説明

包装袋

【課題】 本発明は、取出口を通じて収納物を取り出すことができ、且つ別体の蓋材を用いずに取出口を閉塞できる包装袋を提供する。
【解決手段】 本発明の包装袋は、表フィルム1と裏フィルム2が接着剤層5を介して積層された積層フィルム3から形成された袋本体4を有し、前記袋本体4に開閉部7を形成するために、前記表フィルム1の面内に平面視非直線状の表側切込線11が形成され、且つ、前記裏フィルム2の面内に前記表側切込線11と位置ずれした平面視非直線状の裏側切込線21が形成されており、前記表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12aにおける表フィルム1と裏フィルム2の層間には、前記接着剤層5が設けられておらず、前記領域における表フィルム1と裏フィルム2の層間に、粘着剤層6が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納した物品を取り出すための開閉部を備える包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、お菓子や鰹節などの食品、ウェットティッシュなどの衛生品、医薬品などの様々な物品が、柔軟な包装袋に収納されている。
かかる柔軟な包装袋としては、代表的には、シーラントフィルムを有する積層フィルムからなるピロー包装袋が挙げられる。
かかる包装袋は、一旦開封すると、再封し難いという問題点がある。
【0003】
容易に再封できる包装袋として、特許文献1には、開閉用の蓋材が貼付された包装袋が開示されている。
具体的には、包装袋を構成するフィルムの面内に、環状の切込線が形成され、この切込線を覆うように、粘着剤の塗布された蓋材がフィルムの表面に貼付されている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の包装袋においては、別体の蓋材を包装袋に貼付しなければならないので、部品数が増え、さらに、製造時にはこれを貼付する工程が必要となる。
また、上記特許文献1の包装袋においては、粘着剤を介してフィルムに貼付された蓋材の該粘着剤が、切込線の隙間を通り、フィルムの裏面側(包装袋の収納空間内)に滲入する場合がある。このような包装袋に食品を収納すると、粘着剤が食品に付着するおそれがあるので、衛生上好ましくない。
さらに、粘着剤が蓋材の周縁からはみ出ることによって、蓋材の縁に粉塵が付着する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−19858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、取出口を通じて収納物を取り出すことができ、且つ別体の蓋材を用いずに取出口を閉塞できる包装袋を提供することである。
本発明の第2の目的は、粘着剤が表面側及び裏面側に出ることを防止した包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装袋は、表フィルムと裏フィルムが接着剤層を介して積層された積層フィルムから形成された袋本体を有し、前記袋本体に開閉部を形成するために、前記表フィルムの面内に平面視非直線状の表側切込線が形成され、且つ、前記裏フィルムの面内に前記表側切込線と位置ずれした平面視非直線状の裏側切込線が形成されており、前記表側切込線と裏側切込線の間の領域における表フィルムと裏フィルムの層間には、前記接着剤層が設けられておらず、前記領域における表フィルムと裏フィルムの層間に、粘着剤層が設けられている。
【0008】
上記包装袋においては、表側切込線と裏側切込線の間の領域における表フィルムと裏フィルムの層間には、接着剤層が設けられていないが、それに代わって粘着剤層が設けられているので、前記領域における表フィルムと裏フィルムの層間は互いに貼着している。このため、袋本体の密封性は保持されている。
この表側切込線を利用して表フィルムの一部分を離反させると、粘着剤層の粘着面が前記領域における表フィルムの裏面又は裏フィルムの表面から剥がれていき、さらに、表フィルムに引っ張られて裏フィルムの一部分が裏側切込線に従って離反する。従って、前記表フィルムの一部分及び裏フィルムの一部分(開閉部に相当)が袋本体から捲れ、表側切込線及び裏側切込線で囲われる範囲内に、袋本体の収納空間に通じる取出口が生じる。よって、この取出口から収納物を取り出したり、或いは、これを戻すこともできる。
一方、離反させた前記表フィルムの一部分及び裏フィルムの一部分(開閉部)を元の状態に戻すと、前記領域における表フィルムと裏フィルムの層間が粘着剤層を介して貼着するため、取出口を密封状に閉塞できる。
【0009】
本発明の好ましい包装袋は、前記表側切込線の内側近傍領域及び前記裏側切込線の外側近傍領域における表フィルムと裏フィルムの層間が、前記粘着剤層が設けられていない非貼着領域とされている。
【0010】
かかる好ましい包装袋においては、表側切込線の内側近傍領域及び前記裏側切込線の外側近傍領域にそれぞれ前記粘着剤層が設けられていないので、粘着剤層の粘着剤が表側切込線及び裏側切込線を通じて袋本体の表面側及び裏面側に滲み出ることを効果的に防止できる。
【0011】
本発明の他の好ましい包装袋は、前記表側切込線の外側近傍領域及び前記裏側切込線の内側近傍領域における表フィルムと裏フィルムの層間が、前記接着剤層が設けられていない非貼着領域とされている。
【0012】
かかる他の好ましい包装袋においては、粘着剤層から滲み出た粘着剤が、前記表側切込線の外側近傍領域及び前記裏側切込線の内側近傍領域における表フィルムと裏フィルムの層間に入り込むので、粘着剤層の粘着剤が表側切込線及び裏側切込線を通じて袋本体の表面側及び裏面側に滲み出ることを効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装袋は、取出口を通じて収納物を取り出すことができ、さらに、この取出口を別体の蓋材を用いずに再度閉塞することができる。
また、本発明の好ましい包装袋によれば、袋本体の表面側及び裏面側に粘着剤が滲み出ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る包装袋の斜視図。
【図2】同包装袋の平面図。
【図3】図1のIII−III線断面図(包装袋の収納空間側から裏フィルムの裏面側を見た図)。
【図4】図2のIV−IV線拡大断面図。
【図5】図2のV−V線拡大断面図。
【図6】切込線の変形例を示す斜視図。
【図7】開閉部を捲り上げた状態を示す斜視図。
【図8】図7のVIII−VIII線拡大断面図。
【図9】本発明の第2実施形態に係る包装袋について、図2のIV−IV線と同様な箇所で切断した拡大断面図。
【図10】本発明の第3実施形態に係る包装袋について、図2のIV−IV線と同様な箇所で切断した拡大断面図。
【図11】本発明の第5実施形態に係る包装袋の第1変形例の平面図。
【図12】本発明の第5実施形態に係る包装袋の第2変形例の平面図。
【図13】本発明の第5実施形態に係る包装袋の第3変形例の平面図。
【図14】本発明の第5実施形態に係る包装袋の第4変形例の平面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本明細書において、横方向及び縦方向は、包装袋を任意に平坦面上に置いてその法線方向から見たときの方向性を指し、横方向と縦方向は、袋本体の一面内で互いに直交する方向である。また、平面視形状は、包装袋を任意に平坦面上に置いてその法線方向から見たときの形状である。また、用語の接頭語として、第1、第2などを付けているが、該接頭語は、用語を区別するために付加されたものであり、その順序や優劣などを意味しない。さらに、「A〜B」という記載は、A以上B以下を意味する。
また、図2、図11、図12、図13及び図14において、非貼着領域を「薄墨」で、粘着剤層が設けられた部分を「網掛け」でそれぞれ表している。これら各部は平面図からは直接現れないが、これらの各部が設けられた範囲を分かりやすく図示する目的で、便宜上、このように塗り分けしている。
【0016】
[第1実施形態]
図1乃至図5に於いて、本発明の開閉部を具備する包装袋10は、表フィルム1と裏フィルム2が接着剤層5を介して積層された積層フィルム3から形成された袋本体4を有する。袋本体4の内部には、収納物が収納される収納空間が形成されている。
この袋本体4の一面に前記収納空間に通じる取出口を形成するために、袋本体4を構成する積層フィルム3には切込線11,21が形成されている。この切込線11,21によって囲われる部分が、開閉部7として機能する。積層フィルム3は、表フィルム1と裏フィルム2を有するので、表フィルム1及び裏フィルム2の面内にそれぞれ切込線11,21が形成されている(以下、表フィルム1に形成された切込線11を「表側切込線」といい、裏フィルム2に形成された切込線21を「裏側切込線」という)。
【0017】
表側切込線11の形状は、平面視非直線状であり、裏側切込線21の形状は、前記表側切込線11から位置ずれした平面視非直線状である。位置ずれした表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12aにおける表フィルム1と裏フィルム2の層間には、接着剤層5が設けられていない。この接着剤層5に代えて、表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12aにおける表フィルム1と裏フィルム2の層間には、粘着剤層6が設けられている。粘着剤層6は、表フィルム1と裏フィルム2の層間の貼着及び剥離を繰り返して行うことができる層である。
【0018】
具体的には、袋本体4を構成する積層フィルム3は、柔軟性を有し、液体及び大気を実質的に通さない枚葉体からなる。なお、本明細書において、フィルムとは、一般にシートと呼ばれている枚葉体が含まれる。
積層フィルム3は、表フィルム1と裏フィルム2からなり、両フィルム1,2は、後述する領域を除いて、接着剤層5を介して積層接着されている。
【0019】
表フィルム1の材質は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。表フィルム1としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの合成樹脂フィルム、不織布、発泡樹脂フィルム、紙などが挙げられる。表フィルム1は、任意に選ばれた2種以上のフィルムの積層体(例えば、2種以上の合成樹脂フィルムが一体的に積層された積層体、或いは、合成樹脂フィルムと紙が一体的に積層された積層体など)でもよい。また、表フィルム1は、上記のような様々なフィルム又は積層体に、ガスバリア層及び/又は光バリア層が一体的に積層された積層体でもよい。
加工性に優れ且つ収納物の品質を良好に保持できることから、表フィルム1は、合成樹脂フィルム、2種以上の合成樹脂フィルムの積層体、又は、これらにガスバリア層及び/又は光バリア層が積層された積層体を用いることが好ましい。
【0020】
なお、表フィルム1は、透明又は非透明の何れでもよい。さらに、表フィルム1には、必要に応じて、意匠印刷が施されていてもよい。意匠印刷が設けられる場合、意匠印刷層(インキ層。図示せず)は、意匠印刷層の擦傷を防止するため、表フィルム1の裏面に設けられることが好ましい。もっとも、意匠印刷層は、表フィルム1の表面に設けられていてもよい。
表フィルム1の厚みは、特に限定されない。表フィルム1として合成樹脂フィルム又はこれを含む積層体が用いられる場合には、その厚みは、一般に、15μm〜120μmである。
【0021】
裏フィルム2の材質も、特に限定されず、上記表フィルム1で例示したようなフィルム又は積層体を用いることができる。なお、表フィルム1がガスバリア層及び/又は光バリア層を有する場合には、裏フィルム2は、これらの層を有さなくてもよいし、或いは、これらの層を有していてもよい。また、表フィルム1及び裏フィルム2の何れも、ガスバリア層及び/又は光バリア層を有さなくてもよい。
【0022】
熱シールによって袋本体4を形成できることから、裏フィルム2は、シーラント層を有することが好ましい。例えば、裏フィルム2は、シーラント層の単層、又は、シーラント層と他の層(例えば、シーラント層とは異なる合成樹脂フィルム)が一体的に積層され且つこのシーラント層が最裏面に一体的に積層された積層体を用いることが好ましい。
シーラント層は、加熱することにより溶融して互いに接着し得る層である。シーラント層としては、汎用的なポリエチレン層が挙げられる。
裏フィルム2は、透明又は非透明の何れでもよい。
裏フィルム2の厚みは、特に限定されない。裏フィルム2としてシーラント層の単層が用いられる場合には、その厚みは、一般に、15μm〜70μmである。
【0023】
接着剤層5は、表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12a(この領域12aには表側切込線11の内側近傍領域11i及び裏側切込線21の外側近傍領域21oが含まれる)、表側切込線11の外側近傍領域11o及び裏側切込線21の内側近傍領域21iのそれぞれの領域における表フィルム1と裏フィルム2の層間を除いて、表フィルム1の裏面と裏フィルム2の表面の間に介在されている。この接着剤層5を介して、表フィルム1と裏フィルム2は積層接着されている。
【0024】
前記表側切込線11の内側近傍領域11iとは、表側切込線11を基準にして、その切込線11の内側に隣接し且つその切込線11に沿って延びる幅狭な帯状領域であり、表側切込線11の外側近傍領域11oとは、その切込線11の外側に隣接し且つその切込線11に沿って延びる幅狭な帯状領域である。
前記裏側切込線21の外側近傍領域21oとは、裏側切込線21を基準にして、その切込線21の外側に隣接し且つその切込線21に沿って延びる幅狭な帯状領域であり、裏側切込線21の内側近傍領域21iとは、その切込線21の内側に隣接し且つその切込線21に沿って延びる幅狭な帯状領域である。
【0025】
上記接着剤層5は、表フィルム1と裏フィルム2を強固に接着するための層である。接着剤層5が設けられている部分においては、表フィルム1と裏フィルム2は、人力ではほぼ層間剥離させることができない。
接着剤層5は、公知の接着剤を、表フィルム1の裏面又は裏フィルム2の表面の所定範囲に塗布することにより、両フィルム1,2の層間に設けることができる。接着剤は、特に限定されず、例えば、ドライラミネート用接着剤、ウェットラミネート用接着剤、感熱型接着剤、紫外線硬化型接着剤などが挙げられ、一般的には、ドライラミネート用接着剤又は紫外線硬化型接着剤が用いられる。
【0026】
袋本体4は、収納物を収納した収納空間を有する密封袋であり、積層フィルム3を筒状にしてその両端辺部の裏面同士を合掌状に重ね合わせてこれを横方向帯状に接着した中央接着部41と、筒状にした積層フィルム3の両側辺部を縦方向帯状にそれぞれ接着した両閉塞部42,42と、を有する。
このように1枚の積層フィルム3を3方辺部において閉塞した袋の形態は、一般に、ピロー包装と呼ばれている。
【0027】
なお、本発明の袋本体4は、収納物を密封して包装できる袋形態であれば、上記ピロー包装に限られず、他の形態でもよい。
また、収納物は特に限定されず、例えば、お菓子などの食品、ウェットティッシュなどの液体が含浸されたシート、おもちゃ、文房具類、化粧品類、固形薬品類などが挙げられる。
【0028】
そして、上記袋本体4(積層フィルム3)の一面には、収納物を取り出すための取出口を閉塞する開閉部7が形成されている。取出口の大きさ(開口面積)は、そこから収納物を取り出すことができるように、収納物に応じて適宜設計される。
前記取出口は、表側切込線11及び裏側切込線21に従って表フィルム1の一部分及び裏フィルム2の一部分を離反させることによって、袋本体4に形成される開口部分である。
前記開閉部7は、表側切込線11及び裏側切込線21に従って袋本体4から離される、表フィルム1の一部分及び裏フィルム2の一部分からなる。
【0029】
表側切込線11は、袋本体4の一面の中央部における表フィルム1に形成されている。もっとも、表側切込線11は、袋本体4の中央部に形成される場合に限定されない。
表側切込線11の形状は、両端部を有する有端の非直線状である。例えば、有端の非直線状の表側切込線11は、両端部113,113を有し、この両端部113,113を結んだ仮想直線から袋本体4の一方側(本実施形態では、横方向一方側)に膨らんだ平面視非直線状に形成されている。
一方、裏側切込線21は、袋本体4の一面の中央部における裏フィルム2に形成されている。もっとも、裏側切込線21は、上記表側切込線11と同様に、袋本体4の中央部に形成される場合に限定されない。
【0030】
裏側切込線21の形状は、両端部を有する有端の非直線状、又は、無端の非直線状の何れかである。なお、無端の非直線状の切込線とは、その内側に閉鎖領域を形成するような形状の切込線(すなわち、環状の切込線)である。
裏側切込線21は、例えば、上記表側切込線11と同様に、両端部213,213を有し、この両端部213,213を結んだ仮想直線から袋本体4の一方側に膨らんだ平面視非直線状に形成されている。
【0031】
裏側切込線21の形成箇所と表側切込線11の形成箇所は一致しておらず、裏側切込線21は、表側切込線11と位置ずれして形成されている。なお、位置ずれとは、部分的に交わっている、すなわち、平面から見たときに、表側切込線11と裏側切込線21が部分的に交差している場合を含む。
本実施形態では、裏側切込線21は、前記表側切込線11を基準にして、表側切込線11から内側に離れて形成されている。特に、表側切込線11と裏側切込線21は、部分的にも交わっていない(平面から見たときに両線が部分的に交差していない)ことが好ましい。
【0032】
詳細には、表側切込線11は、一方の端部113及び他方の端部113と、この両端部113,113から横方向一方側にそれぞれ延びる一対の第1表側切込線111,111と、一対の第1表側切込線111,111に連設され且つ縦方向に延びる1つの第2表側切込線112と、を有する。
また、第2表側切込線112の縦方向中央部は、横方向一方側に略円弧状に膨らんでいる。この第2表側切込線112の略円弧状で囲われた領域は、開閉部7を捲り出すときの摘み部として機能する。なお、摘みやすくするために、第2表側切込線112の略円弧状で囲われた領域における表フィルム1と裏フィルム2の層間には、図2に示すように、粘着剤層6を有しない(又は粘着剤層6の表面に粘着を抑える隠蔽層を設ける)ことが好ましい。
【0033】
裏側切込線21は、一方の端部213及び他方の端部213と、この両端部213,213から横方向一方側にそれぞれ延びる一対の第1裏側切込線211,211と、一対の第1裏側切込線211,211に連設され且つ縦方向に延びる1つの第2裏側切込線212と、を有する。
【0034】
第1裏側切込線211及び第2裏側切込線212は、それぞれ第1表側切込線111及び第2表側切込線112よりも内側に位置ずれして形成されている。第1裏側切込線211と第1表側切込線111との間隔及び第2裏側切込線212と第2表側切込線112との間隔(つまり、表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12aの間隔)は、特に限定されず、適宜設定できる。もっとも、前記間隔が余りに狭いと、それに応じて粘着剤層6の幅が狭くなるので、表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12aにおける表フィルム1と裏フィルム2の層間を密封状に貼着できないおそれがある。かかる点を考慮すると、前記間隔は、5mm以上が好ましく、さらに、7mm以上がより好ましい。また、前記間隔が広くても本発明の効果は変わらないが、前記間隔が余りに広いと相対的に裏側切込線21で囲われる部分(取出口)が狭くなる。かかる点を考慮すると、前記間隔は、20mm以下が好ましい。
【0035】
本実施形態では、第1裏側切込線211と第1表側切込線111との間隔は横方向において略一定であり、第2裏側切込線212と第2表側切込線112との間隔は縦方向において略一定である(ただし、第2表側切込線112の縦方向中央部と第2裏側切込線212との間隔を除く)。つまり、裏側切込線21の平面視形状は、表側切込線11の平面視形状よりも小さく且つその形状の相似形である。
もっとも、第1裏側切込線211と第1表側切込線111との間隔及び第2裏側切込線212と第2表側切込線112との間隔が略一定でなく、少なくとも何れか一方の間隔が次第に広がっていたり、或いは、部分的に異なっていてもよい。
【0036】
ここで、切込線(表側切込線11及び裏側切込線21)とは、フィルムの厚み方向に貫通した切り目の連続線を意味する。切込線は、図2に示すように、前記切り目が全体的に連続しているものでもよいし、或いは、ある程度長さの連続線が断続的に繋がっているもの(図6に示すように、長い連続線Aが、短い間隔Bを開けて繋がっているもの)でもよい。このように、切り目の連続線が断続的に繋がって構成される切込線であっても、この切込線に従ってフィルムを切り取ることができる。
【0037】
また、本実施形態では、表側切込線11と裏側切込線21の間の中間領域(表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12aのうち、表側切込線11の内側近傍領域11i及び裏側切込線21の外側近傍領域21oを除いた領域)における表フィルム1と裏フィルム2の層間に、粘着剤層6が設けられている。
つまり、粘着剤層6は、表側切込線11上及び裏側切込線21上にそれぞれ重ならないように表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12aに設けられている。
【0038】
この粘着剤層6は、表側切込線11及び裏側切込線21に沿って帯状に延びて設けられている。
粘着剤層6は、前記中間領域における表フィルム1の裏面又は裏フィルム2の表面の何れか一方面に、公知の粘着剤を塗布することにより設けることができる。
例えば、表フィルム1の裏面に粘着剤が塗布された場合には、この粘着剤層6の粘着面が裏フィルム2の表面に貼着され、この両面間で層間剥離し得る。なお、粘着剤層6の粘着力を調整するために、粘着剤が塗布されていない相手側に(例えば、裏フィルム2の表面に粘着剤が塗布された場合には、この粘着剤層6の粘着面が対面する表フィルム1の裏面に)、離型剤を薄く塗布してもよい。
本実施形態では、表フィルム1の裏面に粘着剤が塗布されている。表フィルム1の裏面に粘着剤層6を設けることにより、開閉部を開閉している間に収納物が粘着剤層6に付着し難いという利点がある。
【0039】
粘着剤層6の幅は、特に限定されないが、余りに狭いと袋本体4の密封性を確保できないおそれがあるので、3m以上が好ましく、5mm以上がより好ましい。なお、前記粘着剤層6の延びる方向においてその幅が均一でない場合には、前記粘着剤層6の幅は、最も狭い箇所の幅に相当する。
なお、粘着剤層6の厚みは、通常、5μm〜25μm程度である。
【0040】
粘着剤は、特に限定されず、感圧型粘着剤、感熱型粘着剤、紫外線硬化型粘着剤などが挙げられ、一般的には、感圧型粘着剤が用いられる。
粘着剤とは、2つの被着体の間に介在して両者を貼着でき、且つ手の力で被着体を引き剥がすことができる程度の粘着力を有し、剥離後再貼付可能なもの(剥離後も粘着性を有するもの)をいう。
詳しくは、粘着剤層6の粘着力は、特に限定されないが、粘着剤層6の接着強度が、1〜5N/15mmが好ましい。
【0041】
前記粘着剤層の接着強度は、JIS Z 0237の180度剥離に準じた方法で測定された値をいう。具体的には、前記接着強度は、粘着剤を介して表フィルムと裏フィルムが接着されたものを100mm×15mmに切り出し、温度23±2℃、湿度50±5%RH、300mm/分の速度で剥離したときの最大強度をいう。
【0042】
本実施形態においては、上述のように、表側切込線11の内側近傍領域11i、表側切込線11の外側近傍領域11o、裏側切込線21の外側近傍領域21o、及び、裏側切込線21の内側近傍領域21iのそれぞれの領域における表フィルム1と裏フィルム2の層間には、粘着剤層6及び接着剤層5が設けられておらず、これらの領域11i,11o,21i,21oは、非貼着領域とされている。
この非貼着領域における表フィルム1と裏フィルム2の層間は、貼り付いておらず、この層間には僅かな隙間を有する。
【0043】
表側切込線11の内側近傍領域11iの幅、表側切込線11の外側近傍領域11oの幅、裏側切込線21の内側近傍領域21iの幅、及び裏側切込線21の外側近傍領域21oの幅は、それぞれ特に限定されない。もっとも、これらの幅が、余りに狭すぎると、本発明の効果を十分に発揮できないおそれがあり、一方、余りに広すぎると、開閉部7を開閉しているうちにそれら近傍領域11i,11o,21i,21oにおける表フィルム1と裏フィルム2の層間に異物が噛み込むおそれがある。かかる観点から、これらの幅は、それぞれ1mm〜5mm程度が好ましく、1mm〜3mm程度がより好ましい。
【0044】
上記包装袋10は、例えば、次のようにして作製される。
表フィルム1の裏面(又は裏フィルム2の表面)の所定範囲(接着剤層5及び粘着剤層6の形成予定範囲)に、接着剤及び粘着剤を塗布した後、これに裏フィルム2の表面(又は表フィルム1の裏面)を貼り合わせて積層フィルム3を形成する。次に、接着剤層5及び粘着剤層6の間に対応するように、表フィルム1の表面側からカッター刃を用いて表側切込線11を刻設し且つ裏フィルム2の裏面側からカッター刃を用いて裏側切込線21を刻設する。得られた積層フィルム3は、必要に応じて、ロールに巻き取られる。
【0045】
なお、上述のように、表側切込線11の内側近傍領域11i、表側切込線11の外側近傍領域11o、裏側切込線21の外側近傍領域21o、及び、裏側切込線21の内側近傍領域21iには、粘着剤層6が設けられていないので、粘着剤が滲み出にくい。このため、ロールに巻き取った積層フィルム3はブロッキングしない。
【0046】
最後に、収納物を包むように上記積層フィルム3を筒状にし、筒状にした積層フィルム3の両端辺部を合掌状に重ね合わせてこれを横方向帯状に接着して中央接着部41を形成し(裏フィルム2がシーラント層を有する場合には、シーラント層同士を重ね合わせて熱シールにて横方向帯状に接着する)、筒状の積層フィルム3の両側辺部を縦方向帯状にそれぞれ接着して両閉塞部42,42を形成する(裏フィルム2がシーラント層を有する場合には、同様に熱シールにて接着する)。このようにして上記包装袋10を作製できる。
【0047】
上記包装袋10においては、表フィルム1及び裏フィルム2に表側切込線11及び裏側切込線21が形成され且つ表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12aにおける表フィルム1と裏フィルム2の層間には、接着剤層5が設けられていないが、それに代わって粘着剤層6が設けられているので、前記領域12aにおける表フィルム1と裏フィルム2の層間は互いに貼着している。従って、袋本体4の密封性は保持されているので、本発明の包装袋10は、食品の包装にも適している。
【0048】
さらに、上記包装袋10においては、表側切込線11の内側近傍領域11i、表側切込線11の外側近傍領域11o、裏側切込線21の外側近傍領域21o、及び、裏側切込線21の内側近傍領域21iの各領域に、粘着剤層6が設けられていないので、粘着剤層6の粘着剤が、表側切込線11及び裏側切込線21を通じて袋本体4の表面側及び裏面側に滲み出ることを効果的に防止できる。詳細には、粘着剤層6が切込線上に被さっていると、粘着剤が切込線を通じて滲み出るが、本発明においては、粘着剤層6が切込線11,12上に存在しないので、粘着剤の滲み出しを防止できる。
かかる包装袋10は、裏側切込線21を通じて収納空間内に粘着剤が滲入し難いので、特に食品の包装に適している。
また、粘着剤が表側切込線11を通じて袋本体4の表面側にも出ないので、粉塵などが付着することも防止できる。
【0049】
上記包装袋10から収納物を取り出す際には、摘み部の縁を捲り、摘み部を摘んで表フィルム1を捲り上げる。なお、摘み部の内側(第2表側切込線112の略円弧状で囲われた領域の内側近傍領域11i)は、非貼着領域とされているので、摘み部の縁に爪を入れることによりこれを容易に捲ることができる。
表フィルム1を捲り上げると、表側切込線11に沿って表フィルム1の一部分が袋本体4から離反していくと共に、粘着剤層6の粘着面が裏フィルム2の表面から剥がれていく。さらに、表フィルム1に引っ張られて裏フィルム2の一部分が裏側切込線21に従って袋本体4から離反する(図7及び図8参照)。このようにして表フィルム1の一部分及び裏フィルム2の一部分(開閉部7)が袋本体4から捲れ、裏側切込線21で囲われる範囲内に、袋本体4の収納空間に通じる取出口9が生じる。よって、この取出口9から収納物を取り出したり、或いは、これを戻すこともできる。
【0050】
また、捲り上げた開閉部7を元の状態に戻すと、表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12aにおける表フィルム1と裏フィルム2の層間が粘着剤層6を介して再度貼着するため、取出口を密封状に再封できる。
このように本発明の包装袋10によれば、従来のように別体の蓋材を袋本体に設けなくても、収納物を取出口9から取り出し且つこの取出口9を開閉部7にて再封でき、これを繰り返すことができる。
【0051】
なお、本発明の包装袋は、上記実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で、適宜変更することができる。以下、本発明の他の実施形態を説明する。ただし、以下の他の実施形態の説明においては、上記第1実施形態と異なる事項について主として説明し、上記第1実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し且つ用語及び符号を援用する場合がある。
【0052】
[第2実施形態]
本実施形態では、図9に示すように、表側切込線11の外側近傍領域11o及び裏側切込線21の内側近傍領域21iを含んで接着剤層5が設けられている点が、上記第1実施形態と異なっている。
つまり、本実施形態では、表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12aにおける表フィルム1と裏フィルム2の層間には、接着剤層5が設けられておらず、表側切込線11と裏側切込線21の間の中間領域(表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12aのうち、表側切込線11の内側近傍領域11i及び裏側切込線21の外側近傍領域21oを除いた領域)に粘着剤層6が設けられている。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0053】
本実施形態の包装袋10においても、開閉部7によって取出口を開閉でき、さらに、表側切込線11の内側近傍領域11i及び裏側切込線21の外側近傍領域21oに、それぞれ粘着剤層6が設けられていないので、粘着剤層6の粘着剤が表側切込線11及び裏側切込線21を通じて滲み出ることを効果的に防止できる。
【0054】
[第3実施形態]
本実施形態では、図10に示すように、表側切込線11の内側近傍領域11i及び裏側切込線21の外側近傍領域21oを含んで粘着剤層6が設けられている点が、上記第1実施形態と異なっている。
つまり、本実施形態では、表側切込線11の外側近傍領域11o、裏側切込線21の内側近傍領域21i、及び表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12aのそれぞれの領域における表フィルム1と裏フィルム2の層間には、接着剤層5が設けられておらず、表側切込線11の外側近傍領域11o及び裏側切込線21の内側近傍領域21iが非貼着領域とされ、且つ、表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12a全体に亘って粘着剤層6が設けられている。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0055】
本実施形態の包装袋10においても、開閉部7によって取出口を開閉できる。さらに、表側切込線11の外側近傍領域11o及び裏側切込線21の内側近傍領域21iに、それぞれ粘着剤層6が設けられていないので、粘着剤層6から滲み出た粘着剤が、前記表側切込線11の外側近傍領域11o及び前記裏側切込線21の内側近傍領域21iにおける表フィルム1と裏フィルム2の層間に入り込む。このため、粘着剤が表側切込線11及び裏側切込線21を通じて袋本体4の表面側及び裏面側に滲み出にくい。換言すると、非貼着領域とされた表側切込線11の外側近傍領域11o及び前記裏側切込線21の内側近傍領域21iにおける表フィルム1と裏フィルム2の層間が、粘着剤の回避空間となり、粘着剤が切込線に入り込むことを防止している。
【0056】
[第4実施形態]
本実施形態は、上記第2実施形態及び第3実施形態を組み合わせた包装袋10である。
つまり、本実施形態では、表側切込線11の外側近傍領域11o及び裏側切込線21の内側近傍領域21iにも接着剤層5が設けられ、且つ、表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12aにおける表フィルム1と裏フィルム2の層間には接着剤層5が設けられておらず、この表側切込線11と裏側切込線21の間の領域12a全体に亘って粘着剤層6が設けられている。
本実施形態の包装袋10においても、開閉部7によって取出口を開閉できる。
【0057】
[第5実施形態]
第5実施形態においては、表側切込線11及び裏側切込線21の様々な変形例を示す。
上記第1実施形態においては、表側切込線11及び裏側切込線21の平面視形状は、それぞれ略コの字状であるが、例えば、図11に示すように、表側切込線11及び裏側切込線21が、それぞれ平面視略V字状に形成されていてもよい。
また、図12に示すように、表側切込線11及び裏側切込線21が、それぞれ平面視略半楕円状に形成されていてもよい。
その他、図示しないが、表側切込線11及び裏側切込線21の平面視形状は、略半円状などに形成されていてもよい。
【0058】
なお、図12に示すように、表側切込線11の両端部に、反対方向に延びる返し切込線114が連設されていてもよい。かかる返し切込線114が形成されていれば、表側切込線11に沿って開閉部7を捲り上げたとき、表側切込線11の両端部を越えてフィルムが切れることを防止できる。
【0059】
さらに、上記第1実施形態においては、表側切込線11及び裏側切込線21の平面視形状は、大きさの異なる相似形であるが、表側切込線11及び裏側切込線21は、異なる形状に形成されていてもよい。
例えば、図13に示す包装袋10は、表側切込線11が平面視略U字状に形成され、一方、裏側切込線21がこの表側切込線11の内側に離れて略コの字状に形成されている。
【0060】
また、上記第1実施形態においては、裏側切込線21が有端の非直線状であるが、例えば、図14に示すように、裏側切込線21が無端の非直線状に形成されていてもよい。好ましくは、無端の非直線状の裏側切込線21は、表側切込線11の内側に形成される。この場合、無端の非直線状の裏側切込線21は、表側切込線11で囲われる範囲内に完全に含まれていてもよいし、或いは、図示したように、裏側切込線21の一部分が、表側切込線11の両端部113,113から外側に出ていてもよい。
【0061】
なお、第5実施形態における各変形例の包装袋10は、図11乃至図14に示すように、表側切込線11の内側近傍領域、表側切込線11の外側近傍領域、裏側切込線21の外側近傍領域、及び、裏側切込線21の内側近傍領域のそれぞれの領域が、非貼着領域とされているが、これら各変形例の包装袋10においても、上記第2乃至第4実施形態のように変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の包装袋は、食品、ウェットティッシュ、化粧品類のような様々な物品の包装に利用できる。
【符号の説明】
【0063】
1…表フィルム、11…表側切込線、11i…表側切込線の内側近傍領域、11o…表側切込線の外側近傍領域、12a…表側切込線と裏側切込線の間の領域、2…裏フィルム、21…裏側切込線、21i…裏側切込線の内側近傍領域、21o…表側切込線の外側近傍領域、3…積層フィルム、4…袋本体、5…接着剤層、6…粘着剤層、7…開閉部、10…包装袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表フィルムと裏フィルムが接着剤層を介して積層された積層フィルムから形成された袋本体を有し、
前記袋本体に開閉部を形成するために、前記表フィルムの面内に平面視非直線状の表側切込線が形成され、且つ、前記裏フィルムの面内に前記表側切込線と位置ずれした平面視非直線状の裏側切込線が形成されており、
前記表側切込線と裏側切込線の間の領域における表フィルムと裏フィルムの層間には、前記接着剤層が設けられておらず、
前記領域における表フィルムと裏フィルムの層間に、粘着剤層が設けられていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記表側切込線の内側近傍領域及び前記裏側切込線の外側近傍領域における表フィルムと裏フィルムの層間が、前記粘着剤層が設けられていない非貼着領域とされている請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記表側切込線の外側近傍領域及び前記裏側切込線の内側近傍領域における表フィルムと裏フィルムの層間が、前記接着剤層が設けられていない非貼着領域とされている請求項1又は2に記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−35897(P2012−35897A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179994(P2010−179994)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】