説明

包装体

【課題】多種・多様な製品が並存する状況の下でも、購入者(特に高齢者)が自らの目的に合致した種類の製品を的確に識別、購入することを容易にする包装体を提供する。
【解決手段】使い捨て吸収性物品2と、使い捨て吸収性物品2を包装する包装フィルム4とを備え、包装フィルム4に、使い捨て吸収性物品2の種類に関連付けられたシンボル図形6が描かれており、シンボル図形6として、使い捨て吸収性物品2とは無関係の対象物をモチーフとする図形が描かれている包装体1A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、使い捨ておむつ、使い捨て尿パッド、生理用ナプキン、軽失禁パッド等をはじめとする使い捨て吸収性物品が包装された包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、使い捨ておむつ、使い捨て尿パッド、生理用ナプキン、軽失禁パッド等をはじめとする使い捨て吸収性物品は、包装フィルムによって包装された包装体の形で市販されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
そして、前記のような包装体は、被包装物である吸収性物品の特徴を示すことを目的として、使い捨て吸収性物品の形状を示す図形、より具体的には、吸収性物品自体の形状を示す斜視図や展開図、又は吸収性物品を装着した着用者の写真等が包装体の正面に相当する部分に大きく描かれていることが多い(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−91797号公報
【特許文献2】実開平7−24764号公報
【特許文献3】特開2003−52502号公報(図3、図17)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、使用者の状態や使用目的に応じた多種・多様な吸収性物品が提供されているため、吸収性物品の形状を示す図形を頼りに、使用者の状態や使用目的に合致した種類の製品を探し出すことは容易ではない。
【0006】
例えば、量販店等においては、テープ型使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつ、使い捨て尿パッド等の基本構造が異なるものの他、夜用、長時間用、薄型といった吸収性能の異なるもの等、様々な吸収性物品が陳列されている。このように、多種・多様な吸収性物品が並存する状況の下で、使用者の状態や使用目的に合致した種類の吸収性物品を的確に識別し、購入することは困難である。特に、購入者が使用者である高齢者自身である場合、視力や記憶力の低下に起因して、以下のような問題が発生するおそれがある。
【0007】
第1には、包装フィルムに吸収性物品の形状が図示されていても、その微細な形状の差異から、吸収性物品の種類を識別するのは難しいという問題がある。
【0008】
第2には、高齢者が吸収性物品の商品名やブランド名を頼りに、目的の吸収性物品を購入しようとしても、その記憶が曖昧になり易く、購入時における吸収性物品の種類の識別にはあまり役立たないという問題がある。商品名やブランド名は高齢者にとって馴染みが薄く、記憶することが困難なためである。
【0009】
第3には、包装フィルムに示されている吸収性物品の種類を示す文字から吸収性物品の種類を識別するのは、困難であるという問題がある。吸収性物品の種類を示す文字は、吸収性物品の形状を示す図形、商品名、ブランド名等と比較すると、小さく表記されていることが多く、このような小さい文字から吸収性物品の種類を識別するのは、前記図形、商品名、ブランド名等を見て識別するよりも一層困難である。
【0010】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであって、多種・多様な製品が並存する状況の下でも、購入者(特に高齢者)が使用者の状態や使用目的に合致した種類の吸収性物品を的確に識別、購入することを容易にする包装体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、吸収性物品の形状を示す図形に代えて、吸収性物品の種類を、高齢者でも馴染み易い対象物(例えば、花の種類等)に関連付け、その関連付けた対象物をモチーフとしたシンボル図形を包装フィルムに描くことによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の包装体が提供される。
【0012】
[1] 使い捨て吸収性物品と、前記使い捨て吸収性物品を包装する包装フィルムとを備え、前記包装フィルムに、前記使い捨て吸収性物品の種類に関連付けられたシンボル図形が描かれており、前記シンボル図形として、前記使い捨て吸収性物品とは無関係の対象物をモチーフとする図形が描かれている包装体。
【0013】
[2] 前記シンボル図形が、暖色に着色されたものである前記[1]に記載の包装体。
【0014】
[3] 前記包装フィルムは、前記シンボル図形とともに、前記使い捨て吸収性物品の種類を示す文字が表記されたものである前記[1]又は[2]に記載の包装体。
【0015】
[4] 前記包装フィルムは、前記シンボル図形とともに、前記シンボル図形のモチーフとなった対象物の名称を示す文字が表記されたものである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の包装体。
【0016】
[5] 前記包装フィルムは、前記使い捨て吸収性物品の種類と、その種類の使い捨て吸収性物品に適した使用者の状態との対応関係を表す対応表が表記されたものである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の包装体。
【0017】
[6] 前記対応表は、使用者の状態が段階的に表記され、前記使い捨て吸収性物品の使用可能範囲が表記されたものである前記[5]に記載の包装体。
【0018】
[7] 前記対応表は、前記使い捨て吸収性物品の種類を示す文字と前記シンボル図形が併記されたものである前記[5]又は[6]に記載の包装体。
【発明の効果】
【0019】
本発明の包装体は、多種・多様な製品が並存する状況の下でも、購入者(特に高齢者)が使用者の状態や使用目的に合致した種類の吸収性物品を的確に識別、購入することを容易にするものである。また、本発明の包装体は、意匠的な効果にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の包装体を実施するための最良の形態について、図1〜図7を参照しながら具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える包装体を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
なお、作図の都合上、図1は包装体正面以外のデザインを、図7はガセットチューブの全てのデザインを捨象して作図を行った。
【0022】
[1]本発明の包装体の特徴的な構成:
本発明の包装体は、図1〜図4に示す包装体1Aのように、包装フィルム4に、使い捨て吸収性物品2の種類に関連付けられたシンボル図形6が描かれており、シンボル図形6として、使い捨て吸収性物品2とは無関係の対象物をモチーフとする図形が描かれているものである。
【0023】
即ち、従来の包装体のように、使い捨て吸収性物品の形状を示す図形(使い捨て吸収性物品自体の形状を示す斜視図や展開図、又は使い捨て吸収性物品を装着した着用者の写真等)を包装体の正面等に大きく描くのではなく、当該図形に代えて、使い捨て吸収性物品2とは無関係の対象物をモチーフとする図形を描いたものである。
【0024】
このような構成では、多種多様な吸収性物品の種類を、高齢者でも馴染み易い花の種類等に関連付けることができる。従って、吸収性物品の形状を示す図形が描かれているのみではその差異が判別し難い、吸収性物品の種類を容易に識別することが可能となる。
【0025】
また、シンボル図形のモチーフとして高齢者でも馴染み易い対象物とすれば、商品名やブランド名よりも容易に記憶することができ、吸収性物品の種類とのイメージの結びつきが強固なものとなる。従って、購入時における吸収性物品の種類の識別が容易となる。
【0026】
更には、包装体に小さく表記されていることが多い吸収性物品の種類を示す文字ではなく、包装体の正面等に大きく描かれたシンボル図形によって吸収性物品の種類を識別することができる。従って、小さな文字を頼りに吸収性物品の種類を識別する必要がなく、より簡便に吸収性物品の種類を識別することができる。
【0027】
更にまた、単に吸収性物品の形状を示す図形が描かれている場合と比較して、デザインの許容幅が広く、より審美性に優れたデザインの包装体とすることが可能となる。従って、意匠的な効果にも優れる。
【0028】
[1−1]シンボル図形:
本明細書において「シンボル図形」というときは、使い捨て吸収性物品の種類と関連付けられた図形を意味し、使い捨て吸収性物品とは無関係な対象物の中からモチーフを選択する。対象物の種類は特に限定されないが、高齢者にも馴染み深く、覚え易い対象物であることが好ましい。例えば、花、昆虫、果物、建物等の身近にある対象物の種類を、使い捨て吸収性物品の種類と関連付けることが好ましい。
【0029】
「関連付け」は、任意の組み合わせで行うことができる。例えば、パンツ型使い捨ておむつは「ひまわり」、テープ型使い捨ておむつは「チューリップ」、尿パッドは「マーガレット」といった具合である。この関連付けにより、購入者は「ひまわり」のおむつを購入すればよい、といった覚え方をすることが可能となる。
【0030】
シンボル図形は、包装フィルムに、使い捨て吸収性物品の形状を示す図形等に代えて大きく描かれることが好ましい。例えば、購入者が最も目にし易い包装体の正面に大きく描かれていることが好ましい。但し、包装体の側面や裏面に描かれていてもよい。
【0031】
「大きく描かれる」とは、包装体の一つの面(例えば、正面等)について考えた場合、その面の全面積に対して、シンボル図形が描かれている面積が20%以上を占めていることを意味する。シンボル図形の視認性を向上させる観点から、30%以上を占めていることがより好ましい。
【0032】
本発明の包装体は、シンボル図形が、暖色に着色されたものであることが好ましい。高齢者に多い白内障患者は、水晶体の濁りによって可視光線のうち短波長側の光により認識される色(青色等)を認識し難く、光の散乱によって像がぼけるという特徴がある。従って、シンボル図形を可視光線のうち長波長側の光によって認識される色、即ち暖色に着色することによって、高齢者であってもシンボル図形の認識が容易となる。「暖色」としては、赤、ピンク、オレンジ、茶、黄、黄緑、緑等の色を挙げることができ、中でも、赤、ピンク、オレンジ、茶、黄等の色が好ましい。
【0033】
なお、シンボル図形は、単色で着色されたものに限られず、複数色で着色されたものであってもよい。即ち、前記暖色を含む2以上の色を選択し、組み合わせて着色してもよい。この場合、暖色の組み合わせとしては、白内障患者が認識し易い色の組み合わせであることが好ましい。例えば、赤と白、赤と黄の組み合わせを挙げることができる。
【0034】
また、本発明の包装体は、図1〜図4に示す包装体1Aのように、包装フィルム4が、シンボル図形6とともに、使い捨て吸収性物品2の種類を示す文字8が表記されたものであることが好ましい。シンボル図形とともに、使い捨て吸収性物品の種類を示す文字を表記することにより、シンボル図形と使い捨て吸収性物品の種類との結びつきが強固なものとなる。従って、その図形を頼りに、目的とする種類の吸収性物品を購入することが一層容易となる。
【0035】
「使い捨て吸収性物品の種類」とは、使い捨て吸収性物品の基本構造の種別の他、吸収性能の種別、使用方法の種別等も含む概念である。基本構造を示す文字としては、例えば、「テープ」、「パンツ」、「尿パッド」、「両面吸収パッド」、「うす型」、「フラット」、「幅広テープ」等を挙げることができる。また、吸収性能や使用方法を示す文字としては、例えば、「長時間」、「昼(用)」、「夜(用)」等を挙げることができる。これらの文字を組み合わせて使用することもできる。
【0036】
更に、本発明の包装体は、図1〜図4に示す包装体1Aのように、包装フィルム4が、シンボル図形6とともに、シンボル図形6のモチーフとなった対象物の名称を示す文字10が表記されたものであることが好ましい。例えば、シンボル図形のモチーフとなった対象物が花である場合は、花のシンボル図形に加えて、その花の名称を表記する。これにより、花のシンボル図形と花の名称が相俟って、購入者の記憶が強固なものとなり、購入時に吸収性物品の種類を取り違えることが極めて少なくなる。
【0037】
[1−2]対応表:
本発明の包装体は、図4に示す包装体1Aのように、包装フィルム4が、使い捨て吸収性物品2の種類と、その種類の使い捨て吸収性物品2に適した使用者の状態との対応関係を表す対応表12が表記されたものであることが好ましい。このような対応表を表記することにより、万が一、シンボル図形の記憶が曖昧となってしまった場合でも、対応表の表記を頼りにして適切な種類の吸収性物品を購入することができる。
【0038】
対応表における使用者の状態を示す表記の方法については特に限定されない。例えば、使用者の状態を示す文字、図形、記号(マーク)等を表記すればよい。これらの2種以上を併記することも好ましい。例えば、文字と記号(マーク)を併記することにより、購入者の理解が更に容易となる利点がある。
【0039】
対応表は、使用者の状態が段階的に表記され、使い捨て吸収性物品の使用可能範囲が表記されたものであることが好ましい。使用者の状態を段階的に表記することにより、使用者の状態をより的確に把握することができ、使用者の状態に適した種類の吸収性物品を選択することが可能となる。
【0040】
また、対応表は、図5に示す対応表12のように、使い捨て吸収性物品2の種類を示す文字28とシンボル図形が併記されたものであることが好ましい。万が一、シンボル図形の記憶が曖昧となってしまった場合でも、対応表の表記から吸収性物品の種類とこれに関連付けられたシンボル図形についての記憶を呼び覚ますことができる。
【0041】
対応表の表記場所については特に制限はないが、包装体正面のデザインを阻害しない包装体裏面に表記することが好ましい。
【0042】
[2]本発明の包装体の他の構成:
本発明の包装体は、前記の特徴的な構成以外の部分については、従前の包装体に準じて構成することができる。
【0043】
[2−1]使い捨て吸収性物品:
使い捨て吸収性物品は、本発明の包装体の被包装物である。「使い捨て吸収性物品」としては、例えば、使い捨ておむつ、使い捨て尿パッド、生理用ナプキン、軽失禁パッド等を挙げることができる。中でも、高齢者が購入者となる場合が多い、成人用使い捨ておむつ、成人用使い捨て尿パッド、成人用軽失禁パッドは、本発明の包装体に好適に用いることができる。これらの使い捨て吸収性物品は、通常、包装に適した形状、大きさに折り畳まれた状態で包装される。
【0044】
[2−2]包装フィルム:
本発明の包装体は、使い捨て吸収性物品を包装する包装フィルムを備えている。「包装フィルム」としては、通常、樹脂フィルムが用いられる。樹脂フィルムは包装材料に利用されるものの中から適宜選択すればよく、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムの他、これらのフィルムとポリエステルフィルムとの積層フィルム等を好適に用いることができる。中でも、延伸性や強度に優れるポリエチレンフィルムが好ましい。
【0045】
樹脂フィルムには、フィルムの遮蔽性を向上させ、被包装物である使い捨て吸収性物品の光による劣化を防止することを目的として、酸化チタンを含有せしめたり、フィルム表面に印刷を施したりしてもよい。フィルムの厚さは、被包装物となる使い捨て吸収性物品の種類や重量により異なるが、40〜110μmとすることが好ましく、60〜90μmとすることが更に好ましい。
【0046】
「包装フィルム」は、被包装物である使い捨て吸収性物品を内包し得る内部空間が形成された袋状に構成して用いられる。その形態について特に制限はなく、従来公知の包装体に用いられる様々な形態を採用することができる。例えば、ガセットチューブシール袋、ループ袋、サイドウエルダー袋、合掌貼り袋、三方シール袋、スタンディングパウチ等の形態とすることが好ましく、中でも、ガセットチューブシール袋、ループバックの形態とすることが更に好ましい。
【0047】
ガセットチューブは、側縁に襠部が形成され、端縁が開口されたチューブ状の包装フィルムである。襠部とは、被包装物を袋に詰めた際に広がるように構成された襞状の部分を意味する。通常は、山折り線、谷折り線、山折り線の順で折り目を形成し、襞状とする構成が一般的である。ガセットチューブシール袋は、例えば、ガセットチューブの一方の端縁側の開口をヒートシール等の方法によって封着し、他方の端縁側が開放された袋状とし、その他方の端縁側の開口から、被包装物となる使い捨て吸収性物品を挿入した後、他方の端縁側の開口をヒートシール等の方法によって封着することにより形成することができる。
【0048】
ループ袋も基本的にはガセットチューブ袋と同様の構成であるが、別途、帯状の把手(ループ)が付設されたものである。ループ袋は、例えば、ガセットチューブの一方の端縁側の開口をヒートシール等の方法によって封着し、帯状の把手(ループ)を付設した後、他方の端縁側が開放された袋状とし、その他方の端縁側の開口から、被包装物となる使い捨て吸収性物品を挿入した後、他方の端縁側の開口をヒートシール等の方法によって封着することにより形成することができる。帯状の把手(ループ)の材料には、通常、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂からなる帯状体が用いられる。
【0049】
サイドウエルダー袋は、略矩形状のフィルムが二つ折りにして重ね合わされ、前記フィルムの重ね合わされた側縁及び前記フィルムの両端縁の三つの縁部が「コの字型」を描くように接合された構造の袋である。
【0050】
合掌貼り袋は、例えば、ポテトチップスの袋等に利用される形態であり、略矩形状のフィルムの両側縁を、フィルムの内面同士が当接するように接合して筒状とし、前記接合部が袋の中央部に位置するように、前記フィルムの両端縁が接合された構造の袋である。この合掌貼り袋は、前記接合部が袋の中央部に位置するため、フィルム同士の接合部はサイドウエルダー袋のような「コの字型」ではなく、「H字型」に配置される。
【0051】
三方シール袋は、予め、二枚の矩形状のフィルムが重ね合わせ、その両側縁及び一方の端縁が予め接合されており、被包装物となる使い捨て吸収性物品を挿入した後に、残る一方の端縁を接合させたような構造の袋である。スタンディングパウチは、三方シール袋の一種であるが、底部にマチを設け、被包装物が挿入された際に自立することが可能な袋である。
【0052】
三つ折り個別包装袋は、例えば、生理用ナプキンに用いられる形態であり、被包装物となる使い捨て吸収性物品とフィルムとを重ねて三つに折りたたみ、フィルムの両側縁をクリンパーで封着した袋である。
【0053】
なお、包装フィルムは、複数の吸収性物品を一括して包装する一括包装フィルムであってもよいし、単数の吸収性物品を個別に包装する個別包装フィルムであってもよい。
【0054】
なお、包装フィルムには、予め、包装体を開封して被包装物である使い捨て吸収性物品を取り出すためのミシン目を形成しておいてもよい。このようなミシン目を形成することにより、比較的簡便に、力を要することなく被包装物である使い捨て吸収性物品を取り出すことができる。ミシン目の形成位置は特に限定されるものではなく、使い捨て吸収性物品の取出しが容易となる位置に形成すればよい。
【実施例】
【0055】
以下、本発明の包装体について、図面を参照しながら更に具体的に説明する。但し、本発明の包装体は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
(実施例1)
図1〜図4に示す包装体1Aは、包装フィルム4に、使い捨て吸収性物品2の種類に関連付けられたシンボル図形6が描かれている。そして、そのシンボル図形6としては、使い捨て吸収性物品2とは無関係の対象物をモチーフとする図形が描かれている。
【0057】
[1]シンボル図形の構成:
包装体1Aは、図1〜図3に示すように、包装フィルム4に、コスモスをモチーフとしたシンボル図形6が描かれている。「コスモス」は、花の種類であり、使い捨て吸収性物品とは直接的な関係がない対象物である。そして、包装体1Aでは、この「コスモス」が「フラットタイプの尿パッド」と関連付けられている。
【0058】
包装体1Aにおいては、図2及び図3に示すように、シンボル図形6は、包装体1Aの正面及び左側面に大きく描かれている。具体的には、包装体1Aの正面の全面積に対して60%、左側面の全面積に対して40%を占めるように描かれている。
【0059】
コスモスのシンボル図形6は、その花びらが赤及び濃いピンク、中心部分が黄、茎の部分が黄緑という暖色に着色され、購入者、特に高齢者に多い白内障患者にも認識し易いように工夫されている。
【0060】
また、図1〜図4に示す包装体1Aは、包装フィルム4に、コスモスのシンボル図形6とともに、使い捨て吸収性物品2の種類(フラットタイプの尿パッド)を示す「フラットタイプ」という文字8が表記されている。即ち、シンボル図形6と使い捨て吸収性物品2の種類を示す文字8とが併記され、シンボル図形6と使い捨て吸収性物品2の種類との結びつきを強固なものとしている。
【0061】
更に、図1〜図4に示す包装体1Aは、包装フィルム4に、コスモスのシンボル図形6とともに、モチーフとなった対象物の名称を示す「コスモス」の文字10が表記されている。即ち、コスモスのシンボル図形6に加えて、その名称である「コスモス」の文字10が併記され、シンボル図形6がコスモスをモチーフとした図形であることをより明確とする工夫がなされている。
【0062】
[2]対応表の構成:
図4に示す包装体1Aは、包装フィルム4に、使い捨て吸収性物品2の種類と、その種類の使い捨て吸収性物品2に適した使用者の状態との対応関係を表す対応表12が表記されている。この対応表12は、包装体1A裏面の右下側の領域に表記されている。
【0063】
図5は、図4に示す包装体1Aの背面のうち対応表の部分を拡大して示す一部背面図である。但し、図5においては、作図の都合上、本来、包装体の略図30中に描かれているシンボル図形、使い捨て吸収性物品の種類を示す「フラットタイプ」の文字、モチーフとなった対象物の名称を示す「コスモス」の文字が捨象されている。即ち、対応表12には、図2に示されるデザインをそのまま縮小したデザインが描かれている。
【0064】
この対応表12には、使用者の状態が段階的に表記され、使い捨て吸収性物品の使用可能範囲が表記されている。
【0065】
使用者の状態を段階的に示す表記16は、使用者の状態を示すパラメータの表記18、使用者の状態を段階的に示す文字20、使用者の状態を段階的に示すマーク22からなっている。
【0066】
使用者の状態を示すパラメータの表記18は、パラメータとなる「横になっている時間」という文字の左右両側に「低」、「高」の文字と、方向を示す2つの矢印から構成されている。使用者の状態を段階的に示す文字20は、対応表12の左側から右側に向かって、「ひとりで歩ける」、「杖をつけば歩ける」、「介護があれば歩ける」、「立つことはできる」、「布団の上で座っていられる」、「自分で寝返りはうてる」、「寝返りに介護が必要」という文字から構成されている。そして、使用者の状態を段階的に示すマーク22は、使用者の状態を段階的に示す文字20と対応する、使用者の状態をイラスト化したマークから構成されている。
【0067】
使い捨て吸収性物品の使用可能範囲を示す表記24としては、使用者の状態を段階的に示す表記16のうち使用可能な範囲を特定するように帯状のライン26が図示されている。このライン26には、「フラットタイプ」という吸収性物品の種類を示す文字28が付記されていて、ライン26によって、この種類の吸収性物品の使用可能範囲が示されていることを明確化している。
【0068】
また、図4に示すように、対応表12には、使い捨て吸収性物品2の種類を示す「フラットタイプ」の文字28とコスモスのシンボル図形が併記されている。コスモスのシンボル図形は、包装体の略図30の一部として、ライン26上に描かれている。また、ライン26には、吸収性物品の形状を示す斜視図の図形32が併せて表記されており、「フラットタイプ」の文字28、コスモスのシンボル図形(包装体の略図30)と相俟って、吸収性物品の種類を明確に特定している。
【0069】
[3]他の部分の構成:
包装体1Aは、使い捨て吸収性物品2と、使い捨て吸収性物品2を包装する包装フィルム4とを備えるものである。
【0070】
[3−1]使い捨て吸収性物品:
包装体1Aは、被包装物となる使い捨て吸収性物品2がフラットタイプの尿パッドである包装体である。包装体1Aでは、折り畳まれた30枚の尿パッドが立てた状態で包装されている。
【0071】
[3−2]包装フィルム:
包装体1Aは、包装フィルム4として、ガセットチューブを用いている。このガセットチューブは、延伸性や強度に優れるポリエチレン製のフィルムから構成されている。ガセットチューブとしては、幅290mm、長さ625mm、襠部の幅150mm、厚さ58μmのものを用いている。
【0072】
包装フィルム4の包装体1A右側面に相当する部分には、吸収性物品の使用方法を示す工程図34が描かれている。
【0073】
包装フィルム4には、図4及び図6に示すように、包装体1Aを開封して被包装物である使い捨て吸収性物品を取り出すためのミシン目36が形成されている。ミシン目36は、包装体1Aの裏面から上面にかけて概ね円弧状に形成されている。
【0074】
[3−3]その他:
包装体1Aは、図1に示すように、包装体1A上部のフラップ部72に、複数の切れ目74が断続的に配置されている。複数の切れ目74の間の不連続部76を破断することで、把手78を形成することができる。
【0075】
[4]製造方法:
図1〜図4に示す包装体1Aは、例えば、図7に示すような方法により製造することができる。まず、側縁82に襠部84が形成されたガセットチューブ80を用意する。このガセットチューブ80には、予め、シンボル図形、対応表等を印刷しておく。
【0076】
次いで、このガセットチューブ80の一方の端縁86a側の開口をヒートシールによって封着し、他方の端縁86b側が開放された袋状とする。封着は、ガセットチューブ80の一方の端縁86aに沿って、直線状の2箇所の封着部70を形成することにより行う。この2箇所の封着部70の間がフラップ部72となる。
【0077】
更に、フラップ部72に、把手の形状に沿って、複数の切れ目74を断続的に配置する。これらの切れ目74は、所望の曲げ形状を有するカッターで打ち抜くことにより形成することができる。このようなガセットチューブ80は、複数の切れ目74の間の不連続部76を破断することで、把手78を形成することができる。
【0078】
最後に、ガセットチューブ80の端縁86b側の開口から、被包装物となる使い捨て吸収性物品2、具体的には、折り畳まれたフラットタイプの尿パッドの束を挿入し、端縁86b側の開口をヒートシールによって封着して、端縁86a側と同様に封着部を形成することにより、図1〜図4に示す包装体1Aを製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の包装体は、例えば、使い捨ておむつ、使い捨て尿パッド、生理用ナプキン、軽失禁パッド等をはじめとする使い捨て吸収性物品を包装する包装体として好適に用いることができる。中でも、高齢者が購入者となる場合が多い、成人用使い捨ておむつ、成人用使い捨て尿パッド、成人用軽失禁パッドを包装する包装体として特に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の包装体の一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す包装体の正面の一部を示す一部正面図である。
【図3】図1に示す包装体の左側面の一部を示す一部左側面図である。
【図4】図1に示す包装体の背面の一部を示す一部背面図である。
【図5】図4に示す包装体の背面のうち対応表の部分を拡大して示す一部背面図である。
【図6】図1に示す包装体を構成する包装フィルムを展開した状態を示す展開図である。
【図7】本発明の包装体を製造する工程を示す工程図である。
【符号の説明】
【0081】
1A:包装体、2:使い捨て吸収性物品、4:包装フィルム、6:シンボル図形、10:文字、12:対応表、14:文字、16:表記、18:表記、20:文字、22:マーク、24:表記、28:文字、30:略図、32:図形、34:工程図、36:ミシン目、70:封着部、72:フラップ部、74:切れ目、76:不連続部、78:把手、80:ガセットチューブ、82:側縁、84:襠部、86,86a,86b:端縁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て吸収性物品と、前記使い捨て吸収性物品を包装する包装フィルムとを備え、
前記包装フィルムに、前記使い捨て吸収性物品の種類に関連付けられたシンボル図形が描かれており、
前記シンボル図形として、前記使い捨て吸収性物品とは無関係の対象物をモチーフとする図形が描かれている包装体。
【請求項2】
前記シンボル図形が、暖色に着色されたものである請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記包装フィルムは、前記シンボル図形とともに、前記使い捨て吸収性物品の種類を示す文字が表記されたものである請求項1又は2に記載の包装体。
【請求項4】
前記包装フィルムは、前記シンボル図形とともに、前記シンボル図形のモチーフとなった対象物の名称を示す文字が表記されたものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項5】
前記包装フィルムは、前記使い捨て吸収性物品の種類と、その種類の使い捨て吸収性物品に適した使用者の状態との対応関係を表す対応表が表記されたものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項6】
前記対応表は、使用者の状態が段階的に表記され、前記使い捨て吸収性物品の使用可能範囲が表記されたものである請求項5に記載の包装体。
【請求項7】
前記対応表は、前記使い捨て吸収性物品の種類を示す文字と前記シンボル図形が併記されたものである請求項5又は6に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−96517(P2009−96517A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270010(P2007−270010)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】