説明

包装箱

【課題】納品後に画像形成装置を梱包している包装箱を再利用可能として、廃棄部品を完全になくし、環境保護に役立つとともに、画像形成装置の回収時の利便性を高めた包装箱を提供する。
【解決手段】格納部15を設けて画像形成装置20と一体的に形成されている第1の構成部品12と、その第1の構成部品に組み付けて画像形成装置を包装する一方、分解して格納部に収納可能とされる複数の第2の構成部品13とからなる。第1の構成部品は、画像形成装置の底部において画像形成装置と一体的に形成されている。第2の構成部品は、複数の板部材13a、13b、13c、13d、13eからなり、それらの複数の板部材が、第1の構成部品に組み付けるときに、それぞれ締結部材によって第1の構成部品または他の板部材に締結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機等の画像形成装置を、ユーザーの元等に納品したり、納品後の同画像形成装置を製造元等に回収したりするときに、画像形成装置を保護すべく梱包する包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、印刷機、およびそれらの複数の機能を併せて持つ複合機などの画像形成装置は、ユーザーの元等に納品するため輸送するときに、梱包して保護すべく包装箱で被っている。その包装箱は、今日、環境保護の観点から、構成部品の使用量減や有効使用が期待されている。このため、例えば特許文献1に記載されるように、発泡プラスチック等を減少して荷造り材料の回収廃棄等を容易とする技術が提案され、また特許文献2に記載されるように、包装箱とともに廃棄されていた緩衝材を、納品後に防音板として活用する技術が提案されている。
【0003】
他方、環境保護の観点から、画像形成装置のリサイクル使用が望まれ、使用後の画像形成装置を製造元等に戻すことが行われている。このため、例えば特許文献3に記載されるように、予め回収用の梱包用具を準備しておいて、回収時に梱包用具を準備する手間を省く技術が提案され、また特許文献4に記載されるように、使用済みのトナーカートリッジ等をリサイクル使用するために業者へ返送する製品返送用パッケージに関する技術が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005‐67657号公報
【特許文献2】特開平5‐330581号公報
【特許文献3】特開2005‐88908号公報
【特許文献4】特開平10‐95494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、従来、画像形成装置をユーザーの元等へ納品後に、不要となった包装箱の回収廃棄等を容易としたり、包装箱の構成部品の一部を再利用して廃棄部品を少なくしたり、また使用後の画像形成装置を製造元等に戻すときの利便性を高めたりするものはある。しかし、画像形成装置をユーザーの元等へ納品時に、廃棄部品を完全になくすことはできず、環境保護の観点からなお問題があった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、納品後に画像形成装置を梱包している包装箱を再利用可能として、廃棄部品を完全になくし、環境保護に役立つとともに、画像形成装置の回収時の利便性を高めた包装箱を提供することにある。
【0007】
この発明の第2の目的は、第1の構成部品が邪魔になることなく、画像形成装置の設計を容易とすることにある。
【0008】
この発明の第3の目的は、第1の構成部品に対する組み付けを容易として画像形成装置の包装を簡単とする一方、第2の構成部品の分解を容易として格納部への収納を簡単とすることにある。
【0009】
この発明の第4の目的は、包装箱で梱包している画像形成装置がいかなる画像形成装置であるか、包装箱を開けるまでもなく、容易に判別可能とすることにある。
【0010】
この発明の第5の目的は、回収時等のユーザーや業者の手間を省いて負担を軽減し、回収効率を上げることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る包装箱は、
格納部を設けて画像形成装置と一体的に形成されている第1の構成部品と、
その第1の構成部品に組み付けて画像形成装置を包装する一方、分解して前記格納部に収納可能とされる複数の第2の構成部品と、
からなることを特徴とする。
【0012】
そして、画像形成装置の納品時は、第2の構成部品を第1の構成部品に組み付けて画像形成装置が梱包される。納品後は、第2の構成部品を分解して第1の構成部品の格納部に収納される。回収時は、格納部から第2の構成部品を取り出して第1の構成部品に組み付け、使用済みの画像形成装置が梱包される。
【0013】
第1の構成部品は、画像形成装置の底部において画像形成装置と一体的に形成されているとよい。第2の構成部品は、複数の板部材からなり、それらの複数の板部材が、第1の構成部品に組み付けるときに、それぞれ締結部材によって第1の構成部品または他の板部材に締結されるようにするとよい。それらの板部材は、表裏反転しても、第1の構成部品に組み付け可能とされているとよい。
【0014】
第2の構成部品に、画像形成装置に関する情報を表示する表示部が設けられ、例えばロットナンバーや回収時の送付先や流通業者などの情報が表示されているとよい。また、第2の構成部品に、画像形成装置に関する情報を記憶するICチップが設けられているとよい。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る包装箱によれば、納品後は、第2の構成部品を分解して第1の構成部品の格納部に収納され、回収時は、格納部から第2の構成部品を取り出して第1の構成部品に組み付け、使用済みの画像形成装置の梱包に再利用されるので、納品後に画像形成装置を梱包している包装箱を格納して回収時に再利用可能とし、開梱時の廃棄部品を完全になくし、環境保護に役立つとともに、回収時には格納保管する第2の構成部品を取り出して梱包すればよいから、梱包部品を準備する手間が要らず、画像形成装置の回収時の利便性を高めることができる。
【0016】
第1の構成部品が、画像形成装置の底部において画像形成装置と一体的に形成されていると、画像形成装置と一体的に形成されて第2の構成部品を収納する第1の構成部品が邪魔になることなく、画像形成装置の周囲および上方を有効に利用可能として、画像形成装置の設計を容易とすることができる。
【0017】
第2の構成部品が、複数の板部材からなり、それらの複数の板部材が、第1の構成部品に組み付けるときに、それぞれ締結部材によって第1の構成部品または他の板部材に締結されるようにすると、第1の構成部品に対する組み付けを容易として画像形成装置の包装を簡単とする一方、第2の構成部品の分解を容易として格納部への収納を簡単とすることができる。
【0018】
板部材が、表裏反転しても、第1の構成部品に組み付け可能とされていると、板部材を表裏反転して使用することで、包装箱で梱包している画像形成装置がいかなる画像形成装置であるか、収納する画像形成装置に関する情報を表示して、包装箱を開けるまでもなく容易に判別可能とすることができる。例えば、包装箱内の画像形成装置が、使用前のものであるか、使用済みのものであるかを一目瞭然とすることができる。
【0019】
画像形成装置に関する情報を表示する表示部が設けられ、例えばロットナンバーや回収時の送付先や流通業者などの情報が表示されていると、回収時等のユーザーや業者の手間を省いて負担を軽減し、回収効率を上げることができる。第2の構成部品に、画像形成装置に関する情報を記憶するICチップが設けられていると、情報内容を多くしてユーザーや業者の手間を省き、一層、回収時等のユーザーや業者の負担を軽減して回収効率を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良の形態につき説明する。
図1には、納品時の搬送状態であって、この発明に係る包装箱で画像形成装置が梱包されている状態の外観を斜め上から見て示す。図2には、その包装箱の片側を破断して除去した状態を示す。
【0021】
図示梱包箱10は、図示するように、第1の構成部品12と複数の第2の構成部品13とからなる。第1の構成部品12は、扁平な直方体形状をなし、右側面に出し入れ開口14をあけて内部に空洞を形成することにより格納部15が設けられている。他方、第2の構成部品13は、5つの板部材13a、13b、13c、13d、13eからなり、それらの板部材がそれぞれ不図示の締結部材によって締結されることにより直接または他の板部材を介して間接的に第1の構成部材12に組み付けられている。
【0022】
すなわち、前板13a、後板13b、左板13c、右板13dが、それぞれ取付ねじ等の締結部材を用いて、第1の構成部品12に適宜ねじ止めされるとともに、互いにねじ止めして連結され、さらにそれらの板部材13a、13b、13c、13dの上に上板13eがねじ付けられ、第1の構成部材12に組み付けて包装箱10で、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置20が梱包されている。締結部材として取付ねじを用いる場合には、相手方の部材にねじ込むボス部が形成される。
【0023】
図3には、納品後に、ユーザー先等で画像形成装置の梱包を解いた状態を示す。
図示するように、第1の構成部品12は、画像形成装置20の底部において画像形成装置20と一体的に形成されている。例えば、画像形成装置20の底板にねじ止めされたり、底板と一体に形成されたりしている。第2の構成部品13は、不図示の締結部材を外すことによって複数の板部材13a、13b、13c、13d、13eに分解され、それらが出し入れ開口14を通して第1の構成部品12の格納部14内に入れられ、適宜重ね合わされてその格納部15内に収納されている。このとき、板部材は、ボス部をずらして重ね合わされる。なお、図示省略するが、取り外した締結部材も、まとめて適宜格納部14内に収納保管されるようになっている。
【0024】
このように、画像形成装置20の納品時は、第2の構成部品13を第1の構成部品12に組み付けて、図1に示すようにこの発明に係る包装箱10で画像形成装置20が梱包される。納品後は、第2の構成部品12を分解して適宜重ね合わされ、図2に示すように第1の構成部品13の格納部15に収納される。回収時は、格納部15から第2の構成部品13を取り出して第1の構成部品12に組み付け、再び図1に示すようにこの発明に係る包装箱10で使用済みの画像形成装置20が梱包される。
【0025】
よって、この発明に係る包装箱10によれば、納品後は、第2の構成部品13を分解して第1の構成部品12の格納部15に収納され、回収時は、格納部15から第2の構成部品13を取り出して第1の構成部品12に組み付け、使用済みの画像形成装置20の梱包に再利用されるので、納品後に画像形成装置20を梱包している包装箱10を格納して回収時に再利用可能とし、開梱時の廃棄部品を完全になくし、環境保護に役立つとともに、回収時には格納保管する板部材13a、13b、13c、13d、13eを取り出して梱包すればよいから、別途梱包部品を準備する手間が要らず、画像形成装置20の回収時の利便性を高めることができる。
【0026】
第1の構成部品12は、画像形成装置20の底部に限らず、画像形成装置20の背面において画像形成装置20と一体的に形成することもできる。しかし、そのような構成とすると、電気コード引き出し口や排気口などを画像形成装置20の背面以外に設けなければならなくなり、画像形成装置の設計に制約を受けることとなる。これに対し、図示例のように、第1の構成部品12が、画像形成装置20の底部において画像形成装置20と一体的に形成されていると、画像形成装置20と一体的に形成されて第2の構成部品13を収納する第1の構成部品12が邪魔になることなく、画像形成装置20の周囲および上方を有効に利用可能として、画像形成装置20の設計を容易とすることができる。
【0027】
第2の構成部品13が、複数の板部材13a、13b、13c、13d、13eからなり、それらの複数の板部材が、第1の構成部品12に組み付けるときに、それぞれ締結部材によって第1の構成部品12または他の板部材に締結されるようにすると、第1の構成部品12に対する組み付けを容易として画像形成装置20の包装を簡単とする一方、第2の構成部品13の分解を容易として適宜重ね合わせて格納部15への収納を簡単とすることができる。
【0028】
図4には、第2の構成部品13を構成する板部材13a、13b、13c、13d、13eの表裏を示す。
この例では、複数の板部材13a、13b、13c、13d、13eは、それぞれ表面が青色に、裏面が赤色に形成されている。そして、表裏を反転しても、第1の構成部品12に組み付け可能とされている。
【0029】
そうして、納品時は、表側(青色側)が外側になるように第1の構成部品12に組み付けて画像形成装置20が梱包され、回収時は、裏側(赤色側)が外側となるように第1の構成部品12に組み付けて使用済みの画像形成装置20が梱包される。これにより、包装箱10内の画像形成装置20が、未使用のものか使用済みのものかを容易に判断することができるようになっている。
【0030】
図5には、回収時の搬送状態であって、この発明に係る包装箱で、使用済みの画像形成装置が梱包されている状態の外観を斜め上から見て示す。
包装箱10の上板13eには、画像形成装置20に関する情報を表示する表示部16、17が設けられている。これらの表示部16、17には、文字、記号、バーコードなどを用いて、プリンタ回収用の送り先、流通業者、ロットナンバーなどが表示されている。ユーザーは、これらの表示を下に、任意の集荷場所に届けたり、ユーザーの下へと回収に向かわせたりすればよく、回収時のユーザーや業者の負担を軽減して回収効率を上げることができる。
【0031】
また、図示例では、表示部16、17とともに、画像形成装置20の情報を記憶するICチップ18が設けられている。第2の構成部品13に、画像形成装置20に関する情報を記憶するICチップ18が設けられていると、情報内容を多くしてユーザーや業者の手間を省き、一層、回収時等のユーザーや業者の負担を軽減して回収効率を上げることができる。
【0032】
たまたまこの例では、上板13eに表示部16、17を設け、ICチップ18を設けるが、これらは上板13e以外の前板13a、後板13b、左板13c、右板13dなどに設けてもよく、表示部16、17だけでも良いし、ICチップ18だけでもよく、また表示部は当然に1つでも良いし、3つ以上であってもよい。複数の板部材に分散して設けるようにしてもよい。
【0033】
例えば、ユーザーは、画像形成装置20を回収先メーカへと送付するとともに、はがき、電話、FAX、およびインターネットなどを利用して所定の情報(ユーザーID、使用していた画像形成装置ID等)を回収先メーカへ連絡しておく。そして、回収先メーカが、前板13a、後板13b、左板13c、右板13d、および上板13eのいずれかに内蔵されたICチップ18等の情報から、プリンタが回収されたことを確認したとき、ユーザーの希望する消耗品をユーザーの下へ送付するサービスを行うようにすると、回収作業の効率向上を図ることができる。消耗品は、例えばプリンタでは必ず必要となるトナーやインク類が好ましいと考える。また、ユーザーの希望する消耗品を自社・他社問わず提供することで、業界全体で環境保全を目指すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】納品時の搬送状態であって、この発明に係る包装箱で画像形成装置が梱包されている状態の外観斜視図である。
【図2】その包装箱の片側を破断して除去した状態を示す斜視図である。
【図3】その納品後に、ユーザー先等で画像形成装置の梱包を解いた状態を示す斜視図である。
【図4】その包装箱の第2の構成部品を構成する板部材の表面と裏面を並べて示す図である。
【図5】回収時の搬送状態であって、この発明に係る包装箱で、使用済みの画像形成装置が梱包されている状態の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
10 包装箱
12 第1の構成部品
13 第2の構成部品
13a 前板(板部材)
13b 後板(板部材)
13c 左板(板部材)
13d 右板(板部材)
13e 上板(板部材)
14 出し入れ開口
15 格納部
16 表示部
17 表示部
18 ICチップ
20 画像形成装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納部を設けて画像形成装置と一体的に形成されている第1の構成部品と、
その第1の構成部品に組み付けて画像形成装置を包装する一方、分解して前記格納部に収納可能とされる複数の第2の構成部品と、
からなることを特徴とする、包装箱。
【請求項2】
前記第1の構成部品が、画像形成装置の底部において画像形成装置と一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記第2の構成部品が、複数の板部材からなり、それらの複数の板部材が、前記第1の構成部品に組み付けるときに、それぞれ締結部材によって前記第1の構成部品または他の板部材に締結されることを特徴とする、請求項1または2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記板部材が、表裏反転しても、前記第1の構成部品に組み付け可能とされていることを特徴とする、請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記第2の構成部品に、画像形成装置に関する情報を表示する表示部が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1に記載の包装箱。
【請求項6】
前記第2の構成部品に、画像形成装置に関する情報を記憶するICチップが設けられていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1に記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−196682(P2009−196682A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41698(P2008−41698)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】