説明

包装冷凍寿司並びにその製造方法及び調理方法

内部が脱気されて冷凍され密封されている柔軟なプラスチック製の袋と、前記袋内に配置されている上部が開放されているプラスチック製の箱と、前記箱内に配置されている冷凍されている寿司とを備えており、前記プラスチック製の袋内において、プラスチック製の箱及び冷凍されている寿司は、共に冷凍されて一体に形成されており、電子レンジ調理用であることを特徴とする包装冷凍寿司にあり、解凍時に寿司から発生した水蒸気が、寿司の周囲に形成された空間内を流動して、米飯成形体及び具の寿司の加熱を行い、解凍後の寿司の温度むらを少なくでき、且つ量産に適した包装冷凍寿司を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、解凍に適した包装冷凍寿司並びにその製造方法及び調理方法に関し、特に、電子レンジによる解凍に適した電子レンジ対応包装冷凍寿司並びにその製造方法及び調理方法に関する。また、本発明は、寿司が、プラスチック製の包装容器内に収容され、脱気されて密着状態でプラスチックフィルム製の包装容器内に密封され、一体に凍結されて包装されている、電子レンジによる解凍に適した包装冷凍寿司並びにその製造方法及び調理方法に関する。
【背景技術】
例えば、棒寿司等の寿司の場合、酢合わせした米飯を成形し、この成形された米飯成形体の上に、例えば、骨抜き及び調整された鯛、紅鮭、鯖等の具を、酢、砂糖及び塩で味付けした汁で煮立てた白板昆布と共に載せて棒状等の種々の形状に成形し、この成形された成形寿司を竹の皮に包んで、プラスチックフィルム製の包装袋に入れて、脱気包装し、これをエタノール等のブラインにより凍結することにより、又は、前記成形寿司を冷凍し、この冷凍された成形寿司をプラスチックフィルム製の包装袋に入れて、脱気包装することにより、包装冷凍寿司を製造している。
このようなブライン凍結による包装冷凍寿司は、寿司をプラスチック製の包装袋に入れて脱気包装し、この脱気包装された寿司について、ブライン凍結を行って製造されるので、寿司に凍結室内での細菌の付着や冷却ガスの臭いが吸収されることなどがなく、したがって、例えば、エアブラスト凍結又は窒素若しくは炭酸ガス凍結等の緩慢凍結により寿司を凍結した後に脱気包装を行った包装冷凍寿司に比して、衛生面で優れている。特に、ブライン凍結により冷凍された包装冷凍寿司は、例えば、−18℃の保存温度下で、3カ月以上の長期間にわたって安定して保存することができ、−50℃の保存温度では、6カ月以上の保存が可能である。
しかし、このように保存された包装冷凍寿司は、解凍して食事に供される。この包装冷凍寿司の解凍には、自然解凍、流水解凍、スチーム解凍、温湯解凍及び電子レンジ解凍などがあるが、電子レンジ解凍は、解凍時間が極めて短く、解凍歩留まりが高いので、冷凍寿司などの解凍には適している。例えば、上記の棒寿司の場合、室温解凍では解凍に5時間を要するものが、電子レンジ解凍では、2乃至5分で解凍することができので、室温解凍に比して電子レンジ解凍は、需要に即時に応じることができ便利である。
しかし、電子レンジによる解凍の場合、具の部分と米飯の部分は、マイクロ波の吸収による発熱量が相違し、また量的にも相違し、しかも、表面部が中心部に比して加熱されるので、米飯に比して具の一部が好ましくない温度にまで加熱されることとなり、所謂煮えた状態になり、味を損なうので、実際上利用されていない。ところで、例えば、箱寿司又は棒寿司の場合、寿司の種類にもよるが、一般に、米飯の部分は人肌、例えば15乃至25℃の温度、好ましくは15乃至20℃の温度であるのが好まれるが、具の部分は、具の種類にもよるが、例えば、穴子や鰻の場合は、米飯の部分と同様の温度、例えば10乃至25℃の温度、好ましくは10乃至20℃の温度であるのが好まれる。ところで、包装冷凍寿司を、電子レンジで、解凍する場合には、寿司の具が比較的高い温度に加熱されて、寿司の味を損なうために、電子レンジにより目的の解凍を行うことを困難にさせている。
そこで、電子レンジ等によるマイクロ波加熱による包装冷凍寿司の解凍の際に、寿司の具が比較的高い温度に加熱されて、寿司の味を損なうという問題点を解決するために、本発明者らは、具を載せた寿司を、ラップ用のプラスチックフィルムで包み、この包まれた寿司を冷凍食品用のプラスチックフィルム製の包装袋に入れて脱気して、密封包装し、この密封包装された状態で、ブライン冷凍して全体を一体に凍結して、冷凍保存に適した所謂包装冷凍寿司を形成し、この形成された包装冷凍寿司を電子レンジにより解凍する場合には、解凍される寿司の温度が高くならないように、比較的短時間加熱したところで電子レンジによる加熱を停止し、次いで、ここで加熱された米飯部分から発生する水蒸気は、ラップ用のプラスチックフィルムで包まれた内部に篭もって、電子レンジの加熱中及び電子レンジから取出した後においても、包装袋内に発生する水蒸気及び米飯の温度で寿司を蒸らしながら加熱して、具と米飯の接触部分の温度を15℃以上の温度にさせるように解凍する事を提案した(特許第3172677号公報及び米国特許第5,861,184号明細書)。
しかし、このような包装冷凍寿司を製造するには、寿司をラップ用のプラスチックフィルムに載せて密に包み、この包まれた寿司を冷凍食品用のプラスチックフィルム製の包装袋に入れて脱気して、密封包装することが必要であり、これらの作業は、注意を要し、量産が難しく問題とされている。このような包装冷凍寿司を顧客の需要に沿うように製造するためには、多くの人手や時間を要し、問題である。
本発明は、従来のプラスチックフィルムで包んだ包装冷凍寿司の問題点を解決して、電子レンジによる解凍に適した包装冷凍寿司を提供することを目的としている。
【発明の開示】
本発明者らは、例えば、棒寿司を、箱に入れ、箱ごと、柔軟な包装用の袋に入れて脱気することにより、減圧状態の包装用の柔軟なプラスチック製の包装袋は、寿司の周囲に空間を保って、大気の圧力により萎んだ状態で密封されて、包装袋の内面は箱の外面及び寿司の上面に接した状態で凍結され、電子レンジで加熱した時に、水蒸気が袋内に広がり、具の蒸らしによる加熱を効率よく行って解凍された寿司内の温度分布の差を小さくできることを発見した。また、本発明者らは、電子レンジにより解凍された寿司は、長手方向両端部と中間部では40℃以上の温度差を生じることを発見した。
また、本発明は、これらの発見に基づくものであり、量産が可能な、電子レンジ解凍に適した包装冷凍寿司並びにその製造方法及び調理方法を提供することを目的としている。
即ち、本発明は、内部が減圧状態にあり密封されている柔軟なプラスチック製の電子レンジ用の包装袋と、前記包装袋内に配置されている上部が開放されているプラスチック製の箱と、前記箱内に配置されている寿司とを備えており、前記包装袋内には、寿司との間に空間が形成されており、前記包装袋の内面が、寿司の上面に接触しており、前記包装袋、箱及び寿司は、共に凍結されて一体に形成されていることを特徴とする電子レンジ対応の包装冷凍寿司にあり、また、本発明は、米飯成形体の上面又は内部に具を配置して寿司を形成し、この形成された寿司をプラスチック製の箱内に入れ、前記寿司を入れたプラスチック製の箱を、柔軟なプラスチック製の電子レンジ用の包装袋に入れて、脱気し密封して脱気された包装寿司を形成し、この脱気された包装寿司を冷凍温度に冷却されている冷媒により冷却して、前記包装寿司を構成する前記包装袋、箱及び寿司を共に凍結して一体に形成することを特徴とする電子レンジ対応の包装冷凍寿司の製造方法にあり、さらに、本発明は、内部が脱気されて密封されている柔軟なプラスチック製の袋と、前記袋内に配置されている上部が開放されているプラスチック製の箱と、箱の中に配置されている寿司が、凍結されて一体に形成されている電子レンジ対応の包装冷凍寿司を、マイクロ波加熱によって加熱することにより、米飯成形体部分の長手方向端部露出部の温度を30℃以上にさせて前記マイクロ波加熱を停止し、次いで15分乃至1時間の間包装を解かずに放置して、少なくとも米飯成形体部分から発生する水蒸気が寿司と箱の間に形成されている空間に移動することにより、米飯成形体及び具を蒸らして、具及び米飯の部分の温度を15℃乃至30℃にすることを特徴とする電子レンジ対応の包装冷凍寿司の電子レンジによる調理方法にあり、さらにまた、本発明は、内部が脱気されて密封されている柔軟なプラスチック製の袋と、前記袋内に配置されている上部が開放されているプラスチック製の箱と、箱の中に配置されている寿司が、凍結されて一体に形成されている電子レンジ対応の包装冷凍寿司を、マイクロ波加熱によって加熱することにより米飯成形体部分の長手方向端部露出部の温度を30℃以上にさせると共に、具部分の長手方向端部露出部の温度を20℃以上にさせて前記マイクロ波加熱を停止し、次いで15分乃至1時間の間包装を解かずに放置して、少なくとも米飯成形体部分から発生する水蒸気が寿司と箱の間に形成されている空間に移動することにより、米飯成形体及び具を蒸らして、具及び米飯の部分の温度を15℃乃至30℃にすることを特徴とする電子レンジ対応の包装冷凍寿司の電子レンジによる調理方法にあり、さらに加えて、本発明は、内部が脱気されて密封されている柔軟なプラスチック製の袋と、前記袋内に配置されている上部が開放されているプラスチック製の箱と、箱の中に配置されている寿司が、凍結されて一体に形成されている電子レンジ対応の包装冷凍寿司を、マイクロ波加熱により加熱することにより米飯成形体部分の長手方向端部露出部の温度を30℃以上にさせると共に、具部分の長手方向端部露出部の温度を20℃以下にさせて前記マイクロ波加熱を停止し、次いで15分乃至1時間の間包装を解かずに放置して、少なくとも米飯成形体部分から発生する水蒸気が寿司と箱の間に形成されている空間に移動することにより、米飯成形体及び具を蒸らして、具及び米飯の部分の温度を15℃乃至25℃にすることを特徴とする電子レンジ対応の包装冷凍寿司の電子レンジによる調理方法にある。本発明において、包装袋の内部は、包装時の脱気により、600mmHg以下の圧力、好ましくは400のmmHg以下の圧力の真空にあることが好ましい。さらに、本発明において、箱は、蓋なしの箱であり、平面形状が、角形、円形若しくは楕円形の箱、盆又は皿とすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例の概略を説明する概略の側面側の断面図である。第2図は、第1図の実施例の概略を説明する概略の正面側の断面図である。第3図は、本発明の他の一実施例の概略を説明する概略の側面側の断面図である。第4図は、第3図の実施例の概略を説明する概略の正面側の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明において、寿司は、棒寿司、押し寿司又は箱寿司を意味する。本発明において、寿司の冷凍は、箱の中に入れて行われる。この場合、寿司は、寿司の具の部分を上に位置させて、寿司の米飯成形体の部分を下にして箱内に収めるか、又は、寿司の米飯成形体の部分を上に位置させて、寿司の具の部分を下にして箱内に収めてもよい。本発明において、寿司は、巻寿司のように中心に具を入れた寿司であってもよく、また中間に具を挟む寿司であってもよい。本発明において、寿司は、マイクロ波を透過する硬質又は軟質の適当にプラスチック製の箱に入れることができる。箱は、マイクロ波透過性のプラスチック製の箱が好ましい。本発明において、寿司を入れた箱は、柔軟なプラスチック製の包装袋に入れられるが、箱内が容易に脱気され冷却されるように、寿司を入れた箱は蓋をしないで、柔軟なプラスチック製の包装袋に入れられる。寿司を入れた箱を柔軟なプラスチック製の包装袋に入れて、包装袋を脱気し密封し、この脱気され密封された包装袋を、ブライン凍結、エアブラスト凍結、窒素又は炭酸ガス凍結等により袋内を凍結する。本発明においては、包装冷凍寿司は、包装袋内のプラスチック製の箱及び寿司が、共に凍結されて一体に形成されている。本発明においては、包装冷凍寿司は、前記寿司の入った箱が入れられ脱気され真空で密封された柔軟なプラスチック製の包装袋を、冷却して、包装袋内を凍結して製造するのが、寿司に冷媒が直接接触しないし、また冷凍の冷却効率が良くなるので好ましい。また、本発明において、包装冷凍寿司とされる寿司には、具を米飯成形体の上に載せた寿司、例えば、箱寿司、棒寿司及び押し寿司があり、一個の寿司を包装冷凍してもよいが、複数の寿司を一緒に包装冷凍してもよい。
本発明の包装冷凍寿司において、箱及び包装袋は、マイクロ波を遮蔽しない材料製であり、例えばプラスチック製の箱及びプラスチック製の包装袋などが使用される。本発明において、寿司を収容するプラスチック製の箱は、一般に使用される箱の形状とすることができ、底部が、寿司を収容したときに、寿司がぴたりと収まる大きさで、その平面、側面及び正面の断面形状は、寿司の形状に倣って形成される。しかし、寿司を収容するプラスチック製の箱は、寿司の出し入れが容易となるように、箱の開口部の幅及び長さを、箱の底部の幅及び長さより夫々大きくし、つまり、箱の開口部を底部より広く形成するのが好ましい。このように、箱の開口部を底部より広く形成すると、寿司の出し入れが容易になる上に、寿司の周囲に空間を形成することができるので好ましい。本発明において、プラスチックフィルム製の柔軟な、電子レンジによる加熱に使用可能な,つまり電子レンジ用の包装袋内において、減圧状態における寿司の周囲に形成される空間は、解凍時に、包装袋内部の減圧により容積変化は僅かであるので、寿司と箱の間及び箱と包装袋の間の空間となるので好ましい。本発明において、減圧されたプラスチックフィルム製の柔軟な電子レンジ用の包装袋内において、寿司と箱の間及び箱と包装袋の間に形成される隙間、即ち、寿司の周囲に形成された空間は、この空間を介して、解凍時に加熱されて少なくとも米飯成形体等から発生する蒸気の流動を可能にし、その容積は、解凍後の寿司の蒸らしを可能にする大きさとされる。前記空間の容積が大きいと全体的に嵩張ることとなり、また、包装袋内における寿司の周囲の空間を大きくする程蒸らしの効果が得られず、小さくする程、寿司全体を均一に蒸らすのに多くの時間を要することになるので好ましくない。本発明において、寿司の周囲に形成される空間の大きさは、寿司の容積を1とした場合、0.1乃至1とされ、好ましくは、0.2乃至0.6とされる。本発明において、内部が減圧されたプラスチックフィルム製の柔軟な電子レンジ用の包装袋内において、寿司の周囲に形成される空間の容積は、前記内部が減圧されたプラスチックフィルム製の柔軟な電子レンジ用の包装袋内の容積から、箱の容積及び寿司の容積を除いた容積である。本発明において、寿司の米飯成形体及び具は、プラスチックフィルム製の袋に入れて、脱気されて密封包装されているので、一旦、包装された米飯成形体及び具は、外気、湿気及び細菌の侵入を、極力避けることができる構造となっている。
本発明において、包装冷凍寿司の解凍は、例えば、電子レンジ等によるマイクロ波加熱により行われる。この場合、寿司の米飯成形体の部分の解凍は、電子レンジで照射されるマイクロ波の吸収により生じる熱により行われる。包装冷凍寿司の電子レンジによる解凍は、箱の開口部を上に向けた状態又は箱を伏せた状態で解凍を行うことができる。具が加熱されても良い場合には、具を上に位置させて解凍を行うと、具及び米飯成形体を一緒に加熱することができ、電子レンジにより解凍された寿司の具の温度と米飯成形体の温度は、略同様な程度にすることができる。具が加熱されては好ましくない場合は、具を米飯成形体の下に位置させて解凍を行うと、電子レンジのマイクロ波は殆どが米飯成形体に照射されるので、電子レンジにより解凍された寿司の具の温度を米飯成形体の温度より低くすることができる。本発明において、具の周囲を1cm以上の厚さ、好ましくは2cm以上厚さの米飯で囲うようにすると、米飯部を人肌程度とし、具の温度を10乃至25℃、好ましくは15乃至20℃とすることができる。包装冷凍寿司の解凍の目的に応じて、包装冷凍寿司の箱の開口部を上に向けた状態で解凍を行ってもよく、また、包装冷凍寿司の箱を伏せた状態で解凍を行ってもよい。
本発明において、具が加熱されては好ましくない場合には、電子レンジによる寿司の具の部分の解凍は、専ら寿司の米飯成形体の部分で発生する熱及び水蒸気により行われる。この場合、包装冷凍寿司の解凍は、包装冷凍寿司の重量及び保存温度に関係するが、例えば、冷凍された包装袋を電子レンジ内で2.5分乃至5分間マイクロ波加熱により解凍して、主として冷凍米飯成形体の解凍を行い、次いで、包装袋を開くことなく、15乃至1時間の間、好ましくは15乃至45分の間、例えばその侭室内に放置して、米飯成形体から発生する水蒸気により蒸らして、米飯成形体の加熱温度により具の解凍を行うものである。本発明において、解凍時には、脱気及び冷凍時には互いに接触して凍結されていた、包装袋の上部内面と寿司の具又は包装袋の上部内面と米飯部は離れて、その間の空間には水蒸気が入り込んで、寿司の米飯部分及び具を加熱する。
本発明において、寿司の具を米飯成形体に覆われるように配置させて、電子レンジ内で解凍させることができる。この場合には、寿司に照射されるマイクロ波は殆どが具を覆っている米飯部分に吸収され、米飯により覆われている具は、マイクロ波が米飯に遮蔽されて、加熱される量は少ない。マイクロ波による具の加熱は、専らその露出部において行われ、箱寿司又は棒寿司を電子レンジにより解凍する場合、電子レンジにより加熱された寿司の温度分布は一様でなく、寿司の米飯成形体部分の温度は、マイクロ波が照射される露出面が高く、また、マイクロ波が集中するために角部に近づく程高くなるが、本発明者らが測定した解凍された寿司の温度分布によると、寿司の米飯成形体及び具において長手方向端部露出面の温度が、米飯成形体及び具の中央部分表面の温度に比して著しく高い温度となり、寿司の内部、例えば長手方向中央部の具と米飯成形体の接触部分の温度は、米飯成形体及び具の中央部分表面の温度に比して可なり低い温度となることが分かった。また、棒寿司又は箱寿司の場合、電子レンジで加熱された棒寿司は、食べるのに適当な大きさに切って食されるが、解凍後の米飯成形体部分は、温度が高く、例えば、40℃以上の温度の米飯成形体では、米粒同士の粘り合いが大きく、切り離し難いので形が崩れ易いが、米飯成形体の温度を15℃乃至30℃、好ましくは、15℃乃至25℃とすることにより、米飯成形体の米粒同士の粘り合いを小さくして、切り易くできることが分かった。
本発明においては、マイクロ波加熱による寿司の解凍後には、米飯の余熱や水蒸気の熱を冷たい具の加熱に供するために、包装袋を解かずに放置して、包装袋内に発生する水蒸気で解凍された寿司を蒸らして、具の温度を上昇させると共に米飯成形体の温度を低下させている。本発明においては、包装袋内に米飯成形体の周囲に空間を形成して、解凍時に発生する水蒸気の流動を自由にすることにより、蒸らしを効率的に行って、比較的短時間に、米飯成形体の温度を、全体的にならして、解凍することができ、解凍された包装冷凍寿司を切り易くさせる。包装冷凍寿司の解凍を電子レンジで行うときに、包装袋を密封した侭で、電子レンジで加熱時間を、例えば2.5分以上、好ましくは3分乃至4.5分と比較的長くして、米飯成形体の解凍直後の端面の温度を、30℃以上、例えば40℃以上又は50℃以上にし、一定時間放置して蒸らして切り易くして食することが出来る。また、電子レンジで解凍後、水で冷却することによって、蒸らし時間を短くすることが出来る。
本発明において、箱内に収容された寿司は、箱ごと包装袋内に入れられる。寿司が箱ごと収容された包装袋内が、例えば、600mmHg以下、好ましくは400mmHg以下の圧力に、脱気されて減圧されると、大気の圧力により包装袋が萎み、包装袋の内面が具及び米飯成形体に密着して、寿司を箱内に固定させる。また、このように、包装袋内を減圧にすることにより大気の圧力により、袋の上方部の内面が、寿司の具及び米飯成形体に密着して、寿司の具及び米飯成形体を押さえ込んだ状態で凍結されるので、解凍時に、具の位置がずれることはない。また本発明においては、寿司の周囲に空間が形成されるが、脱気段階で、寿司の周りの空気が排除されて、冷却時の伝熱を良好にすることが出来る。
本発明においては、寿司を収容した箱は、型内で米飯成形体の上に具を載せて寿司を作り、この作られた寿司の具を上にして箱内に入れるか、又は、箱内に入れた米飯成形体の上に具を載せて箱内で寿司を作ることによって形成することができる。しかし、本発明において、寿司は具を下にして箱内に収容することができる。本発明においては、寿司を収容した箱を、柔軟なプラスチック製の包装袋に入れて、脱気し密封包装して、柔軟なプラスチック製の包装袋の内面を寿司の具に密着させて、寿司を箱内に固定し、この脱気包装された寿司を冷凍温度に冷却されている冷媒と接触させて、前記脱気包装寿司の包装袋内を寿司と共に冷凍するので、冷凍包装寿司を製造する作業を殆ど機械的に行うことが可能となり、自動化が容易となって、衛生的に量産することができ、延いては良質な冷凍包装寿司の恒常的な製造を行うことができる。また本発明においては、寿司を箱内に収容し、寿司を収容した箱を蓋をしないで包装袋に入れるので、箱と寿司の間及び箱と包装袋の間に僅かに空間を形成することができ、電子レンジで加熱の際に、マイクロ波の加熱により、主として冷凍寿司の米飯成形体から発生する水蒸気が、この形成された空間を流動して、冷凍されている具を加熱して解凍及び加温を行うことができる。
本発明の包装冷凍寿司は、内部が減圧状態にあり密封されている柔軟なプラスチック製の電子レンジ用の包装袋と、前記包装袋内に配置されている上部が開放されているプラスチック製の箱と、前記箱内に配置されている寿司とを備えており、前記包装袋内には、寿司との間に空間が形成されており、前記包装袋の内面が、寿司の上面に接触しており、前記包装袋、箱及び寿司は、共に凍結されて一体に形成されているので、包装冷凍寿司は、包装袋を開かずに電子レンジを使用して解凍することにより、解凍時に発生する蒸気が包装袋内に篭ることとなり、解凍後継続して、解凍時に発生した蒸気により蒸らして、寿司全体を比較的短時間で略均一な温度に加熱することができる。また、本発明においては、包装袋内を脱気するだけで、具の上又は寿司の上に包装袋が接触状態で凍結するので、プラスチック製の箱に入れられた寿司を箱内に定着させることができる。このように、本発明においては、脱気された包装袋の接触下に凍結されるので、プラスチック製の箱に入れた後の寿司及び具の位置をずれさせることが少なくなるので、作業効率がよくなり、製品の歩留まりを向上させることができる。しかも、本発明においては、寿司をプラスチック製の箱に入れ、寿司の入った箱をプラスチック製の包装袋に入れて凍結して一体にするので、寿司の周囲、特に、寿司と箱の間及び箱と包装袋の間に隙間を形成することができ、解凍時に発生する蒸気の隙間内の流動により、蒸らし後の寿司の温度を均一にさせることが容易となる。
本発明においては、寿司は位置を安定させるためにプラスチック製の箱に入れられる。米飯成形体に具を載せた寿司の場合には、寿司は、プラスチック製の箱に、具を上にして、又は具を下にして入れることができる。具を下にして入れると、電子レンジによる解凍の際に、マイクロ波は、上に位置する殆どが米飯成形体に照射されることとなり、具の温度を米飯成形体の温度より低く保つことが出来る。巻物の寿司の場合には、寿司は、具の配置に関係なく箱に入れることができる。この場合、露出する具の両端部を5mm以上の厚さ、好ましくは10mm以上の厚さに、米飯で覆うと、具の温度を米飯成形体の温度より低く保つことが出来る。このように寿司を入れたプラスチック製の箱は、寿司を周囲の環境と隔離するために、柔軟なプラスチックフィルム製の包装用の袋に入れられ、寿司を入れた箱を収容した包装用の袋は、脱気されて、袋の口は封着される。口が封着されたプラスチック製の包装袋は、ブライン等の冷却媒に浸漬するなどして、全体を冷却し凍結することにより、一体に形成することができる。このようにして、包装冷凍寿司を比較的簡単に製造することができる。また、包装冷凍寿司は、予め冷凍した冷凍寿司をプラスチック製の箱に入れ、冷凍寿司を入れた箱を、プラスチック製の包装用の柔軟な袋に入れて、脱気し、脱気された包装袋の口を封着して、包装冷凍寿司を比較的簡単に製造することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の態様を説明するが、本発明は、以下の説明及び例示により、何ら限定されるものではない。
第1図は、本発明の一実施例の概略を説明する概略の側面側の断面図である。第2図は、第1図の実施例の概略を説明する概略の正面側の断面図である。第1図及び第2図において、対応する箇所には、同一の符号が使用されている。
【実施例1】
第1図及び第2図に示す実施例において、包装冷凍寿司1は、外部がマイクロ波透過性のプラスチック製の包装袋2であり、プラスチック製の包装袋2の内部には、寿司3を収容するマイクロ波透過性のプラスチック製の箱4が収容されており、包装冷凍寿司1の内部全体は、脱気された減圧状態で米飯成形体5及び具6を備える寿司3と共に一体に凍結されている。包装冷凍寿司1において、プラスチック製の包装袋2は、内部が脱気されてさらに冷凍されて減圧状態にあり、その上部中央部7が大気の圧力により内側に凹んで、寿司3の具6の上面8に、前記中央部7の内面9を密着して凍結されており、解凍時においても寿司3の具6の上面8は、プラスチック製の包装袋の上部中央部7の内面9に接した状態で解凍され、箱4内の寿司3の米飯成形体5及び具6の配置位置は脱気前と殆ど変わらない。また、包装袋の内部は減圧状態にあるために、2.5乃至6分程度のマイクロ波加熱によって、水蒸気が発生しても、包装袋2が破裂するには至らない。
本例は以上のように構成されているので、包装冷凍寿司1は、例えば、次のようにして製造することができる。即ち、米飯成形体5の上に、具6を載せて寿司3を作り、この作られた寿司3をプラスチック製の箱4に入れる。寿司3を入れた前記箱4を、包装袋2内に入れて、該包装袋2の口10を、真空ポンプの吸引口(何れも図示されていない)に接続し、例えば、400mmHgの圧力で、前記包装袋2内を脱気する。この脱気過程で、包装袋2の上面部7は、大気の圧力で、内側に萎み、具6の上面8を抑え込んで、箱4内の寿司3及び具の位置を安定させる。脱気をし終えたところで、該包装袋2の口10を加熱シールにより密封し、密封されたプラスチック製の包装袋2を、エタノールの冷凍ブラインに浸漬して、プラスチック製の包装袋毎全体を凍結して一体に形成して、包装冷凍寿司1を製造する。製造された包装冷凍寿司1は、保冷庫に例えば−25℃以下の低温で保冷されて、適宜取出し解凍して寿司として提供される。
本例において、包装冷凍寿司1は、具6を上にして電子レンジに入れて解凍することができる。また、これとは逆に、米飯成形体5を上にし、寿司の具6を下にして、つまり、前記プラスチック製の箱4を伏せた状態で解凍することも出来る。具8を上にして電子レンジに入れて解凍する場合は、具6が加熱されても良い寿司であり、マイクロ波は、寿司3を上下方向及び横方向から照射され、具6の露出部である上面部8、正面部(背面部を含む)11及び側面部12が加熱される。露出部においては、寿司3の解凍直後において、米飯成形体5及び寿司の具6は同じ程度に加熱される。寿司3に向けて照射されたマイクロ波は、専ら、米飯成形体5及び具6の露出部に吸収されて、米飯成形体5及び具6が加熱される。このように加熱された米飯成形体5においては、温度が上昇すると共に水蒸気が発生し、此処で発生した蒸気は、柔軟なプラスチック製の包装袋2内に篭って、米飯成形体5及び具6を温めることになり、寿司3の全体を均一な温度に解凍されることになる。本例の具体化例を以下に示す。
例1
炊き上げた米飯13kgに酢1400mlを混合し、均一になるように撹拌し、このようにして酢合わせされた米飯を、次いで50℃に冷却して、酢あわせした米飯、即ち酢飯を調製した。この調製された酢飯に、水で戻した後、砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮染めみじん切りした椎茸、並び水で戻した後、砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮染めみじん切りした干瓢を混ぜ合わせて寿司飯を調製した。一方。腹開きに開いた穴子を、砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮て、巾5.5cmで長さ18cmの帯状に切って、穴子寿司用の具となる穴子の切身を調製した。
寿司飯240グラム及び具材の穴子の切身50グラムを使用して、幅5.5cm、長さ18cm及び高さが3cmの穴子の箱寿司(大)を箱型を使用して製造した。この穴子の箱寿司(大)を寿司型から取出し、プラスチック製の箱の中に具材の穴子の切身を下にして入れた。箱の内側寸法は、底部で幅6.0cm及び長さ19.2cmであり、上部開口部で、幅7.0cm及び長さ20.5cmであり、高さが3.0cmであった。寿司を入れた箱を、内側のポリエチレンフィルムと外側のナイロンフィルムの貼り合わせフィルムの柔軟な包装袋に入れて、40cmHgの圧力で真空ポンプにより脱気して該包装袋の口を加熱封着した。脱気された包装袋は、上部が凹み米飯成形体に密着した状態であった。
このように穴子の箱寿司をプラスチック製の箱に入れて箱ごと入れて包装され加熱封着された包装袋は、−35℃の温度のブラインのエチルアルコール中に45分間保持して、ブライン冷凍し穴子の包装冷凍寿司(大)の製品とした。この穴子の包装冷凍寿司(大)は、外側のプラスチック製の包装袋、プラスチック製の箱と中身の穴子寿司が一体に冷凍形成されており、この穴子の包装冷凍寿司(大)は平均−23.3℃の温度で保存された。
この穴子の包装冷凍寿司(大)を調理するにあたって、500ワットの電子レンジを使用した。
本例の穴子の包装冷凍寿司(大)を500ワットの電子レンジに入れて、4分間加熱することにより解凍した。電子レンジの解凍時間の4分が経過したところで、包装冷凍寿司を電子レンジより取り出して、45分間常温に放置して蒸らした。本例において、解凍された寿司のマイクロ波に露出する米飯部について、前記米飯成形体の上端の3つの稜線が交差する角部(表1中、米飯部上面端部角部という)の温度、前記米飯成形体の上面の幅方向中央で長手方向端部から内側に1cm入った箇所(表1中、米飯部端部上面部という)の温度及び前記米飯成形体の上面の幅方向中央で長手方向中央の箇所(表1中、米飯部中央上面部という)の温度を、解凍直後、蒸らし30分経過後及び蒸らし45分経過後において測定した。また、前記解凍された寿司の具材について、具の箱側表面の長手方向端部から1cm内側の箇所(表1中、具の箱側端部という)の温度、具の箱側中央表面の箇所(表1中、具の箱側中央表面という)の温度、具の酢飯側表面の長手方向端部から1cm内側の箇所(表1中、具の米飯側端部側面部という)の温度及び具の酢飯側中央表面の箇所(表1中、具の米飯側中央表面という)の温度を、解凍直後、蒸らし30分経過後及び蒸らし45分経過後において測定した。その結果を表1に示す。

箱寿司は、解凍直後では、長手方向中央部の温度は長手方向端部の温度に比して44℃乃至65℃程度の差が見られたが、45分間蒸らしたところ、寿司の米飯成形体及び具材の温度は、両端部を除いて温度分布は略均一化し、全体としても、15℃を越える温度であり温度差も、目的の15乃至30℃の範囲内に収まり、箱寿司は包丁で切れ易くなった。
例2
例1と同様に、酢合わせして50℃に冷却された米飯に、夫々、砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮染めてみじん切りにされた椎茸及び干瓢を混ぜ合わせた寿司飯240グラム及び例1と同様に砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮て作られた具材の穴子の切身50グラムを使用して、幅5.5cm、長さ18cm及び高さが3cmの穴子の箱寿司(大)を箱型を使用して製造した。この穴子の箱寿司(大)を箱型から取出し、プラスチック製の箱の中に具材の穴子の切身を下にして入れた。箱の内側寸法は、例1と同様であり、底部で幅6.0cm及び長さ19.2cmであり、上部開口部で、幅7.0cm及び長さ20.5cmであり、高さが3.0cmであった。寿司を入れた箱を、内側がポリエチレンフィルムで外側がナイロンフィルムの貼り合わせフィルムの柔軟な包装袋に入れて、40cmHgの圧力で真空ポンプにより脱気して該包装袋の口を加熱封着した。脱気された包装袋は、上部が凹み米飯成形体に密着した状態であった。
このように穴子の箱寿司をプラスチック製の箱に入れて箱ごと入れて包装され加熱封着された包装袋は、−35℃の温度のブラインのエチルアルコール中に45分間保持して、ブライン冷凍し穴子の包装冷凍寿司(大)の製品とした。この穴子の包装冷凍寿司(大)は、外側のプラスチック製の包装袋、プラスチック製の箱と中身の穴子寿司が一体に冷凍形成されており、この穴子の包装冷凍寿司(大)は平均−23.6℃の温度で保存された。
この穴子の包装冷凍寿司(大)を調理するにあたって、500ワットの電子レンジを使用した。
本例の穴子の包装冷凍寿司(大)を500ワットの電子レンジに入れて、3分20秒間加熱することにより解凍した。電子レンジの解凍時間の3分20秒が経過したところで、包装冷凍寿司を電子レンジより取り出して、45分間常温に放置して蒸らした。本例において、解凍された寿司のマイクロ波に露出する米飯部について、前記米飯成形体の上端の3つの稜線が交差する角部(表2中、米飯部上面端部角部という)の温度、前記米飯成形体の幅方向中央で長手方向端部側面から内側に1cm入った箇所(表2中、米飯部端部側面部という)の温度及び前記寿司の上面幅方向中央で長手方向中央の箇所(表2中、米飯部中央上面部という)の温度を、解凍直後、蒸らし30分経過後及び蒸らし45分経過後において測定した。また、前記解凍された寿司の具材について、具の箱側表面の長手方向端部から1cm内側の箇所(表2中、具の箱側端部側面部という)の温度及び具の酢飯側表面の長手方向端部から1cm内側の箇所(表2中、具の米飯側端部側面部という)の温度を、解凍直後、蒸らし30分経過後及び蒸らし45分経過後において測定した。その結果を表2に示す。

箱寿司は、解凍直後では、米飯部の長手方向中央部の温度は米飯部の長手方向端部の温度に比して40℃乃至60℃程度の差が見られたが、45分間蒸らしたところ、寿司の米飯成形体及び具材の温度は、両端部を除いて温度分布は略均一化し、全体としても、13℃を越える温度であり、温度差も概略15℃以下の範囲内に収まり、箱寿司は包丁で切れ易くなった。
例3
例1と同様に、酢合わせして50℃に冷却された米飯に、夫々、砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮染めてみじん切りにされた椎茸及び干瓢を混ぜ合わせた寿司飯180グラム及び例1と同様に砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮て作られた具材の穴子の切身40グラムを使用して、幅5.5cm、長さ14cm及び高さが3cmの穴子の箱寿司(小)を箱型を使用して製造した。この穴子の箱寿司(小)を箱型から取出し、プラスチック製の箱の中に具材の穴子の切身を下にして入れた。箱の内側寸法は、例1と同様であり、底部で幅6.5cm及び長さ14.0cmであり、上部開口部で、幅7.2cm及び長さ15.7cmであり、高さが3.3cmであった。寿司を入れた箱を、内側がポリエチレンフィルムで外側がナイロンフィルムの貼り合わせフィルムの柔軟な包装袋に入れて、40cmHgの圧力で真空ポンプにより脱気して該包装袋の口を加熱封着した。脱気された包装袋は、上部が凹み米飯成形体に密着した状態であった。
このように穴子の箱寿司をプラスチック製の箱に入れて箱ごと入れて包装され加熱封着された包装袋は、−35℃の温度のブラインのエチルアルコール中に45分間保持して、ブライン冷凍し穴子の包装冷凍寿司(小)の製品とした。この穴子の包装冷凍寿司(小)は、外側のプラスチック製の包装袋、プラスチック製の箱と中身の穴子寿司が一体に冷凍形成されており、この穴子の包装冷凍寿司(小)は平均−18.4℃の温度で保存された。
この穴子の包装冷凍寿司(小)を調理するにあたって、500ワットの電子レンジを使用した。
本例の穴子の包装冷凍寿司(小)を500ワットの電子レンジに入れて、2.5分間加熱することにより解凍した。電子レンジの解凍時間の2.5分が経過したところで、包装冷凍寿司を電子レンジより取り出して、45分間常温に放置して蒸らした。本例において、解凍された寿司のマイクロ波に露出する米飯部について、前記米飯成形体の幅方向中央で長手方向端部側面から内側に1cm入った箇所(表3中、米飯部端部側面部という)の温度及び前記寿司の上面幅方向中央で長手方向中央の箇所(表3中、米飯部中央上面部という)の温度を、解凍直後、蒸らし30分経過後及び蒸らし45分経過後において測定した。また、前記解凍された寿司の具材について、具の箱側表面の長手方向端部から1cm内側の箇所(表3中、具の箱側端部側面部という)の温度及び具の酢飯側表面の長手方向端部から1cm内側の箇所(表3中、具の米飯側端部側面部という)の温度を、解凍直後、蒸らし30分経過後及び蒸らし45分経過後において測定した。その結果を表3に示す。

箱寿司は、解凍直後では、米飯部の長手方向中央部の温度は同じく米飯部の長手方向端部の温度に比して38℃程度の差が見られたが、30分間蒸らしたところ、寿司の米飯成形体及び具材の温度は、全体としても、14℃以上の温度であり、温度差も概略10℃以下の範囲内に収まった。また、45分間蒸らしたところ、寿司の米飯成形体及び具材の温度は、両端部を除いて温度分布は略均一化し、全体としても、15℃以上の温度であり、温度差も概略6℃以下の範囲内に収まった。何れの場合も、箱寿司は包丁で切れ易くなっていた。
例4
例1と同様に、酢合わせして50℃に冷却された米飯に、夫々、砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮染めてみじん切りにされた椎茸及び干瓢を混ぜ合わせた寿司飯240グラム及び例1と同様に砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮て作られた具材の穴子の切身50グラムを使用して、幅5.5cm、長さ18cm及び高さが3cmの穴子の箱寿司(大)を箱型を使用して製造した。この穴子の箱寿司(大)を箱型から取出し、プラスチック製の箱の中に具材の穴子の切身を上にして入れた。箱の内側寸法は、底部で幅6.0cm及び長さ19.2cmであり、上部開口部で、幅7.0cm及び長さ20.5cmであり、高さが3.3cmであった。寿司を入れた箱を、内側がポリエチレンフィルムで外側がナイロンフィルムの貼り合わせフィルムの柔軟な包装袋に入れて、40cmHgの圧力で真空ポンプにより脱気して該包装袋の口を加熱封着した。脱気された包装袋は、上部が凹み米飯成形体に密着した状態であった。
このように穴子の箱寿司をプラスチック製の箱に入れて箱ごと入れて包装され加熱封着された包装袋は、−35℃の温度のブラインのエチルアルコール中に45分間保持して、ブライン冷凍し穴子の包装冷凍寿司(大)の製品とした。この穴子の包装冷凍寿司(大)は、外側のプラスチック製の包装袋、プラスチック製の箱と中身の穴子寿司が一体に冷凍形成されており、この穴子の包装冷凍寿司は平均−18.0℃の温度で保存された。
この穴子の包装冷凍寿司(大)を調理するにあたって、500ワットの電子レンジを使用した。
本例の穴子の包装冷凍寿司(大)を500ワットの電子レンジに入れて、4分15秒間加熱することにより解凍した。電子レンジの解凍時間の4分15秒が経過したところで、包装冷凍寿司を電子レンジより取り出して、45分間常温に放置して蒸らした。本例において、解凍された寿司のマイクロ波に露出する米飯部について、前記米飯成形体の長手方向端部側面(表4中、米飯部端部側面部という)の温度及び前記寿司の下面の幅方向中央で長手方向中央の箇所(表4中、米飯部中央下面部という)の温度を、解凍直後、蒸らし30分経過後及び蒸らし45分経過後において測定した。また、前記解凍された寿司の具材について、具の上側で長手方向端部側面から1cm内側の箇所(表4中、具の上側端部側面部という)の温度及び具の酢飯側、即ち米飯側の下側で長手方向端部側面から1cm内側の箇所(表4中、具の米飯側端部側面部という)の温度を、解凍直後、蒸らし20分経過後及び蒸らし30分経過後において測定した。その結果を表4に示す。

箱寿司は、解凍直後では、米飯部の長手方向中央部の温度は米飯部の長手方向端部の温度に比して30℃程度の差が見られたが、20分間及び30分間の蒸らしで、僅かに差はあるが、寿司の米飯成形体及び具材の温度は、両端部を除いて温度分布は略均一化し、全体としても、20℃を越える温度を有し、温度差も概略10℃以下の範囲内に収まり、箱寿司は包丁で切れ易くなった。
例5
炊き上げた米飯13kgに酢1400mlを混合し、均一になるように撹拌し、このようにして酢合わせされた米飯を、次いで50℃に冷却して、酢あわせした米飯、即ち酢飯を調製した。この調製された酢飯210gを広げ、この広げられた酢飯に、巻き芯40gを載せて、太巻きの巻寿司機等により、直径5cmで長さ14.5cmの丸棒状の太巻き寿司(小)を形成した。本例において、巻き芯には、(1)水で戻した後、砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮染めみじん切りした椎茸、(2)砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮染め二つ折りした干瓢、(3)鶏卵、だし汁、砂糖及び醤油等を加えて箱形に焼き上げ、巾が1cm、厚さ1cmで、長さが14.5cmの棒状に切断された厚焼き玉子、及び(4)茹で上げて適当な長さに切断された三つ葉を使用した。
この形成された太巻き寿司(小)を、プラスチック製の箱の中に入れた。箱の内側寸法は、底部で幅6.5cm及び長さ14.0cmであり、上部開口部で、幅7.2cm及び長さ15.7cmであり、高さが3.3cmであった。寿司を入れた箱を、内側がポリエチレンフィルムで外側がナイロンフィルムの貼り合わせフィルムの柔軟な包装袋に入れて、40cmHgの圧力で真空ポンプにより脱気して該包装袋の口を加熱封着した。脱気された包装袋は、上部が凹み太巻き寿司の上面に密着した状態であった。
このように太巻き寿司をプラスチック製の箱に入れて箱ごと入れて包装され加熱封着された包装袋は、−35℃の温度のブラインのエチルアルコール中に45分間保持して、ブライン冷凍して、太巻き寿司の包装冷凍寿司(小)の製品とした。この太巻き寿司の包装冷凍寿司(小)は、外側のプラスチック製の包装袋、プラスチック製の箱と中身の太巻き寿司が一体に冷凍形成されており、この太巻き寿司の包装冷凍寿司(小)は平均−24.3℃の温度で保存された。
この太巻き寿司の包装冷凍寿司(小)を調理するにあたって、500ワットの電子レンジを使用した。
本例の太巻き寿司の包装冷凍寿司(小)を500ワットの電子レンジに入れて、3分20秒間加熱することにより解凍した。電子レンジの解凍時間の3分20秒が経過したところで、包装冷凍寿司を電子レンジより取り出して、45分間常温に放置して蒸らした。本例において、解凍された太巻き寿司のマイクロ波に露出する米飯部について、前記太巻き寿司の長手方向端部から内側に1cm入った箇所(表5中、米飯部端部上面部という)の温度、前記太巻き寿司の長手方向中央の表面(表5中、米飯部中央表面部という)の温度及び前記太巻き寿司の長手方向中央の表面から2mmの深さの箇所(表5中、米飯部中央内部という)の温度を、解凍直後、蒸らし30分経過後及び蒸らし45分経過後において測定した。また、解凍された太巻き寿司の具材について、太巻き寿司の長手方向中央の表面から25mmの深さの箇所(表5中、具材部という)の温度を、解凍直後、蒸らし30分経過後及び蒸らし45分経過後において測定した。その結果を表5に示す。


太巻き寿司は、解凍直後では、米飯部の長手方向中央部の温度は米飯部の長手方向端部の温度に比して45℃程度の差が見られたが、30分間及び45分間の蒸らしにおいて僅かに差はあるが、太巻き寿司の米飯部及び具材の温度は、概略20℃以上であり、全体で、温度差が概略10℃以下の範囲に収まり、太巻き寿司は包丁で切れ易くなった。45分間蒸らしたところ、寿司の米飯成形体及び具材の温度は、全体が、概略15乃至30℃の温度範囲に収まり、解凍された太巻き寿司は包丁で切れ易くなった。
例6
例6と同様に酢飯及び巻き芯部を調製した。この調製された酢飯265gを広げ、この広げられた酢飯に、巻き芯50gを載せて、太巻きの巻寿司機等により、直径5cmで長さ18cmの丸棒状の太巻き寿司(大)を形成した。この形成された太巻き寿司(大)を、プラスチック製の箱の中に入れた。箱の内側寸法は、底部で幅6.0cm及び長さ19.2cmであり、上部開口部で、幅7.0cm及び長さ20.5cmであり、高さが3.3cmであった。寿司を入れた箱を、内側がポリエチレンフィルムで外側がナイロンフィルムの貼り合わせフィルムの柔軟な包装袋に入れて、40cmHgの圧力で真空ポンプにより脱気して該包装袋の口を加熱封着した。脱気された包装袋は、上部が凹み太巻き寿司の上面に密着した状態であった。
このように太巻き寿司をプラスチック製の箱に入れて箱ごと入れて包装され加熱封着された包装袋は、−35℃の温度のブラインのエチルアルコール中に45分間保持して、ブライン冷凍して、太巻き寿司の包装冷凍寿司(大)の製品とした。この太巻き寿司の包装冷凍寿司(大)は、外側のプラスチック製の包装袋、プラスチック製の箱と中身の太巻き寿司が一体に冷凍形成されており、この太巻き寿司の包装冷凍寿司(大)は平均−19.5℃の温度で保存された。
この太巻き寿司の包装冷凍寿司(大)を調理するにあたって、500ワットの電子レンジを使用した。本例の太巻き寿司の包装冷凍寿司(大)を500ワットの電子レンジに入れて、3分20秒間加熱することにより解凍した。電子レンジの解凍時間の3分20秒が経過したところで、包装冷凍寿司を電子レンジより取り出して、45分間常温に放置して蒸らした。本例において、解凍された太巻き寿司のマイクロ波に露出する米飯部について、前記太巻き寿司の長手方向端部から内側に1cm入った箇所(表5中、米飯部端部上面部という)の温度、前記太巻き寿司の長手方向中央の表面(表5中、米飯部中央表面部という)の温度及び前記太巻き寿司の長手方向中央の表面から2mmの深さの箇所(表5中、米飯部中央内部という)の温度を、解凍直後、蒸らし30分経過後及び蒸らし45分経過後において測定した。また、解凍された太巻き寿司の具材について、太巻き寿司の長手方向中央の表面から25mmの深さの箇所(表5中、具材部という)の温度を、解凍直後、蒸らし30分経過後及び蒸らし45分経過後において測定した。その結果を表6に示す。

太巻き寿司は、解凍直後では、米飯部の長手方向中央部の温度は米飯部の長手方向端部の温度に比して53℃程度の差が見られたが、45分間蒸らしたところ、太巻き寿司の米飯部及び具材の温度は、10℃を越える温度となり、全体の温度差が、概略10℃以下の範囲内に収まり、太巻き寿司は包丁で切れ易くなった。
例7
炊き上げた米飯13kgに酢1400mlを混合し、均一になるように撹拌し、このようにして酢合わせされた米飯を、次いで50℃に冷却して、酢あわせした米飯、即ち酢飯を調製した。一方、鰻を背又は腹開きにして、醤油、砂糖及び味醂等で調製したタレを付けながら焼いて蒲焼にし、この蒲焼を、幅4cm、長さ6cm及び厚さ3mmの寸法で概略一枚10gの寿司ネタ用に切っておく。幅5.5cm、長さ14cm及び厚さ3cmの押し寿司用の箱型に、180gの酢飯をいれ、その上に寿司ネタ用の蒲焼の切身を4枚(40g)を載せて、鰻の箱寿司(小)を作る。幅5.5cm、長さ14cm及び高さが3.3cmの鰻の箱寿司(小)を寿司用の箱型から取出し、プラスチック製の箱の中に鰻の箱寿司を具材の鰻を下にして入れた。箱の内側寸法は、底部で幅6.5cm及び長さ14.0cmであり、上部開口部で、幅7.2cm及び長さ15.7cmであり、高さが3.3cmであった。寿司を入れた箱を、内側がポリエチレンフィルムで外側がナイロンフィルムの貼り合わせフィルムの柔軟な包装袋に入れて、40cmHgの圧力で真空ポンプにより脱気して該包装袋の口を加熱封着した。脱気された包装袋は、上部が凹み米飯成形体に密着した状態であった。
このように鰻の箱寿司をプラスチック製の箱に入れて箱ごと入れて包装され加熱封着された包装袋は、−35℃の温度のブラインのエチルアルコール中に45分間保持して、ブライン冷凍し鰻の包装冷凍寿司(小)の製品とした。この鰻の包装冷凍寿司(小)は、外側のプラスチック製の包装袋、プラスチック製の箱と中身の鰻寿司が一体に冷凍形成されており、この鰻の包装冷凍寿司(小)は平均−21.6℃の温度で保存された。
この鰻の包装冷凍寿司(小)を調理するにあたって、500ワットの電子レンジを使用した。
本例の鰻の包装冷凍寿司(小)を500ワットの電子レンジに入れて、2.5分間加熱することにより解凍した。電子レンジの解凍時間の2.5分が経過したところで、包装冷凍寿司を電子レンジより取り出して、45分間常温に放置して蒸らした。本例において、前記米飯成形体の長手方向端部側面(表7中、米飯部端部側面部という)の温度及び前記寿司の上面(箱内)の幅方向中央で長手方向中央の箇所(表7中、米飯部中央上面部という)の温度を、解凍直後、蒸らし30分経過後及び蒸らし45分経過後において測定した。また、前記解凍された寿司の具材について、具の下側表面(箱の底側)で長手方向端部側面から1cm内側の箇所(表7中、具の下側端部表面部という)の温度及び具の酢飯側、即ち下側で長手方向端部側面から1cm内側の箇所(表7中、具の酢飯側端部側面部という)の温度を、解凍直後、蒸らし20分経過後及び蒸らし30分経過後において測定した。その結果を表7に示す。

箱寿司は、解凍直後では、米飯部の長手方向中央上面部の温度は長手方向端部側面部の温度に比して49℃程度の差が見られたが、30分間及び45分間蒸らしにより、寿司の米飯成形体及び具材の温度は、何れの場合も、15℃を越える温度となり、温度差も、温度分布は略均一化し、全体としても、温度差が、概略10℃以下の範囲内に収まり、包装寿司は包丁で切れ易くなった。
第3図及び第4図に、第1図及び第2図に示す実施例とは異なる実施例を示す。第3図及び第4図に示す実施例において、箱4は、ポリプロピレン製であり、第4図に示すように、箱4の正面側は逆かまぼこ型であり、この形状は、具を箱4の底部に配置した寿司の正面側の断面形状に倣って形成されている。本例において、包装冷凍寿司1を入れるプラスチック製の箱4は、箱4の補強及び形状保持のために、内壁に沿って内側に突出て7個のリブ13が形成されており、寿司は、具6を下にし、その上に米飯成形体5を位置させて、リブ13の上に載せて及びリブ13の間の空間14を通して収容することができる。この場合、寿司は切離し可能に切れ目をつけたものでもよい。また、寿司を切分けて、一切れづつ、リブ13を境にして、リブ13の間の空間14に収容することもできる。本例においては、棒寿司又は箱寿司は8切れに切離すことができるように、切れ目15を付けて、リブ13の上に載せて箱4内に収容される。図3には、切欠線16により、寿司を収容しない状態のリブ13とリブ間の空間14を示している。もとより本例においても、切り目の入っていない棒寿司や箱寿司の容器として使用できる。本例においては、リブは箱の内側に設けられているが、外側に設けることもできる
例8
例1に倣って調製された酢飯に、水で戻した後、砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮染めみじん切りした椎茸、並び水で戻した後、砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮染めみじん切りした干瓢を混ぜ合わせて寿司飯を調製した。一方。腹開きに開いた穴子を、砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮て、巾5.5cmで長さ18cmの帯状に切って、穴子寿司用の具となる穴子の切身を調製した。
寿司飯220グラム及び具材の穴子の切身40グラムを使用して、幅5.5cm、長さ18cm及び高さが2.7cmの穴子の箱寿司(大)を箱型を使用して製造した。この穴子の箱寿司(大)を寿司型から取出し、8切れになるように切れ目を付けて、逆かまぼこ型のプラスチック製の箱の中に具材の穴子の切身を下にして入れた。箱の内側寸法は、底部で幅6.2cm及び長さ18.2cmであり、上部開口部で、幅6.2cm及び長さ19.2cmであり、高さが3.0cmであった。寿司を入れた箱を、内側のポリエチレンフィルムと外側のナイロンフィルムの貼り合わせフィルムの柔軟な包装袋に入れて、40cmHgの圧力で真空ポンプにより脱気して該包装袋の口を加熱封着した。脱気された包装袋は、上部が凹み米飯成形体に密着した状態であった。このように脱気包装され、加熱封着された穴子寿司(大)の包装袋は、−35℃の温度のブラインのエチルアルコール中に45分間保持して、ブライン冷凍し穴子の脱気包装冷凍寿司(大)の製品とした。
この穴子の包装冷凍寿司(大)は、外側のプラスチックフィルム製の包装袋、プラスチック製の箱と中身の穴子寿司が一体に冷凍形成されており、この穴子の脱気包装冷凍寿司(大)は平均−23.4℃の温度で保存された。
この穴子の包装冷凍寿司(大)を調理するにあたって、500ワットの電子レンジを使用した。本例の穴子の包装冷凍寿司(大)を500ワットの電子レンジに入れて、3分10秒加熱することにより解凍した。電子レンジの解凍時間の3分10秒が経過したところで、包装冷凍寿司を電子レンジより取り出して、30分間25℃の室温に放置して蒸らした。この蒸らし過程において、包装寿司の所定箇所の温度を、解凍直後、蒸らし15分経過後(表中では、単に「15分経過後」と記載している)及び蒸らし30分経過後(表中では、単に「30分経過後」と記載している)において測定した。その結果を表8に示す。
表8において、表8において、「米飯部端部上面部」は、解凍された寿司の米飯部について、具に接しない側の表面の三つの稜線の交差する角部の温度を示す。また「米飯部中央表面部」は、具に接しない側の上面の長手方向中央部の幅の中央部の温度を示す。そして「具の上側端部側面部」は、具の容器底に接する面の端部から1cm入った箇所の温度を示す。そしてまた「具の上側中央部」は、具の容器底に接する面の長手方向中央部の幅の中央部の温度を示す。さらに「具の米飯成形体側端部」は、具の米飯成形体に接する面の端部から1cm入った箇所の温度を示す。

包装寿司は、解凍直後では、米飯部中央上面部の温度は米飯部の端部側面部の温度に比して25℃程度の差が見られたが、30分間蒸らしたところ、寿司の米飯成形体及び具材の温度は13℃以上となり、温度分布は略均一化し、温度差は、全体としても、概略10℃の程度の範囲内に収まり、箱寿司は包丁で切れ易くなった。
また、本例においては、30分間の蒸らし時間で十分に解凍できたが、これは、ラップ用のフィルムで寿司を密に包んで、隙間を寿司の容積に対し0.1未満にした場合には、蒸らしに45分以上を要しているので、蒸らしの時間を15分以上短縮したことを示している。
例9
例5により調製された酢飯210gを広げ、この広げられた酢飯に、巻き芯40gを載せて、太巻きの巻寿司機等により、直径5cmで長さ14.5cmの丸棒状の太巻き寿司(小)を形成した。本例において、例5と同様に、巻き芯には、(1)水で戻した後、砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮染めみじん切りした椎茸、(2)砂糖、醤油及び味醂の煮汁で煮染め二つ折りした干瓢、(3)鶏卵、だし汁、砂糖及び醤油等を加えて箱形に焼き上げ、巾が1cm、厚さ1cmで、長さが14.5cmの棒状に切断された厚焼き玉子、及び(4)茹で上げて適当な長さに切断された三つ葉を使用した。
この形成された太巻き寿司(小)を、8切れに等分して、直方体のプラスチック製の箱の中に入れた。箱の内側寸法は、底部で幅5.5cm、長さ15.0cmで、高さが5.0cmであった。寿司を入れた箱を、内側がポリエチレンフィルムで外側がナイロンフィルムの貼り合わせフィルムの柔軟な包装袋に入れて、40cmHgの圧力で真空ポンプにより脱気して該包装袋の口を加熱封着した。脱気された包装袋は、上部が凹み太巻き寿司の上面に密着した状態であった。包装袋内における寿司の周りの容積(隙間の容積)は、76立方センチメートルであり、寿司の容積に対する隙間の容積比は、0.241であった。このように太巻き寿司をプラスチック製の箱に入れて箱ごと入れて包装され加熱封着された包装袋は、−35℃の温度のブラインのエチルアルコール中に45分間保持して、ブライン冷凍して、太巻き寿司の脱気包装冷凍寿司(小)の製品とした。この太巻き寿司の脱気包装冷凍寿司(小)は、外側のプラスチック製の包装袋、プラスチック製の箱と中身の太巻き寿司が一体に冷凍形成されており、この太巻き寿司の包装冷凍寿司(小)は平均−21.5℃の温度で保存された。
この太巻き寿司の包装冷凍寿司(小)を調理するにあたって、500ワットの電子レンジを使用した。
本例の太巻き寿司の包装冷凍寿司(小)を500ワットの電子レンジに入れて、3分間加熱することにより解凍した。電子レンジの解凍時間の3分が経過したところで、包装冷凍寿司を電子レンジより取り出して、30分間常温に放置して蒸らした。この蒸らし過程において、包装寿司の所定箇所の温度を、解凍直後、蒸らし15分経過後(表中では「15分経過後」と記載されている)及び蒸らし30分経過後(表中では「30分経過後」と記載されている)において測定した。その結果を表9に示す。
表9において、「米飯部端部上面部」は、解凍された寿司の露出する端部における海苔に接する米飯部の温度を示す。また「米飯部中央表面部」は、海苔の上面の長手方向中央部における幅の中央部の温度を示す。そして「米飯部中央内部」は、海苔の上面の長手方向中央部における幅の中央部の表面から深さ2mmの米飯部内部の温度を示す。そしてまた「具材部」は、海苔の上面の長手方向中央部における幅の中央部の表面から深さ2.5センチメートルの具の温度を示す。

太巻き寿司(小)は、解凍直後では、米飯部の長手方向中央部の温度は米飯部の長手方向端部の温度に比して68乃至76℃程度の差が見られたが、30分間の蒸らしにより、太巻き寿司の米飯部及び具材の温度は、概略10℃以上であり、全体で、温度差が概略15℃以下の範囲に収まり、太巻き寿司は包丁で切れ易くなった。
【産業上の利用可能性】
本発明の包装冷凍寿司は、内部が脱気されて冷凍されているプラスチックフィルム製の包装用の袋と、前記包装袋用の内に配置されている上部が開放されているプラスチック製の箱と、米飯成形体の上に具が配置されている冷凍されている寿司とを備えて一体に凍結されて形成されているので、寿司の周りには寿司の容積の1/10以上の空間が形成されており、電子レンジを使用して解凍した場合に、発生する蒸気の流動が空間を介して容易となり、解凍された寿司を蒸らすことにより、比較的短時間で寿司全体を略均一な温度にすることができる。したがって、本願発明においては、包装冷凍寿司を解凍して、解凍時に発生する水蒸気により蒸らして、解凍された寿司を目的の温度に均すことができ、美味しく食することができる。このように、本発明の包装冷凍寿司は、調理が簡単且つ容易であるので、解凍に係る温度の不均一を解消して、季節物の具を使用する箱寿司を冷凍保存して、季節に関係なく、季節物の具を使用して、美味しく食することが可能な包装冷凍寿司を提供することができる。
しかも、本発明においては、包装冷凍寿司は、プラスチック製の箱に、寿司を入れて脱気包装して、冷凍することにより衛生的に優れた包装冷凍寿司を簡単に製造でき、その作業も比較的簡単かつ容易となるので、包装冷凍寿司を機械的に且つ大量に効率よく製造することができる。しかも、従来困難とされていた、冷凍包装寿司を製造する作業が殆ど人手を離れて機械的に行うことが可能となり、自動化が容易にでき、良質な冷凍包装寿司の恒常的な製造を行うことができ、産業上の利用性が大きい。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が減圧状態にあり密封されている柔軟なプラスチック製の電子レンジ用の包装袋と、前記包装袋内に配置されている上部が開放されているプラスチック製の箱と、前記箱内に配置されている寿司とを備えており、前記包装袋内において、寿司の周囲に空間が形成されており、前記包装袋の内面が、寿司の上面に接触しており、前記包装袋、箱及び寿司は、共に凍結されて一体に形成されていることを特徴とする電子レンジ対応の包装冷凍寿司。
【請求項2】
箱は、平面形状が、角形、円形及び楕円形の箱、筒、盆又は皿であることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ対応の包装冷凍寿司。
【請求項3】
プラスチック製の電子レンジ用の包装袋がナイロンフィルム及び前記ナイロンフィルムより厚いポリプロピレンフィルムの貼り合わせフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ対応の包装冷凍寿司。
【請求項4】
プラスチック製の電子レンジ用の包装袋内において、寿司の周囲に存在する空間の容積が、寿司の容積に対し1乃至0.1倍であることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ対応の包装冷凍寿司。
【請求項5】
米飯成形体の上面又は内部に具を配置して寿司を形成し、この形成された寿司をプラスチック製の箱内に入れ、前記寿司を入れたプラスチック製の箱を、柔軟なプラスチック製の電子レンジ用の包装袋に入れて、脱気し密封して脱気された包装寿司を形成し、この脱気された包装寿司を冷凍温度に冷却されている冷媒により冷却して、前記包装寿司を構成する前記包装袋、箱及び寿司を共に凍結して一体に形成することを特徴とする電子レンジ対応の包装冷凍寿司の製造方法。
【請求項6】
箱は、平面形状が、角形、円形及び楕円形の箱、筒、盆又は皿であることを特徴とする請求項5に記載の電子レンジ対応の包装冷凍寿司の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の包装冷凍寿司をマイクロ波加熱によって加熱することにより米飯成形体部分の長手方向端部露出部の少なくとも一部の温度を30℃以上にさせて前記マイクロ波加熱を停止し、次いで15分乃至1時間の間包装を解かずに放置して、少なくとも米飯成形体部分から発生する水蒸気が寿司と箱の間に形成されている空間に移動することにより、米飯成形体及び具を蒸らして、具及び米飯の部分の温度を15℃乃至30℃にすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の電子レンジ対応の包装冷凍寿司の電子レンジによる調理方法。
【請求項8】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の包装冷凍寿司をマイクロ波加熱によって加熱することにより米飯成形体部分の長手方向端部露出部の温度を30℃以上にさせると共に、具部分の長手方向端部露出部の温度を20℃以上にさせて前記マイクロ波加熱を停止し、次いで15分乃至1時間の間包装を解かずに放置して、少なくとも米飯成形体部分から発生する水蒸気が寿司と箱の間に形成されている空間に移動することにより、米飯成形体及び具を蒸らして、具及び米飯の部分の温度を15℃乃至30℃にすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子レンジ対応の包装冷凍寿司の電子レンジによる調理方法。
【請求項9】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の包装冷凍寿司をマイクロ波加熱により加熱することにより米飯成形体部分の長手方向端部露出部の温度を30℃以上にさせると共に、具部分の長手方向端部露出部の温度を20℃以下にさせて前記マイクロ波加熱を停止し、次いで15分乃至1時間の間包装を解かずに放置して、少なくとも米飯成形体部分から発生する水蒸気が寿司と箱の間に形成されている空間に移動することにより、米飯成形体及び具を蒸らして、具及び米飯の部分の温度を15℃乃至25℃にすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子レンジ対応の包装冷凍寿司の電子レンジによる調理方法。

【国際公開番号】WO2005/020710
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513539(P2005−513539)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012758
【国際出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(595037700)株式会社ポーラスター (7)
【Fターム(参考)】