説明

包装箱

【課題】店舗などの棚の下段に陳列されても、包装箱の前面板の表示が買物客から見えやすく、かつ、収納物の充填や、取り出しが容易な包装箱を提供する。
【解決手段】底面板1と底面板の前後両端に設けられた前面板2と背面板3と、底面板の左右に設けられた側面板4とからなる箱本体部分100と、背面板の底面板の反対側に設けられた蓋天面板5と、蓋天面板に連設された蓋前面板6と、蓋天面板の左右に設けられた蓋側面板7からなる蓋部分200からなり、側面板が背面板と接する辺と、底面板と接する辺が鈍角となる平行四辺形である、平行六面体形状の包装箱であって、側面板の底面板と反対側に側面折返板8が設けられ、折返して側面板とで二重壁になっており、二重壁の間に前面板の左右に設けられたスライド片11がスライド可能に挿入され、箱本体部分から蓋部分が開けられたときに、前面板の上端が、前方に移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、菓子食品類や医薬品や化粧品、玩具類、日用品などを包装するのに、直方体の包装箱が一般的に使用されている。またこれらの包装箱には、背面板の上端に蓋を連設して、背面板の上端をヒンジとして蓋を後方に倒し、広く開口する包装箱がある。
【0003】
例えば、図6のブランクを用いて製函した図7の斜視図に示される包装箱のように、前面板2の上縁に一部切込破線を中央部に有する折線aを介して梯形フラップ21を設けて、梯形フラップ21に反撥力をもたせるとともに、背面板3の上縁に設けた両側に三角側板22、22を有する蓋天面板5の上縁に蓋前面板6が連設され、かつ上記三角側板22、22上縁にそれぞれ蓋前面板6の裏面に貼着されるフラップ23、23を設け、フラップ23、23を貼着することによって梯形フラップ21が丁度嵌り込むような形状の梯形凹所24を形成させた包装箱がある(特許文献1)。
【0004】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−47213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の直方体の包装箱では店舗などの棚に陳列されたときに、下方の段に置かれた場合、買物客から見えにくく、売り上げが上がりにくいという問題があった。
【0007】
本発明は、店舗などの棚の下段に陳列されても、包装箱の前面板の表示が買物客から見えやすく、かつ、収納物の充填や、取り出しが容易な包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、請求項1の発明は、底面板と該底面板の前後両端に設けられた前面板と背面板と、前記底面板の左右に設けられた側面板とからなる箱本体部分と、前記背面板の前記底面板の反対側に設けられた蓋天面板と、該蓋天面板に連設された蓋前面板と、前記蓋天面板の左右に設けられた蓋側面板からなる蓋部分からなり、前記側面板が前記背面板と接する辺と前記底面板と接する辺が鈍角となる平行四辺形である、平行六面体形状の包装箱であって、前記側面板の前記底面板と反対側に側面折返板が設けられ、折返して前記側面板とで二重壁になっており、該二重壁の間に前記前面板の左右に設けられたスライド片がスライド可能に挿入され、前記箱本体部分から蓋部分が開けられたときに、前記前面板の上端が、前方に移動可能であることを特徴とする包装箱である。
【0009】
本発明の包装箱は、以上のような構成であって、側面板が背面板と接する辺と底面板と接する辺が鈍角となる平行四辺形である、平行六面体形状の包装箱であるので、店舗などの棚の下段に置かれても、包装箱の前面板が買物客から見えやすい。また、このような平行六面体形状であっても、箱本体部分から蓋部分が開けられたときに、前面板の上端が、
前方に移動可能で大きく開けることができるので、収納物の充填や取出しが容易にできる。
【0010】
本発明の請求項2の発明は、前記前面板の上端を、前方に移動させたときに、前記スライド片が前記側面板と前記側面折返板との二重壁の折返し部分に当たって、前記前面板の上端の移動を規制することを特徴とする請求項1に記載の包装箱である。
【0011】
本発明は、更に、前面板の上端を、前方に移動させたときに、スライド片が側面板と側面折返板との二重壁の折返し部分に当たって、前面板の上端の移動を規制するので、スライド片が側面板と側面折返板との二重壁の間から外れることがなく、蓋をするのに手間取ることがない。
【0012】
本発明の請求項3の発明は、前記前面板の上端の移動が規制されたとき、前記前面板の上端から前記背面板と前記蓋天面板の間の接続部分までの距離が、前記背面板と前記蓋天面板の間の接続部分から前記蓋前面板の先端までの距離より短いことを特徴とする請求項2に記載の包装箱である。
【0013】
本発明は、また更に、前面板の上端の移動が規制されたとき、前面板の上端から背面板と蓋天面板の間の接続部分までの距離が、背面板と蓋天面板の間の接続部分から蓋前面板の先端までの距離より短いので、前面板が前に傾いた状態で蓋を閉めるときに、蓋天面板が前面板の上端を押して、前面板の傾きを元に戻すことができる。これによって、前面板の傾きを元に戻してから蓋部分を箱本体部分に被せる必要がなく、ひとつの動作で蓋をすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の包装箱は、店舗などの棚の下段に陳列されても、包装箱の前面板の表示が買物客から見えやすく、かつ、収納物の充填や、取り出しが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の包装箱の一例のブランクを模式的に平面で示した説明図である。
【図2】本発明の包装箱の一例を模式的に示した説明図である。(A)平面図である。(B)正面図である。(C)右側面図である。
【図3】本発明の包装箱の一例で、蓋部分を開いた状態を示した説明図である。(A)正面図である。(B)右側面図である。
【図4】本発明の包装箱の一例で、蓋部分を開き、前面板を前に傾けた状態を示した説明図である。(A)正面図である。(B)右側面図である。
【図5】本発明の包装箱の一例で、前面板を前に傾けた状態で蓋部分を閉じるときの状態を右側面より見た説明図である。
【図6】従来の包装箱の一例のブランクを模式的に平面で示した説明図である。
【図7】従来の包装箱の一例を模式的に斜視で示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
図1は、本発明の包装箱の一例のブランクを模式的に平面で示した説明図である。
図2は、本発明の包装箱の一例を模式的に示した説明図である。(A)は、平面図である。(B)は、正面図である。(C)は、右側面図である。
【0017】
本例の図2の包装箱は、図1のブランクを一点破線や二点破線で示した、山折や谷折の折罫を折って、必要部分をグルーなどで貼着して製函する。この図1のブランクの説明図は、用紙の表面側すなわち箱の主に外側となる面から見た図である。
【0018】
本例の包装箱は、底面板1と、底面板1の前後両端に折罫を介して連設された前面板2と、背面板3と、底面板1の左右に折罫を介して設けられた側面板4、4などとからなる箱本体部分100と、背面板3の底面板1の反対側に折罫を介して連設された蓋天面板5と、蓋天面板5に折罫を介して連設された蓋前面板6と、蓋天面板5の左右に折罫を介して設けられた蓋側面板7,7などとからなる蓋部分200からなる。
【0019】
そして、側面板4が背面板3と接する辺と底面板1と接する辺が鈍角となる平行四辺形になっている、平行六面体形状の包装箱である。このような形状であるので、前面板2が背面板3側に傾斜し、店舗などの棚の下段に包装箱が置かれていても、買物客から包装箱の前面板2が見えやすい。
【0020】
側面板4、4の底面板1と反対側に側面折返板8,8が折罫を介して設けられ、折返して側面板4と重なり二重壁になるようになっている。そして、側面折返板8,8の反対側の端部には、底面板1に貼着させる底面貼着板9、9が折罫を介して設けられている。また、側面板4、4の図1での上方には背面板3と貼着する為の背面貼着板10、10が折罫を介して設けられている。
【0021】
前面板2の左右には、スライド片11、11が折罫を介して設けられ、製函したときに、スライド片11、11は、それぞれ側面板4と側面折返板8からなる二重壁の間にスライド可能に挿入され、箱本体部分100から蓋部分200が開けられたときに、前面板2の上端が、前方に移動可能になっている。
【0022】
これにより、背面板3側に傾いていた前面板2が起こされて箱本体部分100の開口部が大きく開き、収納物の充填や取出しが容易に行えるようになる。
【0023】
蓋前面板6には、破線や点線状、あるいは、直線状を組み合わせた切断線などによる切断可能線により切取可能な封緘片12が設けられていて、製函したときに、封緘片12の内面を前面板2の外面に貼着して、未開封であることを表すとともに、初回は簡単に開かないようになっている。
【0024】
そして、包装箱を開封するときは、切断可能線を切断して、封緘片12を蓋前面板6本体より切り離し、蓋前面板6本体部分が前面板2より離れるようにすれば、蓋部分200を箱本体部分100より開けられるようになる。このとき、前面板2の外面に貼着されている封緘片12はそのまま前面板2に残る。
【0025】
また、蓋側面板7,7の図1での上方には折罫を介して蓋前面貼着片13、13が設けられ、製函したときに、蓋前面貼着片13の外面を蓋前面板6の内面に貼着するようになっている。
【0026】
一方、前面板2の図1での下方には折罫を介して折返片14、14が設けられていて、包装箱を開封後、蓋部分200を閉めた時に、蓋前面板6に貼着された蓋前面貼着板13、13に折返片14、14が引っ掛かって、蓋部分200を箱本体部分100に被せた状態で保持できるようになっている。
【0027】
この包装箱を製函するには、まず、図1のブランクの前面板2とスライド片11、11を間の折罫で折る。そして、前面板2と底面板1の間の折罫を折り、底面板1と側面板4、4の間の折罫を折る。前面板2と折返片14の間の折罫は反対方向に折る。
【0028】
次に、底面板1と背面板3の間の折罫を折り、側面板4、4と背面貼着片10、10の
間の折罫を折り、背面貼着片10、10の外面を背面板3の内面に貼着する。そして、側面板4、4と側面折返板8、8の間を折って、スライド片11、11を側面板4、4と側面折返板8、8の間に挟むようにして、底面貼着片9、9を底面板1に貼着する。これによって箱本体部分100が出来上がる。
【0029】
蓋部分200は、蓋天面板5と蓋側面板7,7の間の折罫を折り、蓋側面板7,7と蓋前面貼着片13、13の間の折罫を折る。蓋天面板5と蓋前面板6の間の折罫を折り、蓋前面板6の内面に蓋前面貼着片13、13の外面を貼着する。
【0030】
次に、背面板3と蓋天面板5の間の折罫を折って、蓋部分200を箱本体部分100に被せ、封緘片12の内面を前面板2の外面に貼着する。このようにして本例の包装箱は、図2のように製函される。
【0031】
図3は、本発明の包装箱の一例で、蓋部分を開いた状態を示した説明図である。(A)は、正面図である。(B)は、右側面図である。
図4は、本発明の包装箱の一例で、蓋部分を開き、前面板を前に傾けた状態を示した説明図である。(A)は、正面図である。(B)は、右側面図である。
図5は、本発明の包装箱の一例で、前面板を前に傾けた状態で蓋部分を閉じるときの状態を右側面より見た説明図である。
【0032】
この包装箱を開けて収納物を取り出すには、蓋前面板6に設けられた切断可能線を切り、封緘片12を前面板2に貼着されたまま残して蓋前面板6を持ち上げ、蓋部分200を箱本体部分100から背面板3と蓋天面板5の間の折罫をヒンジとして、図3のように開封する。
【0033】
背面板3側に傾いている前面板2を起こすと、開口部が広くなり、図4のようになる。このとき、側面板4、4と側面折返板8、8の間に挿入されたスライド片11、11がスライドして、背面板3側へ傾いていた前面板2が起きる。
【0034】
スライド片11、11は、底面板1と前面板2の間の折罫と前面板2とスライド片11、11の間の折罫の交点を中心とする円の円弧部分と、円弧の円の半径より距離の長い、円弧より突き出した突き出し部分からなっている。
【0035】
円弧部分は、側面板4、4と側面折返板8、8の間から外側にスライドして出るが、突き出し部分は、側面板4、4と側面折返板8,8との二重壁の折返し部分に当たってしまい、側面板4、4と側面折返板8,8の間から外側にスライドして出ることがなく、二重壁の間から外れることがない。これによって、前面板2の上端の移動が規制される。
【0036】
また、前面板2の上端の移動が規制されたとき、前面板2の上端から背面板3と蓋天面板5の間の接続部分(折罫)までの直線距離Yが、背面板3と蓋天面板5の間の接続部分(折罫)から蓋前面板6の先端までの直線距離Xより短くなっている。
【0037】
これによって、前面板2が前に傾いた状態で蓋を閉めるときに、図5のように、蓋前面板6が前面板2の上端を押して、前面板2の傾きを元に戻すことができ、蓋部分200を箱本体部分100に被せることができる。そのため、前面板2の傾きを元に戻してから蓋部分200を箱本体部分100に被せる必要がなく、ひとつの動作で蓋をすることができる。
【符号の説明】
【0038】
100・・・箱本体部分
200・・・蓋部分
1・・・底面板
2・・・前面板
3・・・背面板
4・・・側面板
5・・・蓋天面板
6・・・蓋前面板
7・・・蓋側面板
8・・・側面折返板
9・・・底面貼着板
10・・・背面貼着板
11・・・スライド片
12・・・封緘片
13・・・蓋前面貼着片
14・・・折返片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面板と該底面板の前後両端に設けられた前面板と背面板と、前記底面板の左右に設けられた側面板とからなる箱本体部分と、前記背面板の前記底面板の反対側に設けられた蓋天面板と、該蓋天面板に連設された蓋前面板と、前記蓋天面板の左右に設けられた蓋側面板からなる蓋部分からなり、前記側面板が前記背面板と接する辺と前記底面板と接する辺が鈍角となる平行四辺形である、平行六面体形状の包装箱であって、前記側面板の前記底面板と反対側に側面折返板が設けられ、折返して前記側面板とで二重壁になっており、該二重壁の間に前記前面板の左右に設けられたスライド片がスライド可能に挿入され、前記箱本体部分から蓋部分が開けられたときに、前記前面板の上端が、前方に移動可能であることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記前面板の上端を、前方に移動させたときに、前記スライド片が前記側面板と前記側面折返板との二重壁の折返し部分に当たって、前記前面板の上端の移動を規制することを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記前面板の上端の移動が規制されたとき、前記前面板の上端から前記背面板と前記蓋天面板の間の接続部分までの距離が、前記背面板と前記蓋天面板の間の接続部分から前記蓋前面板の先端までの距離より短いことを特徴とする請求項2に記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−250759(P2012−250759A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127137(P2011−127137)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】