説明

包装用箱

【課題】力の弱い者であっても容易に解体することができ、また、解体後は平面状になる包装用箱を提供する。
【解決手段】上面2、底面4、一対の側面6、及び、上面2の端縁から稜線を介して延出された上面外フラップ28と、底面4の端縁から稜線を介して延出された底面外フラップ29との重複部分の一部を接合して形成される一対の妻面8を有する形状に折り曲げられ、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすとともに、平面状に解体するための解体用切込線12が形成された包装用箱1であって、解体用切込線12が、底面外フラップ29の端縁上の二点a,bを起点として底面外フラップ29と底面4とに亘って形成され、上面外フラップ28と底面外フラップ29との重複部分の一部を接合する接合部30が、解体用切込線12と底面外フラップ29の端縁とに囲まれた領域内にのみ形成された包装用箱1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装用箱に関し、更に詳しくは、接合部を剥離することなく、解体が容易な包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家庭やオフィス等で広く使われているティシュペーパーは、概ね直方体の箱(以下、「カートン」と記す場合がある)の内部空間に収納された形で市販されている。このように箱に収納されたティシュペーパーを使用する際には、箱の一面(通常は箱の上面)に設けられている所定形状のミシン目(取出口形成用切込線)を切り離すことによって、取出口を形成する。そして、ティシュペーパーは、この取出口から引き出されて使用される。
【0003】
上記カートンは、例えば、取出口が形成される上面と、底面と、一対の側面とを備えており、上記一対の側面の端縁には、それぞれ一対の内フラップが折曲線を介して連接されている。更に、上面と、底面の端縁には、一対の外フラップが折曲線を介して連接されている。そして、これらの一対の外フラップは、その一方の先端部分に一直線状に一定の幅に塗布された接着剤(接合部)によって接合されて形成した妻面を有するものである。そして、上記カートンは、一の外フラップに解体用切込線が形成されているものが知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
カートンに解体用切込線を形成すると、収納されたティッシュペーパーを使い果たした後、両手の指で、外フラップに形成された解体用切込線を押し破り、挿入した指により外フラップを内側から外側に向かって引張ることなどの操作によって、一の外フラップを、他の外フラップ及び/または内フラップから引き剥がすことができるため、使用済みのカートンを容易に解体することができる。そのため、カートンを回収する場合であっても、カートンが解体されているため回収したカートンが嵩張らないという利点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−29580号公報
【特許文献2】特開平8−258877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のカートンは、一の外フラップを一対の内フラップから引き剥がすためには、上記一の外フラップを強く引っ張ることによって接合部を剥離させなければならず、また、特許文献2のカートンは、解体用切込線が接合部を跨いで形成されているため、解体用切込線を強く押し破らなければならない。従って、例えば、年配者、子供、障害者、女性のような力の弱い者にとっては解体し難いという問題があった。また、特許文献1のカートンの接合部が十分に剥離されていなかったり、特許文献2のカートンの解体用切込線が十分に押し破られていなかったりすると、解体したカートンが平面状にならずに嵩高くなるため、回収したカートンを平面状にするための手間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、いわゆる一条打ちされた糊などにより構成される接合部を備えた包装用箱であって、解体用切込線に沿って破断すると、接合部を剥離することがないため、例えば、年配者、子供、障害者、女性のような力の弱い者であっても、容易に解体することができ、また、解体後は平面状になるため、回収の手間がかからない包装用箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、接合部を、所定の形状を有する解体用切込線に囲まれた接合領域には形成し、この接合領域以外には形成しないことによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下に示す包装用箱が提供される。
【0009】
[1] 取出口を有する上面、前記上面と対向する面である底面、一対の側面、及び、前記上面の端縁から稜線を介して延出された上面外フラップと、前記底面の端縁から稜線を介して延出された底面外フラップとの重複部分の一部を接合して形成される一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすとともに、平面状に解体するための解体用切込線が形成された包装用箱であって、前記解体用切込線が、前記底面外フラップの端縁上の二点を起点として前記底面外フラップと前記底面とに亘って形成され、前記上面外フラップと前記底面外フラップとの重複部分の一部を接合する接合部が、前記解体用切込線と前記底面外フラップの端縁とに囲まれた領域(解体用切取部)内にのみ形成された包装用箱。
【0010】
[2] 前記解体用切込線の起点である二点間の長さの割合が、前記底面の端縁の長さに対して、55〜75%である前記[1]に記載の包装用箱。
【0011】
[3] 前記解体用切込線の形状が、略V字状である前記[1]または[2]に記載の包装用箱。
【0012】
[4] 前記接合部が、一直線状に形成されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の包装用箱。
【0013】
[5] 前記底面外フラップが、妻面接合代を備えており、前記解体用切込線の起点が、前記妻面接合代の両側端に位置する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の包装用箱。
【発明の効果】
【0014】
本発明の包装用箱は、例えば、年配者、子供、障害者、女性のような力の弱い者であっても、容易に解体することができるという効果を奏するものである。また、解体後は平面状になるため、回収の手間がかからないという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0016】
[1]包装用箱:
本発明の包装用箱は、例えば、図1〜図3に示す包装用箱1のように、上面2、底面4、一対の側面6、及び、上面2の端縁から稜線(上面−妻面稜線35)を介して延出された上面外フラップ28と、底面4の端縁から稜線(底面−妻面稜線36)を介して延出された底面外フラップ29との重複部分の一部を接合して形成される一対の妻面8を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすとともに、平面状に解体するための解体用切込線12が形成された包装用箱1であって、解体用切込線12が、底面外フラップ29の端縁上の二点a,bを起点として底面外フラップ29と底面4とに亘って形成され、上面外フラップ28と底面外フラップ29との重複部分の一部を接合する接合部30が、解体用切込線12と底面外フラップ29の端縁とに囲まれた領域(解体用切取部)内にのみ形成されたものである。
【0017】
「箱状」とは、上面、底面、一対の側面、及び、上面の端縁から稜線を介して延出された上面外フラップと、底面の端縁から稜線を介して延出された底面外フラップとの重複部分の一部を接合して形成される一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成される形状である。このような形状としては、例えば、直方体状、立方体状等の六面体状を挙げることができる。これらの形状では、上面と底面、一の側面と他の側面、一の妻面と他の妻面が対向するように平行に配置される。また、これらの形状の中では、直方体状が好ましい。例えば、図1〜図3に示す包装用箱1は、その側面6側を長辺、妻面8側を短辺とする直方体状に構成した例である。なお、これらの形状において、二つの面の稜線部分を面取りしたものも、本明細書にいう「箱状」に含まれるものとする。
【0018】
「妻面」とは、上面の端縁から稜線を介して延出された上面外フラップと、底面の端縁から稜線を介して延出された底面外フラップとの重複部分の一部を接合して形成される面であり、上記上面外フラップと上記底面外フラップとを備えたカートンブランクを、上記上面の端縁の稜線、及び底面の端縁の稜線を介して折り曲げた後に接合して形成することができる。なお、上記上面外フラップ、及び/または上記底面外フラップは、その先端に妻面接合代を備えるものであってもよい。
【0019】
例えば、図1〜図3に示す包装用箱1は、上面2の端縁から稜線を介して延出された上面外フラップ28と、底面4の端縁から稜線を介して延出された底面外フラップ29とを備えるとともに、底面外フラップ29が、その先端に妻面接合代29aを備えた図5に示すカートンブランク100を、上面2の端縁の稜線、及び底面4の端縁の稜線を介して折り曲げた後に、上面外フラップ28と底面外フラップ29(妻面接合代29a)とを接合して一対の妻面8を形成した例である。
【0020】
[1−1]解体用切込線:
本発明の包装用箱は、底面外フラップの端縁上の二点を起点として底面外フラップと底面とに亘って形成された解体用切込線を備えるものである。上記解体用切込線は、上記条件を満たす切込線である限りその形状などに特に制限はなく、その形状は、例えば、半円状、V字状、略V字状、U字状、コ字状、凸状、または多角形状等を挙げることができる。これらの中でも、略V字状であることが好ましい。略V字状というときは、V字状の鋭角な頂点部分を曲線状に面取りした形状も含む概念を意味するものとし、例えば、図5に示すカートンブランク100に形成した解体用切込線12のような「三角おむすび」状などの形状を挙げることができる。なお、「底面外フラップと底面とに亘って形成された」とは、底面とこの底面の端縁から稜線を介して延出された底面外フラップとに跨って一の切込線が形成されていることを意味する。また、「切込線」とは、いくつかの直線または曲線状の切込みが連続的に形成された破線をいう。
【0021】
また、例えば、図6に示すカートンブランク101は、底面4の端縁から稜線を介して延出された底面外フラップ29とを備えるとともに、底面外フラップ29が、その先端に妻面接合代29aを備え、妻面接合代29aの両端を起点a,bとして底面外フラップ29と底面4とに亘ってコ字状の解体用切込線112を形成した例である。このカートンブランク101の所定の部分を折り曲げた後、上面外フラップ28と底面外フラップ29(妻面接合代29a)を接合部30によって接合して一対の妻面8を形成することにより包装用箱を製造することができる。
【0022】
更に、例えば、図7に示すカートンブランク102は、底面4の端縁から稜線を介して延出された底面外フラップ29とを備えるとともに、底面外フラップ29が、その先端に妻面接合代29aを備え、妻面接合代29aの両端を起点a,bとして底面外フラップ29と底面4とに亘って凸状の解体用切込線212を形成した例である。このカートンブランク102の所定の部分を折り曲げた後に、上面外フラップ28と底面外フラップ29(妻面接合代29a)を接合部30によって接合して一対の妻面8を形成することにより包装用箱を製造することができる。
【0023】
更に、本発明の包装用箱は、例えば、図8に示すカートンブランク103を箱状に折り曲げて形成することができる。図8に示すカートンブランク103は、略U字状の解体用切込線350として、底面4となる面に形成されて底面4となる面と一の妻面8となる面との稜線36上における二点a、bを繋ぐ外側ミシン目313と、この外側ミシン目313の内側に位置して外側ミシン目313の全部に沿うように形成され、そのカット部が、外側ミシン目313のカット部よりも短い内側ミシン目314と、により構成される二重ミシン目を備えたU字状の第一の破断切込線312と、底面4となる面と一の妻面8となる面との稜線36上における上記二点a、bを起点として一対の底面外フラップ28の先端縁に達する略ハの字状の第二の破断切込線351と、を形成している例である。
【0024】
更に、本発明の包装用箱は、例えば、図9に示すカートンブランク104を箱状に折り曲げて形成することができる。図9に示すカートンブランク104は、略V字状の解体用切込線450として、底面4となる面に形成されて底面4となる面と一の妻面8となる面との稜線36上における二点a、bを繋ぐ外側ミシン目413と、この外側ミシン目413の内側に位置して外側ミシン目413の全部に沿うように形成され、そのカット部が、外側ミシン目413のカット部よりも短い内側ミシン目414と、により構成される二重ミシン目を備えた略V字状の第一の破断切込線412と、底面4となる面と一の妻面8となる面との稜線36上における上記二点a、bを起点として一対の底面外フラップ28の先端縁に達する略ハの字状の第二の破断切込線451と、を形成している例である。
【0025】
なお、上記解体用切込線の第一の破断切込線及び/または第二の破断切込線は、いずれも稜線上における二点を起点とするミシン目であり、上記二点の起点は、カット部であってもカット部ではなくても良い。即ち、上記解体用切込線は、上記稜線を跨ぐカット部が形成されたミシン目であってもよいし、上記稜線を回避してカット部を形成したミシン目であってもよいが、上記稜線を回避してカット部を形成したミシン目であることが好ましい。上記稜線を回避してカット部を形成すると、上記解体用切込線を、より容易に押し破ることができる。また、通常、上記稜線となる位置には底面外フラップを上記稜線に沿って容易に折り曲げるための押し罫が形成されている。そして、より容易に底面外フラップを折り曲げることができるという観点から、カット部は、上記押し罫を回避するように形成することが好ましい。
【0026】
なお、例えば、図11は、稜線36となる位置に押し罫136を形成し、解体用切込線50として、上記押し罫136を回避して、第一の破断切込線12のカット部(外側ミシン目13のカット部13a及び内側ミシン目14のカット部14a)及び第二の破断切込線51のカット部を形成したカートンブランクの一部を拡大して示した図である。
【0027】
なお、上記解体用切込線の起点となる上記底面外フラップの端縁上の二点の位置は、特に制限はなく、例えば、上記底面外フラップの端縁の中央部、一の端点に偏った位置などとすることができる。例えば、図1〜図3に示す包装用箱1は、端縁の中央部から延出する妻面接合代29aを有する底面外フラップ29を備えており、略V字状の解体用切込線12の起点a,bが妻面接合代29aの両側端に位置している例である。
【0028】
解体用切込線の起点である二点間の長さの割合は、底面の端縁の長さに対して、55〜75%であることが好ましく、67〜69%であることが更に好ましい。55%未満であると、接合部を形成可能な領域が小さくなりすぎ、上面外フラップと底面外フラップを十分に接合することができなくなるおそれがある。一方、75%超であると、底面外フラップ及び上面外フラップを十分に接合することが可能になるが、接合に用いる接着剤などの塗布量が多くなるためコストアップとなるおそれがある。例えば、図1〜図3に示す包装用箱1は、解体用切込線12の起点である二点a,b間の長さDの割合が、底面4の端縁の長さLに対して、68%である、図5に示すカートンブランク100により製造された例である。
【0029】
また、例えば、底面の端縁に沿って接合部を一直線状に形成した場合、上記接合部の形成方向の長さの割合は、底面の端縁の長さに対して、55〜75%であることが好ましく、67〜69%であることが更に好ましい。55%未満であると、接合部を形成可能な領域が小さくなりすぎ、上面外フラップと底面外フラップを十分に接合することができなくなるおそれがある。一方、75%超であると、底面外フラップ及び上面外フラップを十分に接合することが可能になるが、接合に用いる接着剤などの塗布量が多くなるためコストアップとなるおそれがある。
【0030】
上記解体用切込線は、包装業界でジッパーと呼称されている切れ目が鉤形に屈曲した開封用破断線(包装産業の周知・慣用技術集第281頁参照、昭和53年12月20日特許庁発行)や、二重ミシン目であってもよい。
【0031】
特に、上記解体用切込線を二重ミシン目により形成する場合、この二重ミシン目を、外側ミシン目とこの外側ミシン目の内側に位置させた内側ミシン目とにより構成し、内側ミシン目は、そのカット部が、外側ミシン目のカット部よりも短くなるように形成することが好ましい。このような構成により、例えば、年配者、子供、障害者、女性のような力の弱い者であっても、容易に切込線(ミシン目)を破断することができ、また、使用者の押込み位置によらず、安定的に綺麗に切込線を破断することができる。
【0032】
以上のように、解体用切込線は、包装用箱の解体に際し、妻面と底面の切り離しを容易にするものである。即ち、この解体用切込線に従って包装用箱を解体すれば、包装用箱を容易に平面状に展開することができる。そして、解体用切込線を破断する際、接合部(例えば、糊など)を引き剥がすことのない構成とすることによって、更に容易に包装用箱を解体することができる。本発明の包装用箱は、接合部を一直線上に形成(いわゆる、「一条打ち」)した場合に特に有効であり、一条打ちの接合部を有する包装用箱に上記構成の解体用切込線を形成することによって、例えば、年配者、子供、障害者、女性のような力の弱い者であっても更に容易に解体することができる。
【0033】
なお、本発明の包装用箱の解体用切込線は、上面外フラップと上面に亘って形成してもよいが、底面外フラップと底面とに亘って形成することにより、包装用箱の使用時に誤って上記解体用切込線を破断してしまうおそれがなく、また、外観も良好であるという利点がある。
【0034】
ここで、上記妻面は、上面外フラップと底面外フラップの接合に使用される糊などの接着剤により構成される接合部により接合されて形成される面である。この接合部は、上面外フラップと底面外フラップとの重複部分の一部を接合するものであり、解体用切込線と底面外フラップの端縁とに囲まれた領域内にのみ形成されたものである。即ち、接合部は、上面外フラップと底面外フラップとの重複部分の一部であり、かつ、解体用切込線と底面外フラップの端縁とに囲まれた領域内に形成されるものである。そして、上記接合部は上記部分に形成されている限り、その形状などは特に制限はない。例えば、一直線状、円弧状、破線状などとすることができる。これらの中でも、一直線状とすることが好ましい。例えば、図1〜図3に示す包装用箱1は、接合部30が一直線状に形成されている例である。また、例えば、図4に示す包装用箱110は、接合部130が破線状に形成されている例である。
【0035】
本発明の包装用箱は、上記接合部と上記解体用切込線とを上記構成とすることに特徴がある。即ち、上記接合部は、上面外フラップと底面外フラップとの重複部分の一部であり、かつ、解体用切込線と底面外フラップの端縁とに囲まれた領域内に形成されるものである。別言すると、解体用切込線は、その起点が、底面外フラップの最も側縁側にある接合部上の二点よりも、底面外フラップの側縁側に位置して形成されているものである。例えば、図3に示す包装用箱1は、底面外フラップ29の側縁fに直交するように一直線状に形成した接合部30を備え、解体用切込線12の起点a,bが、一直線状の接合部30の両端c,dよりも底面外フラップ29の側縁f側に位置して形成されている例である。
【0036】
なお、上述のように、接合部は、上面外フラップと底面外フラップとの重複部分の一部に形成されるとともに、解体用切込線と底面外フラップの端縁とに囲まれた領域(解体用切取部)内にのみ形成されたものであることが必要である。本発明の包装用箱は、本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、上記接合部以外に、補助的に、上面外フラップと底面外フラップを接合する接着剤を使用することもできる。この接着剤は、上記重複部分であればその形成位置は特に制限はなく、解体用切取部外に形成することもできる。ここで「補助的に」とは、例えば、年配者、子供、障害者、女性のような力の弱い者が包装用箱を解体する場合であっても容易に剥離することができる程度の強度で接合することを意味する。このような接着剤は、上述のように容易に剥離されるものである限りその種類は特に制限はなく、従来公知の接着剤を使用することができる。
【0037】
ところで、従来の包装用箱は、解体用切込線が接合部を跨いで形成されているため、解体用切込線を破断するためには接合部の一部を剥離する必要があり、例えば、年配者、子供、障害者、女性のような力の弱い者にとっては解体し難いという問題があった。
【0038】
[1−2]取出口形成用切込線:
「取出口形成用切込線」とは、衛生用紙の取出口の外周形状と一致するように形成された切込線(ミシン目)である。使用者は、この切込線を破断することによって取出口を形成することができ、その取出口から衛生用紙を取り出すことが可能となる。
【0039】
衛生用紙の取出口の外周形状について特に制限はなく、包装用箱や衛生用紙の形状に応じて適宜選択すればよい。但し、包装用箱は直方体状のものが多く用いられるため、その取出口の形状は包装用箱の長手方向に沿った横長形状とすることが好ましい。従って、取出口の外周形状としては、例えば、略長方形状、略長円形状、長楕円形状、菱形状、または多角形状等の形状を挙げることができる。例えば、図1に示す包装用箱1は、略長方形状の取出口形成用切込線11が形成されている例である。
【0040】
取出口形成用切込線は、通常、図1に示す包装用箱1のように、上面2に形成されることが多いが、特にそのような制限があるわけではない。例えば、底面に形成されていてもよいし、他の面に形成されていてもよい。また、取出口形成用切込線は一の面のみに形成されていなければならないわけではなく、二以上の面(例えば、上面と底面)に形成されていてもよい。
【0041】
なお、取出口形成用切込線によって包囲された部分(切取片となる部分)には、取出口形成用切込線の二点を繋ぐように、引剥がし用切込線が形成されていてもよい。このような切込線を形成することで、切取片の引き剥がしが容易となる利点がある。例えば、図1に示す包装用箱1は、略長方形状の取出口形成用切込線11の端部側に、略U字状の引剥がし用切込線11aが一対形成されている例である。
【0042】
[1−3]押上片形成用切込線:
また、本発明の包装用箱には、底面に、一対の押上片を形成するため押上片形成用切込線を形成することもできる。この押上片形成用切込線は、包装用箱に収納された衛生用紙の残量が少なくなった際に、押圧して押し破り、一対の押上片を形成するためのミシン目である。この押上片が箱の内側に折り曲げることによって、箱内部の衛生用紙が上面側に押し上げられるため、上面の取出口から衛生用紙の最後の一枚まで、安定してポップアップさせることが可能である。
【0043】
上記押上片形成用切込線は、上記条件を満たすものである限り形状、配置などに特に制限はなく、その形状は、例えば、U字状、コ字状、略コ字状、多角形状などとすることができる。また、包装用箱の底面の位置は、中央部、妻面側に偏った位置、側面に偏った位置などとすることができる。更に、例えば、一対のU字状の押上片形成用切込線である場合に、一対のU字状の押上片形成用切込線は、その開口を、それぞれいずれの方向に向けて配置してもよい。具体的には、互いに開口を向かい合わせて配置してもよく、互いに近い側の妻面に開口を向けて配置してもよく、また、互いに同じ一の妻面に開口を向けて配置してもよい。例えば、図2に示す包装用箱1は、底面4の中央部に、互いに開口を向かい合わせて、その開口が妻面8を向いて配置されているU字状の押上片形成用切込線13が一対形成された例である。
【0044】
なお、押上片形成用切込線の開口端を結ぶように押し罫を形成することができる。押し罫を形成することにより、この押し罫に従って(押し罫を基軸として)一対の押上片を容易に包装用箱の内側に折り曲げることができるという利点がある。図2に示す包装用箱1は、U字状の押上片形成用切込線13の開口端g,hを結ぶように押し罫52が形成された例である。
【0045】
なお、本発明の包装用箱は、上記取出口形成用切込線(取出口)を箱の内側から被覆するように配置されて、衛生用紙を取り出すためのスリットが形成されたフィルム材(いわゆる、「ウインドウフィルム」)を備えていてもよいし、ウインドウフィルムを備えていない、いわゆるフィルムレスの包装用箱であってもよい。
【0046】
本発明の包装用箱は、上面、底面、一対の側面、及び上記一対の妻面によって区画された内部空間が形成される。この内部空間は、例えば、衛生用紙を収納するための空間である。この内部空間に衛生用紙を収納する場合、その種類について特に制限はなく、例えば、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンペーパー等)、トイレットペーパー(ロールを除く)、ワッティング(紙綿)等の使い捨て紙(例えば、紙パルプ技術便覧第5版、第459頁参照、1992年1月30日発行、紙パルプ技術協会編集・発行)等を挙げることができる。
【0047】
これらの中でも、ティシュペーパー束が好ましく、このティシュペーパー束は、例えば、一のティシュペーパーが折り畳まれ、その折り返し部分に他のティシュペーパーが挟み込まれた状態で折り畳まれることによって、複数枚のティシュペーパーが連続的に積層されたものである。このような積層構造のティシュペーパーは、最上層のティシュペーパーを取り出すことにより、これに挟み込まれていた次層のティシュペーパーの一部が取出口から突出する(いわゆる、「ポップアップ方式」)ため、ティシュペーパーを容易に取り出すことができるという利点がある。
【0048】
本発明の包装用箱を構成する材質について特に制限はない。但し、シート状の材料を折り曲げ形成により箱状とする都合上、厚紙等の紙材料を構成材料とすることが好ましい。一般に、これらの紙材料としては、例えば、木材パルプ、古紙等を原料として製造されたものを好適に用いることができる。
【0049】
図1〜図3に示す包装用箱1は、以下のような方法により解体することができる。まず、解体用切込線12の内側部分(領域)を親指などで押圧して解体用切込線12を押し破ると、包装用箱1は、図10に示すような状態になる。即ち、底面4と妻面8とを切断することができる。その後、上面2と底面4とを合わせると、包装用箱1を容易に平面状に展開された状態に解体することができる。
【0050】
[2]包装用箱の製造方法:
本発明の包装用箱は、例えば、以下の製造方法によって製造することができる。まず、紙材料等を打ち抜くことにより、上面2、底面4、一対の側面6となる面を有し、この上面2の端縁から稜線(上面−妻面稜線35)を介して延出された上面外フラップ28と、底面4の端縁から稜線(底面−妻面稜線36)を介して延出されるとともに、端縁の中央部から延出された妻面接合代29aを有する底面外フラップ29と、底面4の一の側縁から延出された側面接合代32と、一対の側面6の端縁から延出された一対の内フラップ26を備える図5に示すカートンブランク100を用意する。次いで、上記底面外フラップ29の妻面接合代29aの両端a,bを起点として、底面外フラップ29と底面4とに亘る略V字状の解体用切込線12を形成し、互いに開口を向かい合わせたU字状の押上片形成用切込線13を形成する。更に、上面4となる面に、長楕円形状の取出口形成用切込線11を形成し、この取出口形成用切込線11を覆うようにウインドウフィルムを貼り付ける。なお、取出口形成用切込線11、解体用切込線12、及び押上片形成用切込線13の形成順序は特に制限はない。
【0051】
その後、カートンブランク100を折り曲げ線に沿って折り曲げ、側面6と底面4の側面接合代32とを重ね合わせ、その重なり部分を接着剤によって接着することによって妻面8側が開放された角筒状とする。次いで、角筒状のカートンブランクの内部空間に、例えば、衛生用紙が積層された衛生用紙束を装填する。装填後、角筒状のカートンブランクを、一対の内フラップ26が内側となるように折り曲げ線に沿って折り曲げた後、上面−妻面稜線35及び底面−妻面稜線36に沿って折り曲げて、上面外フラップ28と底面外フラップ29(妻面接合代29a)とを重ねる。その後、上面外フラップ28と底面外フラップ29との重複部分の一部であり、かつ、解体用切込線12と底面外フラップ29の端縁とに囲まれた領域内である部分(妻面接合代29a)に接着剤等を一直線状に塗布して接合部30を形成することによって、一対の妻面8を形成し、本発明の包装用箱1を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の包装用箱は、ティシュペーパー、キッチンペーパー等のペーパータオル、シート状のトイレットペーパー、ワッティング(紙綿)等の衛生用紙を収納するための包装用箱として、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の包装用箱の一の実施形態を示す斜視図であり、一部を透視した図である。
【図2】本発明の包装用箱の一の実施形態を示す別の斜視図であり、一部を透視した図である。
【図3】本発明の包装用箱の一の実施形態を示す一部平面図であり、妻面を裏面側から見た状態を示す図である。
【図4】本発明の包装用箱の別の実施形態を示す一部平面図であり、妻面を裏面側から見た状態を示す図である。
【図5】本発明の包装用箱の一の実施形態の一例を示す図であり、包装用箱を組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図6】本発明の包装用箱の別の実施形態の一例を示す図であり、包装用箱を組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図7】本発明の包装用箱の別の実施形態の一例を示す図であり、包装用箱を組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図8】本発明の包装用箱の別の実施形態の一例を示す図であり、包装用箱を組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図9】本発明の包装用箱の別の実施形態の一例を示す図であり、包装用箱を組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図10】本発明の包装用箱を解体する工程を示す斜視図である。
【図11】図5に示すカートンブランクの解体用切込線の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0054】
1,110:包装用箱、2:上面、4:底面、6:側面、8:妻面、11:取出口形成用切込線、11a:引剥がし用切込線、12,112,212:解体用切込線、13:押上片形成用切込線、26:内フラップ、28:上面外フラップ、29:底面外フラップ、29a:妻面接合代、30,130:接合部、32:側面接合代、36:底面−妻面稜線、52:押し罫、100,101,102:カートンブランク、136:押し罫。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取出口を有する上面、前記上面と対向する面である底面、一対の側面、及び、前記上面の端縁から稜線を介して延出された上面外フラップと、前記底面の端縁から稜線を介して延出された底面外フラップとの重複部分の一部を接合して形成される一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすとともに、平面状に解体するための解体用切込線が形成された包装用箱であって、
前記解体用切込線が、前記底面外フラップの端縁上の二点を起点として前記底面外フラップと前記底面とに亘って形成され、
前記上面外フラップと前記底面外フラップとの重複部分の一部を接合する接合部が、前記解体用切込線と前記底面外フラップの端縁とに囲まれた領域内にのみ形成された包装用箱。
【請求項2】
前記解体用切込線の起点である二点間の長さの割合が、前記底面の端縁の長さに対して、55〜75%である請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
前記解体用切込線の形状が、略V字状である請求項1または2に記載の包装用箱。
【請求項4】
前記接合部が、一直線状に形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装用箱。
【請求項5】
前記底面外フラップが、妻面接合代を備えており、前記解体用切込線の起点が、前記妻面接合代の両側端に位置する前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−213890(P2008−213890A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54476(P2007−54476)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】