説明

包装袋及びその製造方法

【課題】通気性が良好であり、野菜、果物、球根等の農作物等を充填した場合に農作物等が傷つくのを防止することができ、目付重量が小さく、強度及び形態保持性に優れた包装袋及びその製造方法を提供する。
【解決手段】筒状メッシュ5と一対のバンド6とからなる包装袋11であって、筒状メッシュ5が、一軸延伸テープを経緯糸に用いて織成されるとともに該経緯糸の交点が熱接着され、該一軸延伸テープが、少なくとも3層の熱可塑性樹脂層からなり、内層を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも外層を構成する熱可塑性樹脂の融点が低く、バンド6が、熱可塑性樹脂からなり、筒状メッシュ5が一対のバンド6の間に配置されて、筒状メッシュ5の表面と一対のバンド6とが熱接着されてなり、筒状メッシュ5と一対のバンド6とが包装袋11の底部7で熱接着されて閉じられてなることを特徴とする包装袋11である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物等を充填するのに適した包装袋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜、果物、球根等の農作物等を包装する袋として、プラスチックネットからなる包装袋が知られている。このようなプラスチックネットからなる包装袋は、内容物や製造元等の情報を包装袋に印刷することができないため、プラスチックネットにラベルを貼る必要があったが、流通過程等でラベルが剥がれてしまう問題があった。この問題を解決する方法として、プラスチックネットに内容物や製造元等の情報が印刷されたフィルムを貼り合わせた包装袋が知られている。
【0003】
特許文献1には、熱接着可能なプラスチック材料からなる筒状メッシュが2つの向かい合ったバンドの間に配置され、筒状メッシュと2つの向かい合ったバンドとが垂直方向で熱接着されてなり、筒状メッシュと2つの向かい合ったバンドとが包装袋の底部及び上部で熱接着されて閉じられてなる商品が充填された包装袋について記載されている。これによれば、果物や野菜等のような生産物を輸送する際に包装袋にかかる圧力に耐え得ることができるとされている。しかしながら、包装袋に充填された果物や野菜等のような生産物が傷つくのを必ずしも防止することができるわけではなく、改善が望まれていた。
【0004】
また、特許文献2には、熱接着可能なプラスチック材料からなる筒状メッシュ又はネットが一対のバンドの間に配置され、筒状メッシュと一対のバンドとが熱接着されてなり、筒状メッシュと一対のバンドとがフレキシブルコンテナの底部で熱接着されて閉じられてなる果物や野菜等のような生産物を包装するためのフレキシブルコンテナについて記載されている。これによれば、引き裂き抵抗が高く、生産物の通気性も良好であるとされている。しかしながら、包装袋に充填された果物や野菜等のような生産物が傷つくのを必ずしも防止することができるわけではなく、改善が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP1176104A2
【特許文献2】US4403637A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、通気性が良好であり、野菜、果物、球根等の農作物等を充填した場合に農作物等が傷つくのを防止することができ、目付重量が小さく、強度及び形態保持性に優れた包装袋及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、筒状メッシュと一対のバンドとからなる包装袋であって、筒状メッシュが、一軸延伸テープを経緯糸に用いて織成されるとともに該経緯糸の交点が熱接着され、該一軸延伸テープが、少なくとも3層の熱可塑性樹脂層からなり、内層を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも外層を構成する熱可塑性樹脂の融点が低く、バンドが、熱可塑性樹脂からなり、筒状メッシュが一対のバンドの間に配置されて、筒状メッシュの表面と一対のバンドとが熱接着されてなり、筒状メッシュと一対のバンドとが包装袋の底部で熱接着されて閉じられてなることを特徴とする包装袋を提供することによって解決される。
【0008】
このとき、筒状メッシュを構成する一軸延伸テープが包装袋における垂直方向及び水平方向の両方向に配置されるように、筒状メッシュと一対のバンドとが熱接着されてなることが好適であり、筒状メッシュの目付重量が10〜20g/mであることが好適である。また、一軸延伸テープの厚みが15〜40μmであることが好適であり、経糸に用いた一軸延伸テープの幅が0.6〜1.4mmであることが好適である。また、緯糸に用いた一軸延伸テープの幅が、経糸に用いた一軸延伸テープの幅よりも大きいことが好適であり、筒状メッシュの目付重量1g/mあたりの引張強力が経緯共に7.5N/5cm以上であることが好適である。
【0009】
また、このとき、筒状メッシュの下記式(1)によって示される被覆率が40〜70%であることが好適である。
被覆率(%)=100−[{(25.4−(A×B))×(25.4−(C×D))/(25.4×25.4)}×100] (1)
A:経糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
B:経糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
C:緯糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
D:緯糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
【0010】
更に、このとき、筒状メッシュの下記式(2)によって示される交点比率が5〜20%であることが好適である。
交点比率(%)={(A×B)×(C×D)/(25.4×25.4)}×100 (2)
A:経糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
B:経糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
C:緯糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
D:緯糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
【0011】
また、このとき、筒状メッシュの表面と一対のバンドとが熱接着されてなる部分の垂直方向における一軸延伸テープの織密度が、熱接着されていない部分における垂直方向における一軸延伸テープの織密度よりも大きいことが好ましく、本発明の包装袋に農作物が充填されてなる農作物包装体が本発明の好適な実施態様である。
【0012】
また、筒状メッシュと一対のバンドとからなる包装袋の製造方法であって、メッシュを長手方向に沿って折り畳んで筒状メッシュを得て、筒状メッシュを巻き取って筒状メッシュロールを得た後に、該ロールから供給された筒状メッシュの表面と一対のバンドとを熱接着させることを特徴とする包装袋の製造方法を提供することが本発明の好適な実施態様である。
【0013】
このとき、筒状メッシュの表面と一対のバンドとを熱接着させた後に、該筒状メッシュの長手方向に沿ってガゼットを形成することが好適であり、メッシュを長手方向に沿って折り畳む際に、該メッシュの両端同士が重ならないように折り畳んでから筒状メッシュロールを得ることが好適である。また、このとき、メッシュを長手方向に沿って折り畳む際に、該メッシュの両端同士が重なるように折り畳み、両端同士が重なった部分をずらしながら巻き取って筒状メッシュロールを得ることが好適である。
【0014】
また、このとき、筒状メッシュと一対のバンドとからなる包装袋に農作物が充填されてなる農作物包装体の製造方法であって、メッシュを長手方向に沿って折り畳んで筒状メッシュを得て、筒状メッシュを巻き取って筒状メッシュロールを得た後に、該ロールから供給された筒状メッシュの表面と一対のバンドとを熱接着させて包装袋を形成し、得られた包装袋に農作物を充填してから包装袋の開口部を熱溶着により閉じることを特徴とする農作物包装体の製造方法を提供することも本発明の好適な実施態様である。
【0015】
また、上記課題は、メッシュが折り畳まれて巻き取られてなる筒状メッシュロールであって、メッシュが、一軸延伸テープを経緯糸に用いて織成されるとともに該経緯糸の交点が熱接着され、該一軸延伸テープが、少なくとも3層の熱可塑性樹脂層からなり、内層を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも外層を構成する熱可塑性樹脂の融点が低く、メッシュの両端同士が重ならないように該メッシュが長手方向に沿って折り畳まれて巻き取られてなる筒状メッシュロールを提供することによっても解決される。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、通気性が良好であり、野菜、果物、球根等の農作物等を充填した場合に農作物等が傷つくのを防止することができ、目付重量が小さく、強度及び形態保持性に優れた包装袋及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1で得られた包装体の正面図である。
【図2】実施例1で得られた包装体の側面図である。
【図3】実施例1で得られた筒状メッシュロールを示した図である。
【図4】実施例1において、一対のバンドの間に筒状メッシュを配置した図である。
【図5】実施例1において、筒状メッシュと一対のバンドとが熱接着されて得られた筒状体を示した図である。
【図6】実施例1において、ガゼットが形成された筒状体を示した図である。
【図7】実施例1で得られた包装袋を示した図である。
【図8】実施例1で得られた包装体のA−A断面図である。
【図9】本発明の包装袋の製造工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の包装袋は、筒状メッシュと一対のバンドとからなる包装袋であって、筒状メッシュが、一軸延伸テープを経緯糸に用いて織成されるとともに該経緯糸の交点が熱接着され、該一軸延伸テープが、少なくとも3層の熱可塑性樹脂層からなり、内層を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも外層を構成する熱可塑性樹脂の融点が低く、バンドが、熱可塑性樹脂からなり、筒状メッシュが一対のバンドの間に配置されて、筒状メッシュの表面と一対のバンドとが熱接着されてなり、筒状メッシュと一対のバンドとが包装袋の底部で熱接着されて閉じられてなることを特徴とする。このように、本発明の包装袋は、筒状メッシュが上記一軸延伸テープを経緯糸に用いて織成されるとともに該経緯糸の交点が熱接着されてなるため、本発明の包装袋に農作物等を充填した場合に、農作物等が傷つくのを防止することができる。また、農作物等が充填されて得られた包装体は、立てておいてもメッシュが伸びて包装体の下部に農作物等が集まることがないため、形態保持性に優れた包装袋を提供することができる。
【0019】
本発明の包装袋を構成する筒状メッシュは、一軸延伸テープを経緯糸に用いて織成されてなる。ここで、本発明で用いられる一軸延伸テープは、少なくとも3層の熱可塑性樹脂層からなり、内層を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも外層を構成する熱可塑性樹脂の融点が低いものである。即ち、本発明で用いられる一軸延伸テープは、少なくとも3層の熱可塑性樹脂層からなり、比較的融点の高い熱可塑性樹脂からなる内層の両表面が、比較的融点の低い熱可塑性樹脂からなる外層により被覆されてなる。
【0020】
一軸延伸テープの内層に用いられる比較的融点の高い熱可塑性樹脂のMFR(メルトフローレート;190℃、2.16kg荷重)としては特に限定されず、0.1〜10g/10分であることが好ましい。比較的融点の高い熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられ、中でも低比重で、加工性が良好である等の観点から、ポリオレフィンが好ましく用いられる。また、ポリオレフィンとしては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などが挙げられ、延伸性に優れ、高い強度が得られやすい等の観点から、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンが好適に用いられる。
【0021】
また、一軸延伸テープの外層に用いられる比較的融点の低い熱可塑性樹脂のMFR(メルトフローレート;190℃、2.16kg荷重)としては特に限定されず、0.5〜10g/10分であることが好ましい。比較的融点の低い熱可塑性樹脂としては、内層を構成する比較的融点の高い熱可塑性樹脂よりも融点が低い熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。内層に用いられる樹脂がポリオレフィンである場合には、内層と外層との接着性が良好となり、内外層の層間剥離が起こりにくくなる。かかる観点から、比較的融点の低い熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが好ましく用いられる。比較的融点の低い熱可塑性樹脂としては、比較的融点の高い熱可塑性樹脂よりも5℃以上融点が低い熱可塑性樹脂であることが好ましく、10℃以上融点が低い熱可塑性樹脂であることがより好ましい。具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む)、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などが挙げられ、中でも、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンが好適に用いられる。
【0022】
一軸延伸テープの層構成の組み合わせとしては特に限定されず、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層/直鎖状低密度ポリエチレン層、低密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層/低密度ポリエチレン層、プロピレン−エチレンランダム共重合体層/ポリプロピレン単独重合体層/プロピレン−エチレンランダム共重合体層などが挙げられる。中でも、柔軟性の観点から、直鎖状低密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層/直鎖状低密度ポリエチレン層、又は低密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層/低密度ポリエチレン層の層構成からなる一軸延伸テープが好適に用いられる。
【0023】
上記一軸延伸テープにおける内層と両外層との断面積比(両外層/内層)は、1/9〜6/4であることが好ましい。断面積比が1/9未満の場合、筒状メッシュと一対のバンドとの接着が不十分となるおそれがあり、断面積比は2/8以上であることがより好ましい。一方、断面積比が6/4を超える場合、後述のメッシュの交点を熱接着する工程において一軸延伸テープの引張強力が著しく低下するおそれがあり、5/5以下であることがより好ましい。ここで、上記断面積比における両外層の断面積は、内層の両表面を被覆している外層の断面積の和である。
【0024】
本発明で用いられる一軸延伸テープは、例えば、押出機を用いてTダイ法やインフレーション法等によりフィルムを得て、得られたフィルムをスリットした後に延伸処理を行い、次いで弛緩熱処理を行うことにより好適に製造される。このとき、延伸倍率は、3〜12倍であることが好ましい。延伸倍率が3倍未満の場合、機械的強力が不十分となるおそれがあり、4倍以上であることがより好ましい。一方、延伸倍率が12倍を超える場合、延伸時にテープが切れたり、裂けやすくなり、加工性が低下するおそれがあり、10倍以下であることがより好ましい。延伸処理としては、熱板式、熱ロール式、赤外線式、熱風式等の加熱方法を採用することができる。延伸温度は、使用する樹脂に応じて、適宜設定される。このように延伸処理を行うことで、引張強力が3.0〜7.0cN/dt(センチニュートン/デシテックス)で、引張伸度が15〜35%の物性を有する一軸延伸テープを得ることができる。
【0025】
本発明で用いられる一軸延伸テープの厚みとしては特に限定されず、15〜40μmであることが好ましい。厚みが15μm未満の場合、得られる筒状メッシュの強度が低下するおそれがあり、20μm以上であることがより好ましい。一方、厚みが40μmを超える場合、得られる筒状メッシュの表面に凹凸が生じてしまううえに、筒状メッシュの表面と一対のバンドとを熱接着する際にシワが生じるおそれがあり、35μm以下であることがより好ましい。
【0026】
本発明で用いられる一軸延伸テープの幅としては特に限定されず、経糸に用いた一軸延伸テープの幅が0.6〜1.4mmであることが好ましい。経糸に用いた一軸延伸テープの幅が0.6mm未満の場合、包装袋の垂直方向における筒状メッシュの強度が低下するとともに、筒状メッシュの表面と一対のバンドとの接着性が不十分となるおそれがあり、0.8mm以上であることがより好ましい。一方、経糸に用いた一軸延伸テープの幅が1.4mmを超える場合、筒状メッシュの交点比率が大きくなってしまい、包装袋の柔軟性が損なわれるおそれがあり、1.3mm以下であることがより好ましい。
【0027】
また、緯糸に用いた一軸延伸テープの幅としては特に限定されず、1.0〜1.8mmであることが好ましい。緯糸に用いた一軸延伸テープの幅が1.0mm未満の場合、包装袋の水平方向における筒状メッシュの強度が低下するおそれがあり、1.2mm以上であることがより好ましい。一方、緯糸に用いた一軸延伸テープの幅が1.8mmを超える場合、筒状メッシュの交点比率が大きくなってしまい、包装袋の柔軟性が損なわれるおそれがあり、1.6mm以下であることがより好ましい。
【0028】
ここで、本発明の包装袋は、筒状メッシュが一対のバンドの間に配置されて、筒状メッシュの表面と一対のバンドとが熱接着されてなるため、メッシュの垂直方向における負荷が小さくなっている。一方、包装袋の側面においては、メッシュがバンドを構成するフィルムにより覆われておらず、包装袋に農作物等が充填された場合には、メッシュの水平方向における負荷が大きくなってしまう。したがって、水平方向における筒状メッシュの強度を高くする観点から、緯糸に用いた一軸延伸テープの幅が、経糸に用いた一軸延伸テープの幅よりも大きいことが本発明の好適な実施態様である。
【0029】
本発明で用いられる一軸延伸テープの繊度は特に限定されず、50〜800dt(デシテックス)であることが好ましい。繊度が50dt未満の場合、耐久性が低下するおそれがあり、100dt以上であることがより好ましく、200dt以上であることが更に好ましい。一方、繊度が800dtを超える場合、得られる筒状メッシュの柔軟性が損なわれるおそれがあり、700dt以下であることがより好ましく、600dt以下であることが更に好ましい。
【0030】
上記説明した一軸延伸テープを経緯糸に用いて織成するとともに該経緯糸の交点を熱接着させることによりメッシュを作製することができる。メッシュの織り方としては特に限定されないが、包装袋に充填された農作物等を傷つけないよう平らに仕上げることができ、万一交点の接着が剥がれた場合にも目をずれにくくすることができる観点から、平織であることが好ましい。また、本発明で用いられるメッシュは、経緯糸の交点が互いに熱接着されてなり、このことにより、目止めされ、目が開きにくいメッシュを得ることができる。経緯糸の交点を熱接着する方法としては特に限定されず、熱板接触式、熱ロール式、赤外線照射式等により好適に行われる。このとき、一軸延伸テープにおける内層を構成する熱可塑性樹脂の融点より低く、かつ両外層を構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度で熱接着されることが好ましい。
【0031】
本発明で用いられる筒状メッシュとしては、上記メッシュを筒状にしたものであれば特に限定されず、メッシュの両端同士が重なっていない筒状メッシュであってもよいし、メッシュの両端同士が重なって、該両端同士が熱溶着されてなる筒状メッシュであってもよい。しかしながら、本発明の包装袋に農作物等を充填した場合には、包装袋の側面に配置された筒状メッシュに負荷がかかるため、本発明で用いられる筒状メッシュは、包装袋の側面に配置されるメッシュが連続したメッシュであることが重要である。後述する筒状メッシュロールを作製する際に、巻き径を大きくすることができ、一定以上の長さの筒状メッシュを巻き取ることができる観点から、メッシュの両端同士が重なっていない筒状メッシュが好適に用いられる。
【0032】
本発明で用いられる筒状メッシュにおける織密度は特に限定されず、経緯糸に用いた一軸延伸テープの織密度が4〜10本/2.54cmであることが好ましい。織密度が4本/2.54cm未満の場合、筒状メッシュの強度が不足するとともに、筒状メッシュの表面と一対のバンドとの接着性が不十分となるおそれがあり、5本/2.54cm以上であることがより好ましい。一方、織密度が10本/2.54cmを超える場合、コストが増加してしまうおそれがあり、9本/2.54cm以下であることがより好ましい。また、コストを減少させるとともに、緯糸をより確実に固定する観点からは、本発明で用いられる筒状メッシュにおいて、緯糸に用いた一軸延伸テープの織密度よりも経糸に用いた一軸延伸テープの織密度を大きくすることが好ましい。
【0033】
本発明で用いられる筒状メッシュの目付重量は特に限定されず、10〜20g/mであることが好ましい。筒状メッシュの目付重量が10g/m未満の場合、農作物等を充填したり、充填された包装体を取り扱ううえで充分な強度が得られないおそれがあり、12g/m以上であることがより好ましく、14g/m以上であることが更に好ましい。一方、筒状メッシュの目付重量が20g/mを超える場合、使用後の包装袋の廃棄量が多くなってしまうおそれがあり、18g/m以下であることがより好ましく、15g/m以下であることが更に好ましい。
【0034】
また、本発明で用いられる筒状メッシュは、経緯糸が高度に延伸された一軸延伸テープで織成されており、目付重量1g/mあたりの引張強力が経緯共に7.5N/5cm以上であることが好ましい。このように、目付重量1g/mあたりの筒状メッシュの引張強力が一定以上であることにより、筒状メッシュの目付重量を小さくしても得られる包装袋の引張強力を一定以上に保つことができる。目付重量1g/mあたりの筒状メッシュの引張強力は、より好適には8.5N/5cm以上であり、更に好適には9.5N/5cm以上である。また、目付重量1g/mあたりの筒状メッシュの引張強力は、通常、50N/5cm以下である。
【0035】
また、本発明で用いられる筒状メッシュの引張伸度としては特に限定されず、引張伸度が経緯共に10〜40%であることが好ましい。引張伸度が10%未満の場合、農作物等を包装袋に充填する際や、包装体を落下させた際の衝撃により、筒状メッシュが切断されてしまうおそれがあり、15%以上であることがより好ましい。一方、引張伸度が40%を超える場合、農作物等が充填された包装体の形態保持性が損なわれるおそれがあり、35%以下であることがより好ましい。
【0036】
また、本発明で用いられる筒状メッシュの下記式(1)によって示される被覆率が40〜70%であることが好ましい。被覆率がこの範囲にあることにより、通気性が良好であり、強度が高く柔軟性に優れた筒状メッシュを得ることができ、また、筒状メッシュの表面と一対のバンドとの接着性が良好となる。筒状メッシュの被覆率が40%未満の場合、筒状メッシュの強度が低下するとともに、筒状メッシュの表面と一対のバンドとの接着性が不十分となるおそれがあり、45%以上であることがより好ましい。一方、被覆率が70%を超える場合、筒状メッシュの柔軟性が損なわれるおそれがあり、60%以下であることがより好ましい。
被覆率(%)=100−[{(25.4−(A×B))×(25.4−(C×D))/(25.4×25.4)}×100] (1)
A:経糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
B:経糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
C:緯糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
D:緯糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
【0037】
また、本発明で用いられる筒状メッシュの下記式(2)によって示される交点比率が5〜20%であることが好ましい。交点比率がこの範囲にあることにより、柔軟性に優れた筒状メッシュが得られ、農作物等が傷つくのを防止することができる。交点比率が5%未満の場合、交点が剥離しやすく、目がずれやすいおそれがあり、8%以上であることがより好ましい。一方、交点比率が20%を超える場合、筒状メッシュの柔軟性が損なわれるおそれがあり、15%以下であることがより好ましい。
交点比率(%)={(A×B)×(C×D)/(25.4×25.4)}×100 (2)
A:経糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
B:経糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
C:緯糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
D:緯糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
【0038】
本発明の包装袋における一対のバンドとしては、筒状メッシュの表面と熱接着が可能な熱可塑性樹脂からなるフィルムであれば特に限定されない。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられ、中でも低比重で加工性に優れる等の観点から、ポリオレフィンが好ましく用いられる。また、ポリオレフィンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む)、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などが挙げられ、中でも低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく用いられる。
【0039】
また、一対のバンドを構成する熱可塑性樹脂からなるフィルムとしては、単層であっても多層であってもよいが、筒状メッシュの表面とフィルムとを熱接着させる際の接着性や耐久性を考慮すると、一対のバンドが多層フィルムであることが好ましい。このとき、多層フィルムの好適な層構成は、筒状メッシュとの接着層である内層が、比較的融点の低く、かつ筒状メッシュとの熱接着性が良好な熱可塑性樹脂からなり、外層が比較的融点の高い熱可塑性樹脂からなる層構成である。このような多層フィルムの層構成(外層/内層)としては特に限定されず、ポリプロピレン/低密度ポリエチレン、ポリエステル/低密度ポリエチレン、ポリアミド/低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン等が挙げられ、中でもポリプロピレン/低密度ポリエチレンからなる2層フィルムが好適に用いられる。また、本発明において、一対のバンドを構成する熱可塑性樹脂からなるフィルムには、包装袋に充填された農作物等の情報や製造元等の情報が印刷されてなることが好ましく、このことにより、農作物等が充填された包装体の識別性やトレーサビリティ等が良好となる。
【0040】
以上、本発明で用いられる筒状メッシュと一対のバンドについて説明した。以下、筒状メッシュと一対のバンドとからなる本発明の包装袋及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。本発明の包装袋11は、筒状メッシュ5が一対のバンド6の間に配置されて、筒状メッシュ5の表面と一対のバンド6とが熱接着されてなり、筒状メッシュ5と一対のバンド6とが包装袋11の底部7で熱接着されて閉じられてなることを特徴とする。
【0041】
本発明で用いられる筒状メッシュ5を一対のバンド6の間に配置するに際して、予めメッシュが折り畳まれて巻き取られてなる筒状メッシュロール8を繰り出すことにより、筒状メッシュ5を一対のバンド6の間に配置する実施態様であってもよいし、メッシュを製袋装置内で折り畳んで筒状メッシュ5を作製してから、得られた筒状メッシュ5を一対のバンド6の間に配置する実施態様であってもよい。メッシュを折り畳んで筒状メッシュ5を作製する手段を有していない既存の製袋装置に、別途そのような手段を取り付けなくても本発明の包装袋11を製造することができる観点から、筒状メッシュロール8を繰り出すことにより、筒状メッシュ5を一対のバンド6の間に配置する実施態様が好適に採用される。
【0042】
本発明で用いられる筒状メッシュロール8は、筒状メッシュ5が巻き取られて形成されたロールであれば特に限定されず、メッシュを長手方向に沿って折り畳む際に、該メッシュの両端同士が重ならないように折り畳まれて巻き取られてなる筒状メッシュロール8であってもよいし、メッシュを長手方向に沿って折り畳む際に、該メッシュの両端同士が重なるように折り畳まれて巻き取られてなる筒状メッシュロール8であってもよい。ここで、メッシュを長手方向に沿って折り畳むとは、メッシュを長手方向に沿って三つ折りにすること、即ち、メッシュの両端をそれぞれ1回ずつ計2回折ることを表している。筒状メッシュロール8を作製するにあたって、メッシュの両端同士が重なるように折り畳まれて巻き取った場合は、メッシュの両端同士が重なった部分が膨らんでしまうため、一定以上の長さの筒状メッシュ5を巻き取ることが困難となるおそれがある。かかる観点から、図3で示されるように、メッシュを長手方向に沿って折り畳む際に、該メッシュの両端同士が重ならないように折り畳まれて巻き取られてなる筒状メッシュロール8が好適に用いられる。
【0043】
メッシュの両端同士が重ならないように折り畳まれて巻き取られてなる筒状メッシュロール8において、メッシュの両端同士の間隔としては特に限定されず、1mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましい。一方、メッシュの両端同士の間隔は、通常、100mm以下である。
【0044】
このようなメッシュの両端同士が重ならないように折り畳まれて巻き取られてなる筒状メッシュロール8は、後述する実施例からも分かるように、好適には折り畳みガイドを通してメッシュを巻き取ることにより作製される。一方、メッシュの両端同士を単に重ねた状態又は重なった両端同士を熱溶着した状態で、両端同士が重なるように折り畳まれて巻き取られてなる筒状メッシュロール8は、筒状メッシュ5を単に巻き取ることにより作製してもよいが、後述する実施例からも分かるように、メッシュの両端が相互に重なった部分の膨らみを抑える観点から、メッシュの両端同士が重なった部分をずらしながら巻き取って筒状メッシュロール8を得る方法が好適に採用される。
【0045】
本発明の包装袋11は、筒状メッシュ5が一対のバンド6の間に配置され、次いで、筒状メッシュ5の表面と一対のバンド6とが熱接着されてなる。具体的には、図4で示されるように、メッシュの両端同士が重ならないように折り畳まれてなる筒状メッシュ5を一対のバンド6の間に配置し、次いで、図5で示されるように、筒状メッシュ5の表面と一対のバンド6における長手方向端部9とを熱接着して筒状体10を得る実施態様が好適に採用される。ここで、筒状メッシュ5と一対のバンド6とが熱接着されて得られる筒状体10の好適な実施態様としては、連続した1枚のメッシュの両端同士が重ならないように筒状にして得られる筒状メッシュ5と一対のバンド6とが熱接着されて得られる筒状体10や、連続した1枚のメッシュの両端同士が重なって熱溶着されて得られる筒状メッシュ5と一対のバンド6とが熱接着されて得られる筒状体10等が挙げられる。中でも、連続した1枚のメッシュの両端同士が重ならないように筒状にして得られる筒状メッシュ5と一対のバンド6とが熱接着されて得られる筒状体10がより好適に用いられる。また、2枚以上の複数のメッシュを用いて筒状体10を形成してもよい。
【0046】
また、本発明の包装袋11において、筒状メッシュ5の表面と一対のバンド6とが熱接着されてなる部分の垂直方向における一軸延伸テープの織密度が、熱接着されていない部分における垂直方向における一軸延伸テープの織密度よりも大きいことが好ましい。このことにより、筒状メッシュ5の表面と一対のバンド6とが熱接着されてなる部分の接着強度を向上させることができる。具体的には、上記熱接着されてなる部分の垂直方向における一軸延伸テープの織密度が、熱接着されていない部分における垂直方向における一軸延伸テープの織密度よりも1本/2.54cm以上大きいことが好ましく、2本/2.54cm以上大きいことがより好ましい。
【0047】
筒状メッシュ5の表面と一対のバント6とを熱接着する方法としては特に限定されず、熱板、熱ロール、熱風等を用いることができるが、生産性が良好である観点から熱板を用いた熱接着方法が好適に採用される。このとき、筒状メッシュ5を構成する一軸延伸テープが包装袋11における垂直方向及び水平方向の両方向に配置されるように、筒状メッシュ5と一対のバンド6とが熱接着されてなることが好ましい。ここで、包装袋11に農作物等が充填された場合、得られる包装体1の水平方向と垂直方向における負荷が大きくなるが、上述のように高度に延伸された一軸延伸テープが包装袋11における垂直方向及び水平方向の両方向に配置されることにより、破れたり不必要に伸びたりすることなく形態保持性の優れた包装体1を得ることができる。また、筒状メッシュ5の斜め方向における伸縮性が保たれるため、包装袋11のシワが目立たない利点を有する。
【0048】
本発明では、筒状メッシュ5の表面と一対のバンド6とを熱接着させた後に、該筒状メッシュ5の長手方向に沿ってガゼットを形成することが好ましい。このように、ガゼットを形成することにより、包装袋11をコンパクトに折り畳むことができる利点を有する。具体的には、図5で示される筒状体10において、一対のバンド6の間からはみ出している筒状メッシュ5部分が該一対のバンド6の間に入るように筒状メッシュ5部分を筒状体10の内部に向かって折り込んで、図6で示されるように、ガゼットが形成された筒状体10を得る実施態様が好適に採用される。
【0049】
本発明の包装袋11は、筒状メッシュ5と一対のバンド6とが包装袋11の底部7で熱接着されて閉じられてなる。具体的には、図7で示されるように、筒状メッシュ5と一対のバンド6とが包装袋11の底部7で熱接着され、本発明の包装袋11を形成することができる。上述のように、本発明の包装袋11の製造方法について順を追って説明した。また、本発明の包装袋11は、図9で示されるような製造工程により好適に製造することができる。以下、図9を参照しながら説明する。まず、筒状メッシュロール8から筒状メッシュ5が繰り出され、ローラー12を経由して筒15を包むようにして筒状メッシュ5が供給される。同時に、一対のバンド6がローラー13及びローラー14からそれぞれ供給されて、筒状メッシュ5が一対のバンド6の間に配置される。筒状メッシュ5の表面と一対のバンド6における長手方向端部9とがシーラー15により熱接着されて筒状体10が得られ、ガゼット形成ガイド17を経由することにより筒状体10にガゼットが形成される。シーラー18により、筒状メッシュ5と一対のバンド6とが包装袋11の底部7で熱接着され、次いで、カッター19により水平方向に切断されることにより、包装袋11を得ることができる。
【0050】
こうして得られた本発明の包装袋11は、通気性が良好であるとともに、農作物等を充填した場合に農作物等が傷つくのを防止することができる。農作物等を包装袋11に充填して得られた包装体1は、立てておいてもメッシュが伸びて包装体1の下部に農作物等が集まることがないため、形態保持性に優れた包装袋11を提供することができる。更に、本発明の包装袋11は、筒状メッシュ5の目付重量を小さくしても得られる包装袋11の引張強力を一定以上に保つことができ、使用後の包装袋11の廃棄量を減らすことも可能である。
【0051】
農作物等が充填された包装体1は、本発明の包装袋11に、農作物等を充填してから包装袋11の開口部を熱溶着して閉じることにより得ることができる。後述する実施例において、包装袋11の上端3から15mm下の部分と65mm下の部分の2箇所を熱溶着することからも分かるように、包装袋11の上端3から一定以下の部分を水平方向に熱溶着することが好ましい。また、ハンドル2を一緒に熱溶着する実施態様も好適に採用され、図1及び図2で示される本発明の農作物包装体1を得ることができる。
【0052】
以上のように、本発明の包装袋11は、通気性が良好であるとともに、農作物等を充填した場合に農作物等が傷つくのを防止することができ、目付重量が小さく、強度及び形態保持性に優れている。したがって、野菜、果物、球根等の農作物を充填する包装袋11に適しており、特に生鮮野菜や果物等の農作物を充填する包装袋11に適している。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
【0054】
実施例1
[一軸延伸テープの作製]
内層に高密度ポリエチレン(MFR0.8g/10min(190℃、2.16kg荷重)、融点131℃、密度0.95g/cm)、両外層に低密度ポリエチレン(MFR3.0g/10min(190℃、2.16kg荷重)、融点114℃、密度0.92g/cm)を配置した層比1:8:1の3層共押出インフレーションフィルムを作製した。続いて、該フィルムを細幅にスリットして熱板延伸機を用いて延伸倍率7倍で延伸し、さらに、熱板にて弛緩率6%の弛緩熱処理をすることで、糸幅1.2mm、糸厚み29μm、繊度330dtの経糸用の3層からなる一軸延伸テープと、糸幅1.5mm、糸厚み23μm、繊度330dtの緯糸用の3層からなる一軸延伸テープをそれぞれ得た。
【0055】
[一軸延伸テープの単位繊度あたりの引張強力、及び引張伸度の測定]
JIS L1013法に準じて、得られた一軸延伸テープをつかみ間隔300mmで引張り試験機にセットして、23℃にて、300mm/minの速度で破断するまで伸長させた時の応力と伸び率を測定した。最大の応力を示したときの応力値を引張強力とし、破断するまでの伸び率を引張伸度とした。単位繊度あたりの引張強力(cN/dt)と、引張伸度(%)は、以下の式により算出した。得られた結果を表1にまとめて示す。
単位繊度あたりの引張強力(cN/dt)=[引張強力(N)/一軸延伸テープの繊度(dt)]×100
引張伸度(%)=[(伸長後の長さ−初期長さ)/(初期長さ)]×100
【0056】
[メッシュの作製]
得られたそれぞれの一軸延伸テープをスルーザー織機にて、平織に織成した後、熱板を用いて125℃の熱板温度で加熱圧着することにより、経緯糸の交点を熱溶着し、織密度が経糸6本/2.54cm、緯糸5本/2.54cm、目付重量14.7g/mのメッシュを得た。
【0057】
[メッシュの引張強力及び引張伸度の測定]
幅50mm、長さ300mmのメッシュの試験片を用意し、JIS L1096 A法 カットストリップ法に準じて、この試験片をつかみ間隔200mmで引張り試験機にセットして、23℃にて、200mm/minの速度で破断するまで伸長させた時の応力と伸び率を測定した。最大の応力を示したときの応力値を引張強力とし、破断するまでの伸び率を引張伸度とした。引張伸度(%)は、以下の式により算出した。得られた結果を表1にまとめて示す。また、本発明者らは、メッシュの引張強力及び引張伸度の値と、筒状メッシュの引張強力及び引張伸度の値とに差異がなかったことを確認している。
引張伸度(%)=[(伸長後の長さ−初期長さ)/(初期長さ)]×100
【0058】
[メッシュの被覆率及び交点比率の測定]
上記得られたメッシュの被覆率及び交点比率を以下の式により算出したところ、被覆率は49.5%であり、交点比率は8.4%であった。
被覆率(%)=100−[{(25.4−(A×B))×(25.4−(C×D))/(25.4×25.4)}×100] (1)
交点比率(%)={(A×B)×(C×D)/(25.4×25.4)}×100 (2)
A:経糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
B:経糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
C:緯糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
D:緯糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
【0059】
[筒状メッシュロールの作製]
得られたメッシュを590mm幅で裁断し、次に折り畳みガイドを通して、両端を145mmずつ中央部に向かって折り畳みながら巻き取ることで、300mm幅の筒状メッシュロール8を得た。
【0060】
[包装袋の作製]
バンド6を構成する厚み85μm、幅117mmのポリプロピレン/低密度ポリエチレンからなる2層フィルム(市販品)のロールを2本用意した。筒状メッシュロール8及び2層フィルムロールを繰出して、2層フィルムの低密度ポリエチレン面が筒状メッシュ5の表面とそれぞれ接するように、一対のバンド6の間に筒状メッシュ5を配置した。筒状メッシュ5同士が熱接着されないように、筒状メッシュ5の表面と一対のバンド6おける長手方向端部9の計4箇所を熱板式の溶着機で加圧しながら溶着幅8mmで溶着し、筒状メッシュ5と一対のバンド6とが一体化した筒状体10を得た。続いて、得られた筒状体10において、一対のバンド6の間からはみ出している筒状メッシュ5部分が該一対のバンド6の間に入るように筒状メッシュ5部分を筒状体10の内部に向かって折り込んだ。インパルスシーラーを用いて、筒状メッシュ5と一対のバンド6とが重なった包装袋11の底部7となる部分を溶着幅5mmで熱接着して包装袋11を得た。この包装袋11の底部7で熱接着された部分より10mm下を水平方向に裁断し、更に、包装袋11の垂直方向の長さが352mmとなるように包装袋11の上部4を水平方向に裁断した。
【0061】
[包装体の作製]
得られた包装袋11にオレンジを9個入れた後に、インパルスシーラーを用いて、包装袋11の上端3から15mm下の部分と65mm下の部分の2箇所を溶着幅5mmで熱接着することにより、オレンジが充填された包装体1を得た。このときの熱接着は、筒状メッシュ5が包装袋11の内部に折り込まれて該筒状メッシュ5と一対のバンド6とが重なった状態で行った。こうして得られたオレンジが充填された包装体1は、立てて置いてもメッシュが伸びて包装体1の下部にオレンジが集まることがなく、形態保持性に優れていた。
【0062】
実施例2
実施例1において、メッシュの織密度を経糸8本/2.54cm、緯糸5本/2.54cmに変更し、目付重量を17.4g/mとした以外は、実施例1と同様にして、包装袋11及びオレンジが充填された包装体1を作製した。得られた結果を表1にまとめて示す。こうして得られたオレンジが充填された包装体1は、立てて置いてもメッシュが伸びて包装体1の下部にオレンジが集まることがなく、形態保持性に優れていた。
【0063】
実施例3
実施例1において、糸幅1.2mm、糸厚み29μm、繊度330dtの経糸用の一軸延伸テープの代わりに、糸幅0.5mm、糸厚み29μm、繊度150dtの経糸用の一軸延伸テープを用いて目付重量が10.3g/mのメッシュを作製した以外は、実施例1と同様にして、包装袋11及びオレンジが充填された包装体1を作製した。得られた結果を表1にまとめて示す。こうして得られたオレンジが充填された包装体1は、立てて置いてもメッシュが伸びて包装体1の下部にオレンジが集まることがなかった。しかしながら、得られた包装体1において、フィルムとメッシュとの接着が不十分で、フィルムとメッシュとが剥離している箇所があった。
【0064】
実施例4
実施例1において、糸幅1.2mm、糸厚み29μm、繊度330dtの経糸用の一軸延伸テープ、及び糸幅1.5mm、糸厚み23μm、繊度330dtの緯糸用の一軸延伸テープの代わりに、経緯糸共に、糸幅1.5mm、糸厚み47μm、繊度670dtの一軸延伸テープを用いて、メッシュの織密度を経緯糸共に8本/2.54cmとし、目付重量を43.5g/mとした以外は、実施例1と同様にして、包装袋11及びオレンジが充填された包装体1を作製した。得られた結果を表1にまとめて示す。こうして得られたオレンジが充填された包装体1は、立てて置いてもメッシュが伸びて包装体1の下部にオレンジが集まることがなかった。しかしながら、オレンジが充填された包装体1を作製する際に、包装袋11の上端3付近までオレンジが充填されていたため、包装袋11の上端3から65mm下の部分を熱接着することが困難であった。また、包装体1におけるメッシュのシワが目立った。
【0065】
比較例1
実施例1において、300mm幅の筒状メッシュロール8の代わりに、300mm幅のポリエチレン製の筒状プラスチックネットロール(市販品)を用いた以外は、実施例1と同様にしてプラスチックネットからなる包装袋を作製し、次いでオレンジが充填されたプラスチックネットからなる包装体を得た。ここで、筒状プラスチックネットロールを構成する筒状プラスチックネットは、押出成型によって織成することなく形成されたポリエチレンからなるネットであり、厚みが200μmとなるようにネットの交点が平滑に押しつぶされた菱形の格子模様(目の対角線長さ約8mm×4mm)からなるネットである。プラスチックネットの目付重量は45g/mであり、プラスチックネットの引張強力及び引張伸度の測定を実施例1と同様にして行った。得られた結果を表1にまとめて示す。こうして得られたオレンジが充填されたプラスチックネットからなる包装体は、立てて置いた場合にプラスチックネットが伸びて包装体の下部にオレンジが集まり、形態保持性に劣っていた。また、包装袋におけるフィルムとプラスチックネットとの接着が不十分で、フィルムとプラスチックネットとが剥離している箇所があった。このとき、プラスチックネットからなる包装体を正面から見た場合、包装体の片側が大きく膨らんだ台形形状となっており美観を損ねていた。
【0066】
また、プラスチックネットの被覆率及び交点比率は、スキャナを用いてプラスチックネットのデジタル画像を得た後、画像解析ソフトを用いてプラスチックネット10cm角における画素数を解析し、以下の式により算出した。得られた結果を表1にまとめて示す。
被覆率(%)=(プラスチックネット部分の画素数)/(プラスチックネット部分の画素数+背景部分の画素数)×100
交点比率(%)=(プラスチックネットの交点部分の画素数)/(プラスチックネット部分の画素数+背景部分の画素数)×100
【0067】
実施例5
筒状メッシュ5の表面と一対のバンド6における長手方向端部9とが熱接着されてなる部分(水平方向に約15mm幅)において、垂直方向における一軸延伸テープの織密度を12本/2.54cmに変更した以外は、実施例1と同様にして、包装袋11及びオレンジが充填された包装体1を作製した。このように、熱接着されてなる部分の垂直方向における一軸延伸テープの織密度を増やすことにより、筒状メッシュ5の表面と一対のバンド6における長手方向端部9とを熱接着させる際にバンド6を構成するフィルムにシワが入りにくく、接着性に優れており、作業性も良好であった。また、得られたオレンジが充填された包装体1は、立てて置いてもメッシュが伸びて包装体1の下部にオレンジが集まることがなく、形態保持性に優れていた。
【0068】
実施例6
実施例1において、得られたメッシュを590mm幅で裁断する代わりに、624mm幅で裁断し、メッシュの両端が相互に重なるように中央部に向かって折り畳み、該両端を熱板式溶着機で溶着させながら巻き取って、300mm幅で300m巻の筒状メッシュロール8を得た以外は、実施例1と同様にして包装袋11及びオレンジが充填された包装体1を作製した。こうして得られたオレンジが充填された包装体1は、立てて置いてもメッシュが伸びて包装体1の下部にオレンジが集まることがなく、形態保持性に優れていた。なお、筒状メッシュ5を巻き取る際に、メッシュの両端が相互に重なって溶着した部分が膨らんでしまうため、300m巻を超える筒状メッシュロール8を得ることができなかった。
【0069】
実施例7
実施例6において、メッシュの両端を熱板式溶着機で溶着させながら巻き取る際に、巻き取り軸を振幅30mmで水平方向に定期的に移動させながら巻き取って、300mm幅で500m巻の筒状メッシュロール8を得た以外は、実施例6と同様にして包装袋11及びオレンジが充填された包装体1を作製した。こうして得られた筒状メッシュロール8は、実施例6で得られた筒状メッシュロール8と比較して、メッシュの両端が相互に重なって溶着した部分の膨らみを抑えることができたため、500m以上巻き取ることが可能であった。また、得られたオレンジが充填された包装体1は、立てて置いてもメッシュが伸びて包装体1の下部にオレンジが集まることがなく、形態保持性に優れていた。
【0070】
【表1】

【符号の説明】
【0071】
1 包装体
2 ハンドル
3 上端
4 上部
5 筒状メッシュ
6 バンド
7 底部
8 筒状メッシュロール
9 長手方向端部
10 筒状体
11 包装袋
12 ローラー
13 ローラー
14 ローラー
15 筒
16 シーラー
17 ガゼット形成ガイド
18 シーラー
19 カッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状メッシュと一対のバンドとからなる包装袋であって、
筒状メッシュが、一軸延伸テープを経緯糸に用いて織成されるとともに該経緯糸の交点が熱接着され、該一軸延伸テープが、少なくとも3層の熱可塑性樹脂層からなり、内層を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも外層を構成する熱可塑性樹脂の融点が低く、
バンドが、熱可塑性樹脂からなり、
筒状メッシュが一対のバンドの間に配置されて、筒状メッシュの表面と一対のバンドとが熱接着されてなり、
筒状メッシュと一対のバンドとが包装袋の底部で熱接着されて閉じられてなることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
筒状メッシュを構成する一軸延伸テープが包装袋における垂直方向及び水平方向の両方向に配置されるように、筒状メッシュと一対のバンドとが熱接着されてなる請求項1記載の包装袋。
【請求項3】
筒状メッシュの目付重量が10〜20g/mである請求項1又は2記載の包装袋。
【請求項4】
一軸延伸テープの厚みが15〜40μmである請求項1〜3のいずれか記載の包装袋。
【請求項5】
経糸に用いた一軸延伸テープの幅が0.6〜1.4mmである請求項1〜4のいずれか記載の包装袋。
【請求項6】
緯糸に用いた一軸延伸テープの幅が、経糸に用いた一軸延伸テープの幅よりも大きい請求項1〜5のいずれか記載の包装袋。
【請求項7】
筒状メッシュの目付重量1g/mあたりの引張強力が経緯共に7.5N/5cm以上である請求項1〜6のいずれか記載の包装袋。
【請求項8】
筒状メッシュの下記式(1)によって示される被覆率が40〜70%である請求項1〜7のいずれか記載の包装袋。
被覆率(%)=100−[{(25.4−(A×B))×(25.4−(C×D))/(25.4×25.4)}×100] (1)
A:経糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
B:経糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
C:緯糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
D:緯糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
【請求項9】
筒状メッシュの下記式(2)によって示される交点比率が5〜20%である請求項1〜8のいずれか記載の包装袋。
交点比率(%)={(A×B)×(C×D)/(25.4×25.4)}×100 (2)
A:経糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
B:経糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
C:緯糸に用いた一軸延伸テープの幅(mm)
D:緯糸に用いた一軸延伸テープの織密度(本/25.4mm)
【請求項10】
筒状メッシュの表面と一対のバンドとが熱接着されてなる部分の垂直方向における一軸延伸テープの織密度が、熱接着されていない部分における垂直方向における一軸延伸テープの織密度よりも大きい請求項1〜9のいずれか記載の包装袋。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか記載の包装袋に農作物が充填されてなる農作物包装体。
【請求項12】
筒状メッシュと一対のバンドとからなる包装袋の製造方法であって、
メッシュを長手方向に沿って折り畳んで筒状メッシュを得て、筒状メッシュを巻き取って筒状メッシュロールを得た後に、該ロールから供給された筒状メッシュの表面と一対のバンドとを熱接着させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の包装袋の製造方法。
【請求項13】
筒状メッシュの表面と一対のバンドとを熱接着させた後に、該筒状メッシュの長手方向に沿ってガゼットを形成する請求項12記載の包装袋の製造方法。
【請求項14】
メッシュを長手方向に沿って折り畳む際に、該メッシュの両端同士が重ならないように折り畳んでから筒状メッシュロールを得る請求項12又は13記載の包装袋の製造方法。
【請求項15】
メッシュを長手方向に沿って折り畳む際に、該メッシュの両端同士が重なるように折り畳み、両端同士が重なった部分をずらしながら巻き取って筒状メッシュロールを得る請求項12又は13記載の包装袋の製造方法。
【請求項16】
筒状メッシュと一対のバンドとからなる包装袋に農作物が充填されてなる農作物包装体の製造方法であって、
メッシュを長手方向に沿って折り畳んで筒状メッシュを得て、筒状メッシュを巻き取って筒状メッシュロールを得た後に、該ロールから供給された筒状メッシュの表面と一対のバンドとを熱接着させて包装袋を形成し、
得られた包装袋に農作物を充填してから包装袋の開口部を熱溶着により閉じることを特徴とする請求項11記載の農作物包装体の製造方法。
【請求項17】
メッシュが折り畳まれて巻き取られてなる筒状メッシュロールであって、
メッシュが、一軸延伸テープを経緯糸に用いて織成されるとともに該経緯糸の交点が熱接着され、該一軸延伸テープが、少なくとも3層の熱可塑性樹脂層からなり、内層を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも外層を構成する熱可塑性樹脂の融点が低く、
メッシュの両端同士が重ならないように該メッシュが長手方向に沿って折り畳まれて巻き取られてなる筒状メッシュロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−236607(P2012−236607A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213599(P2009−213599)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000234122)萩原工業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】