説明

包装材料及び包装容器

【課題】包装容器等の開封位置を利用者に認識し易くした新たな包装材料及び包装容器を提供する。
【解決手段】開封部11となる部位を有し、開封部11又はこの近傍の少なくともいずれか一箇所に他の領域と異なる表面粗さを有する領域12を有する包装材料10(容器15)により、上記課題を解決する。他の領域と異なる表面粗さを有する領域12と、他の領域とは、一方が表面に微細な凹凸を有し、他方は表面が滑らかである構成とする。表面に微細な凹凸を有する領域12は、部分的に微細な凹凸を有するようにでき、縦縞、横縞、斜め縞、水玉、格子模様、波形、碁盤目状又は千鳥格子状等の模様にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封位置を利用者に認識し易くした包装材料及び包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子や化粧品等の包装容器は、ミシン目を設けたりジッパー状の引出部を設ける等により、開封し易く構成されたものが考案されている。このような開封部分には、開封部である旨(例えば、「あけ口」「OPEN」など)の印字がされていたり、他の領域とは異なる色で印刷されていることにより、包装容器の利用者が見て開封部であることを認識できるようになっている。
【0003】
また、包装容器の開封部に点字やエンボスを設けて、薄暗い場所でも当該包装容器を開封する場合に利用者が開封部を認識しやすくしたり、目の不自由な人が包装容器の開封部を認識しやすくすることが考案されている。例えば、特許文献1には、開封部に点字によるエンボスが設けられたブリスター容器が開示されている。
【0004】
一方、凹凸感を有することにより意匠性を付与したマット加工印刷物とその加工方法が、特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2004−315015号公報
【特許文献2】特開2003−181370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、開封位置を利用者に認識し易くした包装材料及び包装容器であって、新たなものを提供することを目的する。さらに、簡易な工程で製造することができる当該包装材料及び包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の包装材料は、開封部となる部位を有し、前記開封部又はこの近傍の少なくともいずれか一箇所に他の領域と異なる表面粗さを有する領域を有することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、当該包装材料から製造される包装容器やシュリンクラベル等の開封部(切断や開封を開始する部分を示す)又はその近傍の領域が他の領域と表面粗さが異なることから、利用者が開封部やその近傍を触ったときの触感が包装容器等の他の位置と異なることにより、利用者が開封部を認識し易いものとなる。そのため、薄暗い場所でも包装容器等を開封する場合に利用者が開封部を認識しやすくなり、目の不自由な人も包装容器等の開封部を認識しやすくなる。
【0008】
上記本発明の包装材料において、前記他の領域と異なる表面粗さを有する領域と、前記他の領域とは、一方が表面に微細な凹凸を有し、他方は表面が滑らかであることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、例えば、開封部又はその近傍の少なくともいずれか一箇所は、微細な凹凸を有したざらざらの触感の表面(マット部分)となり、他の領域は、滑らかなつるつるとした触感の表面(グロス部分)となる。又は、マット部分とグロス部分とが上記したものと逆の関係で形成される。そのため、利用者が包装材料の他の領域から開封部やその近傍等にかけて触ったときの触感がつるつるからざらざらに(ざらざらからつるつるに
)変わることにより、利用者が包装容器等の開封部を認識し易いものとなる。
【0010】
上記本発明の包装材料において、前記表面に微細な凹凸を有する領域は、部分的に前記微細な凹凸を有することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、部分的に微細な凹凸を有することにより、微細な凹凸を有する表面(マット部分)と滑らかな表面(グロス部分)との境界が多くなり、利用者が触ったときに、凹凸を有する表面があることを認識しやすくなる。これより、利用者が包装容器等の開封部の位置を認識し易くなる。
【0012】
上記本発明の包装材料において、前記表面に微細な凹凸を有する領域は、縦縞、横縞、斜め縞、水玉、格子模様、波形、碁盤目状又は千鳥格子状の少なくともいずれか一の模様により部分的に前記微細な凹凸を有することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、包装材料が縦縞、横縞、斜め縞、水玉、格子模様、波形、碁盤目状又は千鳥格子状の少なくともいずれか一の模様により部分的に凹凸を有する表面を有することにより、微細な凹凸を有する表面(マット部分)と滑らかな表面(グロス部分)との境界が多くなり、利用者が触ったときに、凹凸を有する表面があること(ないこと)を認識しやすくなる。これより、利用者が包装容器等の開封部を認識し易いものとなる。
【0014】
上記本発明の包装材料において、前記表面に微細な凹凸を有する領域は、基材上に撥液性のインキによる印刷層及び紫外線硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂からなるコート層を積層することにより形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、包装材料の表面に微細な凹凸を有する領域が、基材上に撥液性のインキによる印刷層及び紫外線硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂からなるコート層を積層することにより形成されていることにより、従来の点字やエンボスを形成する加工を施した包装材料に比べて簡易に製造することができる。すなわち、本発明の包装材料は、撥液性のインキや紫外線又は電子線硬化性樹脂を従来公知の印刷装置又は塗布装置により基材に印刷・塗工し、紫外線又は電子線を照射して樹脂を硬化させ、コート層を形成することにより包装材料を製造することができる。そのため、エンボス加工等に用いる専用の装置を別個に使用する必要がなく、包装材料の製造工程を簡易なものとすることができる。また、このように包装材料を形成することにより、包装材料自体のデザインを損なうことなく、上述の開封部の位置が利用者にわかりやすい包装材料を製造することができる。
【0016】
上記本発明の包装材料において、前記開封部は切断されることにより開封されて蓋となるように元に戻せる構造であり、前記開封部の開封方向側に、開封方向に略垂直に延びる線状又は帯状の凸部を有することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、当該包装材料からなる包装容器を開閉する人の指が線状又は帯状の凸部に引っ掛かることになり、包装容器を開封した後に開封部を一度閉じ、開封部を再開封するときに開封しやすくなる。
【0018】
上記本発明の包装材料において、前記線状の凸部は、開封方向に略垂直に延びる二本の線とその各端部を開封方向に略平行につなぐ二本の線とからなり、開封方向に略垂直に延びる二本の線は、互いに略中心が離れる方向に凸に曲がっていることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、開封方向に略垂直に延びる二本の線の間の距離を一般的な人の指の太さと同程度の距離とすることにより、当該包装材料からなる包装容器を開閉する人の指が線状の凸部により引っ掛かりやすくなり、包装容器を開封した後に開封部を一度閉じ、開封部を再開封するときにより開封しやすくなる。
【0020】
上記課題を解決する本発明の包装容器は、開封部を有し、前記開封部又はこの近傍の少なくともいずれか一箇所に他の領域と異なる表面粗さを有する領域を有することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、包装容器の開封部(切断や開封を開始する部分を示す)又はその近傍の領域が他の領域と表面粗さが異なることから、利用者が開封部やその近傍を触ったときの触感が包装容器の他の位置と異なることにより、利用者が開封部を認識し易いものとなる。そのため、薄暗い場所でも包装容器を開封する場合に利用者が開封部を認識しやすくなり、目の不自由な人も包装容器の開封部を認識しやすくなる。
【0022】
上記本発明の包装容器において、前記開封部は切断されることにより開封されて蓋となるように元に戻せる構造であり、前記開封部の開封方向側に、開封方向に略垂直に延びる線状又は帯状の凸部を有することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、当該包装容器を開閉する人の指が線状又は帯状の凸部に引っ掛かることになり、包装容器を開封した後に開封部を一度閉じ、開封部を再開封するときに開封しやすくなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の包装材料によれば、これを用いて作製された包装容器等の開封部(切断や開封を開始する部分を示す)又はその近傍の領域が他の領域と表面粗さが異なることから、利用者が開封部やその近傍を触ったときの触感が包装容器の他の位置と異なることにより、利用者が開封部を認識し易いものとなる。そのため、薄暗い場所でも包装容器を開封する
場合に利用者が開封部を認識しやすくなり、目の不自由な人も包装容器の開封部を認識しやすくなる。また本発明の包装容器によっても、同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の包装材料及び包装容器について、図面を参照して説明する。なお、図1は、本発明の包装材料の平面図を示し、図2は、図1に示す包装材料から作製した本発明の包装容器の斜視図を示す。また、図3は、本発明の包装材料の開封部又はその近傍に設けられる微細な凹凸を有する領域のパターンの各例を示し、図4は、本発明の包装材料の製造方法を説明する概略断面図を示す。また、図5は、本発明の変形形態の包装材料の平面図を示し、図6の各図及び図7は、本発明の変形形態の包装材料の平面図の一部を示す。
【0026】
(包装材料及び包装容器の構成)
図1に平面図を示すように、本発明の包装材料10は、開封部11となる部位を有し、当該開封部11又はこの近傍の少なくともいずれか一箇所に他の領域と異なる表面粗さを有する領域12を有している。本実施形態においては、包装材料10は組み立て後に図2に示す包装容器15となり、当該包装容器15の開封位置となる開封部11に他の領域と異なる表面粗さを有する領域を有している。具体的には、開封部11及びその近傍の領域が表面に微細な凹凸を有したマット部分となっており、他の領域は表面が滑らかであるグロス部分となっている。なお、以下において、表面に微細な凹凸を有する領域を単にマット部分といい、表面が滑らかである領域を単にグロス部分ともいう。また、図2の包装容器15の斜視図は、開封部11が見やすいよう、包装容器15の通常裏側となる方向から見た斜視図を示している。
【0027】
上述のように、包装材料10において、開封部11又はこの近傍の少なくともいずれか一箇所の領域12とその他の領域との表面粗さを異ならせるが、表面粗さの異なる程度は、表面粗さ測定機(東京精密株式会社製)等を用いて測定することができる。それぞれの表面粗さは5〜25μm程度の差があることが好ましいが、人が触った場合に触感が異なる程度に表面粗さが異なればよい。具体的には、利用者が包装材料を触ったときに、表面粗さが粗い領域(マット部分)と滑らかな領域(グロス部分)との境目がわかる程度に表面粗さに差を設けることが好ましい。なお、包装材料10の開封部11及びその近傍において、このような表面粗さの差があれば、さらに他の加工がされていてもよい。なお、開封部付近にエンボスを設ける場合には、少なくとも0.3〜0.5mm程度の型押しが必要であるため、これに比べて本発明の包装材料10は、印刷により簡易に製造することができる。
【0028】
他の領域と異なる表面粗さを有する領域12は、包装材料における組み立てて包装容器とした場合に開封部11となる位置とその近傍の少なくともいずれか一箇所とする。他の領域と異なる表面粗さを有する領域は完成後の包装容器の大きさにもよるが、例えば、開封部11からその周囲40mm程度の領域とすることができる。
【0029】
上述のマット部分は、部分的に形成することができる。マット部分を部分的に形成する場合の模様やパターン等は、特に限定されないが、例えば、縦縞、横縞、斜め縞、水玉、格子模様(正方形又は長方形のチェック模様)、波形、碁盤目状又は千鳥格子状の少なくともいずれか一の模様により形成することができる。図3(a)に斜め縞の例を、図3(b)に格子模様の例を示す。また、この模様は、包装容器15全体の絵柄に合わせて開封部11やその近傍のみにマット部分を形成したものであってもよい。このように、縞や他の模様によりマット部分を形成する場合には、図3(a)に示すように、マット部分の幅P1を0.8mm以上、好ましくは1〜2mm程度とし、各マット部分の間のグロス部分の幅P2を1〜5mm程度とすることが好ましい。
【0030】
また、上述してきた包装材料表面のマット部分とグロス部分とは、その位置(領域)が
逆転した関係であってもよい。この場合にも、包装容器の利用者は、マット部分とグロス部分の境界を触ることにより、触感が異なることを認識することができ、包装容器の開封部を認識することができる。
【0031】
また、図示しないが、本発明の包装材料は、図1、2に示すような箱状の包装容器15に用いられる包装材料10に限定されず、種々の包装容器に用いられる包装材料に適用できる。そうした包装容器としては、袋状の包装容器、牛乳パック等のゲーベルトップ型容器、ブリスター容器、蓋を剥がすタイプの容器等が挙げられる。このような種々の容器の開封部に他の領域と表面粗さの異なる領域を設ける。ゲーベルトップ型の容器や袋状の包装容器においては、複数の箇所から開封することが可能であるが、適切な開封位置のみに表面粗さの異なる領域を設けることにより、利用者が誤った位置から開封することを防止することができる。図1の右中央部分及び図2の右端部分に示すように、ジッパー状の開封部を有する包装材料(包装容器)である場合には、ジッパーの先端周辺に表面粗さの異なる領域を設ければよい。なお、ジッパーの先端に表面粗さの異なる領域を設ける場合には、部分的に、パターン状に設けることが好ましい。また、本発明の包装材料10や包装容器15は、その大きさも限定されず、包装するものに応じて種々の大きさとすることができる。
【0032】
また、図示しないが、本発明の包装材料は、ペットボトルや瓶等の周囲に設けられるシュリンクラベルに用いられる包装材料等にも適用できる。この場合には、シュリンクラベルをペットボトルや瓶等からとりはずすために入っているミシン目等の切り始める部分(本発明においては開封部とする)及びその近傍に、他の領域と異なる表面粗さを有する領域を設ける。他の領域と異なる表面粗さを有する領域は、例えば、開封部から略1cm程度の円内、長方形内等とすることができる。この領域内には、上述の包装容器15の包装材料10と同様に、部分的に設けることもできるし、全体に設けることもできる。
【0033】
(包装材料の製造方法)
本発明の包装材料10の製造方法は、特に限定されないが、以下に示す方法で簡易に製造することができる。
【0034】
図4(a)に示すように、まず、基材21の表面に絵柄などが印刷された絵柄層22が設けられ、次に、絵柄層22上の表面の微細な凹凸を有する領域25となる部分に撥液性のインキによる印刷層23が設けられ、最後に、絵柄層22及び印刷層23の表面上に紫外線硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂からなるコート層24が設けられる。この時、図4(b)に示すように、印刷層23を設けた部分が、上に加工されたコート層24を形成する樹脂(コーティング剤)をはじくことにより凹凸感のあるマット部分25となり、印刷層23を設けていない部分が、そのままグロス部分26となる。このように製造される包装材料10について具体的に説明する。
【0035】
本発明の包装材料10において使用できる基材21としては、板紙を主とする紙、プラスチックシート、板類、金属板等が挙げられる。基材21の厚さは、特に限定されず、包装する用途に応じて適宜設定されるが、通常、50μm〜3mm程度である。
【0036】
基材21上に設けられる絵柄層22は、絵柄、表示などが印刷された層である。絵柄層22は、公知の電子線又は紫外線硬化型インキ等を用いて印刷、塗工される。絵柄層22用のインキや塗工液は、後述する印刷層23との密着性の良いインキが選定される。絵柄層22の形成方法は、上述のインキを印刷、塗工できる方法であれば、特に限定されないが、オフセット印刷(平版印刷)、グラビア印刷等により設けられる。なお、この絵柄層22及び後述する印刷層23をオフセット印刷により形成することにより、インキに用いられる溶剤等の臭いを低減させることができる。この絵柄層22は、基材21上に乾燥膜
厚で約1〜10g/m2、1〜10μmとなるような量で設けることが好ましい。
【0037】
次に、絵柄層22上の微細な凹凸を形成する位置に撥液性のインキによる印刷層23が設けられる。この印刷層23上のコート層24となる紫外線硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂が印刷層23によりはじかれて微細な凹凸を有するマット部分25が形成される。包装材料10上にマット部分25とその他のグロス部分26とを有することにより、各部分25、26の境目を触った人が、表面粗さに違いがあることを認識し、上述した開封部11の位置を認識し易くすることができる。
【0038】
印刷層23は、電子線又は紫外線硬化型インキ等を用いて印刷、塗工される。この印刷層23用の電子線又は紫外線硬化型インキとしては、少なくともポリマー、モノマー、光重合開始剤を混合した主剤に、ポリエチレンワックス、反応性シリコーンを助剤として主剤に対して0〜10質量%加えたものを使用する。この助剤は、印刷層23用のインキを撥液性とするために加えられる。印刷層23用のインキや塗工液は、後述する印刷層23との密着性の良いインキが選定される。印刷層23の形成方法は、上述のインキを印刷、塗工できる方法であれば、特に限定されないが、オフセット印刷(平版印刷)、グラビア印刷等により設けられる。この印刷層23は、絵柄層22上に乾燥膜厚で約1〜10g/m2、1〜10μmとなるような量で設けることが好ましい。絵柄層22と印刷層23が電子線又は紫外線硬化性樹脂からなる場合には、これらの層を設けた後、紫外線又は電子線を照射することにより各層22、23を硬化させる。一方、絵柄層22と印刷層23が電子線又は紫外線硬化性樹脂を用いたものでない場合には、絵柄層22と印刷層23を設けた後、乾燥等により硬化させる。
【0039】
主剤のポリマーとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート(以下、「メチルアクリレート」と「メチルメタクリレート」とを、「(メタ)アクリレート」と表記する。以下、同様。)、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレンの如き1分子中に1個の重合性ビニル基を有する、いわゆる単官能モノマー;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの如き1分子中に2個の重合性ビニル基を有する、いわゆる2官能のモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートの如き1分子中に3個以上の重合性ビニル基を有する、いわゆる多官能モノマー、などがあげられる。
【0040】
さらに、オリゴマーとして、不飽和ポリエステル類、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどのオリゴマーを用いることもできる。
【0041】
主剤の光重合開始剤として特に制約を設ける必要はないが、重合性の組成物に溶解可能な物質が好ましく、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤であって良い。そのような光重合開始剤としては、例えば、p−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサ
ントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾイン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、などがあげられる。
【0042】
また、光重合開始剤に光増感剤を併用しても差し支えない。このような光増感剤としては、例えば、n−ブチルアミン、n−ジブチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミンなどがあげられる。
【0043】
絵柄層22上の所定の部分に印刷層23が設けられた後、絵柄層22及び印刷層23上の全面にコート層24が設けられる。このコート層24は、紫外線硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂を含むコーティング剤を用いて形成される。
【0044】
このコート層24に使用するコーティング剤は、印刷層23の上にコーティングされた場合に、ハジキ現象を生じるものであれば特に制限はなく、この目的に合致したコーティング剤を適宜選択すればよい。このような紫外線硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂を含むコーティング剤としては、印刷層23に使用するインキの主剤と同様に、少なくともポリマー、モノマー、光重合開始剤等を混合したものである。さらに、これに助剤として表面調整剤を加えたものを使用することができる。表面調整剤としては、セルロース系のレベリング剤及び天然ワックス系の滑剤などがある。また、コーティング剤に着色剤を入れずに透明のコート層24としてもよいし、コーティング剤に白や淡い色(例えば、酸化チタン等)の着色剤を加えて半透明のコート層24としてもよい。
【0045】
コート層24の形成方法は、上述のコーティング剤を塗工できる方法であれば、特に限定されず、従来公知の塗工方法により設けられる。また、コーティング剤が基材21上に塗工された後、紫外線又は電子線を照射することにより、コート層24を硬化させる。このコート層24は、硬化後のグロス部分26の膜厚で約3〜20g/m2、3〜20μmとなるような量で設けることが好ましい。
【0046】
このようにして、コート層24において、マット部分25とグロス部分26との両部分を有し、包装容器15の開封部11を利用者に認識し易くできる包装材料10を作製することができる。
【0047】
包装材料10の製造方法において、絵柄層22、印刷層23、コート層24は、それぞれ別の工程で形成することもできるが、オフセット印刷機により、一工程で加工することもできる。このオフセット印刷機では、上流から、印刷ユニット、紫外線(電子線)照射装置、コーターユニット、紫外線(電子線)照射装置を設置している。このようなユニット及び装置を有するオフセット印刷機によって、絵柄層22、印刷層23、コート層24を一工程で設けることができる。
【0048】
なお、本発明の絵柄層22、印刷層23、コート層24の紫外線又は電子線硬化型のインキあるいはコーティング剤を硬化させる方法としては、紫外線硬化型インキあるいはコーティング剤を使用した場合には、公知の紫外線照射装置(水銀ランプ、紫外線ランプ、白熱灯、ハロゲンランプ等)を用いて、それらを照射することにより硬化させることが可能である。また、電子線硬化型インキあるいはコーティング剤を使用した場合には、公知の種々の電子線、放射線等を照射可能な装置を用いて、それらを照射することにより硬化させることが可能である。
【0049】
なお、絵柄層22は、本発明の包装材料10に任意に設けられる層であるが、通常は包
装材料10に模様や内容物の説明、成分等を表示するため、多くの場合に絵柄層22が設けられる。
【0050】
また、マット部分25は、シルクスクリーン印刷、グラビア印刷等により、インキを厚めに粗く塗布することによって形成することもできる。
【0051】
図4(b)に示すように基材21上に印刷・塗工により各層22、23、24が形成された包装材料10は、図1に示す包装容器15を組み立てられる形状に切断されて、所定の位置が折られ、所定の位置が貼り付けられることにより組み立てられ、図2に示す包装容器15が製造される。
【0052】
(包装材料の変形形態)
図5乃至図7を参照して本発明の包装材料及び包装容器の変形形態を説明する。変形形態の包装材料10の開封部11は、図5や上述の図2に示すように、切断されることにより開封されて蓋となるように元に戻せる構造となっている。そして、この包装材料10の開封部11の開封方向(図5中矢印参照)側には、開封方向に略垂直に延びる線状の凸部16を有する。この線状の凸部16の形状は、特に限定されず、図5や図6の各図に示すように様々な形状とすることができる。また、包装材料10は、線状の凸部16の代わりに、図7に示すように、帯状の凸部17を有していてもよい。
【0053】
線状の凸部16は、例えば、図5に示すように、開封方向に略垂直方向に延びる二本の線16a、16bとその各端部を開封方向に略平行につなぐ二本の線16c、16dとからなり、開封方向に略垂直方向に延びる二本の線16a、16bは、互いに略中心が離れる方向に凸に曲がったもの(細長い樽型の形状)とすることができる。また、線状の凸部16は、例えば、図6(a)に示すように、開封部11を上に見た平らなU字型16f、図6(b)に示すように、開封部11を下に見た平らなU字型16g、の各形状とすることができる。さらに、線状の凸部16は、図6(c)に示すように、開封部11を上に見た平らなU字型と開封部11を下に見た平らなU字型との各端部が接したラグビーボールのような形状16h、図6(d)に示すように、開封部11を上に見た平らなU字型と開封部11を下に見た平らなU字型との各中央部が接したX文字を変形させたような形状16i、とすることもできる。このように、線状の凸部16は、開封方向に略垂直に延びる部分を有した形状であれば特に限定されず、種々の形状とすることができる。
【0054】
このうち、図5に示すように、線状の凸部16は、開封方向に略垂直方向に延びる二本の線16a、16bとその各端部を開封方向に略平行につなぐ二本の線16c、16dとからなり、開封方向に略垂直方向に延びる二本の線16a、16bは、互いに略中心が離れる方向に凸に曲がっているものが好ましい。このような形状の線状の凸部16によれば、包装材料から製造される包装容器の利用者が指をかけやすくなり、特に再開封がし易くなる。
【0055】
このような線状の凸部16の幅W1は、特に限定されないが、通常、0.3〜1.8mm程度である。また、図示しないが、線状の凸部16が包装材料10の他の表面から盛り上がる高さも、特に限定されないが、通常、0.5〜2mm程度である。また、線状の凸部16の位置も、特に限定されないが、開封部11を有する面における開封部11よりも開封方向側であり、かつ図中の左右における略中央に位置することが好ましい。
【0056】
図5に示す形状の線状の凸部16における図上の縦の幅W2は、包装容器全体の大きさと指のかかり具合とのバランスによって適宜選定されるため、特に限定されないが、通常、4〜15mm程度である。なお、16c又は16dで示される端部においてはW2を1〜10mm程度として線状の凸部16を樽型にすることができる。図5に示す形状の線状の凸部16における図上の横の幅W3は、特に限定されないが、10〜100mm程度である。例えば、線状の凸部16において、全体の縦幅W2を10mm程度、端部の縦幅W2を3mm程度、横幅W3を51mm程度とすることができる。
【0057】
このように、線状の凸部16の形状を人の指一本の大きさと同程度にすることにより、当該包装材料10から作製された包装容器の利用者が開封部11を再開封する際に指にかけやすく、再開封しやすくなる。なお、作製される包装容器の利用者の年齢層等に応じて指や爪のサイズが異なるため、線状の凸部16の各幅W1、W2、W3、高さを変化させてもよい。
【0058】
次いで、図6(a)〜図6(d)に示す各線状の凸部16について説明する。図6(a)に示すようなU字型の線状の凸部16fは、図上の横幅W4を、例えば、10〜100mm程度とすることができる。また、図上の縦幅W5を、例えば、5〜20mm程度とすることができる。この形状の場合、通常、図上の左右が対称になる。この形状の凸部16fは、再開封する際に指がかかりやすくなる。
【0059】
図6(b)に示すような逆U字型の線状の凸部16gの横幅W4、縦幅W5も、図6(a)に示すU字型のものと同程度の範囲とすることができる。この形状の場合、通常、図上の左右が対称になる。この形状の凸部16gは、開封部11を閉じる際、すなわち包装容器に蓋をする際に指がかかりやすくなる。
【0060】
図6(c)に示すようなラグビーボールを横にした形状の線状の凸部16hは、図上の横幅W6を、例えば、10〜100mm程度とすることができる。また、図上の縦幅W7を、例えば、5〜20mm程度とすることができる。この形状の場合、通常、図上の左右及び上下が対称になる。この形状の凸部16hは、再開封する際及び開封部11を閉じて蓋をする際に指がかかりやすくなる。
【0061】
図6(d)に示すような略X型の線状の凸部16iは、図上の横幅W8を、例えば、10〜100mm程度とすることができる。また、図上の縦幅W9を、例えば、10〜20mm程度とすることができる。なお、上側のU字と下側の逆U字とが重なる縦方向及び横方向の中心の線は、他の線と同程度の幅W1とする。この形状の場合、通常、図上の左右及び上下が対称になる。この形状の凸部16iは、再開封する際及び開封部11を閉じて蓋をする際に指がかかりやすくなる。
【0062】
なお、図6(a)〜図6(d)に示す線状の凸部16f、16g、16h、16iは同じ大きさの弧又は相似形(略同一の曲率半径)の弧の形状としてもよい。例えば、線状の凸部16fにおいて、横幅W4を31mm程度、縦幅W5を8mm程度とすることができる。
【0063】
線状の凸部16の形成方法は、特に限定されないが、包装材料10の裏側からエンボス装置等により型押しすること、突起のある道具で線をなぞること、基材から包装材料10を抜き加工する際に同時にエンボス加工すること等により、形成することができる。包装材料10を製造する際には、罫線を入れる工程等において組み込まれる。
【0064】
また、帯状の凸部17は、例えば、図7に示すように、開封方向に略垂直方向に延びる二本の線17a、17bとその各端部を開封方向に略平行につなぐ二本の線17c、17dとからなり、開封方向に略垂直方向に延びる二本の線17a、17bは、互いに略中心が離れる方向に凸に曲がったもの(細長い樽型の形状)の各線の中全体を凸部とした形状とすることができる。また、帯状の凸部17は、図7に示す形状と略同形状でほぼ直線からなる略長方形としてもよい。このように、帯状の凸部17は、開封方向に略垂直に延びる部分を有した形状であれば特に限定されず、種々の形状とすることができる。
【0065】
このような帯状の凸部17が包装材料10の他の表面から盛り上がる高さ(図示しない)は、特に限定されないが、通常、0.3〜2.0mm程度である。また、帯状の凸部17の位置も、特に限定されないが、開封部11を有する面における開封部11よりも開封方向側であり、かつ図中の左右における略中央に位置することが好ましい。
【0066】
図7に示す形状の帯状の凸部17における図上の縦の幅W10は、特に限定されないが、5〜20mm程度である。なお、17c又は17dで示される端部においてはW10を2〜5mm程度として帯状の凸部17を樽型にすることができる。図7に示す形状の帯状の凸部17における図上の横の幅W11は、特に限定されないが、10〜100mm程度である。例えば、帯状の凸部17において、全体の縦幅W10を10mm程度、端部の縦幅W10を3mm程度、横幅W11を51mm程度とすることができる。このように、帯状の凸部17の形状を人の指一本の大きさと同程度にすることにより、再開封や蓋をし易くなることは、線状の凸部16と同様である。
【0067】
帯状の凸部17の形成方法は、特に限定されないが、包装材料10の裏側からエンボス装置等により型押しすること、基材から包装材料10を抜き加工する際に同時にエンボス加工すること等により、形成することができる。包装材料10を製造する際には、罫線を入れる工程等において組み込まれる。
【0068】
上述の変形形態の各包装材料10を用いて、図2に示すように包装容器15を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の包装材料の平面図を示す。
【図2】図1の包装材料から作製された本発明の包装容器の斜視図を示す。
【図3】本発明の包装材料の開封部又はその近傍に設けられる微細な凹凸を有する領域のパターンの各例を示す。
【図4】本発明の包装材料の製造方法を説明する概略断面図を示す。
【図5】本発明の変形形態の包装材料の平面図を示す。
【図6】本発明の変形形態の包装材料の平面図の一部の各例を示す。
【図7】本発明の変形形態の包装材料の平面図の一部の例を示す。
【符号の説明】
【0070】
10…包装材料
11…開封部
12…他の領域と異なる表面粗さを有する領域
15…包装容器
16、16a、16b、16c、16d、16f、16g、16h、16i…線状の凸部
17…帯状の凸部
17a、17b、17c、17d…帯状の凸部の端を示す線
21…基材
22…絵柄層
23…印刷層
24…コート層
25…マット部分(表面に微細な凹凸を有する領域)
26…グロス部分(表面が滑らかな領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開封部となる部位を有し、前記開封部又はこの近傍の少なくともいずれか一箇所に他の領域と異なる表面粗さを有する領域を有することを特徴とする包装材料。
【請求項2】
前記他の領域と異なる表面粗さを有する領域と、前記他の領域とは、一方が表面に微細な凹凸を有し、他方は表面が滑らかであることを特徴とする請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記表面に微細な凹凸を有する領域は、部分的に前記微細な凹凸を有することを特徴とする請求項2に記載の包装材料。
【請求項4】
前記表面に微細な凹凸を有する領域は、縦縞、横縞、斜め縞、水玉、格子模様、波形、碁盤目状又は千鳥格子状の少なくともいずれか一の模様により部分的に前記微細な凹凸を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の包装材料。
【請求項5】
前記表面に微細な凹凸を有する領域は、基材上に撥液性のインキによる印刷層及び紫外線硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂からなるコート層を積層することにより形成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項6】
前記開封部は切断されることにより開封されて蓋となるように元に戻せる構造であり、前記開封部の開封方向側に、開封方向に略垂直に延びる線状又は帯状の凸部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項7】
前記線状の凸部は、開封方向に略垂直に延びる二本の線とその各端部を開封方向に略平行につなぐ二本の線とからなり、開封方向に略垂直に延びる二本の線は、互いに略中心が離れる方向に凸に曲がっていることを特徴とする請求項6に記載の包装材料。
【請求項8】
開封部を有し、前記開封部又はこの近傍の少なくともいずれか一箇所に他の領域と異なる表面粗さを有する領域を有することを特徴とする包装容器。
【請求項9】
前記開封部は切断されることにより開封されて蓋となるように元に戻せる構造であり、前記開封部の開封方向側に、開封方向に略垂直に延びる線状又は帯状の凸部を有することを特徴とする請求項8に記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−145425(P2007−145425A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50156(P2006−50156)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】