説明

包装容器

【課題】オーバーキャップがなくてもシール蓋と漏斗との接触が維持され、粉回りを防止する包装容器を提供する。
【解決手段】粉粒状または液状の材料を包装し、材料を他の容器に移し替えるための包装容器であって、開放端と底部とを有する筒形状の容器本体と、容器本体の開放端に嵌め込まれる漏斗パーツと、開放端を封止し、外部からの押圧によって破断するシール蓋とを備え、漏斗パーツは、容器本体の内部に収納され、開放端に向かって径の狭まる漏斗と、一方端が漏斗に接続され、漏斗の外面を取り囲む側壁とを有し、漏斗の狭口側の端縁は、開放端を含む平面の外方に突出しており、漏斗は、狭口側の端縁が、容器本体の軸方向に移動自在となるように撓む可撓部を有し、狭口側の端縁が、シール蓋と接触している包装容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状・顆粒状・液状等の流動性を有する物質を包装し、内容物を保存容器に移し替えるための包装容器、およびこれに用いる漏斗パーツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インスタントコーヒー等の粉末状の食品は、保存時の密閉性を保持できるように、一般に、キャップ付き瓶のような密閉性の高い包装容器に充填した状態で販売される。また、内容物を再充填して保存容器を再利用する目的で、内容物を簡易に包装した詰め替え用の包装容器も知られている。このような詰め替え用パッケージとして用いられる包装容器としては、たとえばパウチやガゼット袋、カップ状容器が用いられている。
【0003】
これらの包装容器から保存容器へと内容物を再充填する際には、包装容器を開封して保存容器の開口部に宛がい、内容物を徐々に詰め替える。このとき内容物がこぼれて手や周囲を汚してしまう場合があり、詰め替え作業が煩雑であった。この問題を解決するために、特許文献1では、より簡便に内容物の詰め替え作業が行える詰め替え用パッケージが提案されている。特許文献1に記載のパッケージは、筒状の容器の内部にホッパを嵌め込み、容器内部に内容物を充填した後、容器の開口部を穿孔可能カバーでシールして構成されており、穿孔カバーを詰め替え先の容器の開口部にあてがって破断させることで、ホッパーを介して容易に内容物の詰め替えを行うことが可能となる。
【0004】
ただし、特許文献1に記載のパッケージでは、ホッパの吐出口と穿孔可能カバーとの隙間を通じて内容物がホッパの吐出口の外側に回り込む場合があり、特許文献2ではこの内容物の回り込みを防止した包装容器が開示されている。
【0005】
図11は、特許文献2が開示する従来の包装容器900の縦断面図である。
【0006】
包装容器900は、円筒形状の容器本体920と、漏斗パーツ930と、シール蓋960と、オーバーキャップ980とから構成されている。漏斗パーツ930は、漏斗931と、漏斗931の広口側の端部に接続された側壁932とから構成されている。側壁932は、容器本体920内部に嵌め込まれ、容器本体920の内面に接合されている。漏斗931は、容器本体920の開口部の外側に向けて径が狭まる形状となっている。また、漏斗931の狭口側の端縁と、容器本体920の開放端の端縁とは、同一平面を構成している。容器本体920の内部には内容物950が充填され、容器本体920の開放端の端縁がシール蓋960で封止される。さらに保管や流通時等に、シール蓋960の破断を防止するために、シール蓋960の上を覆うオーバーキャップ980が取り付けられる。
【0007】
オーバーキャップ980の内面には、漏斗931の狭口側開口と対向する円形状のリブ981が備わっている。シール蓋960は、オーバーキャップ980が容器本体920に取り付けられた状態で、リブ981と漏斗931の狭口側の端縁との間に挟み込まれており、シール蓋960と漏斗931の狭口側の端縁934との間に隙間が生ずることが防止されている。これにより、内容物950が、シール蓋960と漏斗931の狭口側の端縁934との間を通過して、漏斗931の外側に移動する現象(粉回り)を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−7067号公報
【特許文献2】特開2009−280285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、包装容器900において、このようなオーバーキャップ980を設けることは、製造コスト面、また資源、環境面での負荷が大きい。そのため、オーバーキャップ980をなくすことが好ましい。
【0010】
それ故に、本発明の目的は、オーバーキャップがなくてもシール蓋と漏斗との接触が維持され、粉回りを防止する包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、粉粒状または液状の材料を包装し、材料を他の容器に移し替えるための包装容器であって、開放端と底部とを有する筒形状の容器本体と、容器本体の開放端に嵌め込まれる漏斗パーツと、開放端を封止し、外部からの押圧によって破断するシール蓋とを備え、漏斗パーツは、容器本体の内部に収納され、開放端に向かって径の狭まる漏斗と、一方端が漏斗に接続され、漏斗の外面を取り囲む側壁とを有し、漏斗の狭口側の端縁は、開放端を含む平面の外方に突出しており、漏斗は、狭口側の端縁が、容器本体の軸方向に移動自在となるように撓む可撓部を有し、狭口側の端縁が、シール蓋と接触している包装容器である。
【0012】
また、シール蓋は、漏斗の狭口側の端縁を、容器本体の内方に向かって押し込んだ状態で、容器本体を封止していることが好ましい。
【0013】
また、可撓部は、漏斗の狭口側の端縁を含む一部が、容器本体の外方に向かって径が狭まるように屈曲して形成されたフラップ部からなることが好ましい。
【0014】
あるいは、また、可撓部は、漏斗の広口側の端縁と側壁とを接続し、所定の曲率で折れ曲がる折り曲げ部からなることが好ましい。
【0015】
あるいは、また、漏斗は、少なくとも一部が屈曲点を有する折れ線で描かれる縦断面形状を有しており、可撓部は、屈曲点が漏斗の全周に渡って分布することで形成された屈曲部からなることが好ましい。
【0016】
あるいは、また、漏斗は、少なくとも一部が変曲点を有する曲線で描かれる縦断面形状を有しており、可撓部は、変曲点が漏斗の全周に渡って分布することで形成された変曲部と、当該変曲部を挟んで凹凸が切り替わる周面とからなることが好ましい。
【0017】
あるいは、また、可撓部は、漏斗の全周に渡って連続的に設けられ、相対的に厚みが薄い薄肉部からなることが好ましい。
【0018】
さらに、上述の薄肉部は、漏斗の広口側の端縁と側壁との接続部分に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、オーバーキャップがなくてもシール蓋と漏斗との接触が維持され、粉回りを防止する包装容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る包装容器の斜視図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る包装容器の縦断面図
【図3】本発明の第2の実施形態に係る包装容器の縦断面図
【図4】本発明の第3の実施形態に係る包装容器の縦断面図
【図5】本発明の第4の実施形態に係る包装容器の縦断面図
【図6】本発明の第5の実施形態に係る包装容器の縦断面図
【図7】本発明の第6の実施形態に係る包装容器の縦断面図
【図8】本発明の第7の実施形態に係る包装容器の縦断面図
【図9】本発明の第7の実施形態に係る包装容器の縦断面の拡大図
【図10】本発明の他の実施形態に係る包装容器の縦断面図
【図11】従来の包装容器の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下に本発明の第1の実施形態について、図1および図2を参照して説明する。図1は本実施形態に係る包装容器100の斜視図である。また、図2は、図1に示したA−A´線に沿った断面図である。包装容器100は、円筒形状の容器本体120と、漏斗パーツ130と、シール蓋160とから構成されている。漏斗パーツ130は、漏斗131、および、漏斗131の広口側の端部に接続され、漏斗131の外面を取り囲む側壁132とから構成されている。側壁132は、容器本体120内部に嵌め込まれ、容器本体120の内面に接合されている。漏斗131は、容器本体120の開口部の外側に向けて径が狭まる形状となっている。容器本体120の内部には粉体等の内容物150が充填され、容器本体120の開口部がシール蓋160で封止される。なお、シール蓋160は、詰め替え時に押圧された際の破断を容易にするため、中心から放射状の切断線199が設けられている。
【0022】
容器本体120の材料としては、外面から順に、LDPE(低密度ポリエチレン)/紙/LDPE/アルミニウム/接着剤/PET(ポリエチレンテレフタレート)/接着剤/LDPEの層構成を持つ材料が挙げられる。また、漏斗パーツ130の材料としては、HDPE(高密度ポリエチレン)が挙げられる。また、シール蓋160の材料として、外面から順に、アルミニウム/LDPE/PET/LDPEの層構成を持つ材料が挙げられる。
【0023】
漏斗131は、広口側から狭口側に向けて径が狭まるテーパー部1311と、一方端がテーパー部1311の狭口側端縁に接続されるストレート部1312と、ストレート部1312の他方端に接続され、漏斗131の狭口側に向けて径が狭まるフラップ部1313とからなる。フラップ部1313は可撓性を有し、フラップ部1313が開閉することにより、その端縁134は、容器本体120の軸方向の一定の範囲内を移動することが可能である。
【0024】
漏斗131の狭口側の端縁134は、容器本体120の開放端を含む平面より外方に突出している。シール蓋160は、フラップ部1313を、容器本体120の内方に向かって押し込んだ状態で、容器本体120にシールされている。容器本体120の内圧が高くなったり、外気圧が低くなったりして、シール蓋160が容器本体120の外方に膨らんだ場合、フラップ部1313が、シール時に押し込まれたことによる反発によって、容器本体120の外方に広がるように変形することで漏斗131の狭口側の端縁134は、容器本体120の軸方向に沿って外方に移動する。また、容器本体120の内圧が低くなったり、外気圧が高くなったりして、シール蓋160が容器本体の内方に凹んだ場合、フラップ部1313が、さらに内側に閉じるように変形することで、漏斗131の狭口側の端縁134は、容器本体120の軸方向に沿って内方に移動する。これによって、漏斗131の狭口側の端縁134は、シール蓋160に接触した状態を維持し、粉回りを防止することができる。
【0025】
本実施形態の好適な例として、フラップ部1313の長さd1(ストレート部1312との接続部分から上端縁までの長さ)を3mm、肉厚d2を0.5mmとし、容器本体120の軸方向に対する傾斜角度θを45°としたものが挙げられる。この例においては、容器本体120の開放端を含む平面からの漏斗131の狭口側の端縁134の突出量d3は、シール蓋160で容器本体120を封止していない状態で3mm、シール蓋160で容器本体120を封止した状態で、1mmである。フラップ部1313の、ストレート部1312との接続部分から上端縁までの長さ、および、傾斜角度は、内容物150が通過できる径が確保できればよい。また傾斜角度は、径が狭まる度合いが大きい方が、シール蓋160とフラップ部1313の接触面積が増加し、粉回り防止の効果が高い。
【0026】
(第2の実施形態)
以下に本発明の第2の実施形態について、図3を参照して説明する。本実施形態に係る包装容器200の外観は、第1の実施形態に係る包装容器100と同様であり、図示を省略する。また、包装容器100と同様の箇所については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。図3に、包装容器200の縦断面図を示す。
【0027】
漏斗パーツ230の構成要素である漏斗231は、広口側から狭口側に向けて径が狭まるテーパー部2311と、一方端がテーパー部2311の狭口側端縁に接続されるストレート部2312と、テーパー部2311の広口側の部分と側壁132とを接続する曲面状の折り曲げ部2313とからなる。本実施形態では、折り曲げ部2313は、所定以上の曲率半径を有する円弧で描かれる断面形状を有しているが、円弧以外の連続的に折れ曲がる形状としてもよい。折り曲げ部2313は、湾曲して撓むことができる。これにより、漏斗231の狭口側の端縁234は、容器本体120の軸方向の一定の範囲内を移動することが可能となっている。漏斗231の狭口側の端縁234は、容器本体120の開放端を含む平面より外方に突出している。シール蓋160は、漏斗231を容器本体120の内方に向かって押し込んだ状態で、容器本体120にシールされている。
【0028】
これにより、第1の実施形態と同様、シール蓋160が容器本体120の外方や内方に膨らんだ場合、漏斗231の狭口側の端縁234は、これに追随して移動し、シール蓋160に接触した状態を維持することができる。
【0029】
本実施形態の好適な例として、折り曲げ部2313の曲率半径R1を3mm〜5mmとし、折り曲げ部2313の厚さd4を0.2mm以上としたものである。局率半径がこれより小さいと可撓性が得られにくく、これより大きいと、撓んだ状態からの復元力が弱くなり、粉回り防止の効果が得られにくくなる。また、厚さがこれより薄いと折り曲げ部2313の可撓性が得られにくくなる。
【0030】
(第3の実施形態)
以下に本発明の第3の実施形態について、図4を参照して説明する。本実施形態に係る包装容器300の外観は、第1の実施形態に係る包装容器100と同様であり、図示を省略する。また、包装容器100と同様の箇所については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。図4に、容器本体120の軸を通る平面に沿った包装容器300の縦断面図を示す。
【0031】
漏斗パーツ330の構成要素である漏斗331は、広口側から狭口側に向けて径が狭まり、縦断面において屈曲点3313および3314で折れ曲がる折れ線の形状を有する部分と、この部分の狭口側端縁に接続されるストレート部3312とからなる。この屈曲点が、漏斗331の全周に渡って分布することにより、屈曲部を形成する。漏斗331の縦断面において広口側の端縁から屈曲点3313までの部分が容器本体120の軸方向となす角をθ2とする。また、漏斗331の縦断面において、屈曲点3313から屈曲点3314までの部分が容器本体120の軸方向となす角をθ3とする。また、漏斗331の縦断面において、屈曲点3314からストレート部3312との接続部分までの部分が容器本体120の軸方向となす角をθ4とする。本実施例ではθ2>θ3かつθ4>θ3となっており、屈曲点3313が形成する屈曲部の近傍が、漏斗331の内側に向かって凸形状となり、屈曲点3314が形成する屈曲部の近傍が、漏斗331の外側に向かって凸形状となる。また、あるいは、例えばθ3>θ2かつθ3>θ4とし、上述の凸形状の向きが逆転していてもよい。このような凸形状の部分は、圧縮力や引張力を受けたとき、形状が変化することによってこれらの力を吸収するため、平坦な部分に比べて応力歪みが大きい。そのため、漏斗331は、このような凸形状の部分を備えることによって、凸形状の部分を備えない場合より、大きな弾性を有しており、撓むことができる。これにより、漏斗331の狭口側の端縁334は、容器本体120の軸方向の一定の範囲を移動することが可能となっている。漏斗331の狭口側の端縁334は、容器本体120の開放端を含む平面より外方に突出している。シール蓋160は、漏斗331を、容器本体120の内方に向かって押し込んだ状態で、容器本体120にシールされている。
【0032】
これにより、第1の実施形態と同様、シール蓋160が容器本体120の外方に膨らんだ場合や内方に凹んだ場合、漏斗331の狭口側の端縁334は、これに追随して移動し、シール蓋160に接触した状態を維持することができる。
【0033】
本実施形態では、屈曲部を2箇所設けたが、1箇所でもよく3箇所以上でもよい。また、漏斗331の縦断面の折れ線が、容器本体120の軸方向となす角度は、各屈曲点における変化量が大きいほど、撓みやすくなる。しかし、漏斗331の外側に向かって突出量が大きい凸部が形成されると詰め替え時に内容物150がその凸部に残留しやすくなる。したがって、内容物150が残留するほどの大きな凸部が形成されない程度に変化量を大きくすればよい。また、漏斗331は、屈曲部の近傍部分の厚みを、他の部分より薄くして、撓みやすくしてもよい。
【0034】
(第4の実施形態)
以下に本発明の第4の実施形態について、図5を参照して説明する。本実施形態に係る包装容器400の外観は第1の実施形態に係る包装容器100と同様であり、図示を省略する。また、包装容器100と同様の箇所については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。図5に、容器本体120の軸を通る平面に沿った包装容器400の縦断面図を示す。
【0035】
漏斗パーツ430の構成要素である漏斗431は、広口側から狭口側に向けて径が狭まり、縦断面において変曲点4313を持つ曲線の形状を有する部分と、この部分の狭口側端縁に接続されるストレート部4312とからなる。この変曲点が、漏斗431の全周に渡って分布することにより、変曲部を形成する。本実施例の漏斗431では、広口側の端縁から変曲点4313までは、外側に向かって凸形状となっており、変曲点4313からストレート部5312との接続部分までは、内側に向かって凸形状となっている。あるいは、広口側の端縁から変曲点4313までは、内側に向かって凸形状とし、変曲点4313からストレート部4312との接続部分までは外側に向かって凸形状としてもよい。漏斗431は、凸形状の部分を備えることにより、第3の実施形態の漏斗331と同様、撓むことができる。これにより、漏斗431の狭口側の端縁434は、容器本体120の軸方向の一定の範囲内を移動することが可能となっている。漏斗531の狭口側の端縁434は、容器本体120の開放端を含む平面より外方に突出している。シール蓋160は、漏斗431を、容器本体120の内方に向かって押し込んだ状態で、容器本体120にシールされている。
【0036】
これにより、第1の実施形態と同様、シール蓋160が容器本体120の外方に膨らんだ場合や内方に凹んだ場合、漏斗431の狭口側の端縁434は、これに追随して移動し、シール蓋160に接触した状態を維持することができる。
【0037】
本実施形態の好適な例として、容器本体120の開放端を含む平面からの漏斗431の狭口側の端縁434の突出量d5を3mmとしたものが挙げられる。この例においては、漏斗431の狭口側の端縁434に、容器本体120の内方の向きに200Nの力を加えたときの端縁434の移動量は3mm以上である。
【0038】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る包装容器500について図6を参照して説明する。包装容器500の外観は、第1の実施形態に係る包装容器100と同様であり、図示を省略する。また、包装容器100と同様の箇所については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。図6に、容器本体120の軸を通る平面に沿った包装容器500の縦断面図を示す。
【0039】
漏斗パーツ530の構成要素である漏斗531は、広口側から狭口側に向けて径が狭まるテーパー部5311と、一方端がテーパー部5311の狭口側端縁に接続されるストレート部5312とからなる。テーパー部5311には、内周面を一周するように溝を形成することによって形成された薄肉部5313が設けられている。漏斗531は、薄肉部5313において、撓むことができる。これにより、漏斗531の狭口側の端縁は、容器本体120の軸方向の一定の範囲内を移動することが可能となっている。漏斗531の狭口側の端縁534は、容器本体120の開放端を含む平面より外方に突出している。シール蓋160は、漏斗531を、容器本体120の内方に向かって押し込んだ状態で、容器本体120にシールされている。
【0040】
これにより、第1の実施形態と同様、シール蓋160が容器本体120の外方に膨らんだ場合や内方に凹んだんだ場合、漏斗531の狭口側の端縁534は、これに追随して移動し、シール蓋160に接触した状態を維持することができる。
【0041】
本実施形態の好適な例として、漏斗531の薄肉部5313の厚さd6を0.3mm、薄肉部5313以外の部分の厚さd7を0.7mmとし、容器本体120の開放端を含む平面からの漏斗531の上端縁534の突出量d8を3mmとしたものが挙げられる。この例においては、漏斗531の狭口側の端縁534に、容器本体120の内方の向きに200Nの力を加えたときの端縁534の移動量は3mm以上である。
【0042】
また、本実施形態では、漏斗531の内周面に薄肉部4313を設けたが、外周面に設けてもよい。
【0043】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係る包装容器600について図7を参照して説明する。包装容器600の外観は、第1の実施形態に係る包装容器100と同様であり、図示を省略する。また、包装容器100と同様の箇所については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。図7に、容器本体120の軸を通る平面に沿った包装容器600の縦断面図を示す。
【0044】
漏斗パーツ630の構成要素である漏斗631は、第5の実施形態の漏斗531と、薄肉部を設けた位置が異なり、漏斗631と側壁132との接続部分に薄肉部を設けたものである。漏斗631は、広口側から狭口側に向けて径が狭まるテーパー部6311と、一方端がテーパー部6311の狭口側端縁に接続されるストレート部6312とからなる。テーパー部6311の広口側端縁の内周側の厚さを薄くするとともに、側壁632のテーパー部6311との接続部分の厚さを薄くすることによって薄肉部6313が形成されている。テーパー部6311は、薄肉部6313において、撓むことができる。これにより、漏斗631の狭口側の端縁は、容器本体120の軸方向の一定の範囲内を移動することが可能となっている。漏斗631の狭口側の端縁は、容器本体120の開放端を含む平面より外方に突出している。シール蓋160は、漏斗631を、容器本体120の内方に向かって押し込んだ状態で、容器本体120にシールされている。
【0045】
これにより、第1の実施形態と同様、シール蓋160が容器本体120の外方や内方に膨らんだ場合、漏斗631の狭口側の端縁634は、これに追随して移動し、シール蓋160に接触した状態を維持することができる。
【0046】
本実施形態の好適な例として、薄肉部6313の厚さd9を0.3mm、薄肉部6313以外の部分の厚さd10を0.7mmとし、容器本体120の開放端を含む平面からの漏斗631の狭口側の端縁634の突出量d11を3mmとしたものが挙げられる。この例においては、漏斗631の狭口側の端縁634に、容器本体120の内方の向きに200Nの力を加えたとき端縁634の移動量は3mm以上である。
【0047】
(第7の実施形態)
以下に本発明の第7の実施形態について、図8を参照して説明する。本実施形態に係る包装容器700外観は、第1の実施形態に係る包装容器100と同様であり、図示を省略する。また、包装容器100と同様の箇所については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。図7に、容器本体120の軸を通る平面に沿った包装容器700の縦断面図を示す。
【0048】
漏斗パーツ730は、第1の実施形態の包装容器100の漏斗パーツ130において、側壁132を側壁732に置き換えたものである。図9に側壁732の上端縁および容器本体120の開口部のフランジ部1201を含む部分(図8の破線で囲んだ部分)の拡大図を示す。フランジ部1201は、容器本体120の側壁部分を外側に折り返して重ね合わせ、重なり部分をシールすることで形成されたものである。そのため、フランジ部1201の内周部分は、丸みを帯びている。
【0049】
側壁732は、容器本体120に嵌め込まれた後、容器本体120と溶着される。側壁732は、上端縁にフランジ部7321を備えている。側壁732を容器本体120への嵌め込み加工する際、側壁732のフランジ部6321が、容器本体120のフランジ部1201の内周の丸み部分に引っ掛かるため、側壁732が嵌め込み位置を通過して容器本体120の内方にずれることが防止される。嵌め込み加工後、シール蓋160を容器本体120のフランジ部1201にシールする際、側壁732のフランジ部7321の素材が溶けて、フランジ部1201の内周の丸み部分を覆うため、側壁732のフランジ部7321と、端縁1201のフランジ部とが同一平面を構成する。本実施形態では、第1の実施形態に係る包装容器100の側壁132を側壁732に置換したが、他の実施形態の包装容器の側壁を置換してもよい。
【0050】
以上のように、本発明の各実施形態においては、シール蓋が容器本体の外方に膨らんだ場合、オーバーキャップがなくてもシール蓋と漏斗との接触が維持され、粉回りを防止することができる。また、シール蓋が容器本体の内方に凹んだ場合、シール蓋と漏斗とが接触した状態が維持しつつ漏斗が内方に移動できるため、シール蓋と漏斗との接触箇所の圧力が緩和され、シール蓋が不用意に破断されることを防止できる。
【0051】
また、各実施形態において、容器本体の開放端を含む平面からの、漏斗の上端縁の突出量は、5mm以下とすることで、シール蓋が漏斗から受ける力を一定量以下に保つことができ、シール蓋が不用意に破断されることを防止できる。
【0052】
これらの実施形態において、シール蓋は、漏斗を容器本体の内方に向かって押し込んだ状態で、容器本体を封止するものとしたが、漏斗を押し込まずに漏斗の狭口側の端縁とシール蓋とが接触した状態で容器本体を封止するものとしてもよい。この場合、容器本体の内圧より外圧が高い場合に、シール蓋が容器本体の内方に凹んだ場合、漏斗の狭口側の端縁は、これに追随して移動して外圧を緩和し、シール蓋が破断することを防止することができる。
【0053】
また、本発明の包装容器では、シール蓋を保護するオーバーキャップが不要となる。この場合、剥離可能な保護フィルム層を有するシール蓋を用いることで、シール蓋自体の強度を向上することが好ましい。強度を向上したシール蓋については、特開2009−280283号公報に開示されている。このようなシール蓋を用いた包装容器では、詰め替え時に保護用のフィルムを剥離してから、保存容器への詰め替えを行う。シール蓋に保護フィルム層を有する材料を用いることの製造コスト面、また資源、環境面の負荷は、オーバーキャップを用いることに比べて小さい。また、このような保護フィルム層を有するシール蓋の材料としては、外側から順に、PET/剥離層/アルミニウム/LDPE/PET/LDPEの層構成を持つ材料が挙げられる。またさらに、保管時や流通時等に、ヴァージン性を保障するため、シュリンクフィルムによって包装容器を包装してもよい。
【0054】
上述の各実施形態は、いずれも例に過ぎず、本発明を限定するものではない。特に漏斗の形状は、狭口側の端縁が、容器本体の軸方向に移動自在となるように撓むことができればよく、多種多様に実現可能である。
【0055】
(第8の実施形態)
以下に本発明の第8の実施形態について、図10を参照して説明する。図10は、容器本体120の軸を通る平面に沿った包装容器800の縦断面図である。包装容器800は第1の実施例に係る包装容器100において、フラップ部1313を取り除き、ストレート部1312をストレート部8312に置き換えたものであり、漏斗831は、容器本体の軸方向に移動しないようになっている。漏斗831の狭口側の端縁834の突出量(容器本体120の開放端を含む平面から外方への突出量)d12は7−15mmに設定されている。漏斗831の突出量をこのような値に設定することによって、オーバーキャップをなくしても、シール蓋160と漏斗131との接触が維持されやすくなる。ただし、シール蓋160が、漏斗131との接触箇所から受ける力が大きくなるため、シール蓋160として、上述の特開2009−280283号公報に開示されているような保護フィルムを設けた構成を採用することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、粉状・顆粒状・液状等の流動性を有する物質を他の容器に移し替えるための包装容器等に有用である。
【符号の説明】
【0057】
100、200、300、400、500、600、700、800、900 包装容器
120、920 容器本体
130、230、330、430、530、630、730、830、930 漏斗パーツ
131、231、331、431、531、631、831、931 漏斗
132、632、732、832 側壁
134、234、334、434、534、634、834、934 漏斗の狭口側端縁
150、950 内容物
160、960 シール蓋
199、999 切断線
970 保存容器
971 保存容器の開口部
980 オーバーキャップ
981 リブ
1201 容器本体のフランジ部
1311、2311、5311、6311 テーパー部
1312、2312、3312、4312、5312、6312、8312 ストレート部
1313 フラップ部
2313 折り曲げ部
3313、3314 屈曲点
4313 変曲点
5313 薄肉部
7321 側壁のフランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒状または液状の材料を包装し、前記材料を他の容器に移し替えるための包装容器であって、
開放端と底部とを有する筒形状の容器本体と、
前記容器本体の開放端に嵌め込まれる漏斗パーツと、
前記開放端を封止し、外部からの押圧によって破断するシール蓋とを備え、
前記漏斗パーツは、
前記容器本体の内部に収納され、前記開放端に向かって径の狭まる漏斗と、
一方端が前記漏斗に接続され、前記漏斗の外面を取り囲む側壁とを有し、
前記漏斗の狭口側の端縁は、前記開放端を含む平面の外方に突出しており、
前記漏斗は、前記狭口側の端縁が、前記容器本体の軸方向に移動自在となるように撓む可撓部を有し、
前記狭口側の端縁が、前記シール蓋と接触している包装容器。
【請求項2】
前記シール蓋は、前記漏斗の狭口側の端縁を、前記容器本体の内方に向かって押し込んだ状態で、容器本体を封止していることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記可撓部は、前記漏斗の狭口側の端縁を含む一部が、前記容器本体の外方に向かって径が狭まるように屈曲して形成されたフラップ部からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記可撓部は、前記漏斗の広口側の端縁と前記側壁とを接続し、所定の曲率で折れ曲がる折り曲げ部からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の包装容器。
【請求項5】
前記漏斗の少なくとも一部は、屈曲点を有する折れ線で描かれる縦断面形状を有しており、
前記可撓部は、前記屈曲点が前記漏斗の全周に渡って分布することで形成された屈曲部からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の包装容器。
【請求項6】
前記漏斗の少なくとも一部は、変曲点を有する曲線で描かれる縦断面形状を有しており、
前記可撓部は、前記変曲点が前記漏斗の全周に渡って分布することで形成された変曲部と、当該変曲部を挟んで凹凸が切り替わる周面とからなることを特徴とする、請求項1または2に記載の包装容器。
【請求項7】
前記可撓部は、前記漏斗の全周に渡って連続的に設けられ、相対的に厚みが薄い薄肉部からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の包装容器。
【請求項8】
前記薄肉部は、前記漏斗の広口側の端縁と前記側壁との接続部分に設けられることを特徴とする、請求項7に記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−230787(P2011−230787A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101481(P2010−101481)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】