説明

包装体

【課題】開封テープを引っ張った際に、開封テープに追従して包装フィルムが伸張することを有効に防止し、開封テープの配置位置に沿って容易かつ確実に包装フィルムを破断し、包装体を開封することが可能な使い捨て紙製品の包装体を提供する。
【解決手段】使い捨て紙製品2Aと、使い捨て紙製品2Aを被包する包装フィルム4Aと、包装フィルム4Aに接合された開封テープ30Aと、包装フィルム4Aに固定された、包装フィルム4Aよりも伸張率の低い押さえ部材32Aと、を備え、押さえ部材32Aが、開封テープ30Aの少なくとも一の側縁に沿って配置されている包装体1A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルムにより、複数の使い捨て紙製品が一体的に包装された包装体に関するものである。より具体的には、包装フィルムを開封するための開封テープが備えられた使い捨て紙製品の包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロール状衛生用紙(トイレットペーパー、キッチンペーパー、タオルペーパー、クッキングシート等)、カートン入り衛生用紙(ティシュペーパー等)、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等の使い捨て紙製品は、複数の使い捨て紙製品が一体的に包装された包装体の状態で市販されている。
【0003】
通常、このような包装体は、複数の使い捨て紙製品が多段に積層された状態で包装フィルムによって被包されている。そして、包装体の開封や使い捨て紙製品の取出しを容易とするために、包装フィルムに開封用のミシン目を形成した包装体が知られている(特許文献1〜3参照)。
【0004】
しかし、これらの包装体は製造時や輸送時の衝撃によってミシン目が破断され、意図せず包装体が開封されてしまう場合があった。このような場合、包装フィルムは包装材としての用をなさなくなり、包装体が不良品になるといった問題がある。
【0005】
そこで、ミシン目に代えて、包装フィルムに別体の開封テープを接合した包装体が提案されている。例えば、包装フィルムより強度が高い開封テープを包装フィルムの内表面に貼着した包装体が開示されている(特許文献4参照)。また、開封テープが包装フィルムの外表面に接着されてなる包装体も開示されている(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−104356号公報
【特許文献2】特開平8−244829号公報
【特許文献3】特開2004−1802号公報
【特許文献4】特開2003−341724号公報
【特許文献5】特開2008−239222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献4又は5に記載の包装体はミシン目のような破断され易い脆弱部を有しておらず、開封テープを引っ張った際に初めて包装フィルムが引き裂かれ破断されるように構成されている。従って、意図せず包装体が開封されてしまう事態を有効に防止することが期待できる。
【0008】
しかし、これらの包装体は、開封テープを引っ張った際に開封テープに追従して包装フィルムが伸張してしまうことに起因して、1)包装フィルムをうまく破断することができない、或いは、2)包装フィルムを意図する方向に破断することができない、という課題があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであって、開封テープを引っ張った際に、開封テープに追従して包装フィルムが伸張することを有効に防止し、開封テープの配置位置に沿って容易かつ確実に包装フィルムを破断し、包装体を開封することが可能な使い捨て紙製品の包装体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、柔軟で伸び易い包装フィルムを補強するために、開封テープの配置位置に隣接するように、包装フィルムよりも伸張率の低い押さえ部材を配置することによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の包装体が提供される。
【0011】
[1] 使い捨て紙製品と、前記使い捨て紙製品を被包する包装フィルムと、前記包装フィルムに接合された開封テープと、前記包装フィルムに固定された、前記包装フィルムよりも伸張率の低い押さえ部材と、を備え、前記押さえ部材が、前記開封テープの少なくとも一の側縁に沿って配置されている包装体。
【0012】
[2] 前記押さえ部材が、前記開封テープの両側縁に沿って配置されている前記[1]に記載の包装体。
【0013】
[3] 前記押さえ部材が、枠状に形成されている前記[2]に記載の包装体。
【発明の効果】
【0014】
本発明の包装体は、開封テープを引っ張った際に、開封テープに追従して包装フィルムが伸張することを有効に防止し、開封テープの配置位置に沿って容易かつ確実に包装フィルムを破断し、包装体を開封することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明の包装体の一の実施形態を模式的に示す概略斜視図である。
【図1B】図1Aに示す包装体のA−A’断面の一部を模式的に示す概略断面図である。
【図1C】図1Aに示す包装体のB−B’断面の一部を模式的に示す概略断面図である。
【図2】本発明の包装体の別の実施形態を模式的に示す概略斜視図である。
【図3A】本発明の包装体に用いる押さえ部材の一の形態を模式的に示す概略平面図である。
【図3B】本発明の包装体に用いる押さえ部材の別の形態を模式的に示す概略平面図である。
【図3C】本発明の包装体に用いる押さえ部材の更に別の形態を模式的に示す概略平面図である。
【図3D】本発明の包装体に用いる押さえ部材の更にまた別の形態を模式的に示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の包装体を実施するための形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える包装体を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、作図の都合上、図1B及び図1Cにおいては、開封テープ30Aと包装フィルム4Aとの接合部を捨象した。
【0017】
[1]本発明の包装体の構成:
本発明の包装体は、例えば、図1A〜図1Cに示す包装体1Aのように、使い捨て紙製品2Aと、使い捨て紙製品2Aを被包する包装フィルム4Aと、包装フィルム4Aに接合された開封テープ30Aと、包装フィルム4Aに固定された、包装フィルム4Aよりも伸張率の低い押さえ部材32Aと、を備え、押さえ部材32Aが、開封テープ30Aの少なくとも一の側縁に沿って配置されているものである。
【0018】
本発明の包装体は、図1A〜図1Cに示す包装体1Aのように、包装フィルム4Aの一部が包装フィルム4Aよりも伸張率の低い押さえ部材32Aによって補強される。従って、包装フィルム4Aが柔軟で伸び易い材質からなるものであっても、押さえ部材32A近傍に位置する包装フィルム4Aの伸張が抑制される。また、押さえ部材32Aは開封テープ30Aに沿って配置されているので、開封テープ30Aを引っ張る際のガイド部材として機能する。従って、包装フィルム4Aを意図する方向に確実に破断することができる。
【0019】
[1−1]押さえ部材:
本発明の包装体は、図1A〜図1Cに示すように、包装フィルム4Aよりも伸張率の低い押さえ部材32Aを備えている。
【0020】
押さえ部材は包装フィルム4Aよりも伸張率が低ければよく、その条件を満たす限り、構成材質は特に限定されない。但し、成形や包装フィルムに対する固定の容易さを考慮すると、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂からなるフィルム(厚さ0.2mm未満)やシート(厚さ0.2mm以上)であって、硬質のものが好ましい。
【0021】
なお、伸張率の具体的な値は特に限定されず、使用する包装フィルムに対して相対的に伸張率が低いものを用いればよい。例えば、ロール状トイレットペーパー包装用の包装フィルムとしては、厚さ50〜110μmのポリエチレンやポリプロピレン製フィルムが用いられることが多い。この場合、押さえ部材として、その包装フィルムと同じ材質からなり、厚さがその包装フィルムの厚さの3倍の150〜330μmのフィルムを用いることができる。同様に、カートン入りティシュペーパーの包装フィルムとしては、厚さ10〜35μmのポリエチレンやポリプロピレン製フィルムが用いられることが多い。この場合、押さえ部材として、その包装フィルムと同じ材質であってその厚さが包装フィルムの厚さの2倍の30〜105μmのフィルムを用いることができる。
【0022】
図1Aに示すように、押さえ部材32Aは開封テープ30Aの少なくとも一の側縁に沿って配置する必要がある。通常、開封テープは長尺形状に形成されるから、押さえ部材もこれに対応する長尺形状に形成されることになる。即ち、「開封テープの少なくとも一の側縁に沿って」とは、開封テープの長手方向に沿って配置することを意味する。この際、押さえ部材は、必ずしも開封テープと同じ長さに形成する必要はない。但し、押さえ部材の効果を確実に発揮させるため、開封テープのうち、少なくとも包装フィルムとの接合始端から接合終端までの部分をカバーする長さに形成することが好ましい。
【0023】
開封テープの少なくとも一の側縁に沿って配置されている限り、押さえ部材の具体的な形状は特に限定されない。例えば、最もシンプルな形状としては、図3Aに示す押さえ部材32DのようなI字型(長尺の短冊状)のものを挙げることができる。この例では、開封テープ30の図中右側の側縁に沿ってI字型の押さえ部材32Dが配置されている。
【0024】
また、図3Aに示すようなI字型の押さえ部材32Dの変形例として、図3Bに示す押さえ部材32EのようなU字型(コの字型)のものを挙げることもできる。この形状は開封テープ30の側縁に沿う部分に加えて、開封テープ30の延長線と直交するように押さえ部材32Eが張り出した形状である。この形状の押さえ部材は、図3Aに示すようなI字型の押さえ部材32Dと比較して、開封テープ30と包装フィルム4の接合始端E1を開封テープ30の延長線と直交する方向からも包囲して押さえることができる。従って、開封テープ30を引っ張った際にその引っ張り力が接合始端E1に確実に伝達され、包装フィルム4を容易に破断することができる。また、接合終端E2側においても包装フィルム4の切れ目の伸展が押さえ部材32Eで止まるため、必要以上に包装フィルム4を破断してしまうことがない。
【0025】
なお、「接合始端」とは、開封テープと包装フィルムとを接合する接合部の一の端部であって、開封テープによる包装フィルムの破断が開始される側の端部を意味し、「接合終端」とは、前記接合部の他の端部であって、開封テープによる包装フィルムの破断が終了する側の端部を意味するものとする。例えば、図3A〜図3Dに示す例では、タブ34を引っ張ることによって開封テープ30による包装フィルム4の開封(破断)が開始されるから、タブ34に近い側の接合端が接合始端E1となる。なお、図3B及び図3Dに示す例では、接合終端E2は、押さえ部材32E,32Hの裏側に位置している。
【0026】
本発明の包装体は、図3Cに示すように、押さえ部材32F,32Gが、開封テープ30の両側縁に沿って配置されていることが好ましい。この形態では、開封テープ30両側縁に配置された押さえ部材32F,32Gによって、開封テープ30に作用する引っ張り力が押さえ部材32F,32Gの間の領域に集中的に作用させることができ、包装フィルム4が意図しない方向に破断されることを有効に防止することができる。即ち、図3A及び図3Bに示す形態と比較して、開封テープ30の配置位置に沿って包装フィルム4を破断するという効果が更に優れる。図3Cにおいては、図3Aと同様のI字型の押さえ部材32F,32Gを開封テープ30の左右両側に各1本ずつ配置した例を示している。
【0027】
本発明の包装体は、図3Dに示すように、押さえ部材32Hが、枠状に形成されていることが好ましい。図1A〜図1Cに示す包装体1A、図2に示す包装体1Bもこの形態を採用しており、枠状に形成された押さえ部材32A,32Bを備えている。この形態は、図3Bに示すように押さえ部材32EをU字型(コの字型)に形成する形態と、図3Cに示すように開封テープ30の両側縁に沿って押さえ部材32F,32Gを配置する形態とを組み合わせた形態とも言え、両形態の効果を併せ持つものである。即ち、開封テープ30の接合始端E1側においては引っ張り力を確実に伝達することができ、接合終端E2側では必要以上に包装フィルム4の切れ目が伸展し過ぎることがなく、開封テープ30の配置位置に沿って包装フィルム4を破断するという効果が更に優れる。
【0028】
押さえ部材は、接着剤による接着、加熱による融着(ヒートシール)、超音波による融着等の手段により、容易に剥離しないように包装フィルムに固定する。図1B及び図1Cに示す包装体1Aは、図中「×」で示される接合部によって押さえ部材32Aの全面が包装フィルム4Aに接合され、固定されている。
【0029】
[1−2]開封テープ:
本発明の包装体は、図1A〜図1Cに示す包装体1Aのように、包装フィルム4Aに接合された開封テープ30Aを備えている。
【0030】
開封テープは、包装フィルムを開封するために使用されるテープ状部材である。包装フィルムに接合された開封テープを引っ張ることにより、これに接合された包装フィルムも追従して引っ張られるため、包装フィルムが引き裂かれて破断される。このような構造であれば、開封テープに引っ張り力を加えない限り包装フィルムが破断されることはなく、ミシン目のように意図せず包装フィルムが破断されてしまうことを有効に防止することができる。
【0031】
開封テープの構成材料は特に限定されない。但し、引っ張った際に容易に千切れない程度の強度を有する材料であることが好ましい。例えば、包装フィルムと同様の樹脂材料からなるテープ、より具体的には、低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、延伸ポリプロピレン等の樹脂材料からなるテープを挙げることができる。中でも、延伸性や強度の面で、高密度ポリエチレン、延伸ポリプロピレンからなるテープが好ましい。なお、開封テープは、包装フィルムと同じ材質から構成されていてもよいし、異なる材質から構成されていてもよい。
【0032】
開封テープは、包装フィルムに接合されている。より具体的には包装フィルムの内表面(使い捨て紙製品と接触する面)又は外表面(前記内表面と背向する面)に接合されている。中でも、図1A〜図1Cに示すように、包装フィルム4Aの外表面に開封テープ30Aが接合されていることが好ましい。このような形態は、包装フィルムの内表面に開封テープを接合する形態のように、包装フィルムの内表面側から外表面側に開封テープを貫通させて、開封テープの端部を包装フィルム外表面側に露出させる等の処理が必要ない。従って、包装体の構造も簡素なものとなり、包装体の製造も容易となる。
【0033】
開封テープは、接着剤による接着、加熱による融着(ヒートシール)、超音波による融着等の手段により、容易に剥離しないように包装フィルムに接合する。この際、開封テープの剥離強度が包装フィルムの破断強度よりも高くなるように、包装フィルムに開封テープを接合することが好ましい。こうすることにより、開封テープを引っ張った際に開封テープのみが包装フィルムから剥離して、包装フィルムを破断できないといった不具合を生じ難くなる。接合力は接着剤の種類や融着の強度の他、包装フィルムとの接合部を断続的に形成して、その接合面積や接合のピッチを増減させることによっても調整することができる。
【0034】
開封テープは、図1Aに示すように、包装フィルム4Aのうち多段又は多列に積層された複数の使い捨て紙製品2Aの境界に沿って配置されていることが好ましい。このような形態では、使い捨て紙製品2Aの境界に沿って包装フィルム4Aが破断されるため、使い捨て紙製品2Aを個別に取り出すことが容易となる。
【0035】
例えば、図1Aに示す包装体1Aにおいては、複数の使い捨て紙製品2A(ロール状トイレットペーパー12)を列ごとに(即ち左右に)区切る境界に沿って開封テープ30Aが配置されている。そして、使い捨て紙製品2Aを左右いずれの列からも容易に取り出すことができるようになっている。
【0036】
ロール状衛生用紙を被包装物とする包装体においては、複数の使い捨て紙製品を列ごとに(即ち左右に)区切る境界に沿って開封テープを配置するのみでは、開封テープを容易に引っ張ることができず、包装フィルムをうまく破断できない場合がある。これは、1)開封テープを配置した前記境界近傍においては包装フィルムがロール状衛生用紙と接触しておらず浮いた状態にあること、2)包装フィルムは柔軟で伸び易い材質によって構成されていること、等の理由により、包装フィルムの開封テープ近傍の領域を押さえつけることが困難であることによる。
【0037】
しかし、本発明の包装体は、図1Aに示す包装体1Aのように、開封テープ30Aに沿って包装フィルム4Aよりも伸張率の低い押さえ部材32Aが配置されているため、柔軟で伸び易い包装フィルム4Aを押さえ部材32Aで押さえながら、開封テープ30Aを引っ張ることができる。従って、複数のロール状衛生用紙(図示の例ではロール状トイレットペーパー12)を列ごとに(即ち左右に)区切る境界に沿って開封テープ30Aを配置した場合でも、開封テープ30Aを容易に引っ張ることができ、包装フィルム4Aをうまく破断することができる。
【0038】
なお、図1Aに示す包装体1Aは、複数の使い捨て紙製品2Aを列ごとに(即ち左右に)区切る境界に沿って開封テープ30Aを配置した例であるが、複数の使い捨て紙製品を段ごとに(即ち上下に)区切る境界に沿って開封テープを配置する形態も好ましい形態の一つである。例えば、図2と同様のカートン入りティシュペーパーを包装する包装体において、各々のカートン入りティシュペーパーの境界に沿って開封テープを配置してもよい。
【0039】
本発明の包装体においては、図1A及び図1Bに示す包装体1Aのように、包装フィルム4Aのうち、最上段の使い捨て紙製品2Aを被包する部分から、最下段の使い捨て紙製品2Aを被包する部分に至るまで開封テープ30Aが配置されていることが好ましい。
【0040】
例えば、図1A及び図1Bに示す包装体1Aでは、包装フィルム4Aのうち、最上段(上から1段目)の使い捨て紙製品2Aを被包する部分から、最下段(上から3段目)の使い捨て紙製品2Aを被包する部分に至るまで開封テープ30Aが配置されている。一方、図2に示す包装体1Bでは、包装フィルム4Bのうち、最上段(上から1段目)の使い捨て紙製品2Bを被包する部分から、最下段(上から5段目)の使い捨て紙製品2Aを被包する部分に至るまで開封テープ30Bが配置されている。包装体1A、包装体1Bのように、開封テープ30A,30B,30Cの開封の起点が包装体1A,1Bの上側にあると、包装フィルム4A,4Bの開封が容易となるため好ましい。
【0041】
開封テープの厚さや材質は包装フィルムの強度等を考慮して適宜設定すればよい。例えば、カートン入りティシュペーパーを被包装物とする場合には、その包装フィルムとして、厚さ10〜35μmのポリエチレン製又はポリプロピレン製のフィルムが用いられる。この場合、開封テープとしては、例えば、その包装フィルムと同じ材質からなり、厚さがその包装フィルムの厚さの3倍の30〜105μmのポリエチレン製又はポリプロピレン製のフィルムを用いることができる。同様に、トイレットペーパー等のロール状衛生用紙を被包装物とする場合には、その包装フィルムとして、厚さ50〜110μmのポリエチレンやポリプロピレン製フィルムが用いられる。この場合、開封テープとしては、例えば、その包装フィルムと同じ材質からなり、厚さがその包装フィルムの厚さの3倍の150〜330μmのフィルムを用いることができる。開封テープの幅は0.5〜5mmとすることが好ましく、1〜3mmとすることが更に好ましい。
【0042】
開封テープには接合始端側の端部に開封テープを引っ張る際のきっかけとなるタブが付設されていることも好ましい。タブの形状は特に限定されず、指で摘み易いサイズ、形状に形成すればよい。図1Aに示す包装体1A、図2に示す包装体1Bにおいては、いずれも開封テープ30A,30B,30Cの接合始端E1側の端部に五角形状のタブ34A,34B,34Cが付設されている。
【0043】
[2]本発明の他の部分の構成:
以下、本発明の包装体の他の部分について説明する。本発明の包装体は、使い捨て紙製品と、前記使い捨て紙製品を被包する包装フィルムと、を備える。
【0044】
[2−1]使い捨て紙製品:
「使い捨て紙製品」は、本発明の包装体において被包装物となるものである。「使い捨て紙製品」の種類について特に制限はない。例えば、ロール状衛生用紙(ロール状トイレットペーパー、ロール状キッチンペーパー、ロール状タオルペーパー、ロール状クッキングシート等)、カートン入り衛生用紙(カートン入りティシュペーパー等)、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等を挙げることができる。
【0045】
本発明の包装体は、複数の被包装物が多段に積層された状態で包装されている。積層の形態としては、図1Aに示す包装体1Aのように、使い捨て紙製品2Aが多列多段に積層されたものであってもよいし、図2に示す包装体1Bのように、使い捨て紙製品2Bが一列多段に積層されたものであってもよい。図1Aに示す包装体1Aは、使い捨て紙製品2Aとしてロール状トイレットペーパー12を包装した包装体の例である。この包装体1Aにおいては、12個のロール状トイレットペーパー12が4列×3段に積層された状態で包装されている。一方、図2に示す包装体1Bは、使い捨て紙製品2Aとしてカートン入りティシュペーパー14を包装した包装体の例である。この包装体1Bにおいては、5個のカートン入りティシュペーパー14が1列×5段に積層された状態で包装されている。
【0046】
[2−2]包装フィルム:
包装フィルムの材質についても特に制限はなく、通常、包装袋に使用される低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、延伸ポリプロピレン等の樹脂を用いることができる。中でも、延伸性、強度、熱収縮性を有する点において、高密度ポリエチレン、延伸ポリプロピレンが好ましい。これらの材質からなる包装フィルムは、加熱により熱収縮させることができる。従って、被包装物となる使い捨て紙製品をラフに包装した後、加熱するのみで、被包装物の形状に合致したタイトな包装とすることができるという利点がある(シュリンク包装)。
【0047】
フィルムの厚さは、被包装物の種類や重量によっても異なるが、カートン入りティシュペーパーを被包装物とする場合には、フィルムの厚さを10〜35μmとすることが好ましい。また、トイレットペーパーのようなロール状衛生用紙の包装にはガセットチューブが利用されることが多い。この場合には、フィルムの厚さを50〜110μmとすることが好ましく、65〜90μmとすることが更に好ましい。
【0048】
包装体には、運搬用の把手が付設されていてもよい。通常、把手は、持ち運びの際の便宜のため、包装体の上面側に配置される。例えば、図1Aに示す包装体1Aは、包装体1Aの上部に突出するように付設されたシート状の把手8Aを備えている。この把手8Aには、指を挿入するための孔10が2つ形成されている。一方、図2に示す包装体1Bでは、包装体1Bに積層されるように帯状の把手8Bが付設されている。この把手8Bは、長手方向の両端部が包装フィルム4Bに接合されていて、把手8Bの長手方向中央部と包装フィルム4Bの包装体1B上面に位置する領域との間に指を差し込むことができるように構成されている。把手は、包装フィルムと一体的に形成されたものであってもよいし、包装フィルムとは別の部材を付設したものであってもよい。
【実施例】
【0049】
[1]実施例1:
実施例1の包装体として、図1A〜図1Cに示す包装体1Aを製造した。使い捨て紙製品2Aとしてはロール状トイレットペーパー12を用いた。このロール状トイレットペーパー12は、用紙幅114mm×ロール外径110mmφのものであった。そして、12個のロール状トイレットペーパー12を4列×3段に積層した状態で包装した。包装フィルム4Aとしては、高密度ポリエチレンからなる厚さ80μmのガセットチューブを利用した。
【0050】
開封テープ30Aとしては、低密度ポリエチレンからなる幅2mm×長さ370mm×厚さ240μmのテープを用いた。そして、包装フィルム4Aのうち4列×3段に積層された12個のロール状トイレットペーパー12を列ごとに(即ち左右に)区切る境界に沿って包装フィルム4Aの表面に開封テープ30Aを接合した。開封テープ30Aには、粘着剤を予め塗布し、この粘着剤によって包装フィルム4Aの表面に接合し、この表面が包装フィルムの外表面となるように包装体を構成した。
【0051】
また、開封テープ30Aは包装フィルム4Aのうち、最上段(上から1段目)の使い捨て紙製品2Aを被包する部分から、最下段(上から3段目)の使い捨て紙製品2Aを被包する部分に至るまで配置した。
【0052】
開封テープ30Aの接合始端E1側の端部にはタブ34Aを付設した。タブ34Aは厚さ0.5mmのポリエチレン製シートにより構成した。タブ34Aの形状は五角形状とし、その面積は75mmとした。
【0053】
押さえ部材32Aとしては、包装フィルム4Aと同じ材質の高密度ポリエチレンからなるフィルムであって、その厚さが240μmのフィルムを用いた。即ち、押さえ部材32Aとして、包装フィルム4Aに比して伸張率が低いフィルムを用いた。
【0054】
押さえ部材32Aは枠状に形成した。外形が10mm×360mmの略矩形状であり、その中央部に5mm×350の略矩形状の貫通部が形成されているものを用いた。この押さえ部材32Aは粘着剤を用いて包装フィルム4Aの表面に接合させた。
【0055】
そして、タブ34Aを摘んで押さえ部材32Aを押さえつつ開封テープ30Aを引っ張った結果、開封テープ30Aの配置位置に沿って容易かつ確実に包装フィルム4Aを破断して包装体を開封することができた。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の包装体は、例えば、ロール状衛生用紙(トイレットペーパー、キッチンペーパー、タオルペーパー、クッキングシート等)、カートン入り衛生用紙(ティシュペーパー等)、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等の使い捨て紙製品を被包装物とする包装体として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
1A,1B:包装体、2A,2B:使い捨て紙製品、4,4A,4B:包装フィルム、8A,8B:把手、10:孔、12:ロール状トイレットペーパー、14:ティシュペーパー、30,30A,30B,30C:開封テープ、32A,32B,32C,32D,32E,32F,32G,32H:押さえ部材、34,34A,34B,34C:タブ、E1:接合始端、E2:接合終端。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て紙製品と、前記使い捨て紙製品を被包する包装フィルムと、前記包装フィルムに接合された開封テープと、前記包装フィルムに固定された、前記包装フィルムよりも伸張率の低い押さえ部材と、を備え、
前記押さえ部材が、前記開封テープの少なくとも一の側縁に沿って配置されている包装体。
【請求項2】
前記押さえ部材が、前記開封テープの両側縁に沿って配置されている請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記押さえ部材が、枠状に形成されている請求項2に記載の包装体。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【公開番号】特開2010−202275(P2010−202275A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53084(P2009−53084)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】