説明

包装体

【課題】PTP包装体の内容物を取り出す際、一度に複数の収容物を取り出す場合と、収容物を1つ1つ取り出す機能とを、使用者が収容物の取り出し方を選択できるPTP包装体を提供する。
【解決手段】医薬製剤を収容するための収容部11が2つ以上形成された容器用シート10とその収容部に蓋をする蓋材シート30(アルミシート)からなるPTP包装体において(1)蓋材シートが、容器用シートから剥離可能な強度をもたせるため厚く、(2)蓋材シートの、容器用シートの収容部と対応する部位が、収容物の押し出し時に必要な破断性をもたせるため薄く、加工されていて、剥離用つかみ代21として、容器用シートと蓋材シートの間に無接着処理部分12を設けるか、容器用シートの一部をカットして剥離用つかみ代とするためスリットを容器用シートに設けてあるPTP包装体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は錠剤やカプセル剤などの医薬品の包装体であるPTP(Press Through Package)包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の錠剤やカプセル剤などの医薬品の包装には、PTP包装体が多用されている。収容物を収容する容器用シートと収容部を封止する、アルミシートの蓋材から構成され、容器用シートを蓋材側に押し込んで蓋材の一部を破断させ収容物を1つ1つ取り出すものが主流である。
【0003】
現在使用されているPTP包装体は収容物を取り出さずに包装体のまま飲み込んでしまう事故を防止するため、PTP包装体の切り離し線(スリットまたはミシン目)を縦方向または横方向にだけ入れ、切り離した際に2つ以上の収容部がつながった細長い短冊状になるように工夫されている。
【0004】
また、PTP包装体の蓋材としてはアルミシートが多用され、容器用シートとしては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)などが用いられている。アルミシートと容器用シートは、分別ゴミとして処理されることが望ましいが、解決方法は見出されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、以上の技術によれば、PTP包装体の容器用シートの収容物収容部を蓋材側に押し込んで収容物を取り出す際、一度に複数の収容物を取り出す使用者の場合、PTP包装体の容器用シートの収容物収容部を蓋材側に複数回押し込む必要があり手間と時間を要するだけでなく、指が容器用シートから圧迫をうけ、痛くなることがあるため収容物を1つ1つ押し出して取り出す方法だけでは、不便であった。
【0006】
そこで、この発明は、PTP包装体の容器用シートの収容物収容部を蓋材側に押し込んで蓋材のアルミシートの一部を破断させて収容物を1つ1つ取り出す機能を維持しながら、PTP包装体の容器用シートから蓋材シートを剥がすことで複数の収容物を取り出す機能を付加し、使用者が利便性の高い収容物の取り出し方を選択できるPTP包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために請求項1の発明は医薬製剤を収容するための収容部が2つ以上形成された容器用シートと当該収容部の蓋材シート(アルミシート)からなるPTP包装体において、
(1)蓋材シート(アルミシート)が、容器用シートから剥離可能な強度をもたせるため厚く、
(2)蓋材シート(アルミシート)の、容器用シートの収容部と対応する部位が、収容物の押し出し時に必要な破断性をもたせるため薄く
加工されていることを特徴とするPTP包装体である。
【0008】
請求項2の発明は、容器用シートと蓋材シート(アルミシート)の間に、剥離用つかみ代として無接着処理部分を有する請求項1記載のPTP包装体である。
【0009】
請求項3の発明は、容器用シートの一部をカットし、剥離用つかみ代とするためのスリットを容器用シートに有する請求項1記載のPTP包装体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明PTP包装体によれば、蓋材シート(アルミシート)には、容器用シートから剥離可能な強度をもたせるための厚みがあり、さらに蓋材シート(アルミシート)の、容器用シートの収容部と対応する部位が、収容物の押し出し時に必要な破断性をもたせるための薄さをもち合わせているので、PTP包装体の容器用シートの収容物収容部を蓋材側に押し込んで蓋材シート(アルミシート)の一部を破断させて収容物を1つ1つ取り出すことが出来る上に、収容部が2つ以上連続した本発明PTP包装体の剥離用つかみ代を掴んで容器用シートから蓋材シート(アルミシート)を剥がし取ることで複数の収容物を取り出すことができるので使用者はPTP包装体から収容物を取り出す際に利便性の高い収容物の取り出し方を選択することが出来る。
【0011】
よって、本発明PTP包装体の使用者が患者の場合は、患者個々の錠剤やカプセルなどの使用数量に応じて利便性の高い収容物の取り出し方ができる。
【0012】
なお使用者が薬剤師の場合においては、例えば錠剤の一包化調剤(錠剤を取り出し一回分ごとに袋詰めする)において蓋材シートの剥離用つかみ代を掴んで容器用シートから蓋材シートを剥がし取ることで複数の収容物を取り出すことができるので収容物を1つ1つ押し出して取り出す手間がはぶけ、調剤に要する時間の短縮ができるので患者の待ち時間が短縮できる。また、複数の収容物を押し出す際に指が容器用シートから圧迫をうけ、痛くなることがなくなるといった効果がある。
【0013】
なおPTP包装体の容器用シートの錠剤やカプセルなどの収容部を蓋材側に押し込んで収容物を取り出す際に、指先に押し出す力が入りにくい高齢者や障害者などの場合においては、例えば本発明PTP包装体の蓋材シートの剥離用つかみ代を大きくして掴みやすくすることで、容器用シートからの蓋材シートの剥がし取りが容易にできるようになり、錠剤やカプセルなどが取り出しやすくなるといった効果がある。
【0014】
なお、本発明PTP包装体において蓋材シートと、容器用シートとを分別し廃棄することができるといった効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に、本発明PTP包装体の一実施例の断面構造を示す。
錠剤40の収容部11を形成した容器用シート10と、錠剤40の収容部11の蓋材シート(アルミシート)30からなるPTP包装体において、
(1)蓋材シート(アルミシート)30が、容器用シート10から剥離可能な強度をもたせるため厚く、
(2)蓋材シート(アルミシート)30の、容器用シート10の収容部11と対応する部位20が、収容物の押し出し時に必要な破断性をもたせるため薄く、
容器用シート10と蓋材シート(アルミシート)30をヒートシールすることで錠剤40の収容部11に蓋をする構造のPTP包装体である。
容器用シート10と蓋材シート(アルミシート)30との間に無接着処理部分12を設けることで、剥離用つかみ代21が形成されている。
【0016】
上記PTP包装体において、錠剤40を取り出す際には、容器用シート10の錠剤40の収容部11を蓋材シート(アルミシート)30側に押し込んで、薄く加工されたアルミシート20の一部を破断させて錠剤40を取り出すか、剥離用つかみ代21を掴んで容器用シート10から、蓋材シート(アルミシート)30を剥がし取ることで錠剤40を取り出すことが出来る。
【0017】
図2は本発明PTP包装体の一実施例で、収容部の上から包装体を見た図である。図3は図2のA1−A2線で切断した場合の断面図である。
本発明PTP包装体では、必要に応じて容器用シート10と蓋材シート(アルミシート)30の間に無接着処理部分12を設けることで、容器用シート10から蓋材シート(アルミシート)30を剥がし取るための剥離用つかみ代21を形成することができる。PTP包装体の切り離し線(スリットまたはミシン目)がなく連続した構造になっているので、一度の剥離作業で複数の錠剤40の取り出しが可能である。
【0018】
図4は、剥離用つかみ代をスリット70によって形成した場合に図2のA1−A2線で切断した一実施例の断面図である。容器用シート10にスリット70をいれ、図5に示すように容器用シート10のみをカットし、剥離用つかみ代21を形成することができる。
【0019】
容器用シートはPVC、PP、PE、PETなどのプラスチック材料を使用することができる。その他、容器用シートは金属箔の容器、合成樹脂と金属箔とのラミネート容器であっても良い。これらの材料を用い、熱間真空成形、熱間圧空成形、プラグアシスト成形などにより医薬品等の収容部を成形する。
【0020】
蓋材シート(アルミシート)は材料として、アルミを使用することができる。
PTPシートの収容物収容部と対応する部位を薄く成形する。
【0021】
本発明のPTP包装体の、容器用シートと蓋材シート(アルミシート)のシール方法は、容器用シートの収容物収容部を蓋材側に押し込んで蓋材シート(アルミシート)の一部を破断させて収容物を1つ1つ取り出す際、各シール面において不用意な剥離が起こらない状態が維持できる限りは特に制限されない。
【0022】
必要に応じて、容器用シートから蓋材シート(アルミシート)を剥離した際の剥離面に改ざん防止の加工をする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明PTP包装体の断面図。
【図2】本発明PTP包装体を上から見た図(正面図)。
【図3】〔図2〕のA1−A2線で切断した場合の断面図。無接着処理部分を設けることで剥離用つかみ代が形成された場合
【図4】〔図2〕のA1−A2線で切断した場合の断面図。容器用シートにスリットを設けることで剥離用つかみ代が形成された場合
【図5】〔図4〕のスリットを利用して剥離用つかみ代を形成し、蓋材シートを容器用シートから剥がしている状態の断面図。
【符号の説明】
【0024】
10 容器用シート
11 収容部
12 無接着処理部分
20 薄く加工されているアルミシート
21 剥離用つかみ代
30 蓋材シート(アルミシート)
40 錠剤
70 容器用シートのみをカットし剥離用つかみ代を形成するためのスリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製剤を収容するための収容部が2つ以上形成された容器用シートと、当該収容部の蓋材シート(アルミシート)からなるPTP包装体において、
(1)蓋材シート(アルミシート)が、容器用シートから剥離可能な強度をもたせるため厚く、
(2)蓋材シート(アルミシート)の、容器用シートの収容部と対応する部位が、収容物の押し出し時に必要な破断性をもたせるため薄く、
加工されていることを特徴とするPTP包装体。
【請求項2】
容器用シートと蓋材シート(アルミシート)の間に、剥離用つかみ代として無接着処理部分を有する請求項1記載のPTP包装体。
【請求項3】
容器用シートの一部をカットし、剥離用つかみ代とするためのスリットを容器用シートに有する請求項1記載のPTP包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−197084(P2007−197084A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47447(P2006−47447)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(505262594)
【Fターム(参考)】