説明

包装体

【課題】容易に開封することができ、開封時に収容物を変形させることのない包装体を提供する。
【解決手段】包装体10は、第1及び第2フイルム12、14が積層され、その周縁部に設けられたシール部16を介して収容空間を形成する。前記シール部16は、剥離開始シール部20と、前記剥離開始シール部20を介して隣接する第+1及び第2シール部22、24とを有し、前記剥離開始シール部20は、外方に向けて突出した突出部34を有する。前記突出部34から剥離を開始した後、剥離の進行に伴って、剥離状態がより接合力の強い第1シール部22と第2シール部24に移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関し、一層詳細には、診断や治療等に用いる医療機器を収容するための包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品や医療の分野では、フイルムを剥離することによって開封し、収容物を取り出せるようにした包装体が用いられている。このような包装体には、開封の容易さが求められており、この観点から種々の包装体が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−329995号公報
【特許文献2】特開2006−131284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、医療分野で用いられている包装体としては、例えば、医療機器を収容するものが挙げられる。この場合、医療機器は滅菌された後、包装体の内部に形成される清潔な収容空間に収容され、使用時まで医療機器の無菌状態が維持されるようになっている。
【0005】
ところで、医療機器を用いた診断や治療等の手術においては、患者に直接接触する手術者は、院内感染を防止しなければならないとの理由に基づき、滅菌された医療機器のみを取り扱うこととされている。そのため、医療機器の使用に際し、患者に直接接触しない看護師等が、包装体を滅菌されていない机上に置くことなく、例えば、中空に持ち上げて開封して収容されている医療機器を手術者に向けて提供する。手術者は、この開封された包装体から医療機器を自ら取り出す。この際、包装体の開封が容易でなかったり、開封に大きな力が必要であったりすると、手術中の医療機器の円滑な受け渡しがなされず、特に緊急性を有する手術時には患者に多大な負担を強いることになる。
【0006】
また、包装体を開封した際に、開封口の形成に伴って包装体が変形して、収容されている医療機器の、その後の円滑且つ迅速な使用が阻害される可能性も否定できない。
【0007】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、容易に開封することができ、開封時に医療機器等からなる収容物の変形を回避し、該収容物を円滑且つ迅速に使用に供することを可能とする包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1及び第2フイルムが、その周縁部に設けられたシール部を介して接合されてなる包装体であって、前記シール部は、剥離開始シール部と、前記剥離開始シール部を介して隣接する第1及び第2シール部とを有し、前記剥離開始シール部は、前記第1と第2フイルムの外方に向けて突出した突出部を有するとともに、前記剥離開始シール部における前記第1と第2のフイルムの接合力が、前記第1及び第2シール部にの接合力よりも小であることを特徴とする。
【0009】
この構成によって、剥離開始の際には、弱い剥離力で剥離することができ、次いで剥離力の勢いが増すにつれて接合力の強いシール部側へ剥離が移行する。従って、第1フイルムと第2フイルムの剥離作業が円滑に行われ、収容物も変形することがない。
【0010】
そして、本発明では、包装体の前記第1シール部は、前記第2シール部よりも接合力が小さくなっていることが好ましい。これにより、第1シール部が優先的に剥離し、収容物である医療機器の変形、特によじれを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明の包装体には、前記第1及び第2フイルムにおける前記剥離開始シール部の外側に、把持しながら互いに離間させて開封するための第1及び第2把持部が設けられている。この構成により、包装体を中空に持ち上げた状態を維持しながら開封することが可能となる。
【0012】
さらに、前記第1及び第2フイルムの前記剥離開始シール部近傍には、前記第1及び第2把持部に連結し、内方に向けて突出した指挿入部が設けられている構成としてもよい。これにより、第1把持部と第2把持部とが互いに離間して剥離が開始される方向に力を加えることが容易になり、開封の作業を円滑に進めることができる。
【0013】
また、剥離開始シール部は、突出部と指挿入部が隣接して形成されていることが好ましく、このような構成にすることで、指挿入部から加えた剥離の力が突出部に容易に伝わって、開封の作業性が向上する。
【0014】
さらに、前記突出部が前記第1シール部と前記第2シール部に連結されていてもよく、加えて、前記突出部から剥離を開始した際に、前記剥離部位が、前記第2シール部よりも先に第1シール部に到達するようにしてもよい。この場合、前記剥離開始シール部は、前記第2シール部の外方にのみ突出していることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、包装材の剥離開始シール部が、前記第1と第2フイルムの外方に向けて突出した突出部を有するとともに、前記剥離開始シール部における前記第1と第2のフイルムの接合力が、前記第1及び第2シール部の接合力よりも小であることから、包装材を容易に開封することができ、開封時に包装材による医療機器等からなる収容物の変形を回避し、該収容物を円滑且つ迅速に使用に供することを可能とする包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る包装体の概略平面図である。
【図2】前記包装体の一部が開封された状態の要部拡大部分平面図である。
【図3】図3Aは、図1に示す包装体を開封している状態の斜視説明図、また、図3Bは、図3Aの包装体の開封状態を上部から視認する平面説明図である。
【図4】前記図3Bの包装体の開封状態をさらに拡開した状態の平面説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る包装体の要部拡大部分平面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る包装体の要部拡大部分平面図である。
【図7】従来の包装体の一部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る包装体10の平面図であり、図2は、前記包装体の一部が開封された状態の要部拡大部分平面図である。該包装体10に収容される医療機器としては、例えば、患者の腕や脚等の動脈へ接続する穿刺孔に、カテーテルを始めとする各種器具を導入して行われるカテーテル処置に用いられる医療機器等が挙げられる。
【0018】
具体的には、例えば、血管造影カテーテル、血管造影カテーテル用ガイドワイヤ、マイクロカテーテル、PTCA(経皮的血管拡張術)用ガイディングカテーテル(心臓右側用形状、左側用形状他)、PTCA用ガイドワイヤ、PTCA用バルーンカテーテル、ステントデリバリーカテーテル等の診断や治療に用いる器具、その他血管造影剤等の薬品を収容する器具を掲げることができる。
【0019】
包装体10は、第1フイルム12と第2フイルム14とが、その周縁部に設けられたシール部16を介して接合されて、前記第1フイルム12と第2フイルム14の間に医療機器を収納する収容空間18が形成される。シール部16は、積層される第1フイルム12と第2フイルム14との間の周縁部に形成されて、収容物としての医療機器等が収容され滅菌されている収容空間18と、滅菌されていない外部とを隔離している。
【0020】
図1では、第1フイルム12と第2フイルム14とがともに方形状を有しているが、このような形態に限定されるものではなく、例えば、三角形状、多角形状、円形状の他、種々の形状を採用することができる。また、第1フイルム12と第2フイルム14との間に収容物を収納可能な収容空間18が形成されればよく、そのために第1フイルム12と第2フイルム14とが必ずしも同一の形状である必要はない。
【0021】
第1フイルム12及び第2フイルム14のいずれか一方は、例えば、ヒートシール性(熱融着性)を有する素材を用いることができる。この種の素材を用いることによって、シール部16を形成するために敢えて接着剤による層を設けなくともよい。このような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、これらポリオレフィン樹脂のブレンド樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等の樹脂材料を好適に用いることができる。
【0022】
シール部16は、上記したように、フイルム状の素材を加熱加圧することにより形成することができる(熱融着)が、その他にも、例えば、接着剤や溶剤による接合によって形成されてもよい。
【0023】
残余の一方は、ヒートシール性を有する素材であってもよいし、それ以外の素材であってもよい。例えば、上記したポリエチレン等の他、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体等の単層フイルム、これらのフイルムにアルミニウム、シリカ等を蒸着したもの、アルミニウムフイルム、アルミニウムラミネートフイルム等の金属箔または金属箔を含むフイルムを使用することができる。さらには、これら各フイルムを2層以上積層したものを用いることもできる。また、プラスチック製不織布や紙を用いてもよい。
【0024】
包装体10は滅菌処理されることから、高圧蒸気滅菌、EOG滅菌、ガンマー線滅菌等の各種滅菌処理に耐えることができるものが望ましく、また、通常の搬送、保管等の取り扱いにおいて滅菌状態を維持できるものであることが望ましい。さらに、第1及び第2フイルム12、14のうち、いずれか一方は、収容物を外部から確認できるようにするために透明な素材を用いることが好ましい。
【0025】
シール部16は、剥離開始シール部20と、剥離開始シール部20を介してその両側に隣接する第1シール部22と第2シール部24、さらに通常の開封時に、剥離されることを要しない第3シール部26とを有する。シール部16は、これらの全てが連続して設けられることにより収容空間18を取り囲むように形成される。なお、図1では、シール部16は、第1及び第2フイルム12、14の周縁部に沿ったこれらのフイルムの略相似形を呈しているが、これに限定されるものではない。例えば、収容物の形状に合わせて、変形したシール形状であってもよい。
【0026】
図1から容易に諒解されるように、第1シール部22と第2シール部24は所定幅の帯状体として延在し、第1シール部22の幅W1は第2シール部24の幅W2より幅狭である。第1シール部22と第2シール部24のそれぞれの端部が接近して終端する部位に剥離開始シール部20が前記それぞれの端部と接合するようにW字状に形成されている。
【0027】
剥離開始シール部20の外側には、第1把持部28a及び第2把持部28bが設けられている。包装体10が第1及び第2把持部28a、28bを有することにより、剥離開始時に、例えば第1フイルム12の第1把持部28aを左手で、第2フイルム14の第2把持部28bを右手で摘んで持ち、左右に拡げて離間するようにして開封することができる。この場合、第1シール部22の外側及び第2シール部24の外側にも周縁部に沿って設けられた帯状把持部30a、30b、32a、32bを有していてもよい(図1参照)。
【0028】
第1シール部22及び第2シール部24の端部は、例えば、剥離開始シール部20に向かって、所定の角度で互いに交わる方向、例えば、図1に示したように略直交する方向に延在している。この場合、第1シール部22と第2シール部24の交わる角度は、前記のように略直交に限らず、種々変形が可能である。
【0029】
前記のように、第1シール部22の幅W1は第2シール部24の幅W2よりも幅狭とすることが好ましい(図2参照)。このようにすることで、第1シール部22の接合力を第2シール部24のそれよりも小さくすることが容易になる。ただし、第1シール部22の幅W1と第2シール部24の幅W2との関係は、これに限定されるものではない。例えば、第1及び第2シール部22、24の熱圧着の強さを変えたり、異なる接着剤を用いて各シール部を形成したりして、両者の接合力を調整することによって、第1シール部22の接合力を第2シール部24のそれより小さくしてもよい。
【0030】
平面W形状の剥離開始シール部20は、外方に向けて、すなわち、第1フイルム12と第2フイルム14の接合する隅角部に指向した突出した突出部34を有する。図2に示す包装体10では、W形状の剥離開始シール部20の一端部36が第1シール部22に、他端部38が第2シール部24に連結されている。そして、前記W形状の中央部が突出部34となっている。このような突出部34を備えることにより、後述するように剥離の際に要する力を低減することができる。第1フイルム12と第2フイルム14との接合面積が最も少ないからである。
【0031】
さらに、この包装体10では、剥離開始シール部20の近傍に、収容空間18が形成されている内方に向けて突出した指挿入部40が設けられている。指挿入部40に指を挿入することにより、開封する際に34の剥離に力をかけ易くでき、剥離開始がより容易になる。この場合、指挿入部40は、突出部34に隣接して設けられることが好ましい。突出部34と指挿入部40とを隣接して設けることにより、指を挿入したときに、剥離開始シール部20、特に突出部34へ剥離のために加える力が少なくて済むようになり、開封の作業性を向上させることができる。
【0032】
本実施形態に係る包装体10は以上のように構成されるものであり、次にその開封する際の動作について説明する。
【0033】
図1に示すように、先ず、予め包装体10の内部には、例えば、収容物としてカテーテルZが渦巻状で封入され、該包装体10の内部は剥離開始シール部20、第1シール部22、第2シール部24及び第3シール部26によって滅菌された密閉された収容空間18を形成している。上記したように、医療機器を用いた診断や治療等において、患者に直接接触する手術者(医師)は、滅菌された医療機器しか触れないことになっている。従って、滅菌されていない包装体10の外部に手術者が触れることは許されない。そのため、医療機器の使用に際し、患者に直接接触しない看護師等が包装体10を開封した後、医療機器、例えば、カテーテルZを手術者に開封状態で向け、そこから手術者が前記カテーテルZを取り出す。
【0034】
図3Aに示すように、第1及び第2把持部28a、28bを図示しない看護師が両手で把持し、他の滅菌されていない、例えば、机上に載置することなく、中空に持ち上げた状態を保持しながら、図3Bの如く第1及び第2把持部28a、28bを左右に引っ張るようにして拡げて第1フイルム12と第2フイルム14の隅角部を離間させ開封する。すなわち、先ず、指挿入部40に指を挿入して第1及び第2把持部28a、28bを把持した状態で前記第1フイルム12と第2フイルム14とを離間させる。
【0035】
このように、剥離開始シール部20の剥離動作を開始した後の剥離動作の進行について、図2及び図3A、図3Bを参照し、従来の包装体の剥離状態を示す図7と対比しながら、以下に説明する。
【0036】
ここで、剥離は、剥離開始シール部20の外側の第1及び第2把持部28a、28bを把持して左右に引っ張るようにして拡げて離間させることによって、剥離開始シール部20の突出部34の先端から開始される。この場合、例えば、剥離開始直後では、剥離開始シール部20では前記第1及び第2把持部28a、28bを引っ張る力は矢印X1、X2に示すように印加され(図3B参照)、剥離方向(矢印Y)は包装体10の剥離開始シール部20の対角線上にある隅角部を指向している。そして、その際の剥離開始シール部20の接合力は参照符号A1で示すように、シール距離が短いために剥離し易い。すなわち、接合力が小さい。徐々に前記第1及び第2把持部28a、28bを引っ張る力を増せば、参照符号A2で示すようにシール距離が増加したとしても剥離動作に勢いがついているために容易に剥離作用を続行できる。
【0037】
次いで、図2において、参照符号A3とA4とA5で表される接合部位の距離を加算したシール距離、参照符号A6、A7、A8、A9で表される接合部位の距離を加算したシール距離にある場合でもさほどに力を加えることなく、徐々に剥離開始シール部20の剥離を行うことができる。これは、参照符号A3〜A5で表される接合部位まで剥離が進行したときには、第1フイルム12と第2フイルム14とが非接合とされている指挿入部40が存在し、参照符号A6〜A9で表される接合部位まで剥離が進行したときには、突出部34の内方に非接合部42の頂部が露呈し、さらに剥離が進行すると剥離開始シール部20の一端部36と他端部38の内方に、それぞれ非接合部46が露呈するに至るためである。このような非接合部42、46が露呈するために、第1フイルム12と第2フイルム14との接合面積が減少し、剥離の際に要する力を低減することができる。
【0038】
そして、図2に示す位置まで剥離が進行すると、その剥離力は該剥離開始シール部20の両終端部位である一端部36、他端部38に連続する第1シール部22、第2シール部24に作用を及ぼし、これらの第1と第2のシール部材22、24を剥離する。第1フイルム12と第2フイルム14とが互いにその半ば迄離間すれば、手術者は収容されているカテーテルZを容易に取り出すことができる。
【0039】
前記第1フイルム12と第2フイルム14とを剥離した状態を図4に示す。ここで、カテーテルZは説明の便宜上省略している。
【0040】
図7から諒解されるように、剥離開始シール部2に前記剥離開始シール部20が存在しない場合、シール剥離直後から一挙に剥離力を増さなければならない。すなわち、剥離を開始した直後の位置D1からD2、D3へと剥離が進行するにつれてシール長が急激に増すために、開封作業に支障を来すおそれがある。
【0041】
一方、本実施形態の包装体10では、第1シール部22が全体に渡って剥離し、第1シール部22側に沿った周縁部によって包装体10の略半分に至る開封口48が形成される(図4参照)。これは、第1シール部22の接合力が、第2シール部24よりも小さいため、優先的に第1シール部22側が剥離したことによるものである。このとき、包装体10の収容空間18は、開封前の形状がほぼ維持されている。このように、第1シール部22側を優先的に剥離させることで、包装体10の形状、すなわち、収容物が収容されている収容空間18の形状を可及的に維持することができる。従って、開封時に収容物に変形、例えば、カテーテルZのよじれが発生することを防止することができ、また、収容物の破損や落下を避けることができる。
【0042】
なお、剥離開始シール部20を剥離した後は、第1及び第2把持部28a、28bを把持し続ける必要はなく、例えば、第1シール部22が所定位置まで剥離したときに、第1シール部22に沿ってその外側に設けられた帯状把持部30a、30bを把持して開封してもよい。
【0043】
また、図4に示される包装体10では、第1及び第2シール部22、24、剥離開始シール部20であった部分が第2フイルム14に形跡として残存しているように表しているが、この形跡は、剥離後の第1及び第2フイルム12、14の両方に残存することもある。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態に係る包装体10について図5を参照しながら説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態と共通する構成には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略し、以下同様とする。
【0045】
この包装体10では、剥離開始シール部52の突出部54は、第1シール部22に直接連結され、その外側の第1及び第2把持部28a、28bに向けて設けられている。この場合、前記突出部54は、一本の帯状を呈している。突出部54と第1シール部22の各々の長軸がなす角度θは90°より大きく、例えば、135〜180°とすることが好ましい。剥離が円滑に行われるからである。
【0046】
前記突出部54が第1シール部22に連結されているのは、接合力の小さい第1シール部22の剥離を優先的に開始するためである。突出部54を剥離する力は、図5で示す部位B1からB2を経て、B3の位置に到達する。その際、突出部54を剥離する力は該突出部54に連続する第1シール部22側に継続して伝達され、第1シール部22の接合力が小さいこととも相俟って、この第1シール部22を第2シール部24より優先的に剥離するに至る。
【0047】
換言すれば、このような実施形態によれば、包装体10を開封する際に、第1シール部22を優先的に剥離するように突出部54が設けられているので、第1シール部22の剥離を速やかに行うことができ、包装体10の開封作業を円滑に行うことができる。
【0048】
また、本実施形態の包装体10では、第1シール部22の剥離が速やかに進行することから、図4に示した第1の実施形態に係る包装体10と同様の開封口形状を得ることができる。従って、第1の実施形態と同様に、収容物が収容されている収容空間18の形状を可及的に維持することができ、開封時の収容物のよじれに伴う破損や落下の発生を防止することができる。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態に係る包装体10について図6を参照しながら説明する。
【0050】
この包装体10は、剥離開始シール部58に、第1シール部22の外方に突出せず、第2シール部24の外方にのみ突出している突出部60を有している。このような構成によれば、突出部60から剥離を開始した際に、剥離を、第2シール部24よりも先に第1シール部22に及ぼすことができる。
【0051】
すなわち、部位C1において剥離が開始され、C2の位置で剥離力は第1シール部22に到達する。従って、これ以降は、接合力の小さい第1シール部22の剥離が優先的に行われ、包装体10が開封される。従って、この場合もまた、図4に示されたように、収容空間18の形状を維持することができ、開封時の収容物のよじれに伴う破損や落下の発生を防止することができる。
【0052】
本発明は上記した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは当然可能である。
【符号の説明】
【0053】
10…包装体 12…第1フイルム
14…第2フイルム 16…シール部
18…収容空間
20、52、58…剥離開始シール部
22…第1シール部 24…第2シール部
28a…第1把持部 28b…第2把持部
34、54、60…突出部 40…指挿入部
48…開封口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2フイルムが、その周縁部に設けられたシール部を介して接合されてなる包装体であって、
前記シール部は、剥離開始シール部と、前記剥離開始シール部を介して隣接する第1及び第2シール部とを有し、
前記剥離開始シール部は、前記第1と第2フイルムの外方に向けて突出した突出部を有するとともに、前記剥離開始シール部における前記第1と第2のフイルムの接合力が、前記第1及び第2シール部の接合力よりも小であることを特徴とする包装体。
【請求項2】
請求項1記載の包装体において、
前記第1シール部は、前記第2シール部よりも接合力が小さいことを特徴とする包装体。
【請求項3】
請求項1又は2記載の包装体において、
前記第1及び第2フイルムにおける前記剥離開始シール部の外側には、把持しながら離間させて開封するための第1及び第2把持部が設けられていることを特徴とする包装体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装体において、
前記第1及び第2フイルムの前記剥離開始シール部近傍には、前記第1及び第2把持部に連結し、内方に向けて突出した指挿入部が設けられていることを特徴とする包装体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装体において、
前記剥離開始シール部には、前記突出部と前記指挿入部が隣接して形成されていることを特徴とする包装体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装体において、
前記突出部は、前記第1シール部と前記第2シール部に連結されていることを特徴とする包装体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装体において、
前記突出部から剥離を開始した際に、剥離部位が、前記第2シール部よりも先に前記第1シール部に到達することを特徴とする包装体。
【請求項8】
請求項7記載の包装体において、
前記剥離開始シール部は、前記第2シール部の外方にのみ突出していることを特徴とする包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−176767(P2012−176767A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40296(P2011−40296)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(591140938)テルモ・クリニカルサプライ株式会社 (15)
【Fターム(参考)】