説明

包装体の製造方法

【課題】物品と共にシートを梱包した包装体を製造する場合、シートの位置がずれないようにこれを物品などに接合する必要があった。
【解決手段】一端に封止部13が形成された樹脂フィルム12の開口端部12oを挿入誘導部材21の一端側の外周面にかぶせ、この状態で樹脂フィルム12の一端側を挿入誘導部材21の他端側へと裏返した状態で差し込み、樹脂フィルム12の一端側の封止部13とトイレットロールユニット11Uとの間にメッセージカード16を供給し、メッセージカード16をトイレットロールユニット11U側に付勢しつつこれらを挿入誘導部材21の他端側から挿入誘導部材21に通し、メッセージカード16がトイレットロールユニット11Uと共に収容された状態の樹脂フィルム12を挿入誘導部材21から抜き外し、樹脂フィルム12の開口端部12oを塞いで封止部14を形成することにより、パック詰めトイレットロール10が製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状製品をパック詰めした包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業からのメッセージやアンケートあるいは懸賞応募用紙などの情報伝達媒体を確実に商品の購入者に渡すことができるようにするため、これらの情報伝達媒体を対象となる商品に添えることが一般的に行われている。例えば、トイレットロールの包装体にあっては、複数個のトイレットロールがチューブ式の樹脂フィルム内に封入されて包装されている。そして、近年、広告宣伝文などを印刷したシートを用いてトイレットロールの包装体に広告宣伝機能などを持たせることが望まれている。
【0003】
上述のように、シートを用いてトイレットロールの包装体に広告宣伝機能などを持たせる方法としては、例えば特許文献1に開示されているように、弱粘着テープを用いて包装体の外面にシートを貼り付ける技術が提案されている。あるいは、トイレットロールの包装前に接着糊をトイレットロールの外周面に塗布してシートを接着し、その後、シートを接着したトイレットロールを含む複数個のトイレットロールをチューブ式の包装フィルム内に封入して包装することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平06−059258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された方法の場合、包装体の運搬時や陳列時にシートが他の商品などに接触して不用意に欠落してしまうという問題がある。また、後者の場合には、トイレットロールの使用時などにシートをトイレットロールの外周面から引き剥がしたときに接着糊の塗布部分が硬く残ってしまったり、経時的劣化によって変色したりするという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、接着糊を用いることなく、はがきなどのシートを包装体内に確実に封入することができる包装体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による包装体の製造方法は、一端に封止部が形成された筒状をなす樹脂フィルムの開口端部を挿入誘導部材の一端側の外周面にかぶせるステップと、前記樹脂フィルムの開口端部を前記挿入誘導部材の一端側の外周面にかぶせた状態でその一端側を前記挿入誘導部材の他端側へと裏返した状態で差し込み、当該一端側の封止部を前記挿入誘導部材の他端側に位置させるステップと、整列状態にある物品を前記挿入誘導部材の他端側に導くステップと、前記挿入誘導部材の他端側に導かれる前記物品と前記挿入誘導部材の他端側に位置する前記樹脂フィルムの一端側の封止部との間にシートを供給するステップと、前記挿入誘導部材の他端側に導かれた前記物品を前記シートと共に前記挿入誘導部材の他端側からこの挿入誘導部材に通して前記樹脂フィルムを押し戻すステップと、この押し戻すステップに続き、前記物品が前記シートと共に収容された状態の前記樹脂フィルムを前記挿入誘導部材から抜き外すステップと、前記物品が収容された前記樹脂フィルムの開口端部を塞いで封止部を形成するステップとを具え、前記挿入誘導部材の他端側に導かれた前記物品を前記シートと共に前記挿入誘導部材の他端側からこの挿入誘導部材に通して前記樹脂フィルムを押し戻す前記ステップは、前記シートを前記物品側に付勢するステップを含むことを特徴とするものである。
【0008】
本発明による包装体の製造方法において、シートを物品側に付勢するステップが物品と樹脂フィルムの一端側の封止部との間に差し込まれたシートに向けて圧縮空気を吹き付けるステップを含むことができる。
【0009】
物品と樹脂フィルムの一端側の封止部との間にシートを供給するステップは、前記挿入誘導部材の他端側に導かれた物品が樹脂フィルムの一端側の封止部に向けて移動してシートに当接するまで当該シートを保持するステップを含むことができる。
【0010】
物品がロール状衛生用紙であって、樹脂フィルムの一対の封止部がロール状衛生用紙の幅方向両端側に位置しているものであってよい。この場合、ロール状衛生用紙がその幅方向に沿って一直線状に配列すると共に幅方向に沿って一直線状に配列するロール状衛生用紙が複数列並んでいるものであってよい。また、整列状態にある物品を挿入誘導部材の他端側に導くステップがロール状衛生用紙の幅方向一端側を挿入誘導部材の他端側と対向させるステップを含むことができる。さらに、挿入誘導部材の他端側に導かれた物品が樹脂フィルムの一端側の封止部に向けて移動してシートに当接するまで当該シートを保持するステップは、幅方向と直交する方向に隣接するロール状衛生用紙の間に形成される空隙を利用してシートを保持するステップを含むことができる。
【0011】
シートが情報伝達媒体であってよく、この情報伝達媒体がはがきを含むことができる。
【0012】
樹脂フィルムの少なくとも一部が透明であってよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装体の製造方法によると、接着糊などを使用せずとも樹脂フィルムの一対の封止部の一方と物品との間にはがきなどの情報伝達媒体を含むシートを物品と共に確実に梱包することができる。
【0014】
シートを物品側に付勢するステップがシートに向けて圧縮空気を吹き付けるステップを含む場合、物品がシートを伴って移動する際にこれらと、シートを物品側に付勢するための手段との機械的な干渉を容易に回避することができる。
【0015】
シートを差し込むステップが、樹脂フィルムの一端側の封止部に向けて移動する物品とシートとの当接までシートを保持するステップを含む場合、シートが倒れてジャミングを起こすような不具合を確実に防止することができる。特に、幅方向と直交する方向に隣接するロール状衛生用紙の間に形成される空隙を利用してシートを保持するステップを含む場合、ロール状衛生用紙がシートに当接するまでシートが保持された状態となり、ジャミングを起こすような不具合をより一層確実に防止できる。
【0016】
物品がロール状衛生用紙であって、樹脂フィルムの一対の封止部がロール状衛生用紙の幅方向両端側に位置している場合、シートを曲げることなく、ロール状衛生用紙の平らな端面と樹脂フィルムの封止部との間に保持することができる。
【0017】
整列状態にある物品を挿入誘導部材の他端側に導くステップが、ロール状衛生用紙の幅方向一端側を挿入誘導部材の他端側と対向させるステップを含む場合、ロール状衛生用紙の平らな端面にシートを安定状態で接触させることができる。
【0018】
樹脂フィルムの少なくとも一部が透明の場合、外部から物品と共に梱包されるはがき用紙などの情報伝達媒体を含むシートの有無やその状態を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の対象となったパック詰めトイレットロールの外観を表す立体投影図である。
【図2】図1に示したパック詰めトイレットロールの製造手順を模式的に表す概念図である。
【図3】図2に示した実施形態におけるカード供給装置の主要部の平面図である。
【図4】図3に示したカード供給装置の正面図である。
【図5】図3中のV−V矢視図である。
【図6】図4中のVI−VI矢視図である。
【図7】トイレットロールを図6に示す状態からカードと共に樹脂フィルム内に押し込んだ状態の模式図である。
【図8】本発明の他の実施形態を図6に示す状態に関連付けて表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明による包装体をパック詰めトイレットロールに応用した実施形態について、図1〜図8を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態のみに限らず、本発明の精神に帰属する他の任意の技術、すなわち複数個の同一寸法形状の物品を整列状態にて梱包する樹脂フィルムに一対の封止部を形成したあらゆる包装体の製造に対して応用することが可能である。
【0021】
本発明の対象となる包装体としてのパック詰めトイレットロールの外観を図1に示す。ロール状衛生用紙の一例としてのトイレットロール11は、中央に位置する図示しない紙製コアと、このコアに巻き付けられるトイレットペーパーとで円筒状に形成されたものであるが、コアを持たないものも存在する。本実施形態では、トイレットロール11をその幅方向(図中、上下方向)に沿って一直線状に複数段(図示例では3段)に重ねた状態で配列させたものを複数列(図示例では4列)に並べ、これらが筒状をなす薄い樹脂フィルム12内に収容されている。インフレーション成形される樹脂フィルム12の両開口端にはヒートシールによって一対の封止部13,14が形成され、一方の封止部13にはこのパック詰めトイレットロール10の持ち運びを容易にするための取手15が一体的に形成されている。
【0022】
複数列のトイレットロール11の幅方向一端側の端面11aと、取手15が形成された一方の封止部13側の樹脂フィルム12との間には、本発明のシートとしてのメッセージカード16が収容されている。この場合、複数列のトイレットロール11の幅方向一端側の端面11aがほぼ同一平面上にあるため、メッセージカード16が撓むことなく、これを樹脂フィルム12によってトイレットロール11と共に密閉状態で梱包することができる。このメッセージカード16は、トイレットロール11を製造する企業から末端ユーザーへの情報伝達媒体として用いることができる他、各種アンケートや懸賞などの応募のためのはがきなどであってよい。通常、樹脂フィルム12には、図柄や商品名などの情報が印刷されているが、印刷されていない部分が透明であっても不透明であってもかまわない。しかしながら、樹脂フィルム12の一部、例えばトイレットロール11の幅方向一端側の端面11aと対向する樹脂フィルム12の部分は、外部からメッセージカード16が封入されていることが判別できるように、透明な状態にしておくことが望ましい。
【0023】
このようなパック詰めトイレットロール10を製造するための本実施形態における製造ラインの主要部分を図2に模式的に示す。本実施形態におけるトイレットロール11のパック詰めラインには、トイレットロール搬入部17と、メッセージカード供給部18と、袋掛け/挿入部19と、ヒートシール部20とが配されている。なお、メッセージカード供給部18以外のトイレットロール搬入部17や袋掛け/挿入部19およびヒートシール部20は、特別な改造を施すことなく、基本的に既存の設備をそのまま流用することが可能である。
【0024】
トイレットロール搬入部17は、トイレットロール11を例えば3段4列ずつ整列させた状態(以下、これをトイレットロールユニット11Uと記述する)でこれらを袋掛け/挿入部19の後述する挿入位置Piにある挿入誘導部材21に向けて搬入する処理を行う。このため、トイレットロール搬入部17には、図示しない搬送手段と、左右一対の案内保持板22とが組み込まれている。搬送手段は、トイレットロールユニット11Uを挿入部19に向けて連続的に搬入するためのものである。また、左右一対の案内保持板22は、トイレットロールユニット11Uの整列状態がくずれないようにこれを保持するためのものである。本実施形態における案内保持板22は、トイレットロールユニット11Uの搬送方向と直交する方向に対向し、前後方向に搬送されるトイレットロールユニット11Uを両側から挟むように配されている。トイレットロールユニット11Uの搬送方向に沿った案内保持板22の下流端側には、上下に重ねられたトイレットロール11、特に上側に位置するトイレットロール11の上下方向の位置を規制するための位置規制手段23が設けられている。本実施形態における位置規制手段23は、案内保持板22の相互に対向する面からそれぞれ突出し、その突出量が下流端に向けて漸増する一対の斜面23sとこれら一対の斜面23sが集まる稜部23tとを有する略三角錘状をなす(図3,図4参照)。位置規制手段23の稜部23tは、トイレットロールユニット11Uの搬送方向に沿って延在し、位置規制手段23の一対の斜面23sは、トイレットロール11の外周面の曲率に対応した凹湾曲面となっている。このような位置規制手段23を形成したことにより、上下に重なるトイレットロールユニット11Uの位置を正しく保持することができる。この結果、トイレットロールユニット11Uを樹脂フィルム12内に挿入する際に、後述するメッセージカード供給部18との干渉を確実に回避することが可能となる。
【0025】
メッセージカード供給部18の平面形状を図3に示し、その正面形状を図4に示し、図3中のV−V矢視に沿った断面形状を図5に示す。
【0026】
本実施形態におけるメッセージカード供給部18は、カードホルダー24に整列状態で収容されたメッセージカード16を一枚ずつ取り出す。そして、これを送り込み位置Pwに達するトイレットロールユニット11Uと、挿入位置Piにある挿入誘導部材21の他端側に位置する樹脂フィルム12の一端側の封止部13との間にメッセージカード16を供給する処理を行う。この処理を行うため、メッセージカード供給部18に近い方の案内保持板22の搬送端の側方、つまり送り込み位置Pwに達したトイレットロールユニット11Uの端面11aの側方には、カード案内部材25が配されている。このカード案内部材25には、メッセージカード16を立てた状態でその下部を収容するスロット25sが左右方向に形成されており、このスロット25sに沿ってメッセージカード16を移動させることができるようになっている。スロット25sの底面は、トイレットロール搬入部17の送り込み位置Pwに達したトイレットロールユニット11Uの搬送支持面26よりも多少、高めに設定されている。カード案内部材25が立設された台板27には、カードクランプ装置28が搭載されたスライダー29を左右方向に往復動可能に支持するスライダー案内部材30も立設されている。カードクランプ装置28は、メッセージカード16の上端部を把持し得る一対のクランプ爪28cと、このクランプ爪28cの開閉、つまりメッセージカード16のクランプまたはアンクランプを行うための空気圧シリンダー28aとを具えている。クランプ爪28cは、先のカード案内部材25の上方に位置し、図3,図4中、実線で示すカード受取位置Prと、図3,図4中、二点鎖線で示すカード保持位置Phとの間を往復動し得るようになっている。カード受取位置Prは、後述するカードホルダー24から供給されるメッセージカード16がカード案内部材25に投入される位置である。また、カード保持位置Phは、送り込み位置Pwに達するトイレットロールユニット11Uと、挿入位置Piにある挿入誘導部材21の他端側に位置する樹脂フィルム12の一端側の封止部13との間でメッセージカード16を保持する位置である。
【0027】
なお、図3に示すように、送り込み位置Pwに達したトイレットロールユニット11Uは、カード保持位置Phにあるメッセージカート16に対して近接状態となる。また、カード保持位置Phのクランプ爪28cの先端側は、上下に重なるトイレットロール11の間の隙間に位置し、つまりトイレットロールユニット11Uの搬送方向に沿って位置規制手段23と重なるように設定されている。これにより、送り込み位置Pwに達したトイレットロールユニット11Uを挿入誘導部材21側に押し込む際に、クランプ爪28cがトイレットロールユニット11Uと干渉しないように配慮されている。このように、上下に隣接するトイレットロール11の間に形成される空隙を利用してメッセージカード16を保持することにより、トイレットロールユニット11Uがメッセージカード16に当接するまでメッセージカード16をクランプ爪28で保持し続けることができる。この結果、後述するトイレットロールユニット11U側へのメッセージカード16の付勢作用と相俟って、メッセージカード16が倒れてジャミングを起こすような不具合を確実に防止することが可能となる。
【0028】
挿入位置Piにある挿入誘導部材21の側方には、図示しないコンプレッサーに調圧開閉弁を介して連通する空気噴射ノズル31が配されている。この空気噴射ノズル31は、カード保持位置Phに保持されたメッセージカード16の表面に向けて調圧された圧縮空気31aを吹き付け、これによってメッセージカード16をトイレットロールユニット11Uの端面11a側に付勢する機能を有する。つまり、トイレットロールユニット11Uをその送り込み位置Pwから挿入位置Piにある挿入誘導部材21側に移動させる際、メッセージカード16に圧縮空気31aを吹き付け、これをトイレットロールユニット11Uの端面11aに押し当たるようにする。これにより、メッセージカード16が倒れてジャミングを起こすような不具合を確実に防止する。なお、空気噴射ノズル31は、図示された空気噴射位置と、その下方に設定された図示しない退避位置との間を図示しない駆動装置によって往復動し得るようになっている。その理由は、挿入誘導部材21がその挿入位置Piと後述する袋掛け位置Pbとの間を移動する際にこれと干渉しないようにするためであり、挿入誘導部材21が移動する際には空気噴射ノズル31はその退避位置へと退避移動するようになっている。
【0029】
送り込み位置Pwに達するトイレットロールユニット11Uの直近の前記台板27上には、回転軸32aをトイレットロールユニット11Uの搬送方向と平行に設定したアイドルスプロケット32が回転自在に支持されている。このアイドルスプロケット32と、台板27に設置されたカード送り込み用モーター33に装着された駆動スプロケット34とには、無端の歯付きベルト35が巻き掛けられている。この歯付きベルト35には先のスライダー29が連結されており、カード送り込み用モーター33の正逆転駆動により、クランプ爪28cをカード受取位置Prとカード保持位置Phとの間で往復駆動させることができる。なお、カード保持位置Phにてクランプ爪28cをクランプ状態からアンクランプ状態に切り換えた場合、メッセージカード16がトイレットロールユニット11Uの搬送支持面26上に落下することとなる。しかしながら、本実施形態ではこの状態においてもメッセージカード16の上端がアンクランプ状態のクランプ爪28cにわずかに引っ掛かり、メッセージカード16が倒れるような不具合を未然に防止するようになっている。仮に、メッセージカード16の上端がクランプ爪28cから抜け外れたとしても、メッセージカード16の倒れを阻止することができる。その理由は、空気噴射ノズル31からの圧縮空気31aの吹き付けによってトイレットロールユニット11U側へのメッセージカード16の付勢作用が働き、これが送り込み位置Pwに達したトイレットロールユニット11Uの端面11a側に付勢されるためである。
【0030】
先のカード案内部材25の上方には、多数のメッセージカード16を整列状態で収容するカードホルダー24が設置されている。このカードホルダー24からメッセージカード16を一枚ずつ取り出してこれをカード案内部材25側に導くカード給送装置36がこれらカード案内部材25とカードホルダー24との間に組み込まれている。本実施形態におけるカード給送装置36は、カード吸引レバー37と、一対の給送ローラー38a,38bと、一方の給送ローラー38aに押し当てられる無端の案内ベルト39と、シュート40とを含む。カード吸引レバー37は、カードホルダー24から、その最下端(最前端)に位置するメッセージカード16を吸着した状態で1枚ずつ引き出し、これを回転する一対の給送ローラー38a,38bの間に導く。給送ローラー38a,38bの間に導かれたメッセージカード16は、一方の給送ローラー38aと案内ベルト39との間に送り込まれる。給送ローラー38aと案内ベルト39とは同期回転し、これらの間にメッセージカード16を挟み込んでこれをシュート40からカード案内部材25のスロット25s内へと導くようになっている。
【0031】
図4中のVI−VI矢視に沿った断面形状を図6に示し、この状態からトイレットロールユニット11Uをメッセージカード16と共に樹脂フィルム12内に押し込んだ状態の断面構造を図7に示す。
【0032】
袋掛け/挿入部19は、次のような一連の処理を行う。すなわち、一端に封止部13が形成された筒状をなす樹脂フィルム12の開口端部12oを挿入誘導部材21の一端側、つまりトイレットロールユニット11Uの搬送方向に沿った下流側の外周面にかぶせる。そして、その一端側を挿入誘導部材21の他端側へと裏返した状態で差し込んで挿入誘導部材21の他端側、つまりトイレットロールユニット11Uの搬送方向に沿った上流側に位置させる(図6参照)。次に、送り込み位置Pwに達するトイレットロールユニット11Uをメッセージカード16と共に挿入誘導部材21の他端側からこの挿入誘導部材21に通して樹脂フィルム12を元の状態に押し戻す。さらに、トイレットロールユニット11Uがメッセージカード16と共に収容された状態の樹脂フィルム12を挿入誘導部材21から抜き外す(図7参照)。このような処理を行うため、袋掛け/挿入部19には、樹脂フィルム把持装置41と、挿入誘導部材21と、空気吹き込み装置42と、ユニット送り込み装置とが組み込まれている(図2参照)。また、基端側に一方の封止部13と共に取手15があらかじめ形成され、かつ先端側が開口端となった袋状をなす樹脂フィルム12を折り畳んだ状態で巻き取られた樹脂フィルム12の図示しないストックヤードがその袋掛け位置に隣接して配されている。
【0033】
挿入誘導部材21は、トイレットロールユニット11Uを樹脂フィルム12内に押し込む際に、このトイレットロールユニット11Uの移動を案内する。本実施形態における挿入誘導部材21は、トイレットロールユニット11Uの搬送方向と直交する方向に沿って間隔をあけて2組配され、これらは共通の図示しないサドル上に設置されている。サドルは、トイレットロールユニット11Uの搬送方向と直交する左右方向に往復動し、2組の挿入誘導部材21を交互に挿入位置Piと、袋掛け位置Pbとに切り替える。つまり、一方の組の挿入誘導部材21が挿入位置Piにある場合、他方の組の挿入誘導部材21が袋掛け位置Pbにあり、逆に一方の組の挿入誘導部材21が袋掛け位置Pbにある場合、他方の組の挿入誘導部材21が挿入位置Piにある。
【0034】
樹脂フィルム12の開口端部12oを挿入誘導部材21の一端側の外周面にかぶせ、その一端側を挿入誘導部材21の他端側へと裏返した状態で差し込んで挿入誘導部材21の他端側に位置させる処理は、袋掛け位置Pbにある挿入誘導部材21に対して行われる。従って、先の樹脂フィルム12のストックヤードは、2組の挿入誘導部材21に対応して2組設けられており、袋掛け位置Pbを挿入位置Piの左右に2箇所設定している。また、送り込み位置Pwに達すトイレットロールユニット11Uをメッセージカード16と共に挿入誘導部材21の他端側からこの挿入誘導部材21に通して樹脂フィルム12を元の状態に押し戻す処理は、挿入位置Piにある挿入誘導部材21に対して行われる。各挿入誘導部材21は、トイレットロールユニット11Uの搬送方向と直交する方向に対向する左右一対のバケット21bを有し、これら一対のバケット21bは、これらの対向方向に沿って相互に逆向きに同期状態で左右に往復動する。つまり、一対のバケット21bはこれらの間隔が広がった拡幅状態(図2中、実線で示す)と、これらの間隔が狭まった縮寸状態(図2中、二点鎖線で示す)とに切り替え可能である。
【0035】
樹脂フィルム把持装置41は、ストックヤードの一番上に位置する樹脂フィルム12の開口端部12o側を真空引きによって吸引把持し、これを袋掛け位置Pbで待機している挿入誘導部材21の一端側の外周面にかぶせるためのものである。この場合、樹脂フィルム12の開口端部12oを挿入誘導部材21の一端側の外周面にかぶせ終わるまで、一対のバケット21bは縮寸状態にあってこの作業を円滑に行うことができるように配慮している。樹脂フィルム12の開口端部12oを挿入誘導部材21の一端側の外周面にかぶせ終えた後、一対のバケット21bが拡幅状態へと拡がって樹脂フィルム12の開口端部12oを内側から保持する。
【0036】
空気吹き込み装置42は、樹脂フィルム12がかぶせられた袋掛け位置Pbにある挿入誘導部材21に対し、トイレットロールユニット11Uの搬送方向に沿った下流側から高圧の空気を吹き込むことができるようになっている。これにより、樹脂フィルム12の一端側、つまり取手15側を挿入誘導部材21の他端側へと裏返した状態で差し込んで挿入誘導部材21の他端側に位置させることができる。このような処理を行うことにより、挿入位置Piにてトイレットロールユニット11Uを樹脂フィルム12内に押し込む際に、空気が樹脂フィルム12内に溜まってその挿入作業が阻害されるような不具合を未然に防止することができる。
【0037】
ユニット送り込み装置は、図3,図6中の二点鎖線で示す送り込み位置Pwに達したトイレットロールユニット11Uを挿入位置Piにある挿入誘導部材21に装着された樹脂フィルム12側へと押し込むためのものであり、そのための押し棒43を具えている。送り込み位置Pwに達するトイレットロールユニット11Uと次のトイレットロールユニット11Uとの間には隙間が形成されており、これらの間に出し入れされる押し棒43が挿入誘導部材21を通り越して前進する。そして、トイレットロールユニット11Uをメッセージカード16と共に収容した状態の樹脂フィルム12を挿入誘導部材21から抜き外す。この場合、送り込み位置Pwからのトイレットロールユニット11Uの前進移動に伴う慣性作用と、空気噴射ノズル31からの圧縮空気31aによる付勢作用とによって、メッセージカード16がトイレットロールユニット11Uの一端面11aに押し当てられた状態で樹脂フィルム12内に押し込まれるようにしなければならない。このため、トイレットロールユニット11Uの前進速度や、空気噴射ノズル31からの圧縮空気31aの噴射量などを適切に設定することが必要である。また、一対のバケット21bは少なくともトイレットロールユニット11Uがここを通過するまでは拡幅状態にあるが、これが袋掛け位置Pbに移動するまで、この拡幅状態に保持しておいても特に問題はない。
【0038】
ヒートシール部20は、トイレットロールユニット11Uおよびメッセージカード16が収容された樹脂フィルム12の開口端部12oを塞いで封止部14を形成する。ヒートシール部20には、樹脂フィルム12の開口端部12oを挟んでこれを封止するための一対の加熱ブレード44が配されている。これら一対の加熱ブレード44は、その対向方向に沿って逆向きに同期状態で往復動する。
【0039】
このように、一連の処理が相互に同期して円滑に行われる結果、トイレットロールユニット11Uがメッセージカード16と共に次々と樹脂フィルム12に梱包されて図1に示すようなパック詰めトイレットロール10となる。これらは図示しない段ボール箱に所定パックずつ梱包され、各消費地へ向けて搬送される。
【0040】
上述した実施形態では、空気噴射ノズル31を挿入位置Piにある挿入誘導部材21の側方に配したが、押し棒43によるトイレットロールユニット11Uの送り込み移動の際に干渉しないような位置に適宜配置することができる。例えば、他の実施形態の構造を表す図8に示すように、送り込み位置Pwと挿入位置Piとの間で搬送支持面26よりも下方に空気噴射ノズル31を配することも可能である。本実施形態では、搬送支持面26を挿入位置Piにある挿入誘導部材21の他端側の直近まで搬送支持面26を延在させ、この搬送支持面26を構成する部材にスリット26aを形成してある。そして、このスリットを介して空気噴射ノズル31からの圧縮空気31aをカード保持位置Phに保持されたメッセージカード16の表面に向けて吹き付けるようにしている。本実施形態では、先の実施形態よりも空気噴射ノズル31をカード保持位置Phに保持されたメッセージカード16に対して近づけることができる上、挿入位置Piに向けてさらに安定したトイレットロールユニット11Uの送り込みが可能である。
【0041】
なお、本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施形態においても、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施形態におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のないあらゆる構成を含め、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
【符号の説明】
【0042】
10 パック詰めトイレットロール
11 トイレットロール
11a 一端面
11U トイレットロールユニット
12 樹脂フィルム
12o 開口端部
13,14 封止部
15 取手
16 メッセージカード
17 トイレットロール搬入部
18 メッセージカード供給部
19 袋掛け/挿入部
20 ヒートシール部
21 挿入誘導部材
21b バケット
22 案内保持板
23 位置規制手段
23s 斜面
23t 稜部
24 カードホルダー
25 カード案内部材
25s スロット
26 搬送支持面
26a スリット
27 台板
28 カードクランプ装置
28c クランプ爪
28a 空気圧シリンダー
29 スライダー
30 スライダー案内部材
31 空気噴射ノズル
31a 圧縮空気
32a 回転軸
32 アイドルスプロケット
33 カード送り込み用モーター
34 駆動スプロケット
35 歯付きベルト
36 カード給送装置
37 カード吸引レバー
38a,38b 給送ローラー
39 案内ベルト
40 シュート
41 樹脂フィルム把持装置
42 空気吹き込み装置
43 押し棒
44 加熱ブレード
Pi 挿入位置
Pr カード受取位置
Ph カード保持位置
Pw 送り込み位置
Pb 袋掛け位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に封止部が形成された筒状をなす樹脂フィルムの開口端部を挿入誘導部材の一端側の外周面にかぶせるステップと、
前記樹脂フィルムの開口端部を前記挿入誘導部材の一端側の外周面にかぶせた状態でその一端側を前記挿入誘導部材の他端側へと裏返した状態で差し込み、当該一端側の封止部を前記挿入誘導部材の他端側に位置させるステップと、
整列状態にある物品を前記挿入誘導部材の他端側に導くステップと、
前記挿入誘導部材の他端側に導かれる前記物品と前記挿入誘導部材の他端側に位置する前記樹脂フィルムの一端側の封止部との間にシートを供給するステップと、
前記挿入誘導部材の他端側に導かれた前記物品を前記シートと共に前記挿入誘導部材の他端側からこの挿入誘導部材に通して前記樹脂フィルムを押し戻すステップと、
この押し戻すステップに続き、前記物品が前記シートと共に収容された状態の前記樹脂フィルムを前記挿入誘導部材から抜き外すステップと、
前記物品が収容された前記樹脂フィルムの開口端部を塞いで封止部を形成するステップとを具え、
前記挿入誘導部材の他端側に導かれた前記物品を前記シートと共に前記挿入誘導部材の他端側からこの挿入誘導部材に通して前記樹脂フィルムを押し戻す前記ステップは、前記シートを前記物品側に付勢するステップを含むことを特徴とする包装体の製造方法。
【請求項2】
前記シートを前記物品側に付勢する前記ステップは、前記物品と前記樹脂フィルムの一端側の封止部との間に供給された前記シートに向けて圧縮空気を吹き付けるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の包装体の製造方法。
【請求項3】
前記物品と前記樹脂フィルムの一端側の封止部との間に前記シートを供給する前記ステップは、前記挿入誘導部材の他端側に導かれた前記物品が前記樹脂フィルムの一端側の封止部に向けて移動して前記シートに当接するまで当該シートを保持するステップを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装体の製造方法。
【請求項4】
前記物品がロール状衛生用紙であり、前記樹脂フィルムの一対の封止部が前記ロール状衛生用紙の幅方向両端側に位置していることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかかに記載の包装体の製造方法。
【請求項5】
前記ロール状衛生用紙がその幅方向に沿って一直線状に配列すると共に幅方向に沿って一直線状に配列する前記ロール状衛生用紙が複数列並んでいることを特徴とする請求項4に記載の包装体の製造方法。
【請求項6】
整列状態にある前記物品を前記挿入誘導部材の他端側に導く前記ステップは、前記ロール状衛生用紙の幅方向一端側を前記挿入誘導部材の他端側と対向させるステップを含むことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の包装体の製造方法。
【請求項7】
前記挿入誘導部材の他端側に導かれた前記物品が前記樹脂フィルムの一端側の封止部に向けて移動して前記シートに当接するまで当該シートを保持する前記ステップは、前記幅方向と直交する方向に隣接する前記ロール状衛生用紙の間に形成される空隙を利用して前記シートを保持するステップを含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の包装体の製造方法。
【請求項8】
前記シートが情報伝達媒体であることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の包装体の製造方法。
【請求項9】
前記情報伝達媒体がはがきを含むことを特徴とする請求項8に記載の包装体の製造方法。
【請求項10】
前記樹脂フィルムの少なくとも一部が透明であることを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載の包装体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−101842(P2012−101842A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254098(P2010−254098)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】