説明

包装箱

【課題】 蓋体の組み合わせによって様々な閉塞形態を有した箱型形状に容易に組み立てることができると共に、専用のシール材を用いることなく、送付用のラベルの貼着のみによって、閉じられた蓋体を容易且つ確実に貼着させることのできる包装箱を提供することである。
【解決手段】 底面体12と4面の側片からなる側面体13とで形成された収納スペースの上部を閉塞する蓋体14が各側片の上端から折曲げ可能に延設される包装箱11において、前記蓋体14は、一方の対向する側片に設けられる第1及び第2の蓋片14a,14bと、他方の対向する側片に設けられる第3及び第4の蓋片14c,14dとを備え、第1及び第2の蓋片14a,14bと第3及び第4の蓋片14c,14dとの間には係合部20が設けられ、この係合部20は、第1及び第2の蓋片14a,14bの上に第3及び第4の蓋片14c,14dを被せたときに互いに係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品物等を収容するための組立式の包装箱であって、郵送や宅送等の輸送用あるいは保管用として有用な包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、果物その他の品物を詰めて輸送や保管をするために、厚紙やダンボール等を用いた組立式の包装箱が用いられる。この包装箱は、一枚の厚紙やダンボール紙から4面の側面体と、それぞれの側面体の下辺から折曲げ可能に延びる4片の底片と、前記側面体の上辺から折曲げ可能に延びる4片の蓋片とを切り抜いた型紙を折り曲げたり、組み合わせたりすることによって、所定の収容スペースを有した箱型に形成される。このようにして組み立てられた包装箱は、前記収容スペース内に品物を詰めた後、蓋体を構成する4面の蓋片をそれぞれ内側に折り曲げるようにして重ね合わせ、この重ね合わせた部分を粘着テープ等のシール材によって貼着させている。
【0003】
このようにして、組立、収容及び貼着された包装箱の蓋体の上面に発送先の住所や名前等のあて先が記載された送付ラベルを貼り付けることによって、発送処理が行われる。郵送や宅送用として一般に用いられる送付ラベルは、表面がカーボン紙で挟まれた複数の記入面となっており、裏面が粘着面となっている。
【0004】
前記あて先等が記載された送付ラベルやシール等を包装箱に貼る場合は、シール材によって貼着された包装箱の表面にそのまま粘着面によって貼り付けるだけとなっている。また、特許文献1に開示されているように、収容スペースを閉塞する蓋体とは別に前記送付ラベル等を貼り付けるための帯体を別途設け、この帯体を前記蓋体の上に被せるようにした形態の包装箱がある。この包装箱によれば、包装箱本体に直接ラベル等を貼着しないので、一度発送して使用済となった包装箱本体を汚したり破損したりすることなく再利用できる点に特徴を有したものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−296838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の組立式の包装箱にあっては、四角形状の底面体及びこの底面体から立ち上がる4面の側面体によって形成された収容スペースを保持して閉塞させるためには、蓋体で前記収容スペースの上方を覆った後、前記蓋体の重なり部分や組み合わせ部分から側面体の一部に掛かるようにシール材で封止する必要があった。このため、蓋体の重なりや組み合わせがずれたり、シール材の貼り合わせ位置が合わなかったりすると、箱自体の強度が弱くなるとともに、蓋体の閉塞が十分に行われない場合がある。
【0007】
前記蓋体は四角形状の4面の蓋片によって構成され、各蓋片をそれぞれ単純に重ね合わせることによって、前記収容スペースの上部を閉塞させるのを主目的としている。このため、閉塞形態が画一的であり、保管や展示用といった輸送目的以外で使用するにはデザイン性に乏しいものとなっていた。
【0008】
また、郵送や宅送等の際には、前記シール材で蓋体を貼着させた後、さらに、前記シール材の上から送付用のラベルやシール等を貼り付けなければならないため、配送のための準備作業が余計にかかるといった問題がある。
【0009】
一方、特許文献1に開示されている包装箱にあっては、蓋体とは別体で送付用のラベル等を貼り付けるための帯体を設けなければならず、材料費や加工費が多くなるといった問題もある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、蓋体の組み合わせによって様々な閉塞形態を有した箱型形状に容易に組み立てることができると共に、専用のシール材を用いることなく、送付用のラベルの貼着のみによって、閉じられた蓋体を容易且つ確実に貼着させることのできる包装箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の包装箱は、四角形状の底面体とこの底面体の各辺より立ち上がる4面の側片からなる側面体とで収納スペースを形成し、この収納スペースの上部を閉塞する蓋体が各側片の上端から折曲げ可能に延設される包装箱において、前記蓋体は、一方の対向する側片に設けられる第1及び第2の蓋片と、他方の対向する側片に設けられる第3及び第4の蓋片とを備え、第1及び第2の蓋片と第3及び第4の蓋片との間には係合部が設けられ、この係合部は、第1及び第2の蓋片の上に第3及び第4の蓋片を被せたときに互いに係合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装箱によれば、四角形状の底面体とこの底面体から立ち上がる4面の側片からなる側面体とによって品物を収容するための収容スペースが形成され、前記4面の側片の上辺部からそれぞれ折曲げ可能に延設され、それぞれに係合部を有する4面の蓋片の組み合わせや重ね合わせの選択によって、様々な閉塞形態をとることができる。特に、前記4面の蓋片の形状やサイズ、係合部の位置や数を設定することで、収容スペースの広さ、あるいは、輸送や保管等の適した形態の包装箱を提供することができる。
【0013】
また、前記係合部を覆うようにして送付用のラベルを貼着することによって、粘着テープ等による専用のシール材を用いることなく、品物を納めた収容スペースの上部を確実且つ容易に閉塞させることができる。
【0014】
なお、前記4面の蓋片は、それぞれが部分的に重なり合うように形状やサイズ等を変えて形成することができるので、収容スペースの広さ等に応じて、重なり部分を多くするなどの調整を行うことができる。さらに、前記蓋片を様々な形態とすることによって、蓋体のデザイン性を高めることができ、輸送用としての包装目的以外に品物の保管や展示を目的する場合の容器として利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る第1実施形態の包装箱の斜視図である。
【図2】上記包装箱の4面の蓋片を開放した状態の斜視図である。
【図3】上記包装箱の第1及び第2の蓋片を閉じた状態を示す斜視図である。
【図4】上記包装箱の第3及び第4の蓋片を閉じる状態を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る第2実施形態の包装箱の斜視図である。
【図6】上記包装箱の4面の蓋片を開放した状態の斜視図である。
【図7】上記包装箱の第1の蓋片を閉じる状態(a)、この第1の蓋片の上に重ねて第2の蓋片を閉じた状態(b)を示す斜視図である。
【図8】上記包装箱の第3及び第4の蓋片を閉じる状態を示す斜視図である。
【図9】上記包装箱の展開図である。
【図10】本発明に係る第3実施形態の包装箱の斜視図である。
【図11】上記包装箱の第1及び第2の蓋片を閉じる状態を示す斜視図である。
【図12】上記包装箱の第3及び第4の蓋片を閉じる状態を示す斜視図である。
【図13】上記包装箱の断面図である。
【図14】上記包装箱の展開図である。
【図15】図14におけるA部及びB部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明に係る第1実施形態の包装箱11の外観形状を示したものである。この包装箱11は、四角形状の底面体12と、この底面体12の各辺から立ち上がる4面の側片13a,13b,13c,13dで構成される側面体13と、各側片の上辺から延設される4面の蓋片14a,14b,14c,14dからなる蓋体14とによって構成されており、前記4面の蓋片を重ね合わせることで、内部を閉塞するようになっている。また、この包装箱11を郵送や宅送する際には、前記蓋体14の上からあて先等を記載した送付ラベル15が貼り付けられる。
【0017】
前記包装箱11は、一枚の厚紙やダンボール紙を所定形状に切り抜いた型紙(図示せず)を折曲線に沿って折り曲げることによって組立形成される。前記型紙は、折曲線によって4面の側片が連結された長方形状の側面体13と、この側面体13の下辺から折曲げ可能に延びる4面の底片と、側面体13の上辺から折曲げ可能に延びる4面の蓋片とからなっている。前記側面体13は、3箇所の折曲線を内側に向けてそれぞれ直角に折り曲げた後、四角形状に連結形成する。次に、4面の底片の対向する底片同士の一部が重なり合うようにして組み合わされた四角形状の底面体12を形成する。この底面部12と、4面の側片からなる側面体13とによって囲われた空間が品物等を収容するための収容スペース16となる。
【0018】
前記蓋体14は、図1に示したように、4面の側片13a〜13dの各上辺から延設された4面の蓋片14a〜14dによって構成されている。この蓋体14は、図2及び図3に示すように、底面体12及びこの底面体12を囲う側面体13による収容スペース16の上部を覆うように折れ曲がる一方の対向する第1及び第2の蓋片14a,14bと、この第1及び第2の蓋片14a,14bの一部を覆うようにして重なる他方の対向する第3及び第4の蓋片14c,14dとによって構成される。前記第1及び第2の蓋片14a,14bは、それぞれの先端辺同士を突き合わせるようにして折り曲げることによって、前記収容スペース16の上部を閉塞する。前記第3及び第4の蓋片14c,14dは、図4に示すように、前記第1及び第2の蓋片14a,14bの両側上部を上から押さえるようにして折り重ねられる。
【0019】
また、図1に示したように、前記4面の蓋片14a〜14dには、重なり合う部分にそれぞれ係合部20が設けられる。この係合部20は、第1及び第2の蓋片14a,14bに開設される一対の係合溝17と、第3及び第4の蓋片14c,14dに設けられ、各蓋片を重ね合わせた際に前記一対の係合溝17に差し込まれる一対の係合片18とによって構成される。この係合片18は、第3及び第4の蓋片14c,14dのそれぞれにスリット19を設けることによって形成される。
【0020】
なお、前記第3及び第4の蓋片14c,14dの表面には、図4に示したように、閉じられた第1及び第2の蓋片14a,14bの各係合溝17に係合片18を差し込む際に一時的に折曲げ変形させるための折曲罫線21が設けられる。
【0021】
前記係合部20によって、第1及び第2の蓋片14a,14bと第3及び第4の蓋片14c,14dが係合されて収容スペース16の上部を閉じた後、図1に示したように、4箇所の係合部20を四隅として、この四隅の内側に露出している第1及び第2の蓋片14a,14bを覆い隠すようにして、ラベル15が第3の蓋片14cと第4の蓋片14dとの間に掛け渡して貼着される。前記ラベル15は、裏面側が粘着面15bで、表面に宛先等を記載する記載面15aで構成された一般的な送付用ラベルを利用することができる。
【0022】
この実施形態の包装箱11にあっては、第1及び第2の蓋片14a,14bで収容スペース16の上部を閉塞することができ、第3及び第4の蓋片14c,14dとの重なり部分及び4箇所の係合部20によって、蓋体14が開かないように仮留めさせることができる。そして、上述したように、第3の蓋片14cと第4の蓋片14dとの間に前記ラベル15を掛け渡すようにして貼着させることで、蓋体14を封止させることができるので、別途シール材を用いることなく、そのまま郵送や宅送等の輸送手段に乗せることができる。
【0023】
図5乃至図9は、第2実施形態の包装箱31を示したものである。この包装箱31は、4面の底片を組み合わせてなる四角形状の底面体32と、この底面体32の各辺から立ち上がる4面の側片33a〜33dからなる側面体33とで収容スペース36を形成している(図6)。この収容スペース36を覆う蓋体34は、4面の蓋片34a〜34dで構成され、このうち一方の対向する第1及び第2の蓋片34a,34bは、それぞれが前記収容スペース36の開放面と略同一の平面サイズを有して形成され、折り重なるようにして閉じられる(図7(a),(b))。また、他方の対向する第3及び第4の蓋片34c,34dは、それぞれ折り曲げた際に、前記第1及び第2の蓋片34a,34bの両端部側を上から押さえるようにして閉じられる(図8(a),(b))。
【0024】
前記第1及び第2の蓋片34a,34bと第3及び第4の蓋片34c,34dとが重なる蓋体34の中央部側に係合部40が2箇所設けられる(図5)。この係合部40は、図6に示したように、第1の蓋片34aに設けられる第1の係合溝37a及び第2の蓋片34bに設けられる第2の係合溝37bと、第3及び第4の蓋片34c,34dにそれぞれ設けられる係合片(係合凸片)38とによって構成されている。前記第1の係合溝37a及び第2の係合溝37bは、前記係合凸片38が挿入可能なスリット幅に形成されるが、僅かにそのスリット幅を変えて形成される。前記係合凸片38は、前記係合溝37a,37bの溝長に合わせて形成され、第3及び第4の蓋片34c,34dの先端部の中央部から突出して設けられる。
【0025】
図9は、上記包装箱31を形成するための形成型45の展開図を示したものである。この形成型45は、長方形状の一枚の厚紙やダンボール紙から底面体32、側面体33及び蓋体34の輪郭に沿って打ち抜きあるいは切り抜きによって形成される。また、底面体32及び蓋体34は、それぞれ組み合わせや重ね合わせが可能となるような形状に4面が側面体33から折曲げ可能に分離され、第1及び第2の蓋片34a,34bに係合溝37a,37bを開設し、第3及び第4の蓋片34c,34dには係合凸片38が切り込み形成される。さらに、前記側面体33には4面の側片33a〜33dに折り曲げるための3本の折曲線41、4面の底片32a〜32dに折り曲げるための折曲線42、4面の蓋片34a〜34dに折り曲げるための折曲線43が設けられる。前記第1及び第2の蓋片34a,34bについては、いずれも上側又は下側に折り重ねが容易となるように、この部分の折曲線43a,43bを他の折曲線よりも太くして形成される。
【0026】
本実施形態では、最初に折り曲げられて下側に位置する第1の蓋片34aに設けられた第1の係合溝37aの方が、その上に折り重なる第2の蓋片34bに設けられた第2の係合溝37bよりもスリット幅が狭くなるように形成されている。この狭い方のスリット幅は、係止効果を高めるため、係合凸片38が容易に外れないように、ある程度の力を入れて押し込みながら挿入できるように設定され、第2の係合溝37bの方は係合凸片38を差し込みやすくするように多少余裕を持たせて形成されている。なお、前記第1及び第2の蓋片34a,34bのいずれを下側又は上側になるように折り重なるようにしてもよく、このような重なり合う第1の係合溝37a及び第2の係合溝37bのスリット幅の違いによって、差し込まれた係合凸片38の抜けを防止することができる。
【0027】
なお、前記第3及び第4の蓋片34c,34dの表面には、係合凸片38を係合溝37a,37bに差し込みやすくするために、折曲罫線44が設けられる。この折曲罫線44によって、一時的に折曲げ変形させた状態で、係合凸片38を係合溝37a,37bに差し込んだ後に、前記折曲罫線44の上を押さえるようにして伸ばす。これによって、図5に示したように、収容スペース36の上部を閉塞させている第1及び第2の蓋片34a,34bの上部両側を第3及び第4の蓋片34c,34dによって仮留め固定させることができる。
【0028】
次に、送付用のラベル35を一対の係合部20と、第1及び第2の蓋片34a,34bが露出している部分を覆い隠すようにして、第3の蓋片34cと第4の蓋片34dとの間に掛け渡して貼着することで、蓋体34を封止することができる。
【0029】
この実施形態によれば、収容スペース36の上部が第1及び第2の蓋片34a,34bによって二重に封止することができるとともに、それぞれの係合溝37a,37bを通るように、第3及び第4の蓋片34c,34dの係合凸片38が差し込まれるので蓋体34が容易に開かないように閉塞させることができる。また、一対の係合部40が蓋体34の中央部側に設けられているため、平面サイズの大きな包装箱であっても、前記係合部40を中心としてラベル35を貼着することで、蓋体34の封止を簡易に行うことができる。
【0030】
また、前記蓋体34は、前記第1の蓋片34aの上に第2の蓋片34bを重ね、この第2の蓋片34bの上にラベル35が貼着されることで輸送用の包装箱として利用することができるが、このような利用が終えた後に、ラベル35が剥がされた第2の蓋片34bを下にしてその上に第1の蓋片34aを重ね合わせるようにすれば、ラベル35の貼着跡が隠れ、外観上の見栄えを損なわないような保管用あるいは展示用の包装箱として再利用することができる。このような輸送以外の目的で利用する場合は、前記第1の蓋片34aと第2の蓋片34bにそれぞれ異なったデザイン性のある文字や模様を施すことができる。
【0031】
図10乃至図15は、第3実施形態の包装箱51を示したものである。この包装箱51は、図14に示すような形成型65から組み立てられる。この形成型65は、厚みが3mm程度の長方形状の一枚の厚紙やダンボール紙から底面体52、側面体53及び蓋体54の輪郭に沿って打ち抜きあるいは切り抜きによって形成される。側面体53は、4面の側片53a〜53dからなり、3本の折曲線61をそれぞれ内側に直角に折り曲げた後、一方の端部の側片53cに設けられている接合片66を他方の端部の53bに接合することによって、四角形状に形を整えて組み立てられる。底面体52は、4面の底片52a〜52dからなり、折曲線62に沿ってそれぞれ内側に折曲げられ、それぞれの底片52a〜52dの一部が互いに重なり合うようにして四角形状に組み合わされる。蓋体54は、一方の対向する第1及び第2の蓋片54a,54bと、他方の対向する第3及び第4の蓋片54c,54dとで構成されており、折曲線63に沿ってそれぞれ内側に折曲げられる。なお、前記第3及び第4の蓋片54c,54dは、いずれも上側又は下側に折り重ねが容易となるように、この部分の折曲線63c,63dを他の折曲線よりも太くして形成される。
【0032】
この実施例においては、特に第1及び第2の蓋片54a,54bは、図11乃至図13に示したように、それぞれの側片53a,53bの内側面に沿うように折り返される第1の補強片67及びこの第1の補強片67から底面体52の内側面上に延びるように折り返される第2の補強片68によって構成されている。第1の蓋片54aと第2の蓋片54bから延びる一対の補強片68は、先端部同士が底面体52の内側面上で当接し、平らな底面を形成する。即ち、この実施例における第1及び第2の蓋片54a,54bは、収納スペース56の上部を閉塞する蓋体としてではなく、底面体52及び側面体53の補強と箱の底面を平らに保つための役割を有している。また、前記側片53a,53bと第1の補強片67との折り返し部分は、第3及び第4の蓋片54c,54dを重ね合わせるための一定の幅を有した額縁部69として形成される。この額縁部69は、前記第3及び第4の蓋片54c,54dが載置される蓋の役割を有しているが、他の第1の補強片67は側面体53、第2の補強片68は底面体52をそれぞれ内側面から補強する役割を有している。図13に示したように、左右一対の第2の補強片68の先端部が突き合わされるように組み立てることで、側面体53及び底面体52に沿った補強ができる。
【0033】
前記額縁部69は、例えば1cm程度の幅に形成され、ここに前記第3及び第4の蓋片54c,54dを係合するための係合部60a,60bが設けられる。この係合部60a,60bは、この包装箱51を形成する形成型65の厚みと同じ3mm程度の溝幅を有して設けられる左右一対の係合溝57a,57bと、前記第3及び第4の蓋片54c,54dに設けられ、前記係合溝57a,57bに係合される係合片(係合凸片)58a,58bとによって構成されている。なお、前記係合凸片58a,58bは、図14及び図15に示したように、第3及び第4の蓋片54c,54dのそれぞれの両側から延びる差込首部71a,72aと、このそれぞれの差込首部71a,72aの先に広がるように延びる差込本体部71b,72bとで構成されている。ここで、第3の蓋片54cに設けた係合凸片58aの差込首部72aの長さL1は、第4の蓋片54dに設けた係合凸片58bの差込首部71aの長さL2よりも長く形成されている。これは、第4の蓋片54dを第3の蓋片54cの上に重ねた際に、第3の蓋片54cの厚み分を確保することで、跳ね返りを抑え、蓋体54としての閉塞を確実にするためである。
【0034】
前記第3の蓋片54cは、折り曲げた際に、先端辺が第4の蓋片54dの折曲げ部分に接するように収容スペース56の上部を略完全に覆うような広さに形成され、第4の蓋片54dは、折り曲げた際に第3の蓋片54cの一部表面が露出するように先端辺までの長さを第3の蓋片54cより短くなるように形成されている。この第3及び第4の蓋片54c,54dは、前述したように、第1及び第2の蓋片54a,54bの額縁部69にそれぞれ設けられる第1及び第2の係合溝57a,57bと、第3及び第4の蓋片54c,54dのそれぞれの両側面に設けられる第1及び第2の係合凸片58a,58bとからなる第1及び第2の係合部60a,60bによって閉塞される。
【0035】
次に、本実施形態の包装箱51の組立手順を図10乃至図13に基づいて説明する。前述したように、底面体52及び側面体53によって収容スペース56を形成した後、第1及び第2の蓋片54a,54bを額縁部69で折り返すことによって、第1及び第2の補強片67,68による補強壁部を前記収容スペース56内に形成する。次に、第3の蓋片54cを折曲げ、第1の係合溝57aに第1の係合凸片58aを差し込む。次に、前記第3の蓋片54cとクロスするようにして第4の蓋片54dを折り曲げ、第2の係合溝57bに第2の係合凸片58bを差し込む。このように、第3の蓋片54cの上に折り重なるようにして第4の蓋片54dで覆い、互いにクロスする方向で係合し合う第1の係合部60aと第2の係合部60bによって、収容スペース56の上部が閉塞される(図12)。
【0036】
このようにして蓋体54が閉じられた状態で、図10に示したように、前記第4の蓋片54dの上から第3の蓋片54cの一部が露出している部分に掛けてラベル55が貼着される。このラベル55の貼着によって、蓋体54が開かないように封止される。
【0037】
この実施形態の包装箱51は、第1及び第2の係合溝57a,57bが第1及び第2の蓋片54a,54bの額縁部69に設けられ、対応する第1及び第2の係合凸片58a,58bが第3及び第4の蓋片54c,54dの左右側面から下向きに突出するように折り曲げられた構造となっている。このため、蓋体54を閉じた状態では、第1及び第2の係合部60a,60bが蓋体54や側面体53の表面から目立たなくなるといったデザイン上の利点がある。
【0038】
図14に示したように、前記第3及び第4の蓋片54c,54dには、表面に折曲罫線64が設けられる。この折曲罫線64は、外向きに折曲げ可能となるように形成されている。前述したような組立方法は、主に輸送や保管を目的として蓋体54を閉塞させるものであるが、これ以外の利用方法として、前記第3及び第4の蓋片54c,54dを先ず折曲線63c,63dによって、側片53c,53dの外側面に沿って外向きに折り返し、さらに、前記折曲罫線64で蓋片54c,54dの先端部分を底面体52の裏面側に重なるように折り返すことができる。これによって、前記収容スペース56の上部を開放した状態に保持することができるので、前記収容スペース56内に収めた果物などを展示等する場合に有用となる。なお、前記第3及び第4の蓋片54c,54dの外周部に設けられている切欠部70は、蓋体54の開放操作を容易にするために開設されたものであり、4箇所の切込部73は、係合凸片58a,58bの重なりを避けるために設けられている。
【0039】
以上、説明したように、本発明に係る包装箱によれば、蓋片の組み合わせや重ね合わせによって、輸送等の目的で使用するための様々な閉塞形態や展示等の目的で使用するための開放形態をとることができる。また、前記蓋片によって閉塞させた場合において、それぞれの蓋片に設けられている係合部を覆うようにして送付用のラベルを貼着することで、専用のシール材を用いることなく、品物が納められた収容スペースの上部を簡易に封止することができ、そのままの状態で郵送や宅送等の手配を行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
11 包装箱
12 底面体
13 側面体
13a,13b,13c,13d 側片
14 蓋体
14a,14b,14c,14d 蓋片
15 ラベル
15a 表示面
15b 粘着面
16 収容スペース
17 係合溝
18 係合片
19 スリット
20 係合部
21 折曲罫線
31 包装箱
32 底面体
33 側面体
34 蓋体
34a,34b,34c,34d 蓋片
35 ラベル
36 収容スペース
37a,37b 係合溝
38 係合凸片
40 係合部
41,42,43 折曲線
44 折曲罫線
45 形成型
51 包装箱
52 底面体
53 側面体
54 蓋体
54a,54b,54c,54d 蓋片
55 ラベル
56 収容スペース
57a,57b 係合溝
58a,58b 係合凸片
60a,60b 係合部
61,62,63 折曲線
64 折曲罫線
65 形成型
66 接合片
67 第1の補強片
68 第2の補強片
69 額縁部
70 切欠部
71a,72a 差込首部
71b,72b 差込本体部
73 切込部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状の底面体とこの底面体の各辺より立ち上がる4面の側片からなる側面体とで収納スペースを形成し、この収納スペースの上部を閉塞する蓋体が各側片の上端から折曲げ可能に延設される包装箱において、
前記蓋体は、一方の対向する側片に設けられる第1及び第2の蓋片と、
他方の対向する側片に設けられる第3及び第4の蓋片とを備え、
第1及び第2の蓋片と第3及び第4の蓋片との間には係合部が設けられ、この係合部は、第1及び第2の蓋片の上に第3及び第4の蓋片を被せたときに互いに係合することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記第1及び第2の蓋片は、対向する先端の辺同士を突き合わせるようにして収納スペースの上部を閉塞する請求項1記載の包装箱。
【請求項3】
前記第1及び第2の蓋片は、互いに重なり合うようにして収納スペースの上部を閉塞する請求項1記載の包装箱。
【請求項4】
前記第1及び第2の蓋片は、それぞれの蓋片が設けられた側片の内面側及び底面体の内面側に沿って延びる補強片として構成される請求項1記載の包装箱。
【請求項5】
前記第1及び第2の蓋片と前記第3及び第4の蓋片は、各側片の上端から延設された長さ寸法が略同一である請求項1記載の包装箱。
【請求項6】
前記第3及び第4の蓋片は、前記第1及び第2の蓋片の少なくとも一部に被さるようにして収納スペースの上部両側に配設され、両者間に送付用ラベルが掛け渡されて貼着される請求項1記載の包装箱。
【請求項7】
前記第3及び第4の蓋片は、各側片の上端から延設された長さ寸法が異なるように形成され、長さ寸法の長い方の蓋片及び長さ寸法の短い方の蓋片の順序で収納スペースの上部を閉じると共に、両者間に送付用ラベルが掛け渡されて貼着される請求項1記載の包装箱。
【請求項8】
前記係合部は、第1及び第2の蓋片に設けられる係合溝と、第3及び第4の蓋片に設けられる係合片とからなる請求項1記載の包装箱。
【請求項9】
前記係合溝は、前記第1及び第2の蓋片の表面又は第1及び第2の蓋片と側面体との折曲げ部分に形成される請求項8記載の包装箱。
【請求項10】
前記係合溝は、前記第1の蓋片に形成される第1の係合溝と第2の蓋片に形成される第2の係合溝のスリット幅が異なる請求項8記載の包装箱。
【請求項11】
前記係合片は、前記係合溝に差し込まれたときに、係合溝と係合する差込首部を備え、この差込首部の長さが第3の蓋片と第4の蓋片とで異なっている請求項8記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−6124(P2011−6124A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153303(P2009−153303)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(509183811)株式会社シラネパック (1)
【Fターム(参考)】