説明

包装体のガス抜き用弁およびその製造方法

【課題】包装体の内部の過剰なガスを放出するためのガス抜き用弁に関し、弁としての確実なシール機能を確保しながら、低い内部圧でも弁が開口し、貼付直前にオイルを塗布しなければならない煩雑さがなく、簡便で材料使用量を節約できる、省資源および環境への負荷の低減を可能なガス抜き用弁およびその製造方法を提供する。
【解決手段】プラスチックシートに、外周及び内周の両方に液溜りを有する平坦部を底面に有する凹部を連続して成形し、中央部に空気孔を穿孔した後、シール機能を有する液体を平坦部上に塗布し、凹部の形状に合せて打抜いた弁フィルムを液体を塗布した平坦部と空気孔とを覆うように積層する。次いで凹部の外周を包装袋に貼付するためのフランジ部を残して打抜く。ガス抜き用弁は連続したテープ状で充填包装機へ供給し切り離されて、包装体に溶着もしくは粘着剤によって貼付される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装体に貼付し、包装体内部のガスを逃がすことによって過剰な内圧を抑止するためのガス抜き用弁に関する。
【背景技術】
【0002】
〔従来技術とその問題点〕
保存中に発生するガスに起因して包装体内部の圧力が過剰に上昇する内容品、例えば焙煎したコーヒー豆、農薬、味噌などの包装体や、弁当や惣菜などの加熱調理を受ける包装袋あるいは包装容器には、従来からガス抜き機構を持った弁ラベルが提案されている。
【0003】
例えば、特開昭56−32244には、粘着剤層を設け剥離ライナーで被覆した基板シートに、弁フィルム、カバーフィルム、補強シートをそれぞれ粘着剤を用いて積層した後、円形あるいは矩形にハーフカットした弁ラベルが提案されている。この弁ラベルを粘着剤により外面に貼付した包装袋内の空気の圧力が上昇すると、弁を構成している基板と弁フィルムで囲まれた間隙が開口し、袋内の空気が袋の穿孔と連通する弁ラベル基板の空気孔を通り外部へ排出される機構になっていて、空気の放出後はこの間隙に介在するシリコーンオイルによって外部からの空気を遮断することが出来るので、弁機能が得られる。
【0004】
しかしながら、この方法による弁ラベルは、基板と弁フィルムの間隙からシリコーンオイルが滲みだして粘着性を損なうことがあり包装袋に貼付しにくくなる場合があるため、弁ラベルの購入者が貼付直前にオイルを塗布しなければならない煩雑さがある。また、塗布したオイルが滲み出して貼付するまでの間に粘着面を汚さないようにオイル量を少なく抑えるので、基板と弁フィルム間のオイルによる表面張力が高くなりがちで、弁の開口する圧力(開放圧という)が高くなる欠点がある。
【0005】
この欠点の解決策として、射出成形した凹部に、フィルムまたはシートをシリコーンオイルを介在させて挿入して弁機能を持たせ、その外周を包装フィルムの内面に熱溶着して用いるガス抜き用弁が知られている。しかし、射出成形では、薄肉の成形に限度があるため、部品の肉厚が厚くなり材料使用量が多くなるとともに、冷却に時間を要するため、生産性が悪く価格が割高になるなどの欠点がある。また、厚みが約4mmと厚いため突起が問題となり、包装体の外面に貼付する場合には使用されていない。
【0006】
本発明者はこれらの問題点の解決策として、プラスチックフィルムあるいはシートに熱成形することにより材料使用量が少なくて済む弁ラベルを特開2006−298410に提供したが、本発明はさらに簡略化して基材フィルムを省き、加えて包装体の内面、外面のいづれにも貼付して使用できるように改良したしたものである。
【特許文献1】特開昭56−32244
【特許文献2】特開2006−298410
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、弁としての確実なシール機能を確保しながら、低い内部圧でも弁が開口し、弁の購入者が貼付直前にオイルを塗布しなければならない煩雑さがなく、簡便で材料使用量を節約できる、包装体のガス抜き用弁およびその製造方法を提供し、省資源および環境への負荷の低減に寄与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、プラスチックシートに成形した凹部の底面に、外周及び内周の両方に液溜りを有する平坦部と空気孔とを設け、シール機能を有する液体を平坦部上に塗布し、この上から弁フィルムを平坦部と空気孔を覆うように積層し、凹部外周のフランジ部で包装体に固着可能に形成した、ガス抜き用弁を提供するものである。
【0009】
さらに、外周及び内周の両方に液溜りを有する平坦部を底面に有する凹部を、プラスチックシートに一定間隔で連続して成形する工程と、空気孔を穿孔する工程と、シール機能を有する液体を平坦部上に塗布する工程と、凹部の形状に合せて打抜いた弁フィルムを液体を塗布した平坦部と空気孔とを覆うように積層する工程と、凹部の外周を包装体に固着するためのフランジ部を残して打抜く工程とからなる、ガス抜き用弁の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、薄肉のプラスチックシートを用いて、凹部の成形と空気孔の穿孔、液の塗布および弁フィルムの積層の各工程を連続して行なうことが出来るので、射出成形で製造する場合に比べて生産性が高く、材料使用量が節約できる。また、シール機能を有する液体をあらかじめ塗布してあるので、弁の購入者が貼付直前にオイルを塗布しなければならない煩雑さもない。平坦部に塗布するシール性液体が過剰に塗布された場合でも余分な液は液溜りに留まりフランジ部へ流出しないので、包装体への貼付が確実に行えるばかりでなく、液溜りが無い場合に比べてシール性液体を多く塗布できるため開放圧を低くすることができる。さらに、凹部の底部形状の変更によって、特開2006−298410で用いた基材フィルムを省略し、凹部の平坦部に直接弁フィルムを積層するので、工程の簡略化と使用材料の節約ができる。さらに、凹部の底部形状が平坦部、液溜り、空気孔の簡略な形状としたので弁の厚みを薄くすることが可能になり、包装体外面へ貼付することもできる。薄肉のシートに連続成形しているので、連続のテープ状で供給し、充填包装機の工程内で切り離して貼付することができるので貼付工程が簡略になり、射出成形品で用いているパーツフィーダーなど整列させるための装置は不要になる。包装体内部の空気は、凹部の空気孔から弁に入り、弁フィルムと平坦部の間隙を広げて通過し放出されるので、包装体の内部に生じた過剰の圧力が解消される。外部の空気は、基材フィルムと弁フィルムの間に介在するシール機能を有する液体によって遮断されて、袋内に流入できないので、内容品を酸化や吸湿から保護することができる。
【0011】
本発明のガス抜き用弁は、外周のフランジ形状を変更するだけで包装体の内面あるいは外面の両方に貼付することが可能である。内面貼付用のガス抜き用弁は、凹部外周の上部フランジ部を包装体へ熱溶着することによって貼付できるので、粘着剤で貼付する場合に廃棄される剥離ライナーを必要とせず、省資源および環境への負荷低減に寄与することができる。外面貼付用のガス抜き用弁は、粘着剤を用いて包装体外面への貼付する方法が多く用いられるが、剥離ライナーを必要とするデメリットはあるものの、種々の表面基材の包装体に貼付できて、ヒートシール装置を使用せず圧着だけで容易に貼付できるメリットもある。
以上のように、この発明によれば、従来方法の欠点が解決された簡便なガス抜き用弁およびその製造方法が提供され、省資源および環境への負荷の低減に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明のガス抜き用弁およびその製造方法について、実施態様を説明する。
第1図に包装体の内面に貼付して用いるガス抜き用弁の概要図および断面図を示す。
凹部2を成形するプラスチックシート1としては、150μ〜600μの厚みの、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネートなどの比較的剛性のあるプラスチックの単層もしくは複層のシートを用い、包装体へ溶着する場合は必要によりシーラント層を20〜50μ積層して用いる。凹部2は直径10〜30mmの円形もしくは同程度の底面積の矩形他の形状とし、真空成形やプレス型による成形法など汎用の成形方法を用いて成形できる。シートが薄過ぎると凹部が変形し易くなり、厚いシートは成形に時間を要するばかりでなく不経済である。凹部の底面には平坦部5とその内周および外周に液溜まり4,6を設けるが、この底面の凹凸は過剰に塗布された液がフランジ部へ流出するのを防ぐとともに、平坦部へ液を補充する役割を持つが、同時に底面の剛性を補強する効果もあるので、より薄いシートで必要強度を得ることができる。平坦部5は、シール性液体7を介在させて被覆する弁フィルム8とによって空気の通路を形成するとともに外部空気の進入を防ぐため、弁フィルムと密着する平面性が必要で、空気の通路の長さに相当する平坦部5の幅は2mm〜8mmとするのが望ましい。この幅が短いと凹部が変形した場合に弁フィルムと平坦部の間の密着が保持されにくく外部空気の進入の恐れがあり、逆に長すぎると弁が大きくなりより多くの材料が必要になるばかりでなく、弁が作動する包装体内の圧力(開放圧)がより高くなる。弁フィルム8と平坦部5の間には、シール性液体7を間隙に介在させて密着することによって表面張力が働いており、凹部の空気孔3から入った空気の圧力がこの表面張力にうちかった時に、弁フィルムと平坦部の間隙を広げて空気が通過し包装体内の過剰な空気が放出される。この表面張力は、平坦部の長さが長いほど、弁フィルムと平坦部の間隙(介在している液体の厚み)が小さいほど大きくなるので、開放圧、すなわち弁が機能して空気を放出して包装体内の過剰な空気の放出を開始する圧力が高くなる。介在するシール性液体の量が少ないと開放圧が高くなるのはこのためである。凹部の深さは浅いほどシートの厚みを減らせるが、平坦部を覆って積層した弁フィルムが空気を放出する動きを妨げないようにかつ成形加工の精度やシートの剛性を考慮して、0.3〜3mmの範囲を選ぶのが望ましい。凹部の底面に設ける空気孔3の形状は、種々変更でき孔径も排出する空気量に応じて選べるが、150〜500gのコーヒー豆の包装袋の場合には、中央に1〜8mmの孔を1個穿孔するか、もしくは2mm以下の孔を複数個所に穿孔して、袋内の空気の通路とする。複数の小さい孔径にすると、内容品が粉や小さい粒の場合、これらが弁に浸入するのを防ぐ効果がある。粉が基材フィルムと弁フィルムの間に侵入して弁機能を損なうことを防ぐ目的には、不織布9を空気孔を被覆するように溶着してフィルターの働きをさせる方法もある。
【0013】
弁フィルム8は、袋内圧を上昇させている過剰の空気を平坦部との間隙から放出し、放出後は再び密着して外気の浸入を防ぐ働きをするので、薄くても剛性が高く平面性を保ち易いフィルムが適し、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネートなどの25〜100μ厚みのフィルムを用いる。外周を凹部の形状に合せて打抜いた弁フィルム8は、弁機能を持たせるため不揮発性の液体7を塗布した平坦部に積層する。シール機能を有する液体7としては、経時変化をさけるため不揮発性が望ましく、シリコーンオイルが好適に用いられるが、その他のオイルや沸点が流通時に想定される温度である70℃よりも高温のアルコール類を用いることも出来る。流通の間に揮発せず、弁フィルムを基材フィルムへ密着させるシール性に優れ、空気の放出時にはフィルムを容易に浮かすことができて、しかも袋の内容品に悪影響のないものを選ぶ。包装体の外部に貼付する場合のように、弁フィルムの脱落を防止する必要がある場合は、空気を外部に放出するための穿孔を有するプラスチックフィルムで凹部を被覆し上部フランジ部の上面に溶着し、保護カバー12とする。弁フィルムは、シール液体の表面張力で凹部底面の平坦部に密着しているため自然に脱落することはまれであるので、包装体の内部に貼付する場合は、プラスチックフィルムの被覆を省略することができる。この場合、充填包装機の貼付直前に弁フィルムの有無を目視もしくは光電管などの検出器で確認するとよい。さらに着色した弁フィルムを使用すると弁の脱落を容易に検出できる。同様に、シール性を有する液体を着色しておけば、その液の有無を容易に確認することが可能である。
【0014】
工程及び材料の流れについて、第3図を参照して説明する。
はじめにプラスチックシート1に一定間隔で凹部2を連続して成形する。真空成形あるいは雄雌型の間でフィルムを成形するプレス成形などが成形法として適する。成形金型として、外周にフランジ部10と、凹部の底面に外周の液溜り6、平坦部5、内周の液溜り4がそれぞれ形成できるように加工したものを用いる。次に、凹部の中央に空気孔3を穿孔する(a)。内容品が粉体で空気孔を目詰まりさせる恐れがある場合は、凹部の底部外面に打抜いた不織布9を空気孔を覆うように溶着する。次いで、凹部底面の平坦部5の上にシール機能を有する液体7を塗布した上に、凹部の内面形状に合せて打抜いた弁フィルム8を積層する(b)。次に必要に応じて、弁フィルムの脱落を防止するための穿孔を有するプラスチックフィルムで凹部を被覆しフランジ部の上面に溶着して、保護カバー12とする(c)。これらの工程により得られる、外周及び内周に液溜りを有する平坦部と弁フィルムがシール性を有する液体を介して積層した凹部を連続して成形したプラスチックシートは、凹部外周にフランジ部10を設けて外周を打抜き(d)、充填包装機で包装体に溶着される。連続したテープ状で供給する場合は、部分的に打抜き深さを浅く調節して一部が切り離されずに残るようにして連続箇所16とする。充填包装機では、テープ状で供給する弁の連続箇所16を切り離し、あらかじめ空気孔を設けた包装体の所定位置に供給し、フランジ部に加える熱または超音波などにより包装体に溶着する。フランジ部の外周は充填包装機で打抜くこともできるが、テープ状に巻きとる直前に大部分を打抜いておいた方が、充填包装機でのガス抜き用弁の切り離し作業が容易になる。ガス抜き用弁を完全に打抜いた場合は、パーツフィーダーを用いて整列して充填包装機の所定位置に供給し、包装体に溶着する。
凹部の空気孔に入った包装体の過剰な気体は、開放圧以上になるとシール液を介して密着した平坦部と弁フィルムの間の表面張力にうちかって弁フィルムを持ち上げてその間隙から流出し、包装体の空気孔を通って外部に放出される。
【0015】
第2図に例示する、包装体の外面に貼付して用いるガス抜き用弁の場合は、第1図に例示する上記の包装体の内面に貼付する場合と外周フランジの形状が異なり、追加工程がある。すなわち、凹部底面の平坦部の上にシール性を有する液体を介して弁フィルムを積層して弁を形成した後、穿孔を有するプラスチックフィルムで凹部を被覆しフランジ部の上面に溶着する。外面貼付用の弁の場合は、弁フィルムが包装体の外部に露出するのでその保護のためのカバー12として用いる。さらに、貼付面積を拡げるためにフランジの外周を内面貼付の場合よりも大きくし、底面が凹部の底面と同じ位置まで延長した下部フランジ部11を設けておく。弁を形成したプラスチックシートは、上部フランジ部の上面に保護カバーを溶着した後、プラスチックフィルム基材13に粘着剤14を塗布し剥離ライナー15を積層した粘着シートに下部フランジ部11の位置で溶着して、底面に粘着層を形成する。粘着シートにはあらかじめ、凹部の底面の空気孔3に相当する位置に穿孔しておく。粘着層を形成した後、弁を形成したプラスチックシートは下部フランジ部の外周をハーフカットして、剥離ライナーによって連続した弁ラベルを得る。粘着シートとして、粘着剤を剥離ライナーに積層しただけの基材レスを用いる場合は、弁を形成したプラスチックシートを直接粘着剤面に積層しハーフカットする。このようにして得られた弁ラベルは、充填包装機に供給し包装体に設けた空気孔を覆う位置に貼付する。
包装体の空気孔を通って凹部の空気孔に入った過剰な気体は、開放圧以上になるとシール性液体を介して密着した平坦部と弁フィルムの間の表面張力にうちかって弁フィルムを持ち上げてその間隙から流出し、凹部を被覆しているプラスチックフィルムの穿孔を通って外部に放出される。
【実施例1】
【0016】
厚み0.4mmのポリプロピレンシートを用い、真空成形により直径18mm深さ2mmの円形の凹部を25mmのピッチで連続して成形した。凹部の底部には、中心から14〜8mmの部分の深さが1mmとなるように底面を浅くして平坦部とその外周に液溜りを設け、平坦部の内周にあたる中心から6〜4mmの部分を深さ1mmとして平坦部内周の液溜りを設けた。中央には4個の孔を直径0.5mmの針を用いて穿孔し空気孔とした。次いで、平坦部の上にシリコーンオイルを塗布し、その上に直径17mmに打抜いた50μのポリエステル製の弁フィルムを積層した。シリコーンオイルの量は、弁フィルムを積層した時にオイルが平坦部の全面を被覆して、かつ、液溜りを超えて流出しない範囲に調節した。続いて、凹部の外周に幅2mmのフランジ部を設けて直径22mmに打抜いたが、一部の打抜き深さを浅く調節して部分的に切り離されずに残り連続するようにして、テープ状に巻き取った。以上のように構成したガス抜き用弁を充填包装機に供給し、残っている一部の連続箇所を切り離し、包装袋の空気孔と位置合わせして袋の内面に加熱溶着した。
ガス抜き用弁を内面に溶着した包装袋に、空気を封入して膨らませた状態で密封した袋を両手ではさみつけて加圧すると、オイルを介在して密着した平坦部上の弁フィルムが持ち上がり生じた間隙から袋内の空気が排出され、排出後は弁フィルムが再び密着し、弁機能を有することが確認できた。このガス抜き用弁の100個あたりの重量は20g弱であり、市販されている射出成形による弁の80g以上に比べて、材料の使用量を大幅に減らすことができた。
【実施例2】
【0017】
厚み0.4mmのポリプロピレンシートを用い、実施例1と同様に真空成形により直径18mm深さ1mmの円形の凹部を27mmのピッチで連続して成形した。凹部の底部には、中心から14〜8mmと6〜4mmの部分の深さが0.5mmとなるように底面を浅くして平坦部とその外周および内周に液溜りを設けた。凹部の外周の上部フランジ部は幅1mmとし、さらにその外周に凹部の底面と同一面に幅2mmの下部フランジ部を形成した。中央には直径2mmの孔を穿孔し空気孔とした。実施例1と同様に平坦部上にシリコーンオイルを塗布し、弁フィルムを積層した後、穿孔を有する直径20mmのプラスチックフィルムで凹部を被覆し上部フランジ部の上面に溶着して保護のためのカバーとした。このプラスチックフィルムとしては、12μのポリエステルと30μのポリプロピレンの積層フィルムに穿孔したものを用いた。続いて、100μのポリプロピレンを基材とする粘着シートに凹部外周の下部フランジ部を溶着した後、直径24mmにハーフカットして、弁ラベルとして巻き取った。以上のように構成した弁ラベルを充填包装機に供給し、包装袋の空気孔と位置合わせして袋の外面に貼付した。
ガス抜き用弁を外面に溶着した包装袋に、空気を封入して膨らませた状態で密封した袋を両手ではさみつけて加圧すると、オイルを介在して密着した平坦部上の弁フィルムが持ち上がり生じた間隙から袋内の空気が排出され、排出後は弁フィルムが再び密着し、弁機能を有することが確認できた。このガス抜き用弁の100個あたりの重量は30g弱であり、市販されている射出成形による弁の80g以上に比べて、材料の使用量を大幅に減らすことができた。弁ラベルにはあらかじめオイルが塗布されているので、充填包装工程でオイルを塗布する煩雑さがなく、オイルの滲みだしによって粘着性が損なわれることもなかった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明によるガス抜き用弁の構成を説明する平面図およびその断面図である。
【図2】包装体の外面に貼付して用いる場合の、本発明の弁の構成を説明する断面図である。
【図3】この発明方法の工程の流れを説明する概略図の例を示す。(a)では凹部を成形したシートに空気孔を設け、(b)では打抜いた弁フィルムをシール機能を有する液体を介在させて積層し、(c)では穿孔フィルムで凹部を被覆しフランジ部上面に溶着する状態を示し、(d)は充填包装機内で切り離されたガス抜き用弁である。
【符号の説明】
【0019】
1 プラスチックシート
2 凹部
3 凹部に設けた空気孔
4 内周の液溜り
5 平坦部
6 外周の液溜り
7 シール機能を有する液体
8 弁フィルム
9 不織布
10 上部フランジ部
11 下部フランジ部
12 保護カバー
13 粘着シート基材
14 粘着剤
15 剥離ライナー
16 連続箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックシートに成形した凹部の底面に、外周及び内周の両方に液溜りを有する平坦部と空気孔とを設け、シール機能を有する液体を平坦部上に塗布し、この上から弁フィルムを平坦部と空気孔を覆うように積層し、凹部外周のフランジ部で包装体に固着可能に形成した、ガス抜き用弁。
【請求項2】
外周及び内周の両方に液溜りを有する平坦部を底面に有する凹部を、プラスチックシートに一定間隔で連続して成形する工程と、空気孔を穿孔する工程と、シール機能を有する液体を平坦部上に塗布する工程と、凹部の形状に合せて打抜いた弁フィルムを液体を塗布した平坦部と空気孔とを覆うように積層する工程と、凹部の外周を包装体に固着するためのフランジ部を残して打抜く工程とからなる、ガス抜き用弁の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−280054(P2008−280054A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124052(P2007−124052)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(304005509)
【Fターム(参考)】