包装用容器及び包装用容器入り即席麺
【課題】収納物を包装する包装容器であって、収納物の下端側から取り出せるように、収納物の下端側の容器部分を開封して取り出すことのできる収納容器。特に詰替え用の即席麺塊を収納する場合において即席麺塊を直接にふれることなく喫食用容器に移すことができる包装容器。
【解決手段】
紙又はプラスチック素材からなるカップ状包装用容器10であって、側壁部においてテーパ形状を有し、該容器の底面部12を含む容器下部を開放するための第1展開線13と、前記容器下部の開放後における側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線14が設けられている。
【解決手段】
紙又はプラスチック素材からなるカップ状包装用容器10であって、側壁部においてテーパ形状を有し、該容器の底面部12を含む容器下部を開放するための第1展開線13と、前記容器下部の開放後における側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線14が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用容器に関するものである。特に、即席麺を包装するための包装用容器に関するものである。さらには、当該即席麺を包装した包装即席麺に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装用容器の分野においては、収納する収納物の下端側から取り出せるように、収納物の下端側の容器部分を開封して収納物を取り出すという機構を採用する包装用容器が必要となっている。
【0003】
例えば、熱湯を注ぐだけで喫食することができるカップ入り即席麺の分野においては、上端部側が大で、下端部側が小な略テーパ形状の即席麺塊が使用されるが、包装材料の使用を軽減する観点から、繰り返して使用可能な喫食用の容器を前提とした詰替え用の包装即席麺が開発されている。この場合、喫食者は詰替え用の包装即席麺から、麺塊を直接に手で保持することなく、喫食用の容器に移すことができれば便利である。
【0004】
このような観点から、略テーパ形状である麺塊の下端側の容器部分を開封して、麺塊をその下端部より喫食用の容器に移すタイプの包装即席麺が開示されている(特許文献1)。具体的な構成としては深絞りの軟包材を用いて即席麺塊及び/又は具材・スープを包装し、脱気包装する構成を採用している。
【0005】
しかし、上記技術においては、軟包材を用いて即席麺塊とスープ・具材を包装するという点から製造において多少煩雑さを伴う場合があった。
【0006】
すなわち、通常のカップ麺の製造ラインにおいては、紙やプラスチック等の適度な剛性を有する素材を用いたカップ容器を用い、これに即席麺塊を収納する方法によって生産される。一方、特許文献1の方法では軟包材を用い、これに即席麺塊を収納し、かつ脱気工程を必要とする。このため軟包材の扱い等、工業的に生産しようとすると新たに製造設備を必要とする。
【0007】
この点、従来からある即席カップ麺の製造ラインを利用して詰め替え用の即席麺塊の包装体を製造することができれば、設備投資や労力等の種々の面で好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−74432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、包装用容器に収納されている略テーパ形状を有する収納物を収納するための包装用容器であって、紙やプラスチック等の適度な剛性を有する素材を利用して、収納する略テーパ形状の収納物を、その下端側から取り出せるようにできる包装用容器を開発することを目的とした。
【0010】
また、特に、収納する対象物が即席麺塊である場合において、従来までの即席カップ麺の製造ラインを利用しつつ即席麺塊を下端側からの取り出することのできる包装即席麺とすることを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題に対して、本発明者らは鋭意研究を行い包装用容器に収納されている略テーパ形状を有する包装物を収納するための包装用容器であって収納物を下端側から取り出すことのできる容器を開発することができた。
すなわち、本発明は、
紙又はプラスチック素材からなるカップ状包装用容器であって、
1)該包装用容器は、側壁部においてテーパ形状を有し、
2)該容器の底面部を含む容器下部を開放するための第1展開線と、前記容器下部の開放後における側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線が設けられている、
ことを特徴とする包装用容器。
に関するものである。本発明においては底面部を含む容器下部を展開することで収納物の下端側から収納物を取り出すことができる。
【0012】
また、前記包装用容器については、前記底面部を含む容器下部の展開後において側壁部下端部より容器上面部に向かう第2展開線が少なくとも2本以上、底面部開放後の側壁部下端部の周上において略対称に設けられていることが好ましい。これによって、底面部を含む容器下部を展開後において内容物を取り出し易くするために容器上面部に向かう第2展開線を開くことで内容物を無理なく取り出すことができる。
【0013】
本包装即席麺は、特に略テーパ形状の即席麺塊を収納するのに好適である。特に即席麺塊を収納している場合においては、即席麺塊の側壁部の上面部付近と前記カップ状包装用容器の側部内面が当接していることが好ましい。これによって包装用容器内部で即席麺塊の揺動を防止することができ即席麺塊の破損等を防ぐことができる。
【0014】
本包装即席麺は、前記即席麺塊の下端部が前記カップ状包装用容器の底面部に当接していてもよい。底面部に当接していることでより包装用容器内により安定して即席麺塊を保持することができる。
【0015】
本包装即席麺は、前記包装即席麺において、前記即席麺塊の上部と前記カップ状包装用容器上面との間に所定の空間を有し、該空間にスープ・具材等を保持することも可能である。即席麺塊とカップ状包装用容器上面との間に保持することで、無駄なくスープ・具材を保持することができる。
【0016】
本包装即席麺は、前記包装即席麺が、前記容器下部を開放し、側壁部下端より容器上面部に向かう展開線を展開した後、前記容器側壁部を外側に拡げることにより前記容器下部より前記即席麺塊を所定の喫食用容器にスライドさせて移動させた後に、当該所定の喫食用容器に熱湯を注加した後に喫食可能となるスタイルが考えられる。
【0017】
本包装即席麺から即席麺塊をスライドさせて収納する前記前記喫食用容器が、側壁部に略テーパ形状を有するものであり、前記即席麺塊をスライドさせて移動させた際に、当該即席麺塊が前記喫食用容器の側壁部に中空保持される形態となるのが好ましい。
【0018】
本包装即席麺と前記喫食用容器については、これらを含んだ即席麺セットとして販売することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の包装用容器を使用することで、収納物をその下端側から取り出すことができる。また、即席麺塊を収納した包装即席麺の場合にあっては、手で即席麺塊を取り出す必要なく、喫食用の容器に即席麺塊を移すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明における包装用容器の一例について、上面部側から見た斜視図(a)及び底面部側から見た斜視透視図(b)である。
【図2】底面部側から底面部を含む容器下部を開放途中の斜視透視図である。
【図3】本発明における包装麺塊の斜視図(a)及びその模式図(b)である。
【図4】本発明における即席麺塊を収納していない包装用容器(a)及び即席麺塊を収納している場合の包装用容器(b)である。
【図5】本発明における即席麺塊のテーパ角の説明図(a)及びカップ状包装用容器のテーパ角の説明図(b)である。
【図6】本発明おける即席麺塊の上部に具材・スープを載置した一例の斜視図(a)及びその模式図(b)である。
【図7】本発明のカップ状容器内に具材・スープを含まない場合の正面透視図である。
【図8】本発明におけるカップ状包装用容器の斜視透視図(a)及び下部を展開した場合の斜視透視図(b)である。
【図9】本発明おけるカップ状容器の底面部から上面部までの第2展開線について、上面部まで第2展開線が達していない場合の斜視透視図である。
【図10】本発明おけるカップ状容器の斜視透視図(a)及び底面部を展開してから上面部への第2展開線の帯部を展開している途中の斜視透視図(b)である。
【図11】本発明おけるカップ状容器の底面部を展開した後、切り離した斜視透視図である。
【図12】本発明おける容器下部を開放するための第1展開線と側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線が両方の役割を兼ねた場合において、底面部を分離した場合の斜視透視図である。
【図13】本発明の内部に即席麺塊を包含した状態で底面部を展開する場合の展開前の斜視透視図(a)及び展開後の斜視透視図(b)である。
【図14】本発明おける即席麺塊を包含した状態でのカップ状容器の底面部を展開してから、上面部への第2展開線の帯部を展開している途中の斜視透視図である。
【図15】カップ容器底面部を切り離した後の即席麺塊を包含した状態の正面透視図(a)及び当該状態から別途準備した喫食用のカップ容器を垂直方向上方から上方より被せる図(b)、即席麺塊を包装即席麺の側壁部を開いて落下移動させる場合の正面透視図(c)である。
【図16】喫食用のカップ容器に即席麺塊が中空保持されている正面透視図である。
【図17】中空保持された即席麺塊が熱湯の対流方向を示したイメージ図である。
【符号の説明】
【0021】
10 包装用容器
11 上部蓋(上面部)
12 底面部
13 第1展開線
13a 略円弧状部分
14 第2展開線
20 即席麺塊
30 スープ・具材
40 喫食用のカップ容器
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について実施例を用いて、図面を参照しながら説明する。尚、本発明においては包装用容器の説明において便宜的に上面・底面・下面等の用語を用いるが、これらの用語が本包装用容器の使用状態における上下を意図しているものではない。すなわち、底面又は下面が垂直方向上方に向けられた状態での使用もありうることはもちろんである。
【0023】
図1は、本発明における包装用容器の一例について、上面部側から見た斜視図(a)及び底面部側から見た斜視図(b)である。
【0024】
また、本実施例は、本発明の一例を示したものであり本発明は本実施例に何ら限定されるものではない。
本発明の包装用容器は、カップ状の容器であり、側壁部はテーパ形状を有している。本発明にいうテーパ形状とは、図1に示すように略逆円錐台形の頂上部を切断したような形状をいい上面部11が大、底面部12が小となっている。
【0025】
本包装用容器は上部に蓋11が接着されている。また、底面部12は糸尻部を有していても平滑でもよい。
【0026】
本包装用容器には、図2に示すように該容器10の底面部12より容器下部を開放するため、底面部を含む容器下部を開放するための第1展開線13が設けられている。
【0027】
また、該底面部を含む容器下部の解放後において側壁部の下端部が露出することになるが、該露出した下端部から容器上面部方向に向かう第2展開線14が設けられている。収納物が容器と同様のテーパ形状を有し、前記包装用容器内に収納されている場合、本第2展開線14に従って開くことで収納物を容器10から取り出すことが可能になる。また、当該第2展開線14の本数は限定されない。後に詳述するが本第2展開線14を開放することにより収納物を無理なく取り出せるようになる。
【0028】
尚、図2においては、前記底面部12を含む容器下部を解放後における側壁部の下端部の周上において当該下端部より容器上面部に向かう第2展開線14が2本づつ略対称に設けられている。
【0029】
本包装用容器の材質としては、適度な剛性を有する紙及びプラスチックが考えられる。一般的には、紙にプラスチックをラミネートした複数層を有する積層体が一般に使われる。また、使用されるプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等種々のプラスチックを利用することができる。これらの積層体は二層に限られず、複数の積層体でもよいことはもちろんである。
【0030】
次に、本包装用容器の収納物の展開方法として即席麺塊を収納している場合について以下に説明する。図2は即席麺塊20について示したものである。本発明の包装用容器は、略テーパ形状の即席麺塊20を収納することができる。ここでいうテーパ形状とは図1に示すように略逆円錐台形の頂上部を切断したような形状をいう。また、ここでいう即席麺塊20とは、油熱乾燥又は熱風乾燥された低水分の麺塊をいう。これらの即席麺塊20は熱湯中で湯戻し等されて喫食可能となる。
【0031】
本実施態様においては、図3(a)の即席麺塊20が図1のカップ状の包装用容器10に収納されている。図4(a)は即席麺20を収納していない包装用容器10を示したものである。本包装用容器10は前述したように上部に上部蓋11を接着することができる。また、該容器には、底面部12を含む容器下部を開放するための容器側壁部周回りに沿った第1展開線13が設けられている。尚、第1展開線13の所定部分は、喫食者が展開を開始する際の手掛かりとなるようにさらに略円弧状部分13aが設けられている。該第1展開線13に沿って分離した後において、開放後の容器の側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線14が2本づつ、下端部の第1展開線13の周上から略対称に設けられている。
【0032】
また、図4(b)は、本容器の中に即席麺塊20が封入された状態を示した模式図である。
【0033】
即席麺塊20のテーパ角と包装用容器10のテーパ角については特に限定されないが、図5に示すように鉛直方向下向きと即席麺塊のテーパ角(図5(a))と、鉛直方向下向きと包装用容器のテーパ角(図5(b))を比較した場合、即席麺塊のテーパ角20aが包装用容器のテーパ角10aと同じかあるいはこれよりも大きいことが好ましい。このようにすることにより即席麺塊の側壁部の上部付近がカップ状包装用容器の側壁部内面が当接することになる。
【0034】
具体的な値としては、即席麺塊のテーパ角20aが6°〜12°程度、包装用容器のテーパ角10aが3°〜9°程度であれば良い。
【0035】
尚、本当接においては、必ずしも即席麺塊20の上部の周回りのすべてが、包装用容器10の側壁部内面に接していることをいうものではない。即席麺塊20は図1に示すように複数の麺が絡み合っており、側壁部においても凹凸や、一部欠けたような場合もあるためである。本発明にいう“当接する”とは、このような一部接していない部分を含む趣旨である。
【0036】
麺塊の上部蓋10の部分はヒートシール等の種々の方法で接着することができる。例えば、カップ縁部と上部蓋の間にホットメルト等の接着剤を介してもよいし、また、上部蓋10の裏面にあるプラスチックフィルムとカップ縁部の熱溶着も可能である。
【0037】
次に本発明においては、即席麺塊の上部にスープ・具材を保持していてもよい。具体的には、麺塊の上部にスープ・具材等を保持することができる。例えば、図6に示すように前記即席麺塊20の上部に乾燥スープや乾燥具材30を保持することができる。
【0038】
このようにスープや具材を麺塊の上部に配置する場合、本発明においては前述のように前記即席麺塊20の側壁部の上面部付近と前記カップ状包装用容器10の側壁部内面が当接している場合、即席麺塊上部に配置したスープや具材30が容器下部に移動しにくいという効果を奏する。
【0039】
これによって、後述する「容器下部の開放」→「別に準備した喫食用の容器への移し変え」の際にもスープや具材が麺塊の上部に配置されたまま、移し変えることができる。
【0040】
尚、このようにスープや具材を配置する場合においては、麺塊の上部と上部蓋の空間にスープ・具材が存在するようにすれば良い。この上部空間にスープや具材30を配置することで無駄なく包材を使用することができる。尚、スープ・具材30はプラスチック等の小袋に入っていても良いことはもちろんである。
【0041】
また、本発明の包装即席麺は、このまま喫食することを目的とするものではないため、上述のスープ・具材の存在空間はできる限り減縮させることができる。すなわち、スープ・具材13を麺塊上部と上部蓋との間に密に保持することで全体の体積を減少させ、本発明の包装用容器10の包装材料を減らすことができる。
【0042】
また、スープ・具材を含まない場合には、図7に示すように即席麺塊20の上面付近の近傍まで上部蓋10を近づける事ができる。これによって全体の体積を減少させ、本発明の包装材料を減らすことができる。
【0043】
次に、本発明の実施態様においては、該容器の底面部を含む容器下部を開放するための第1展開線13が設けられている。本第1展開線13に沿って喫食者が当該容器を展開することができる。
【0044】
本発明にいう「該容器の底面部を含む容器下部を開放するための第1展開線」とは、図8に示すように本包装即席麺を喫食しようとして、当該包装即席麺を開封して即席麺塊20を取り出すための底面部を含む容器下部に設けられた第1展開線13をいう。本第1展開線13は、例えば、ミシン目によって形成することが可能である。また、これに限定されず、紙層にハーフカット処理を施す方法等様々な方法が可能である。
【0045】
具体的には、容器の素材が内層にプラスチックフィルム層、外層に紙層を有する二層である場合には、外層の紙のみにミシン目を入れておく方法がある。このようにすれば、内部の密閉性を保った上で即席麺塊を包装することができる。また、紙の一部にハーフカットを施しておいてもよい。このような方法でも喫食者が容易に展開線に沿って容器を開くことができる。
【0046】
次に、本包装用容器10には前記容器下部の開放後における側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線14が設けられている。ここで、“側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線”とは、図8に示すように前記容器下部の開放後における側壁部下端より容器上面部方向に向かって設けられた第2展開線14をいう。尚、本第2展開線の展開の方法としては、本第1展開線の展開の方法と同様にミシン目状やあるいは、ハーフカット等の種々の方法がある。
【0047】
本第2展開線14の役割について説明する。前述したように、包装用容器と麺塊が略同形状のテーパを有しているため容器下部を開放しただけでは、収納されている即席麺塊20を取り出すことができない。そこで、容器下部を開放した後の側壁部下端部より上面部に向かって設けられたミシン目等の第2展開線14を設けている。本第2展開線14に沿って容器を開くことで、開口部を拡げることができる。これによって、即席麺塊を取り出すことが可能となる。尚、本第2展開線14はかならずしも上面部11まで達している必要はなく、図9に示すように第2展開線14は側壁部の途中まで設けられている場合でも、そのまま引っ張ると側壁部上面付近まで引っ張り破ることになれば充分である。
【0048】
また、この場合展開後の容器側壁部の開き度合いについては、後述する麺塊の取り出し工程において麺が落下できる程度であれば充分である。
【0049】
また、上述の“側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線”は略対象に2本であっても、複数であってもよい。例えば、図10では当該“側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線”は略対象に2本づつ設けられている。本実施態様では2本の第2展開線14で挟まれた帯状部分を外側に引き出すことによって容器側壁部を開くことができる。
また、図11に示すように単に、一本の第2展開線14を設けておき、当該第2展開線14に沿って展開することによって容器側壁部を開くという構成でもよい。また、当該第2展開線14は必ずしも、予め開いておくことを必要としない。すなわち、後述する即席麺20を容器に移し替える際に同時に開く構成としてもよいことはもちろんである。
【0050】
さらに、図12に示すように、容器の底面部11を含む容器下部を開放するための第1展開線13と側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線14が両方の役割を兼ねた線となる態様もある。本発明はこれらの態様も含む。
【0051】
次に、本発明品の製造方法について説明する。まず、一般的な即席カップ麺の製造工程について説明する。通常即席カップ麺は、小麦粉が水、かん水等と混練された後に、圧延・切出しされて生麺が製造される。本生麺が蒸煮又は茹で等によってα化された後に熱風乾燥や油熱乾燥によって乾燥される。このようにして製造された即席麺塊は通常製造ラインで紙やプラスチック等のカップに収納された後に、麺塊の上部よりスープや具材が封入されてから上部がキャップでシールされ、その後、外包装がされて完成する。
【0052】
この際、コンベア上の金型に保持された紙又はプラスチックカップに麺や具材が順次、収納されている方法が採用される。
【0053】
本発明における即席麺塊の包装用容器は通常の即席カップ麺に使用されるカップ状の包装用容器をと同一又は類似の形状を有し、これを小サイズ化した形状のカップ容器が用いられる。このため、従来までのラインの金型のサイズを調整する等の簡単な調整により従来までのラインを使用することができる。
【0054】
さらに、本発明におけるカップ内への即席麺塊、及び具材・スープ等の収納、上部のシール等も通常のカップ麺と同様の製造工程で生産することができる。したがって、上述のようにコンベア上の金型のサイズを変更する等の調整をすることで既存の即席カップ麺の製造ラインを直接に利用できる。
【0055】
すなわち、本発明の包装用容器においては、第1展開線及び第2展開線を設けておくことで、従来までのカップ麺の製造ラインを用いて製造することができる。このため、過剰な設備投資を不要とすることができる。
【0056】
次に、本発明の包装用容器に略テーパ形状の即席麺塊が収納された包装即席麺を、詰め替え用の包装即席麺として、喫食用容器に移して具体的に喫食する際の手順について説明する。
【0057】
喫食者はまず、包装即席麺の下部側にもうけられた第1展開線13を手掛かりに容器を開封する。すなわち、この容器下部に設けられた第1展開線13となるミシン目に指を挿入する等して当該ミシン目の一部を開ける(図13(a))。続けて当該ミシン目に挿入した指で上部に容器下部を押し上げて開放する(図13(b))。
【0058】
さらに、前記容器下部の開放後における側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線14を開く、すなわち、上図では2本の第2展開線14で挟まれた帯状部分を外側に引き出す(図14)。この点、本実施例においては、第2展開線14で挟まれた帯状部分を外側に引き出すという構成を示している。尚、開放された底面部12を含む側壁部下端部は必ずしも容器本体から分離してもよいし、分離していなくてもよい。
【0059】
次に、帯状部分を外側に引き出すか又は分離した後の状態で(図15(a))、別途準備した喫食用の容器40を上方より被せる(図15(b))。180°反転させて、底面部を含む側壁部下端部を展開した包装用容器入り即席麺塊20を、包装用容器40の側壁部を開いて即席麺塊を落下させて収納する(図15(c))。
【0060】
当該収納後において、熱湯を注加してから一定時間保持してから、喫食する。尚、このような用途のため、別途用意する喫食用の容器40は、側壁部に略テーパ形状を有するものであり、前記即席麺塊をスライドさせて移動させた際に、図16に示すように当該即席麺塊20が前記喫食用容器40の側壁部に中空保持されるものであるのがよい。
【0061】
上図16のような態様であると熱湯を注加する場合、図17に示すように、上部から及び注加した熱湯によって対流により即席麺塊20の下部からも効率的に復元を促すことができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用容器に関するものである。特に、即席麺を包装するための包装用容器に関するものである。さらには、当該即席麺を包装した包装即席麺に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装用容器の分野においては、収納する収納物の下端側から取り出せるように、収納物の下端側の容器部分を開封して収納物を取り出すという機構を採用する包装用容器が必要となっている。
【0003】
例えば、熱湯を注ぐだけで喫食することができるカップ入り即席麺の分野においては、上端部側が大で、下端部側が小な略テーパ形状の即席麺塊が使用されるが、包装材料の使用を軽減する観点から、繰り返して使用可能な喫食用の容器を前提とした詰替え用の包装即席麺が開発されている。この場合、喫食者は詰替え用の包装即席麺から、麺塊を直接に手で保持することなく、喫食用の容器に移すことができれば便利である。
【0004】
このような観点から、略テーパ形状である麺塊の下端側の容器部分を開封して、麺塊をその下端部より喫食用の容器に移すタイプの包装即席麺が開示されている(特許文献1)。具体的な構成としては深絞りの軟包材を用いて即席麺塊及び/又は具材・スープを包装し、脱気包装する構成を採用している。
【0005】
しかし、上記技術においては、軟包材を用いて即席麺塊とスープ・具材を包装するという点から製造において多少煩雑さを伴う場合があった。
【0006】
すなわち、通常のカップ麺の製造ラインにおいては、紙やプラスチック等の適度な剛性を有する素材を用いたカップ容器を用い、これに即席麺塊を収納する方法によって生産される。一方、特許文献1の方法では軟包材を用い、これに即席麺塊を収納し、かつ脱気工程を必要とする。このため軟包材の扱い等、工業的に生産しようとすると新たに製造設備を必要とする。
【0007】
この点、従来からある即席カップ麺の製造ラインを利用して詰め替え用の即席麺塊の包装体を製造することができれば、設備投資や労力等の種々の面で好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−74432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、包装用容器に収納されている略テーパ形状を有する収納物を収納するための包装用容器であって、紙やプラスチック等の適度な剛性を有する素材を利用して、収納する略テーパ形状の収納物を、その下端側から取り出せるようにできる包装用容器を開発することを目的とした。
【0010】
また、特に、収納する対象物が即席麺塊である場合において、従来までの即席カップ麺の製造ラインを利用しつつ即席麺塊を下端側からの取り出することのできる包装即席麺とすることを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題に対して、本発明者らは鋭意研究を行い包装用容器に収納されている略テーパ形状を有する包装物を収納するための包装用容器であって収納物を下端側から取り出すことのできる容器を開発することができた。
すなわち、本発明は、
紙又はプラスチック素材からなるカップ状包装用容器であって、
1)該包装用容器は、側壁部においてテーパ形状を有し、
2)該容器の底面部を含む容器下部を開放するための第1展開線と、前記容器下部の開放後における側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線が設けられている、
ことを特徴とする包装用容器。
に関するものである。本発明においては底面部を含む容器下部を展開することで収納物の下端側から収納物を取り出すことができる。
【0012】
また、前記包装用容器については、前記底面部を含む容器下部の展開後において側壁部下端部より容器上面部に向かう第2展開線が少なくとも2本以上、底面部開放後の側壁部下端部の周上において略対称に設けられていることが好ましい。これによって、底面部を含む容器下部を展開後において内容物を取り出し易くするために容器上面部に向かう第2展開線を開くことで内容物を無理なく取り出すことができる。
【0013】
本包装即席麺は、特に略テーパ形状の即席麺塊を収納するのに好適である。特に即席麺塊を収納している場合においては、即席麺塊の側壁部の上面部付近と前記カップ状包装用容器の側部内面が当接していることが好ましい。これによって包装用容器内部で即席麺塊の揺動を防止することができ即席麺塊の破損等を防ぐことができる。
【0014】
本包装即席麺は、前記即席麺塊の下端部が前記カップ状包装用容器の底面部に当接していてもよい。底面部に当接していることでより包装用容器内により安定して即席麺塊を保持することができる。
【0015】
本包装即席麺は、前記包装即席麺において、前記即席麺塊の上部と前記カップ状包装用容器上面との間に所定の空間を有し、該空間にスープ・具材等を保持することも可能である。即席麺塊とカップ状包装用容器上面との間に保持することで、無駄なくスープ・具材を保持することができる。
【0016】
本包装即席麺は、前記包装即席麺が、前記容器下部を開放し、側壁部下端より容器上面部に向かう展開線を展開した後、前記容器側壁部を外側に拡げることにより前記容器下部より前記即席麺塊を所定の喫食用容器にスライドさせて移動させた後に、当該所定の喫食用容器に熱湯を注加した後に喫食可能となるスタイルが考えられる。
【0017】
本包装即席麺から即席麺塊をスライドさせて収納する前記前記喫食用容器が、側壁部に略テーパ形状を有するものであり、前記即席麺塊をスライドさせて移動させた際に、当該即席麺塊が前記喫食用容器の側壁部に中空保持される形態となるのが好ましい。
【0018】
本包装即席麺と前記喫食用容器については、これらを含んだ即席麺セットとして販売することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の包装用容器を使用することで、収納物をその下端側から取り出すことができる。また、即席麺塊を収納した包装即席麺の場合にあっては、手で即席麺塊を取り出す必要なく、喫食用の容器に即席麺塊を移すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明における包装用容器の一例について、上面部側から見た斜視図(a)及び底面部側から見た斜視透視図(b)である。
【図2】底面部側から底面部を含む容器下部を開放途中の斜視透視図である。
【図3】本発明における包装麺塊の斜視図(a)及びその模式図(b)である。
【図4】本発明における即席麺塊を収納していない包装用容器(a)及び即席麺塊を収納している場合の包装用容器(b)である。
【図5】本発明における即席麺塊のテーパ角の説明図(a)及びカップ状包装用容器のテーパ角の説明図(b)である。
【図6】本発明おける即席麺塊の上部に具材・スープを載置した一例の斜視図(a)及びその模式図(b)である。
【図7】本発明のカップ状容器内に具材・スープを含まない場合の正面透視図である。
【図8】本発明におけるカップ状包装用容器の斜視透視図(a)及び下部を展開した場合の斜視透視図(b)である。
【図9】本発明おけるカップ状容器の底面部から上面部までの第2展開線について、上面部まで第2展開線が達していない場合の斜視透視図である。
【図10】本発明おけるカップ状容器の斜視透視図(a)及び底面部を展開してから上面部への第2展開線の帯部を展開している途中の斜視透視図(b)である。
【図11】本発明おけるカップ状容器の底面部を展開した後、切り離した斜視透視図である。
【図12】本発明おける容器下部を開放するための第1展開線と側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線が両方の役割を兼ねた場合において、底面部を分離した場合の斜視透視図である。
【図13】本発明の内部に即席麺塊を包含した状態で底面部を展開する場合の展開前の斜視透視図(a)及び展開後の斜視透視図(b)である。
【図14】本発明おける即席麺塊を包含した状態でのカップ状容器の底面部を展開してから、上面部への第2展開線の帯部を展開している途中の斜視透視図である。
【図15】カップ容器底面部を切り離した後の即席麺塊を包含した状態の正面透視図(a)及び当該状態から別途準備した喫食用のカップ容器を垂直方向上方から上方より被せる図(b)、即席麺塊を包装即席麺の側壁部を開いて落下移動させる場合の正面透視図(c)である。
【図16】喫食用のカップ容器に即席麺塊が中空保持されている正面透視図である。
【図17】中空保持された即席麺塊が熱湯の対流方向を示したイメージ図である。
【符号の説明】
【0021】
10 包装用容器
11 上部蓋(上面部)
12 底面部
13 第1展開線
13a 略円弧状部分
14 第2展開線
20 即席麺塊
30 スープ・具材
40 喫食用のカップ容器
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について実施例を用いて、図面を参照しながら説明する。尚、本発明においては包装用容器の説明において便宜的に上面・底面・下面等の用語を用いるが、これらの用語が本包装用容器の使用状態における上下を意図しているものではない。すなわち、底面又は下面が垂直方向上方に向けられた状態での使用もありうることはもちろんである。
【0023】
図1は、本発明における包装用容器の一例について、上面部側から見た斜視図(a)及び底面部側から見た斜視図(b)である。
【0024】
また、本実施例は、本発明の一例を示したものであり本発明は本実施例に何ら限定されるものではない。
本発明の包装用容器は、カップ状の容器であり、側壁部はテーパ形状を有している。本発明にいうテーパ形状とは、図1に示すように略逆円錐台形の頂上部を切断したような形状をいい上面部11が大、底面部12が小となっている。
【0025】
本包装用容器は上部に蓋11が接着されている。また、底面部12は糸尻部を有していても平滑でもよい。
【0026】
本包装用容器には、図2に示すように該容器10の底面部12より容器下部を開放するため、底面部を含む容器下部を開放するための第1展開線13が設けられている。
【0027】
また、該底面部を含む容器下部の解放後において側壁部の下端部が露出することになるが、該露出した下端部から容器上面部方向に向かう第2展開線14が設けられている。収納物が容器と同様のテーパ形状を有し、前記包装用容器内に収納されている場合、本第2展開線14に従って開くことで収納物を容器10から取り出すことが可能になる。また、当該第2展開線14の本数は限定されない。後に詳述するが本第2展開線14を開放することにより収納物を無理なく取り出せるようになる。
【0028】
尚、図2においては、前記底面部12を含む容器下部を解放後における側壁部の下端部の周上において当該下端部より容器上面部に向かう第2展開線14が2本づつ略対称に設けられている。
【0029】
本包装用容器の材質としては、適度な剛性を有する紙及びプラスチックが考えられる。一般的には、紙にプラスチックをラミネートした複数層を有する積層体が一般に使われる。また、使用されるプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等種々のプラスチックを利用することができる。これらの積層体は二層に限られず、複数の積層体でもよいことはもちろんである。
【0030】
次に、本包装用容器の収納物の展開方法として即席麺塊を収納している場合について以下に説明する。図2は即席麺塊20について示したものである。本発明の包装用容器は、略テーパ形状の即席麺塊20を収納することができる。ここでいうテーパ形状とは図1に示すように略逆円錐台形の頂上部を切断したような形状をいう。また、ここでいう即席麺塊20とは、油熱乾燥又は熱風乾燥された低水分の麺塊をいう。これらの即席麺塊20は熱湯中で湯戻し等されて喫食可能となる。
【0031】
本実施態様においては、図3(a)の即席麺塊20が図1のカップ状の包装用容器10に収納されている。図4(a)は即席麺20を収納していない包装用容器10を示したものである。本包装用容器10は前述したように上部に上部蓋11を接着することができる。また、該容器には、底面部12を含む容器下部を開放するための容器側壁部周回りに沿った第1展開線13が設けられている。尚、第1展開線13の所定部分は、喫食者が展開を開始する際の手掛かりとなるようにさらに略円弧状部分13aが設けられている。該第1展開線13に沿って分離した後において、開放後の容器の側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線14が2本づつ、下端部の第1展開線13の周上から略対称に設けられている。
【0032】
また、図4(b)は、本容器の中に即席麺塊20が封入された状態を示した模式図である。
【0033】
即席麺塊20のテーパ角と包装用容器10のテーパ角については特に限定されないが、図5に示すように鉛直方向下向きと即席麺塊のテーパ角(図5(a))と、鉛直方向下向きと包装用容器のテーパ角(図5(b))を比較した場合、即席麺塊のテーパ角20aが包装用容器のテーパ角10aと同じかあるいはこれよりも大きいことが好ましい。このようにすることにより即席麺塊の側壁部の上部付近がカップ状包装用容器の側壁部内面が当接することになる。
【0034】
具体的な値としては、即席麺塊のテーパ角20aが6°〜12°程度、包装用容器のテーパ角10aが3°〜9°程度であれば良い。
【0035】
尚、本当接においては、必ずしも即席麺塊20の上部の周回りのすべてが、包装用容器10の側壁部内面に接していることをいうものではない。即席麺塊20は図1に示すように複数の麺が絡み合っており、側壁部においても凹凸や、一部欠けたような場合もあるためである。本発明にいう“当接する”とは、このような一部接していない部分を含む趣旨である。
【0036】
麺塊の上部蓋10の部分はヒートシール等の種々の方法で接着することができる。例えば、カップ縁部と上部蓋の間にホットメルト等の接着剤を介してもよいし、また、上部蓋10の裏面にあるプラスチックフィルムとカップ縁部の熱溶着も可能である。
【0037】
次に本発明においては、即席麺塊の上部にスープ・具材を保持していてもよい。具体的には、麺塊の上部にスープ・具材等を保持することができる。例えば、図6に示すように前記即席麺塊20の上部に乾燥スープや乾燥具材30を保持することができる。
【0038】
このようにスープや具材を麺塊の上部に配置する場合、本発明においては前述のように前記即席麺塊20の側壁部の上面部付近と前記カップ状包装用容器10の側壁部内面が当接している場合、即席麺塊上部に配置したスープや具材30が容器下部に移動しにくいという効果を奏する。
【0039】
これによって、後述する「容器下部の開放」→「別に準備した喫食用の容器への移し変え」の際にもスープや具材が麺塊の上部に配置されたまま、移し変えることができる。
【0040】
尚、このようにスープや具材を配置する場合においては、麺塊の上部と上部蓋の空間にスープ・具材が存在するようにすれば良い。この上部空間にスープや具材30を配置することで無駄なく包材を使用することができる。尚、スープ・具材30はプラスチック等の小袋に入っていても良いことはもちろんである。
【0041】
また、本発明の包装即席麺は、このまま喫食することを目的とするものではないため、上述のスープ・具材の存在空間はできる限り減縮させることができる。すなわち、スープ・具材13を麺塊上部と上部蓋との間に密に保持することで全体の体積を減少させ、本発明の包装用容器10の包装材料を減らすことができる。
【0042】
また、スープ・具材を含まない場合には、図7に示すように即席麺塊20の上面付近の近傍まで上部蓋10を近づける事ができる。これによって全体の体積を減少させ、本発明の包装材料を減らすことができる。
【0043】
次に、本発明の実施態様においては、該容器の底面部を含む容器下部を開放するための第1展開線13が設けられている。本第1展開線13に沿って喫食者が当該容器を展開することができる。
【0044】
本発明にいう「該容器の底面部を含む容器下部を開放するための第1展開線」とは、図8に示すように本包装即席麺を喫食しようとして、当該包装即席麺を開封して即席麺塊20を取り出すための底面部を含む容器下部に設けられた第1展開線13をいう。本第1展開線13は、例えば、ミシン目によって形成することが可能である。また、これに限定されず、紙層にハーフカット処理を施す方法等様々な方法が可能である。
【0045】
具体的には、容器の素材が内層にプラスチックフィルム層、外層に紙層を有する二層である場合には、外層の紙のみにミシン目を入れておく方法がある。このようにすれば、内部の密閉性を保った上で即席麺塊を包装することができる。また、紙の一部にハーフカットを施しておいてもよい。このような方法でも喫食者が容易に展開線に沿って容器を開くことができる。
【0046】
次に、本包装用容器10には前記容器下部の開放後における側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線14が設けられている。ここで、“側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線”とは、図8に示すように前記容器下部の開放後における側壁部下端より容器上面部方向に向かって設けられた第2展開線14をいう。尚、本第2展開線の展開の方法としては、本第1展開線の展開の方法と同様にミシン目状やあるいは、ハーフカット等の種々の方法がある。
【0047】
本第2展開線14の役割について説明する。前述したように、包装用容器と麺塊が略同形状のテーパを有しているため容器下部を開放しただけでは、収納されている即席麺塊20を取り出すことができない。そこで、容器下部を開放した後の側壁部下端部より上面部に向かって設けられたミシン目等の第2展開線14を設けている。本第2展開線14に沿って容器を開くことで、開口部を拡げることができる。これによって、即席麺塊を取り出すことが可能となる。尚、本第2展開線14はかならずしも上面部11まで達している必要はなく、図9に示すように第2展開線14は側壁部の途中まで設けられている場合でも、そのまま引っ張ると側壁部上面付近まで引っ張り破ることになれば充分である。
【0048】
また、この場合展開後の容器側壁部の開き度合いについては、後述する麺塊の取り出し工程において麺が落下できる程度であれば充分である。
【0049】
また、上述の“側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線”は略対象に2本であっても、複数であってもよい。例えば、図10では当該“側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線”は略対象に2本づつ設けられている。本実施態様では2本の第2展開線14で挟まれた帯状部分を外側に引き出すことによって容器側壁部を開くことができる。
また、図11に示すように単に、一本の第2展開線14を設けておき、当該第2展開線14に沿って展開することによって容器側壁部を開くという構成でもよい。また、当該第2展開線14は必ずしも、予め開いておくことを必要としない。すなわち、後述する即席麺20を容器に移し替える際に同時に開く構成としてもよいことはもちろんである。
【0050】
さらに、図12に示すように、容器の底面部11を含む容器下部を開放するための第1展開線13と側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線14が両方の役割を兼ねた線となる態様もある。本発明はこれらの態様も含む。
【0051】
次に、本発明品の製造方法について説明する。まず、一般的な即席カップ麺の製造工程について説明する。通常即席カップ麺は、小麦粉が水、かん水等と混練された後に、圧延・切出しされて生麺が製造される。本生麺が蒸煮又は茹で等によってα化された後に熱風乾燥や油熱乾燥によって乾燥される。このようにして製造された即席麺塊は通常製造ラインで紙やプラスチック等のカップに収納された後に、麺塊の上部よりスープや具材が封入されてから上部がキャップでシールされ、その後、外包装がされて完成する。
【0052】
この際、コンベア上の金型に保持された紙又はプラスチックカップに麺や具材が順次、収納されている方法が採用される。
【0053】
本発明における即席麺塊の包装用容器は通常の即席カップ麺に使用されるカップ状の包装用容器をと同一又は類似の形状を有し、これを小サイズ化した形状のカップ容器が用いられる。このため、従来までのラインの金型のサイズを調整する等の簡単な調整により従来までのラインを使用することができる。
【0054】
さらに、本発明におけるカップ内への即席麺塊、及び具材・スープ等の収納、上部のシール等も通常のカップ麺と同様の製造工程で生産することができる。したがって、上述のようにコンベア上の金型のサイズを変更する等の調整をすることで既存の即席カップ麺の製造ラインを直接に利用できる。
【0055】
すなわち、本発明の包装用容器においては、第1展開線及び第2展開線を設けておくことで、従来までのカップ麺の製造ラインを用いて製造することができる。このため、過剰な設備投資を不要とすることができる。
【0056】
次に、本発明の包装用容器に略テーパ形状の即席麺塊が収納された包装即席麺を、詰め替え用の包装即席麺として、喫食用容器に移して具体的に喫食する際の手順について説明する。
【0057】
喫食者はまず、包装即席麺の下部側にもうけられた第1展開線13を手掛かりに容器を開封する。すなわち、この容器下部に設けられた第1展開線13となるミシン目に指を挿入する等して当該ミシン目の一部を開ける(図13(a))。続けて当該ミシン目に挿入した指で上部に容器下部を押し上げて開放する(図13(b))。
【0058】
さらに、前記容器下部の開放後における側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線14を開く、すなわち、上図では2本の第2展開線14で挟まれた帯状部分を外側に引き出す(図14)。この点、本実施例においては、第2展開線14で挟まれた帯状部分を外側に引き出すという構成を示している。尚、開放された底面部12を含む側壁部下端部は必ずしも容器本体から分離してもよいし、分離していなくてもよい。
【0059】
次に、帯状部分を外側に引き出すか又は分離した後の状態で(図15(a))、別途準備した喫食用の容器40を上方より被せる(図15(b))。180°反転させて、底面部を含む側壁部下端部を展開した包装用容器入り即席麺塊20を、包装用容器40の側壁部を開いて即席麺塊を落下させて収納する(図15(c))。
【0060】
当該収納後において、熱湯を注加してから一定時間保持してから、喫食する。尚、このような用途のため、別途用意する喫食用の容器40は、側壁部に略テーパ形状を有するものであり、前記即席麺塊をスライドさせて移動させた際に、図16に示すように当該即席麺塊20が前記喫食用容器40の側壁部に中空保持されるものであるのがよい。
【0061】
上図16のような態様であると熱湯を注加する場合、図17に示すように、上部から及び注加した熱湯によって対流により即席麺塊20の下部からも効率的に復元を促すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙又はプラスチック素材からなるカップ状包装用容器であって、
1)該包装用容器は、側壁部においてテーパ形状を有し、
2)該容器の底面部を含む容器下部を開放するための第1展開線と、前記容器下部の開放後における側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線が設けられている、
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記底面部を含む容器下部の展開後において側壁部下端部より容器上面部に向かう第2展開線が少なくとも2本以上、底面部開放後の側壁部下端部の周上において略対称に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカップ状包装用容器に略テーパ形状の即席麺塊を収納した包装即席麺。
【請求項4】
前記即席麺塊の側壁部の上面部付近と前記カップ状包装用容器の側壁部内面が当接している請求項3に記載の包装即席麺。
【請求項5】
前記即席麺塊の下端部が前記カップ状包装用容器の底面部に当接している請求項3又は4のいずれかに記載の包装即席麺。
【請求項6】
前記包装即席麺において、前記即席麺塊の上部と前記カップ状包装用容器上面との間に所定の空間を有し、該空間にスープ・具材等を保持した請求項3〜5のいずれかに記載の包装即席麺。
【請求項7】
前記包装即席麺が、前記容器下部を開放し、側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線を展開した後、前記容器側壁部を外側に拡げることにより前記容器下部より前記即席麺塊を所定の喫食用容器にスライドさせて移動させた後に、当該所定の喫食用容器に熱湯を注加した後に喫食可能となる請求項3〜6のいずれかに記載の包装即席麺。
【請求項8】
前記喫食用容器が、側壁部に略テーパ形状を有するものであり、前記即席麺塊をスライドさせて移動させた際に、当該即席麺塊が前記喫食用容器の側壁部に中空保持されることとなる請求項請求項3〜7いずれかに記載の包装即席麺。
【請求項9】
請求項3〜8のいずれかに記載の包装即席麺と前記喫食用容器とを含んだ即席麺セット。
【請求項1】
紙又はプラスチック素材からなるカップ状包装用容器であって、
1)該包装用容器は、側壁部においてテーパ形状を有し、
2)該容器の底面部を含む容器下部を開放するための第1展開線と、前記容器下部の開放後における側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線が設けられている、
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記底面部を含む容器下部の展開後において側壁部下端部より容器上面部に向かう第2展開線が少なくとも2本以上、底面部開放後の側壁部下端部の周上において略対称に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカップ状包装用容器に略テーパ形状の即席麺塊を収納した包装即席麺。
【請求項4】
前記即席麺塊の側壁部の上面部付近と前記カップ状包装用容器の側壁部内面が当接している請求項3に記載の包装即席麺。
【請求項5】
前記即席麺塊の下端部が前記カップ状包装用容器の底面部に当接している請求項3又は4のいずれかに記載の包装即席麺。
【請求項6】
前記包装即席麺において、前記即席麺塊の上部と前記カップ状包装用容器上面との間に所定の空間を有し、該空間にスープ・具材等を保持した請求項3〜5のいずれかに記載の包装即席麺。
【請求項7】
前記包装即席麺が、前記容器下部を開放し、側壁部下端より容器上面部に向かう第2展開線を展開した後、前記容器側壁部を外側に拡げることにより前記容器下部より前記即席麺塊を所定の喫食用容器にスライドさせて移動させた後に、当該所定の喫食用容器に熱湯を注加した後に喫食可能となる請求項3〜6のいずれかに記載の包装即席麺。
【請求項8】
前記喫食用容器が、側壁部に略テーパ形状を有するものであり、前記即席麺塊をスライドさせて移動させた際に、当該即席麺塊が前記喫食用容器の側壁部に中空保持されることとなる請求項請求項3〜7いずれかに記載の包装即席麺。
【請求項9】
請求項3〜8のいずれかに記載の包装即席麺と前記喫食用容器とを含んだ即席麺セット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−225252(P2011−225252A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97462(P2010−97462)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000226976)日清食品ホールディングス株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000226976)日清食品ホールディングス株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
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