説明

包装容器及び包装容器の製造方法

【課題】包装容器の製造過程、流通過程及び保存時にシール蓋が破断されない包装容器を提供する。
【解決手段】包装容器101は、底部と開口部111とを有する円筒形状の容器本体110と、シール蓋120と、保護シート130と、シュリンクフィルム140と、粘着ラベル150とを備える。シール蓋120は、一方面が容器本体110の開口部111にシールされ、中心から延びる放射状の切断線121を有する。保護シート130は、シール蓋120の切断線121の全体を覆い、シール蓋120から剥離可能となるようにシール蓋120の他方面に貼着される。シュリンクフィルム140は、開口部の周縁に沿って、容器本体110の側壁の一部、及び、シール蓋120の周辺部を環状に取り囲む。粘着ラベル150は、保護シート130全体、及び、シュリンクフィルム140のシール蓋120を覆う部分のうち内周縁を含む部分に貼り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状・顆粒状等の流動性を有する物質を包装し、内容物を保存容器に移し替えるための包装容器及び包装容器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インスタントコーヒー等の粉末状の食品を包装する詰め替え(移し替え)機能を付与した包装容器として、ミシン目を備えたシール蓋を容器本体の開口部にシールし、更に、シール蓋を保護する為に、別途オーバーキャップでシール蓋を覆った包装容器が用いられる場合がある(例えば、特許文献1)。また、特許文献2には、放射状リブが天板の内面に設けられたオーバーキャップが開示されている。当該オーバーキャップでシール蓋を覆うことで、前記放射状リブや横リブ等によってシール蓋が抑えられ、シール蓋の破断が防止される。包装容器を使用する際には、オーバーキャップを取り外した状態で、シール蓋に押圧を加える。シール蓋にはミシン目が形成されているため、押圧によって容易に開封する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−280283号公報
【特許文献2】特開2009−280285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図9は、容器本体の開口部を封止するシール蓋の破断を説明する為の上面図及び側面図である。
【0005】
上述した包装容器の製造工程では、シール蓋920が貼着された容器本体910が、オーバーキャップを装着する後の工程に向けて、コンベアに複数並べられた状態で搬送されたり、コンベア上のストッパーに押し当てられたり、スターホイール式移載装置にセットされたりする。容器本体910の開口部911に、隣接する容器本体910やストッパーなどから押圧力が加わると、容器本体910の開口部911が楕円状に変形する。このとき、切断線923の向きによっては、シール蓋920に不均一に生じる張力によって、シール蓋920が切断線923に沿って破断するという問題が発生する。
【0006】
また、密封包装済みの包装容器は、流通過程において、輸送時または保管時等における外的衝撃や押圧力などにより、強度的に最も弱い部分となる前記切断線に沿ってシール蓋が破断するという不測の事態が発生する。さらに、密封包装済みの包装容器は、流通過程において、内容物を包装した場所とは気圧や温度が異なる環境(例えば標高の高い地域)に輸送されることがある。外部の気圧が包装容器内部の圧力と異なる場合、包装容器の内部と外部とで圧力差が発生する。また、温度変化によって、包装容器内部の圧力が変化すると、やはり包装容器の内部と外部とで圧力差が発生する。このような状態で、包装容器のオーバーキャップを取り外すと、シール蓋が予期せずに破裂するという問題が発生する。
【0007】
それ故に、本発明の目的は、流通過程や保存時だけでなく、製造過程においても、シール蓋が破断されない包装容器及び当該包装容器の製造方法を提供することである。また、当該包装容器の開封時に破裂することがないシール蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、粉状または顆粒状の内容物を包装し、その内容物を他の容器に移し替えるための包装容器に関する。包装容器は、開口部と底部とを有する筒形状の容器本体と、前記開口部にシールされて容器本体を封止すると共に、中心部から放射状に延びる切断線が形成され、外部からの押圧によって破断するシール蓋と、少なくとも切断線の全体を覆い、かつ、シール蓋から剥離可能となるようにシール蓋の他方面に貼着される保護シートと、開口部の周縁に沿って、容器本体の側壁の少なくとも一部、及び、シール蓋の周辺部を環状に取り囲むシュリンクフィルムと、シール蓋上のシュリンクフィルムで覆われていない領域と、シュリンクフィルムの内周縁の全周に沿った領域とを覆うように、少なくとも保護シート及びシュリンクフィルムに貼着される粘着ラベルとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、包装容器の製造過程、流通過程及び保存時において、破断が防止されたシール蓋を実現できる。また、本発明によれば、包装容器の開封時に予期せずに破断することが防止されたシール蓋を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る包装容器の斜視図
【図2】図1に示す包装容器のA−Aラインに沿った断面図
【図3A】第1の実施形態に係る包装容器の製造方法を説明する上面図及び正面図
【図3B】図3Aに続く工程を説明する正面図
【図3C】図3Bに続く工程を説明する正面図
【図3D】図3Cに続く工程を説明する正面図
【図4】容器本体の開口部を封止するシール蓋の破断を説明する為の上面図及び側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る包装容器の斜視図である。図2は、図1に示す包装容器のA−Aラインに沿った断面図である。尚、図2では、開口部を含む一部分の包装容器の断面を示している。
【0012】
包装容器101は、特許文献1に記載されているものと同様に、内容物を詰め替えする為のものである。当該包装容器101は、容器本体110と、漏斗パーツ160と、シール蓋120と、保護シート130と、シュリンクフィルム140と、粘着ラベル150とを備える。容器本体110の内部には粉体等の内容物(図示せず)が充填されている。
【0013】
容器本体110は、内容物を収容するための容器であり、開口部111と、底部とを有する円筒状に形成されている。
【0014】
漏斗パーツ160は、内容部の詰め替え時において、内容物を詰め替え先の容器に導くガイドとして機能する。漏斗パーツ160は、狭口側を容器本体110の開放端に向けた状態で、容器本体110の内部に装着されている。
【0015】
シール蓋120は、一方面(図2における下面)が容器本体110の開口部111にシールされ、容器本体110を封止する。また、シール蓋120には、詰め替え時に押圧された際の破断を容易にするために、放射状の切断線123が中心から所定の長さにわたって形成されている。切断線123は、ミシン目やハーフカットで形成される。尚、切断線123の長さ、本数、形状等は、シール蓋120の材質や内容物の詰め替え先の容器の形状に応じて任意に設定できる。その際、落下時の衝撃等による破断を防止するため、切断線123は、シール蓋120の周縁部には到達しないよう形成することが好ましい。
【0016】
保護シート130は、シール蓋120の意図しない破断を防止するためのものであり、切断線123の全体を覆い、かつ、シール蓋120から剥離可能となるようにシール蓋120の他方面(図2における上面)に貼着されている。
【0017】
ここで、保護シート130は、破れないよう十分な強度を持つ必要がある。また、包装容器101の内圧の変化や開口部111の変形によってシール蓋120にかかる力から、シール蓋120を保護するため、変形しにくい材質であることが必要である。保護シート130は、さらに、シール蓋120から剥離する方向への捲り上げを容易にし、かつ、剥離位置への引張力を集中し易くするため、柔軟性を有する材質であることが要求される。そのため、例えば、PET(ポリエチレンテレフレート)および弱粘着層を有する積層フィルムを、保護シート130の基材に用いることが好ましいが、シール蓋120を保護できるものであれば、層構成は任意である。また、保護シート130をシール蓋120に剥離可能に貼着するには、例えば、基材(PET等)の一方面に粘着層を積層し、その上に剥離ニスをドット状に塗布した層構成を有する保護シート130を用いる。但し、保護シート130をシール蓋120から剥離可能に貼着できるものであれば、イージーピールフィルムなど別の層構成を有する保護シートを採用しても良い。
【0018】
シュリンクフィルム140は、容器本体110の開口部111の周縁に沿って、容器本体110の側壁の一部と、シール蓋120の周辺部を環状に取り囲むように取り付けられている。
【0019】
粘着ラベル150は、シール蓋120上のシュリンクフィルム140で覆われていない領域と、シュリンクフィルム140の内周縁の全周に沿った領域とを覆うように、保護シート130及びシュリンクフィルム140に貼り付けられている。尚、粘着ラベル150と、保護シート130及びシュリンクフィルム140との接着強度は、包装容器101の流通過程や保存時に剥離することがないよう強力なものとすることが好ましい。また、粘着ラベル150と保護シート130との接着強度は、保護シート130とシール蓋120との接着強度より高い。粘着ラベル150は、例えば、紙層、PET層、強粘着層から構成される。但し、層構成は特に限定されず、保護シート130やシュリンクフィルム140に接着されるものであれば任意である。
【0020】
以下に、第1の実施形態に係る包装容器の製造方法を、図3A〜3Dを用いて説明する。尚、図3Aの(a)は、製造方法を説明する上面図を示し、図3Aの(b)は、図3A(a)のB−B線に沿った断面図を示す。尚、図3B〜3Dでは、開口部を含む一部分の包装容器の断面を示している。
【0021】
まず、図3Aに示すように、放射状に延びる切断線123が形成されたシート材125の一方面(図3A(b)の下面)を、並べて配置した容器本体110の開口部111にシールする。尚、容器本体110の内部には漏斗パーツ160が装着され、内容物(図示せず)が充填されている。そして、シート材125のうち、1点鎖線で囲まれる部分を打ち抜き、開口部がシール蓋で封止された容器本体110を得る。図3Aでは、3個の包装容器110に対して同時にシート材125をシールしているが、同時にシート材125をシールする包装容器110の数は任意で良い。また、1つの包装容器110毎にシート材125をシールしても良い。
【0022】
次に、図3Bに示すように、切断線123の全体を覆うように、保護シート130をシール蓋120の外面に貼着する。
【0023】
次に、図3Cに示すように、開口部111の周縁に沿って、容器本体110の側壁112の開口部側上端の一部と、シール蓋120の外周縁部とを環状に取り囲むようにシュリンクフィルム140を取り付ける。
【0024】
そして、シール蓋120上のシュリンクフィルム140で覆われていない領域161と、シュリンクフィルム140の内周縁の全周に沿った領域162とを覆うように、少なくとも保護シート130及びシュリンクフィルム140に粘着ラベル150を貼着すると、図3Dに示すように第1の実施形態に係る包装容器101が完成する。
【0025】
このように、第1の実施形態に係る包装容器101の製造工程においては、シール蓋120で開口部111を封止した後、シール蓋120の切断線121が保護シート130によって保護される。この結果、シール蓋120で開口部111を封止した後に行われる工程や搬送の際に、シール蓋120の破断が防止される。加えて、包装容器101の流通過程や保存時においても、保護シート130によってシール蓋120の破断が確実に防止される。
【0026】
また、作製された包装容器101においては、粘着ラベル150は、シュリンクフィルム140と、保護シート130とに強く粘着しているが、上述のように、保護シート130とシール蓋120との粘着力は相対的に弱く設定されている。そのため、使用時にシュリンクフィルム140を剥がす作業を行うだけで、シュリンクフィルム140と、粘着ラベル150と、保護シート130とが一体となった状態でシール蓋120から剥離することができる。従って、利用者は、シュリンクフィルム140や保護シート130を別途剥離する必要がなく、開封作業を容易に行うことができる。
【0027】
更に、シール蓋120は、保護シート130で保護されているため、粘着ラベル150には、シール蓋120を保護する機能を与える必要がない。従って、例えば、薄い紙やPETで粘着ラベルを作製することで、製造コストを低減することができる。更に、包装容器101は、保護シート130の下面(粘着面側)に当たりくじ等の印刷を施すことによって、キャンペーン等に利用することができる。
【0028】
尚、シート材を開口部111にシールしてから保護シート130を貼着すること(図3A及び3B)に代えて、シート材125に保護シート130を貼着した後、当該シート材125を開口部111にシールしても良い。この方法では、フラットな状態で保護シート130をシート材125に隙間なく沿わせて貼着できるため、保護シート130に弾力性がある場合(層構成にアルミニウムを含まない場合など)には、特に効果的である。
【0029】
また、第1の実施形態では、シート材を容器本体の開口部に貼着してから、シール蓋を打ち抜いているが、予め打ち抜いたシール蓋を容器本体の開口部に貼着しても良い。
【0030】
更に、第1の実施形態では、シュリンクフィルムは、保護シートの外方に位置するシール蓋の周辺部を環状に取り囲んでいるが、側壁の一部、前記シール蓋の周辺部及び保護シートの周辺部を環状に取り囲んでも良い。
【0031】
更に、第1の実施形態では、保護シートは、切断線を覆うようにシール蓋の内側一部に貼着しているが、特にこれに限定されず、例えば、保護シートを、シール蓋の全面を覆うように、シール蓋に貼着しても良い。
【0032】
尚、上記の第1の実施形態では、容器本体には円筒形状のものを用いている。しかし、容器本体の形状は、筒状であれば特に限定されず、例えば、横断面形状が多角形状であっても良い。このとき、シール蓋の外形は、容器本体の横断面に合わせた形状に作製することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、粉状・顆粒状等の流動性を有する物質を他の容器に移し替えるための包装容器等に有用である。
【符号の説明】
【0034】
101、201 包装容器
110、210 容器本体
111、211 開口部
112 側壁
120、220 シール蓋
123 切断線
223 ミシン目
130 保護シート
140 シュリンクフィルム
150 粘着ラベル
161、162 領域
221 第1シート
222 第2シート
224 タブ
125、225、226 シート材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉状または顆粒状の材料を包装し、前記材料を他の容器に移し替えるための包装容器であって、
開口部と底部とを有する筒形状の容器本体と、
前記開口部に狭口側を向けて、前記容器本体内部に装着される漏斗パーツと、
一方面が前記開口部にシールされて前記容器本体を封止し、中心部から放射状に延びる切断線が形成され、外部からの押圧によって破断するシール蓋と、
少なくとも前記切断線の全体を覆い、かつ、前記シール蓋から剥離可能となるように前記シール蓋の他方面に貼着される保護シートと、
前記開口部の周縁に沿って、前記容器本体の側壁の少なくとも一部、及び、前記シール蓋の周辺部を環状に取り囲むシュリンクフィルムと、
前記シール蓋上の前記シュリンクフィルムで覆われていない領域と、前記シュリンクフィルムの内周縁の全周に沿った領域とを覆うように、少なくとも前記保護シート及び前記シュリンクフィルムに貼着される粘着ラベルとを備える包装容器。
【請求項2】
前記保護シートと前記粘着ラベルとの接着強度は、前記シール蓋と前記保護シートとの接着強度より高い、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記保護シートは、ポリエチレンテレフタレート層及び粘着層を含む、請求項1または2に記載の包装容器。
【請求項4】
粉状または顆粒状の材料を包装し、前記材料を他の容器に移し替えるための包装容器の製造方法であって、
放射状に延びる切断線を形成したシート材の一方面を容器本体の開口部にシールして、前記容器本体の開口部をシール蓋で封止し、
前記シール蓋を前記開口部にシールした後に、前記切断線の全体を覆い、かつ、前記シール蓋から剥離可能となるように前記シール蓋の他方面に前記保護シートを剥離可能に貼着し、
前記開口部の周縁に沿って、前記容器本体の側壁の少なくとも一部、及び、前記シール蓋の周辺部を環状に取り囲むようにシュリンクフィルムを取り付け、
前記シール蓋上の前記シュリンクフィルムで覆われていない領域と、前記シュリンクフィルムの内周縁の全周に沿った領域とを覆うように、少なくとも前記保護シート及び前記シュリンクフィルムに粘着ラベルを貼着する、包装容器の製造方法。
【請求項5】
粉状または顆粒状の材料を包装し、前記材料を他の容器に移し替えるための包装容器の製造方法であって、
放射状に延びる切断線を形成したシート材の一方面に、少なくとも前記切断線の全体を覆い、かつ、前記シート材から剥離可能となるように保護シートを前記シート材に貼着し、
前記シート材を前記開口部にシールして、前記容器本体の開口部を前記保護シートが貼着されたシール蓋で封止し、
前記開口部の周縁に沿って、前記容器本体の側壁の少なくとも一部、及び、前記シール蓋の周辺部を環状に取り囲むようにシュリンクフィルムを取り付け、
前記シール蓋上の前記シュリンクフィルムで覆われていない領域と、前記シュリンクフィルムの内周縁の全周に沿った領域とを覆うように、少なくとも前記保護シート及び前記シュリンクフィルムに粘着ラベルを貼着する、包装容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−1433(P2013−1433A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135552(P2011−135552)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】