体)における放射能の大動脈/血液比および大動脈/筋肉比の測定結果
【図12】化合物1標準品投与によるブロッキングの有無におけるDURの比較
【図13】WHHLMIウサギ(11月齢)における大動脈のオートラジオグラフィー
【図14】正常日本白色種(12週齢)における大動脈のオートラジオグラフィー
【図15】血漿中インキュベート5分後試料における化合物1([125I]標識体)のHPLCチャート
【図16】血漿中インキュベート30分後試料における化合物1([125I]標識体)のHPLCチャート
【図17】血漿中インキュベート5分後試料における化合物1D([125I]標識体)のHPLCチャート
【図18】血漿中インキュベート30分後試料における化合物1D([125I]標識体)のHPLCチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
(骨格となるペプチドの合成方法および前駆体化合物の合成方法)
本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチドは、前駆体となるペプチドを、市販のペプチド合成機等を用いて公知の方法により合成し、公知の方法による放射性ヨードベンゾイル基の付加および公知の方法による脱保護を行う事によって、得ることができる。
【0013】
好ましい態様において、当該前駆体ペプチドは、下記の構造を有する。
R2−Leu−Ser−Trp−Gly−Lys(−R3)−Trp−Tyr−Lys(−R3)−Asp−Gly−Asp−Lys(−R3)−Asp−Ala−Glu−Ile;
R2−Trp−Gly−Lys(−R3)−Trp−Tyr−Lys(−R3)−Asp−Gly−Asp−Lys(−R3)−Asp;
R2−Trp−Gly−Lys(−R3)−Trp−Tyr−Lys(−R3)−Asp−Gly−Asp;
R2−Tyr−Lys(−R3)−Asp−Gly;
R1−Lys(−R2)−Trp−Tyr−Lys(−R3)−Asp−Gly−Asp;
R1−D−Lys(−R2)−Trp−Tyr−Lys(−R3)−Asp−Gly−Asp;
ここで、R1はN末端におけるアミノ基の保護基であり、R2は標識部位であるアミノ基の保護基であり、R3は標識反応に用いないリジンのεアミノ基の保護基である。
【0014】
N末端のアミノ基の保護基R1としては、同様の目的に用いられる種々の保護基を用いる事ができるが、後述する標識部位であるアミノ基の保護基R2の脱保護条件にて、脱保護されない保護基を用いる必要がある。例えば、R2がtert‐ブトキシカルボニル基(以下、Boc基という)であった場合には、9‐フルオレニルメチルオキシカルボニル基(以下、Fmoc基という)や、4,4−Dimethyl−2,6−dioxocyclohex−1−ylidene基(以下、Dde基という)を好ましく用いる事ができる。標識部位であるアミノ基の保護基R2は、アミノ基の保護基として用いられる種々の保護基を用いることができるが、N末端のアミノ基の保護基R1や、後述するリジンのεアミノ基の保護基R3が脱保護されない条件で脱保護される保護基を用いる必要がある。リジンのεアミノ基の保護基R3は、同様の目的に用いられる種々の保護基を用いる事ができるが、前出の標識部位であるアミノ基の保護基R2が脱保護される条件において脱保護されないような保護基を用いる必要がある。好ましい態様におけるR2とR3の組み合わせとしては、R2がBoc基でR3がDde基、R2が4−methoxytrityl基(以下、Mmt基という)または4−methyltrityl基(以下、Mtt基という)でR3がFmoc基、Boc基またはDde基である保護基の組み合わせを例示する事ができる。
【0015】
既に述べたように、上記前駆体ペプチドは、市販のペプチド合成機等を用いて公知の方法により合成する事ができる。より具体的には、汎用のペプチド自動合成装置を用い、Boc法、あるいはFmoc法等のペプチド合成に広く用いられる方法により合成する事ができる。合成された前駆体ペプチドは、固相用樹脂担体に結合した状態からの切り放しを行い、その後、逆相系カラム等を用いた高速液体クロマトグラフ法(以下、HPLC法という)にて精製される。ここで、固相用樹脂担体からの切り離し操作においては、R1およびR3が脱保護されない条件を選択することが好ましい。例えば、保護基R1、R2、R3がそれぞれFmoc基、Boc基およびDde基であり、固相樹脂担体がFmoc−Aminomethyl−Super Acid−Labile−MBHA Resinである場合には、95%トリフルオロ酢酸(以下、TFAという)を用い、脱Boc基処理と同時に切断するといった条件を用いる事ができる。ただし、そのような方法に限定する必要は無く、保護基の一部または全てが切断される条件で切り離しを行った後、公知の方法にて保護基の付加を行う事も可能である。
なお、前駆体ペプチドは、ペプチド自動合成機を用いた固相法の他、ペプチド液相合成法により調製してもよく、また、培養細胞等から採取したペプチドに目的とする保護基を付加させるといった方法を用いても良い。
【0016】
(放射性ヨウ素標識ペプチドの合成方法)
本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチドは、上述した前駆体ペプチドに、公知の方法を用いて放射性ヨードベンゾイル基を付加後、残りの保護基を脱保護して精製することによって得ることができる。以下、保護基R1、R2、R3が、それぞれFmoc基、Boc基、Dde基である場合を例にとり、最も好ましい態様における放射性ヨウ素標識ペプチドの合成方法について説明する。
【0017】
好ましい態様において、放射性ヨードベンゾイル基の付加は、以下の方法によって行う事ができる。
まず、目的とする前駆体ペプチドを含む反応液を調製し、必要な場合は酸性条件を与えて標識部位の脱Boc処理を行う。次いで、目的とする放射性ヨウ素で標識されたN−succinimidyl−3−iodobenzoateを添加する。ここで、放射性ヨウ素で標識されたN−succinimidyl−3−iodobenzoateは、公知の方法、例えば文献(Ganesan Vaidyanathan&Michael R Zalutsky,Nature Protocols,1(2),2006,p.707−713)記載の方法にて合成する事ができる。また溶媒としては、前駆体ペプチドおよびN−succinimidyl−3−iodobenzoateを共に溶解する性質を示し、かつ、これらの原料に対して反応性を有さない溶媒を選択する。
次に、この反応液にアルカリ添加等を行ってpHを8〜9とし、室温下で反応させる事により、前駆体ペプチドに放射性ヨードベンゾイル基を付加することができる。
【0018】
放射性ヨードベンゾイル基の付加が完了したら、脱保護を行う。脱保護は、公知の方法を用いる事ができる。例えば、上記反応溶液に10%ヒドラジン1水和物・N,N−ジメチルホルムアミド溶液を添加し、塩基性条件(pH9〜10)を与える事により行う事ができる。
【0019】
脱保護操作が終了したら、精製工程に付し、本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチドを得ることができる。精製は、公知の方法を用いる事ができ、逆相HPLCを好ましく用いる事ができる。
【0020】
(本発明に係る不安定プラーク検出用放射性画像診断剤の調製方法および使用方法)
本発明に係る不安定プラーク検出用放射性画像診断剤は、本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチドを溶解した液として調製することができる。放射性ヨウ素標識ペプチドを溶解する液は、水、生理食塩水やリンゲル液等を用いる事ができる。放射性ヨウ素標識ペプチドの水溶性が低い場合には、必要に応じて可溶化剤を添加するか、当該ペプチドを溶解させる事ができる液に溶解後、生体認容性ある液と混合する。例えば、放射性ヨウ素標識ペプチドとして、後述する化合物1([125I]標識体)を用いた場合には、5%DMSO生理食塩水を用いる。また、必要に応じて、安定化剤を配合しても良い。
【0021】
本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチドの投与量は、投与された薬剤の分布を画像化するために十分な濃度であれば特に限定する必要はない。例えば、123I標識ペプチドの場合は、体重60kgの成人一人当り50〜600MBq程度、静脈投与又は局所投与して使用することができる。投与された薬剤の分布は、SPECT装置を用いて公知の方法により画像化することができる。
【0022】
以下、実施例を記載して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
(実施例1)Fmoc‐Lys‐Trp‐Tyr‐Lys(Dde)‐Asp‐Gly‐Asp(標識前駆体1、ここで、Dde:4,4−Dimethyl−2,6−dioxocyclohex−1−ylidene)の合成
標識前駆体1は、ペプチド自動合成装置(株式会社島津製作所製、形式:PSSM−8)を用い、Fmoc固相合成法により合成した。得られた化合物をメタノール:水=2:1に溶解後、下記の条件のHPLC(HPLC条件1)を用いて精製を行った。精製後の標識前駆体1は、ESI−MSにより生成を確認した。
【0024】
HPLC条件(HPLC条件1):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18‐AR‐II 10×250
流速:2.5mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=60:40(0min)→95:5(40min)
【0025】
(実施例2)Lys(m−Iodobenzoyl)‐Trp‐Tyr‐Lys‐Asp‐Gly‐Asp(化合物1)標準品(非放射性ヨウ素標識体)の合成
FmocLys(Mmt)‐Trp(Boc)‐Tyr(OtBu)‐Lys(Boc)‐Asp(OtBu)‐Gly‐Asp(OtBu)を、Fmoc固相合成法により合成した(ここで、Mmt:4−methoxytrityl、OtBu:o−t−butylである)。得られた化合物にジクロロメタン:トリイソプロピルシラン:TFA=93.5:5:1.5溶液を1mL加え、1時間攪拌する事により脱Mmt基を行った。次いで、3−Iodobenzoyl Chloride 120μL,N,N−Diisopropylethylamine 150μL、ジメチルホルムアミド(DMF)1mLを加え、3時間攪拌することにより3−Iodobenzoyl ChlorideとN末Lys ε−アミノ基縮合反応を行い、ピペリジン250μL,DMF1mLを加えて30分攪拌し脱Fmoc基処理を行った。その後、TFA950μLと、水50μLを加え、4時間攪拌することにより脱樹枝を行い、下記の条件のHPLC(HPLC条件2)に付すことにより、化合物1標準品(非放射性ヨウ素体)を得た。
【0026】
HPLC条件(HPLC条件2):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 10×250
流速: 2.5mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=20:80(0min)→95:5(30min))
【0027】
(実施例3)化合物1([125I]標識体)の合成
N−Succinimidyl3−(tri−n−butylstannyl)benzoate(ATE)200μgを、5%酢酸を含むメタノール溶液100μLに溶解して2mg/mLとし、その72.2μLをN−クロロスクシンイミド(以下、NCS)のメタノール溶液(0.5mg/mL)19.8μLと混合した。得られた液に、Na[125I]Iを10μL(約500μCi)加えた。室温で30分反応後、亜硫酸水素ナトリウム溶液(0.72mg/mL)を3.2μL加えて反応を停止し、[125I]N−succinimidyl−3−iodobenzoate(以下、[125I]SIB)を得た。得られた[125I]SIBにつき、下記の条件のHPLC(HPLC条件3)により精製を行い、窒素ガスにより溶媒を留去後、N,N−ジメチルホルムアミド50μLを加えた。
【0028】
HPLC条件(HPLC条件3):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 10×250
流速:1.5mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:アセトニトリル(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=40:60(0min)→90:10(15min)→90:10(30min)
【0029】
標識前駆体1 500μgにN,N−ジメチルホルムアミド:0.2mol/Lホウ酸緩衝液(pH=7.8)=1:1混合溶液40μLを加え、次いで[125I]SIB溶液を加えた。トリエチルアミンでpH=8.5に調整した後、室温で1時間反応させた。次いで、10%ヒドラジン1水和物・N,N−ジメチルホルムアミド溶液30μLを加え、室温で15分間反応させた。下記の条件のHPLC(HPLC条件4)により精製を行い、放射化学的収率22%、放射化学的純度99%以上で化合物1([125I]標識体)を得た。なお、標識体の同定は、HPLC条件4による分析を行い、保持時間を化合物1標準品(非放射性ヨウ素標識体)と比べることで行った。
【0030】
HPLC条件(HPLC条件4):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 4.6×150
流速:1.0mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=20:80(0min)→95:5(30min)
【0031】
(実施例4)Tyr‐Lys(Dde)‐Asp‐Gly(標識前駆体2)の合成
標識前駆体2はペプチド自動合成装置(国産化学株式会社製、形式:ROTARY SHAKER N‐500)を用い、Fmoc固相合成法により合成した。精製は、下記の条件(HPLC条件5)を用いて行い、化合物の確認はESI−MSで行った。
【0032】
HPLC条件(HPLC条件5):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 10×250
流速:2.5mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:アセトニトリル(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=5:95(0min)→60:40(40min)
【0033】
(実施例5)m‐Iodobenzoyl‐Tyr‐Lys‐Asp‐Gly(化合物2)標準品(非放射性ヨウ素標識体)の合成
化合物2標準品(非放射性ヨウ素標識体)はペプチド自動合成装置(国産化学株式会社製、形式:ROTARY SHAKER N‐500)を用い、Fmoc固相合成法により合成した。化合物の確認はESI−MSで行った。
【0034】
(実施例6)m‐Iodobenzoyl‐Trp‐Gly‐Lys‐Trp‐Tyr‐Lys‐Asp‐Gly‐Asp(化合物3)標準品(非放射性ヨウ素標識体)の合成
化合物3標準品(非放射性ヨウ素標識体)はペプチド自動合成装置(国産化学株式会社製、形式:ROTARY SHAKER N‐500)を用い、Fmoc固相合成法により合成した。化合物の確認はESI−MSで行った。
【0035】
(実施例7〜10)その他のペプチドの合成
下記のペプチドは、株式会社ベックスに委託することによってFmoc法による固相合成法(自動合成装置:PIONEER/applied biosystems Japan(ABI)社)により合成した。
【0036】
標識前駆体4:Leu‐Ser‐Trp‐Gly‐Lys(Fmoc)‐Trp‐Tyr‐Lys(Fmoc)‐Asp‐Gly‐Asp‐Lys(Fmoc)‐Asp‐Ala‐Glu‐Ile
化合物4(非放射性ヨウ素標識体):m‐Iodobenzoyl‐Leu‐Ser‐Trp‐Gly‐Lys‐Trp‐Tyr‐Lys‐Asp‐Gly‐Asp‐Lys‐Asp‐Ala‐Glu‐Ile
標識前駆体5:Trp‐Gly‐Lys(Fmoc)‐Trp‐Tyr‐Lys(Fmoc)‐Asp‐Gly‐Asp‐Lys(Fmoc)‐Asp
化合物5(非放射性ヨウ素標識体):m‐Iodobenzoyl‐Trp‐Gly‐Lys‐Trp‐Tyr‐Lys‐Asp‐Gly‐Asp‐Lys‐Asp
【0037】
(実施例11)化合物1([125I]標識体)の血漿中安定性評価
ddYマウス心臓採血後、遠心分離を行い、上清を回収することで血漿を採取した。化合物1([125I]標識体)10μLを血漿100μLに添加し、37度で6時間インキュベートを行った。メタノール200μLを添加して遠心分離後、上清につき下記の条件のHPLC(HPLC条件6)を用いた分析を行った。その結果、図1に示すように、化合物1([125I]標識体)は6時間の時点で65%(HPLCチャートにおける面積%の値)が未変化体で存在していた。この結果から、化合物1([125I]標識体)は、血漿中において良好な安定性を有する事が確認された。
【0038】
HPLC条件(HPLC条件6):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 4.6×150
流速:1.0mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=20:80(0min)→95:5(30min)
【0039】
(実施例12)化合物1([125I]標識体)のノーマルマウス体内分布
6週齢のddYマウスに化合物1([125I]標識体)100μL(0.57μCi)を尾静脈投与し、5分、30分、1時間、3時間、および6時間後に、それぞれ血液、大動脈および各臓器を摘出し、それぞれの重量および放射能(ガンマカウンタ:1480 Wizard3”、パーキンエルマー社製)を測定した。測定は、各時間点につき3匹(1時間点のみ4匹)の動物を用いて行った。
その結果、図2に示すように、正常マウス投与1時間後の血液、血管の放射能はそれぞれ0.53、0.98%ID/gと低く、体内からの速やかなクリアランスと、低い非特異的集積性を認めた。また、胃への顕著な放射能集積が認められなかったことから、体内脱ヨウ素化反応に対する安定性が示された。
【0040】
(実施例13)化合物1([125I]標識体)の酸化LDL結合性
(酸化LDLの調製)
LDL(Biomedical Technologies Inc.製)は限外濾過フィルター処理によりPBS(0.1mol/L、pH7.4)溶液(1.78mg/mL)に調製後、37度で10μmol/L硫酸銅処理し、酸化反応時間を最長29時間までに様々に変化させ、酸化度の異なる酸化LDLを作成した。酸化反応の停止は、過剰量のエチレンジアミン4酢酸を添加することにより行った。酸化度の確認はTBARS Assay Kit(Cayman Chemical Company製)を用いてチオバルビツール酸反応物質(TBARS)量を測定することにより行った。
(化合物1([125I]標識体)の酸化LDL結合性)
化合物1([125I]標識体)(0.03μCi)を種々の酸化度のLDL溶液(80nmol/L)に添加し、4℃で3時間インキュベート後、MICROCON(登録商標、ミリポア・コーポレイション、形式:YM‐30)にアプライし、遠心分離(4160g,50min)後、PBS(0.1mol/L、pH7.4)溶液(1.78mg/mL)を100μL加え、再度遠心分離した。次に、PBS(0.1mol/L、pH7.4)溶液(1.78mg/mL)100μLを加え、MICROON(登録商標、ミリポア・コーポレイション)を上下逆向きにして遠心分離(1000g,10min)を行い、LDLを回収した。最初の遠心時のろ液、MICROCON(登録商標、ミリポア・コーポレイション)、逆向きに遠心時のろ液それぞれについて、放射能を測定し(測定された放射能を、それぞれ、「先のろ液の放射能」、「MICROCONの放射能」、「後のろ液の放射能」という)、下記の式(1)に従って、LDL結合量を測定した。
【0041】
【数1】
【0042】
図3および4に示すように、化合物1([125I]標識体)は未酸化LDLに比べ24時間酸化処理したLDLに6倍高く結合し、その結合は酸化度の指標であるTBARS値との高い相関(r=0.91)を認めた。
また、化合物1標準品(非放射性ヨウ素標識体)を8.77、87.7、292.3、877、1754μmol/Lの濃度となるように29時間酸化のLDL溶液(40nmol/L)に添加した試料をそれぞれ調製し、4℃で2時間インキュベートし、次いで化合物1([125I]標識体)(0.03μCi0.03μCi)を添加した。上記と同様に分離を行い、放射能を測定した。その結果、図5に示すように、化合物1([125I]標識体)の29時間酸化LDLに対する結合は化合物1標準品(非放射性ヨウ素標識体)の添加濃度に依存して減少した。
【0043】
(実施例14)化合物1([125I]標識体)のIn vitroオートラジオグラフィー(ARG)
ApoEノックアウトマウス、ノーマルマウス大動脈のパラフィン切片(5μm)をそれぞれ作製し、脱パラフィン処理後、10%エタノール中で化合物1([125I]標識体)(0.12μCi)を滴下し、1時間室温に静置した。50%エタノール中飽和炭酸リチウム(2min×2)、50%エタノール(2min×2)、精製水(30sec×1)で洗浄、乾燥後、イメージングプレートに18.5時間露光させた。バイオイメージングアナライザー(形式:BAS 5000、富士フイルム株式会社製)により画像を収集した。また、ARG切片の隣接切片についてAzan染色を行い、オートラジオグラフィー画像と比較した。その結果、図6および図7に示すように、化合物1([125I]標識体)はノーマルマウス血管と比較して、ApoEノックアウトマウス血管に対し高い放射能集積を認めた。
【0044】
(実施例15)Fmoc‐D‐Lys‐Trp‐Tyr‐Lys(Dde)‐Asp‐Gly‐Asp(標識前駆体2、ここで、Dde:4,4−Dimethyl−2,6−dioxocyclohex−1−ylidene)の合成
標識前駆体2は、ペプチド自動合成装置(株式会社島津製作所製、形式:PSSM−8)を用い、Fmoc固相合成法により合成した。得られた化合物をメタノール:水=2:1に溶解後、下記の条件のHPLC(HPLC条件7)を用いて精製を行った。精製後の標識前駆体2は、ESI−MSにより生成を確認した。
【0045】
HPLC条件(HPLC条件7):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 10×250
流速:2.5mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=60:40(0min)→85:15(40min)→95:5(41min)
【0046】
(実施例16)D−Lys(‐IB)‐Trp‐Tyr‐Lys‐Asp‐Gly‐Asp(化合物1D[125I]標識体)の合成
標識前駆体2 500μgにN,N−ジメチルホルムアミド:0.2mol/Lホウ酸緩衝液(pH=7.8)=1:1混合溶液40μLを加え、次いで実施例3と同様の方法にて調製した[125I]SIB溶液を加えた。トリエチルアミンでpH=8.5に調整した後、室温で1時間反応させた。次いで、5%ヒドラジン1水和物・N,N−ジメチルホルムアミド溶液15μLを加え、水浴中で3時間反応させた。下記の条件のHPLC(HPLC条件8)により精製を行い、放射化学的収率20%、放射化学的純度99%以上で化合物1D[125I]標識体を得た。
【0047】
HPLC条件(HPLC条件8):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 4.6×150
流速:1.0mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=10:90(0min)→95:5(40min)
【0048】
(実施例17)化合物1([125I]標識体)のウサギ体内分布
表1に記載した月齢のWHHLMIモデルウサギ及び正常日本白色種ウサギ(図8および図9において、controlと表記)に、化合物1([125I]標識体)を表1記載の放射能量耳静脈投与し、30分後に抱水クロラールを過剰量投与することにより屠殺した。1例のWHHLMIモデルウサギについては、化合物1([125I]標識体)投与に先立ち、化合物1標準品2mgを投与してブロッキングを行い、同様の実験を行った(表1中、ウサギ4)。各ウサギは、屠殺後、下大静脈より採血し、次いで、PLP(Periodate Lysine Paraformaldehyde)固定液にて還流固定した後、各臓器及び大動脈を摘出した。下大静脈より採取した血液および摘出した各臓器は、重量及び放射能(ガンマカウンタ:1480Wizard3”、パーキンエルマー社製)を測定し、大動脈は弓部、胸部、および腹部大動脈をそれぞれ6、9、9個に分割後、同様に重量および放射能(ガンマカウンタ:1480 Wizard3”、パーキンエルマー社製)を測定した。大動脈については、測定された放射能カウントの値に基づき、下記式(2)に従って、DUR(Differential Uptake Ratio)を求めた。
【0049】
【数2】
【0050】
表1におけるウサギ2およびウサギ5から摘出した大動脈については、厚さ20μmの凍結切片を作成し、イメージングプレートに2週間露光させ、バイオイメージングアナライザー(形式:BAS 5000、富士フイルム株式会社製)により画像を収集し、オートラジオグラフィーを得た。
【0051】
【表1】
【0052】
各動物における各臓器への放射能集積を、図8および図9に示す。この図に示すように、化合物1([125I]標識体)は、そのほとんどが速やかに腎排泄されることが示唆され、また、WHHLMIウサギは正常日本白色種ウサギ(図中、controlと表記)と比べ、血中放射能が高く、かつ、各臓器における放射能集積が高いことが確認された。
【0053】
各動物における大動脈のDURを図10に、大動脈/血液比および大動脈/筋肉比を図11に示す。14月齢のWHHLMIウサギ大動脈におけるDURは、正常日本白色種ウサギ(図中、controlと表記)と比べて約5倍大きく、大動脈/血液比および大動脈/筋肉比は、それぞれ約1.8倍および約2倍高かった。11月齢のWHHLMIにおいても、14月齢ほどではないが、正常日本白色種ウサギと比べたDUR並びに大動脈/血液比および大動脈/筋肉比の有意な増加が確認された。この結果より、化合物1([125I]標識体)は、WHHLMIウサギにおいて、正常ウサギよりもより多く大動脈に集積する事が確認された。これは、化合物1([125I]標識体)が酸化LDLに対する集積性を有する事を示唆する結果である。
【0054】
次に、大動脈のDURにつき、化合物1標準品2mgを投与してブロッキングを行ったWHHLMIウサギとそうでないWHHLMIウサギとの間で比較を行った結果を、図12に示す。図8および図9にも示したとおり、化合物1標準品投与によるブロッキングを行ったウサギでは、筋肉以外の各臓器における放射能集積が低下していた。また、図12に示したように、ブロッキングにより大動脈のDURが有意に低下していた。この結果は、WHHLMIウサギの大動脈に集積した化合物1([125I]標識体)が、当該大動脈に結合している事を示す結果である。
【0055】
11月齢のWHHLMIウサギ(ウサギ2)および12週齢の正常日本白色種(ウサギ5)における大動脈のオートラジオグラフィーを、図13および図14に示す。この図から明らかなように、WHHLMIウサギでは、正常日本白色種と比較して、明らかに高い放射能集積性を示していた。
【0056】
(実施例18)化合物1([125I]標識体)および化合物1D([125I]標識体)の血漿中安定性評価
正常日本白色種ウサギ(雄、12週齢)をケタラール/セラクタール麻酔下、耳動脈から採血した。得られた血液を、4℃に冷却しながら、4160gで15分間遠心分離し、血漿を採取した。得られた血漿100μLに対し、化合物1([125I]標識体)および化合物1D([125I]標識体)を10μL加えた試料をそれぞれ調製し、37℃でインキュベートした。5分および30分経過後、メタノール200μLを加え、4℃に冷却しながら、4160gで15分間遠心分離した。上清をフィルター(ナカライテスク株式会社製、コスモナイス(登録商標)フィルターS、孔径0.45μm)処理後、化合物1標準品を加え、下記の条件のHPLC(HPLC条件9)にて分析を行った。なお、放射能カウントについては、フラクションコレクターで30秒ずつ分取し、ガンマカウンタ(ガンマカウンタ:1480 Wizard3”、パーキンエルマー社製)にて各フラクションの放射能を測定した。
【0057】
HPLC条件(HPLC条件9):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 4.6×150
流速:1.0mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)(化合物1標準品による未変化体の保持時間確認用)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=10:90(0min)→95:5(30min)
【0058】
結果を、図15〜図18に示す。化合物1([125I]標識体)は、インキュベート5分後において未変化体が約20%であり(図15)、30分後では未変化体が約1.9%であった(図16)。この結果から、化合物1([125I]標識体)は、ウサギ血漿中において、何らかの代謝を受けていることが示された。ただし、図13にも示したように、WHHLMIウサギの大動脈において明らかな放射能集積が示されており、化合物1([125I]標識体)は、不安定プラーク検出用の画像診断剤として利用可能な化合物である事にはかわりはない。
【0059】
一方、化合物1D([125I]標識体)では、インキュベート5分後において85%が未変化体として代謝を受けずに残っており(図17)、30分後においても65%が未変化体として残っていた(図18)。この結果より、N末端側のリジンをD体とすることにより、酸化LDL親和性部位であるアミノ酸配列Tyr−Lys−Asp−Glyを残したまま、血漿中における代謝を抑制し得る事が示された。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチド並びに不安定プラーク検出用放射性画像診断剤は、放射性医薬品の製造分野において利用する事ができる。
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射性ハロゲン標識ペプチドおよび当該ペプチドを含有する画像診断剤に関する。より詳しくは、酸化LDL(低比重リポタンパク質)に親和性を有する新規放射性ハロゲン標識ペプチド並びに不安定プラーク検出用の放射性画像診断剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活をはじめとする生活習慣の変化や社会の高齢化を背景として、種々の生活習慣病の発症率が増加しており、大きな社会的関心を集めている。生活習慣病は、種々の疾患の原因となることが知られているが、その中でも、動脈硬化、特に、アテローム性粥状動脈硬化症は、心筋梗塞や脳梗塞の原因となり、深刻な後遺症を残すばかりでなく発見が遅れた場合には死に至る事もあるため、その予防並びに早期発見は、非常に重要である。
【0003】
アテローム性粥状動脈硬化症は、動脈の内側に粥状の隆起(いわゆる、不安定プラーク)が発生することを基本的な特徴とした疾患であり、この不安定プラークの破裂により血栓が形成されると、脳梗塞や心筋梗塞の原因となると考えられている。
【0004】
ところで、上述した不安定プラーク内には、酸化変性した低比重リポタンパク質(以下、LDLという)が蓄積している事が知られており、この酸化LDLを特異的に検出できれば、不安定プラークを早期に検出でき、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な疾患を未然に予防できるものと考えられている。このような背景から、酸化LDLに親和性を有する種々の化合物が検討され、開示されている。例えば、特開2002−53598号公報には、酸化LDLに親和性を有する種々のペプチドが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−53598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された種々のペプチドは、酸化LDLへの特異的な親和性を有しており、アテローム性粥状動脈硬化症の診断または治療への応用が期待されている。しかし、酸化LDLに親和性を有するこのような化合物を診断剤として用いるためには、更なる検討が必要である。本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、酸化LDLに親和性を有する放射性ハロゲン標識ペプチド並びに当該ペプチドを配合してなる不安定プラーク検出用放射性画像診断剤を提供する事を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は鋭意検討を重ねた結果、アミノ酸配列Tyr−Lys−Asp−Glyを有する一定のペプチドのN末端側のアミノ酸にベンゾイル基を介して放射性ヨウ素を結合させたペプチドを用いる事により、酸化LDL特異的な親和性を有する放射性ヨウ素標識ペプチドを得ることが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明は、配列番号1〜5のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドにおいて、N末端側のアミノ酸に、ベンゾイル基を用いて放射性ヨウ素を結合させた放射性ヨウ素標識ペプチドおよび当該ペプチドを配合してなる不安定プラーク検出用放射性画像診断剤である。
好ましい態様において、本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチドは、XBz−Leu−Ser−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp−Ala−Glu−Ile;
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp;
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp;
XBz−Tyr−Lys−Asp−Gly;
Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp;
または、D−Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp(各式中、Xは放射性ヨウ素、Bzはベンゾイルである)といった構造を有し、本発明に係る不安定プラーク検出用放射性画像診断剤は、XBz−Leu−Ser−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp−Ala−Glu−Ile;
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp;
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp;
XBz−Tyr−Lys−Asp−Gly;
Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp;
または、D−Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp(各式中、Xは放射性ヨウ素、Bzはベンゾイルである)といった構造を有する放射性ヨウ素標識ペプチドを配合する。
【0009】
本発明において、放射性ヨウ素は、123I、124I、125Iおよび131Iから選択される同位体を好ましく用いる事ができる。つまり、SPECT、PETにおける核医学画像診断剤として用い得る放射性同位元素であれば良い。また、ベンゾイル基における放射性ヨウ素の結合位置は、特に限定する必要は無く、放射性ヨウ素をベンゾイル基を介してペプチドに結合させる事ができれば良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、不安定プラーク検出用放射性画像診断剤に用いる事ができる、酸化LDLに特異的な親和性を有する放射性ハロゲン標識ペプチド並びに当該ペプチドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】化合物1([125I]標識体)のHPCLチャートを示す図
【図2】マウス各臓器中における放射能の時間変化を表す図
【図3】酸化処理時間の異なるLDLに対する化合物1([125I]標識体)の結合量(LDL結合量)を示す図
【図4】化合物1([125I]標識体)のLDL結合量とTBARS値との関係を示す図
【図5】化合物1標準品(非放射性ヨウ素標識体)添加試料における化合物1([125I]標識体)のLDL結合量(化合物1標準品(非放射性ヨウ素標識体)無添加試料における値を100とした場合の相対値)を示す図
【図6】ApoEノックアウトマウス大動脈におけるAzan染色像(a)とオートラジオグラフィー画像(b)
【図7】ノーマルマウス大動脈におけるAzan染色像(a)とオートラジオグラフィー画像(b)
【図8】化合物1([125I]標識体)の、各臓器における放射能集積
【図9】化合物1([125I]標識体)の、各臓器における放射能集積
【図10】化合物1([125I]標識体)の、大動脈のDUR
【図11】化合物1([125I]標識体)における放射能の大動脈/血液比および大動脈/筋肉比の測定結果
【図12】化合物1標準品投与によるブロッキングの有無におけるDURの比較
【図13】WHHLMIウサギ(11月齢)における大動脈のオートラジオグラフィー
【図14】正常日本白色種(12週齢)における大動脈のオートラジオグラフィー
【図15】血漿中インキュベート5分後試料における化合物1([125I]標識体)のHPLCチャート
【図16】血漿中インキュベート30分後試料における化合物1([125I]標識体)のHPLCチャート
【図17】血漿中インキュベート5分後試料における化合物1D([125I]標識体)のHPLCチャート
【図18】血漿中インキュベート30分後試料における化合物1D([125I]標識体)のHPLCチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
(骨格となるペプチドの合成方法および前駆体化合物の合成方法)
本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチドは、前駆体となるペプチドを、市販のペプチド合成機等を用いて公知の方法により合成し、公知の方法による放射性ヨードベンゾイル基の付加および公知の方法による脱保護を行う事によって、得ることができる。
【0013】
好ましい態様において、当該前駆体ペプチドは、下記の構造を有する。
R2−Leu−Ser−Trp−Gly−Lys(−R3)−Trp−Tyr−Lys(−R3)−Asp−Gly−Asp−Lys(−R3)−Asp−Ala−Glu−Ile;
R2−Trp−Gly−Lys(−R3)−Trp−Tyr−Lys(−R3)−Asp−Gly−Asp−Lys(−R3)−Asp;
R2−Trp−Gly−Lys(−R3)−Trp−Tyr−Lys(−R3)−Asp−Gly−Asp;
R2−Tyr−Lys(−R3)−Asp−Gly;
R1−Lys(−R2)−Trp−Tyr−Lys(−R3)−Asp−Gly−Asp;
R1−D−Lys(−R2)−Trp−Tyr−Lys(−R3)−Asp−Gly−Asp;
ここで、R1はN末端におけるアミノ基の保護基であり、R2は標識部位であるアミノ基の保護基であり、R3は標識反応に用いないリジンのεアミノ基の保護基である。
【0014】
N末端のアミノ基の保護基R1としては、同様の目的に用いられる種々の保護基を用いる事ができるが、後述する標識部位であるアミノ基の保護基R2の脱保護条件にて、脱保護されない保護基を用いる必要がある。例えば、R2がtert‐ブトキシカルボニル基(以下、Boc基という)であった場合には、9‐フルオレニルメチルオキシカルボニル基(以下、Fmoc基という)や、4,4−Dimethyl−2,6−dioxocyclohex−1−ylidene基(以下、Dde基という)を好ましく用いる事ができる。標識部位であるアミノ基の保護基R2は、アミノ基の保護基として用いられる種々の保護基を用いることができるが、N末端のアミノ基の保護基R1や、後述するリジンのεアミノ基の保護基R3が脱保護されない条件で脱保護される保護基を用いる必要がある。リジンのεアミノ基の保護基R3は、同様の目的に用いられる種々の保護基を用いる事ができるが、前出の標識部位であるアミノ基の保護基R2が脱保護される条件において脱保護されないような保護基を用いる必要がある。好ましい態様におけるR2とR3の組み合わせとしては、R2がBoc基でR3がDde基、R2が4−methoxytrityl基(以下、Mmt基という)または4−methyltrityl基(以下、Mtt基という)でR3がFmoc基、Boc基またはDde基である保護基の組み合わせを例示する事ができる。
【0015】
既に述べたように、上記前駆体ペプチドは、市販のペプチド合成機等を用いて公知の方法により合成する事ができる。より具体的には、汎用のペプチド自動合成装置を用い、Boc法、あるいはFmoc法等のペプチド合成に広く用いられる方法により合成する事ができる。合成された前駆体ペプチドは、固相用樹脂担体に結合した状態からの切り放しを行い、その後、逆相系カラム等を用いた高速液体クロマトグラフ法(以下、HPLC法という)にて精製される。ここで、固相用樹脂担体からの切り離し操作においては、R1およびR3が脱保護されない条件を選択することが好ましい。例えば、保護基R1、R2、R3がそれぞれFmoc基、Boc基およびDde基であり、固相樹脂担体がFmoc−Aminomethyl−Super Acid−Labile−MBHA Resinである場合には、95%トリフルオロ酢酸(以下、TFAという)を用い、脱Boc基処理と同時に切断するといった条件を用いる事ができる。ただし、そのような方法に限定する必要は無く、保護基の一部または全てが切断される条件で切り離しを行った後、公知の方法にて保護基の付加を行う事も可能である。
なお、前駆体ペプチドは、ペプチド自動合成機を用いた固相法の他、ペプチド液相合成法により調製してもよく、また、培養細胞等から採取したペプチドに目的とする保護基を付加させるといった方法を用いても良い。
【0016】
(放射性ヨウ素標識ペプチドの合成方法)
本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチドは、上述した前駆体ペプチドに、公知の方法を用いて放射性ヨードベンゾイル基を付加後、残りの保護基を脱保護して精製することによって得ることができる。以下、保護基R1、R2、R3が、それぞれFmoc基、Boc基、Dde基である場合を例にとり、最も好ましい態様における放射性ヨウ素標識ペプチドの合成方法について説明する。
【0017】
好ましい態様において、放射性ヨードベンゾイル基の付加は、以下の方法によって行う事ができる。
まず、目的とする前駆体ペプチドを含む反応液を調製し、必要な場合は酸性条件を与えて標識部位の脱Boc処理を行う。次いで、目的とする放射性ヨウ素で標識されたN−succinimidyl−3−iodobenzoateを添加する。ここで、放射性ヨウ素で標識されたN−succinimidyl−3−iodobenzoateは、公知の方法、例えば文献(Ganesan Vaidyanathan&Michael R Zalutsky,Nature Protocols,1(2),2006,p.707−713)記載の方法にて合成する事ができる。また溶媒としては、前駆体ペプチドおよびN−succinimidyl−3−iodobenzoateを共に溶解する性質を示し、かつ、これらの原料に対して反応性を有さない溶媒を選択する。
次に、この反応液にアルカリ添加等を行ってpHを8〜9とし、室温下で反応させる事により、前駆体ペプチドに放射性ヨードベンゾイル基を付加することができる。
【0018】
放射性ヨードベンゾイル基の付加が完了したら、脱保護を行う。脱保護は、公知の方法を用いる事ができる。例えば、上記反応溶液に10%ヒドラジン1水和物・N,N−ジメチルホルムアミド溶液を添加し、塩基性条件(pH9〜10)を与える事により行う事ができる。
【0019】
脱保護操作が終了したら、精製工程に付し、本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチドを得ることができる。精製は、公知の方法を用いる事ができ、逆相HPLCを好ましく用いる事ができる。
【0020】
(本発明に係る不安定プラーク検出用放射性画像診断剤の調製方法および使用方法)
本発明に係る不安定プラーク検出用放射性画像診断剤は、本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチドを溶解した液として調製することができる。放射性ヨウ素標識ペプチドを溶解する液は、水、生理食塩水やリンゲル液等を用いる事ができる。放射性ヨウ素標識ペプチドの水溶性が低い場合には、必要に応じて可溶化剤を添加するか、当該ペプチドを溶解させる事ができる液に溶解後、生体認容性ある液と混合する。例えば、放射性ヨウ素標識ペプチドとして、後述する化合物1([125I]標識体)を用いた場合には、5%DMSO生理食塩水を用いる。また、必要に応じて、安定化剤を配合しても良い。
【0021】
本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチドの投与量は、投与された薬剤の分布を画像化するために十分な濃度であれば特に限定する必要はない。例えば、123I標識ペプチドの場合は、体重60kgの成人一人当り50〜600MBq程度、静脈投与又は局所投与して使用することができる。投与された薬剤の分布は、SPECT装置を用いて公知の方法により画像化することができる。
【0022】
以下、実施例を記載して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
(実施例1)Fmoc‐Lys‐Trp‐Tyr‐Lys(Dde)‐Asp‐Gly‐Asp(標識前駆体1、ここで、Dde:4,4−Dimethyl−2,6−dioxocyclohex−1−ylidene)の合成
標識前駆体1は、ペプチド自動合成装置(株式会社島津製作所製、形式:PSSM−8)を用い、Fmoc固相合成法により合成した。得られた化合物をメタノール:水=2:1に溶解後、下記の条件のHPLC(HPLC条件1)を用いて精製を行った。精製後の標識前駆体1は、ESI−MSにより生成を確認した。
【0024】
HPLC条件(HPLC条件1):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18‐AR‐II 10×250
流速:2.5mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=60:40(0min)→95:5(40min)
【0025】
(実施例2)Lys(m−Iodobenzoyl)‐Trp‐Tyr‐Lys‐Asp‐Gly‐Asp(化合物1)標準品(非放射性ヨウ素標識体)の合成
FmocLys(Mmt)‐Trp(Boc)‐Tyr(OtBu)‐Lys(Boc)‐Asp(OtBu)‐Gly‐Asp(OtBu)を、Fmoc固相合成法により合成した(ここで、Mmt:4−methoxytrityl、OtBu:o−t−butylである)。得られた化合物にジクロロメタン:トリイソプロピルシラン:TFA=93.5:5:1.5溶液を1mL加え、1時間攪拌する事により脱Mmt基を行った。次いで、3−Iodobenzoyl Chloride 120μL,N,N−Diisopropylethylamine 150μL、ジメチルホルムアミド(DMF)1mLを加え、3時間攪拌することにより3−Iodobenzoyl ChlorideとN末Lys ε−アミノ基縮合反応を行い、ピペリジン250μL,DMF1mLを加えて30分攪拌し脱Fmoc基処理を行った。その後、TFA950μLと、水50μLを加え、4時間攪拌することにより脱樹枝を行い、下記の条件のHPLC(HPLC条件2)に付すことにより、化合物1標準品(非放射性ヨウ素体)を得た。
【0026】
HPLC条件(HPLC条件2):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 10×250
流速: 2.5mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=20:80(0min)→95:5(30min))
【0027】
(実施例3)化合物1([125I]標識体)の合成
N−Succinimidyl3−(tri−n−butylstannyl)benzoate(ATE)200μgを、5%酢酸を含むメタノール溶液100μLに溶解して2mg/mLとし、その72.2μLをN−クロロスクシンイミド(以下、NCS)のメタノール溶液(0.5mg/mL)19.8μLと混合した。得られた液に、Na[125I]Iを10μL(約500μCi)加えた。室温で30分反応後、亜硫酸水素ナトリウム溶液(0.72mg/mL)を3.2μL加えて反応を停止し、[125I]N−succinimidyl−3−iodobenzoate(以下、[125I]SIB)を得た。得られた[125I]SIBにつき、下記の条件のHPLC(HPLC条件3)により精製を行い、窒素ガスにより溶媒を留去後、N,N−ジメチルホルムアミド50μLを加えた。
【0028】
HPLC条件(HPLC条件3):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 10×250
流速:1.5mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:アセトニトリル(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=40:60(0min)→90:10(15min)→90:10(30min)
【0029】
標識前駆体1 500μgにN,N−ジメチルホルムアミド:0.2mol/Lホウ酸緩衝液(pH=7.8)=1:1混合溶液40μLを加え、次いで[125I]SIB溶液を加えた。トリエチルアミンでpH=8.5に調整した後、室温で1時間反応させた。次いで、10%ヒドラジン1水和物・N,N−ジメチルホルムアミド溶液30μLを加え、室温で15分間反応させた。下記の条件のHPLC(HPLC条件4)により精製を行い、放射化学的収率22%、放射化学的純度99%以上で化合物1([125I]標識体)を得た。なお、標識体の同定は、HPLC条件4による分析を行い、保持時間を化合物1標準品(非放射性ヨウ素標識体)と比べることで行った。
【0030】
HPLC条件(HPLC条件4):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 4.6×150
流速:1.0mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=20:80(0min)→95:5(30min)
【0031】
(実施例4)Tyr‐Lys(Dde)‐Asp‐Gly(標識前駆体2)の合成
標識前駆体2はペプチド自動合成装置(国産化学株式会社製、形式:ROTARY SHAKER N‐500)を用い、Fmoc固相合成法により合成した。精製は、下記の条件(HPLC条件5)を用いて行い、化合物の確認はESI−MSで行った。
【0032】
HPLC条件(HPLC条件5):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 10×250
流速:2.5mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:アセトニトリル(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=5:95(0min)→60:40(40min)
【0033】
(実施例5)m‐Iodobenzoyl‐Tyr‐Lys‐Asp‐Gly(化合物2)標準品(非放射性ヨウ素標識体)の合成
化合物2標準品(非放射性ヨウ素標識体)はペプチド自動合成装置(国産化学株式会社製、形式:ROTARY SHAKER N‐500)を用い、Fmoc固相合成法により合成した。化合物の確認はESI−MSで行った。
【0034】
(実施例6)m‐Iodobenzoyl‐Trp‐Gly‐Lys‐Trp‐Tyr‐Lys‐Asp‐Gly‐Asp(化合物3)標準品(非放射性ヨウ素標識体)の合成
化合物3標準品(非放射性ヨウ素標識体)はペプチド自動合成装置(国産化学株式会社製、形式:ROTARY SHAKER N‐500)を用い、Fmoc固相合成法により合成した。化合物の確認はESI−MSで行った。
【0035】
(実施例7〜10)その他のペプチドの合成
下記のペプチドは、株式会社ベックスに委託することによってFmoc法による固相合成法(自動合成装置:PIONEER/applied biosystems Japan(ABI)社)により合成した。
【0036】
標識前駆体4:Leu‐Ser‐Trp‐Gly‐Lys(Fmoc)‐Trp‐Tyr‐Lys(Fmoc)‐Asp‐Gly‐Asp‐Lys(Fmoc)‐Asp‐Ala‐Glu‐Ile
化合物4(非放射性ヨウ素標識体):m‐Iodobenzoyl‐Leu‐Ser‐Trp‐Gly‐Lys‐Trp‐Tyr‐Lys‐Asp‐Gly‐Asp‐Lys‐Asp‐Ala‐Glu‐Ile
標識前駆体5:Trp‐Gly‐Lys(Fmoc)‐Trp‐Tyr‐Lys(Fmoc)‐Asp‐Gly‐Asp‐Lys(Fmoc)‐Asp
化合物5(非放射性ヨウ素標識体):m‐Iodobenzoyl‐Trp‐Gly‐Lys‐Trp‐Tyr‐Lys‐Asp‐Gly‐Asp‐Lys‐Asp
【0037】
(実施例11)化合物1([125I]標識体)の血漿中安定性評価
ddYマウス心臓採血後、遠心分離を行い、上清を回収することで血漿を採取した。化合物1([125I]標識体)10μLを血漿100μLに添加し、37度で6時間インキュベートを行った。メタノール200μLを添加して遠心分離後、上清につき下記の条件のHPLC(HPLC条件6)を用いた分析を行った。その結果、図1に示すように、化合物1([125I]標識体)は6時間の時点で65%(HPLCチャートにおける面積%の値)が未変化体で存在していた。この結果から、化合物1([125I]標識体)は、血漿中において良好な安定性を有する事が確認された。
【0038】
HPLC条件(HPLC条件6):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 4.6×150
流速:1.0mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=20:80(0min)→95:5(30min)
【0039】
(実施例12)化合物1([125I]標識体)のノーマルマウス体内分布
6週齢のddYマウスに化合物1([125I]標識体)100μL(0.57μCi)を尾静脈投与し、5分、30分、1時間、3時間、および6時間後に、それぞれ血液、大動脈および各臓器を摘出し、それぞれの重量および放射能(ガンマカウンタ:1480 Wizard3”、パーキンエルマー社製)を測定した。測定は、各時間点につき3匹(1時間点のみ4匹)の動物を用いて行った。
その結果、図2に示すように、正常マウス投与1時間後の血液、血管の放射能はそれぞれ0.53、0.98%ID/gと低く、体内からの速やかなクリアランスと、低い非特異的集積性を認めた。また、胃への顕著な放射能集積が認められなかったことから、体内脱ヨウ素化反応に対する安定性が示された。
【0040】
(実施例13)化合物1([125I]標識体)の酸化LDL結合性
(酸化LDLの調製)
LDL(Biomedical Technologies Inc.製)は限外濾過フィルター処理によりPBS(0.1mol/L、pH7.4)溶液(1.78mg/mL)に調製後、37度で10μmol/L硫酸銅処理し、酸化反応時間を最長29時間までに様々に変化させ、酸化度の異なる酸化LDLを作成した。酸化反応の停止は、過剰量のエチレンジアミン4酢酸を添加することにより行った。酸化度の確認はTBARS Assay Kit(Cayman Chemical Company製)を用いてチオバルビツール酸反応物質(TBARS)量を測定することにより行った。
(化合物1([125I]標識体)の酸化LDL結合性)
化合物1([125I]標識体)(0.03μCi)を種々の酸化度のLDL溶液(80nmol/L)に添加し、4℃で3時間インキュベート後、MICROCON(登録商標、ミリポア・コーポレイション、形式:YM‐30)にアプライし、遠心分離(4160g,50min)後、PBS(0.1mol/L、pH7.4)溶液(1.78mg/mL)を100μL加え、再度遠心分離した。次に、PBS(0.1mol/L、pH7.4)溶液(1.78mg/mL)100μLを加え、MICROON(登録商標、ミリポア・コーポレイション)を上下逆向きにして遠心分離(1000g,10min)を行い、LDLを回収した。最初の遠心時のろ液、MICROCON(登録商標、ミリポア・コーポレイション)、逆向きに遠心時のろ液それぞれについて、放射能を測定し(測定された放射能を、それぞれ、「先のろ液の放射能」、「MICROCONの放射能」、「後のろ液の放射能」という)、下記の式(1)に従って、LDL結合量を測定した。
【0041】
【数1】
【0042】
図3および4に示すように、化合物1([125I]標識体)は未酸化LDLに比べ24時間酸化処理したLDLに6倍高く結合し、その結合は酸化度の指標であるTBARS値との高い相関(r=0.91)を認めた。
また、化合物1標準品(非放射性ヨウ素標識体)を8.77、87.7、292.3、877、1754μmol/Lの濃度となるように29時間酸化のLDL溶液(40nmol/L)に添加した試料をそれぞれ調製し、4℃で2時間インキュベートし、次いで化合物1([125I]標識体)(0.03μCi0.03μCi)を添加した。上記と同様に分離を行い、放射能を測定した。その結果、図5に示すように、化合物1([125I]標識体)の29時間酸化LDLに対する結合は化合物1標準品(非放射性ヨウ素標識体)の添加濃度に依存して減少した。
【0043】
(実施例14)化合物1([125I]標識体)のIn vitroオートラジオグラフィー(ARG)
ApoEノックアウトマウス、ノーマルマウス大動脈のパラフィン切片(5μm)をそれぞれ作製し、脱パラフィン処理後、10%エタノール中で化合物1([125I]標識体)(0.12μCi)を滴下し、1時間室温に静置した。50%エタノール中飽和炭酸リチウム(2min×2)、50%エタノール(2min×2)、精製水(30sec×1)で洗浄、乾燥後、イメージングプレートに18.5時間露光させた。バイオイメージングアナライザー(形式:BAS 5000、富士フイルム株式会社製)により画像を収集した。また、ARG切片の隣接切片についてAzan染色を行い、オートラジオグラフィー画像と比較した。その結果、図6および図7に示すように、化合物1([125I]標識体)はノーマルマウス血管と比較して、ApoEノックアウトマウス血管に対し高い放射能集積を認めた。
【0044】
(実施例15)Fmoc‐D‐Lys‐Trp‐Tyr‐Lys(Dde)‐Asp‐Gly‐Asp(標識前駆体2、ここで、Dde:4,4−Dimethyl−2,6−dioxocyclohex−1−ylidene)の合成
標識前駆体2は、ペプチド自動合成装置(株式会社島津製作所製、形式:PSSM−8)を用い、Fmoc固相合成法により合成した。得られた化合物をメタノール:水=2:1に溶解後、下記の条件のHPLC(HPLC条件7)を用いて精製を行った。精製後の標識前駆体2は、ESI−MSにより生成を確認した。
【0045】
HPLC条件(HPLC条件7):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 10×250
流速:2.5mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=60:40(0min)→85:15(40min)→95:5(41min)
【0046】
(実施例16)D−Lys(‐IB)‐Trp‐Tyr‐Lys‐Asp‐Gly‐Asp(化合物1D[125I]標識体)の合成
標識前駆体2 500μgにN,N−ジメチルホルムアミド:0.2mol/Lホウ酸緩衝液(pH=7.8)=1:1混合溶液40μLを加え、次いで実施例3と同様の方法にて調製した[125I]SIB溶液を加えた。トリエチルアミンでpH=8.5に調整した後、室温で1時間反応させた。次いで、5%ヒドラジン1水和物・N,N−ジメチルホルムアミド溶液15μLを加え、水浴中で3時間反応させた。下記の条件のHPLC(HPLC条件8)により精製を行い、放射化学的収率20%、放射化学的純度99%以上で化合物1D[125I]標識体を得た。
【0047】
HPLC条件(HPLC条件8):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 4.6×150
流速:1.0mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=10:90(0min)→95:5(40min)
【0048】
(実施例17)化合物1([125I]標識体)のウサギ体内分布
表1に記載した月齢のWHHLMIモデルウサギ及び正常日本白色種ウサギ(図8および図9において、controlと表記)に、化合物1([125I]標識体)を表1記載の放射能量耳静脈投与し、30分後に抱水クロラールを過剰量投与することにより屠殺した。1例のWHHLMIモデルウサギについては、化合物1([125I]標識体)投与に先立ち、化合物1標準品2mgを投与してブロッキングを行い、同様の実験を行った(表1中、ウサギ4)。各ウサギは、屠殺後、下大静脈より採血し、次いで、PLP(Periodate Lysine Paraformaldehyde)固定液にて還流固定した後、各臓器及び大動脈を摘出した。下大静脈より採取した血液および摘出した各臓器は、重量及び放射能(ガンマカウンタ:1480Wizard3”、パーキンエルマー社製)を測定し、大動脈は弓部、胸部、および腹部大動脈をそれぞれ6、9、9個に分割後、同様に重量および放射能(ガンマカウンタ:1480 Wizard3”、パーキンエルマー社製)を測定した。大動脈については、測定された放射能カウントの値に基づき、下記式(2)に従って、DUR(Differential Uptake Ratio)を求めた。
【0049】
【数2】
【0050】
表1におけるウサギ2およびウサギ5から摘出した大動脈については、厚さ20μmの凍結切片を作成し、イメージングプレートに2週間露光させ、バイオイメージングアナライザー(形式:BAS 5000、富士フイルム株式会社製)により画像を収集し、オートラジオグラフィーを得た。
【0051】
【表1】
【0052】
各動物における各臓器への放射能集積を、図8および図9に示す。この図に示すように、化合物1([125I]標識体)は、そのほとんどが速やかに腎排泄されることが示唆され、また、WHHLMIウサギは正常日本白色種ウサギ(図中、controlと表記)と比べ、血中放射能が高く、かつ、各臓器における放射能集積が高いことが確認された。
【0053】
各動物における大動脈のDURを図10に、大動脈/血液比および大動脈/筋肉比を図11に示す。14月齢のWHHLMIウサギ大動脈におけるDURは、正常日本白色種ウサギ(図中、controlと表記)と比べて約5倍大きく、大動脈/血液比および大動脈/筋肉比は、それぞれ約1.8倍および約2倍高かった。11月齢のWHHLMIにおいても、14月齢ほどではないが、正常日本白色種ウサギと比べたDUR並びに大動脈/血液比および大動脈/筋肉比の有意な増加が確認された。この結果より、化合物1([125I]標識体)は、WHHLMIウサギにおいて、正常ウサギよりもより多く大動脈に集積する事が確認された。これは、化合物1([125I]標識体)が酸化LDLに対する集積性を有する事を示唆する結果である。
【0054】
次に、大動脈のDURにつき、化合物1標準品2mgを投与してブロッキングを行ったWHHLMIウサギとそうでないWHHLMIウサギとの間で比較を行った結果を、図12に示す。図8および図9にも示したとおり、化合物1標準品投与によるブロッキングを行ったウサギでは、筋肉以外の各臓器における放射能集積が低下していた。また、図12に示したように、ブロッキングにより大動脈のDURが有意に低下していた。この結果は、WHHLMIウサギの大動脈に集積した化合物1([125I]標識体)が、当該大動脈に結合している事を示す結果である。
【0055】
11月齢のWHHLMIウサギ(ウサギ2)および12週齢の正常日本白色種(ウサギ5)における大動脈のオートラジオグラフィーを、図13および図14に示す。この図から明らかなように、WHHLMIウサギでは、正常日本白色種と比較して、明らかに高い放射能集積性を示していた。
【0056】
(実施例18)化合物1([125I]標識体)および化合物1D([125I]標識体)の血漿中安定性評価
正常日本白色種ウサギ(雄、12週齢)をケタラール/セラクタール麻酔下、耳動脈から採血した。得られた血液を、4℃に冷却しながら、4160gで15分間遠心分離し、血漿を採取した。得られた血漿100μLに対し、化合物1([125I]標識体)および化合物1D([125I]標識体)を10μL加えた試料をそれぞれ調製し、37℃でインキュベートした。5分および30分経過後、メタノール200μLを加え、4℃に冷却しながら、4160gで15分間遠心分離した。上清をフィルター(ナカライテスク株式会社製、コスモナイス(登録商標)フィルターS、孔径0.45μm)処理後、化合物1標準品を加え、下記の条件のHPLC(HPLC条件9)にて分析を行った。なお、放射能カウントについては、フラクションコレクターで30秒ずつ分取し、ガンマカウンタ(ガンマカウンタ:1480 Wizard3”、パーキンエルマー社製)にて各フラクションの放射能を測定した。
【0057】
HPLC条件(HPLC条件9):
カラム:COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)5C18−AR−II 4.6×150
流速:1.0mL/min
検出器:UV検出器(検出波長:220nm)(化合物1標準品による未変化体の保持時間確認用)
移動相:メタノール(0.1%TFA):水(0.1%TFA)=10:90(0min)→95:5(30min)
【0058】
結果を、図15〜図18に示す。化合物1([125I]標識体)は、インキュベート5分後において未変化体が約20%であり(図15)、30分後では未変化体が約1.9%であった(図16)。この結果から、化合物1([125I]標識体)は、ウサギ血漿中において、何らかの代謝を受けていることが示された。ただし、図13にも示したように、WHHLMIウサギの大動脈において明らかな放射能集積が示されており、化合物1([125I]標識体)は、不安定プラーク検出用の画像診断剤として利用可能な化合物である事にはかわりはない。
【0059】
一方、化合物1D([125I]標識体)では、インキュベート5分後において85%が未変化体として代謝を受けずに残っており(図17)、30分後においても65%が未変化体として残っていた(図18)。この結果より、N末端側のリジンをD体とすることにより、酸化LDL親和性部位であるアミノ酸配列Tyr−Lys−Asp−Glyを残したまま、血漿中における代謝を抑制し得る事が示された。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る放射性ヨウ素標識ペプチド並びに不安定プラーク検出用放射性画像診断剤は、放射性医薬品の製造分野において利用する事ができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1〜5のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドにおいて、N末端のアミノ酸に、ベンゾイル基を用いて放射性ヨウ素を結合させた放射性ヨウ素標識ペプチド。
【請求項2】
XBz−Leu−Ser−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp−Ala−Glu−Ile,
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp,
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp,
XBz−Tyr−Lys−Asp−Gly,
Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Aspまたは、
D−Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Aspで表される、放射性ヨウ素標識ペプチド(各式中、Xは放射性ヨウ素、Bzはベンゾイルである)。
【請求項3】
D−Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Aspで表される、放射性ヨウ素標識ペプチド(各式中、Xは放射性ヨウ素、Bzはベンゾイルである)。
【請求項4】
配列番号1〜5のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドにおいて、N末端のアミノ酸に、ベンゾイル基を用いて放射性ヨウ素を結合させた放射性ヨウ素標識ペプチドを配合してなる不安定プラーク検出用放射性画像診断剤。
【請求項5】
XBz−Leu−Ser−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp−Ala−Glu−Ile,
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp,
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp,
XBz−Tyr−Lys−Asp−Gly,
Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp,または、
D−Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Aspの、いずれかの放射性ヨウ素標識ペプチド(各式中、Xは放射性ヨウ素、Bzはベンゾイルである)を配合してなる、不安定プラーク検出用放射性画像診断剤。
【請求項6】
D−Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Aspで表される放射性ヨウ素標識ペプチド(各式中、Xは放射性ヨウ素、Bzはベンゾイルである)を配合してなる、不安定プラーク検出用放射性画像診断剤。
【請求項1】
配列番号1〜5のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドにおいて、N末端のアミノ酸に、ベンゾイル基を用いて放射性ヨウ素を結合させた放射性ヨウ素標識ペプチド。
【請求項2】
XBz−Leu−Ser−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp−Ala−Glu−Ile,
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp,
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp,
XBz−Tyr−Lys−Asp−Gly,
Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Aspまたは、
D−Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Aspで表される、放射性ヨウ素標識ペプチド(各式中、Xは放射性ヨウ素、Bzはベンゾイルである)。
【請求項3】
D−Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Aspで表される、放射性ヨウ素標識ペプチド(各式中、Xは放射性ヨウ素、Bzはベンゾイルである)。
【請求項4】
配列番号1〜5のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドにおいて、N末端のアミノ酸に、ベンゾイル基を用いて放射性ヨウ素を結合させた放射性ヨウ素標識ペプチドを配合してなる不安定プラーク検出用放射性画像診断剤。
【請求項5】
XBz−Leu−Ser−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp−Ala−Glu−Ile,
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp−Lys−Asp,
XBz−Trp−Gly−Lys−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp,
XBz−Tyr−Lys−Asp−Gly,
Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Asp,または、
D−Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Aspの、いずれかの放射性ヨウ素標識ペプチド(各式中、Xは放射性ヨウ素、Bzはベンゾイルである)を配合してなる、不安定プラーク検出用放射性画像診断剤。
【請求項6】
D−Lys(−XBz)−Trp−Tyr−Lys−Asp−Gly−Aspで表される放射性ヨウ素標識ペプチド(各式中、Xは放射性ヨウ素、Bzはベンゾイルである)を配合してなる、不安定プラーク検出用放射性画像診断剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−82166(P2012−82166A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230040(P2010−230040)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000230250)日本メジフィジックス株式会社 (75)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000230250)日本メジフィジックス株式会社 (75)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】
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