説明

包装容器

【課題】 単に商品を包装するに留まらず、消費者等の購買者に有意義な情報を表示する情報表示面の面積を拡張することができ、しかもその情報表示面が出荷時には隠蔽されおり、販売時又は購入時にその情報表示面を露出させることができ、また、包装していた商品を取り出した後にその商品又はその使用済みとなって廃棄予定の廃棄商品を返送することができ、又は、発送元から送付例えば郵送されてきた物品例えば各種商品を包装することができ、その物品を取り出した後に使用済みのその物品又は他の物品を収容して発送元又は他の発送先に送付例えば郵送することのできる包装容器を提供すること。
【解決手段】 重ね合わせられた下側重合部と上側重合部とを備え、上側重合部はその一部又は全部を下側重合部から完全分離不能に剥離可能に形成され、剥離された上側重合部の重合面及び/又は下側重合部の露出可能な露出面に情報が記載又は記載可能にされてなることを特徴とする包装容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は包装容器に関し、更に詳しくは、単に商品を包装するに留まらず、消費者等の購買者に有意義な情報を表示する情報表示面の面積を拡張することができ、しかもその情報表示面が出荷時には隠蔽されおり、販売時又は購入時にその情報表示面を露出させることができ、また、包装していた商品を取り出した後にその商品又はその使用済みとなって廃棄予定の廃棄商品を返送することができ、又は、発送元から送付例えば郵送されてきた物品例えば各種商品を包装することができ、その物品を取り出した後に使用済みのその物品又は他の物品を収容して発送元又は他の発送先に送付例えば郵送することのできる包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から商品はたとえば紙製の包装容器に包装されて流通市場を流通していた。流通市場における消費者等の購入者は、包装容器ごとその商品を購入しているのが常だった。
【0003】
その包装容器は、出荷時、販売時及び購入時のいずれにおいても、その表面積に変化がない。たとえばその包装容器が長方形の箱体である場合、その箱体内に商品を収容した状態で商品が出荷され、販売時においてもその包装容器は出荷時と同じ状態である。したがって、出荷時と販売時とでは、その包装容器は同じ表面積を有するといえる。また、商品を購入する場合、その包装容器ごとその商品を購入することになる。そしてその商品を使用するときには、その包装容器における封緘部分を開封して中味の商品を取り出す。封緘部分を開封した後のその包装容器は開封部分だけ包装容器の表面積が増加しているが、包装容器における少なくともパネル部の表面積は増加していない。
【0004】
ところで、商品を収容した包装容器を店頭に陳列する場合、その包装容器にはハンガーと称する部分(以下において、「ハンガー部」と称することがある。)を必要とする包装容器がある。この包装容器はたとえば直方体である場合、前記パネル部はその直方体から突き出た状態となっている。商品を収容した包装容器を大量輸送する場合、直方体である包装容器をできるだけコンパクトに搬送容器たとえば段ボール箱に詰め込む必要があるが、前記パネル部といった出っ張り部分が包装容器にあると、搬送容器にできるだけ効率的に、且つ大量に前記包装容器を詰め込もうとすると、その詰め込み作業が煩雑で時間のかかるものになるといった問題がある。ここにおいて、出荷時及び搬送時においては出っ張り部分がなく、店頭陳列時等においては店頭陳列に便利なようにハンガー部等の出っ張り部分を容易に形成することのできるような包装容器が要望される。しかしながら、現状においてはそのように便利な包装容器は市場において見かけない。
【0005】
また、商品を収容した包装容器の表面には、その商品に関する各種の情報が印刷されている。その包装容器の表面に印刷される各種の情報の量は、その包装容器の表面積に依存する。その包装容器の表面に記載される情報量よりももっと大量の情報を店頭陳列時にその包装容器に関連して開示する必要が多々ある。その場合には、商品を収容した包装容器に、別に作成した情報提供手段たとえば張り紙、立看板、カード等を、付随させるということが考えられ、また実際の店頭においても実行されている。しかしながら、包装容器に付随させる情報提供手段をその都度作成してその包装容器のそばに配置し、その包装容器に結合し、等の作業をおこなうことはきわめて煩雑である。といってその包装容器にあらかじめシート乃至プレートのような出っ張り部分を形成しておいてその出っ張り部分の表面に、各種の情報を印刷しておけばよいという考えを採用することは、難しい。なぜならば、前述したように、包装容器はできるだけ単純な形状、たとえば直方体、立方体、円筒形等であることが輸送及び在庫保存等に便利であるが、前記単純な形状に加えて出っ張り部分のある包装容器は輸送及び在庫保存等に不便になるからである。ここにおいて、出荷時及び搬送時においては出っ張り部分がなく、店頭陳列時等においてはその包装容器とは別の情報提供手段を設けなくても済むような包装容器が要望される。しかしながら、現状においてはそのように便利な包装容器は市場において見かけない。
【0006】
包装容器内の商品の売上を向上させるためには、販売促進活動が必須である。販売促進活動の一つとして、景品供与が挙げられる。景品目当てにその商品を購入する購入者の数を増加させることが景品供与の目的である。しかし、商品販売量の増加が実現されるように商品購入の動機付けとしては、景品供与には限界がある。購入する商品よりも価値の大きな景品を無償で提供するならば商品販売量は飛躍的に増大するが、経済的理由からそのような景品は提供されるはずがない。となると、販売促進に直接的に寄与するのは射幸の動機付けである。たとえば、その商品の包装容器に富くじが付加されていると、富くじ目当てにその商品を購入する購入者の数は飛躍的に増大することが見込まれる。しかしながら、現状の包装容器では富くじを付帯させることができない。なぜならば、富くじはその商品包装時においてあたりくじが秘密状態にされねばならないからである。包装容器の中に商品と共にあたりくじを収容することも考えられるが、包装容器とは別途に当たりくじ及び外れくじを作成し、それらをランダムに包装容器に収容しなければならないから、煩雑な作業を強いられることとなり、それが故に現実的ではない。
【0007】
包装容器には、上述したような問題のほかに、以下のような問題もある。
【0008】
包装容器ごとその商品を購入した購入者は、その商品の使用等をするときには、その包装容器から商品を取り出し、その後においてはその包装容器を廃棄していた。また、その商品を使用した後に、その商品が不要であると判断されるとその商品は、通常、廃棄されていた。
【0009】
商品がたとえばプラスチック製である場合に、プラスチック製商品が使用済みになったからといってそのプラスチック製商品を廃棄しているのでは、プラスチックの原料が石油であることを考慮すると、資源の無駄使いであることが明らかである。
【0010】
また、包装容器が紙製である場合、紙の原料であるパルプは木材から製造されるので、開封後の紙製包装容器を単に廃棄するのは、プラスチックの場合と同様に資源の無駄使いになる。
【0011】
使用済みのプラスチック製商品を廃棄乃至投棄することは、プラスチックは難分解性であることにより、環境に悪影響を与えることになる。またプラスチック製商品を焼却処理すると、ダイオキシン等の環境ホルモンの発生を招いて環境の悪化乃至破壊をもたらすことになる。また、開封後の紙製包装容器を単に廃棄乃至焼却処理していると、紙の原料である森林の枯渇を招くばかりか、森林面積の減少による地球温暖化等の厳しい環境問題が
発生する。
【0012】
したがって、近年の環境保護の観点からすると、包装容器内から取り出した商品はその使用後にできるだけ回収を行って資源として再利用することが必要であり、また、開封後の紙製包装容器についても、これを回収して再利用を図り、森林資源を保護することが望まれる。
【0013】
しかしながら実際には、商品の購入者がその包装容器を一つ一つ資源回収業者に提供することは煩雑であり、使用済みのプラスチック製商品を一つ一つ資源回収業者に提供することも煩雑であるから、開封後の包装容器及び包装容器内に収容されていたところの使用済みの商品を資源回収業者に送付することをせずに単に廃棄処理するだけであり、資源回収の実が上がらなかった。
【0014】
なお、使用済みの商品及び包装容器を組織的に回収する技術は、未だ提案されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この発明は、商品を包装するという包装機能のみならず、情報開示機能を備えた包装容器を提供することを目的とする。この発明の他の目的は、商品包装機能を有するのみならず、その商品が使用済みに成ったときにはその使用済み商品を包装して返送することができ、これによって使用済み包装容器の回収及び使用済みの商品回収の機能を発揮することのできる包装容器を提供することを、目的とする。この発明のさらに他の目的は、商品包装機能のみならず、内容物を取り出して使用済みになった包装容器を、内容物を収容して他所に送付することのできる搬送用の包装容器を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、
重ね合わせられた下側重合部と上側重合部とを備え、上側重合部はその一部又は全部を下側重合部から完全分離不能に剥離可能に形成され、剥離された上側重合部の重合面及び/又は下側重合部の露出可能な露出面に情報が記載又は記載可能にされてなることを特徴とする包装容器であり、
請求項2は、
前記上側重合部は、係留開口部を備えることにより、下側重合面から剥離されるとハンガーを形成可能とする前記請求項1に記載の包装容器であり、
請求項3は、
内容物を取り出し可能に形成された取出し部と、前記取出し部に隣接する下側重合部とこの下側重合部に重ね合わされた上側重合部とを備え、前記上側重合部は、その一部又は全部を下側重合部から完全分離不能に剥離可能に形成され、剥離されたその一部又は全部が前記取出し部を封緘可能に形成され、前記下側重合部は、上側重合部の剥離により露出する露出面に情報が記載又は記載可能にされた情報開示面を有してなることを特徴とする包装容器であり、
請求項4は、
前記上側重合部は、取出し部を封鎖する封鎖部と包装容器に設けられた差込み片用切り目に挿入可能な差込み片を形成可能な差込み片形成部とを有してなる前記請求項3に記載の包装容器であり、
請求項5は、
前記上側重合部は、取出し部を封鎖する封鎖部を備えず、包装容器に設けられた差込み片用切り目に挿入可能な差込み片を形成可能な差込み片形成部を有してなる前記請求項3に記載の包装容器であり、
請求項6は、
前記上側重合部を下側重合部から完全分離不能に剥離した後に形成される下側重合部の露出面は、運送により届ける先の住所又は居所が記載され、又は前記住所又は居所が記載可能に形成され、ジッパ付きの袋に収容された内容物を収容して運送可能とすることを特徴とする請求項4に記載の包装容器である。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る包装容器は、上側重合部を下側重合部から完全分離不能に剥離可能に形成されているので、上側重合部を下側重合部から剥離すると、包装容器の表面積を拡張することができる。したがって、この上側重合部の重合面及び/又は下側重合部の露出可能な露出面に情報が記載又は記載可能であると、この露出面に種々の情報を表現することができる。例えば、表面積拡張により新たに形成される露出面を情報開示面とし、この情報開示面にたとえば各種の情報たとえば商品情報、富くじ情報、販売者及び/又は製造者に関する企業情報等の情報を記載乃至表現することができる。したがって、この発明は、単に商品を包装するという包装機能に加えて新たな情報提供機能を有する多機能の包装容器を提供することができる。
【0018】
この発明に係る包装容器においては、上側重合部を、係留開口部を備えたハンガーとすることにより、製造時又は出荷時における包装容器にはその包装容器から突出するハンガーを設ける必要がなくなり、店頭陳列時にハンガーを形成することによりハンガーによりぶら下げた商品陳列が可能になる。したがって、この発明によると、出荷時においてはハンガー等の出っ張り部分がなく、したがって商品を収容した大量の包装容器を所定の搬送容器にコンパクトに詰め合わせることができる包装容器を提供することができる。
【0019】
この発明においては、上側重合部の重合面及び/又は下側重合部の露出可能な露出面を記載可能な情報記載欄とすることができる。この情報記載欄を宛名記載欄とすると、この包装容器は、運送用例えば郵送用、バイク便用等の運送用容器の機能が発揮される。
【0020】
この発明に係る包装容器における運送用容器の機能は、種々の局面で発揮される。例えば、この発明に係る包装容器に収容された商品を包装容器ごと入手した購入者は、その商品が使用済みで不要になったときには、その包装容器に使用済み商品を収容し、下側重合部と上側重合部との重ね合わせ部から上側重合部を剥離して開封部をその上側重合部で封緘し、封緘した状態でその商品を包装容器ごと所定の個所に送付することができる。この発明に係る包装容器によると、使用済みの商品及び包装容器を所定の個所乃至部署に収集することができ、収集後に使用済みの商品及び使用済みの包装容器を新たな資源として再利用することができる。したがって、この発明の包装容器は、環境保護に適した物品である。
【0021】
また、この発明に係る包装容器によると、開封後の包装容器に、ジッパ付きの袋に収容した内容物を収容すると、この内容物から液体の浸出、漏洩、又は浸潤等のおそれがあるにもかかわらず、搬送の途中で内容物から生じる液体が包装容器外に漏出することがなく、安全に搬送可能である。また、宛名記載欄は、搬送先例えば郵送先等が予め決定されているのであれば、印刷等により宛名記載欄に宛名等が記載されていても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の形態)
この発明の包装容器の一例を図1に示す。図1に示される包装容器50は、内部に商品を収容することができ、背面部51、右側面部52(なお、この「右側面部」における「右」は背面部51を正面として見たときに右側に位置することからこのように命名したに過ぎない。)、左側面部(図示されず。)、正面部(図示されず。)、上面部53及び底面部(図示されず。)を備えた直方体の形状をなす。前記背面部51は、平面板状の下側重合部54と平面板状の上側重合部55とを重ね合わせて形成される。前記上側重合部55には、この上側重合部55の上端縁から所定の距離Aのところで上側重合部55から上側重合部55の右端縁に並行に下降し、次いで上側重合部55の上端縁から下端縁までの略1/3のところで上側重合部55の上端縁に並行に成るように向きを変え、次いで、上側重合部55の左端縁から前記距離Aと同じ距離Bのところで上方に向きを変えるようにして略U字状に形成されたミシン目56を、有する。また、この上側重合部55は、このミシン目56における上側重合部55の上端縁に平行な部分には、半円形の切欠部57を有する。この上側重合部55は、また、ミシン目56と上側重合部55の上端縁とで囲まれた部分に、係留開口部58を、開設してなる。
【0023】
この包装容器50においては、出荷時には図1に示されるように、上側重合部55と下側重合部54とが重合され、前記ミシン目56と上端部とで囲まれた部位の裏側には接着剤が塗布されずに、前記ミシン目56と上端部とで囲まれた部位以外の裏側には接着剤で上側重合部55と下側重合部54とが一体に接着されてなる。
【0024】
このような構造を有する包装容器50は、上側重合部55と、その上側重合部55における山折り可能な側端線を介して延在形成された左側面部と、その左側面部における山折り可能な側端線を介して延在形成された背面部と、その背面部における山折り可能な側端線を介して延在形成された右側面部52と、その右側側面部52における山折り可能な側端線を介して延在形成された下側重合部54と、右側側面部52の上端縁を山折り可能な折れ線としてこれを介して延在形成された上部右側糊代部と、その右側側面部52の下端縁を山折り可能な折れ線としてこれを介して延在形成された下部右側糊代部と、左側側面部の上端縁を山折り可能な折れ線としてこれを介して延在形成された上部左側糊代部と、その左側側面部の下端縁を山折り可能な折れ線としてこれを介して延在形成された下部左側糊代部と、上側重合部55の上端縁を山折り可能な折れ線としてこれを介して延在形成された上面部53と、前記上側重合部55の下端縁を山折り可能な折れ線としてこれを介して延在形成された底面部と、前記背面部の上端縁を山折り可能な折れ線としてこれを介して延在形成された上面部重ね代部と、前記背面部の下端縁を山折り可能な折れ線としてこれを介して延在形成された底面部重ね代部とを有する展開板を、折り曲げて組み立てることにより、形成乃至作成することができる。また、この種の包装容器を組み立てるための展開板及びその変形例は、後述する他の形態で示される展開板を参照することにより、容易に理解することができる。
【0025】
この包装容器50は、出荷時には図1に示されるように、出っ張り部分のない略直方体に形成されている。したがって、内部に商品が収容されたこの包装容器50の多数を、輸送容器に、コンパクトに詰め合わせることができる。
【0026】
そして、この包装容器50を店頭に陳列する場合、前記切欠部57から前記ミシン目56を破断し、これまでミシン目56と上端部とで囲まれていた部位を引き起こし、図1に示されるように、上面部53に対して直角に立てる。直角に立てられた片は、ハンガー部59となる。このハンガー部59における係留開口部58に、陳列棚におけるピン(図示せず。)を挿通することにより、宙釣り状態にしてこの包装容器を陳列することができる。また、ハンガー部59を立てることにより露出した下側重合部54の露出面60に、購入者及び販売者に有意義な情報を印刷しておくと、出荷時における包装容器50の外表面に印刷した情報よりも多い情報量を、提供することができる。
【0027】
(第2の形態)
図2にこの発明の一例である第2の形態を示す。図2に示されるように、この包装容器50Aは、第1の態様である包装容器50と同様に、内部に商品を収容することができ、正面部61、背面部(図示せず。)、右側面部(図示せず。)、左側面部62、上面部53及び底面部(図示されず。)を備えた直方体の形状をなす。
【0028】
この包装容器50Aが、第1の態様である包装容器50と相違するところは、正面部61を形成する上側重合部63に、正面部61の下端から所定高さの位置を出発点としてそこから僅かに縦に伸び、次いでS字カーブを描くようにして正面部61の右端に向かい、正面部61の右端から所定の距離のところで縦方向に向かい、正面部61の上端から所定の位置で上端に並行に向かい、正面部61の左端から所定の距離のところで向きを変えて下方に下り、前記S字カーブと対称となるカーブを描いて前記出発点に対して左右対称な位置を到着点になるように、ミシン目が形成され、前記ミシン目における出発点と到着点とを結ぶように谷折れ線が形成されること、このミシン目を破断することにより形成される破断線で囲まれた引き起こし片64がハンガー部とは成らずにその裏側面に、情報が印刷されていることにより広告片となっていること、前記引き起こし片64を引き起こすことにより露出する下側重合部65の露出面66にも情報が記載されていることによりこの露出面66が広告面になっていること、である。
【0029】
このような構造を有する包装容器50Aは、前記第1の態様の包装容器50と同様に、出荷時には、出っ張り部分のない略直方体に形成されている。したがって、内部に商品が収容されたこの包装容器50Aの多数を、輸送容器に、コンパクトに詰め合わせることができる。この包装容器50を店頭に陳列する場合、引き起こし片64を引き起こし、正面部61から垂下するようにしてその裏側面に形成された広告面を露出させ、また下側重合部65における露出面66を露出させてその露出面66に形成された広告面を広告として表示することができる。
【0030】
図2においては、引き起こし片64が正面部61から引き起こされてぶら下げられる形態であるが、この引き起こし片64は、正面部61を形成する上側重合部を引き起こしてその裏面を露出させその裏面を情報記載面として活用することのできる限り様々な態様を採り得る。
【0031】
たとえば図3に示されるように、包装容器50Bの正面部61を形成する上側重合部63に、引き起こし片64を形成するためにミシン目が、正面部61の下端縁に並行な谷折れ線の一端を出発点とし、その出発点から縦に伸び、正面部61の上端縁近傍で水平に折れ曲がり、正面部61の所定位置で下降して前記谷折れ線の他端に到着するように、形成されていてもよく、図4に示されるように、引き起こし片64の中央部に谷折れ線67を形成しておき、引き起こし片64を前記谷折れ線67を棟とする切妻型の形状にしてもよい。
【0032】
また図5に示されるように、引き起こし片64を、正面部61における右端縁に並行な谷折れ線68で折り曲げて引き起こすことができるように、ミシン目を形成することもできる。
【0033】
図2、図4及び図5においては、引き起こし片64を引き起こすことにより、露出する下側重合部の露出面には、商品の宣伝広告等の情報が記載される。また図3に示されるように、引き起こし片64を引き起こすことにより、露出する下側重合部の露出面には、富くじが記載される。
【0034】
以上の第1の形態及び第2の形態を代表例として、この発明の包装容器の構造について以下のような変形例を一例として摘示することができる。
【0035】
(1)下側重合部と上側重合部とを重ね合わせて重ね合わせ部を形成するが、その重ね合わせ部は、たとえば包装容器における任意の表面であってもよく、たとえば直方体及び立方体のいずれの面であってもよい
(2)包装容器の形状は直方体に限らず、立方体、図15に示されるような手提げ部70Aと、この手提げ部70Aから曲面状に下降するように形成された曲面部70Bと、その曲面部70Bに連続して垂直に形成された垂直面部70Cと、一対の湾曲側面部70D及び垂直側面部70Eからなる一対の側面部70F及び底面部とを備えてなる異形の包装容器70、図16に示されるように、六角形をした上面部80A、六枚の長方形をなす側面部80B、及び前記上面部80Aに対応して底部に形成された底面部(図示せず。)を備えて成る六角柱状の包装容器80、図17に示されるように、三角形をなす右側面部90A、この右側面部90Aに相対向する三角形の左側面部90B、及び三枚の側面部90Bから成る三角柱状の包装容器90、図18に示されるように、長手方向断面が凸レンズ状に上下に湾曲してなる上部湾曲面部100A及び下部湾曲面部(図示せず。)と湾曲した左右側面部100Bからなる包装容器100、図19に示されるように、左右に湾曲した側辺110Bを有する正面部110Aを備えた三味線胴状の包装容器110等、どのような形状であってもよい。
【0036】
(3)前記重ね合わせ部における上側重合部に形成されるミシン目により形成される形状は、このミシン目を破断することにより得られる引き起こし片を引き起こすことにより下側重合部の露出面すなわち情報開示面(なお、この情報開示面を情報記載面と称しても良い。)が必要な情報を記載するのに十分な面積を有する限り、どのようであってもよい。
【0037】
(4)前記引き起こし片は、その裏側面を情報記載面として使用されてもよく、また、他の用途たとえばハンガー部として使用されても良い。
【0038】
(5)引き起こし片を引き起こすことにより露出する下側重合部の露出面及び/又は引き起こし片の裏側面に記載される情報は、消費者等の購入者にとって有意義な情報、購入者の購買意欲を向上させる情報等であればどのような情報であっても良い。有意義な情報として、たとえば、収容されている商品に関する内容説明、取り扱い説明、及び警告説明等の商品情報、商品の製造者及び/又は販売者に関する情報たとえば企業理念説明、関連事業説明等の提供者情報、各種宣伝広告情報、その商品を提供する提供者とリンクしている企業又は個人に関する情宣情報、富くじ情報、商品とは関係のない学問的情報たとえば小学生、中学生、高校生等の生徒乃至学生向けの学問情報等のあらゆる情報を挙げることができる。いずれの情報をこの情報開示面に開示するかは、商品提供者による。
【0039】
(6)この発明に係る包装容器は、図1〜図5に示されるように、上側重合部の一部が下側重合部と結合した状態を維持したまま下側重合部から上側重合部が剥離可能に形成されて成る構造に限らず、下側重合部における表側面の全面が露出してその全面が情報開示面となるように、上側重合部の端部が、右側面部、左側面部、底面部又は上面部と結合した状態を維持したまま下側重合部から上側重合部が剥離可能に形成されて成る構造であっても良い。
【0040】
(7)この発明に係る包装容器は、第3の形態以降に示されるように、上側重合部の一部又は全部が下側重合部と結合した状態を維持したまま下側重合部から剥離することのできる構造を有する上側重合部は、包装容器の他の部位に形成された差込み片用切り目(なお、「係止用スリット」と称されることがある。)に差し込まれて上側重合部を固定する差込み片を有していても良い。
【0041】
(8)この発明に係る包装容器は、前記ミシン目で上側重合部を剥離可能にする代わりに、破断線とすることもできる。例えば図1に示されるミシン目56を破断線にすることができる。そして、下側重合部の表面と上側重合部の裏面とを剥離性接着剤で接着しておくと、上側重合部の剥離を容易に行うことができる。
【0042】
(第3の形態)
この発明の一例としての包装容器1の外観を図6に示し、その包装容器1を組み上げる前の展開板2を図7に示す。図6及び図7に示されるように、図7に示される展開板2を組み立てて形成されたこの包装容器1は、正面部3と、この正面部3と相対向するように背後に位置する背面部4(図7参照)と、左側面部5と、右側面部6(図7参照)と、底面部7と、ハンガー10とを有する。この包装容器1は、図6に示されるように、正面部3、左側面部5、右側面部6、底面部7、及び背面部4とで略直方体に形成された直方体部8と、この直方体部8の上部であって、左側面部5に連続する左側面上方部5A及び右側面部6に連続する右側面上方部6Bをそれぞれ内側に傾斜するように、且つ三角に折り曲げる一方、正面部3の左側面部5及び右側面部6よりも上側に位置する平面部をそれぞれ互いに接近するように傾斜させて山形に形成してなる合掌部9と、正面部3及び背面部4それぞれの上端縁に設けられたハンガー片10A及び10Bをそれぞれ重合することにより形成されたハンガー10とを有する。なお、図6及び図7における11は、ハンガー10に開設された係留開口部である。この係留開口部11は、これにたとえば店頭における陳列棚にあるフック棒乃至ピン等の係留部材を挿通することにより、そのフック棒にこの包装容器1をぶら下げることができるようになっている。
【0043】
この包装容器1は、図7に示される展開板2を組み立てて形成される。図7に示されるように、展開板2は、正面部3の長手方向一辺に連続して略長方形の左側面部5及び左側面上方部5Aが延在して形成され、この左側面部5及び左側面上方部5Aの長手方向一辺に連続して背面部4が延在して形成され、この背面部4の長手方向一辺に連続して略長方形の右側面部6及び右側面上方部6Aが延在して形成され、この右側面部6及び右側面上方部6Aの長手方向一辺に連続して下側重合部12が延在して形成される。
【0044】
前記左側面上方部5Aには、左側面部5と左側面上方部5Aとの境界線を底辺とし、かつ前記左側面部上方部5Aにおける前記境界線に並行な他端辺に頂点を有する二等辺三角形における二つの斜辺を形成するように、破線状のミシン目13が形成される。この破線状のミシン目13は、この破線状のミシン目13で形成されるラインの谷折りを容易にするためである。
【0045】
同様に、前記右側面上方部6Aには、右側面部6と右側面上方部6Aとの境界線を底辺とし、かつ前記右側面上方部6Aにおける前記境界線に並行な他端辺に頂点を有する二等辺三角形における二つの斜辺を形成するように、破線状のミシン目14が形成される。この破線状のミシン目14は、この破線状のミシン目14で形成されるラインの谷折りを容易にするためである。
【0046】
前記正面部3の長手方向一辺に直交する短手方向一辺を境界線として、この短手方向一辺から延在するように、横長の略長方形をしたハンガー片10Aが、形成される。また、前記正面部3の、前記ハンガー片10Aとは反対側の短手方向一辺を境界線として、この短手方向一辺から延在するように、外側底面部19が、形成される。
【0047】
前記正面部3には、略長方形に形成されたこの正面部3の長手方向一辺に近接し、且つ並行なミシン目15Aと、他の長手方向一辺に近接し、且つ並行なミシン目15Bと、前記ハンガー片10Aとこの正面部3との境界線に近接し、且つ並行に形成されたミシン目15Cとで、略コ字状に形成されたミシン目15が形成され、前記ミシン目15Cから前記ミシン目15Aに並行な谷折れ線16Aと前記ミシン目15Cから前記ミシン目15Bに平行な谷折れ線16Bとが形成され、前記谷折れ線16Aの先端から前記ミシン目15Aに向けて切込み線17Aと前記谷折れ線16Bの先端から前記ミシン目15Bに向けて切込み線17Bとが形成されている。
【0048】
この正面部3には、前記谷折れ線16Aの先端と前記谷折れ線16Bとを結ぶように、且つ正面部3とハンガー片10Aとの境界線に並行になるように、谷折れ線18Aが形成され、前記ミシン目15Aの端部と前記ミシン目15Bの端部とを結ぶように、且つ前記谷折れ線18Aに並行になるように、谷折れ線18Bが形成され、また、前記谷折れ線18Aと前記谷折れ線18Bとの間であって、これら谷折れ線18A及び18Bに並行になるように、且つ前記ミシン目15Aと前記ミシン目15Bとを結ぶように谷折れ線18Cが形成される。
【0049】
前記谷折れ線18Bと前記谷折れ線18Cとの間隔H2は、外側底面部19と前記正面部3との境界線と、前記谷折れ線18Bとの間隔H1にほぼ等しい寸法に設計される。このように設計しておくと、展開板2を組み立ててなる包装容器1において、谷折れ線18Cを、正面部3と底面部7との角に一致させて谷折れさせることができるようになる。前記谷折れ線18Cと前記谷折れ線18Aとの間隔H3は、包装容器1における底面部7の短手方向における幅とほぼ同じ寸法に設計される。このように設計しておくと、包装容器1において、前記谷折れ線18Bと前記谷折れ線18Aとに挟まれて成る平面部で、一旦開封した底面部7を、封緘することができる。
【0050】
前記正面部3の一方の短手辺を境界として形成された外側底面部19は、図7に示されるように、前記左側面部5の短手方向幅とほぼ同じ寸法を有する短手方向幅と、前記正面部3における短手方向幅とほぼ同じ寸法を有する長手方向幅とを有して、略長方形に形成された重ね片であり、ジッパ20と、第1切り取り線21と、第2切り取り線22とを備える。このジッパ20は、図7に示されるように、正面部3とこの外側底面部19との境界線に位置するように一列に配列された複数の「くの字状」切り込み部からなる第1切込み線20Aと、正面部3とこの外側底面部19との境界線に並行になるようにこの外側底面部19の略中央部に位置するように一列に配列された複数の「くの字状」切り込み部からなる第2切込み線20Bと、この第1切込み線20A及び第2切込み線20Bの一端側で「コ字状」に切り込まれた引き起こし線20Cと、この第1切込み線20A及び第2切込み線20Bの他端側で直線状に形成されたミシン目20Dとを有する。ジッパ20がこのように形成されていると、第1切り取り線21と第2切り取り線22とを切り離した後に、引き起こし線20Cを爪又は鋭利に尖ったもので引き起こし、更に引き起こし線20Cで囲まれる小片を摘んで第1切込み線20Aと第2切込み線20Bとを切り離し、ついにはミシン目20Dを切断することにより、このジッパ20を容易に切除することができる。
【0051】
この外側底面部19には、前記引き起こし線20Cから延長されて外側底面部19の長手辺に至るように、ミシン目20Eが形成され、また、ミシン目20Dから延長されて外側底面部19の長手辺に至るように、ミシン目20Fが形成される。なお、ミシン目20E及びミシン目20Fの代わりに裁断線が形成されていても良い。
【0052】
このようにして、この外側底面部19は、ジッパ20と、第2切込み線20Bと外側底面部19の長手方向辺とミシン目20Eとミシン目20Fとで区画された糊付け重合部19Aと、引き起こし線20C及びミシン目20Eと外側底面部19の短手方向辺とで区画された左重合部19Bと、ミシン目20D及びミシン目20Fと外側底面部19の短手方向片とで区画された右重合部19Cとを有してなることになる。前記糊付け重合部19Aの裏面には、接着剤が塗布されている。
【0053】
前記左側面部5の、前記左側面上方部5Aとは反対側に延在するように、第1重ね代部23が、形成される。
【0054】
背面部4は、図7に示されるように、左側面部5の長手方向の辺を隣接境界線として、左側面部5から延在して形成される。この背面部4の大きさは、前記正面部3とほぼ同じ大きさに設計される。
【0055】
背面部4の短手方向の辺を境界線としてこれを共有するように、背面部4から延在するように、ハンガー片10Bが、形成される。このハンガー片10Bの裏面には、接着剤が塗布されていて、前記ハンガー片10Aの裏面とこのハンガー片10Bの裏面とを重ね合わせ、前記接着剤によりこれらを一体化することにより、ハンガー10が形成されるようになっている。
【0056】
背面部の、前記ハンガー片10Bとは反対側の短手方向の辺を境界線としてこれを共有するように、背面部4から延在するように、内側底面部24が、形成される。この内側底面部24と背面部4との境界線となっている背面部4の短手方向の辺には、差込スリット形成用ミシン目25が形成されていて、前記「コ字状」のミシン目15を破断することにより形成されるとともに、前記谷折れ線16A及び前記谷折れ線16Bに挟まれて成る差込み片28を、前記差込スリット形成用ミシン目25を破断することにより形成される差込部(図示せず)に、挿入することができるようになっている。したがって、この差込スリット形成用ミシン目25の長さ及び位置については、前記差込み部に差込み片28を挿入することができるように、適宜に決定される。
【0057】
右側面部6及び右側面上方部6Aは、前記背面部4の、前記正面部3とは反対側の長手方向の辺を境界線として、前記背面部4から延在して形成される。この右側側面部6の、右側面上方部6Aとは反対側の短手方向の辺を境界線として共有するとともにこの右側面部6から延在するように、第2重ね代部26が設けられる。
【0058】
前記下側重合部12は、その平面における大きさが前記正面部3の平面における大きさと実質的に同じ大きさに設計される。この下方重合面12の表面側には、この下方重合面12の表側面を前記正面部3の裏側面に重ね合わせたときに、前記左側面部5及び左側面上方部5Aにより形成される略長方形の長手方向辺を境界線として共有するこの正面部3における長手方向辺とミシン目15Bとの間に対応する部位、及び前記左側面部5及び左側面上方部5Aとは反対側に位置する長手方向辺とミシン目15Aとの間に対応する部位に、接着剤が塗工されている。
【0059】
なお、図6及び図7において、29で示すのは切欠部であり、差込み片28を引き起こすのに便利になっている。
【0060】
この包装容器1は、前記展開板2を以下のようにして組み立てることにより、形成される。
【0061】
図7に示されるように、正面部3と左側面部5及び左側面上方部5Aとの境界線となる長手方向辺を山折りにし、左側面部5及び左側面上方部5Aと背面部4との境界線となる長手方向辺を山折りにし、背面部4と右側面部6及び右側面上方部6Aとの境界線となる長手方向辺を山折りにし、右側面部6及び右側面上方部6Aと下側重合部12との境界線となる長手方向辺を山折りにし、下側重合部12の表側面を正面部3の裏側面に重ね合わせる。下側重合部12の表側面に塗工されている接着剤により、下側重合部12の表側面と正面部3の裏側面とを一体に接着して、下側重合部12と正面部3とを一体化する。これにより下側重合部12と正面部3とにより、この発明における二重重合部27が形成される。したがって、この実施の形態例においては、正面部3がこの発明における上側重合部となる。
【0062】
二重重合部27が形成されると、二重重合部27、左側面部5、背面部4及び右側面部6により、断面が略長方形の筒体が形成される。左側面上方部5Aにおけるミシン目13を谷折りしつつ、左側面上方部5Aと左側面部5との境界線である短手方向の辺を山折りし、同様に、右側面上方部6Aにおけるミシン目14を谷折りしつつ、右側面上方部6Aと右側面部6との境界線である短手方向の辺を山折りし、次いでハンガー片10Aの裏側面とハンガー片10Bの裏側面とを重ね合わせ、ハンガー片10A及びハンガー片10Bの裏側面のいずれかに塗工されていた接着剤により前記ハンガー片10Aと前記ハンガー片10Bとを一体に接着し、これによってハンガー10を形成する。
【0063】
以上の操作が終了した状態では、二重重合部27におけるハンガー片10Aとは反対側の短手方向辺、左側面部5の短手方向辺、背面部4の短手方向辺及び右側面部6の短手方向辺により略長方形の開口部が形成される。
【0064】
この開口部から内部に商品を収容する。商品の収容が終わると、第1重ね代部23と左側面部5との境界線、及び第2重ね代部26と右重ね代部6との境界線をそれぞれ山折りして第1重ね代部23及び第2重ね代部26を、前記開口部が塞がれるように折曲配置し、次いで、内側底面部24と背面部4との境界線を山折りにすることにより、この内側底面部24が前記開口部を閉塞するように折曲配置し、さらに、外側底面部19と正面部3との境界線を山折りにすることにより前記内側底面部24に重ね合わせる。そして、糊付け重合部19Aの裏面に塗工されている接着剤により、外側底面部19と内側底面部24とを重合した状態で一体的に接着する。
【0065】
以上の操作の完了により、商品を収容した包装容器1が完成する。そして、商品を収容したこの包装容器1が流通市場に流通することになる。購入者は、商品を収容した包装容器1を入手し、以下のようにして包装容器1内の商品を取り出す。
【0066】
すなわち、図8に示されるように、ミシン目20E及びミシン目20Fを分断して第1切り取り線21及び第2切り取り線22で切り分けて左重合部19B及び右重合部19Cを起こす。左重合部19B及び右重合部19Cの裏面には接着剤が塗工されていないので、この左重合部19B及び右重合部19Cの引き起こしが容易に行える。次いで、引き起こし線20Cを鋭利なもの又は爪で立ち上げ、立ち上がった小片を摘んでジッパー20を引き剥がす。ジッパー20を引き剥がすと、糊付け重合部19Aの裏面と内側底面部24とが接着されているので、乗り付け重合部19Aを接着した内側底面部24が開き、第1重ね代部23及び第2重ね代部b26も開く。この左重合部19B、右重合部19C、内側底面部24、第1重ね代部23及び第2重ね代部26を更に曲げ広げて、二重重合部27におけるハンガー片10Aとは反対側の短手方向辺、左側面部5の短手方向辺、背面部4の短手方向辺及び右側面部6の短手方向辺により形成される略長方形の開口部Xを現出させる。この開口部Xから、包装容器1に収容されていた商品を包装容器1外に取り出す。
【0067】
この実施の形態においては、二重重合部27におけるハンガー片10Aとは反対側の短手方向辺、左側面部5の短手方向辺、背面部4の短手方向辺及び右側面部6の短手方向辺により形成される略長方形の開口部が、この発明における、内部の商品を取り出す取出し部となる。この発明における取出し部は、この包装容器内に収容した内容物を取り出すための開口部であり、包装容器の一部を開放することにより形成される。
【0068】
従来の包装容器であれば商品を包装容器から取り出すと、その包装容器を廃棄するところであるが、この発明に係る包装容器1は廃棄する必要がない。つまり、取り出した商品を使用した結果としてその商品が不要に成った場合には、前記包装容器1を利用して、たとえば製造業者にその使用済み商品を包装容器1に収容して返送することができる。
【0069】
その場合、開封済みの包装容器1を利用して使用済み商品を以下のようにして包装する。
【0070】
二重重合部27におけるハンガー片10Aとは反対側の短手方向辺、左側面部5の短手方向辺、背面部4の短手方向辺及び右側面部6の短手方向辺により形成される略長方形の開口部から包装容器1内に使用済みの商品を収容する。なお、使用済みの商品(この商品を使用済み商品と称することもある。)の種類、質、形態により、使用済み商品から液体が浸出乃至漏出する場合には、また、使用済み商品が粘着質である場合には、防水性のチャック付き袋に使用済み商品を入れ、チャック付きの袋ごと使用済み商品を、包装容器1内に、収容する。
【0071】
包装容器1内に商品を収納し終わると、前記開口部を閉鎖するように、第1重ね代部23及び第2重ね代部26を曲げ、その第1重ね代部23及び第2重ね代部26の上に更に左重合部19B及び右重合部19Cを重ねる。次いで、内側底面部24を曲げてそれらの上に重ねる。
【0072】
一方、切欠部29に爪を立てること、又は鋭利な器具等を差し込むことにより、ミシン目15A、15B及び15Cを破断する。谷折れ線18C及び18Aを谷折りし、谷折れ線16A及び16Bを差込み片28側に折り曲げ、図9に示されるように、上側重合部すなわち正面部3の一部である引き起こし部30を引き起こす。
【0073】
引き起こし部30を反転するようにして、谷折れ線18Bと谷折れ線18Cに挟まれた当接部31を、第1切込み線20Aと谷折れ線18Bとで挟まれた正面部3の部分表面に、当接し、谷折れ線18Cを直角に折り曲げることにより谷折れ線18Cと谷折れ線18Aとで挟まれた底面当接部32を内側底面部24の表側面に重ね合わせ、さらに谷折れ線18Aを底面当接部32に対して直角に折り曲げると共に、第1係止片33A及び第2係止片33Bを差込み片28に重畳するように重ね合わせた状態のまま差込み片28を、差込スリット形成用ミシン目25を破断して形成された差込み用切り目(図示せず。)に挿入する。差込み片28を差込み用切り目に挿入し終わると、差込み片28に強制的に重ね合わされていた第1係止片33A及び第2係止片33Bが包装容器1内で差込み片28の重ね合わせ状態から若干の起立状態に戻る。若干の起立状態になっている第1係止片33A及び第2係止片33Bが、差込み用切り目から差込み片28が引き出されるのを、阻止する。したがって、一旦差込み片28を差込み用切り目に挿入した後においては、包装容器1を破壊しない限り、差込み片28は差込み用切り目から容易に脱離することはない。この例においては、正面部3がこの発明における上側重合部に対応し、前記底面当接部32がこの発明における封鎖部に対応し、正面部3から起立されるまでの差込み片28がこの発明における差込み片形成部に対応する。また、差込みスリット形成用ミシン目25は、ミシン目を破断すると、この発明における差込み片用切り目となる。
【0074】
図9に示されるように、正面部3すなわち上側重合部から引き起こし部30を引き立てると、下側重合部12の表側面が露出する。この露出面は情報開示部である。この下側重合部12の露出面に、たとえばこの商品の製造者又は販売者等の住所等の情報が印刷されていると、この包装容器1に切手を貼付することにより、又は受信人払いとすることにより、前記製造者又は販売者等に、使用済み商品を収容した包装容器1を、郵送することができる。
【0075】
そうすると、その商品の製造者又は販売者等は、使用済み商品を回収することができるばかりか、包装容器1の回収も同時に行うことができる。そして、包装容器1が紙製又はプラスチック製であるならば、再生紙の原料として又は再生プラスチックの原料として回収された包装容器1が再利用され、同時に、回収された使用済み商品がプラスチック製であるなら、回収された使用済み商品がプラスチック再利用の資源として活用される。
【0076】
(第4の形態)
図10に、この発明の一例である包装容器を組み立てることのできる展開板2Aを示す平面図である。この展開板2Aが前記第3の形態における展開板2と相違する主要な点は、
(1)第1の態様における展開板2には背面部4と内側底面部24との境界線上に差込スリット形成用ミシン目25が設けられているのに対し、図10に示されるように、第2の態様における展開板2Aには背面部4に1本の差込み用切り目34が、前記境界線から距離H4の位置に、設けられていること(なお、この差込み用切り目34の変わりに、破断すると差込み用切り目とすることのできるミシン目が形成されていても良い。)、
(2)第1の態様における展開板2には、図7に示されるように、谷折れ線18Aと谷折れ線16Bとの交点からミシン目15Bに向かって切込み線17Bが形成され、また、谷折れ線18Aと谷折れ線16Aとの交点からミシン目15Aに向かって切込み線17Aが形成されているのに対し、図10に示されるように、第2の態様における展開板2Aには、谷折れ線18Aから距離H4の位置にある谷折れ線16Aの先端からミシン目15Aに向かって切込み線36Aが形成され、谷折れ線18Aから距離H4の位置にある谷折れ線16Bの先端からミシン目15Bに向かって切込み線36Bが形成されること、
である。
【0077】
この例においては、正面部なっている二重重合部27がこの発明における上側重合部に対応し、前記底面当接部32がこの発明における封鎖部に対応し、正面部3から起立されるまでの差込み片28がこの発明における差込み片形成部に対応する。前記差込み用切り目34が、この発明における差込み片用切り目に対応する。
【0078】
上記のように形成された展開板2Aを用いて包装容器を組み立てる組み立て操作、包装容器内に商品を収容する収容操作、包装容器を開封して内部の商品を取り出す開封操作は、第3の態様である包装容器1を展開板2を用いて包装容器を組み立てる組み立て操作、包装容器1内に商品を収容する収容操作、包装容器1を開封して内部の商品を取り出す開封操作と、同じである。
【0079】
開封済みの包装容器内に使用済みの商品を収容し、封緘する操作は、以下のようにして行う。
【0080】
すなわち、二重重合部27におけるハンガー片10Aとは反対側の短手方向辺、左側面部5の短手方向辺、背面部4の短手方向辺及び右側面部6の短手方向辺により形成される略長方形の開口部から包装容器内に使用済みの商品を収容する。
【0081】
包装容器内に商品を収納し終わると、前記開口部を閉鎖するように、第1重ね代部23及び第2重ね代部26を曲げ、その第1重ね代部23及び第2重ね代部26の上に更に左重合部19B及び右重合部19Cを重ねる。次いで、内側底面部24を曲げてそれらの上に重ねる。
【0082】
一方、切欠部29に爪を立てること、又は鋭利な器具等を差し込むことにより、ミシン目15A、15B及び15Cを破断する。谷折れ線18C及び18Aを谷折りし、谷折れ線16A及び16Bを差込み片28側に折り曲げ、上側重合部すなわち正面部3の一部である引き起こし部30を引き立てる。
【0083】
引き起こし部30を反転するようにして、谷折れ線18Bと谷折れ線18Cに挟まれた当接部31を、第1切込み線20Aと谷折れ線18Bとで挟まれた正面部3の部分表面に、当接し、谷折れ線18Cを直角に折り曲げることにより谷折れ線18Cと谷折れ線18Aとで挟まれた底面当接部32を内側底面部24の表側面に重ね合わせ、さらに谷折れ線18Aを底面当接部32に対して直角に折り曲げると共に、谷折れ線18Aから谷折れ線16A及び谷折れ線16Bの先端までの第2当接部37を背面部4の表側面に当接し、第1係止片35A及び第2係止片35Bを差込み片28に重畳するように重ね合わせた状態のまま差込み片28を、差込み用切り目34に挿入する。差込み片28を差込み用切り目34に挿入し終わると、差込み片28に強制的に重ね合わされていた第1係止片35A及び第2係止片35Bが包装容器内で差込み片28の重ね合わせ状態から若干の起立状態に戻る。若干の起立状態になっている第1係止片35A及び第2係止片35Bが、差込み用切り目から差込み片28が引き出されるのを、阻止する。したがって、一旦差込み片28を差込み用切り目34に挿入した後においては、包装容器を破壊しない限り、差込み片28は差込み用切り目34から脱離することはない。また、第2当接部37と当接部31とで正面部3及び背面部4を締め付けているので、反転した引き起こし部30による封緘が確固とした状態になる。
【0084】
(第5の形態)
図11は、この発明の一例である包装容器を組み立てることのできる展開板2Bを示す平面図である。
【0085】
この展開板2Bが前記第3の形態における展開板2と相違する主要な点は、
(1)第3の態様における展開板2には背面部4と内側底面部24との境界線上に差込スリット形成用ミシン目25が設けられているのに対し、図11に示されるように、第5の態様における展開板2Bには背面部4に2本の差込みスリット形成用ミシン目25A,25Bが、背面部4と内側底面部24との境界線上に、所定間隔を隔てて設けられていること、
(2)第3の態様における展開板2には、図7に示されるように、谷折れ線18Aと谷折れ線16Bとの交点からミシン目15Bに向かって切込み線17Bが形成され、また、谷折れ線18Aと谷折れ線16Aとの交点からミシン目15Aに向かって切込み線17Aが形成されているのに対し、図11に示されるように、この第5の態様における展開板2Bには、谷折れ線18Cから距離H3離れた位置にミシン目15Aから谷折れ線18Cに並行に延在する谷折れ線17Cと、谷折れ線18Cから距離H3離れた位置にミシン目15Bから谷折れ線18Cに並行に延在する谷折れ線17Dと、前記谷折れ線17Cと谷折れ線17Dとを連結するミシン目40と、このミシン目40とミシン目15Cの中間とを連結するように形成されたミシン目41と、前記ミシン目40及び41に並行に形成された2本の谷折れ線33C及び33Dとが形成されていること、
である。
【0086】
そして、この包装容器2Bにおいては、ミシン目15A、15B及び15Cによりコ字状に形成されたミシン目15を破断して引き起こし部30を形成すると、その引き起こし部30は、第1差込み片28A及び第2差込み片28Bを有することになる。この第1差込み片28Aは、差込みスリット形成用ミシン目25Aを破断して形成される差込み用切込みに挿入され、またこの第2差込み片28Bは、差込みスリット形成用ミシン目25Bを破断して形成される差込み用切込みに挿入されるように、第1差込み片28A、第2差込み片28B、差込みスリット形成用ミシン目25A,25Bの寸法及びその形成位置が、設計される。また、前記ミシン目41と谷折れ線33Cとで挟まれた部位は、第1係止片34Dとなり、前記ミシン目41と谷折れ線33Dとで挟まれた部位は、第2係止片34Cと成る。
【0087】
この例においては、正面部がこの発明における上側重合部に対応し、前記底面当接部32がこの発明における封鎖部に対応し、正面部3から起立されるまでの第1差込み片28A及び第2差込み片28Bがこの発明における差込み片形成部に対応する。前記差込みスリット形成用ミシン目25A、25Bが、ミシン目を切断すると、この発明における差込み片用切り目に対応する。
【0088】
上記のように形成された展開板2Bを用いて包装容器を組み立てる組み立て操作、包装容器内に商品を収容する収容操作、包装容器を開封して内部の商品を取り出す開封操作は、第1の態様である包装容器1を、展開板2を用いて包装容器1を組み立てる組み立て操作、包装容器1内に商品を収容する収容操作、包装容器1を開封して内部の商品を取り出す開封操作と、同じである。
【0089】
開封済みの包装容器内に使用済みの商品を収容し、封緘する操作は、以下のようにして行う。
【0090】
前記第3の態様におけるのと同様にして包装容器内に商品を収納し終わると、前記開口部を閉鎖するように、第1重ね代部23及び第2重ね代部26を曲げ、その第1重ね代部23及び第2重ね代部26の上に更に左重合部19B及び右重合部19Cを重ねる。次いで、内側底面部24を曲げてそれらの上に重ねる。
【0091】
一方、切欠部29に爪を立てること、又は鋭利な器具等を差し込むことにより、ミシン目15A、15B及び15Cを破断する。谷折れ線17C、17D、18B及び18Cを谷折りして、上側重合部すなわち正面部3の一部である引き起こし部30を引き立てる。
【0092】
引き起こし部30を反転するようにして、谷折れ線18Bと谷折れ線18Cとに挟まれた当接部31を、第1切込み線20Aと谷折れ線18Bとで挟まれた正面部3の部分表面に、当接し、谷折れ線18Cを直角に折り曲げることにより谷折れ線18Cと谷折れ線17C、17Dとで挟まれた底面当接部32を内側底面部24の表側面に重ね合わせ、さらに谷折れ線17C、17Dを底面当接部32に対して直角に折り曲げると共に、谷折れ線33C、33Dを谷折りして第1係止片34Dを第1差込み片28Aに重ねる共に第2係止片34Cを第1差込み片28Bに重ねた状態のまま、前記第1差込み片28Aを差込みスリット形成用ミシン目25Aを破断することにより形成される差込み用切り目に挿入し、また前記第2差込み片28Bを差込みスリット形成用ミシン目25Bを破断することにより形成される差込み用切り目に挿入する。
【0093】
第1差込み片28Aを差込み用切り目25Aに挿入し終わると、第1差込み片28Aに強制的に重ね合わされていた第1係止片34D及び第2係止片33Bが、包装容器内で、第1差込み片28Aの重ね合わせ状態から若干の起立状態に戻る。若干の起立状態になっている第1係止片34D及び第2係止33Cが、差込み用切り目から第1差込み片28A及び第2差込み片28Bが引き出されるのを、阻止する。したがって、包装容器1を破壊しない限り、第1差込み片28Aは差込み用切り目から脱離することはない。
【0094】
(第6の形態)
図12は、この発明の一例である包装容器を組み立てることのできる展開板2Cを示す平面図である。
【0095】
この展開板2Cが前記第3の形態における展開板2と相違する主要な点は、
(1)第3の態様における展開板2には背面部4と内側底面部24との境界線上に差込スリット形成用ミシン目25が設けられているのに対し、図12に示されるように、第6の態様における展開板2Cには背面部4に2本の差込みスリット形成用ミシン目25C,25Dが、背面部4内であって内側底面部24寄りに、所定間隔を隔てて設けられていること、
(2)第3の態様における展開板2には、図7に示されるように、谷折れ線18Aと谷折れ線16Bとの交点からミシン目15Bに向かって切込み線17Bが形成され、また、谷折れ線18Aと谷折れ線16Aとの交点からミシン目15Aに向かって切込み線17Aが形成されているのに対し、図12に示されるように、この第6の態様における展開板2Cには、谷折れ線18Cから距離H3離れた位置に、ミシン目15Aとミシン目15Bとを連結するように、谷折れ線18Cに並行に形成された谷折れ線18Aと、この谷折れ線18Aから距離H4離れた位置に、谷折れ線18Aに対してわずかに外側に湾曲するように形成された切込み線17Eと、ミシン目15Cの中央部から前記切込み線17Eに向かって形成されたミシン目42と、このミシン目42を挟んで、このミシン目42に並行に形成された谷折り線33E,33Fとが形成されていること、
である。
【0096】
そして、この包装容器2Cにおいては、ミシン目15A、15B及び15Cによりコ字状に形成されたミシン目15を破断して引き起こし部30を形成すると、その引き起こし部30は、第1差込み片28C及び第2差込み片28Dを有することになる。この第1差込み片28Cは、差込みスリット形成用ミシン目25Cを破断して形成される差込み用切込みに挿入され、またこの第2差込み片28Dは、差込みスリット形成用ミシン目25Dを破断して形成される差込み用切込みに挿入されるように、第1差込み片28C、第2差込み片28D、差込みスリット形成用ミシン目25C,25Dの寸法及びその形成位置が、設計される。また、前記ミシン目42と谷折れ線33Eとで挟まれた部位は、第1係止片34Fとなり、前記ミシン目42と谷折れ線33Fとで挟まれた部位は、第2係止片34Eと成る。
【0097】
この例においては、正面部3がこの発明における上側重合部に対応し、前記底面当接部32がこの発明における封鎖部に対応し、正面部3から起立されるまでの第1差込み片28C及び第2差込み片28Dがこの発明における差込み片形成部に対応する。前記差込みスリット形成用ミシン目25C、25Dが、ミシン目を切断すると、この発明における差込み片用切り目に対応する。
【0098】
上記のように形成された展開板2Cを用いて包装容器を組み立てる組み立て操作、包装容器内に商品を収容する収容操作、包装容器を開封して内部の商品を取り出す開封操作は、第1の態様である包装容器1を、展開板2を用いて包装容器1を組み立てる組み立て操作、包装容器1内に商品を収容する収容操作、包装容器1を開封して内部の商品を取り出す開封操作と、同じである。
【0099】
開封済みの包装容器内に使用済みの商品を収容し、封緘する操作は、以下のようにして行う。
【0100】
前記第3の態様におけるのと同様にして包装容器内に商品を収納し終わると、前記開口部を閉鎖するように、第1重ね代部23及び第2重ね代部26を曲げ、その第1重ね代部23及び第2重ね代部26の上に更に左重合部19B及び右重合部19Cを重ねる。次いで、内側底面部24を曲げてそれらの上に重ねる。
【0101】
一方、切欠部29に爪を立てること、又は鋭利な器具等を差し込むことにより、ミシン目15A、15B及び15Cを破断する。谷折れ線18C、18B、18Aを谷折りして、上側重合部すなわち正面部3の一部である引き起こし部30を引き立てる。
【0102】
引き起こし部30を反転するようにして、谷折れ線18Bと谷折れ線18Cに挟まれた当接部31を、第1切込み線20Aと谷折れ線18Bとで挟まれた正面部3の部分表面に、当接する。谷折れ線18Cを直角に折り曲げることにより谷折れ線18Cと谷折れ線18Aとで挟まれた底面当接部32を内側底面部24の表側面に重ね合わせ、さらに谷折れ線18Aを底面当接部32に対して直角に折り曲げる。谷折れ線33E、33Fを谷折りして第1係止片34Fを第1差込み片28Cに重ねる共に第2係止片34Eを第2差込み片28Dに重ね、この状態のまま、前記第1差込み片28Cを差込みスリット形成用ミシン目25Cを破断することにより形成される差込み用切り目に挿入し、また前記第2差込み片28Dを差込みスリット形成用ミシン目25Dを破断することにより形成される差込み用切り目に挿入する。
【0103】
第1差込み片28Cを差込み用切り目に挿入し終わると、第1差込み片28Cに強制的に重ね合わされていた第1係止片34Fが、包装容器内で、この包装容器を形成する素材自体の弾力性により、第1差込み片28Cの重ね合わせ状態から若干の起立状態に戻る。第2係止片34Eも同様に第2差込み片28Dの重ね合わせ状態から若干の起立状態に戻る。これによって差込み用切り目から第1差込み片28C及び第2差込み片28Dが引き出されるのを、阻止する。したがって、包装容器1を破壊しない限り、第1差込み片28C及び第2差込み片28Dは差込み用切り目から脱離することはない。
【0104】
(第7の形態)
図13は、この発明の一例である包装容器を組み立てることのできる展開板2Dを示す平面図である。なお、第3の形態である展開板1と同様である部材については図7におけるのと同様の番号を付すことにする。
【0105】
この展開板2Dと第3の態様における展開板2との相違点の一つは、背面部4の下端縁に外側底面部19が形成されること、及び正面部3の下端縁に内側底面部24が形成されること、である。
【0106】
この展開板2Dは、
背面部4と外側底面部19との境界線から背面部4の内側に向けて形成された2本の並行な長さH5のミシン目43A,43Bと、
前記背面部4において前記一対の並行なミシン目43A,43Bの先端部を結ぶように背面部4に形成された長さH7の谷折り線43Cと、
この背面部4と外側底面部19との境界線上であって前記ミシン目43Aの基点と前記ミシン目43Bの基点との間に形成された長さH6の差込み用切り目43Dと、
前記ミシン目43Aが外側底面部19Aに更に延在形成され、次いで、前記境界線からH5の距離のところで前記境界線に並行に形成され、さらに前記ミシン目43Bへと連続するミシン目43Eと
を有する中型差込み片形成部47を有する。この中型差込み形成部47は、ミシン目43Eと山折りになる境界線とで挟まれた中型差込み片47Aと、谷折れ線43Cと山折りになる境界線とで挟まれた中型当接片47Bとを有することになる。
【0107】
この展開板2Dは、背面部4と外側底面部19との境界線上であって、前記ミシン目43Aから所定の長さで形成されたミシン目44Aと、前記ミシン目43Bから所定の長さで形成されたミシン目44Bとを有する。このミシン目43Aの、左側面部5寄りの端部から、前記ミシン目43Bの右側面部6よりの端部までの距離H7は後述するような寸法に設計される。
【0108】
この展開板2Dは、その外側底面部19に、前記ミシン目44Aを基点としてその外側底面部19の端縁部に向かって、背面部4と外側底面部19との境界線に対して垂直に延在するミシン目43Fと、前記ミシン目44Bを基点としてその外側底面部19の端縁部に向かって、背面部4と外側底面部19との境界線に対して垂直に延在するミシン目43Gと、前記ミシン目43Fから前記ミシン目43Eに連結するように形成されたミシン目43H、及び前記ミシン目43Gから前記ミシン目43Eに連結するように形成されたミシン目43Iとを有する。前記ミシン目43Fを破断すると、左重合部19Aが形成され、前記ミシン目43Eを破断すると、右重合部19Bが形成される。前記ミシン目43F、ミシン目43E及びミシン目43Gを破断すると、裏面に接着剤層を有する糊付け重合部19Aが形成され、内側底面部24の外側表面に接着したままになる。
【0109】
また、ミシン目44A、ミシン目43E、ミシン目43F、及びミシン目43Hを破断すると、ミシン目44A、ミシン目43E、ミシン目43F、及びミシン目43Hで囲まれた切り取り片が、包装容器から除去される。同様に、ミシン目44B、ミシン目43E、ミシン目43G、及びミシン目43Iを破断すると、ミシン目44B、ミシン目43E、ミシン目43G、及びミシン目43Iで囲まれた切り取り片が、包装容器から除去される。
【0110】
この包装容器は、その正面部3に、前記第3の形態である包装容器2の正面部3に形成されたのと同様のミシン目15A、15B及び15Cから成るミシン目15を有する。前記ミシン目15Aとミシン目15Bとの間には、前記第3の形態である包装容器2の正面部3に形成されたのと同様の谷折れ線18B及び18Cが形成される。前記ミシン目15Aとミシン目15Bとの間には、前記谷折れ線18Cから距離H3離れた位置に、前記ミシン目15Aを基点とし、前記谷折れ線18Cに並行に延在する所定長さの谷折れ線18Eが、また、前記谷折れ線18Cから距離H3離れた位置に、前記ミシン目15Bを基点とし、前記谷折れ線18Cに並行に延在する所定長さの谷折れ線18Fが、それぞれ形成される。前記谷折れ線18Eの先端から、前記谷折れ線18Cに並行に所定長さの切込み線17Eが、また前記谷折れ線18Fの先端から、前記谷折れ線18Cに並行に所定長さの切込み線17Fが、それぞれ正面部3に形成される。切込み線17Eの先端部を基点として、ミシン目15Aに並行に所定長さの切込み線17Gが形成され、前記切込み線17Fの先端部を基点として、ミシン目15Bに並行に所定長さの切込み線17Hが、それぞれ正面部3に形成される。前記切込み線17Eと前記切込み線17Fとの間には、前記谷折れ線18Cに並行に、谷折れ線45Aが形成される。前記切込み線17Gの先端と前記切込み線17Hの先端とを結ぶように、前記谷折れ線18Cに平行な山折れ線45Bが、形成される。更にこの正面部3には、前記切込み線17Eの先端から前記切込み線17Eに対して直角に立ち上がり、次いで前記ミシン目15Cに並行になるように向きを変え、更に前記ミシン目15Bに並行になるように下降するように形成された、ミシン目45Cが形成される。
【0111】
前記ミシン目15A,15B,15Cを破断すると、破断されたミシン目15A,15B,15Cと谷折り線18Eと谷折れ線18Fとで囲まれた大型差込み片46Aと、ミシン目15Aとミシン目15Bと谷折れ線18Bと谷折れ線18E、18Fとで囲まれた大型当接片46Bとを有する大型差込み片形成部46が、形成される。
【0112】
また、ミシン目45Cを破断すると、破断されたミシン目45Cと谷折れ線45Aとで囲まれて成る小型差込み片45Dと、谷折れ線45Aと山折れ線45Bとに挟まれた小型当接片45Eとからなる小型差込み片形成部45が、形成される。
【0113】
この包装容器においては、前記小型差込み片形成部45、中型差込み片形成部47及び大型差込み片形成部46を組み合わせることにより、包装容器内から商品を取り出すための開封部を封緘することができる。したがって、封緘を円滑かつ確実にするために、以下のような寸法関係がある。
【0114】
図13において、距離H2は、谷折れ線18Bから正面部3と内側底面部24との境界線までの距離H1と、実質的に同じ寸法である。したがって、封緘に際して、谷折れ線18Bを谷折りすることにより、谷折れ線18Bを、正面部3と内側底面部24との境界線にほぼ一致させて谷折りすることができる。
【0115】
谷折れ線18Cから谷折れ線18F及び谷折れ線18Eまでの距離H3は、外側底面部19の短手方向長さに実質的に同じである。したがって、封緘に際して、大型当接片46Bを内側底面部24に重ねあわせることができる。
【0116】
ミシン目15Aとミシン目15Bとの間隔は、前記距離H8と実質的に同じである。したがって、ミシン目44A及びミシン目44Bを破断することにより形成される差込みスリット48Aに、大型差込み片46Aが、差込み可能になる。
【0117】
ミシン目45Cを破断することにより形成されるところの、小型差込み片45Dの幅H9は、距離H6と実質的に同じである。したがって、封緘に際して、小型差込み片45Dを、差込み用切り目43Dに、容易に挿入されることができる。
【0118】
この包装容器においては、商品を収容したこの包装容器を店頭等に陳列する場合、又は購買者が購入した場合に、前記ミシン線43A、43B、43Eを破断して中型差込み片形成部47を、谷折れ線43Cにて完全脱離不能な状態にする。そして、ミシン線43H、43I、43F、43Gを破断すると、糊付け重合部19Aが完全に脱離することになり、内側底面部24、左重合部19B、及び右重合部19Cがフリー状態になり、内部に収納されている商品を包装容器から取り出すことができる。
【0119】
この包装容器は、商品を取り出した後の開封状態から、以下のようにして封緘状態にする。
【0120】
図13に示されるように、ミシン目15を破断し、谷折り線18B、18C、18E及び18Fを谷折りして中型差込み片46A及び中型当接片46Bを引き起こす。そうすると、それまで前記中型差込み片46A、中型当接片46B及び谷折れ線18Bと谷折れ線18Cで挟まれた部位により被覆されていた下側重合部における情報開示部が露出する。
【0121】
この情報開示部は、たとえば図1〜図5に示されているのと同様に、印刷された情報を有する。この包装容器をたとえば販売者、製造者等に返送することを企図するのであれば、この情報開示部には返送先の郵便番号、住所又は居所、受取人氏名又は名称等が印刷されている。また、この情報開示部には、前記返送必要記載事項のみならず、製造者又は販売者等の宣伝広告事項、この包装容器の組み立て方法等が記載されていも良い。
【0122】
図14に示されるように、内部に使用済み商品を収容した包装容器の開口を塞ぐように、左重合部19B、及び右重合部19Cを折り曲げ、次いで第1重ね代部23及び第2重ね代部26をそれらに重ね合わせる。内側底面部24を左重合部19B、右重合部19C、第1重ね代部23及び第2重ね代部26に重ねる。
【0123】
図14に示されるように、大型差込み片46Aを差込みスリット48Aに差込み、大型当接片46Bをぴったりと内側底面部24の上に重ねる。中型差込み片47Aを、切込み線17E、17Fと小型差込み片形成部45を折り曲げることにより形成される空間とで形成される差込みスリット48Bに差込み、中型当接片47Bを大型差込み片46Aの表面に重ね合わせる。小型差込み片45Dを差込み用切り目43Dに差込み、小型当接片45Eを中型差込み片47Aのぴったりと重ね合わせる。以上により、開口していた包装容器の封緘状態が実現される。
【0124】
この包装容器は、開口していた包装容器の開口部を前記小型差込み片45D、中型差込み片47A及び大型差込み片46Aで封緘するので、封緘状態が確固としてものになる。もっとも、更に封緘状態を確保しようとするのであれば、接着テープ等をこの底面に接着するようにしても良い。
【0125】
この包装容器は、展開板2Dを組み立てることにより容易に形成することができ、組み立てられ、かつ商品を収容した状態下にある包装容器は特に出っ張り部分がなくて単純な形状をしているので、商品を収納した包装容器をすきまなくパッケージすることができることになって大量輸送を効率的に行うことができる。なお、このような効率的な大量輸送が可能であるということは、前記第1の形態〜第6の形態のいずれにおいても共通する技術的効果である。
【0126】
また、店頭陳列時等においてはミシン目15を破断してから情報開示面を開示するので、出荷時よりも多くの情報が、販売時乃至使用時よりも提供されることができる。
【0127】
この第7の形態においては、封緘状態を確固としてものにすることができるので、この包装容器を再利して使用済み商品を返送する場合に、輸送途中で封緘部が開口することがない。
【0128】
この例においては、正面部3がこの発明における上側重合部に対応し、前記大型当接片46Bがこの発明における封鎖部に対応し、正面部3から起立されるまでの大型差込み片形成部46この発明における差込み片形成部に対応する。前記ミシン目44A、44Bが、ミシン目を切断すると、この発明における差込み片用切り目に対応する。
【0129】
(第8の形態)
図20に、この第8の形態に係る包装容器の一例を示す。図20は、上側重合部を一部剥離した状態にある包装容器を示している。
【0130】
図20に示されるように、この包装容器120は、内部に商品を収容することができ、正面部121、左側面部122(なお、この「左側面部」における「左」は正面部121を正面として見たときに左側に位置することからこのように命名したに過ぎない。この包装容器120における正面部121を正面として使用するか、背面として使用するかは、この包装容器の使用者ないし製造者の任意である。)、右側面部(図示されず。)、背面部(図示されず。)、上面部123、底面部(図示されず。)及びハンガー124を備えた略直方体の形状をなす。前記正面部121は、平面板状の下側重合部125と平面板状の上側重合部126とを重ね合わせて形成される。前記上側重合部126には、この上側重合部126の下端縁から左右の端縁に平行に延在する一対のミシン目127を、有する。また、この上側重合部126は、前記一対のミシン目127により挟まれた領域に差込み片形成用切り目149を備える。
【0131】
この包装容器120は、図21に示される展開板129を折り曲げて、所定部位を接着することにより形成される。
【0132】
展開板129は、図21に示されるように、略長方形をした上側重合部126と、左側面部122と、背面部130と、右側面部131と、下側重合部132と、第1ハンガー片133と、第2ハンガー片134と、第1底面部形成片135と、第2底面部形成片136と、取出し部を形成する上面部137とを有する。
【0133】
前記背面部130は、その長手方向に平行に形成された一対の山折り線130A,130Bと、その一対の山折り線130A,130Bの端部同士の間に形成される一対の山折り線130C,130Dとにより区画される略長方形の板状体である。なお、この明細書において「山折り」は、図面に示す形状の部材を山形に折り曲げることを指し、「谷折り」は、図面に示す形状の部材を谷形に折り曲げることを指す。
【0134】
前記上面部137は、この背面部130の一方の短手辺である山折り線130Dに連続して延在し、前記山折り線130Aから連続して形成される短手辺137Aと、この短手辺137Aに平行かつ前記山折り線130Bから連続して形成される他方の短手辺137Bと、前記山折り線130Bに平行に形成される山折り線137Cとで区画される略長方形の板状体である。
【0135】
前記上面部137における山折り線137Cを介して挿入片139が形成される。この挿入片139は、前記山折り線137Cに平行に、かつ前記山折り線137Cよりも短く設計された長手縁辺139Aと、この山折り線137Cの端部と前記長手縁辺139Aとを結ぶように湾曲した一対の湾曲辺139B,139Bとを備えて形成された板状体である。前記湾曲辺139B,139Bは、後述するように、この挿入片139の挿入を容易にする。
【0136】
前記山折り線137Cの途中には、差込み片用切り目138が形成される。この差込み片用切り目138の切込み長さについては、後述する。
【0137】
前記背面部130における山折り線130Cを介して、前記背面部130に隣接するように第1底面部形成片135が形成される。
【0138】
この背面部130における山折り線130Aを介して、この背面部130に隣接するように左側面部122が形成される。
【0139】
この左側面部122は、前記山折り線130Aと、この山折り線130Aに平行に延在する山折り線126Dと、前記山折り線130Aの一端と前記山折り線126Dの一端とを結ぶ短手山折り線122A,122Bとで長方形に区画形成されてなる。
【0140】
この左側面部122の一端には、山折り線122Aを介して上面側第1重ね代140Aが形成され、前記左側面部122の他端には、山折り線122Bを介して底面側第1重ね代140Bが形成される。
【0141】
前記右側面部131は、前記背面部130に隣接し、かつ前記山折り線130Bを介して延在して形成され、この山折り線130Bと、この山折り線130Bに平行かつ同じ長さに形成された山折り線131Aと、この山折り線130Bの端部と前記山折り線131Aの端部とを結んで形成された一対の山折り線131B,131Cとで区画形成される。
【0142】
前記右側面部131の一端部には、山折り線131Bを介して上面側第2重ね代141Aが形成され、前記右側面部131の他端部には、山折り線131Cを介して底面側第2重ね代141Bが形成される。
【0143】
前記下側重合部132は、前記山折り線131Aを介して前記右側面部131に隣接、かつ延在して形成される。
【0144】
この下側重合部132には、第1ハンガー片133が、下側重合部132の長手方向において、山折り線及び谷折り線のいずれも介在せずに、延在形成される。この第1ハンガー片133には隣接して第2ハンガー片134が形成される。第1ハンガー片133と第2ハンガー片134とは山折り線132Aを中にして隣接する。そしてこの山折り線132Aを山折りにして第1ハンガー片133と第2ハンガー片134とを重ね合わせるとハンガー124が形成される。なお、第1ハンガー片133の裏面及び第2ハンガー片134の裏面にいずれか又は両方に接着剤を塗布しておくと、ハンガー124を一体にかつ強固に形成することができる。図21において、142Aで示されるのは、この包装容器120をピン等の吊り下げ部材に吊り下げるための挿通孔であり、142Bで示されるのは、この包装容器120をピン等の吊り下げ部材に吊り下げるための挿通孔である。この挿通孔142A及び142Bの開設位置は、第1ハンガー片133と第2ハンガー片134とを重ね合わせたときに一致して吊り下げ用挿通孔143(図20参照)が形成されるように、決定される。なお、この吊り下げ用挿通孔143は、係留開口部の一例である。
【0145】
この下側重合部132における下辺である山折り線132Bを介して、下側重合部132に隣接して第2底面部形成片136が形成される。この下側重合部132における山折り線131Aに対向して形成される長手辺132Cには、糊代片145が形成される。
【0146】
前記上側重合部126は、その長手方向に平行に形成された端辺である長手辺126Aとその長手辺126Aに直交する一対の短手辺126B,126Cと前記長手辺126Aに平行であり、かつ前記一対の短手辺126B,126Cに直交するように延在する山折り線126Dとで区画され、前記長手辺126A及び山折り線126Dに平行に、かつ前記短手辺126Cから延在する一対の平行なミシン目127,127と、このミシン目127,127の短手辺126B近傍で終点となるミシン目127の終点と他のミシン目127の終点とを結合するように形成された谷折れ線147と、前記谷折れ線147に平行に形成され、かつ前記一対のミシン目127,127の途中でこれらミシン目127とミシン目127とを結合する谷折れ線148と、前記谷折れ線148と短手辺126Cとの間にある領域に形成された差込み片形成用切り目149とを有して成る。
【0147】
この展開板129を組み立てて包装容器120を形成すると、この上側重合部126の裏面と前記下側重合部132の上面とが重ねあわされる。したがって、長手辺126A、短手辺126B、山折り線126D、長手辺126A側に位置するミシン目127、山折り線126D側に位置するミシン目127、及び谷折れ線147により引用されるコ字状の領域に相当する上側重合部126の裏面及び下側重合部132の表面のいずれか又は両方に接着剤が塗布され、上側重合部126と下側重合部132とを重ね合わせて一体化すると正面部121が形成される。
【0148】
前記谷折れ線147と前記谷折れ線148との間隔Hは、短手辺126Bから谷折れ線147までの長さHと山折れ線130Dから山折れ線132Aの延長線までの長さHとの和に実質的に同じになるように設計される。
【0149】
前記差込辺形成用切り目149は、図21において下側に凸と成るように湾曲した曲線状切り目149Aとこの曲線状切り目149Aの両端において内側に折れて形成される屈曲線状切り目149Bとを備えて形成される。この差込み辺形成用切り目149に囲まれた部分を起こすと、差込み片150が形成される。
【0150】
図21に示されるように、一方、前記差込み片用切り目138の切り込み長さH4は、前記曲線状切り目149Aの両端間の長さH5よりも僅かに長めに設計される。
【0151】
上記のように形成された展開板129は、次のようにして包装容器120に組み立てられ、内容物が収納される。
【0152】
山折れ線126D、130A、130B、131Aを山折りに曲げ、下側重合部132の表面に上側重合部126の裏面を重ね合わせ、接着剤により下側重合部132と上側重合部126とを一体に接着して正面部121を形成する。これによって両端を開口する筒状体が形成される。山折り線122Bを山折りして底面側第1重ね代140Bを筒状体の開口を閉鎖するようにし、また山折り線131Cを山折りして底面側第2重ね代141Bを筒状体の開口を閉鎖する。この底面側第1重ね代140B及び底面側第2重ね代141Bの上に重ねるように、第1底面部形成片135と第2底面部形成片136とを組み合わせて底面を形成する。かくして一端に開口部を有する有底筒状体が形成される。前記開口部から内容物例えば商品を収容した後に、前記開口部を塞ぐように上面側第1重ね代140A及び上面側第2重ね代141Aを折り曲げ、次いでこれら上面側第1重ね代140A及び上面側重ね代141Aに上面部137を重ね、差込み片用切り目138における山折り線137Cと第2ハンガー片134の表側面とで形成される隙間に挿入片139を挿入する。これによって、ハンガー124を備えた、平盤状の直方体の包装容器120が完成する。
【0153】
かくして完成した包装容器120においては、前記ミシン目127を破断すると、谷折れ線147において上側重合部126から分離不能な取出し部固定片151が形成される。
【0154】
この取出し部固定片151は、図22に示されるように、取出し部である上面部137を開封不能に固定する。すなわち、図21に示されるように、谷折れ線147を谷折りして谷折れ線147から谷折れ線148までの平面部を第1ハンガー片133の表面に密着させ、谷折れ線148で谷折りして取り出し部固定片151の先端部を、包装容器120における山折り線137Cにより形成される上面部137の長手縁辺とこの上面部137の長手縁辺が当接する第2ハンガー片134との間隙に挿入する一方、差込み片150を差込み片用切り目138に挿入する。差込み片150の挿入の際、差込み片用切り目138の長さが、差込み片用切り目138の両端間の長さよりも僅かに小さいので、差込み片150を差込み片用切り目138に挿入する際に抵抗感があるものの若干の力を加えて差込み片150を差込み片用切り目138に挿入する。一端差込み片150が差込み片用切り目138に挿入されると、屈曲線状切り目149Bにより形成される差込み片150の角が差込み片150の抜き取りに際する抵抗乃至係止部となるので、容易に差込み片用切り目138から差込み変150が抜け出ることがない。
【0155】
このような構造を有する包装容器120であるから、この包装容器120は、内容物を収容する包装容器として使用することができ、また、取出し部を開放して内容物を取り出した後に、この包装容器を郵送用容器として使用することができる。
【0156】
郵送用容器としてこの包装容器を再利用する場合、一対のミシン目127,127を切除して取り出し部固定片151を引き起こすことにより露出する下側重合部132の表面は、郵送先の住所、氏名等の情報を記載する情報記載面となる。
【0157】
この包装容器120は、また、資源のリサイクルに資する。つまり、この包装容器120の中に商品例えばリサイクルの必要な材質例えばプラスチック等で形成された商品を収容し、この包装容器120から取り出した商品を使用した後にこの包装容器120内にその使用済みの商品を収容し、前述した手順で取出し部固定片151で取出し部を封緘した後に、この包装容器120を商品の販売先又は資源リサイクル部門に郵送すると、包装容器120を形成する材料の回収、包装容器120の内部に収容した使用済み商品の回収を図ることができる。
【0158】
このような回収は、第1の形態〜第7の形態に係る包装容器と同様である。
【0159】
なお、この例は、前記上側重合部は、取出し部を封鎖する封鎖部を備えず、包装容器に設けられた差込み片用切り目に挿入可能な差込み片を形成可能な差込み片形成部を有してなる包装容器の一例である。差込み片形成用切り目149が、差込み片形成部に対応する。
【0160】
(第9の形態)
第9の形態に係る包装容器も第8の形態に係る包装容器120及び他の形態に係る包装容器と同様に、資源のリサイクルに活用することのできる運送用、例えば郵送用の包装容器として使用可能である。
【0161】
第9の形態に係る包装容器は、図23に示される展開板229を組み立てることにより形成される。
【0162】
図23に示されるように、展開板229が、第8の形態における展開板129と相違するところは、
(1)第8の形態における展開板129においては、山折り線137Cに差込み片用切り目138が形成されているに対し、第9の形態における展開板229においては山折り線137Cに差込み片用切り目が形成されずに、山折り線130Dに差込み片用切り目138Aが形成され、
(2)第8の形態における展開板129においては、第1ハンガー片133と下側重合部132とは一枚の平板状に形成されていてジッパーが存在しないのに対し、第9の形態における展開板229においては、第1ハンガー片133Aにジッパー152が形成され、
(3)第8の形態における展開板129における取出し部固定片151とは異なり、上側重合部126に谷折れ線153と、この谷折れ線153の両端部からミシン目127に向かって延在するミシン目127A及び差込み片150Aが形成されるように形作られた湾曲線状ミシン目127Bとが新たに形成されていることである。
【0163】
前記谷折れ線153の長さは、前記差込み片用切り目138Aの切り込み長さよりも僅かに短く設計される。そして図24に示されるように、湾曲線状ミシン目127Bは、ミシン目127Aと鋭角を成すように連結している。したがって、ミシン目127、ミシン目127A及び湾曲線状ミシン目127Bを切り離すと、図24に示すように差込み片150Aが新たに形成される。
【0164】
前記展開板229を組み立て形成された包装容器にあっては、上面部137を開いて包装容器に収容されていた内容物を取り出すことができる。また開封した包装容器内に、前記上面部137から使用済み内容物を収容した後に、前記ジッパー152を切り裂いてハンガー124を包装容器から分離し、前記上面部137で開口部を封鎖し、ミシン目127、ミシン目127A及び湾曲線状ミシン目127Bを切り離すことにより形成される差込み片150Aを差込み片用切り目138A内に挿入する。これによって取出し部である上面部137を開封不能に閉鎖することができる。
【0165】
なお、図23及び図24における番号と図21における番号とが同じであるものは、同じ構成の部材である。また、この例においては、ミシン目127と谷折れ線153とこれに平行な谷折れ線とで囲まれる部分が、この発明における封鎖部に対応し、湾曲線状ミシン目127Bと前記谷折れ線153とで囲まれる部分がこの発明における差込み片形成部に対応する。
【0166】
(第10の形態)
第10の形態に係る包装容器も第8の形態及び第9の形態に係る包装容器と同様に、資源のリサイクルに活用することのできる運送用、例えば郵送用の包装容器として使用可能である。
【0167】
第10の形態に係る包装容器は、図25に示される展開板229を組み立てることにより形成される。
【0168】
図25に示されるように、第10の形態に係る展開板329が、第9の形態における展開板229と相違するところは、
(1)第9の形態における展開板229の第2ハンガー片134の先端部が山折り線137Cで形成される上面部137の長手辺と第2ハンガー片134とで形成される間隙に挿入されるに対し、第10の形態における展開板329の第2ハンガー片134Aに3個の差込み舌片154、155、156が形成され、これら差込み舌片154〜156夫々が山折り線137Cに新たに設けられた3個の挿入切り目154A、155A、156Aに挿入されるように形成されることである。
【0169】
この第10の形態に係る包装容器も、第9の形態にかかる包装容器と同様の効果を相する。
【0170】
以上において、この発明に係る包装容器の好適な形態の一例について説明したが、この発明は前記形態に係る包装容器に限定されることのないことは、言うまでもない。

【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】図1はこの発明の一例である包装容器を示す斜視図である。
【図2】図2はこの発明の他の例である包装容器を示す斜視図である。
【図3】図3はこの発明の他の例である包装容器を示す斜視図である。
【図4】図4はこの発明の他の例である包装容器を示す斜視図である。
【図5】図5はこの発明の他の例である包装容器を示す斜視図である。
【図6】図6はこの発明の一例である包装容器を示す斜視図である。
【図7】図7はこの発明の一例である包装容器を組み立てることのできる展開板を示す平面図である。
【図8】図8はこの発明の一例である包装容器の底面部を開封する手順を示す説明図である。
【図9】図9は図6に示す包装容器において上側重合部の一部である引き起こし部を引き剥がして立てた状態を示す斜視図である。
【図10】図10は第4の形態である包装容器に組み立てることのできる展開板を示す平面図である。
【図11】図11は第5の形態である包装容器に組み立てることのできる展開板を示す平面図である。
【図12】図12は第6の形態である包装容器に組み立てることのできる展開板を示す平面図である。
【図13】図13は第7の形態である包装容器に組み立てることのできる展開板を示す平面図である。
【図14】図14は第7の形態である包装容器を再利用する場合に開口部を封緘する有様を示す一部切欠斜視図である。
【図15】図15は包装容器の他の形態を示す斜視図である。
【図16】図16は包装容器の他の形態を示す斜視図である。
【図17】図17は包装容器の他の形態を示す斜視図である。
【図18】図18は包装容器の他の形態を示す斜視図である。
【図19】図19は包装容器の他の形態を示す斜視図である。
【図20】図20は第8の形態である包装容器の他の形態を示す斜視図である。
【図21】図21は第8の形態である包装容器を組み立てるための展開板を示す平面図である。
【図22】図22は第8の形態である包装容器を再利用して取り出し部を封緘する方法を示す斜視図である。
【図23】図23は第9の形態である包装容器を組み立てるための展開板を示す平面図である。
【図24】図24は第9の形態である包装容器における差込み片を示す説明図である。
【図25】図25は第10の形態である包装容器を組み立てるための展開板を示す平面図である。
【符号の説明】
【0172】
1 包装容器
2、2A、2B、2D 展開板
3 正面部
4 背面部
5 左側面部
5A 左側面上方部
6 右側面部
6A 右側面部上方部
7 底面部
8 直方体部
9 合掌部
10 ハンガー
10A、10B ハンガー片
11 係留開口部
12 下側重合部
13 ミシン目
14 ミシン目
15、15A、15B、15C ミシン目
16A、16B 谷折れ線
17A、17B 切込み線
17C、17D 谷折れ線
17E、17F、17G、17H 切込み線
18A、18B、18C、18D、18E、18F 谷折れ線
19 外側底面部
19A 糊付け重合部
19B 左重合部
19C 右重合部
20 ジッパ
20A 第1切込み線
20B 第2切込み線
20C 引き起こし線
20D、20E、20F ミシン目
21 第1切り取り線
22 第2切り取り線
23 第1重ね代部
24 内側底面部
25、25A,25B 差込スリット形成用ミシン目
26 第2重ね代部
27 二重重合部
28 差込み片
28A、28C 第1差込み片
28B、28D 第2差込み片
29 切欠部
30 引き起こし部
31 当接部
32 底面当接部
33A 第1係止片
33B 第2係止片
33C、33D、33E、33F 谷折れ線
34D 第1係止片
34C 第2係止片
40 ミシン目
41 ミシン目
42 ミシン目
43A,43B ミシン目
43C 谷折り線
43D 差込み用切り目
44A ミシン目
44A、44B、 ミシン目
43E、43F、43G、43H、43I、 ミシン目
45 小型差込み片形成部
45A 大型差込み片
45B 山折れ線
45C ミシン目
45D 小型差込み片
45E 小型当接片
46 大型差込み片形成部
46A 谷折れ線
46B 大型当接片
47 中型差込み片形成部
47A 中型差込み片
47B 中型当接片
48A 差込みスリット
50、50A、50B 包装容器
51 背面部
52 右側面部
53 上面部
54 下側重合部
55 上側重合部
56 ミシン目
57 切欠部
58 係留開口部
59 ハンガー部
60 露出面
61 正面部
62 左側面部
63 上側重合部
64 引き起こし片
65 下側重合部
66 露出面
67、68 山折れ線
70 包装容器
70A 手提げ部
70B 曲面部
70C 垂直面部
70D 湾曲側面部
70E 垂直側面部
70F 側面部
80 包装容器
80A 上面部
80B 側面部
90 包装容器
90A 右側面部
90B 左側面部
100 包装容器
100A 上部湾曲面部
100B 左右側面部
110 包装容器
110A 正面部
110B 側辺
120 包装容器
121 正面部
122 左側面部
122A、122B 短手山折り線
123 上面部
124 ハンガー
125 下側重合部
126 上側重合部
126A 長手辺
126B,126C 短手辺
126D 山折り線
127 ミシン目
129 展開板
130 背面部
130A、130B、130C、130D 山折れ線
131 右側面部
131A,131B 山折り線
132 下側重合部
132A、132B 山折り線
133 第1ハンガー片
133A 第1ハンガー片
134 第2ハンガー片
135 第1底面部形成片
136 第2底面部形成片
137 上面部
137A、137B 短手辺
137C 山折り線
138 差込み片形成用切り目
138A 差込み片形成用切り目
139 挿入片
139A 長手縁辺
139B 湾曲辺
140A 上面側第1重ね代
140B 底面側第1重ね代
141A 上面側第2重ね代
141B 底面側第2重ね代
142A、142B 挿通孔
145 糊代片
147 谷折れ線
148 谷折れ線
149 差込み片形成用切り目
149A 曲線状切り目
149B 屈曲線状切り目
150 差込み片
151 取出し部固定片
152 ジッパー
229 展開板
329 展開板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせられた下側重合部と上側重合部とを備え、上側重合部はその一部又は全部を下側重合部から完全分離不能に剥離可能に形成され、剥離された上側重合部の重合面及び/又は下側重合部の露出可能な露出面に情報が記載又は記載可能にされてなることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記上側重合部は、係留開口部を備えることにより、下側重合面から剥離されるとハンガーを形成可能とする前記請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
内容物を取り出し可能に形成された取出し部と、前記取出し部に隣接する下側重合部とこの下側重合部に重ね合わされた上側重合部とを備え、前記上側重合部は、その一部又は全部を下側重合部から完全分離不能に剥離可能に形成され、剥離されたその一部又は全部が前記取出し部を封緘可能に形成され、前記下側重合部は、上側重合部の剥離により露出する露出面に情報が記載又は記載可能にされた情報開示面を有してなることを特徴とする包装容器。
【請求項4】
前記上側重合部は、取出し部を封鎖する封鎖部と包装容器に設けられた差込み片用切り目に挿入可能な差込み片を形成可能な差込み片形成部とを有してなる前記請求項3に記載の包装容器。
【請求項5】
前記上側重合部は、取出し部を封鎖する封鎖部を備えず、包装容器に設けられた差込み片用切り目に挿入可能な差込み片を形成可能な差込み片形成部を有してなる前記請求項3に記載の包装容器。
【請求項6】
前記上側重合部を下側重合部から完全分離不能に剥離した後に形成される下側重合部の露出面は、運送により届ける先の住所又は居所が記載され、又は前記住所又は居所が記載可能に形成され、ジッパ付きの袋に収容された内容物を収容して運送可能とすることを特徴とする請求項4に記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−62748(P2006−62748A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29673(P2005−29673)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000107790)グラパックジャパン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】