説明

包装箱構成部材

【課題】機械による自動組み立てが可能であり、他の部材を安定状態で保持または係止可能とする。
【解決手段】複数の側壁4A〜4D,12A〜12Dの上下いずれかの端縁を閉塞壁(底壁3,天壁11)により閉塞した一端開口の箱本体2または蓋体10などの包装箱構成部材において、隣接する側壁4A〜4D,12A〜12Dの両側縁における閉塞壁(底壁3,天壁11)の側に、これら側壁4A〜4D,12A〜12Dに連続するとともに内向きに折り込んで側壁4A〜4D,12A〜12Dの稜部から突出される一対の折込片17a,17bと、これら折込片17a,17bの開口側の端縁から略直交方向に延びる係止面20とを備えた断面略T字形状の係止段部16を設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱本体や蓋体などの一端を開口した包装箱構成部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりギフト商品を収容して展示および搬送する場合、上端開口の箱本体と、該箱本体とは別体の下端開口の蓋体とからなる包装箱が使用されている。この包装箱は、蓋体を開けて箱本体に収容させた状態で展示する際に、購入者が商品を確認し易くするために、箱本体の側壁を商品の全高より低くし、その商品の上部が箱本体から露出するように構成している。
【0003】
このような包装箱を使用し、蓋体をした状態で積み重ねたり、搬送時に上部に他の物が載せられた場合には、その荷重が商品に直接的に加わるという問題がある。そのため、従来では、蓋体の内部に、該蓋体の天壁と箱本体の側壁の上端との間に所定の隙間を形成するための天パッド(スペーサ)を配設していた。
【0004】
しかし、この構成では、箱本体と、蓋体と、天パッドとの3部材が必要になるため、組立作業性やこれらのブランクの保管に係るスペースが広くなるという問題がある。そこで、蓋体に箱本体の上端との間に所定の隙間を形成する構造を一体に設けることが要望されている。
【0005】
一方、箱本体の内部に所定の商品を収容させ、その上部に説明書などの他の物品を収容させる場合には、前記と同様に、箱本体内に所定高さのスペーサを配置し、その上部に仕切板を配置することにより、その上に他の物品を収容させていた。
【0006】
しかし、この構成では、箱本体と、スペーサと、仕切板と、蓋体との4部材が必要になるため、前記と同様に、組立作業性やこれらのブランクの保管に係るスペースが広くなるという問題がある。そこで、箱本体に仕切板を配置する構造を一体に設けることが要望されている。
【0007】
本発明の包装箱の蓋体に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0008】
【特許文献1】実公昭63−13153号公報
【0009】
この特許文献1では、蓋体の天壁の周囲に形成する側壁を2重壁で構成し、隣接する側壁の内側に位置する内面部に係止段部が設けられている。そして、この蓋体を組み立てる際には、前記係止段部を、隣接する側壁の外側に位置する外面部へ貼着することにより、該係止段部を隣接する側壁間に斜めに架け渡すように位置させる構成としている。そのため、この蓋によって箱本体を閉塞した場合、前記係止段部が箱本体の上端に係止することにより、商品に蓋の天壁が当接しないように構成することができる。
【0010】
しかしながら、前記包装箱の蓋は、隣接する側壁を構成する外側面を一方に設けた糊代部によって貼着し、各側壁の内側面を内側に折り曲げた状態で、その隅に位置する係止段部を隣接する側壁に貼着する必要があるため、その組み立て動作が非常に複雑である。そのため、機械による自動組み立てを行う場合、その機構が非常に複雑になり、コスト高になるという問題がある。また、機械による自動組み立てができない可能性もあり、この場合には手作業によって組み立てなければならないため、非常に面倒である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明では、機械による自動組み立てが可能であり、他の部材を安定状態で保持または係止可能な包装箱構成部材を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明の包装箱構成部材は、平面視多角形状をなすように囲繞される複数の側壁の上下いずれかの端縁を閉塞壁により閉塞した一端開口の箱本体または蓋体などの包装箱構成部材において、隣接する前記側壁の両側縁における前記閉塞壁の側に、これら側壁に連続するとともに内向きに折り込んで前記側壁の稜部から突出される一対の折込片と、これら折込片の開口側の端縁から略直交方向に延びる係止面とを備えた断面略T字形状の係止段部を設けた構成としている。
【0013】
前記包装箱構成部材では、蓋体として使用し、商品を収容した箱本体を閉塞した場合、内向きに突出した係止段部が箱本体の側壁の上端に係止するため、その閉塞壁である天壁は、箱本体の側壁の上端から所定間隔をもって上方に浮いた状態に保持される。また、前記係止段部は、折込片の端縁から略直交方向に延びる係止面を備えているため、箱本体の側壁の上端に係止した状態を安定して維持できる。そのため、この蓋体を適用した包装箱を積み重ねたり、搬送時に上部に軽い他の物が載せられても、その荷重が商品に直接的に加わることはない。
【0014】
また、前記包装箱構成部材を箱本体として使用した場合、係止段部の下側に所定の商品を収容させ、係止段部上に仕切板を配置することにより、その上に他の物品を簡単に配置できる。そして、前記と同様に、係止段部は係止面を備えているため、前記仕切板を安定した状態に保持することができる。
【0015】
さらに、この包装箱構成部材は、係止段部が内向きに誘導されるように折り曲げるように行う点でのみ、係止段部を設けていない従来の蓋と相違するため、確実に機械による自動組み立てが可能であり、その装置の改良および制作も比較的容易で、コストアップを抑制できる。
【0016】
この包装箱構成部材では、前記係止面は、一対の折込片の端縁から両側に折り曲げた一対の連続部と、これら連続部の先端縁に連続し略U字形状をなすように折り曲げられる折曲部とを有することが好ましい。
【0017】
この場合、前記折曲部は、対応する側壁の内面に沿う形状であることが好ましい。このようにすれば、係止面が折込片に対して直交方向に延びた状態に確実に維持できる。
【0018】
また、前記折込片から連続部を経て前記折曲部にかけて延びるスリットを設けることが好ましい。このようにすれば、係止段部での反発力を抑制し、組立状態を確実に維持できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の包装箱構成部材は、機械による自動組み立てが可能であり、蓋体および箱本体のいずれに使用しても、係止段部の係止面により、他の部材に係止保持した状態を安定して保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0021】
図1から図4は、本発明の実施形態に係る包装箱構成部材を蓋体10として使用した包装箱を示す。具体的には、この包装箱は、商品1の上部が露出する底が浅い箱本体2の上端開口を、本発明の包装箱構成部材である蓋体10により閉塞するものである。
【0022】
前記箱本体2は、長方形状をなす底壁3の各外周縁に4方を囲繞する側壁4A〜4Dを設けた段ボール紙製のものである。これら側壁4A〜4Dは、底壁3に連続する外側面5と、該外側面5に連続して内側に折り返される内側面6とからなる2重壁構造のものである。また、これら側壁4A〜4Dは、内部に収容する商品1の全高より低い高さに設定されている。
【0023】
本実施形態の蓋体10は、前記箱本体2の側壁4A〜4Dの外周部を囲繞する側壁12A〜12Dの上端開口を閉塞壁である天壁11により閉塞した下端開口のもので、図4(A)に示すように、周知の紙器打抜装置(図示せず)によって段ボール紙を連続した一枚のブランクとして打ち抜いて成形される。なお、前記段ボール紙は、一対の表紙と裏紙との間に波状の中しんを配設したものである。
【0024】
具体的には、この蓋体10のブランクは、箱本体2の外法と略同一の長方形状をなす天壁11を備えている。この天壁11には、上下端縁および左右端縁に側壁12A〜12Dが連設されている。そして、これら天壁11と側壁12A〜12Dの境界部分には、組立状態で外面側に位置する段ボール紙の表紙の側から肉厚を圧縮するように罫を入れて形成した折曲線13が設けられている。
【0025】
前記側壁12A〜12Dのうち、上下の側壁12A,12Bには、箱本体2の側壁4A〜4Dの全高より若干低い寸法の先端領域の両側縁に、側壁12C,12Dの下部に貼着するための糊代部14が連設され、その境界部分に前記と同様の折曲線15が設けられている。言い換えれば、これら糊代部14は、組立状態において開口端の側に位置するように、側壁12A,12Bの先端両側縁に設けられている。
【0026】
そして、本実施形態では、隣接する側壁12A〜12Dにおける天壁11の側の稜部、即ち、側壁12A,12Bにおける天壁11と連続の側の端縁には、それぞれと連続するように係止段部16が設けられている。具体的には、この係止段部16は、図4(B)に示すように、隣接する側壁12A〜12Dの隅にそれぞれと連続する一対の折込片17a,17bと、該折込片17a,17bに連続する係止面20とを備え、組立状態では折込片17a,17bの開口側の端縁から係止面20が略直交方向に延びるように折り畳まれる断面略T字形状のものである。
【0027】
前記折込片17a,17bは、組立状態で内向きに折り込むことにより隣接する側壁12A〜12Dの稜部から内向きに突出されるもので、隣接する側壁12A〜12Dの隅に正方形状をなすように連設され、前記天壁11の隅から対角に向けて延びる折曲線18を設けることにより、該折曲線18に対して線対称に形成されている。なお、前記折曲線18は、前記と同様の折曲線と、該折曲線に沿ってミシン目状に設けた切断線とからなるリード罫により構成している。また、これら折込片17a,17bと側壁12A〜12Dとの境界部分には、折曲線19が設けられている。前記糊代部14を形成した側壁12A,12Bの折曲線19は、前記折曲線15と直線的に一致するように設けられている。
【0028】
前記係止面20は、組立状態で開口側に位置するように折込片17a,17bの各端縁に連設されるもので、前記折込片17a,17bに連続する一対の連続部21a,21bと、これら連続部21a,21bに連続する折曲部22とを備えている。前記連続部21a,21bは、組立状態で折込片17a,17bの端縁から両側に折り曲げられるもので、折込片17a,17bとの境界部分には、折曲線18と同様のリード罫からなる折曲線23が設けられている。前記折曲部22は、前記連続部21a,21bに対して略U字形状をなすように折り曲げられるもので、各連続部21a,21bとの境界部分には、同様にリード罫からなる折曲線24が設けられている。この折曲部22は、組立状態で対応する側壁12A〜12Dの内面に沿うように直角二等辺三角形状に形成されている。なお、本実施形態では、連続部21a,21bと前記糊代部14との間の領域は、打ち落とさずに糊代部14として構成させている。
【0029】
そして、本実施形態では、前記係止段部16には、前記折込片17a,17bの境界部分先端から連続部21a,21bの境界部分を経て前記折曲部22にかけて延びる長楕円形状のスリット25が設けられている。なお、このスリット25は、長楕円形状の所謂溝に限られず、切刃による切断線により構成してもよい。なお、図4(A)中、符号26は、組立状態の蓋体10を平坦に折り畳むための折畳み用折曲線である。
【0030】
このような形状で打ち抜かれた蓋体10のブランクは、前記係止段部16の折込片17a,17bを内向きに誘導しながら、天壁11に対して各側壁12A〜12Dを折り曲げるとともに、側壁12A,12Bに対して糊代部14を折り曲げ、該糊代部14と隣接する側壁12C,12Dとをホットメルトなどの周知の接着剤により貼着することにより組み立てられる。
【0031】
ここで、前記係止段部16がない従来の蓋体10の組立方法は、前記係止段部16を内向きに誘導しない点でのみ相違する。即ち、本発明の蓋体10では、係止段部16を設けていない従来の蓋体10の製箱装置に対し、係止部を内向きに誘導(押圧)する機構または構造だけを付加すればよい。そのため、確実に機械による自動組み立てが可能であり、その装置の改良および制作も比較的容易で、コストアップを抑制できる。そして、本実施形態では、前記係止段部16の内向への誘導は、各折曲線を表紙の側から罫を入れた所謂逆罫からなるブランク構造により構成している。
【0032】
また、組立時には、図1(A),(B)から図3に示すように、係止段部16の折込片17a,17bが2つに折り込まれ、隣接する側壁12A〜12Dの上端の稜部から三角形状をなすように内向きに突出した状態になる。また、折込片17a,17bに連設された係止面20の連続部21a,21bは、折曲線が形成されていない折曲部22の連設により、必然的に外向きに折り曲げられる。そして、この連続部21a,21bの折れ曲がりに連動して前記折曲部22は、連続部21a,21bと重畳するように、これらに対して略U字形状をなすように折り曲げられる。
【0033】
そして、この蓋体10で商品1を収容した箱本体2を閉塞した場合、図1(A),(B)に示すように、係止段部16が箱本体2の側壁4A〜4Dの上端隅部に係止する。これにより、包装箱構成部材の閉塞壁である蓋体10の天壁11は、箱本体2の側壁4A〜4Dの上端から所定間隔をもって上方に浮いた状態に保持される。また、前記係止段部16は、折込片17a,17bの端縁から略直交方向に延びる係止面20を備えているため、箱本体の側壁4A〜4Dの上端に係止した状態を安定して維持できる。そのため、この蓋体10を適用した包装箱を積み重ねたり、搬送時に上部に軽い他の物が載せられても、その荷重が商品1に直接的に加わることはない。さらに、この蓋体10は、機械による自動組み立てが可能であり、その装置の改良および制作も比較的容易であるため、コストアップを抑制できる。
【0034】
また、本実施形態では、前記折曲部22を対応する側壁12A〜12Dの内面に沿う形状としているため、係止面20が折込片17a,17bに対して直交方向に延びた状態に確実に維持できる。さらに、前記折込片17a,17bから連続部21a,21bを経て前記折曲部22にかけて延びるスリット25を設けているため、係止段部16での反発力を抑制し、組立状態を確実に維持できる。
【0035】
なお、本発明の包装箱構成部材は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0036】
例えば、前記実施形態では、連続部21a,21bと糊代部14との間の領域は、打ち落とさずに糊代部14として構成させたが、打ち落とした構成としてもよい。また、前記領域において、鋭角に突出する先端部分を若干打ち落とし、組立状態で係止面20の折返部の先端縁を係止できる構成としてもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、本発明の包装箱構成部材を蓋体10として使用したが、図5に示すように、天壁11を底壁3として用いるだけで、何ら構成を変更することなく、蓋体10の代わりに箱本体2として使用することもできる。この箱本体2は、係止段部16の下側に所定の商品1を収容させ、係止段部16上に仕切板30を配置することにより、その上に他の物品を配置する構成として使用される。そして、この使用形態では、前記実施形態と同様に、係止段部16は係止面20を備えているため、前記仕切板30を安定した状態に保持することができる。なお、このように、本発明の包装箱構成部材を箱本体2として使用する場合には、蓋体は必ずしも必要ではなく、樹脂フィルムにより覆って閉塞する構成としても使用できる。
【0038】
さらに、前記実施形態では、包装箱構成部材を矩形状に形成したが、平面視三角形以上の多角形状であれば、その画数は希望に応じて変更が可能である。しかも、前記実施形態では、隣接する側壁の全ての稜部に係止段部を形成したが、その画数に応じて所定位置に設ければその数も種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態の包装箱構成部品を蓋体として使用した包装箱を示し、(A)は断面図、(B)は一部を破断した斜視図である。
【図2】図1(B)の全体構成を示す斜視図である。
【図3】図2の分解斜視図である。
【図4】蓋体のブランクを示す平面図である。
【図5】本発明の実施形態の包装箱構成部品を箱本体として使用した包装箱を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
2…箱本体(包装箱構成部材)
3…底壁(閉塞壁)
4A〜4D…側壁
10…蓋体(包装箱構成部材)
11…天壁(閉塞壁)
12A〜12D…側壁
16…係止段部
17a,17b…折込片
20…係止面
21a,21b…連続部
22…折曲部
25…スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視多角形状をなすように囲繞される複数の側壁の上下いずれかの端縁を閉塞壁により閉塞した一端開口の箱本体または蓋体などの包装箱構成部材において、
隣接する前記側壁の両側縁における前記閉塞壁の側に、これら側壁に連続するとともに内向きに折り込んで前記側壁の稜部から突出される一対の折込片と、これら折込片の開口側の端縁から略直交方向に延びる係止面とを備えた断面略T字形状の係止段部を設けたことを特徴とする包装箱構成部材。
【請求項2】
前記係止面は、一対の折込片の端縁から両側に折り曲げた一対の連続部と、これら連続部の先端縁に連続し略U字形状をなすように折り曲げられる折曲部とを有することを特徴とする請求項1に記載の包装箱構成部材。
【請求項3】
前記折曲部は、対応する側壁の内面に沿う形状であることを特徴とする請求項2に記載の包装箱構成部材。
【請求項4】
前記折込片から連続部を経て前記折曲部にかけて延びるスリットを設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の包装箱構成部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−44784(P2006−44784A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232478(P2004−232478)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】