説明

包装容器

【課題】従来の包装容器では、テープを切断するときにカッター等の刃で収納物を損傷させないように設けた突起部は、下フラップ同士の先端部間の隙間に嵌り込む長さにしなければならず、突起部の側部と下フラップの先端部との間に隙間が生じてしまい、テープの切断はカッターなど幅のあるもので行なうとは限らず、千枚通しや釘など先端が尖っているもので行なわれると、収納物が損傷する問題があったため、収納物の損傷を回避する包装容器を提供する。
【解決手段】対向する幅面3に延設した下フラップ31に、対向する長さ面2に延設した上フラップ21を折り重ね、両上フラップにテープ4を架け渡して封緘する構造の箱体において、一方のフラップの先端側中央部に凸部22、他方の上フラップの先端側中央部に該凸部が嵌り込む凹部32を形成した構造であって、該凸部及び凹部は、封緘時における各下フラップに重なる位置に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープを切断することによって開梱する場合の、収納物の保護を目的とした包装容器の改良に関する。

【背景技術】
【0002】
梱包用の包装容器としては、段ボール箱が広く利用されており、特に、周面を構成する幅面と長さ面の上下にそれぞれフラップを延設して天面と底面を形成する、いわゆるA型の段ボール箱が一般的である。
【0003】
このような段ボール箱を封緘する場合、対向する幅面から延設した下フラップに、対向する長さ面から延設した上フラップを折り重ね、該上フラップ同士を粘着テープで封緘する方法が広く行なわれている。
【0004】
粘着テープで封緘された段ボール箱は、粘着テープをカッター等で上フラップ間の隙間に沿って切断することによって開梱されている。しかし、一般的な段ボール箱は直方体形状であり、下フラップ同士の先端部間に隙間が生じている場合が多く、粘着テープの切断時に上記隙間にカッターの刃が入り込んで収納物やその包装袋などを損傷してしまうことがあった。
【0005】
このようなことから、特許文献1に開示されている包装容器では、一方の上フラップの先端縁に突起部を設けることにより、カッターの刃が下フラップ同士の先端部間の隙間に入り込まないようにして、開梱時に収納物に傷が付かないようにしている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−052750
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の包装容器は、一方の上フラップに突起部を設けただけであるため、構造的に突起部を他方の上フラップの下に位置させる必要があり、この面(天面及び/又は底面)に段差が生じやすくなる。この点、特許文献1の包装容器は、突起部の両側基部に切れ込みを設けて対処しているものの、突起部を基部で確実に折曲させなければ段差が生じてしまう問題がある。特に、下フラップ同士の先端部間の隙間が長くなると、突起部もこれに応じて長くしなければならないため、基部から折曲させることが難しく、段差が生じたり歪な面となって荷崩れの原因や商品価値の低下に繋がる。
【0008】
また、特許文献1の包装容器では、突起部は下フラップ同士の先端部間の隙間に嵌り込む長さにしなければならない。このため、突起部の側部と下フラップの先端部との間には隙間が生じることになる。粘着テープで封緘された段ボール箱を開梱する場合、粘着テープの切断はカッターなど幅のあるもので行なうとは限らず、千枚通しや釘など先端が尖っている身近にあるもので行なわれる場合が多く、僅かな隙間でもあると抵抗なく刺し込んでしまう可能性があり、収納物の損傷に繋がることになる。

【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者は上記問題に鑑み鋭意研究の結果、本発明を成し得たものであり、その特徴とするところは、対向する幅面に延設した下フラップに、対向する長さ面に延設した上フラップを折り重ね、両上フラップにテープを架け渡して封緘する構造の箱体において、一方のフラップの先端側中央部に凸部、他方の上フラップの先端側中央部に該凸部が嵌り込む凹部を形成した構造であって、該凸部及び凹部は、封緘時における各下フラップに重なる位置に設けたことにある。
【0010】
ここで、本明細書中でいう「箱体」とは、段ボール、厚紙、プラスチックシート、プラスチック段ボールなどの板材を折り曲げて箱体に組み立てたものをいう。本発明における箱体としては、4面で周面を構成し、周面の上端と下端の少なくともいずれか一方から延設したフラップで蓋や底を形成する構造であればよい。
【0011】
蓋や底を形成する構造は、周面を構成する幅と深さで囲まれた対向する幅面から延設したフラップを下フラップとし、周面を構成する長さと深さで囲まれた対向する長さ面から延設したフラップを上フラップとして、各下フラップに各上フラップを折り重ねて形成する。本発明では、折り重ねた両上フラップの先端部に粘着テープなどのテープを架け渡して封緘する場合の包装容器をいう。
【0012】
「凸部及び凹部」とは、上フラップの先端側中央部に形成する凹凸状の部分であり、封緘時に段差を生じさせることなく相互に嵌り込む形状であればよい。本発明においては、凸部及び凹部は封緘時に各下フラップに重なる位置に設ける。これは、開梱するとき、上フラップ先端部間の隙間に沿ってカッター等を刺し込んでテープを切断するが、下フラップがない部分にカッター等が至る前に、カッター等の刃が凸部に当たり、深く刺し込ませないようにするためである。凸部の突出長さは、約10mmから50mm程度あればよく、下フラップに重なる長さは、材料の種類や厚みによるが3mm程度あればよい。
【0013】
本発明では、テープを切断するために、上フラップの端から端までカッター等を直線的に走らせても、下フラップがない部分に凸部を設けることで、カッター等から収納物を保護することを基本としている。ただ、本発明の構造では、凸部を設けた部分でテープを直線的に切断しても、凸部にテープが貼り付いたままとなる問題がある。
【0014】
しかしこの問題は、テープ切断後のテープと凸部との接着面積が小さいため、上フラップを開きながら凸部からテープを剥がしたり、テープを破断することができ、ほとんど問題なく開梱することができる。このためには、凸部を三角形や円弧状などに形成することで、矩形に比し接着面積をより小さくでき、上フラップを開きながらテープを破断させることも容易となる。
【0015】
また、凸部の機能として、テープを切断しながら下フラップがない部分に至ることを知らしめて注意を喚起する機能があることから、カッター等の刃が凸部に至った時点で刃を深く刺し込まないように注意しながら凸部に沿ってテープを切断することもできる。

【発明の効果】
【0016】
本発明に係る包装容器は、各下フラップに重なる位置に、各上フラップの先端側中央部に相互に嵌り込む凹凸部を形成したことにより、開梱時にテープを切断するときのカッター等の刺し込みを防止することができる。特に、下フラップが存在しない部分を凸部で完全に覆っているため、千枚通しなど先端が尖ったものでも突き刺す隙間が全くなく、どのような器具でテープを切断しても収納物の損傷を確実に防止することが可能となる。
【0017】
また、一方の上フラップに設けた凸部は、他方の上フラップに設けた凹部に嵌り込むため、蓋や底に段差が生じず、荷崩れを防止でき、包装容器としての美観も損なわないなど実用上極めて有益な効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る包装容器の一実施例を示す斜視図である。(実施例1)
【図2】図1に示した包装容器のブランクシートである。
【図3】図1に示した包装容器のテープを切断して開梱する状態を示す斜視図である。
【図4】(a)(b)は、それぞれ本発明に係る包装容器の他の実施例を示す平面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、各下フラップに各上フラップを折り重ねて、両上フラップにテープを架け渡して封緘する構造の箱体において、各上フラップの先端側中央部に相互に嵌り込む凸部と凹部を形成した構造であって、該凸部及び凹部は、封緘時における各下フラップに重なる位置に設けたことにより、上述した課題を解決した。

【実施例1】
【0020】
図1は、本発明に係る包装容器1の一実施例を示すもので、図2はそのブランクシートであり、各部の寸法を表示している。この包装容器1は、長さ面2と幅面3をそれぞれ対向位置に配して周面を構成し、各長さ面2の上下に上フラップ21、各幅面3の上下に下フラップ31を延設した構造である。本例では、蓋を形成する両上フラップ21の一方に凸部22、他方に該凸部22が嵌り込む凹部32を先端側中央部に設けている。
【0021】
凸部22の突出長さは15mmであり、封緘時に下フラップ31と10mm重なる幅にしている。また、本例では、凸部22の突出方向のセンタが幅面4のセンタと合致するように、蓋を構成する上フラップ21及び下フラップ31の長さ(長さ面2及び幅面3から突出する方向の長さ)を設定している。
【0022】
上フラップの先端側中央部に凸部22を設けたことにより、図3に示すように封止したテープ4を切断して開梱するとき、カッターCで上フラップ同士の先端側接合部の溝に沿って刃を入れても、下フラップ31が存在しない箇所でも刃を刺し込むことができず、収納物を保護することができる。また、凸部22は凹部32に嵌め込まれるため、段差が生じることはない、
【0023】
カッターCでテープ4を直線状に切断した後は、上フラップ21を開きながら凸部22からテープ4を剥がすように、若しくはテープ4を破断するようにして開梱する。また、凸部22に沿ってカッターCの刃を深く刺し込まないようにしてテープ4を切断してもよい。

【実施例2】
【0024】
凸部22及び凹部32の形状は、矩形の他図4(a)のように三角形や同図(b)のように円弧にしてもよい。要は、カッターCで上フラップ同士の先端側接合部の溝に沿って、一気に直線状に刃を入れても、刃が下フラップ31が存在しない部分に至らないように突出させたものであればよい。

【符号の説明】
【0025】
1 包装容器
2 長さ面
21 上フラップ
22 凸部
3 幅面
31 下フラップ
32 凹部
4 テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する幅面に延設した下フラップに、対向する長さ面に延設した上フラップを折り重ね、両上フラップにテープを架け渡して封緘する構造の箱体において、一方のフラップの先端側中央部に凸部、他方の上フラップの先端側中央部に該凸部が嵌り込む凹部を形成した構造であって、該凸部及び凹部は、封緘時における各下フラップに重なる位置に設けたことを特徴とする包装容器。
【請求項2】
凸部及び凹部は、三角形である請求項1記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−91510(P2013−91510A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234802(P2011−234802)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(399073377)石丸製麺株式会社 (2)
【出願人】(000208400)大和紙器株式会社 (13)
【Fターム(参考)】