説明

包被食品成形装置及び方法

【課題】本発明は、粒状の固形食材や細切れの固形食材でも被覆食材により確実に包被切断して成形することができる包被食品成形装置及び方法を提供することを目的とする。
【解決手段】包被食品成形装置1は、被覆食材をノズルより連続吐出して筒状体に成形する吐出部3、固形食材を供給する供給部4、供給された固形食材を筒状体の内部空間に投入する投入部5、筒状体の内部空間に連通して給排気を行う空気流通部6、固形食材を内部に収容した筒状体に対してシャッタ片により包被切断する成形部7を備えており、吐出部3の中心ノズル部材とノズル部材との間の環状空間を通して固形食材が収容された筒状体の内部空間を脱気し、脱気された筒状体を切断して固形食材を被覆食材で包み込むように包被切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形食材を外皮材により包み込むように成形する包被食品成形装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、栗、イチゴ、ナッツ等の果実類や茹で玉子、角切り肉、野菜炒め等の総菜類といった固形食材を外皮材である生地で包み込んだ包被食品が製造販売されている。こうした包被食品を機械的に連続成形する方法としては、外皮材をリング状のノズルから筒状に連続吐出して内部に固形食材を投入し、シャッタ等の切断部材により外皮材を切断しながら固形材料を包被するように成形する方法が提案されている。例えば、特許文献1では、外筒、内筒及び中心筒を同心円状に配置し、外筒と内筒との間及び内筒と中心筒の間からそれぞれ外皮材及び内包材を筒状に連続吐出して棒状成形し、中心筒内に固形材料を投入して棒状成形した外皮材及び内包材を切断することで固形食材入りの包被食品を成形する点が記載されている。また、特許文献2では、2つの外側円錐筒及び内側円錐筒の間から可塑性食品材料を筒状に連続吐出し、内側円錐筒の内部に固形食品材料を投入して給排気用のピストンヘッドを内部に下降させ、ピストンヘッドから空気を吸引して可塑性食品材料を切断して固形食品材料を包み込むように団塊状に成形する点が記載されている。また、特許文献3では、複数種類の食品材料が連続吐出されて形成された中空の棒状生地の内部に筒状の部材を介して固形物を投入した後、固形物を被うように棒状生地を切断する包あん機における固形物供給装置において、圧縮空気を筒状の部材の内壁より外気方向に噴射して棒状生地の中空部を負圧にする点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−2044号公報
【特許文献2】特許第2641028号公報
【特許文献3】特許第3698668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献では、固形食材を筒状の外皮材の内部に投入して包被切断するようにしているが、団塊状の固形食材を1個分投入する場合には問題ないが、ナッツや総菜類のように複数個投入する場合や粘着性の固形食材を投入することが難しい。例えば、特許文献1では、プッシャにより固形食材を生地内に押し込むようにしているが、固形食材が粒状の場合には押し込むことが難しく、また粘着性のある食材の場合にはプッシャに付着して投入することが困難になる。また、固形食材の間に空気が残留したまま包被されるようになるので、成形食品を加熱して調理する際に内部の残留空気が膨張して生地が破裂するおそれがある。
【0005】
また、特許文献2及び3のように、筒状の生地内部の空気を吸引して固形食材を包み込む場合には、空気の吸引の際に粒状の固形食材等が吸引されてしまうおそれがあり、また、特許文献2ではピストンヘッドに形成する通気孔の数に限度があり、空気の吸引及び吹き出しが不足気味となる
【0006】
そこで、本発明は、粒状の固形食材や細切れの固形食材でも被覆食材により確実に包被切断して成形することができる包被食品成形装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包被食品成形装置は、複数のノズル部材を多重に配置して当該ノズル部材の間の環状空間から被覆食材を下方に向けて連続吐出することで筒状体に成形する吐出部と、前記ノズル部材のうち最も内側の中心ノズル部材に連通する投入管及び当該投入管内に移動可能に設けられて前記中心ノズル部材の内周面に密着可能に形成されたピストン部材を有するとともに固形食材を当該投入管を介して前記筒状体の内部空間に投入する投入部と、前記中心ノズル部材に隣接する前記ノズル部材と前記中心ノズル部材との間の環状空間に連通して脱気する空気流通部と、前記吐出部の下方に配置されて前記筒状体の通過領域を囲むように配設された切断部材を有するとともに当該切断部材の囲む領域を開閉するように当該切断部材を動作させる成形部と、前記ピストン部材を前記中心ノズル部材の内周面に密着させた状態で前記空気流通部を動作させて前記固形食材が収容された前記筒状体の内部空間を脱気するとともに脱気された前記筒状体に対して前記成形部を動作させて前記切断部材により前記固形食材を前記被覆食材で包み込むように包被切断する制御部とを備えていることを特徴とする。さらに、前記空気流通部は、給排気する機能を備えており、前記制御部は、前記筒状体に対する切断部材による包被切断動作後に前記空気流通部を動作させて前記筒状体の内部空間に下方に向かって空気を噴出させて前記筒状体を整形することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る包被食品成形方法は、複数のノズル部材を多重に配置して当該ノズル部材の間の環状空間から被覆食材を下方に向けて連続吐出することで筒状体に成形し、前記ノズル部材のうち最も内側の中心ノズル部材に連通する投入管より固形食材を前記筒状体の内部空間に投入するとともに当該投入管内にピストン部材を移動させて当該中心ノズル部材の内周面に密着させ、前記中心ノズル部材に隣接する前記ノズル部材と前記中心ノズル部材との間の環状空間を通して前記固形食材が収容された前記筒状体の内部空間を脱気し、脱気された前記筒状体を切断して前記固形食材を前記被覆食材で包み込むように包被切断することを特徴とする。さらに、前記筒状体の包被切断動作後に前記筒状体の内部空間に下方に向かって空気を噴出させて前記筒状体を整形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のような構成を有することで、中心ノズル部材に隣接するノズル部材と中心ノズル部材との間の環状空間に連通して脱気する空気流通部を設け、ピストン部材を中心ノズル部材の内周面に密着させた状態で空気流通部を動作させて固形食材が収容された筒状体の内部空間を脱気するとともに脱気された筒状体に対して成形部を動作させて切断部材により固形食材を被覆食材で包み込むように包被切断するので、粒状の複数の固形食材や細切れの固形食材を筒状体の内部空間に投入した場合でもスムーズに脱気することができる。
【0010】
すなわち、筒状体の内部空間を脱気する通気口が投入口である中心ノズル部材の周囲に環状に形成されるため、筒状体の内周面に沿って全周にわたって通気口が形成されて効率よく脱気することができる。そして、従来のピストン部材に形成された通気孔に比べて通気口が大きく形成されているので、空気の吸引速度が大きくなって筒状体の内部空間を短時間で脱気することができ、通気口への複数の固形食材の吸引を抑止するとともに内部が脱気された高品質の包被食品を効率よく生産可能となる。
【0011】
したがって、筒状体内に投入された食材が粒状の複数の固形食材や細切れの固形食材の場合であっても、固形食材が収容された筒状体の内部空間を迅速かつ確実に脱気して包被切断することができる。
【0012】
また、筒状体を包被切断動作した後切断部分は切断部材により括れるように封着しているが、筒状体の内周面に沿って全周にわたって形成された通気口から筒状体の内部空間に下方に向かって空気を噴出すれば、噴出された空気が筒状体の先端部分を筒状に拡げるように作用して整形する。そのため、次に複数の固形食材が投入された場合に筒状体の先端部分の内底面全体に複数の固形食材が偏りなく配置されて品質の良い包被食品を成形することができる。なお、栗やイチゴといった団塊状の1個の固形食材を使用する場合にも従来と同様に包被切断して包被食品を成形することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施形態に関する正面図である。
【図2】図1に示す装置における吐出部及び成形部の部分に関する拡大断面図である。
【図3】供給部に関する上面図である。
【図4】成形部におけるシャッタ片の動作及びその駆動機構に関する平面図である。
【図5】吐出部から連続吐出される被覆食材により固形食材を包み込むように包被切断する過程を示す説明図である。
【図6】吐出部から連続吐出される被覆食材により固形食材を包み込むように包被切断する過程を示す説明図である。
【図7】吐出部から連続吐出される被覆食材により固形食材を包み込むように包被切断する過程を示す説明図である。
【図8】吐出部から連続吐出される被覆食材により固形食材を包み込むように包被切断する過程を示す説明図である。
【図9】吐出部から連続吐出される被覆食材により固形食材を包み込むように包被切断する過程を示す説明図である。
【図10】吐出部から連続吐出される被覆食材により固形食材を包み込むように包被切断する過程を示す説明図である。
【図11】吐出部から連続吐出される被覆食材により固形食材を包み込むように包被切断する過程を示す説明図である。
【図12】吐出部から連続吐出される被覆食材により固形食材を包み込むように包被切断する過程を示す説明図である。
【図13】吐出部から連続吐出される被覆食材により固形食材を包み込むように包被切断する過程を示す説明図である。
【図14】成形品に関する斜視図及び断面図である。
【図15】成形品の別の例に関する断面図である。
【図16】成形品の別の例に関する断面図である。
【図17】外皮材のみにより固形食材を包被切断する変形例に関する概略正面図である。
【図18】図17に示す装置における吐出部及び成形部の部分に関する拡大断面図である。
【図19】投入部の変形例に関する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明に係る実施形態に関する正面図である。包被食品成形装置1は、被覆食材を供給する供給部2、供給された被覆食材をノズルより下方に向かって連続吐出して筒状体に成形する吐出部3、固形食材を供給する供給部4、供給された固形食材を筒状体の内部空間に投入する投入部5、筒状体の内部空間に連通して給排気を行う空気流通部6、吐出部3の下方に配置され固形食材を内部に収容した筒状体に対して切断部材であるシャッタ片により固形食材を被覆食材で包み込むように包被切断する成形部7、成形部7の下方に配置され包被切断された成形品を搬送するベルトコンベヤ8、及び、包被切断する際に成形品を支持する支持部9を備えている。
【0016】
供給部2は、2種類の被覆食材F及びGを供給し、一方の食材Fを外皮材とし他方の食材Gを内材として吐出部3に圧送する。ホッパ20aから送入された外皮材である被覆食材Fはベーンポンプ21aにより吐出部3に圧送され、ホッパ20bから送入された内材である被覆食材Gはベーンポンプ21bにより吐出部3に圧送される。
【0017】
外皮材となる被覆食材Fとしては、例えば、小麦粉等の生地、餅、求肥、飴、魚のすり身、挽肉、マッシュポテト等の食材が挙げられる。また、内材となる被覆食材Gとしては、例えば、粒餡や漉し餡等の豆類の餡、豆腐ペースト、野菜ペースト、カレーペースト、クリームチーズ等の食材が挙げられる。
【0018】
図2は、吐出部3及び成形部7の部分に関する拡大断面図である。吐出部3は、食材を吐出するノズル部分が口径の異なる複数のノズル部材30〜33を同心円状に多重配置して構成されている。最も外側のノズル部材30は、取付台部34の下端に接続されて下方に向かって開口している。取付台部34には、外皮材Fを供給する管路22aに連通する開口が形成されている。ノズル部材30の内側に隣接して配置されるノズル部材31は、内材Gを供給する管路22bに連通する供給管35の下端に接続されて下方に向かって開口している。供給管35は取付台部34の開口内に配置されており、管路22aから供給される外皮材Fは、取付台部34と供給管35との間の空隙を通り、ノズル部材30及び31の間の環状空間から下方に向かって連続吐出されるようになる。
【0019】
ノズル部材31の内側に隣接して配置されるノズル部材32は、空気流通部6に連通する空気管63の下端に接続されて下方に向かって開口しており、空気管63は、供給管35内に配置されている。管路22bから供給される内材Gは、供給管35と空気供給管63との間の空隙を通り、ノズル部材31及び32の間の環状空間から下方に向かって連続吐出されるようになる。
【0020】
そして、各ノズル部材の間の環状空間から被覆食材F及びGを下方に向かって二重になるように連続吐出し、連続吐出により成形された筒状体は、外側及び内側にそれぞれ被覆食材F及びGが積層した二重構造に成形される。
【0021】
図3は、供給部4に関する上面図である。供給部4は、周方向に複数の収容孔41を穿設したターンテーブル40を備えており、ターンテーブル40の下面には支持プレートが当接して設けられている。収容孔41には支持プレートが露出しており、各収容孔には所定量の複数の固形食材Hが配給される。支持プレートには、投入部5の投入管50に対向する位置に開口部44が形成されており、ターンテーブル40を回転軸42を中心に駆動機構43により回動させていくことで開口部44に収容孔41が順次合致して収容孔41内の固形食材Hが投入管50内に落下していくようになる。こうした固形食材の供給機構は公知のものである。
【0022】
投入部5は、図2に示すように、吐出部3に設けられた最も内側の中心ノズル部材33に接続された投入管50を上下方向に沿って空気管63内に配置し、投入管50内を上下動するピストン部材51を備えている。ピストン部材51は、駆動ロッド52の下端に固定されており、駆動ロッド52がエアシリンダ53により進退動作することでピストン部材51が投入管50内を上下動する。
【0023】
ピストン部材51は、中心ノズル部材33内を下方に移動して下面が中心ノズル部材33の下端に到達する停止位置まで下降する。そして、ピストン部材51は、停止位置に設定された状態では中心ノズル部材33の内周面に対して気密に密着するように形成されている。投入管50の内径は中心ノズル部材33の下端の開口径よりもわずかに大きく設定されており、投入管50内では内周面とピストン部材51との間に隙間が形成されるようになっている。
【0024】
ピストン部材51は、投入管50内を上方に移動して供給部4の開口部44及び収容孔41を通過し、供給部4の上方の待機位置まで上昇する。そして、収容孔41が投入管51上に移動するタイミングに合わせてピストン部材51が下降して収容孔41及び開口部44を通って固形食材Hを押し下げ、固形食材Hが投入管50から中心ノズル部材33を通って筒状体の内部空間に確実に落下するように作用する。
【0025】
固形食材Hとしては、公知の固形物からなる食材を用いることができ、例えば、栗やイチゴ等の果実類、リンゴやオレンジ等の果肉の角切り、甘納豆やナッツ類の粒状物、シュウマイ、茹で玉子や角切り肉等の加工食材、野菜炒め、キンピラゴボウ、切りニンジン、切干大根や茸類の煮込み等の各種総菜類といったものが挙げられる。このように、これまで包被成形することが困難であった固形食材についても包被食品を成形することができる。
【0026】
空気流通部6は、排気を行うための公知の送風機や給気を行うための公知の空気圧縮機を電磁弁により適宜切り換えて給排気を行う給排気装置60を備えている。給排気装置60は、連結管61及び接続部材62を介して空気管63に連通しており、空気管63を通して中心ノズル部材33とその外側に隣接するノズル部材32との間の環状空間から筒状体の内部空間に対して脱気又は空気の噴出を行うようになっている。
【0027】
成形部7は、吐出部3から下方に向けて連続吐出される筒状体を囲むように配列された複数のシャッタ片70を備えている。図4は、成形部7におけるシャッタ片70の動作及びその駆動機構に関する平面図である。図4(a)は、6つのシャッタ片70が回転して開いた状態を示している。各シャッタ片70が取り付けられた各駆動軸71の上端部は、フレーム75の上面に回動可能に軸支されており、フレーム75内には、各駆動軸71の上部に円形のフランジ72がそれぞれ固定されている。そして、各フランジ72同士は、リンク73が枢着されて連結されており、1つのリンク73が延設されて駆動モータ(図示せず)の回転軸74に枢着されている。
【0028】
回転軸74が回転することで、リンク73が連関動作してフランジ72が同期して回動するようになる。図4(a)に示すように各シャッタ片70が開いた状態から、図4(b)に示すように回転軸74を時計回りに所定角度回転することで、各シャッタ片70の囲む領域を開閉して切断動作を行う。
【0029】
吐出部3から連続吐出される筒状体に対して複数のシャッタ片70を閉じ動作させて被覆食材F及びGを括れるように切断することで、筒状体の内部空間に収容された固形食材Hを被覆食材F及びGで包み込むように包被切断する。
【0030】
ベルトコンベヤ8は、成形部7の下方に設置されており、搬送ベルト80が駆動ローラ81により搬送駆動される。搬送ベルト80上には成形部7において包被切断された成形品が載置されて左方向に搬送し、次の工程に搬出する。
【0031】
支持部9は、搬送ベルト80の下面に密着して配置された支持部材90、支持部材90を保持する支持ロッド91及び支持ロッド91を上下動する駆動バー92を備えており、駆動モータ(図示せず)により駆動バー92を回動することで支持部材90が上下動する。支持部材90の上下動により搬送ベルト80が持ち上げられて成形部7の下面に近接した位置まで上昇するようになる。
【0032】
図1には図示されていないが、包被食品成形装置1は、供給部2、吐出部3、供給部4、投入部5、空気流通部6、成形部7、ベルトコンベヤ8及び支持部9の各部を駆動制御する制御部を備えている。制御部は、後述するように、投入部5を制御してピストン部材51を中心ノズル部材33の内周面に密着させた状態に設定し、空気流通部6を動作させて固形食材Hが収容された筒状体の内部空間を排気し、排気された筒状体に対して成形部7を動作させて切断部材70により固形食材Hを被覆食材F及びGで包み込むように包被切断するように制御する。
【0033】
図5から図13は、吐出部3から連続吐出される被覆食材により固形食材を包み込むように包被切断する過程を示す説明図である。図5から図13は、各過程における吐出部3及び成形部7に関する概略断面図である。
【0034】
図5では、成形部7のシャッタ片70は開いた状態に設定されており、吐出部3からは被覆食材F及びGが下方に向かって連続吐出されて筒状体が成形される。筒状体は、内材である被覆食材Gの外周を外皮材である被覆食材Fで被覆した2層構造に形成され、その先端部は前回の包被切断動作により括れるように閉じられている。
【0035】
ピストン部材51は、ターンテーブル40よりも上方の待機位置に設定されており、供給部4を動作させてターンテーブル40の収容孔41から固形食材Hを投入管50内に落下させる。
【0036】
図6では、ピストン部材51をターンテーブル40の収容孔を通って固形食材Hとともに投入管50内を下降させ、固形食材Hを確実に筒状体の内部空間に落下させる。固形部材Hが複数の粒状食材を混合したものや細切れの食材で投入管50の内周面に付着しやすいものであってもピストン部材51が投入管50内を下降することで、付着した食材を確実に落下させることができる。
【0037】
図7では、ピストン部材51が中心ノズル部材33内を下降して停止位置に設定され中心ノズル部材33の内面に密着した状態となる。固形食材Hは、筒状体の内部空間に落下して収容される。筒状体は、後述するように、空気流通部6からの空気の噴出により整形されているため、固形食材Hは偏ることなく配置されている。
【0038】
図8では、空気流通部6を排気動作させて中心ノズル部材33とノズル部材32との間の環状空間から筒状体の内部空間を脱気する。この場合、環状空間が通気口となっているので、内部空間の内周面の全周にわたって空気を吸引して短時間で脱気することができ、被覆食材を固形食材に密着させた状態に設定する。
【0039】
また、短時間で脱気するので、細切れの固形食材の場合でも空気の吸引による通気口への吸着を防止でき、万一吸着した場合でも排気動作の強弱調整を行えばノズル部材の下端に付着することなく簡単に脱落する。
【0040】
また、中心ノズル部材33がピストン部材51により気密に閉鎖されているので、筒状体の内部空間は空気のほとんどない状態が維持されるようになり、被覆食材の材質によっては筒状体が凹んだ状態に変形する。
【0041】
図9では、被覆食材F及びGの連続吐出により筒状体が所定の長さまで垂れ下がったタイミングでシャッタ片70を閉じる方向に動作させる。その際に、下方より支持部材90が上昇して搬送ベルト80を持ち上げ、固形食材Hが収容された筒状体を支持する。
【0042】
図10では、シャッタ片70が閉じた状態となって、筒状体は括れるように切断される。その際に、固形食材Hが収容された筒状体の先端部分側では、被覆食材F及びGが封着されて固形食材Hを包み込むように包被切断され、固形食材Hを被覆食材F及びGで包み込んだ成形品Iが成形される。そして、成形品Iは、支持部材90により持ち上げられた搬送ベルト80上に載置された状態となる。また、筒状体の切断部分は、被覆食材F及びGが寄せ集められて封着された状態となる。
【0043】
図11では、シャッタ片70が支持部材90とともに下降して、成形品Iを搬送ベルト80で搬送可能な状態に設定する。そして、図12では、搬送ベルト80が搬送動作を行って、成形品Iを次の工程に搬送されていく。また、シャッタ片70は開きながら元の位置に上昇する。ピストン部材51は、上昇してターンテーブル40の上方の待機位置に移動する。
【0044】
図13では、被覆食材F及びGが連続吐出されて筒状体が延びていき、空気流通部6を給気動作させて中心ノズル部材33とノズル部材32との間の環状空間から筒状体の内部空間に向けて空気を噴出する。噴出された空気は、筒状体の内周面に沿って下方に向かって流れるようになり、切断動作の際に封着されて変形した筒状体の先端部分を拡げるように整形される。このように筒状体の先端部分を成形することで、次に固形食材Hが投入された際に固形食材Hを偏りなく配置することができる。
【0045】
そして、図5から図13に示す動作を繰り返すことで、固形食材Hを被覆食材F及びGで包み込んだ成形品Iを効率よく成形することができる。
【0046】
図14は、成形品Iに関する斜視図(図14(a))及び断面図(図14(b))である。外皮材である被覆食材Fの内面全体に内材である被覆食材Gが層状に形成されており、内部は脱気された状態で固形食材Hが内蔵されている。成形品I全体に各食材がほぼ均等に分布するとともに残留空気がほとんどない脱気状態に仕上げられているので、成形品Iを加熱しても破裂することなくきれいに仕上げることができる。
【0047】
図15は、成形品の別の例に関する断面図である。図15(a)は、茸等の食材を用いた総菜類を固形食材として被覆材F及びGにより被覆した成形品である。また、図15(b)は、栗、イチゴ及び金時豆等の異なる種類を組み合わせた固形食材を餡G’に内蔵して外皮材Fにより包み込んだ成形品である。また、図15(c)は、シュウマイ等の団塊状の固形食材を内材G’に内蔵して外皮材Fにより包み込んだ成形品である。
【0048】
このように様々な食材を組み合せてこれまで機械成形が困難であった食品についても成形することができる。また、上述した例では、被覆食材として2種類の食材を用いているが、内材を供給せずに外皮材のみ供給するようにすれば、外皮材により固形食材を直接包み込んだ成形品を成形することもできる。例えば、図16に示すように、外皮材Fにより細切れの固形食材Hを包み込むように成形した成形品を得ることが可能となる。
【0049】
図17は、外皮材のみにより固形食材を包被切断する変形例に関する概略正面図である。この例では、図1に示す包被食品成形装置において、内材である被覆食材Gを供給する管路に直接空気流通部6の連結管61を接続するようにしている。図18は、吐出部3及び成形部7の部分に関する拡大断面図である。被覆食材Gを供給する管路22bに直接連結管61が接続されており、接続部材62及び空気管63は取り外されている。そのため、吐出部3のノズル部材32も取り外されており、外皮材である被覆食材Fはノズル部材30及び31の間の環状吐出口より連続吐出されて筒状体が成形される。空気流通部6は、中心ノズル部材33とノズル部材31との間の環状空間に連通しており、筒状体の内部空間に対して脱気又は空気の噴出を行うようになる。
【0050】
以上のように構成することで、固形食材Hを外皮材Fにより包み込むように包被切断して成形品を仕上げることができる。
【0051】
図19は、投入部5の変形例に関する概略断面図である。この例では、ピストン部材51の内部に通気孔51aが形成されており、通気孔51aは駆動ロッド52内の通気路52aを介して外部の空気圧縮装置に連通している。そして、固形食材Hを投入管50内に投入してピストン部材51を下降させる際に通気孔51aから空気を噴出させ、ピストン部材51に固形部材が付着しないようにし、固形食材Hが付着した場合には落下させるように作用する。また、空気流通部6により筒状体の内部空間に対して空気の吸引動作を行う際には空気を吸引して補助的に脱気動作を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 包被食品成形装置
2 供給部
3 吐出部
4 供給部
5 投入部
6 空気流通部
7 成形部
8 ベルトコンベヤ
9 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズル部材を多重に配置して当該ノズル部材の間の環状空間から被覆食材を下方に向けて連続吐出することで筒状体に成形する吐出部と、前記ノズル部材のうち最も内側の中心ノズル部材に連通する投入管及び当該投入管内に移動可能に設けられて前記中心ノズル部材の内周面に密着可能に形成されたピストン部材を有するとともに固形食材を当該投入管を介して前記筒状体の内部空間に投入する投入部と、前記中心ノズル部材に隣接する前記ノズル部材と前記中心ノズル部材との間の環状空間に連通して脱気する空気流通部と、前記吐出部の下方に配置されて前記筒状体の通過領域を囲むように配設された切断部材を有するとともに当該切断部材の囲む領域を開閉するように当該切断部材を動作させる成形部と、前記ピストン部材を前記中心ノズル部材の内周面に密着させた状態で前記空気流通部を動作させて前記固形食材が収容された前記筒状体の内部空間を脱気するとともに脱気された前記筒状体に対して前記成形部を動作させて前記切断部材により前記固形食材を前記被覆食材で包み込むように包被切断する制御部とを備えていることを特徴とする包被食品成形装置。
【請求項2】
前記空気流通部は、給排気する機能を備えており、前記制御部は、前記筒状体に対する切断部材による包被切断動作後に前記空気流通部を動作させて前記筒状体の内部空間に下方に向かって空気を噴出させて前記筒状体を整形することを特徴とする請求項1に記載の包被食品成形装置。
【請求項3】
複数のノズル部材を多重に配置して当該ノズル部材の間の環状空間から被覆食材を下方に向けて連続吐出することで筒状体に成形し、前記ノズル部材のうち最も内側の中心ノズル部材に連通する投入管より固形食材を前記筒状体の内部空間に投入するとともに当該投入管内にピストン部材を移動させて当該中心ノズル部材の内周面に密着させ、前記中心ノズル部材に隣接する前記ノズル部材と前記中心ノズル部材との間の環状空間を通して前記固形食材が収容された前記筒状体の内部空間を脱気し、脱気された前記筒状体を切断して前記固形食材を前記被覆食材で包み込むように包被切断することを特徴とする包被食品成形方法。
【請求項4】
前記筒状体の包被切断動作後に前記筒状体の内部空間に下方に向かって空気を噴出させて前記筒状体を整形することを特徴とする請求項3に記載の包被食品成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−155924(P2011−155924A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21107(P2010−21107)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【特許番号】特許第4516158号(P4516158)
【特許公報発行日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(390013941)株式会社コバード (30)
【Fターム(参考)】