説明

包装用箱

【課題】内容物の交換時等における利便性を向上させることのできる包装用箱を提供する。
【解決手段】後部101、第1の側部102、前部103および第2の側部104から成る中空の胴部130と、該胴部の下端開口を塞ぐ底部と、後部に形成される折り目を介して設けられる第1の蓋部105と、前部に形成される折り目を介して設けられる第2の蓋部110とを備え、第1の蓋部と第2の蓋部とは、箱として組み立てた状態において、何れが露出面側となるかを選択して重ね合わせることで、胴部の上端開口を塞ぐように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ダンボール紙等から成るブランクシートから一体に打ち抜かれた箱形成体を組み立てた包装用箱の一形態として、4側面の上下に上蓋と底蓋が設けられ開口部を閉鎖している構造のものがある。
【0003】
このような包装用箱は、多種多様の内容物の収容、輸送、保管等に使用される。
【0004】
例えば、プリンタ等に使用されるプロセスユニットも前述のような包装用箱に収容されて客先に輸送される。
【0005】
ところで、前記プロセスユニットなどの場合には、交換等により当初収容していたプロセスユニットを取り出した後、使用済みのプロセスユニットを再度収容してメーカ等に返送する場合がある。
【0006】
この場合には、包装用箱の上蓋の表面に貼付された輸送用の伝票を貼り換えたり、使用済みである旨を手書きするなどしていた。
【0007】
このような包装用箱に関する技術は種々提案されている。
【0008】
例えば、特開2009−90986号公報では、内フラップ部を付き合わせる仕様とし、外フラップ部を他部材やテープなどにより固定する包装箱が開示されている。
【0009】
また、特開2005−178873号公報では、内フラップと外フラップを1面で構成し、折り重ねる紙箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−90986号公報
【特許文献2】特開2005−178873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、内容物の交換時等における耐久性や利便性を向上させることのできる包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る包装用箱は、後部、第1の側部、前部および第2の側部から成る中空の胴部と、該胴部の下端開口を塞ぐ底部と、前記後部に形成される折り目を介して設けられる第1の蓋部と、前記前部に形成される折り目を介して設けられる第2の蓋部と、を備え、前記第1の蓋部と前記第2の蓋部とは、箱として組み立てた状態において、何れが露出面側となるかを選択して重ね合わせることで、前記胴部の上端開口を塞ぐように構成されることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明に係る包装用箱は、請求項1に記載の発明について、前記第1の蓋部および前記第2の蓋部は、前記箱形成体の組立状態において前記第1の蓋部および前記第2の蓋部で前記上端開口を塞いだ際に、対向する前記前部および前記後部に形成される差込部に差し込まれる差込片をそれぞれ備えることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明に係る包装用箱は、請求項2に記載の発明について、前記後部および前記前部には、前記第1の蓋部および前記第2の蓋部との間の前記折り目に沿って、前記第1の蓋部または前記第2の蓋部を閉蓋状態で保持する保持片がそれぞれ形成され、前記各差込片と前記後部または前記前部との境界部には、前記箱形成体の組立状態において前記第1の蓋部および前記第2の蓋部で前記上端開口を塞いだ際に、前記保持片を差し込む差込孔が形成されることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明に係る包装用箱は、請求項1から請求項3の何れかに記載の発明について、前記第1の蓋部および前記第2の蓋部の一方の表面には内容物を収容した当該包装用箱の出荷時の情報を記し、他方の表面には内容物の回収時の情報を記すことを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明に係る包装用箱は、請求項1から請求項4の何れかに記載の発明について、前記第1の蓋部および前記第2の蓋部の一方の表面には、内容物を収容した当該包装用箱の輸送用の出荷伝票を貼付することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0018】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、第1の蓋部と第2の蓋部とは、何れが露出面側となるかを選択して重ね合わせ、繰り返し使用する場合にも耐久性を向上させた包装用箱を提供することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、第1の蓋部と第2の蓋部の何れが露出面側となっても差込片を対応する差込部に差し込んで保持することができ、利便性を向上させた包装用箱を提供することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、第1の蓋部と第2の蓋部の何れが露出面側となっても保持片を対応する差込孔に差し込んでロックすることができ、利便性を向上させた包装用箱を提供することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、出荷時や内容物の回収時の利便性を向上させた包装用箱を提供することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、内容物の回収時の手間を減らすと共に、出荷伝票の抜き取りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態に係る包装用箱100の箱形成体100Aの構成を示す展開図である。
【図2】実施の形態に係る包装用箱100の組み立て状態を示す斜視図である。
【図3】実施の形態に係る包装用箱100への内容物の収容状況を示す斜視図である。
【図4】実施の形態に係る包装用箱100の使用状態を示す斜視図である。
【図5】実施の形態に係る包装用箱100の使用状態を示す斜視図である。
【図6】実施の形態に係る包装用箱100の使用状態を示す斜視図である。
【図7】実施の形態に係る包装用箱100の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0025】
図1から図7を参照して、本発明についての実施の形態に係る包装用箱100について説明する。
【0026】
図1は、ダンボール紙等を打ち抜いたり、切断して形成する箱形成体(ブランクシート)100Aの構成を示す展開図である。
【0027】
図1において、相互に一体に形成された箱形成体100Aは、後部101、第1の側部102、前部103および第2の側部104から成る中空の胴部130と、該胴部130の下端開口を塞ぐ底部101a、103aと、後部101の一端部(図1上は上端部)に形成される折り目150を介して設けられる第1の蓋部105と、前部103の一端部(図1上は上端部)に形成される折り目150を介して設けられる第2の蓋部110とを備える。
【0028】
また、後部101の左端には、第2の側部104の裏面と接着剤を介して接着される糊代部101bが形成されている。
【0029】
また、第1の側部102および第2の側部104の上下端には、フラップ部102a、102b、104a、104bがそれぞれ設けられている。
【0030】
なお、第1の蓋部105と第2の蓋部110とは、箱形成体100Aの組立状態において、何れが露出面側となるかを選択して各折り目に沿って折り返され且つ重ね合わされて、胴部130の上端開口を塞ぐように構成される(図5、図6参照)。組み立ての仕方等については後述する。
【0031】
これにより、包装用箱100を繰り返し使用する場合に、耐久性が向上される。
【0032】
また、第1の蓋部105および第2の蓋部110は、箱形成体100Aの組立状態において第1の蓋部105および第2の蓋部110で上端開口を塞いだ際に、対向する前部103および後部101に形成される差込部160、161に差し込まれる差込片106、111をそれぞれ備える。
【0033】
これにより、第1の蓋部105と第2の蓋部110の何れが露出面側となっても差込片106、111を対応する差込部160、161に差し込んで保持され、ユーザ等の利便性が向上される。
【0034】
また、後部101および前部103には、第1の蓋部105および第2の蓋部110との間の折り目150、170、171に沿って、第1の蓋部105または第2の蓋部110を閉蓋状態で保持する保持片(ロック片)108、113がそれぞれ切り込み等により形成され、各差込片106、111と後部101または前部103との境界部には、箱形成体100Aの組立状態において第1の蓋部105および第2の蓋部110で上端開口を塞いだ際に、保持片108、113を差し込む差込孔(ロック孔)107、112が形成されている。
【0035】
これにより、第1の蓋部105と第2の蓋部110の何れが露出面側となっても保持片を対応する差込孔107、112に差し込んでロックされ、ユーザ等の利便性が向上される。
【0036】
なお、本実施の形態においては、差込孔107、112と連接して、包装用箱100の開封時に保持片108、113を外すためにユーザ等が指を差し入れる切欠部109、114が第1の蓋部105側および第2の蓋部110側に形成されている。
【0037】
また、第1の蓋部105および第2の蓋部110の一方の表面には内容物を収容した当該包装用箱100の出荷時の情報を記し、他方の表面には内容物の回収時の情報を記すようにしてもよい。
【0038】
本実施の形態においては、例えば、包装用箱100に収容する内容物がプリンタ等に用いるプロセスユニット500(図3参照)である場合に、第2の蓋部110の表面には出荷時の情報として、例えば、そのプロセスユニット500の「交換の仕方」を印刷して記し、第1の蓋部105の表面には、内容物の回収時の情報として、交換後のプロセスユニットが収容されていることを示す「使用済」を印刷して記している。なお、表示内容がこれらに限定されないことは言うまでもない。
【0039】
これにより、出荷時や内容物の回収時の手間が省かれ利便性が向上される。
【0040】
また、第1の蓋部105および第2の蓋部110の一方の表面には、内容物を収容した包装用箱100の輸送用の出荷伝票を貼付するようにしてもよい。
【0041】
本実施の形態においては、例えば、上記のように、「使用済」と印刷した第1の蓋部105の表面に、輸送用の出荷伝票を貼付する位置を示す指示線300が印刷されている。
【0042】
この指示線300に沿って予め出荷伝票を貼付するようにしてもよい。
【0043】
これにより、内容物(プロセスユニット500)の回収時の手間を減らすと共に、予め貼付された出荷伝票の抜き取りが防止される。
【0044】
次に、箱形成体100Aの組み立ての仕方について説明する。
【0045】
まず、後部101、第1の側部102、前部103、第2の側部104および糊代部101bを折り目152、153、154、155に沿って折り返し、糊代部101bの表面側と第2の側部104の裏面側とを接着剤で接着して胴部130を形成する。
【0046】
次いで、底部101a、103aとを組み合わせて底部をする。
【0047】
これにより、図2に示すような状態で、包装用箱100が組み上がる。
【0048】
ここで、図3に示すように、包装用箱100の上端開口400から収容すべき内容物(例えば、YMCKに対応する4つのプロセスユニット500)を収納する。
【0049】
次に、図4に示すようにフラップ部102b、104bを内側に折り返した後、まず、第1の蓋部105を閉じ、差込片106を差込部161に差し込み、保持片113を差込孔107に差し込む。
【0050】
続いて、図5に示すように、第1の蓋部105の上に重ねて、第2の蓋部110を閉め、差込片111を差込部160に差し込み、保持片108を差込孔112に差し込む。
【0051】
これにより、図6に示すように、例えば交換用のプロセスユニット500を収容した包装用箱100が組み上がった状態となる。
【0052】
ここで、表側に位置する第2の蓋部110の表面には、プロセスユニット500の「交換の仕方」等が印刷されているので、ユーザ等は作業手順を容易に把握し、利便性が向上される。
【0053】
そして、客先等において包装用箱100から内容物(プロセスユニット500)を取り出す場合には、上述の組み立て手順と逆の手順で開封する。
【0054】
次いで、プロセスユニット500の交換作業等を行った後、交換済み(使用済)のプロセスユニット500を前出の図3と同様の手順で同一の包装用箱100に詰め直す。
【0055】
次に、フラップ部102b、104bを内側に折り返した後、まず、第2の蓋部110を閉め、差込片111を差込部160に差し込み、保持片108を差込孔112に差し込む。
【0056】
続いて、第2の蓋部110の上に重ねて、第1の蓋部105を閉じ、差込片106を差込部161に差し込み、保持片113を差込孔107に差し込む。
【0057】
これにより、図7に示すように、例えば交換済み(使用済)のプロセスユニット500を収容した包装用箱100が組み上がった状態となる。
【0058】
ここで、本実施の形態において、表側に位置する第1の蓋部105の表面には、交換後のプロセスユニットが収容されていることを示す「使用済」の文字が印刷されているので、一目で交換済みの包装用箱であることが認識される。
【0059】
しかも、従来のように、包装用箱100の表面に、ボールペンやフェルトペン等による手書きで上記「使用済み」等の文字を記すことがないので、表面が汚れることが抑制され、包装用箱100が繰り返して使用される。
【0060】
また、包装用箱100の表面に、返送先等を記載した輸送用の出荷伝票を予め貼付しておく場合には、ユーザ等の手間が省かれ利便性が向上される。
【0061】
なお、本実施の形態では、第1の蓋部105と第2の蓋部110とは、同じサイズ、同じ形状とされているが、これに限定されず、例えば、第1の蓋部105と第2の蓋部110の何れかのサイズ(面積)を他方より小さくしたり、大きくする場合であってもよいし、或いは何れかの形状を矩形状以外とする場合であってもよい。
【0062】
例えば、第1の蓋部105に「商品名」、「使用前」との印刷が施される場合に、第2の蓋部110が上側になったときに「使用前」の印刷部を隠し、「使用後」の印刷部が露出するように、第2の蓋部110のサイズや形状を設計、選択するようにしてもよい。
【0063】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0064】
例えば、後部101、第1の側部102、前部103、第2の側部104等の表面の一部において、クリアニスや透明印刷等による表面保護剤の塗布を行わないようにしてもよい。
【0065】
これにより、表面保護剤の塗布を行わなかった部位に、印鑑の押捺やボールペン等によるサインをして、包装用箱100の使用回数等を管理し、利便性が一層向上される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明による包装用箱は、プリンタや複合機等のプロセスユニット、トナーカートリッジなどの包装や梱包に適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
100 包装用箱
100A 箱形成体
101 後部
101a 底部
101b 糊代部
102 側部
102a フラップ部
102b フラップ部
103 前部
104 側部
105 蓋部
106 差込片
107 差込孔
108 保持片
109 切欠部
110 蓋部
111 差込片
112 差込孔
113 保持片
130 胴部
150 折り目
152 折り目
160 差込部
161 差込部
300 指示線
400 上端開口
500 プロセスユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後部、第1の側部、前部および第2の側部から成る中空の胴部と、
該胴部の下端開口を塞ぐ底部と、
前記後部に形成される折り目を介して設けられる第1の蓋部と、
前記前部に形成される折り目を介して設けられる第2の蓋部と、
を備え、
前記第1の蓋部と前記第2の蓋部とは、箱として組み立てた状態において、何れが露出面側となるかを選択して重ね合わせることで、前記胴部の上端開口を塞ぐように構成されることを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
前記第1の蓋部および前記第2の蓋部は、前記箱形成体の組立状態において前記第1の蓋部および前記第2の蓋部で前記上端開口を塞いだ際に、対向する前記前部および前記後部に形成される差込部に差し込まれる差込片をそれぞれ備えることを特徴とする請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
前記後部および前記前部には、前記第1の蓋部および前記第2の蓋部との間の前記折り目に沿って、前記第1の蓋部または前記第2の蓋部を閉蓋状態で保持する保持片がそれぞれ形成され、
前記各差込片と前記後部または前記前部との境界部には、前記箱形成体の組立状態において前記第1の蓋部および前記第2の蓋部で前記上端開口を塞いだ際に、前記保持片を差し込む差込孔が形成されることを特徴とする請求項2に記載の包装用箱。
【請求項4】
前記第1の蓋部および前記第2の蓋部の一方の表面には内容物を収容した当該包装用箱の出荷時の情報を記し、他方の表面には内容物の回収時の情報を記すことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の包装用箱。
【請求項5】
前記第1の蓋部および前記第2の蓋部の一方の表面には、内容物を収容した当該包装用箱の輸送用の出荷伝票を貼付することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の包装用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−201560(P2011−201560A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68720(P2010−68720)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】