説明

包装箱

【課題】紙シートの折り曲げ部分の外面において紙割れの発生を抑制することができる包装箱を提供する。
【解決手段】紙シート11の折り曲げ罫線30aを介して連設された二つの壁面4,8の内面に紙シート11の折り曲げ罫線30aを跨ぐようにしてプラスチックシート12が貼着されている。該プラスチックシート12には、紙シート11の折り曲げ罫線30aに対応した位置の両側にそれぞれ折り曲げ罫線50,51が紙シート11の折り曲げ罫線30aに沿って形成され、該二本の折り曲げ罫線50,51間の領域60が紙シート11に非接着とされている。箱状に形成された状態において、プラスチックシート12の二本の折り曲げ罫線50,51においてそれぞれプラスチックシート12が谷折りに折れ曲がり、該二本の折り曲げ罫線50,51間の領域60が紙シート11から内側に浮き上がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の物品を包装するための包装箱に関し、特に内面にプラスチックシートが貼着された包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙シートからなる包装箱の内面にプラスチックシートが貼着されたものがある。例えば、紙シートを切り抜いて包装箱に孔部を形成し、その孔部を内側から覆うようにして透明のプラスチックシートを貼着したものがある。この場合、孔部が窓部となってそこから包装箱の内部を視認することができ、また、孔部がプラスチックシートで被覆されているので、孔部を介して外部から異物が侵入することを防止することができる。
【0003】
また、包装箱の隣り合った二つの壁面のそれぞれに孔部が形成されている場合、その二つの孔部を一枚のプラスチックシートで纏めて覆うようにしたものも公知である(下記特許文献1参照)。該特許文献1所載の包装箱においては、側面に視認用の窓部が形成され、天面に把持部を持ち上げることで切欠部が形成されており、窓部と切欠部が一枚のプラスチックシートによって内側から覆われている。天面と側面は、展開状態において、紙シートに形成された折り曲げ罫線を介して連設されている。従って、紙シートの折り曲げ罫線を跨ぐようにしてプラスチックシートが紙シートの天面と側面に貼着されている。そして、箱状に組み立てる際には、外側の紙シートと内側のプラスチックシートを一緒に折り曲げることになる。
【0004】
プラスチックシートの折り曲げ部分には折り曲げ罫線が形成されることが一般的である。そのため、プラスチックシートを紙シートに貼着する場合には、紙シートの折り曲げ罫線とプラスチックシートの折り曲げ罫線とを正確に一致させる必要があるが、両者を正確に一致させることは事実上困難である。紙シートの折り曲げ罫線に対してプラスチックシートの折り曲げ罫線が位置ずれしていると、紙シートを折り曲げる際に内側のプラスチックシートが突っ張って折り曲げの妨げとなり、プラスチックシートの反発力に抗して紙シートを強引に折り曲げることになる結果、紙シートの折り曲げ部分(折り目)の外面に、いわゆる「紙割れ」と称されるひび割れ現象が生じて包装箱の商品価値が著しく低下する。
【0005】
かかる問題は、紙シートの内側にその折り曲げ罫線を跨ぐようにしてプラスチックシートが貼着される場合に生じうるものである。内側にプラスチックシートを貼着する目的の多くは、上述したように紙シートに形成した窓部等の孔部を透明のプラスチックシートによって覆うことであるが、それ以外にも例えば補強の目的で内側にプラスチックシートを貼着するような場合にも、上記問題は同様に生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3140222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、紙シートの折り曲げ部分の外面において紙割れの発生を抑制することができる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る包装箱は、紙シートから箱本体が形成され、該箱本体において紙シートの折り曲げ罫線を介して連設された二つの壁面の内面に前記紙シートの折り曲げ罫線を跨ぐようにしてプラスチックシートが貼着されている包装箱であって、プラスチックシートには、前記紙シートの折り曲げ罫線に対応した位置の両側にそれぞれプラスチックシートの折り曲げ罫線が前記紙シートの折り曲げ罫線に沿って形成され、該プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線間の領域が紙シートに非接着とされ、箱状に形成された状態において、前記プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線でそれぞれプラスチックシートが谷折りに折れ曲がり、該プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線間の領域が紙シートから内側に浮き上がっていることを特徴とする。
【0009】
該構成の包装箱においては、紙シートの折り曲げ罫線に対応した位置の両側に、対応した位置から少し距離をおくようにしてプラスチックシートの折り曲げ罫線が紙シートの折り曲げ罫線に沿って形成されている。従って、プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線間の領域に紙シートの折り曲げ罫線が位置することになる。このように、プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線間に紙シートの折り曲げ罫線が位置するようにプラスチックシートを紙シートに貼着すればよいので、貼り付け位置を高精度に制御する必要がない。そして、このプラスチックシートの二本の折り曲げ罫線間の領域は紙シートには接着されていないので、箱状に形成すると、プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線においてそれぞれプラスチックシートは谷折りに折れ曲がると同時に、該領域が紙シートから内側に浮き上がる。即ち、紙シートを折り曲げる際に、その内側に位置しているプラスチックシートの領域が紙シートに沿うのではなく紙シートから浮き上がるように内側に退避するので、紙シートは無理なく容易に折れ曲がる。
【0010】
特に、前記プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線間に更にプラスチックシートの折り曲げ罫線が前記紙シートの折り曲げ罫線に沿って形成されていることが好ましい。プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線においてプラスチックシートは谷折りに折れ曲がると共に、その間に位置するプラスチックシートの折り曲げ罫線においてプラスチックシートは山折りに折れ曲がる。このように、プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線間の領域においてプラスチックシートが山折りに折れ曲がる(屈曲する)ことにより、該領域が紙シートから浮き上がりやすくなり、紙シートをより一層スムーズに折り曲げることができる。
【0011】
また、プラスチックシートの折り曲げ罫線は、包装箱の内側を向くプラスチックシートの面から刃物を押し入れることにより形成されていることが好ましい。包装箱の内側を向くプラスチックシートの面、即ち内面側からトムソン刃等の刃物を押し入れると、その折り曲げ罫線においてプラスチックシートには弱い谷折りの癖が付く。プラスチックシートの折り曲げ罫線を紙シートの折り曲げ罫線の両側に二本設ける場合、両折り曲げ罫線において弱い谷折りの癖が付いているので、箱状にする際に容易にプラスチックシートが谷折りに折れ曲がることになる。また、そのプラスチックシートの二本の折り曲げ罫線の間に更に折り曲げ罫線を形成した場合には、両側の折り曲げ罫線における谷折りの癖の影響を受けて中央の折り曲げ罫線では若干山折りの癖になる。従って、箱状にする際に、中央の折り曲げ罫線においてプラスチックシートが容易に山折りに折れ曲がることとなる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明に係る包装箱は、プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線の間に紙シートの折り曲げ罫線を位置させればよいのでプラスチックシートの貼着工程が楽になり、しかも、プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線間の領域を未接着として紙シートから内側に浮き上がるようにしたことにより、紙シートが容易に折れ曲がり、紙シートの折り曲げ部分の外面に紙割れが生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における包装箱を示す斜視図。
【図2】同実施形態における包装箱の紙シートを内面側から見た展開図。
【図3】同実施形態における包装箱のプラスチックシートを内面側から見た展開図。
【図4】同実施形態における包装箱のプラスチックシートの要部を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図。
【図5】図4(a)のB−B断面図であって、(a)は拡大断面図、(b)は概略の全体形状を示す断面図。
【図6】同実施形態における包装箱を内面側から見た展開図。
【図7】同実施形態における包装箱の要部断面図であって、(a)は箱状に組み立てる前の状態を示し、(b)は折り曲げて箱状に形成した状態を示している。
【図8】本発明の他の実施形態における包装箱の要部断面図であって図7(b)に対応した図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る包装箱について図1〜図7を参酌しつつ説明する。
【0015】
本実施形態における包装箱は、奥行きが比較的浅い縦型の箱であって六つの壁面を有している。即ち、正面4、背面、右側面、左側面7、天面8及び底面から構成されている。該包装箱には、正面4と天面8にそれぞれ孔部としての窓部2,3が形成されている。正面4に形成された第一の窓部2は、比較的大型のものであって、一方の側面(左側面7)に延在する側方延在部2aを有している。また、天面8に形成された第二の窓部3は左右に一対形成されていて比較的小型のものである。包装箱は、紙シート11から形成された箱本体1を有していて、紙シート11を所定形状に切り抜くことによって第一及び第二の窓部2,3が形成され、これらの窓部2,3は透明のプラスチックシート12によって内側から被覆されている。従って、窓部2,3においては、透明のプラスチックシート12を介して内部を視認可能となっている。
【0016】
かかる包装箱は、紙シート11からなる箱本体1の内面の所定箇所に透明のプラスチックシート12を貼着することによって構成されている。具体的には、天面8、正面4、左側面7、背面の内面に一枚の透明のプラスチックシート12が貼着されて、該一枚のプラスチックシート12によって第一及び第二の窓部2,3が纏めて覆われている。
【0017】
次に、箱本体1を構成する紙シート11と、該紙シート11の内面に貼着されるプラスチックシート12について詳述する。紙シート11は図2にその内面から見た展開図を示しているように、所定形状に裁断や打ち抜きされて形成される。即ち、正面4となる正面部20、背面となる背面部21、左側面7及び右側面となる左右の側面部22,23、底面となる一対の底面フラップ部24、及び、天面8となる天面部25を備えていて、背面部21の一側縁には糊代部26が延設されると共に、天面部25の先端には差し込みフラップ部27が延設され、また、左右の側面部22,23の上縁と下縁にはそれぞれ上サイドフラップ部28と下サイドフラップ部29が延設されている。尚、紙シート11の折り曲げ箇所には折り曲げ罫線30が形成されている。具体的には、紙シート11の外面に刃物を押しつけて溝を形成するようにして折り曲げ罫線30が形成されており、押し罫線とも称される(図7(a)参照)。そして、正面部20には第一の窓部2が形成されてその側方延在部2aが左側面部23まで延びている。また、天面部25には第二の窓部3が左右一対形成されている。これらの第一及び第二の窓部2,3は、紙シート11を展開形状に裁断等する際に同時に切り抜かれる。尚、背面部21の上部には、コの字状に切り込まれて上縁部を折り曲げ部とする折り込み片部31が形成され、該折り込み片部31を内側に折り込むことで手を入れるための差し込み孔が形成され、そこに手を入れて包装箱を持つことができるようになっている。尚、折り込み片部31の折り曲げ部にも折り曲げ罫線30が形成されている。尚、紙シート11の材質は、種々の公知のものが使用可能であって、単層のものの他、複層のものであってもよく、合成紙を一部あるいは全部に使用してもよい。
【0018】
また、プラスチックシート12は、図3にその内面から見た展開図を示しているように所定形状に裁断や打ち抜きされて形成される。具体的には、プラスチックシート12は、紙シート11の正面部20の内面に貼着されて第一の窓部2を覆う正面被覆部40と、該正面被覆部40の上方に連設され、紙シート11の天面部25の内面に貼着されて第二の窓部3を覆う天面被覆部45と、正面被覆部40の側方に連設され、紙シート11の左側面部23の内面に貼着されて第一の窓部2の側方延在部2aを覆う側面被覆部43と、該側面被覆部43の側方に連設され、紙シート11の背面部21の内面に貼着される背面被覆部41とを備えている。
【0019】
正面被覆部40と天面被覆部45は同一幅に形成されていて、正面被覆部40と天面被覆部45の間には、横方向に伸びる互いに平行な一対の折り曲げ罫線50,51によって正面被覆部40及び天面被覆部45と区画された帯状のバッファー領域60が設けられている。該バッファー領域60も正面被覆部40及び天面被覆部45と同一幅である。また、バッファー領域60の略中央にも両折り曲げ罫線50,51と平行に折り曲げ罫線52が形成されており、従って、正面被覆部40と天面被覆部45の間には、合計三本の折り曲げ罫線50,51,52が形成されている。三本の折り曲げ罫線50,51,52は同じ形状にて形成されており、プラスチックシート12の内面(包装箱の内側を向く面)からトムソン刃等の刃物を押し入れることにより形成されている。尚、折り曲げ罫線50,51,52の形成工程は、プラスチックシート12を所定形状に打ち抜く際に同時に行われる。この折り曲げ罫線50,51,52の形状について詳述すると、図4(a)に示すように、折り曲げ罫線50,51,52は、プラスチックシート12を貫通した貫通部70と、プラスチックシート12を貫通していない非貫通部71とが交互に形成されて、いわゆるリード罫線として構成されている。尚、貫通部70と非貫通部71の配置を三本の折り曲げ罫線50,51,52において揃うようにしているが、位置ずれして配置してもよく、千鳥状の配置となるようにしてもよい。この貫通部70の長さと非貫通部71の長さの比率は任意であるが、本実施形態では、貫通部70の方が長く、貫通部70の長さと非貫通部71の長さの比率は3:2となっている。貫通部70は図5(a)のように切り込み状となっており、非貫通部71は図4(b)のように約半分の厚さまでの深さを有する凹溝となっている。上述したように、トムソン刃等の刃物をプラスチックシート12の内面から押し入れることによって折り曲げ罫線50,51,52を形成しているので、刃物の圧力の影響を受けてプラスチックシート12には図5(b)に示すように両側の折り曲げ罫線50,51において谷折り状(内面が谷)の癖が付き、中央の折り曲げ罫線52においては逆に若干山折り状となる。
【0020】
図3に戻って、側面被覆部43は縦方向に伸びる折り曲げ罫線53を介して正面被覆部40に連設されている。該折り曲げ罫線53の長さは、上述した紙シート11の第一の窓部2における側方延在部2aの上下寸法よりも短い。そして、側面被覆部43と背面被覆部41との間には、上述したバッファー領域60と同様のバッファー領域61が設けられている。即ち、側面被覆部43と背面被覆部41との間には、縦方向に伸びる合計三本の折り曲げ罫線54,55,56が形成されており、そのうちの両側の折り曲げ罫線54,55によってバッファー領域61は側面被覆部43及び背面被覆部41から区画されている。尚、該バッファー領域61の上下両端部にはV字状の切欠部62が形成されており、この切欠部62によって、中央の折り曲げ罫線56は両側の折り曲げ罫線54,55よりも短くなっている。また、背面被覆部41の上部には、上述した紙シート11の背面部21の折り込み片部31に対応した位置に該折り込み片部31よりも一回り大きな孔部63が形成されている。尚、背面被覆部41の下縁は、正面被覆部40の下縁と略同一線上にある。
【0021】
尚、プラスチックシート12には種々のものが使用可能であり、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラートなどのポリエステル系、ポリスチレン系、ポリアミド系などからなるシートが使用できる。特に、包装箱に収容した被包装物(内容物)を第一及び第二の窓部2,3から視認できる程度の透明性と、第一及び第二の窓部2,3(その中でも特に大型の第一の窓部2)を被覆することによって包装箱の壁面の一部を構成するための適度な強度とを有している、ポリオレフィン系及びポリエステル系のシートが好ましく、透明性に優れたポリプロピレン製シート及びポリエチレンテレフタラート製シートがより好ましい。その中でも特に、ポリエチレンテレフタラート製シートは比較的剛性が高く、シート厚みを低減しても適度な強度を維持できる点でより好ましい。更に、印刷を施したものも使用可能である。尚、シートの厚さは、0.1mm〜1.0mm程度が好ましく、特に0.2mm〜0.6mm程度がより好ましい。
【0022】
このように構成されたプラスチックシート12を図6のように紙シート11の内面に貼着する。この貼着には各種の接着剤や両面テープ等が使用されるが、特に、機械による自動貼着には接着剤を使用することが好ましい。この貼着によって、プラスチックシート12の正面被覆部40が第一の窓部2を被覆すると共に、左側面部23に延びている第一の窓部2の側方延在部2aを側面被覆部43が被覆する。但し、プラスチックシート12の正面被覆部40と側面被覆部43との間は上下の間隔が狭くなっていて正面被覆部40と側面被覆部43との間の折り曲げ罫線53の長さが第一の窓部2の側方延在部2aの上下寸法よりも短くなっているので、この折り曲げ罫線53の外面側には紙シート11が存在せずプラスチックシート12のみの一層構造となっており、この折り曲げ罫線53の上方と下方においては、僅かに第一の窓部2がプラスチックシート12によって被覆されない未被覆部分65が残る。
【0023】
そして、紙シート11の第二の窓部3はプラスチックシート12の天面被覆部45によって被覆される。従って、プラスチックシート12は、紙シート11の正面部20と天面部25との間の折り曲げ罫線30aを跨ぐようにして貼着されることになるが、この紙シート11の折り曲げ罫線30aに、プラスチックシート12の正面被覆部40と天面被覆部45との間のバッファー領域60が重なる。換言すれば、該バッファー領域60の両側における折り曲げ罫線50,51の間に紙シート11の折り曲げ罫線30aが位置するようにする。図6においては、プラスチックシート12の上側の折り曲げ罫線50と中央の折り曲げ罫線52の間に紙シート11の折り曲げ罫線30aが位置した場合を図示しているが、この位置は貼着工程の誤差によって上下方向に変化する。例えば、プラスチックシート12の中央の折り曲げ罫線52と下側の折り曲げ罫線51の間に紙シート11の折り曲げ罫線30aが位置することもあり、またプラスチックシート12の中央の折り曲げ罫線52と紙シート11の折り曲げ罫線30aが一致する場合もあり得る。何れにしても、プラスチックシート12の上側の折り曲げ罫線50と下側の折り曲げ罫線51との間に(バッファー領域60の間に)紙シート11の折り曲げ罫線30aが位置するように、紙シート11とプラスチックシート12を貼着する。但し、バッファー領域60については紙シート11には貼着せずに未接着の状態とする。この貼着によって、プラスチックシート12の三本の折り曲げ罫線50,51,52は、紙シート11の折り曲げ罫線30aに略平行となる。
【0024】
この点については側面被覆部43と背面被覆部41との間のバッファー領域60についても同様である。即ち、プラスチックシート12は、紙シート11の左側面部23と背面部21との間の折り曲げ罫線30bを跨ぐようにして貼着され、この紙シート11の折り曲げ罫線30bに、プラスチックシート12の側面被覆部43と背面被覆部41との間のバッファー領域61が重なり、該バッファー領域61の両側における折り曲げ罫線54,55の間に紙シート11の折り曲げ罫線30bが位置する。図6では、プラスチックシート12の左側の折り曲げ罫線54と中央の折り曲げ罫線56の間に紙シート11の折り曲げ罫線30bが位置しているが、この位置は貼着工程の誤差によって左右方向に変化する。即ち、プラスチックシート12の中央の折り曲げ罫線56と右側の折り曲げ罫線55の間に紙シート11の折り曲げ罫線30bが位置することもあれば、プラスチックシート12の中央の折り曲げ罫線56と紙シート11の折り曲げ罫線30bが一致することもある。何れにしても、プラスチックシート12の左側の折り曲げ罫線54と右側の折り曲げ罫線55との間に(バッファー領域61の間に)紙シート11の折り曲げ罫線30bが位置するように紙シート11とプラスチックシート12を貼着すればよい。そして、このバッファー領域61についても紙シート11には貼着せずに未接着の状態とする。この貼着によって、プラスチックシート12の三本の折り曲げ罫線54,55,56は、紙シート11の折り曲げ罫線30bに略平行となる。尚、プラスチックシート12の背面被覆部41の孔部63に紙シート11の背面部21の折り込み片部31が位置する。
【0025】
そして、図6のようにプラスチックシート12が内面に貼着された紙シート11を折り曲げて糊代部26を貼着して箱状にする。折り曲げる工程の前後におけるバッファー領域60の形状変化の様子を図7に示している。まず、折り曲げる前においては図7(a)に示すようにプラスチックシート12はその中央の折り曲げ罫線52において若干山折り状に盛り上がった状態にある。そして、図7(a)の矢印のようにプラスチックシート12が貼着された紙シート11(天面部25)を内面側に折り曲げていくと、プラスチックシート12の両側の折り曲げ罫線50,51において谷折り状に折れ曲がると共に中央の折り曲げ罫線52においては山折り状に折れ曲がっていき、図7(b)のようにバッファー領域60が紙シート11(天面部25と正面部20)から徐々に浮き上がっていく。この現象は他方のバッファー領域61においても同様である。
【0026】
このように、紙シート11を折り曲げる際に、その内側に位置しているプラスチックシート12のバッファー領域60,61が紙シート11に沿わずに内側に浮き上がって退避するので、紙シート11を無理なく容易に折り曲げることができる。従って、紙シート11の折り曲げ部分の外面に紙割れが発生することを防止することができる。特に、バッファー領域60,61に中央の折り曲げ罫線52,56が形成されているので、バッファー領域60,61がその中央の折り曲げ罫線52,56において山折り状に折れ曲がることになり、無理なくスムーズに紙シート11が折れ曲がるのである。尚、側面被覆部43と背面被覆部41との間のバッファー領域61においては、その上下端部に切欠部62が形成されていて中央の折り曲げ罫線56が両側の折り曲げ罫線54,55に比して短くなっているので、バッファー領域61がより一層屈曲して浮き上がりやすい。
【0027】
尚、紙シート11の背面部21の折り込み片部31を内側に折り込めば、そこに指を差し込むようにして包装箱を把持することができる。折り込み片部31を折り返すことで紙シート11が二重になってプラスチックシート12と二重の紙シート11からなる丈夫な把持部が形成されると共に、折り込み片部31の周囲にはプラスチックシート12が貼着されて紙シート11が補強されているので、重い被包装物(内容物)を収容した場合であっても包装箱の把持部が強度不足になるということがなく、安定して持ち運ぶことができる。
【0028】
尚、本実施形態では、側面被覆部43と背面被覆部41との間のバッファー領域61に切欠部62を形成したが、逆に、正面被覆部40と天面被覆部45との間のバッファー領域60に切欠部62を形成してもよく、両方のバッファー領域60,61にそれぞれ切欠部62を形成してもよい。また、側面被覆部43と背面被覆部41との間のバッファー領域61における上下両端部にそれぞれ切欠部62を形成したが、一方の端部のみに形成してもよく、この点は正面被覆部40と天面被覆部45との間のバッファー領域60に切欠部62を形成を形成する場合も同様である。更に、切欠部62の形状や大きさについても任意であって、半円形としてもよく、また切欠深さを更に深く(長く)するようにしてもよい。更に端部に切欠部62を形成する他、中央の折り曲げ罫線52,56の中途部に孔部を形成してもよい。
【0029】
また、バッファー領域60,61を二分するようにその中央位置に折り曲げ罫線52,56を形成したが、中央の折り曲げ罫線52,56の位置を両側の折り曲げ罫線50,51,54,55の一方に接近させるように配置してもよい。
【0030】
また更に、中央の折り曲げ罫線52,56を省略してもよい。その場合、折り曲げると図8のようにバッファー領域60(バッファー領域61も同様)は内側に向かって凸に撓んで湾曲する。
【0031】
尚、プラスチックシート12の折り曲げ罫線の種類についても任意であって、紙シート11の折り曲げ罫線の種類についても同様に種々のものが採用可能である。また、プラスチックシート12の内面側から刃物を押し入れて折り曲げ罫線を形成するのではなく、プラスチックシート12の外面側から刃物を押し入れて形成してもよい。
【0032】
更に、上記実施形態では、紙シート11の正面部20、天面部25、左側面部23及び背面部21に一枚のプラスチックシート12を貼着する構成であったが、紙シート11の正面部20と天面部25のみにプラスチックシート12を貼着してもよい。また、紙シート11の正面部20と天面部25に一枚のプラスチックシート12を貼着し、それとは分離された別のプラスチックシート12を左側面部23と背面部21に貼着するようにしてもよい。その場合、左側面部23と背面部21に貼着するプラスチックシート12を不透明なものとしてもよい。
【0033】
また更に、紙シート11に第一及び第二の窓部2,3を形成したが、これらの窓部2,3の一部あるいは全部を省略してもよい。このように窓部を省略した構成であっても、紙シート11の内面にプラスチックシート12を貼着することによって箱本体1が補強される。また、内部が見えるような窓部とするのではなく、模様として紙シート11に一つあるいは複数の孔部を形成し、その孔部を内面のプラスチックシート12で覆うようにしてもよく、その場合、プラスチックシート12を透明としてもまた着色された不透明のものとしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 箱本体
2 第一の窓部
2a 側方延在部
3 第二の窓部
4 正面(壁面)
7 左側面(壁面)
8 天面(壁面)
11 紙シート
12 プラスチックシート
20 正面部
21 背面部
22 右側面部
23 左側面部
24 底面フラップ部
25 天面部
26 糊代部
27 差し込みフラップ部
28 上サイドフラップ部
29 下サイドフラップ部
30 折り曲げ罫線
30a 折り曲げ罫線
30b 折り曲げ罫線
31 折り込み片部
40 正面被覆部
41 背面被覆部
43 側面被覆部
45 天面被覆部
50 上側の折り曲げ罫線
51 下側の折り曲げ罫線
52 中央の折り曲げ罫線
53 折り曲げ罫線
54 左側の折り曲げ罫線
55 右側の折り曲げ罫線
56 中央の折り曲げ罫線
60 バッファー領域
61 バッファー領域
62 切欠部
63 孔部
65 未被覆部分
70 貫通部
71 非貫通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙シートから箱本体が形成され、該箱本体において紙シートの折り曲げ罫線を介して連設された二つの壁面の内面に前記紙シートの折り曲げ罫線を跨ぐようにしてプラスチックシートが貼着されている包装箱であって、
プラスチックシートには、前記紙シートの折り曲げ罫線に対応した位置の両側にそれぞれプラスチックシートの折り曲げ罫線が前記紙シートの折り曲げ罫線に沿って形成され、該プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線間の領域が紙シートに非接着とされ、
箱状に形成された状態において、前記プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線でそれぞれプラスチックシートが谷折りに折れ曲がり、該プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線間の領域が紙シートから内側に浮き上がっていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記プラスチックシートの二本の折り曲げ罫線間に更にプラスチックシートの折り曲げ罫線が前記紙シートの折り曲げ罫線に沿って形成されている請求項1記載の包装箱。
【請求項3】
プラスチックシートの折り曲げ罫線は、包装箱の内側を向くプラスチックシートの面から刃物を押し入れることにより形成されている請求項1又は2記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−91821(P2012−91821A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240332(P2010−240332)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【出願人】(592084853)株式会社ほしゆう (6)
【Fターム(参考)】