説明

包装袋の袋口開口機構

【課題】ロータリー式包装機において、従来の袋口開口機構は、袋口を開口する際に開口ミスが発生することがあり、確実に袋口を開口する開口機構が望まれていた。
【解決手段】 袋口開口アーム1の先端に吸盤4A,5Aを備え、後端は駆動軸6A,7Aと連結し、相異なる方向に回動して包装袋18の袋口18Aを吸着して開口する袋口開口機構において、袋口開口アーム1を平行リンク機構2,3で構成し、この平行リンク機構2,3の先端に吸盤4A,5Aを設け、袋口開口アーム1の回動の際にも吸盤4A、5Aの吸着面4a,5aを平行に維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、ロータリー式包装機において、被包装物の充填作業を行う際に、包装袋の袋口を開口する袋口開口機構に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の袋口開口機構の正面図である。この従来の袋口開口機構は、袋口開口アーム50を備え、この袋口開口アーム50の上端は水平方向に所定間隔を開けて配置された回動軸51に固定されている。一方の回動軸51Aには、クランクロッド52が連結され、このクランクロッド52の上下方向の往復運動により、一方の回動軸51Aが回動する。一方の回動軸51Aと他方の回動軸51Bは歯車53により連結しているので、一方の回動軸51Aの回動により、歯車53を介して他方の回動軸51Bが回動する。両回動軸51A,51Bの回動により、袋口開口アーム50は、所定の角度だけ左右方向に開閉する。なお、他方の回動軸51Bには、上方に突出するロッド54が固定されており、このロッド54の先端にスプリング55が水平方向から架け渡され、このスプリング55の付勢力が歯車53を介して両回動軸51A,51Bに伝達され、袋口開口アーム50が常時、開方向に付勢されており、クランクロッド52による袋口開口アーム50の開閉の際のがたつきを防止している。
【0003】
袋口開口アーム50の先端には、吸着面56を内向きに対向させた吸盤57が備え付けられ、図示しないエアーホースとこの吸盤57とが連通し、吸盤57の吸引口からエアーを吸引し、袋口58を吸着するための負圧を発生させる。
【0004】
この従来例のような袋口開口機構は、ロータリー式包装機の袋口開セクションのロータ外周上部に配置されている。ロータリー式包装機の袋供給ポジションで、袋箱からロータの外周に備え付けられた一対のクランプアームに包装袋が受け渡され、ロータが間欠回転して袋口開セクションへ包装袋が移動する。
【0005】
袋口開セクションでは、袋口開口機構は、図4の2点鎖線で示すように(ただし、吸盤57は包装袋を吸着していない)、開いた状態で待機している。包装袋が袋口開セクションに近づくと、クランクロッド52が図4の実線で示すように、下方に回転して一方の回動軸51Aを反時計回りに回転し、袋口開口アーム50を閉じる。閉じたところに、移動して間欠停止している包装袋の袋口58があるので、袋口開口アーム50の吸盤57で袋口58の側部を吸着する。吸盤57が袋口58を吸着すると、図示しない駆動リンク機構によって、クランクロッド52は逆に上方に押し上げられて、袋口開口アーム50は図4の2点鎖線で示すように離間して袋口58を開口する。袋口58が開口したらロータリー式包装機のロータが間欠送りされて包装袋は充填セクションに移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−156437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
袋口開セクションにおいて、包装袋の袋口58を確実に開口するためには、吸着面56が袋口58を吸着して開口する際に、袋口58に無理な力がかからないことが必要である。無理な力が加わると袋口58のシートが引きつって吸着面56と袋口58のシート面に隙間ができる可能性がある。このため、吸盤57が袋口58を吸着して袋口開口アーム50が開いた際に袋口58が曲がることが無いよう吸着面56と袋口58のシート面とは平行であることが好ましい。
【0008】
図4に示す従来の袋口開口機構は、袋口開口アーム50は回動軸51を中心に回動するので回動軸51を中心に円弧を描きながら回動する。袋口開口アーム50が左右に開いた際に、吸盤ブロック59はそのままであるため、吸着面56と吸着面56の延長面は下方に「ハ」の字形に開くために、吸着面56に吸着された包装袋の袋口58は湾曲して開くことになる。包装袋のシートが薄いポリエチレンのようなシート材であるとシート材が湾曲しても袋口58にさしたる捻じれや歪みによる応力が発生することは無いが、包装袋のシートの材質が硬いと、シート材が湾曲した際に、元に戻ろうとする力が強くなり、吸着面56と包装袋の袋口58との間の気密が破れ、吸盤57の負圧が減少して袋口58の開口ミスが発生することになる。ただし、特許文献1には吸引体(本件の吸盤ブロックに相当)を平行に開口する機構も存在するが、構造が複雑となり高速化は困難である。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、包装袋の袋口を開口する際に開口ミスが少なく極めて簡単な構成の袋口開口機構を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の包装袋の袋口開口機構は、袋口開口アームの先端に吸盤を備え、後端は駆動軸と連結し、相異なる方向に回動して包装袋の袋口を吸盤で吸着して開口する袋口開口機構において、前記袋口開口アームの先端に備えられた吸盤は、袋口開口アームの回動と連動して一対の吸盤の吸着面が相対峙するように回動する吸盤回動手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の包装袋の袋口開口機構は、袋口開口アームを平行リンクで構成し、これらの平行リンクの先端に吸盤を設け、袋口開口アームの開閉の際にも一対の吸盤の吸着面が平行に相対峙することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の包装袋の袋口開口機構は、袋口開口アームの駆動軸側に固定スプロケットを設け、先端側に回動スプロケットを設け、両スプロケットを索体で連結して袋口開口アームの開閉の際にも一対の吸盤の吸着面が平行に相対峙することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装袋の袋口開口機構は、袋口開口アームの回動に伴って、吸盤回動手段が作動して、吸盤の吸着面が平行に相対峙するので、包装袋の袋口を開口する際に開口ミスを少なく、構成も簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1の包装袋の袋口開口機構の正面図
【図2】本発明の実施例1の包装袋の袋口開口機構の部分斜視図
【図3】実施例2の包装袋の袋口開口機構の正面図
【図4】従来の包装袋の袋口開口機構の正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例1)
図1は、本発明の包装袋の袋口開口機構の正面図、図2は同機構の部分斜視図である。この包装袋の袋口開口機構の袋口開口アーム1は、一対の平行リンク機構2,3と、この平行リンク機構2,3にそれぞれ取り付けられた吸盤部4,5と、から構成されている。前記平行リンク機構2,3は、幅の広い金属製の板体からなるメインリンク2A,3Aと、長さ調整が可能なサブリンク2a,3aとから構成され、メインリンク2A,3Aの後端は駆動軸6A,7Aに軸支し、サブリンク2a,3aの後端は固定軸6a,7aに軸支し、メインリンク2A,3Aとサブリンク2a,3aの自由端は連結部8に軸支し、駆動軸6A,7Aの回動に伴ってメインリンク2A,3Aとサブリンク2a,3aが回動して一対の吸盤部4,5が接近、離間する。
【0016】
前記連結部8と所定の間隔を開けて配置された支持板9との間に、メタル軸受からなる回動軸10が架け渡すようにして固定され、前記メインリンク2A,3Aの自由端は、この回動軸10によって連結部8に軸支されている。他方、サブリンク2a,3aの自由端は、連結部8に挿通されたピン状の先端軸11に軸支されている。
【0017】
図2に示すように、前記連結部8と支持板9の下部には、長、短2本のエアーパイプ12,13が挿通し、支持板9から突出して延びている。長、短それぞれのエアーパイプ12,13の先端には、吸盤用のブロック片14,15が固着し、このブロック片14,15に吸盤4A、5Aが設けられている。長、短それぞれのエアーパイプ12,13の後端には、エアーホース16が接続され、図示しない真空ポンプの吸引により吸盤4A,5Aに負圧を発生させる。なお、2本のエアーパイプ12,13は、振れ止金具17が取り付けられている。
【0018】
図1に示すように、包装袋18の袋口開口機構の下部には、ロータリー式包装機のクランプアーム20が配置されている。このクランプアーム20の先端には、包装袋18を挟持するクランプ20Aを備え、後端部は円盤状のロータ21の背面に軸支している。このクランプアーム20の中央下部に備えられたローラ20Bをカム等で水平方向に押すことによりクランプ20Aが開いて包装袋18を挟持する。
【0019】
次に、前記構成の作用について説明する。
図1において、図示しない駆動クランク機構により、相異なる方向に回動する駆動軸6A,7Aが常時、所定周期で正逆方向に回動すると、一対の平行リンク機構2,3もそれに連れて回動する。即ち、駆動軸6A,7Aが回動すると、平行リンク機構2,3を構成するメインリンク2A,3Aが駆動軸6A,7Aを中心にして回動し、メインリンク2A,3Aの回動に伴って、自由端側が連結部8により連結しているのでサブリンク2a,3aも固定軸6a,7aを中心に同角度だけ回動する。
【0020】
包装袋18の袋口18Aを吸盤4A,5Aで吸着して開口する場合は、図1の仮想線で示す一対の吸盤4A,5Aが離間した状態から、実線で示す吸盤4A,5Aが当接する状態まで平行リンク機構2,3を回動し、袋口開口アーム1の下部に間欠停止している包装袋18の袋口18Aを両側から吸盤4A,5Aで吸着する。吸盤4A,5Aが袋口18Aを吸着した後、一対の駆動軸6A,7Aがそれぞれ逆方向に回転し、吸盤部4,5が仮想線で示す状態まで回転することにより袋口18Aが開口する。
【0021】
前記のように、平行リンク機構2,3の回動により、メインリンク2A,3Aは駆動軸6A,7Aを中心に回動し、サブリンク2a,3aは固定軸6a,7aを中心にして回動するが、固定軸6a,7aは駆動軸6A,7Aに対して水平方向内側に位置しているので、回動軸10の軸芯が描く軌跡(t1)に対して、サブリンク2a,3aの先端軸11の軸芯が描く軌跡(t2)は、平行リンク機構2,3が上方(実線で示す平行リンク機構2,3の垂下する位置から、水平な位置へ回転する方向)に回転するにつれて内側に移行する。このため、メインリンク2A,3Aの回動軸10とサブリンク2a,3aの先端軸11のそれぞれの軸芯を結ぶ軸芯線(h)は、平行リンク機構2,3の回動に関係なく、常に水平な状態を維持する。前記のように、メインリンク2A,3Aとサブリンク2a,3aの自由端側は連結部8に軸支しているので、平行リンク機構2,3が回転しても、軸芯線(h)が水平な状態を維持するのと同様に、図1の正面視において、連結部8も常に同じ姿勢を維持する。
【0022】
前記連結部8には、長短2本のエアーパイプ12,13が挿通されて、水平方向に突出している。これらのエアーパイプ12,13の先端に吸盤4A,5Aを備えたブロック片14,15が取り付けられている。前記のように、平行リンク機構2,3が回動しても連結部8は常に同じ姿勢を維持するので、エアーパイプ12,13及びブロック片14,15も同じ姿勢を維持し、ブロック片14,15に備えられた吸盤4A,5Aも同様に同じ姿勢を維持する。
【0023】
従って、吸盤の吸着面4a,5a(吸盤4A,5Aの吸着口を平らなシートで塞いだと仮定した時の吸着口の面)は、図1の実線で示す状態であっても、仮想線で示す状態であっても同じ姿勢を維持し、平行リンク機構2,3の回動角度に関わらず、常に一対の吸着面4a,5aは平行に対峙する。しかも、吸盤4A,5Aが実線から仮想線で示した状態の間を回動している間も、一対の吸着面4a,5aは、袋口18Aを吸着した時と同じように、相対峙する平行な状態を維持するので、一対の吸盤4A,5Aが離間しても、図4の背景技術に示されたような、包装袋18の袋口18Aが湾曲して元に戻そうとする力は発生しない。このため、例えば、硬い材質や厚手の材質からなる包装袋18であっても、袋口18Aの側面と吸着面4a,5aとの間に、隙間が発生することが少なくなり、隙間から生じる吸盤4A,5Aの負圧の低下に伴う吸着ミスを減らすことができる。
(実施例2)
【0024】
図3は本件発明の実施例2を示した概略正面図である。この実施例2の包装袋の袋口開口機構は、前記実施例1と異なり平行リンク機構の代わりにスプロケットと索体を用いて、袋口開口アームの回動に関わらず吸盤が同様の姿勢を維持する。
【0025】
この実施例2のメインロッド30の固定端側の駆動軸31は、ボックス32内の図示しない駆動リンク機構と連結している。さらに、メインロッド30の固定端側には、固定スプロケット33が、駆動軸31の回動に影響されないで状態で、ボックス32に固定している。メインロッド30の自由端側には回動スプロケット34が回動可能に軸支され、固定スプロケット33と回動スプロケット34の間には索体35が掛け渡されている。
【0026】
前記回動スプロケット34の回動軸36には、板状の回動部37が固定されており、回動スプロケット34の回動に伴って同じように回動する。回動部37には長短2本のエアーパイプ38が挿通され、回動部37から突出し、このエアーパイプ38の先端に吸盤39を設けたブロック片40が取り付けられている。
【0027】
次に上記構成の作用を説明する。この実施例2でも、固定スプロケット33と回動スプロケット34及び両者をつなぐ索体35により、メインロッド30が回動しても吸盤39の吸着面は常に相対峙する状態となる。即ち、固定スプロケット33はボックス32側に固定されているので、駆動軸31を中心とするメインロッド30の回動によっても回動することはない。しかし、メインロッド30の回動により、固定スプロケット33に架け渡された索体35は回動方向により送り出される。このため、自由端側の回動スプロケット34は索体35の送られた長さ分だけ回転し、同時に吸盤39が設けられたブロック片40も回動する。
【0028】
ブロック片40に設けられた吸盤39の吸着面41が常に平行に相対峙するように、固定スプロケット33及び回動スプロケット34を設計すれば、実施例1と同様にメインロッド30が上方に回転しても吸盤39の吸着面41は平行な状態を維持することになるので、図4の背景技術に示されたような、包装袋18の袋口18Aが湾曲して元に戻そうとする力は発生しない。このため、包装袋18の袋口18Aと吸盤39の吸着面41との間に、隙間が発生することが少なくなり、隙間から生じる吸盤39の負圧の低下に伴う吸着ミスを減らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の包装袋の袋口開口機構は、例えば、包装袋の袋口を開口する必要のあるロータリー式包装機の袋口開セクションにおいて、包装袋の袋口を開口する機構として応用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 袋口開口アーム
2 平行リンク機構
3 平行リンク機構
2A メインリンク
3A メインリンク
2a サブリンク
3a サブリンク
4 吸盤部
5 吸盤部
4A 吸盤
5A 吸盤
4a 吸着面
5a 吸着面
6A 駆動軸
7A 駆動軸
6a 固定軸
7a 固定軸
8 連結部
9 支持板
10 回転軸
11 先端軸
12 エアーパイプ
13 エアーパイプ
18 包装袋
18A 袋口
30 メインロッド
33 固定スプロケット
34 回動スプロケット
35 索体
39 吸盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋口開口アームの先端に吸盤を備え、後端は駆動軸と連結し、相異なる方向に回動して包装袋の袋口を吸着して開口する袋口開口機構において、前記袋口開口アームの先端に備えられた吸盤は、袋口開口アームの回動と連動して一対の吸盤の吸着面が相対峙するように袋口開口アームを平行リンクで構成したことを特徴とする包装袋の袋口開口機構。
【請求項2】
袋口開口アームの先端に吸盤を備え、後端は駆動軸と連結し、相異なる方向に回動して包装袋の袋口を吸着して開口する袋口開口機構において、袋口開口アームの駆動軸側に固定スプロケットを設け、先端側に回動スプロケットを設け、両スプロケットを索体で連結して袋口開口アームの開閉の際に一対の吸盤の吸着面が平行に相対峙することを特徴とする包装袋の袋口開口機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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