説明

包装用容器

【課題】湯残りを可及的に無くし、しかも湯きり速度を早めることができ、併せて内容物
が容器外に漏れ出る問題も上手く解決できる包装用容器を提供する。
【解決手段】容器本体2の開口縁部に蓋材4が貼着されて開口部がこの蓋材4で密封され
、前記容器本体2内に食品が収納される容器で、容器本体2の開口部内側に備わった浅瀬
部8に液体排出時に食品の流出を防止するための堰9が突設され、浅瀬部8の両側には、
この容器本体2の周壁2B内面存在位置よりも更に外方へ膨出するようにして凝集水路1
0が設けられ、一方この浅瀬部8に対応する部位を含んで前記蓋材4には多数の湯きり穴
11が設けられていて、その内の前記浅瀬部8に対応する湯切り孔11Aは、堰9を挟ん
で左右一対設けられ、それぞれが前記凝集水路10に対応して開口している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば焼きそばなどの即席食品などの密封包装に使用する包装用容器に関し
、特に即席食品を柔らかくほぐすために注入する熱湯を排出する湯切り孔を備えた蓋材が
開口部にシールされている包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の包装用容器としては、剥離機構を有し、剥離操作によって湯排出路或い
は湯切り孔が発現する蓋材を持った商品が種々提案され、また、市販化されている。
【0003】
具体的な手段の一つは、容器本体の側壁の内部側にこの容器の開口周縁よりも一段低い
段部を設け、蓋材のこの段部に対応する部位に多数の湯切り孔を縦横に整然と配置し、こ
の段部と蓋材の間に形成される空間への食品の移動を阻止して、湯切り孔の目詰まりを阻
止し、排湯効果を高めるようにしたものである。また、今一つは、容器本体の口部内側に
段部を設け、この段部に湯排出時に食品の流出を防止するための、平面視で長円形の堰を
、その長軸方向を排湯の流れに直交する方向に向けて突設し、食品をこの堰によって堰き
止めながら、蓋材をこの堰の近傍まで剥がして得られる排湯口から湯を排出し、同じく排
湯効果を高めるようにしたものである。
【特許文献1】実開昭62−69464号公報
【特許文献2】特許第3256193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の手段の内、前者の場合には、段部と蓋材との間に排湯効果を高める為
の空間を設けたとはいえ、細かな具材はややもすればこの空間内に流れ込んで来て、湯切
り孔を塞ぐ問題点があった。また、湯切り孔は、縦横等間隔で整然と配された小穴のため
に、一層目詰まりがひどくなり、また排湯効果も芳しくない。
【0005】
また、後者の場合には、排湯時には、堰と容器本体の口部内側との間の湯の排出路が完
全に開放されてしまう構造であるため、細かな具材は言うに及ばず主材までもが不用意に
排出されてしまう問題がある。また、段部の上に上記の通りの堰が設けられる構造である
ため、この堰が逆に排湯の妨げとなり、効果的な排湯が出来ない問題もある。
【0006】
一般的に、容器本体に収容される食品の内、麺などを始めとして主材は一旦熱湯などを
注いで戻すと、単体となってしまうものであるが、この主材は長かったり、ボリュームが
あったりするので、他の具材に比べると、前記堰の存在はそれなりに主材を湯排出路から
不用意に流出させてしまうおそれを少なくしている。しかし、排湯効率が大変悪い上に、
他の具材が流出してしまう決定的な問題点と、時として主材も流出してしまう問題点の根
本的な解決に至っていない。
【0007】
本発明者は、この従来の包装用容器の問題点を解決すべく種々検討した結果、堰を採用
しすることが、食品の流出をある程度阻止できる事実に鑑み、堰を採用し、併せてこの堰
を採用することによるデメリットを上手く解決するように工夫を重ねた結果、ほぼ満足の
ゆく包装用容器を得ることが出来たので、ここに提案する。
【0008】
したがって、この発明の目的は、湯残りを可及的に無くし、しかも湯きり速度を早める
ことができ、併せて内容物が容器外に漏れ出る問題も上手く解決できる包装用容器を提供
する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の技術的な課題を解決するために、本発明の請求項1に係る包装用容器は、容器本
体の開口縁部に蓋材が貼着されて開口部がこの蓋材で密封され、前記容器本体内に食品が
収納される容器であって、容器本体の開口部内側には浅瀬部が備わり、この浅瀬部に液体
排出時に食品の流出を防止するための堰が突設され、浅瀬部の両側には、この容器本体の
周壁内面存在位置よりも更に外方へ膨出するようにして凝集水路が設けられ、一方前記蓋
材にはこの浅瀬部に対応する部位を含んで多数の湯きり穴が設けられるとともに、この多
数の湯切り孔の内の前記浅瀬部に対応する湯切り孔は、堰を挟んで左右一対設けられ、そ
れぞれが前記凝集水路に対応して開口しているものである。
【0010】
上記のような構成によれば、湯などの液体の排出の際に容器内で軟化した焼きそばなど
の収納物は、先ず始めに浅瀬部の立ち上がり壁と堰とによって堰き止められるので、流出
する恐れが可及的に少なくなる。しかも、収納物は浅瀬部と蓋材との間の空間には移動し
難く、よって湯切り孔を目詰まりさせることがなく、速やかな液体の排出を可能にする。
また、この浅瀬部の左右一対の凝集水路は、容器本体の周壁内面存在位置よりも更に外方
へ膨出するようにして形成されるために、収容物は容器本体の周壁内面に堰き止められて
この凝集水路内には入り込まず、よって容器内の液体が収容物にその流下を邪魔されるお
それが少なく、迅速な排出を可能にする。加えて、蓋材に設けられた先端の一対の湯切り
孔がこの凝集水路に対応して開口しているから、この凝集水路を速やかに流下する液体を
、その流れをなんら阻害することなく、蓋材の外へストレートに排出させ、特に液体が少
なくなった時の湯きり速度と湯きり性を改善する。
【発明の効果】
【0011】
したがって、この発明は以下の効果を奏する。
以上説明したように、本発明の請求項1に係る包装用容器は、収容物を堰き止める堰と
ともに、浅瀬部の両側に一対の凝集水路を設け、一方蓋材には前記凝集水路に臨ませて先
端の一対の湯切り孔を設けたので、湯きりが格段に速やかに達成されるとともに、湯きり
作業時に収容物が容器外方に漏れ出るおそれも少なく、併せて特に湯きり時の湯残りもう
まく無くすことができ、収容物を一層美味しく食すことができるようになった。
【0012】
この発明では、請求項2に記載のように、浅瀬部はその立ち上がり面が容器本体の周壁
内面と同じ縦方向の面上に設けられ、浅瀬部はこの容器本体の周壁内面よりも更に外方へ
膨出して設けられのが望ましい。
容器内方に無用な突起物を突出させてしまい、収容物を不用意に傷めてしまうおそれが
なくなる上に、湯きり作用を効果的に発揮できるからである。
【0013】
更に、この発明では請求項3に記載のように、凝集水路は、その下端は浅瀬部よりも下
位で、容器本体の周壁内面にあり、また、上端は浅瀬部の上面と同等位置にあって、且つ
、浅瀬部の立ち上がり面よりも更に外方に位置するように形成されのが望ましい。
収容物は容器本体の周壁内面と浅瀬部の立ち上がり面とによって堰き止められて、不用
意に水路内に入り込むことがなく、この凝集水路による湯きり作用を一層効果的に達成で
きるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
湯残りを可及的に無くし、しかも湯きり速度を早めることができ、併せて内容物が容器
外に漏れ出る問題も上手く解決できる包装用容器を提供するという目的を、即席焼きそば
用の容器として実現できるようにした。
【0015】
(実施例1)
先ず、本発明に係る包装用容器を即席焼きそば用の矩形の容器に適用した場合について
、図1〜6を参照しながら以下具体的に説明する。
【0016】
図4(A)において、包装用容器1は、平面視矩形或いは方形(図例では方形)をなし
た容器本体2と、この容器本体1の上面開口の辺縁に設けられるフランジ3に、このフラ
ンジ3とほぼ同形状の湯きり機能を有する蓋材4がシールされてなる。この蓋材4には、
その対角線上に位置する一方の角部には突出する開封用プルタブ5が一体に設けられ、こ
の開封用プルタブ5に対峙するもう一方の角部には突出する湯切り孔開口用プルタブ6が
設けられている。この包装用容器1の内部には、乾燥した即席焼きそば麺7を、調味料、
かやく、青のりなどの小袋(図外)とともに詰め入れた後、前記蓋材4の周縁下面を容器
本体2のフランジ3の上面に熱溶着して密封される。
【0017】
図1〜3に示すように、前記容器本体2の前記蓋材4の湯切り孔開口用プルタブ6に対
応する角隅2Aの内側に浅瀬部8が一体に形成されている。
この浅瀬部8の具体構造は、容器本体2の前記角隅2Aにおいて、この容器本体2の周
壁2Bを、容器本体2の前記フランジ3より一段低い位置を上端として、容器本体2の底
2Cから順次容器本体2の内方へ向かって膨出させた段部として形成されている。また、
この浅瀬部8の上面8Aは平坦面に形成されている。
【0018】
なお、こ段部の立ち上がり内壁面8Bは、前記角隅2Aの左右に連なる容器本体2の周
壁2Bの内面と滑らかな円弧を描いて連続的に存在する。つまりは、この立ち上がり内壁
面8Aが平坦な鉛直面で、これの左右に連なる容器本体2の周壁2Bの内面と角をもって
連なる、独立したような形態を採用していない。
【0019】
更に、この浅瀬部8の上面8Aには、その左右の中央に、前記フランジ3から容器本体
2の内方に向かい、前記立ち上がり内壁面8Bに至るほぼ全長にわたって、一本の凸部が
一体に立ち上げられて堰9が形成されている。また、この堰9の上面は前記フランジ3の
上面よりもやや下位に位置して設けられる。
【0020】
そして、この堰9の左右両側で、左右の浅瀬部8のそれぞれの左右ほぼ中央部分には、
それぞれこの容器本体2の周壁2Bを、その内面存在位置よりも更に外方へ、横断面形状
がほぼVの字状になるようにして膨出させて凝集水路10が形成されている。この凝集水
路10の下端10Aは浅瀬部8よりも下位で、且つ、この容器本体2の周壁2Bの上下高
さ、つまりフランジ3上面から容器本体2の底2Cまでの上下寸法の上からほぼ2分の1
或いは3分の2程度の深さ位置にあり、また、上端10Bは浅瀬部8の上面8Aと同等位
置にあって、且つ、浅瀬部8の立ち上がり内壁面8Bよりも更に外方に位置するように形
成されている。
【0021】
したがって、浅瀬部8の両側には容器本体2の内部に連なり、上端ほど周壁2Bよりも
更に深く外方に向かって大きく切り込まれた湯切り路が形成される構造と、浅瀬部8の立
ち上がり内壁面8Bが角隅2Aの左右に連なる容器本体2の周壁2Bの内面と滑らかな円
弧を描いて連続的に存在する構成が加味され、図3に示すように、解された後の即席焼き
そば麺7がこの凝集水路10には容易には侵入しにくく、したがって即席焼きそば麺7に
よって邪魔されることのなく格段に円滑、且つ、スピーディーな湯きりを達成できるよう
になっている。
【0022】
一方、前記蓋材4には、その湯切り孔用プルタブ6が設けられた側で、この容器本体2
の前記角隅2Aに対応する部分には、多数の湯切り孔11が設けられている。この湯切り
孔11の基本的な構成は次の通りである。先ず第1に この角隅2Aに最も近い湯切り孔
11Aは、図1に示すように、前記堰9の左右に対応する位置に振り分け状にして一対配
され、しかも、それぞれが前記凝集水路10のほぼ上端に対応する位置に合わせて配置さ
れている。
【0023】
したがって、容器本体2を傾けて、湯切りするとき、湯は容器本体2の内側からこの凝
集水路10の下端10Aに流下し、更に上端10Bへとスムーズに流下し、引き続きこの
角隅2Aに最も近い湯切り孔11Aからストレートに容器本体2の外、つまり蓋の外へと
排出される。その結果、この凝集水路10を速やかに流下する湯を、その流れをなんら阻
害することなく、ストレートに排出し、特に湯が少なくなった時の湯きり速度と湯きり性
を大幅に改善することができる。
【0024】
更に、角隅2Aに最も近い湯切り孔11Aも含めて湯切り孔11は、図示するように、
長円形に形成されているとともに、その長軸方向を蓋材4の中央から浅瀬部8側に向け、
かつ、蓋材4の中央側とこの浅瀬部8とを結ぶ仮想線分Lからから遠ざかるものほど、こ
の仮想線分Lとのなす侠角が大きくなるようにして、放射状に配されている。図示するよ
うに、先端の一対から順に所定の間隔を開けて蓋材4の中央側に向け、都合5列設けられ
ていて、第2列目11−2は第1列目11−1の孔の間に相当する位置に配され、丁度千
鳥状に配され、最前列の一対から、列ごとに孔数を1つ増やして、最後列である第5列目
の孔数は6個に設定されている。
【0025】
容器本体2は、発泡ポリスチレン等の発泡樹脂材をもって上広がり状に成形され、また
フランジ3の外周縁には下向きに折れ曲がった形に形成されている。
【0026】
更に、前記蓋材4は、言うまでもなく、容器本体2と相似形をなし、容器本体2の上端
開口を塞ぐように形成されている。この蓋材4は、図4(B)、図5に示すように、基本
的に表面シート12を外表面側にして、その内面側(食品側)に内面シート13、具体的
には、内側から、例えばシーラント層14/アルミニウム箔15/接着剤層16を重ね合
わせて積層したシート状に形成されている。更に、この蓋材4は、その外周面の前記湯切
り孔用プルタブ6の存在側部分から内側にかけて一部領域の前記内面シート13と表面シ
ート12との重ね合わせ内面には、易剥離剤(剥離ニス)を塗布することにより形成され
た易剥離層17による易剥離領域L1が備わり、それ以外の内面シート13と表面シート
12との重ね合わせ内面には、接着された状態の接着領域L2が備わっている。
【0027】
そして、前記易剥離領域L1内における内面シート13に湯切り孔11に対応した湯切
り孔11形成用のハーフカット18が形成され、該湯切り孔形成用ハーフカット18の内
面にはハーフカット領域内接着部19(易剥離層17の形成されていない部分)が設けら
れいて、内面シート13と表面シート12とはこのハーフカット領域内接着部19おいて
互いに接着されている。したがって、この湯切り孔形成用ハーフカット18は、前記シー
ラント層14からアルミニウム箔15、接着剤層16に、好ましくは更に易剥離層17内
にまで達している。
【0028】
また、図4(A),(B)中、20は、内面シート13の前記湯切り孔用プルタブ6が
設けられた側の裏面で、この湯切り孔用プルタブ6から両側で、内面シート13の辺縁に
沿って設けられる剥離開始用のハーフカットである。前記角隅2Aより両側に伸びる側縁
に沿い、かつ、この蓋材4の辺縁に沿って、それぞれ2/3程度の位置にまで設けられ、
そのエンドはこの内面シート13の辺縁に至る。先の湯切り孔形成用ハーフカット18と
同様に、前記シーラント層14からアルミニウム箔15、接着剤層16に、好ましくは更
に易剥離層17内にまで達している。
【0029】
また、図4(A)中、21は表面シート折込表示線で、前記角隅2Aに対峙する形で表
面シート2上に印刷されている。更に具体的には、前記角隅2Aより両側に伸びる側縁の
約2/3程度の位置に至った部位、つまりは前記剥離開始用のハーフカット20のエンド
近辺同士を結ぶように設けられる。したがって、この表面シート折込表示線21は前記易
剥離領域L1に対応して、この易剥離領域L1の前記開封用プルタブ5が設けられた側の
エンド縁に沿って設けられている。
【0030】
次に、上記包装用容器1を構成するそれぞれの素材の具体構成を示す。
先ず、前記表面シート12は、その表面が印刷適正に優れているもので、例えば坪量5
0〜150g/m2 程度の片アート紙、両面アート紙が好ましく、他に同程度の厚さのコ
ート紙、上質紙などももちいることができる。
【0031】
また紙層に代えて、または紙層の上に厚さ12μm程度のポリエチレンテレフタレート
(PEТ)フィルムを用い、その裏面にグラビア印刷方法で印刷したものとすることもで
きる。
【0032】
また、表面シート12と内面シート13とを接着する接着剤層16としては、この蓋材
4の生産量を考慮して、例えばポリエチレン、アイオノマー、ポリプロピレン樹脂などの
熱溶融押出しによるサンドラミネートが好ましいが、特にこれに限定するものではなく、
種々の接着剤、例えばドライラミネートなどにおいて使用される2液硬化型ウレタン系接
着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテル系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤
などを使用でき、グラビアコート、ロールコート法などによって接着剤層16とすること
ができる。
【0033】
また、即席焼きそば麺7に対する遮光性やガスバリア性など保存性を考慮して、表面シ
ート12にバリア層として5〜20μmのアルミニウム箔15を使用するのが一般的であ
り、このアルミニウム箔15は、特に本発明の湯切り機能付きの包装用容器のように、開
封用プルタブ5側から一部を開封剥離して、熱湯を注ぐに際し、蓋材4が剥離され状態を
保持している性質(デッドホールド性)を有すると、熱湯を安全に、また、確実に注ぎ易
くすることができることから好適に使用される。
【0034】
シーラント層14としては、例えばヒートシール性に優れる直鎖低密度ポリエチレン(
LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無
延伸ポリプロピレン(CPP)などのポリオレフィン樹脂あるいはエチレン/酢酸ビニル
共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレンメタアクリル
酸共重合体(EMAA)などエチレン共重合樹脂のフィルムが用いられるが、特に低温シ
ール性と剥離開封性(イージーピール性)を考慮して、これらポリオレフィン樹脂にポリ
スチレンやポリブデンなどからなる、該ポリオレフィン樹脂に対して不相溶性成分を混合
したものなどの他、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/アクリル酸共重合樹脂
などからなるホットメルト接着剤を塗布量15〜25g/m2 程度で設けたものとするこ
とができる。
【0035】
また、内面シート13を構成する表層剥離する基材として、厚さ6〜25μm程度の二
軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムが接着剤層16との界面で表層剥離する基材と
して好適に使用することができる。
【0036】
また、内面シート13を構成する表層剥離する基材として、坪量100g/m2 程度の
上質紙など非塗工紙、あるいはコート紙、アート紙など塗工紙が挙げられるが、特に層間
剥離のし易い基材としては、前記上質紙など非塗工紙が好適に使用することができる。
【0037】
更に、容器本体としては、断熱性材料を成形したものが用いられ、例えば厚さ10mm
程度の発泡ポリスチレンシートを真空成形方法で得ることができる。また、例えば紙製側
壁と紙製底壁でなる紙製カップ本体の紙製側壁外面に、ライナー紙の片面エンボスが施さ
れた断熱材を貼着した断熱シートを接着固定して紙製の容器本体2としたものなどを用い
ることもできる。
【0038】
上記第1の実施例に示した包装用容器1の使用方法を以下に説明する。
先ず、接着領域L2側にある開封用プルタブ5を引っ張り上げて、容器本体2のフラン
ジ3から接着領域L2側の内面シート13を部分的に剥がして開いて注入口を形成し、こ
の注入口から熱湯を注入た後、蓋材4外周面にある前記開封用プルタブ5を再びフランジ
3の外側に折り込むようにして施蓋し、数分間放置して容器本体2の中にある即席焼きそ
ば麺7を柔らかくほぐす。
【0039】
その後、図5,6に示すように、易剥離領域L1の外周にある湯切り孔用プルタブ6を
引っ張り上げて、この易剥離領域L1の表面シート12を内面シート13から剥離すると
ともに、この表面シート12に接着している前記湯切り孔形成用ハーフカット18領域内
の内面シート13を切り離し、内面シート13に、図示の通りの、長円形の安定した大き
さの湯切り孔11を現出させ、その後、容器本体2を傾けて中にある湯を湯切り孔11か
ら排出する。この湯の排出は、湯切り孔11が放射状に配置されているために、効率の良
い、しかも素早い湯きりを可能にする。しかも、先端の湯切り孔11Aを2孔にし、併せ
てこの2孔を前記凝集水路10の上端10Bに対応して設けることにより、湯きり性、つ
まり湯きり速度が改善される。特に排出終了近くになって、未だ容器本体2の内奥部に残
ろうとする湯も、図3に示すように、前記凝集水路10を介して、その上端10Bからス
トレートに先端の2孔の湯切り孔11Aに流下するので、湯きり性能を一層改善できる。
また、浅瀬部8と堰9の存在により、内容物が湯切り孔11から漏れでるおそれも上手く
改善できる上に、内容物をここでそれ以上湯切り孔11側へ流下させず、的確に堰き止め
ることができ、湯の効率の良い排出と湯きり性能の向上を図れる。
【0040】
(試験例)
次に、上記本発明に係る包装用容器1の性能試験の結果を以下に示す。
評価サンプルとして以下の要領とした。
蓋材
A.本発明に係る、先端を2穴とした湯切り孔11を備えた構造
B.Aの先端の湯切り孔11Aを1穴にした構造
C.Aの湯切り孔の総数を減らしたも構造
D.Aの湯切り孔の方向を湯きり方向に直線上にした構造
容器
A.本発明に係る浅瀬部8、堰9、凝集水路10を備えた構造
B.Aの堰9を除いた構造
C.旧来の通常の四角な容器の構造
【0041】
以上の蓋材のサンプルA〜Dと容器本体のサンプルA〜Cを試作し、試作されたこれら
蓋材と容器本体のサンプルを互いに組み合わせ、湯きり速度、内容物の流出、そして湯残
りの三つの項目について実験を行った。
湯きり速度は5段評価で、数字の小さいものほど湯きり性能が良い(湯きり速度が速い
)。また、内容物流出と湯残りについては目視判定とした。
結果は、以下に示すとおりであった。
1.A−A:1、出ず、 ほとんど無し
2.A−B:2、少量出る、ほとんど無し
3.A−C:3、出る、 少量湯残り
4.B−A:4、出ず、 ほとんど無し
5.C−A:5、出ず、 ほとんど無し
6.D−A:2、出ず、 ほとんど無し
【0042】
以上の実験結果からも理解されるように、本発明に係る包装用容器、つまり上記のA−
Aの組み合わせが、湯きり速度、内容物の流出、そして湯残りの全ての点で優れているこ
とが実証された。
【0043】
(実施例2)
図7に示す構成は、容器本体2を円形にした場合の一例を示し、この円形の容器本体2
の一側に平面視三日月形状の浅瀬部8を形成し、この浅瀬部8の上に堰9を設け、そして
この浅瀬部8の両側に凝集水路10を設けたものである。蓋材4に設けられた湯切り孔1
1の構成、またそれらと前記凝集水路10との相対的な関連構成も前記図1〜6に示され
る実施例1と同様である。また、作用効果も、前記第1の実施例に示した結果と同等の好
ましい成果が得られた。
【0044】
尚、この発明の容器の用途は即席焼きそば麺の包装に限定されるものではなく、湯で戻
して食するようにした乾燥野菜や海藻類などの包装、更には水洗いして食するように加工
されたざるるそばなどの包装にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の包装用容器の第1の実施例を示し、その特徴構成を示す一部切欠き概観図説明図である。
【図2】図1中のA−A断面図である。
【図3】図1中のB−B拡大断面図で、湯切りの作用状態も共に示している。
【図4】図1に示す包装用容器の全体の構造を示し、(A)はその一部切欠き全体平面図、(B)はこの容器に用いられる蓋材の拡大断面図である。
【図5】図1に示す包装用容器の作用の説明断面図である。
【図6】図1に示す包装用容器の湯きりの状況を示す作用説明図である。
【図7】本発明の包装用容器の第2の実施例を示す全体平面図である。
【符号の説明】
【0046】
1…包装用容器
2…容器本体
2A…角隅
2B…周壁
2C…底
3…フランジ
4…蓋材
5…開封用プルタブ
6…湯切り孔用プルタブ
7…収容食品
8…浅瀬部
9…堰
10…凝集水路
11…湯切り孔
L…仮想線分
L1…易剥離領域
L2…接着領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口縁部に蓋材が貼着されて開口部がこの蓋材で密封され、前記容器本体内に
食品が収納される容器であって、容器本体の開口部内側には浅瀬部が備わり、この浅瀬部
に液体排出時に食品の流出を防止するための堰が突設され、浅瀬部の両側には、この容器
本体の周壁内面存在位置よりも更に外方へ膨出するようにして凝集水路が設けられ、一方
前記蓋材にはこの浅瀬部に対応する部位を含んで多数の湯きり穴が設けられるとともに、
この多数の湯切り孔の内の前記浅瀬部に対応する湯切り孔は、堰を挟んで左右一対設けら
れ、それぞれが前記凝集水路に対応して開口していることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
浅瀬部はその立ち上がり面が容器本体の周壁内面と同じ縦方向の面上に設けられ、浅瀬部
はこの容器本体の周壁内面よりも更に外方へ膨出して設けられている請求項1記載の包装
用容器。
【請求項3】
凝集水路は、その下端は浅瀬部よりも下位で、容器本体の周壁内面にあり、また、上端は
浅瀬部の上面と同等位置にあって、且つ、浅瀬部の立ち上がり面よりも更に外方に位置す
るように形成されている請求項1〜2の何れかに記載の包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−182246(P2007−182246A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−2253(P2006−2253)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(593020108)エースコック株式会社 (13)
【出願人】(593215829)アテナ工業株式会社 (28)
【Fターム(参考)】