包装ケース封止構造
【課題】この発明は、包装ケースに収容された被収容物の向きが変位したり、ガタ付いたりするのを防止することができる包装ケース封止構造の提供を目的とする。
【解決手段】被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側壁部24と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込み、差込みフラップ21cに形成した突出部27を被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付ける。また、底蓋部21bの差込みフラップ21dに形成した突出部27も被収容物Aの下部外周面Aaに対し押し付けているので、被収容物Aの対向する前後外周面Aaに対し接触抵抗が同時に付与される。これにより、輸送中に生じる振動や衝撃が包装ケース20に収容された被収容物Aに付与されても、被収容物Aが周方向に回転するようなことがなく、被収容物Aの向きが変位したり、ガタ付いたりするのを防止することができる。
【解決手段】被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側壁部24と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込み、差込みフラップ21cに形成した突出部27を被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付ける。また、底蓋部21bの差込みフラップ21dに形成した突出部27も被収容物Aの下部外周面Aaに対し押し付けているので、被収容物Aの対向する前後外周面Aaに対し接触抵抗が同時に付与される。これにより、輸送中に生じる振動や衝撃が包装ケース20に収容された被収容物Aに付与されても、被収容物Aが周方向に回転するようなことがなく、被収容物Aの向きが変位したり、ガタ付いたりするのを防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば円筒状、円柱状等の上方から見て丸形状の被収容物を包装する際に用いられる包装ケース封止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の包装ケースは、被収容物の出し入れがスムースに行える大きさ及び形状に形成しているが、例えば円柱状の被収容物を収容した場合、包装ケースの内壁面と被収容物の外周面とが部分的に線接触しているだけであるので、輸送中に生じる振動や衝撃によって包装ケースに収容された被収容物が周方向に回転しやすく、被収容物の向きが変位するのを防止することができない。
【0003】
例えば円柱状の被収容物を、透明なプラスチックシートで形成された包装ケースに収容する場合、被収容物の商品価値を高めるため、被収容物の商品名が印刷された表示面と、包装ケースの商品名が印刷された正面とを一致させて収容する。しかし、被収容物を包装ケースに収容したまま店頭等に展示した際、被収容物の表示面と包装ケースの正面とが不一致になっていると、被収容物の商品価値を低下させることになる。
【0004】
したがって、被収容物を包装ケースに収容したまま展示する場合、被収容物を包装ケースから取り出して、被収容物の表示面と包装ケースの正面とが一致するように向き修正しなければならず、被収容物の向きを修正する作業に手間及び時間が掛かるだけでなく、被収容物を、収容時の向きに保ったまま輸送することができないという問題を有している。
【0005】
また、被収容物の回転を防止する方法として、例えば既に提案済みの包装体(特許文献1参照)には、一対の物品保持具の窓開き部に貼着された伸縮フィルムを被保持物品に密着させて拘束した後、被保持物品を一対の物品保持具で保持したまま、断面が矩形状の外装カートンに収容する構成が開示されている。
【0006】
しかし、被保持物品を一対の物品保持具で保持したまま外装カートンに収容するので、被収容物を包装する作業に手間及び時間が掛かるだけでなく、包装コストが高くなるという問題がある。また、被収容物を取り出す際、被保持物品が保持された一対の物品保持具を外装カートンから取り出した後、該各物品保持具による保持を解除して被収容物を取り出さなければならず、被保持物品を取り出す作業にも手間及び時間が掛かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−179413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、包装ケースに収容された被収容物の向きが変位したり、ガタ付いたりするのを防止することができる包装ケース封止構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、角筒状に組み立てられた包装ケースに被収容物を収容した後、包装ケースの両側壁部の上端及び下端に連設された左右の折込みフラップを内側へ折曲げて上下に重ね合せ、後側壁部の上端及び下端に連設された上下の蓋部を内側へ折曲げて各折込みフラップに重ね合せて、各蓋部の遊端側に連設された差込みフラップを前側壁部と各折込みフラップとの間に差し込んで封止する包装ケース封止構造において、前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する部分に、該被収容物の外周面に対し接触抵抗を付与する接触抵抗付与部を設けた包装ケース封止構造であることを特徴とする。
【0010】
上記構成により、蓋部に連設された差込みフラップを、前側壁部と折込みフラップとの隙間に差し込んだ際、差込みフラップの差込み側端部に設けられた接触抵抗付与部が、包装ケースに収容された被収容物の外周面に対し押し付けられる。また、接触抵抗付与部の押し付け力によって、接触抵抗付与部が押し付けられた部分と反対側の被収容物の外周面が包装ケースの内壁面に押し付けられる。この結果、被収容物の対向する外周面に対し接触抵抗が同時に付与されることになる。
【0011】
これにより、例えば輸送中において、包装ケースに収容された被収容物が周方向に回転しようとするのを防止することができる。
【0012】
この発明の態様として、前記接触抵抗付与部を、前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側平面部に形成され、前記被収容物の外周面に対し押し付けられる方向に突設した凸部で構成することができる。
上記構成によれば、蓋部に連設された差込みフラップを、前側壁部と折込みフラップとの隙間に差し込むことにより、差込みフラップに突設した凸部(例えば突出部)が被収容物の外周面に対し押し付けられる。
これにより、被包装物の外周面に対し凸部の接触抵抗が付与されるので、被収容物が回転するのを防止することができる。
【0013】
また、この発明の態様として、前記接触抵抗付与部を、前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側平面部に付設され、該被収容物の外周面に対し粘着される粘着体で構成することができる。
上記構成によれば、蓋部に連設された差込みフラップを、前側壁部と折込みフラップとの隙間に差し込むことにより、差込みフラップに付設した粘着体が被収容物の外周面に対し押し付けられる。
これにより、被包装物の外周面に対し粘着体の粘着力が付与されるので、被収容物が回転するのを防止することができる。
【0014】
また、この発明の態様として、前記接触抵抗付与部を、前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側平面部に形成され、該被収容物の外周面に対し押し付けられる方向に突設された複数の突起で構成することができる。
上記構成によれば、蓋部に連設された差込みフラップを、前側壁部と折込みフラップとの隙間に差し込むことにより、差込みフラップに設けた複数の突起が被収容物の外周面に対し押し付けられる。
これにより、被包装物の外周面に対し各突起の接触抵抗が付与されるので、被収容物が回転するのを防止することができる。
【0015】
また、この発明の態様として、前記接触抵抗付与部を、前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側端部に形成され、該被収容物の外周面と対向する方向へ折曲げ可能な折曲げ部で構成することができる。
上記構成によれば、蓋部に連設された差込みフラップを、前側壁部と折込みフラップとの隙間に差し込む際、差込みフラップの折曲げ部を被収容物の外周面と対向する方向へ折曲げてから差し込むことにより、差込みフラップの折曲げ部が被収容物の外周面に対し押し付けられる。
これにより、被包装物の外周面に対し折曲げ部の接触抵抗が付与されるので、被収容物が回転するのを防止することができる。
【0016】
また、この発明の態様として、前記前側壁部を、前記両側壁部の一方の壁部に連設された前側外壁部と、他方の壁部に連設された前側内壁部とを一体的に重ね合せて構成することができる。
上記構成によれば、前側外壁部と前側内壁部とを一体的に重ね合せているので、差込みフラップの接触抵抗付与部を被収容物の外周面に対し押し付けた際の反発力によって、前側外壁部及び前側内壁部が外側へ変形するのを防止することができる。これとは逆に、前側外壁部及び前側内壁部の復元力によって、差込みフラップの接触抵抗付与部が被収容物の外周面に対し強く押し付けられる。
これにより、被包装物の対向する前後外周面に対し接触抵抗が同時に付与されるので、被収容物が回転するのを積極的に防止することができる。
【0017】
前記被収容物は、例えば化粧品、文具、玩具、食品、或いは、飲み物が充填された容器等の上方から見て丸形状(円筒状、円柱状等)に形成された物品で構成することができる。
また、包装ケースは、例えば生分解性プラスチック、塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)等の透明、半透明、不透明に形成されたプラスチックシート、或いは、所望する表示内容が印刷されたプラスチックシート等で構成することができる。
また、粘着体は、例えば粘着剤、接着剤、両面粘着テープ等で構成することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、輸送中において、包装ケースに収容された被収容物が周方向に回転しようとするのを防止することができる。つまり、被収容物の向きが収容時とは異なる方向に変位したり、被収容物がガタ付いたりせず、収容時の向き及び位置を保ったまま輸送することができる。また、例えば被収容物を包装ケースに収容したまま展示する際、被収容物の向きを修正するような手間及び作業が省け、収容時の向き及び位置を保ったまま展示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態の突出部を備えた包装ケースを示す斜視図。
【図2】包装ケースの展開状態を示す平面図。
【図3】横長の突出部を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【図4】縦長の突出部を差込みフラップに形成した第2の実施形態を示す斜視図、突出部を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【図5】楔状の突出部を差込みフラップに形成した第3の実施形態を示す斜視図、突出部の断面形状を示す縦断側面図。
【図6】滑らかな曲面の突出部を差込みフラップに形成した第4の実施形態を示す斜視図、突出部を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【図7】粘着体を差込みフラップに塗布又は貼着した第5の実施形態を示す斜視図、粘着体を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【図8】ドット状の突起を差込みフラップに形成した第6の実施形態を示す斜視図、突起を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【図9】面状の粘着体を突出部に貼着した第7の実施形態を示す横断平面図、ドット状の粘着体を差込みフラップに複数配列した他の実施形態を示す斜視図。
【図10】折曲げ部を差込みフラップに形成した第8の実施形態を示す横断平面図、折曲げ部を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【図11】折曲げ片を差込みフラップに形成した第9の実施形態を示す横断平面図、折曲げ片を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は第1の実施形態の突出部27を備えた包装ケース20を示す斜視図、図2は包装ケース20の展開状態を示す平面図、図3は横長の突出部27を被収容物Aに押し付けた状態を示す横断平面図である。
【0021】
本実施形態の包装ケース封止構造は、包装ケース20の上面側開口部に連設された上蓋部21aの差込みフラップ21cと、下面側開口部に連設された底蓋部21bの差込みフラップ21dに形成された突出部27で構成している。
また、包装ケース封止構造の包装ケース20は、図2に示すように、正面から見て縦長矩形状に形成された後側壁部21と、後側壁部21の両側縁部に連設された右側壁部22と左側壁部23と、左側壁部23の遊端側縁部に連設された前側外壁部24と、右側壁部22の遊端側縁部に連設された前側内壁部25とで構成している。
【0022】
後側壁部21の上縁部には上蓋部21aを連設し、該後側壁部21の下縁部には底蓋部21bを連設している。また、上蓋部21aの遊端側縁部には差込みフラップ21cを連設し、底蓋部21bの遊端側縁部には差込みフラップ21dを連設している。
【0023】
右側壁部22の上下縁部には折込みフラップ22aをそれぞれ連設している。また、左側壁部23の上下縁部には折込みフラップ23aをそれぞれ連設している。
また、差込みフラップ21c,21dの基端側両側部には、折込みフラップ22a,23aを重ね合せてなる肉厚より幅広に切り欠いてなる切欠き部21eをそれぞれ形成している。
また、折込みフラップ22a,23aの連設側前縁部には、前側外壁部24の左右上端と左右下端に対し当接される当接部22b,23bをそれぞれ形成している。
【0024】
後面壁部21の両側縁部に沿って折り曲げられる右側壁部22及び左側壁部23の折曲げ部分と、右側壁部22の遊端側縁部に沿って折り曲げられる前側内壁部25の折曲げ部分と、左側壁部23の遊端側縁部に沿って折り曲げられる前側外壁部24の折曲げ部分には、後述する折曲げ罫線26を折曲げ部分に沿って形成している。
【0025】
また、右側壁部22の上下縁部に沿って折り曲げられる折込みフラップ22aの折曲げ部分と、左側壁部23の上下縁部に沿って折り曲げられる折込みフラップ23aの折曲げ部分と、上蓋部21aの遊端側縁部に沿って折り曲げられる差込みフラップ21cの折曲げ部分と、底蓋部21bの遊端側縁部に沿って折り曲げられる差込みフラップ21dの折曲げ部分にも、上述の折曲げ罫線26を折曲げ部分に沿って形成している。
【0026】
すなわち、上述の折曲げ罫線26を各折曲げ部分に形成することで、右側壁部22及び左側壁部23は正面方向(図1の手前側)に向けて折り曲げが許容される。また、前側外壁部24及び前側内壁部25は互いに重ね合わされる方向に向けて折り曲げが許容される。
【0027】
折込みフラップ22a,23aは包装ケース20の上面側開口部及び下面側開口部と対向する方向に折り曲げが許容される。また、差込みフラップ21c,21dは前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に対し差し込まれる方向に折曲げが許容される。
【0028】
上述の折曲げ罫線25を包装ケース20の各折曲げ部分に形成する場合、例えば包装ケース20を平面展開してなる大きさ及び形状に、約0.3mmの厚さを有する透明又は半透明のプラスチックシートを型抜きする際に形成する(図2参照)。
【0029】
折曲げ罫線25は、図示しない罫線刃により長手方向から見てV字状に1条形成しているが、各折曲げ部分に沿って複数条平行に形成してもよい。また、プラスチックシートを型抜きしてから形成してもよい。
【0030】
差込みフラップ21c,21dの差込み側平面部には、包装ケース20に収容された被収容物Aの外周面Aaと対向して横長の突出部27を形成している。
【0031】
突出部27は、差込みフラップ21c,21dの差込み側平面部に沿って幅方向に平行して形成するとともに、上下方向に間隔を隔てて2条形成している。
【0032】
また、突出部27は、包装ケース20に収容された被収容物Aの外周面Aaに対し押し付けられる高さに突出され、切欠き部21e,21e間の間隔(又は幅)より短尺に形成している。
なお、突出部27を、差込みフラップ21c,21dの横幅と同等長さに形成してもよい。また、突出部27を、例えば1条、2条以上等の所望する本数に変更してもよい。
【0033】
つまり、差込みフラップ21c,21dを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に対し上下方向からそれぞれ差し込む際、差込みフラップ21c,21dの突出部27を、包装ケース20に収容された被収容物Aの前側外周面Aaと対向して内側に向けて差し込む。
【0034】
上述のようにして差し込むことにより、差込みフラップ21c,21dの各突出部27は、包装ケース20に収容された被収容物Aの前側外周面Aaに対し正面側から押し付けられる。
【0035】
突出部27は、被収容物Aの前側外周面Aaに沿って押し付けられた際、該前側外周面Aaに沿って弧状に弾性変形するので、突出部27と前側外周面Aaとの接触面積が大きくなるだけでなく、その接触面積に対応して被収容物Aに付与される接触抵抗が大きくなる。
【0036】
上述した被収容物Aを、角筒状に組み立てられた包装ケース20に収容する包装ケース封止構造を説明する。
先ず、展開状態の包装ケース20の後側壁部21と、右側壁部22と、左側壁部23と、前側外壁部24と、前側内壁部25とを折曲げ罫線26に沿って内側へ折り曲げるとともに、前側外壁部24に対し前側内壁部25を内側から2重に重ね合せて図示しない接着剤で接着固定する。
これにより、包装ケース20を、下面側開口部及び上面側開口部が開口された角筒状に組み立てることができる。
【0037】
次に、右側壁部22の下側折込みフラップ22aと左側壁部23の下側折込みフラップ23aとを、包装ケース20の下面側開口部が閉塞される方向へ折り曲げて上下に重ね合せる。
【0038】
また、下側折込みフラップ22aの当接部22b,22bを前側壁部24の左右下端に当接する。さらに、下側折込みフラップ23aの当接部23b,23bを下から重ね合せて当接する。
これにより、折込みフラップ22a,23aが包装ケース20の内側へ押し込まれるのを防止することができる。
【0039】
次に、底蓋部21bを、包装ケース20の下面側開口部が閉塞される方向へ折り曲げて下側折込みフラップ22a,23aの下に重ね合せるとともに、底蓋部21bの差込みフラップ21dを前側壁部24と下側折込みフラップ22a,23aとの隙間に下方から差し込んで閉塞する。
これにより、包装ケース20を、下面側開口部が閉塞され、上面側開口部が開口された角筒状に組み立てることができる。
【0040】
次に、円柱状の被収容物Aを、角筒状に組み立てられた包装ケース20に対し該包装ケース20の上面側開口部から収容する。この後、右側壁部22の上側折込みフラップ22aと左側壁部23の上側折込みフラップ23aとを、包装ケース20の上面側開口部が閉塞される方向へ折り曲げて上下に重ね合せる。
【0041】
上側折込みフラップ22aの当接部22b,22bを前側壁部24の左右上端に当接する。さらに、上側折込みフラップ23aの当接部23b,23bを上から重ね合せて当接する。
【0042】
次に、上蓋部21aを、包装ケース20の上面側開口部が閉塞される方向へ折り曲げて上側折込みフラップ22a,23aの上に重ね合せるとともに、上蓋部21aの差込みフラップ21cを前側壁部24と上側折込みフラップ22a,23aとの隙間に上方から差し込んで閉塞する。これにより、包装ケース20による被収容物Aの包装が完了する。
【0043】
上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側壁部24と折込みフラップ22a,23aとの隙間に上方から差し込んだ際、差込みフラップ21cの差込み側平面部に形成した突出部27が、包装ケース20に収容された被収容物Aの前側外周面Aaに対し正面側から押し付けられる。
【0044】
また、底蓋部21bの差込みフラップ21dの差込み側平面部にも突出部27を形成しているので、被収容物Aを、上面側開口部が開口された角筒状の包装ケース20に収容した際、底蓋部21bの差込みフラップ21dに形成した突出部27が、被収容物Aの下部外周面Aaに対し正面側から押し付けられる。
【0045】
つまり、包装ケース20に収容された被収容物Aの上部外周面Aa及び下部外周面Aaに、上蓋部21aの差込みフラップ21cに形成した突出部27と、底蓋部21bの差込みフラップ21dに形成した突出部27とがそれぞれ押し付けられ、被収容物Aの対向する前後外周面Aaに対し接触抵抗が同時に付与される。
【0046】
被収容物Aに付与される接触抵抗が約2倍に増えるので、差込みフラップ21c,21dのいずれか一方に形成された突出部27を被収容物Aに押し付けるよりも、被収容物Aが回転しようとするのを積極的に防止することができる。また、輸送中において包装ケース20に収容された被収容物Aがガタ付くのを防止することができる。
【0047】
これにより、輸送中に生じる振動や衝撃が包装ケース20に収容された被収容物Aに付与されても、被収容物Aが周方向に回転するようなことがなく、被収容物Aの向きが変位するのを防止することができる。
【0048】
また、包装ケース20に収容される被収容物Aを、該被収容物Aの商品名が印刷された表示面と、包装ケース20の商品名が印刷された正面とを一致させて収容すれば、輸送中に生じる振動や衝撃が被収容物Aに付与されても向きが変位することがなく、収容時の向きを保ったまま輸送することができる。
【0049】
被収容物Aを包装ケース20に収容したまま展示する際、被収容物Aの向きを修正するような手間及び作業が省け、被収容物Aを収容時の向きに規制したまま展示することができる。
【0050】
また、前側外壁部24と前側内壁部25とを2枚重ね合せて接着固定しているので、差込みフラップ21cの突出部27を被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けた際の反発力によって、前側外壁部24及び前側内壁部25が外側へ変形するのを防止することができる。
【0051】
上述とは逆に、前側外壁部24及び前側内壁部25の復元力によって、突出部27が被収容物Aの前側外周面Aaに対し強く押し付けられるので、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを積極的に防止することができる。
また、差込みフラップ21c,21dの突出部27が被収容物Aの外周面Aaに押し付けられた際に付与される反力を利用して、上蓋部21a及び底蓋部21bが開放されるのを防止することができる。
【0052】
図4の(a)は、縦長の突出部28を差込みフラップ21cに形成した第2の実施形態を示す斜視図、同図の(b)は、突出部28を被収容物Aに押し付けた状態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、突出部28を、差込みフラップ21cの差込み側平面部に沿って縦方向に平行して形成するとともに、左右方向に間隔を隔てて2条形成している。また、突出部28は、差込みフラップ21cの上下高さより短尺に形成している。
【0053】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込むことにより、突出部28,28が被収容物Aの前側外周面Aaに対し周方向に間隔を隔てて押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
なお、突出部28を、差込みフラップ21cの上下高さと同等長さに形成してもよい。また、突出部28を、例えば1条、2条以上等の所望する本数に変更してもよい。
【0054】
図5の(c)は、楔状の突出部29を差込みフラップ21cに形成した第3の実施形態を示す斜視図、同図の(d)は、突出部29の突出形状を示す縦断側面図である。
本例の実施形態は、側面から見て楔状の突出部29を、差込みフラップ21cの差込み側平面部に沿って幅方向に形成するとともに、差込み側先端部から基端側連設部に向けて徐々に高くなる形状に形成している。
【0055】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込むことにより、突出部29が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられる。また、差込みフラップ21cを差し込む程、突出部29が被収容物Aの前側外周面Aaに対し強く押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0056】
図6の(e)は、滑らかな曲面を有する凹面形状の突出部30を差込みフラップ21cに形成した第4の実施形態を示す斜視図、同図の(f)は、突出部30を被収容物Aに押し付けた状態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、突出部30を、差込みフラップ21cの差込み側平面部に沿って幅方向に形成している。また、突出部30の前面は、両端部から中央部に向けて徐々に低くなる滑らかな曲面形状に形成している。
【0057】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込むことにより、突出部30が被収容物Aの前側外周面Aaに沿って押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、包装ケース20に収容された被収容物Aを定位置にホールドすることができる。
【0058】
図7の(g)は、粘着体31を差込みフラップ21cの差込み側平面部に貼着した第5の実施形態を示す斜視図、同図の(h)は、粘着体31を被収容物Aの前側外周面Aaに押し付けた状態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、粘着剤又は両面粘着テープで構成される粘着体31を、差込みフラップ21cの差込み側平面部に沿って幅方向(或いは縦方向)に貼着している。
【0059】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込むことにより、粘着体31が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられる。
これにより、被収容物Aの前側外周面Aaに対し付与される粘着体31の粘着力によって、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0060】
なお、粘着体31を貼着する代わりに、差込みフラップ21cの差込み側平面部に対し例えば接着剤、粘着剤等を塗布するか、両面粘着テープ等を貼着してもよい。
【0061】
図8の(i)は、ドット状の突起32を差込みフラップ21cの差込み側平面部に複数形成した第6の実施形態を示す斜視図、同図の(j)は、突起32を被収容物Aの前側外周面Aaに押し付けた状態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、ドット状の突起32を、差込みフラップ21cの差込み側平面部に沿って幅方向及び縦方向に対し等間隔を隔てて複数配列している。
【0062】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込むことにより、複数の突起32が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0063】
図9の(9X)は、面状の粘着体31を突出部27に貼着した第7の実施形態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、粘着体31を、差込みフラップ21cに形成された突出部26の押し付け面に沿って貼着している。
【0064】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込むことにより、差込みフラップ21cの突出部26に貼着した粘着体31が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
また、粘着体31を、前記実施形態の突出部28,29,30に貼着してもよい。
【0065】
同図9の(9Y)は、ドット状の粘着体31を差込みフラップ21cの差込み側平面部に対し複数配列した他の実施形態を示す斜視図である。
他の実施形態は、ドット状の粘着体31を、差込みフラップ21cの差込み側平面部に沿って幅方向及び縦方向に対し等間隔を隔てて複数配列している。
上述と同様に、差込みフラップ21cの差込み側平面部に配列したドット状の粘着体31が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0066】
図10の(k)は、折曲げ片33を差込みフラップ21cに形成した第8の実施形態を示す横断平面図、同図の(m)は、折曲げ片33を被収容物Aの前側外周面Aaに押し付けた状態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、弧状の折曲げ片33を、差込みフラップ21cの差込み側端部に対し折曲げ罫線26を介して形成している。
【0067】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込む際、折曲げ片33を被収容物Aの前側外周面Aaと対向する方向へ折曲げてから差し込むことにより、折曲げ片33が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0068】
図11の(n)は、折曲げ片34を差込みフラップ21cに形成した第9の実施形態を示す横断平面図、同図の(o)は、折曲げ片34を被収容物Aの前側外周面Aaに押し付けた状態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、矩形の折曲げ片34を、差込みフラップ21cの差込み側端部に対し折曲げ罫線26を介して形成している。また、折曲げ片34の弧状先端部は、被収容物Aの前側外周面Aaと対応して滑らかな曲面に形成している。
【0069】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込む際、折曲げ片34を被収容物Aの前側外周面Aaと対向する方向へ直角に折曲げてから差し込むことにより、折曲げ片34の弧状先端部が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0070】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の蓋部は、実施形態の上蓋部21a及び底蓋部21bに対応し、
以下同様に、
両側壁部は、右側壁部22と、左側壁部23に対応し、
接触抵抗付与部は、突出部27〜30と、粘着体31と、突起32と、折曲げ片33,34に対応し、
凸部は、突出部27〜30に対応し、
折曲げ部は、折曲げ片33,34に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
前記実施形態では、上蓋部21aの差込みフラップ21cに、突出部28〜30及び粘着体31、突起32、折曲げ片33,34を設けた例を説明したが、底蓋部21bの差込みフラップ21dに設けてもよい。
また、突出部27〜30及び粘着体31、突起32、折曲げ片33,34の複数を組み合わせてもよい。
【0071】
さらに、差込みフラップ21c,21dの差込み側平面部に、例えば梨地、網地、格子等の接触抵抗を付与するための凹凸或いは模様を形成してもよい。
【符号の説明】
【0072】
A…被収容物
Aa…外周面
20…包装ケース
21…後側壁部
21a…上蓋部
21b…底蓋部
22…右側壁部
23…左側壁部
21c,21d…差込みフラップ
22a,23a…折込みフラップ
24…前側外壁部
25…前側内壁部
26…折曲げ罫線
27,28,29,30…突出部
31…粘着体
32…突起
33,34…折曲げ片
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば円筒状、円柱状等の上方から見て丸形状の被収容物を包装する際に用いられる包装ケース封止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の包装ケースは、被収容物の出し入れがスムースに行える大きさ及び形状に形成しているが、例えば円柱状の被収容物を収容した場合、包装ケースの内壁面と被収容物の外周面とが部分的に線接触しているだけであるので、輸送中に生じる振動や衝撃によって包装ケースに収容された被収容物が周方向に回転しやすく、被収容物の向きが変位するのを防止することができない。
【0003】
例えば円柱状の被収容物を、透明なプラスチックシートで形成された包装ケースに収容する場合、被収容物の商品価値を高めるため、被収容物の商品名が印刷された表示面と、包装ケースの商品名が印刷された正面とを一致させて収容する。しかし、被収容物を包装ケースに収容したまま店頭等に展示した際、被収容物の表示面と包装ケースの正面とが不一致になっていると、被収容物の商品価値を低下させることになる。
【0004】
したがって、被収容物を包装ケースに収容したまま展示する場合、被収容物を包装ケースから取り出して、被収容物の表示面と包装ケースの正面とが一致するように向き修正しなければならず、被収容物の向きを修正する作業に手間及び時間が掛かるだけでなく、被収容物を、収容時の向きに保ったまま輸送することができないという問題を有している。
【0005】
また、被収容物の回転を防止する方法として、例えば既に提案済みの包装体(特許文献1参照)には、一対の物品保持具の窓開き部に貼着された伸縮フィルムを被保持物品に密着させて拘束した後、被保持物品を一対の物品保持具で保持したまま、断面が矩形状の外装カートンに収容する構成が開示されている。
【0006】
しかし、被保持物品を一対の物品保持具で保持したまま外装カートンに収容するので、被収容物を包装する作業に手間及び時間が掛かるだけでなく、包装コストが高くなるという問題がある。また、被収容物を取り出す際、被保持物品が保持された一対の物品保持具を外装カートンから取り出した後、該各物品保持具による保持を解除して被収容物を取り出さなければならず、被保持物品を取り出す作業にも手間及び時間が掛かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−179413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、包装ケースに収容された被収容物の向きが変位したり、ガタ付いたりするのを防止することができる包装ケース封止構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、角筒状に組み立てられた包装ケースに被収容物を収容した後、包装ケースの両側壁部の上端及び下端に連設された左右の折込みフラップを内側へ折曲げて上下に重ね合せ、後側壁部の上端及び下端に連設された上下の蓋部を内側へ折曲げて各折込みフラップに重ね合せて、各蓋部の遊端側に連設された差込みフラップを前側壁部と各折込みフラップとの間に差し込んで封止する包装ケース封止構造において、前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する部分に、該被収容物の外周面に対し接触抵抗を付与する接触抵抗付与部を設けた包装ケース封止構造であることを特徴とする。
【0010】
上記構成により、蓋部に連設された差込みフラップを、前側壁部と折込みフラップとの隙間に差し込んだ際、差込みフラップの差込み側端部に設けられた接触抵抗付与部が、包装ケースに収容された被収容物の外周面に対し押し付けられる。また、接触抵抗付与部の押し付け力によって、接触抵抗付与部が押し付けられた部分と反対側の被収容物の外周面が包装ケースの内壁面に押し付けられる。この結果、被収容物の対向する外周面に対し接触抵抗が同時に付与されることになる。
【0011】
これにより、例えば輸送中において、包装ケースに収容された被収容物が周方向に回転しようとするのを防止することができる。
【0012】
この発明の態様として、前記接触抵抗付与部を、前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側平面部に形成され、前記被収容物の外周面に対し押し付けられる方向に突設した凸部で構成することができる。
上記構成によれば、蓋部に連設された差込みフラップを、前側壁部と折込みフラップとの隙間に差し込むことにより、差込みフラップに突設した凸部(例えば突出部)が被収容物の外周面に対し押し付けられる。
これにより、被包装物の外周面に対し凸部の接触抵抗が付与されるので、被収容物が回転するのを防止することができる。
【0013】
また、この発明の態様として、前記接触抵抗付与部を、前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側平面部に付設され、該被収容物の外周面に対し粘着される粘着体で構成することができる。
上記構成によれば、蓋部に連設された差込みフラップを、前側壁部と折込みフラップとの隙間に差し込むことにより、差込みフラップに付設した粘着体が被収容物の外周面に対し押し付けられる。
これにより、被包装物の外周面に対し粘着体の粘着力が付与されるので、被収容物が回転するのを防止することができる。
【0014】
また、この発明の態様として、前記接触抵抗付与部を、前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側平面部に形成され、該被収容物の外周面に対し押し付けられる方向に突設された複数の突起で構成することができる。
上記構成によれば、蓋部に連設された差込みフラップを、前側壁部と折込みフラップとの隙間に差し込むことにより、差込みフラップに設けた複数の突起が被収容物の外周面に対し押し付けられる。
これにより、被包装物の外周面に対し各突起の接触抵抗が付与されるので、被収容物が回転するのを防止することができる。
【0015】
また、この発明の態様として、前記接触抵抗付与部を、前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側端部に形成され、該被収容物の外周面と対向する方向へ折曲げ可能な折曲げ部で構成することができる。
上記構成によれば、蓋部に連設された差込みフラップを、前側壁部と折込みフラップとの隙間に差し込む際、差込みフラップの折曲げ部を被収容物の外周面と対向する方向へ折曲げてから差し込むことにより、差込みフラップの折曲げ部が被収容物の外周面に対し押し付けられる。
これにより、被包装物の外周面に対し折曲げ部の接触抵抗が付与されるので、被収容物が回転するのを防止することができる。
【0016】
また、この発明の態様として、前記前側壁部を、前記両側壁部の一方の壁部に連設された前側外壁部と、他方の壁部に連設された前側内壁部とを一体的に重ね合せて構成することができる。
上記構成によれば、前側外壁部と前側内壁部とを一体的に重ね合せているので、差込みフラップの接触抵抗付与部を被収容物の外周面に対し押し付けた際の反発力によって、前側外壁部及び前側内壁部が外側へ変形するのを防止することができる。これとは逆に、前側外壁部及び前側内壁部の復元力によって、差込みフラップの接触抵抗付与部が被収容物の外周面に対し強く押し付けられる。
これにより、被包装物の対向する前後外周面に対し接触抵抗が同時に付与されるので、被収容物が回転するのを積極的に防止することができる。
【0017】
前記被収容物は、例えば化粧品、文具、玩具、食品、或いは、飲み物が充填された容器等の上方から見て丸形状(円筒状、円柱状等)に形成された物品で構成することができる。
また、包装ケースは、例えば生分解性プラスチック、塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)等の透明、半透明、不透明に形成されたプラスチックシート、或いは、所望する表示内容が印刷されたプラスチックシート等で構成することができる。
また、粘着体は、例えば粘着剤、接着剤、両面粘着テープ等で構成することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、輸送中において、包装ケースに収容された被収容物が周方向に回転しようとするのを防止することができる。つまり、被収容物の向きが収容時とは異なる方向に変位したり、被収容物がガタ付いたりせず、収容時の向き及び位置を保ったまま輸送することができる。また、例えば被収容物を包装ケースに収容したまま展示する際、被収容物の向きを修正するような手間及び作業が省け、収容時の向き及び位置を保ったまま展示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態の突出部を備えた包装ケースを示す斜視図。
【図2】包装ケースの展開状態を示す平面図。
【図3】横長の突出部を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【図4】縦長の突出部を差込みフラップに形成した第2の実施形態を示す斜視図、突出部を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【図5】楔状の突出部を差込みフラップに形成した第3の実施形態を示す斜視図、突出部の断面形状を示す縦断側面図。
【図6】滑らかな曲面の突出部を差込みフラップに形成した第4の実施形態を示す斜視図、突出部を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【図7】粘着体を差込みフラップに塗布又は貼着した第5の実施形態を示す斜視図、粘着体を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【図8】ドット状の突起を差込みフラップに形成した第6の実施形態を示す斜視図、突起を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【図9】面状の粘着体を突出部に貼着した第7の実施形態を示す横断平面図、ドット状の粘着体を差込みフラップに複数配列した他の実施形態を示す斜視図。
【図10】折曲げ部を差込みフラップに形成した第8の実施形態を示す横断平面図、折曲げ部を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【図11】折曲げ片を差込みフラップに形成した第9の実施形態を示す横断平面図、折曲げ片を被収容物に押し付けた状態を示す横断平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は第1の実施形態の突出部27を備えた包装ケース20を示す斜視図、図2は包装ケース20の展開状態を示す平面図、図3は横長の突出部27を被収容物Aに押し付けた状態を示す横断平面図である。
【0021】
本実施形態の包装ケース封止構造は、包装ケース20の上面側開口部に連設された上蓋部21aの差込みフラップ21cと、下面側開口部に連設された底蓋部21bの差込みフラップ21dに形成された突出部27で構成している。
また、包装ケース封止構造の包装ケース20は、図2に示すように、正面から見て縦長矩形状に形成された後側壁部21と、後側壁部21の両側縁部に連設された右側壁部22と左側壁部23と、左側壁部23の遊端側縁部に連設された前側外壁部24と、右側壁部22の遊端側縁部に連設された前側内壁部25とで構成している。
【0022】
後側壁部21の上縁部には上蓋部21aを連設し、該後側壁部21の下縁部には底蓋部21bを連設している。また、上蓋部21aの遊端側縁部には差込みフラップ21cを連設し、底蓋部21bの遊端側縁部には差込みフラップ21dを連設している。
【0023】
右側壁部22の上下縁部には折込みフラップ22aをそれぞれ連設している。また、左側壁部23の上下縁部には折込みフラップ23aをそれぞれ連設している。
また、差込みフラップ21c,21dの基端側両側部には、折込みフラップ22a,23aを重ね合せてなる肉厚より幅広に切り欠いてなる切欠き部21eをそれぞれ形成している。
また、折込みフラップ22a,23aの連設側前縁部には、前側外壁部24の左右上端と左右下端に対し当接される当接部22b,23bをそれぞれ形成している。
【0024】
後面壁部21の両側縁部に沿って折り曲げられる右側壁部22及び左側壁部23の折曲げ部分と、右側壁部22の遊端側縁部に沿って折り曲げられる前側内壁部25の折曲げ部分と、左側壁部23の遊端側縁部に沿って折り曲げられる前側外壁部24の折曲げ部分には、後述する折曲げ罫線26を折曲げ部分に沿って形成している。
【0025】
また、右側壁部22の上下縁部に沿って折り曲げられる折込みフラップ22aの折曲げ部分と、左側壁部23の上下縁部に沿って折り曲げられる折込みフラップ23aの折曲げ部分と、上蓋部21aの遊端側縁部に沿って折り曲げられる差込みフラップ21cの折曲げ部分と、底蓋部21bの遊端側縁部に沿って折り曲げられる差込みフラップ21dの折曲げ部分にも、上述の折曲げ罫線26を折曲げ部分に沿って形成している。
【0026】
すなわち、上述の折曲げ罫線26を各折曲げ部分に形成することで、右側壁部22及び左側壁部23は正面方向(図1の手前側)に向けて折り曲げが許容される。また、前側外壁部24及び前側内壁部25は互いに重ね合わされる方向に向けて折り曲げが許容される。
【0027】
折込みフラップ22a,23aは包装ケース20の上面側開口部及び下面側開口部と対向する方向に折り曲げが許容される。また、差込みフラップ21c,21dは前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に対し差し込まれる方向に折曲げが許容される。
【0028】
上述の折曲げ罫線25を包装ケース20の各折曲げ部分に形成する場合、例えば包装ケース20を平面展開してなる大きさ及び形状に、約0.3mmの厚さを有する透明又は半透明のプラスチックシートを型抜きする際に形成する(図2参照)。
【0029】
折曲げ罫線25は、図示しない罫線刃により長手方向から見てV字状に1条形成しているが、各折曲げ部分に沿って複数条平行に形成してもよい。また、プラスチックシートを型抜きしてから形成してもよい。
【0030】
差込みフラップ21c,21dの差込み側平面部には、包装ケース20に収容された被収容物Aの外周面Aaと対向して横長の突出部27を形成している。
【0031】
突出部27は、差込みフラップ21c,21dの差込み側平面部に沿って幅方向に平行して形成するとともに、上下方向に間隔を隔てて2条形成している。
【0032】
また、突出部27は、包装ケース20に収容された被収容物Aの外周面Aaに対し押し付けられる高さに突出され、切欠き部21e,21e間の間隔(又は幅)より短尺に形成している。
なお、突出部27を、差込みフラップ21c,21dの横幅と同等長さに形成してもよい。また、突出部27を、例えば1条、2条以上等の所望する本数に変更してもよい。
【0033】
つまり、差込みフラップ21c,21dを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に対し上下方向からそれぞれ差し込む際、差込みフラップ21c,21dの突出部27を、包装ケース20に収容された被収容物Aの前側外周面Aaと対向して内側に向けて差し込む。
【0034】
上述のようにして差し込むことにより、差込みフラップ21c,21dの各突出部27は、包装ケース20に収容された被収容物Aの前側外周面Aaに対し正面側から押し付けられる。
【0035】
突出部27は、被収容物Aの前側外周面Aaに沿って押し付けられた際、該前側外周面Aaに沿って弧状に弾性変形するので、突出部27と前側外周面Aaとの接触面積が大きくなるだけでなく、その接触面積に対応して被収容物Aに付与される接触抵抗が大きくなる。
【0036】
上述した被収容物Aを、角筒状に組み立てられた包装ケース20に収容する包装ケース封止構造を説明する。
先ず、展開状態の包装ケース20の後側壁部21と、右側壁部22と、左側壁部23と、前側外壁部24と、前側内壁部25とを折曲げ罫線26に沿って内側へ折り曲げるとともに、前側外壁部24に対し前側内壁部25を内側から2重に重ね合せて図示しない接着剤で接着固定する。
これにより、包装ケース20を、下面側開口部及び上面側開口部が開口された角筒状に組み立てることができる。
【0037】
次に、右側壁部22の下側折込みフラップ22aと左側壁部23の下側折込みフラップ23aとを、包装ケース20の下面側開口部が閉塞される方向へ折り曲げて上下に重ね合せる。
【0038】
また、下側折込みフラップ22aの当接部22b,22bを前側壁部24の左右下端に当接する。さらに、下側折込みフラップ23aの当接部23b,23bを下から重ね合せて当接する。
これにより、折込みフラップ22a,23aが包装ケース20の内側へ押し込まれるのを防止することができる。
【0039】
次に、底蓋部21bを、包装ケース20の下面側開口部が閉塞される方向へ折り曲げて下側折込みフラップ22a,23aの下に重ね合せるとともに、底蓋部21bの差込みフラップ21dを前側壁部24と下側折込みフラップ22a,23aとの隙間に下方から差し込んで閉塞する。
これにより、包装ケース20を、下面側開口部が閉塞され、上面側開口部が開口された角筒状に組み立てることができる。
【0040】
次に、円柱状の被収容物Aを、角筒状に組み立てられた包装ケース20に対し該包装ケース20の上面側開口部から収容する。この後、右側壁部22の上側折込みフラップ22aと左側壁部23の上側折込みフラップ23aとを、包装ケース20の上面側開口部が閉塞される方向へ折り曲げて上下に重ね合せる。
【0041】
上側折込みフラップ22aの当接部22b,22bを前側壁部24の左右上端に当接する。さらに、上側折込みフラップ23aの当接部23b,23bを上から重ね合せて当接する。
【0042】
次に、上蓋部21aを、包装ケース20の上面側開口部が閉塞される方向へ折り曲げて上側折込みフラップ22a,23aの上に重ね合せるとともに、上蓋部21aの差込みフラップ21cを前側壁部24と上側折込みフラップ22a,23aとの隙間に上方から差し込んで閉塞する。これにより、包装ケース20による被収容物Aの包装が完了する。
【0043】
上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側壁部24と折込みフラップ22a,23aとの隙間に上方から差し込んだ際、差込みフラップ21cの差込み側平面部に形成した突出部27が、包装ケース20に収容された被収容物Aの前側外周面Aaに対し正面側から押し付けられる。
【0044】
また、底蓋部21bの差込みフラップ21dの差込み側平面部にも突出部27を形成しているので、被収容物Aを、上面側開口部が開口された角筒状の包装ケース20に収容した際、底蓋部21bの差込みフラップ21dに形成した突出部27が、被収容物Aの下部外周面Aaに対し正面側から押し付けられる。
【0045】
つまり、包装ケース20に収容された被収容物Aの上部外周面Aa及び下部外周面Aaに、上蓋部21aの差込みフラップ21cに形成した突出部27と、底蓋部21bの差込みフラップ21dに形成した突出部27とがそれぞれ押し付けられ、被収容物Aの対向する前後外周面Aaに対し接触抵抗が同時に付与される。
【0046】
被収容物Aに付与される接触抵抗が約2倍に増えるので、差込みフラップ21c,21dのいずれか一方に形成された突出部27を被収容物Aに押し付けるよりも、被収容物Aが回転しようとするのを積極的に防止することができる。また、輸送中において包装ケース20に収容された被収容物Aがガタ付くのを防止することができる。
【0047】
これにより、輸送中に生じる振動や衝撃が包装ケース20に収容された被収容物Aに付与されても、被収容物Aが周方向に回転するようなことがなく、被収容物Aの向きが変位するのを防止することができる。
【0048】
また、包装ケース20に収容される被収容物Aを、該被収容物Aの商品名が印刷された表示面と、包装ケース20の商品名が印刷された正面とを一致させて収容すれば、輸送中に生じる振動や衝撃が被収容物Aに付与されても向きが変位することがなく、収容時の向きを保ったまま輸送することができる。
【0049】
被収容物Aを包装ケース20に収容したまま展示する際、被収容物Aの向きを修正するような手間及び作業が省け、被収容物Aを収容時の向きに規制したまま展示することができる。
【0050】
また、前側外壁部24と前側内壁部25とを2枚重ね合せて接着固定しているので、差込みフラップ21cの突出部27を被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けた際の反発力によって、前側外壁部24及び前側内壁部25が外側へ変形するのを防止することができる。
【0051】
上述とは逆に、前側外壁部24及び前側内壁部25の復元力によって、突出部27が被収容物Aの前側外周面Aaに対し強く押し付けられるので、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを積極的に防止することができる。
また、差込みフラップ21c,21dの突出部27が被収容物Aの外周面Aaに押し付けられた際に付与される反力を利用して、上蓋部21a及び底蓋部21bが開放されるのを防止することができる。
【0052】
図4の(a)は、縦長の突出部28を差込みフラップ21cに形成した第2の実施形態を示す斜視図、同図の(b)は、突出部28を被収容物Aに押し付けた状態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、突出部28を、差込みフラップ21cの差込み側平面部に沿って縦方向に平行して形成するとともに、左右方向に間隔を隔てて2条形成している。また、突出部28は、差込みフラップ21cの上下高さより短尺に形成している。
【0053】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込むことにより、突出部28,28が被収容物Aの前側外周面Aaに対し周方向に間隔を隔てて押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
なお、突出部28を、差込みフラップ21cの上下高さと同等長さに形成してもよい。また、突出部28を、例えば1条、2条以上等の所望する本数に変更してもよい。
【0054】
図5の(c)は、楔状の突出部29を差込みフラップ21cに形成した第3の実施形態を示す斜視図、同図の(d)は、突出部29の突出形状を示す縦断側面図である。
本例の実施形態は、側面から見て楔状の突出部29を、差込みフラップ21cの差込み側平面部に沿って幅方向に形成するとともに、差込み側先端部から基端側連設部に向けて徐々に高くなる形状に形成している。
【0055】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込むことにより、突出部29が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられる。また、差込みフラップ21cを差し込む程、突出部29が被収容物Aの前側外周面Aaに対し強く押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0056】
図6の(e)は、滑らかな曲面を有する凹面形状の突出部30を差込みフラップ21cに形成した第4の実施形態を示す斜視図、同図の(f)は、突出部30を被収容物Aに押し付けた状態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、突出部30を、差込みフラップ21cの差込み側平面部に沿って幅方向に形成している。また、突出部30の前面は、両端部から中央部に向けて徐々に低くなる滑らかな曲面形状に形成している。
【0057】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込むことにより、突出部30が被収容物Aの前側外周面Aaに沿って押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、包装ケース20に収容された被収容物Aを定位置にホールドすることができる。
【0058】
図7の(g)は、粘着体31を差込みフラップ21cの差込み側平面部に貼着した第5の実施形態を示す斜視図、同図の(h)は、粘着体31を被収容物Aの前側外周面Aaに押し付けた状態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、粘着剤又は両面粘着テープで構成される粘着体31を、差込みフラップ21cの差込み側平面部に沿って幅方向(或いは縦方向)に貼着している。
【0059】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込むことにより、粘着体31が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられる。
これにより、被収容物Aの前側外周面Aaに対し付与される粘着体31の粘着力によって、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0060】
なお、粘着体31を貼着する代わりに、差込みフラップ21cの差込み側平面部に対し例えば接着剤、粘着剤等を塗布するか、両面粘着テープ等を貼着してもよい。
【0061】
図8の(i)は、ドット状の突起32を差込みフラップ21cの差込み側平面部に複数形成した第6の実施形態を示す斜視図、同図の(j)は、突起32を被収容物Aの前側外周面Aaに押し付けた状態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、ドット状の突起32を、差込みフラップ21cの差込み側平面部に沿って幅方向及び縦方向に対し等間隔を隔てて複数配列している。
【0062】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込むことにより、複数の突起32が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0063】
図9の(9X)は、面状の粘着体31を突出部27に貼着した第7の実施形態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、粘着体31を、差込みフラップ21cに形成された突出部26の押し付け面に沿って貼着している。
【0064】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込むことにより、差込みフラップ21cの突出部26に貼着した粘着体31が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
また、粘着体31を、前記実施形態の突出部28,29,30に貼着してもよい。
【0065】
同図9の(9Y)は、ドット状の粘着体31を差込みフラップ21cの差込み側平面部に対し複数配列した他の実施形態を示す斜視図である。
他の実施形態は、ドット状の粘着体31を、差込みフラップ21cの差込み側平面部に沿って幅方向及び縦方向に対し等間隔を隔てて複数配列している。
上述と同様に、差込みフラップ21cの差込み側平面部に配列したドット状の粘着体31が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0066】
図10の(k)は、折曲げ片33を差込みフラップ21cに形成した第8の実施形態を示す横断平面図、同図の(m)は、折曲げ片33を被収容物Aの前側外周面Aaに押し付けた状態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、弧状の折曲げ片33を、差込みフラップ21cの差込み側端部に対し折曲げ罫線26を介して形成している。
【0067】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込む際、折曲げ片33を被収容物Aの前側外周面Aaと対向する方向へ折曲げてから差し込むことにより、折曲げ片33が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0068】
図11の(n)は、折曲げ片34を差込みフラップ21cに形成した第9の実施形態を示す横断平面図、同図の(o)は、折曲げ片34を被収容物Aの前側外周面Aaに押し付けた状態を示す横断平面図である。
本例の実施形態は、矩形の折曲げ片34を、差込みフラップ21cの差込み側端部に対し折曲げ罫線26を介して形成している。また、折曲げ片34の弧状先端部は、被収容物Aの前側外周面Aaと対応して滑らかな曲面に形成している。
【0069】
つまり、被収容物Aを包装ケース20に収容した後、上蓋部21aの差込みフラップ21cを、前側内壁部25と折込みフラップ22a,23aとの隙間に差し込む際、折曲げ片34を被収容物Aの前側外周面Aaと対向する方向へ直角に折曲げてから差し込むことにより、折曲げ片34の弧状先端部が被収容物Aの前側外周面Aaに対し押し付けられる。
これにより、被収容物Aが回転したり、ガタ付いたりするのを防止することができるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0070】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の蓋部は、実施形態の上蓋部21a及び底蓋部21bに対応し、
以下同様に、
両側壁部は、右側壁部22と、左側壁部23に対応し、
接触抵抗付与部は、突出部27〜30と、粘着体31と、突起32と、折曲げ片33,34に対応し、
凸部は、突出部27〜30に対応し、
折曲げ部は、折曲げ片33,34に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
前記実施形態では、上蓋部21aの差込みフラップ21cに、突出部28〜30及び粘着体31、突起32、折曲げ片33,34を設けた例を説明したが、底蓋部21bの差込みフラップ21dに設けてもよい。
また、突出部27〜30及び粘着体31、突起32、折曲げ片33,34の複数を組み合わせてもよい。
【0071】
さらに、差込みフラップ21c,21dの差込み側平面部に、例えば梨地、網地、格子等の接触抵抗を付与するための凹凸或いは模様を形成してもよい。
【符号の説明】
【0072】
A…被収容物
Aa…外周面
20…包装ケース
21…後側壁部
21a…上蓋部
21b…底蓋部
22…右側壁部
23…左側壁部
21c,21d…差込みフラップ
22a,23a…折込みフラップ
24…前側外壁部
25…前側内壁部
26…折曲げ罫線
27,28,29,30…突出部
31…粘着体
32…突起
33,34…折曲げ片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒状に組み立てられた包装ケースに被収容物を収容した後、包装ケースの両側壁部の上端及び下端に連設された左右の折込みフラップを内側へ折曲げて上下に重ね合せ、後側壁部の上端及び下端に連設された上下の蓋部を内側へ折曲げて各折込みフラップに重ね合せて、各蓋部の遊端側に連設された差込みフラップを前側壁部と各折込みフラップとの間に差し込んで封止する包装ケース封止構造において、
前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する部分に、該被収容物の外周面に対し接触抵抗を付与する接触抵抗付与部を設けた
包装ケース封止構造。
【請求項2】
前記接触抵抗付与部を、
前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側平面部に形成され、前記被収容物の外周面に対し押し付けられる方向に突設した凸部で構成した
請求項1に記載の包装ケース封止構造。
【請求項3】
前記接触抵抗付与部を、
前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側平面部に付設され、該被収容物の外周面に対し粘着される粘着体で構成した
請求項1に記載の包装ケース封止構造。
【請求項4】
前記接触抵抗付与部を、
前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側平面部に形成され、該被収容物の外周面に対し押し付けられる方向に突設された複数の突起で構成した
請求項1に記載の包装ケース封止構造。
【請求項5】
前記接触抵抗付与部を、
前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側端部に形成され、該被収容物の外周面と対向する方向へ折曲げ可能な折曲げ部で構成した
請求項1に記載の包装ケース封止構造。
【請求項6】
前記前側壁部を、前記両側壁部の一方の壁部に連設された前側外壁部と、他方の壁部に連設された前側内壁部とを一体的に重ね合せて構成した
請求項1〜5のいずれか一つに記載の包装ケース封止構造。
【請求項1】
角筒状に組み立てられた包装ケースに被収容物を収容した後、包装ケースの両側壁部の上端及び下端に連設された左右の折込みフラップを内側へ折曲げて上下に重ね合せ、後側壁部の上端及び下端に連設された上下の蓋部を内側へ折曲げて各折込みフラップに重ね合せて、各蓋部の遊端側に連設された差込みフラップを前側壁部と各折込みフラップとの間に差し込んで封止する包装ケース封止構造において、
前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する部分に、該被収容物の外周面に対し接触抵抗を付与する接触抵抗付与部を設けた
包装ケース封止構造。
【請求項2】
前記接触抵抗付与部を、
前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側平面部に形成され、前記被収容物の外周面に対し押し付けられる方向に突設した凸部で構成した
請求項1に記載の包装ケース封止構造。
【請求項3】
前記接触抵抗付与部を、
前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側平面部に付設され、該被収容物の外周面に対し粘着される粘着体で構成した
請求項1に記載の包装ケース封止構造。
【請求項4】
前記接触抵抗付与部を、
前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側平面部に形成され、該被収容物の外周面に対し押し付けられる方向に突設された複数の突起で構成した
請求項1に記載の包装ケース封止構造。
【請求項5】
前記接触抵抗付与部を、
前記差込みフラップの前記被収容物の外周面と対向する差込み側端部に形成され、該被収容物の外周面と対向する方向へ折曲げ可能な折曲げ部で構成した
請求項1に記載の包装ケース封止構造。
【請求項6】
前記前側壁部を、前記両側壁部の一方の壁部に連設された前側外壁部と、他方の壁部に連設された前側内壁部とを一体的に重ね合せて構成した
請求項1〜5のいずれか一つに記載の包装ケース封止構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−12044(P2012−12044A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148285(P2010−148285)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(504069901)株式会社開伸 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(504069901)株式会社開伸 (7)
【Fターム(参考)】
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